国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

全て表示する >

(GAU325号)外貨不足によるエイズ治療薬の不足が人々の治療を妨げる(ジンバブウェ)

2017/09/09

----------------------
★「第325号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・グローバルファンドの国レベルのカウンターパート「国別調整メカニズム」の改革
●アフリカの地域別記事
・(ザンビア)エイズ検査がついに強制に!
・(マラウイ)植民地時代の同性愛法がHIV・エイズとの闘いを妨げる
・(ジンバブウェ)ARV薬の不足に至急対処する必要
------------------------------------Vol.17 No.01 ---------------

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。



<対策・課題別・地域別(アフリカ以外)記事>
--------------------------------------------------
グローバルファンド、国レベルでの対応調整機関「国別調整メカニズム」の改革へ
--------------------------------------------------
【2017年8月22日】途上国の三大感染症に資金を供給する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、案件形成の取りまとめ役となり、また、グローバルファンドの拠出資金について全体を「国別調整メカニズム」country coordinating mechanism (CCMs) の構造と役割の改革に乗り出した。この改革の鍵となる部分は、グローバルファンドのパートナーであるドイツ国際協力公社 GIZ の「バックアップ」部門(グローバルファンドによる資金拠出を国レベルでうまく機能させるためのイニシアティブ)や、英国のエイズ専門の国際NGOである「国際HIV/AIDS同盟」 the International HIV/AIDS Alliance、そしてフランスのグローバルファンドに対する技術協力のためのメカニズムである「イニシアティブ5%」 Initiative 5% などとともに組織化された国別のコンサルテーションである。

この背景には、2016年の理事会でグローバルファンド事務局が提出したグローバルファンド・ビジネスモデルについてのレポートについて検討した際、グローバルファンドには改善すべき点があるという結論に達したという経緯がある。

このレポートには、グローバルファンドの資金を悪用した腐敗・汚職などについて独自に調査する権限を持つ同組織の「総合監察官事務所」(OIG)の監査で指摘されたCCMsの課題、すなわち?資金管理におけるCCMの関与が不十分であること、?市民組織やカギとなる人口集団の貢献度やそれらのエンパワメントに一貫性がないこと、そして?国内の主要な役割を持つ人々・人口層との連携が不十分であること、以上が記されている。こうした指摘に対して、グローバルファンドは 「CCM改革プロジェクト」を打ち出し、より強いインパクトを達成することを目標としている。

これまでCCM改革プロジェクトはグローバルファンド事務局、および理事会のもとに設けられた常設の戦略委員会と倫理・ガバナンス委員会によって秘密裡に進められてきたが、これからの国別コンサルテーションでは議論が公開される。現在5つのコンサルテーションが、シェムリアップ(カンボジア)に8か国、アディスアベバ(エチオピア)に15か国、ウクライナに11か国、アビジャン(コートジボワール)に21か国、パナマシティー(パナマ)またはリマ(ペルー)に10か国が招へいされ、8月後半から9月にかけて予定されている。

シェムリアップでの事前のアジェンダでは、どのようにCCMsが展開されるか、以下の4領域に沿って議論が予定されている。すなわち、(1)CCMsの機能と事務局;(2)組織および組織に対する貢献度;(3)国内プログラム調整および連携;(4)監視や管理である。このアジェンダは各国の背景や実情に応じて異なるCCMs構造や機能のモデルがあるべきという考えに基づき、CCMs各国対応への議論も含まれている。

アディスアベバへの招待文書には、初めの2日間は現在のCCMsモデルのレビューと2018年度以降のアクションについて議論し、その後2日間はCCMのガバナンスや、市民組織やカギとなる人口集団の貢献度の監視に関連したCCMsの支援適格について、意見交換し学びあう機会が提供される。各国は事前にCCMモデルの現在の課題や強み、それらをどう発信していくか、展開可能な戦略、CCMの役割についてなどの問いに回答することが求められている。

アビジャンへの招待文書には、目標として、「イニシアティブ5%」の貢献についてレビューし、ベストプラクティスを共有し、CCMsにおける新しいアプローチを定義することが記載されている。

不参加者についてはCCMsの課題として取り組むために質問紙調査を実施する。

次のステップとして、事務局によりCCMsの役割と構造を改訂するため提案書が提出され、2018年の会議で審議される。CCMの今後の展開についての議論を進めていくために、事務局はCCMsごとの大きさや構造、実績、およびそれに対する影響因子などについて準備している。

原題:Changes to the Role and Structure of CCMs likely as the Global Fund Develops a CCM Evolution Plan
出典:aidspan
日付:2017/08/22
URL: http://www.aidspan.org/gfo_article/changes-role-and-structure-ccms-likely-global-fund-develops-ccm-evolution-plan 

<地域別記事(アフリカ)>
----------------------------------
(ザンビア)エイズ検査がついに強制に?
----------------------------------
【2017年8月16日】アフリカ南部に位置するザンビア共和国のエドガー・ルング大統領 Edgar Lunguは、エイズによる更なる犠牲を食いとめるために、公的保健機関におけるHIV検査を強制的に行うと発表した。

これは、8月15日に首都ルサカにあるオリンピック青少年育成センターにおいて、「2017年HIV検査・カウンセリングと治療デー」の開会式で宣言されたものである。

大統領は、次のように述べた。「エイズの蔓延によって1984年以降100万人以上の命が奪われた。現在も120万人以上がHIVに感染しており、国家の発展に悪影響を与えている。政府も2030年までにエイズを終息させることを視野に入れ、政策の実施に向けて議論を重ねてきた。今回の大胆な決定は、HIV検査を行ってすべての陽性者に抗レトロウイルス治療(ART)を速やかに開始して継続してもらうことを優先している。自分は健康だと思っていても、ある日ぽっくり死んではじめてHIVに感染していたと知ることになるかもしれない。感染の有無を知るために検査を受けてもらいたい」

さらに、ルング大統領は、「国民が病気になったときはHIV・エイズを含むすべての検査を受けることになっている。検査で陽性になった場合は、治療が直ちに開始されるだろう。政府は、国内すべてのコミュニティにおいてあらゆる社会資源を使うつもりだ」と述べた。

大統領はHIV・エイズ問題に取り組む関係者らに対して、検査で陰性だった人々が感染しないために情報を提供するよう支援を求めた。また国民に対して、職場や地域社会で差別をなくすための働きかけを求めた。ルサカ州のジャフェン・ムワカロンベ知事 Japhen Mwakalombeは、市民にHIV検査とカウンセリングを受けるよう促した。

国連常駐調整官のジャネット・ローガン氏 Janet Roganは、「HIV/AIDSの抑制は政府だけでは難しく、他の関係者、とりわけ道徳的に人々に影響を与えうる関係者と協力することで達成されるだろう」と述べた。さらに、「伝統的な指導者は、この点で重要な役割を果たす。HIV/AIDSは、行動によって抑制できるから、差別が減少したり、薬の服用が普及したりするだろう」と述べた。

駐ザンビア米国代理大使のクリストファー・クラフト氏 Christopher Craftは、「米国は、ザンビアに対し、米大統領エイズ救済緊急計画を通して30億米ドル(約3300億円)を拠出し、8千人にARTを提供しHIVの抑制を支援してきた」と述べた。

ルング大統領によると、2010年から2016年までの間に、HIV感染率は41%減少したという。8千人の陽性者がARTを受けており、成人陽性者の80%が何らかの治療を受けている。

原題:Zambia: Aids Testing Now Mandatory!
出典:Times of Zambia
日付:2017/8/16
URL:http://www.times.co.zm/?p=97797 

------------------------------------------------------------
(マラウイ)植民地時代の同性愛禁止法が、HIV/AIDSとの闘いを妨げる
------------------------------------------------------------
【2017年8月17日 ブランタイヤ(マラウイ)発】アフリカ南部の内陸国マラウイでは、刑務所内での性感染症増加に伴い、コンドーム配布の是非が問われている。

刑務所内での性感染症の増大について、同性間の性行為の拡大が要因の一つであることが、元囚人の証言や調査などで明らかとなった。最近の調査では、ある刑務所で1880名中46名が梅毒陽性、1344名中約100名がHIV陽性、その内62名が最近感染したと判明した。囚人や刑務官は、所内での同性間の性行為がHIV感染の主な原因だと認識している。

上記の事実にも関わらず、刑務所でのコンドーム配布は官僚たちの頭痛の種だ。なぜならマラウイで同性間の性行為は違法であり、懲役14年の刑に処されるからだ。現在逮捕は保留されているが、この厳しい法はまだ残っている。

しかし囚人たちがHIVに感染することを考えると、今すぐ配布を許可すべきだ。実際、HIV陰性で入所し、陽性となって出所した例も複数ある。コンドーム配布は、同性間の性的接触の推奨や正当化ではなく、HIV感染拡大を阻止するためのものである。

◆  政府の方針
人権団体は、服役中にコンドームを配布することは、政府の方針に反しないとする。国のHIV予防戦略では、男性とセックスする男性(MSM)などに対するHIV介入として、コンドームや潤滑油の配布、性感染症治療の提供などが挙げられている。一般人口と比べてHIV蔓延率が高い、MSMやセックスワーカーなどエイズ対策の鍵となる人口集団への介入が焦点となっている。

◆反対
宗教団体は、刑務所内でのコンドーム配布は同性間の性行為を推奨することになるとして反対している。しかし、同性愛嫌悪の文化に固執するのではなく、現実を受け入れるべきではないか。性的マイノリティは、どのコミュニティにも存在する。彼らも同じ人間であり、介入へ参加させなければいけない。

法律や政策は、性的マイノリティに対する医療的介入や対策の邪魔をしている。MSMなどへの反発や暴力を惹起する法ではなく、守る法を作るべきだ。MSMが非違法化されれば、介入は政策と一致する。

憲法は非常に明確に、政府は、国民に対して健康ケアを提供する義務があるとしている。政策立案者は、MSMや囚人など鍵となる人口集団も含む全国民に対して、健康サービスを提供するという憲法を尊重すべきだ。1800年代に入植者によって作られた遺物の法を守るためだけに、エイズ関連の死で国民を亡くならせるなんて狂気の沙汰である。

鍵となる人口集団に介入しない限り、マラウイは国連合同エイス?計画 UNAIDSの90−90−90治療目標を達成できないだろう。ただ、本当に刑務所でコンドームを配布すべきなのだろうか。

「問題解決ジャーナリズム・センター」 Centre for Solutions Journalismのブライアン・リゴメカ事務局長 Brian Ligomekaは、「戦争では、敵を倒すためにすべての武器を使うだろう。もしコンドームがこの国のHIV・エイズとの闘いを助けるなら、その役目を果たさせようではないか」

現在の課題は、政府が、憲法とそぐわない大昔の刑法を廃止することだ。

原題: Malawi: Colonial Homosexuality Laws in Malawi Distract Fight Against HIV and Aids
出典:All Africa (Centre for Solutions Journalism)
日付:2017/8/17
URL: http://csjnews.org/2017/08/17/colonial-homosexuality-laws-malawi/ 

-----------------------------------------
(ジンバブウェ)ARV薬の不足に至急対処する必要  
-----------------------------------------
【2017年8月23日】アフリカ南部の内陸国ジンバブウェにおいて、公衆衛生に関する機関で抗レトロウイルス薬(ARV)が不足し、HIV感染者やエイズを発症した人に影響を及ぼすことが深刻な懸念となっている。マルチセクターによる協力で何年間もHIVやエイズ関連の死亡を減少させてきたジンバブウェにとって、抗レトロウイルス薬のうち第2選択薬として使われているアバカビルAbakavirの不足は、通常なら3か月分の薬を渡すところ、1週間分の薬しか渡せない、という深刻な事態であり、痛恨の極みといえる。

薬不足という状況では、第2選択薬を処方されている人々が、定期的にきちんと薬を飲むことができなくなり、人々の健康を確実にむしばむこととなる。ジンバブウェでARVを内服しているおよそ100万人のうちの35%が第2選択薬を摂取する段階にある。ARVに限りがあることで、患者への服薬開始や自分自身で継続的に服薬しようとする意志を妨げることになると、国全体としてのHIV対策が成功しない。自分で服薬を守ることは、患者自身が治療へのアクセスやウイルス抵抗性を抑えるためにも重要であることが強調されなければならない。

1週間しか薬が渡せないと、患者は毎週薬を受け取りにいかなければならず、経済状況が厳しい者にとってはかなりの出費を強いられることになる。高額で薬を受け取れない人もいるだろう。薬を受け取れる場所に薬が届いても、人々がそこに行くまでのアクセスの問題がある。交通費やその往復で仕事ができなくなてしまう。

もし薬が公的に手に入らなければ、人々は自己資金に頼らざるをえない。一方で薬価は著しく上昇しており、ここしばらく医療費は消費者物価指数(CPI)を上昇させる最も大きな要素となっている。

ジンバブウェ政府にとって、「90-90-90目標」を達成するためにもARVへのアクセスを確保することは重要である。「90-90-90目標」とは、世界のHIV陽性者の90%が診断を受け、そのうち90%がARVを服薬し、そのうち90%が体内のウイルス量が検出限界以下の状態にある、ということである。

ARV不足は、期せずして世界保健機関WHOが、薬剤耐性HIVの出現が途上国にとって脅威になっていることを警告したことと重なり、頭を悩ませる事態となった。WHOによると、適切な薬の使用とは、患者の症状に応じた薬効、患者自身の必要性に応じた量、そして適切な期間に患者自身およびそのコミュニティにとって最も安価な薬を受け取れることを意味する。

専門的な見解では、保健・児童ケア省the Ministry of Health and Child Care (MoHCC)や国家エイズ委員会(NAC)などのような、貴重な薬を調達するために機能している公的部門があるにもかかわらずこのような状況というのは許しがたいことである。

2017年におけるARV確保の主たる制約となったのは外貨である。ジンバブウェ準備銀行からの外貨供給は4〜5か月遅れることが多く、薬へのアクセスを妨げる。これに対して、例えばNACが提携している医薬品会社ナトファームNatpharmへの外貨供給、ナトファームへ借金の返済、行政サービスに適した薬剤師の配置、情報システムが整備された薬の管理、プライマリーケアでの公平な薬供給などといった、政策レベルでの取り組みを検討する必要がある。外貨不足は十分なARVを供給する取り組みを台無しにしているのである。

原題:Zimbabwe: Urgent Need to Address ARV Stock-Outs
出典:The Herald
日付:2017/08/23
URL: http://www.herald.co.zw/urgent-need-to-address-arv-stock-outs/

--------
編集後記
--------
前号はジョハネスバーグのオリヴァー・タンボ国際空港で編集しましたが、飛行機が台風で8時間も遅れ、到着した香港国際空港では、東京便が翌日の昼にならないとないと言われ、なんとか翌日朝に東京に到着するために大変な交渉をしなければならなくなりました。さて、今号については、東京の自宅にて平穏に編集しております。とりあえずグローバル・エイズ・アップデートも今号で14年目に突入しました。今後もご愛顧よろしくお願いします。(MI)

---------------------
★メールマガジンご案内
---------------------
★「グローバル・エイズ・アップデート」は、世界のHIV/AIDS問題の最新動向を網羅するメールマガジンです。

★HIV/AIDS問題は、現代世界における保健医療上の最大の課題の一つです。しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。

★このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語に要約し、隔週で発行しています。また、発行後すぐにブログにも更新。過去記事をカテゴリーごとに確認したい方はこちらからどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/ajf/

★継続して購読を希望される方は、以下の講読申込票をメールマガジン発行元(特活)アフリカ日本協議会までご送信下さい。また、本メールマガジンを発行している「Melma!」の以下のサイトから登録することもできます。
http://www.melma.com/backnumber_123266/

---------------------------------------
<講読申込票>info@ajf.gr.jpまで
---------------------------------------
★氏名
★所属(あれば)
★メールアドレス
★ご在住の市町村
★コメント
---------------------------------------






規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-09-14  
最終発行日:  
発行周期:隔週  
Score!: 81 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。