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グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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(GAU322号)グローバルファンド、ジェンダー平等にもっと取り組みを?

2017/07/30

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★「第322号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・グローバルファンド、ジェンダー不平等に関する案件が少なく、政策と実施に大きなギャップ 
・(インド)SDGsとHIV/AIDS:偏見のない世界が夢
●アフリカの地域別記事
・(ウガンダ)金銭的支援が女性のHIV感染暴露を手助けする
・(ザンビア)H IV感染率が11%に低下
------------------------------------Vol.14 No.21 ---

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
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<対策・課題別・地域別(アフリカ以外)記事>
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グローバルファンド、ジェンダー平等に関する案件が少なく、政策と実施に大きなギャップ 
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【2017年6月27日】途上国のエイズ・結核・マラリア対策に資金を拠出する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、独自のジェンダー戦略 gender strategy を有しているが、これについて英国の研究機関が「内容は強固なものの、実施案件が少なく、戦略作りの意図が生かされていない」と評価した。

「グローバルファンドのジェンダー戦略は、特に女性や少女のHIV感染の拡大につながるジェンダー不平等に対処する上で強固な内容を持っているが、グローバルファンドの資金による実施案件の中に、ジェンダーに配慮した事業、あるいはジェンダー格差を変革する活動を特定し、資金を拠出し、モニターしていくための合意はほとんどないため、政策の意図と実施の間に大きな差があると示されている」

これは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン世界保健研究機関のサラ・ホークス 氏 Sarah Hawkesと2名の共著者が18の、保健に対する官民パートナシップ Global Public Private Partnership for Health (GPPPH) を分析した結果の一つである。

著書では、GPPPHは、「公的および民間の利益団体を含む公式な統治機構を有する国際機関」と定義されている。グローバルファンドに加えて、研究対象となった18のパートナーシップ、例えばGaviワクチンアライアンス、ストップ結核パートナシップ、ロールバックマラリアも含まれている。

GPPPHの大多数が保健アプローチにジェンダーを考慮しておらず、性差の説明責任を高めていない。以下のような、3つが除外されているのである。

1.これらのパートナーシップの理事会の多くは、ジェンダーの割合が不平等な構成となっている。
2.GPPPHの大多数は、資金提供したプログラムの対象や結果、影響に関する性別分割データを報告、公表していない。
3.GPPPHのジェンダーに関する事業のほとんどは、母子健康や感染症との関係に特化した狭いものとなっている。

著者は細分化されたデータに言及して、これらの機関がジェンダーに関連した成果について報告するときにも、せいぜい、受益者の何割が女性・少女であるか程度しか報告されていないとした。「そのような見方は、世界疾病負担に対処するには生産的ではないどころか、有害であるかもしれない」「リスクの影響度についての性別と年齢のデータ分割、予防と治療の範囲と結果は、不健康の問題について理解するうえで不可欠で、最も必要としている人々に確実に投資を届け、性差の縮小効果を客観的に観察できるものであるが、これらの情報が欠けている」

著書は、そのような情報は、グローバル・ヘルスにおいて「誰一人取り残さない」ために不可欠であると語った。例えば、HIV、結核、マラリアに関連した感染率や死亡率を20年以上分析すると、死亡率は3種類とも女性より男性の方が高かったが、感染率はマラリアでは女性が高く、結核では男性が高く、HIVでは同程度であった。

著者は、どのように「ジェンダーを扱うか」についてより真剣になる必要があると結論付けた。「政策提言文書において少女や女性への言及は十分ではない」とし、「その代わり、性差に関する相関的な見方は定期的な活動や成果物、アカウンタビリティに関する制度を通じて主流化される必要がある」とした。理事会から保健サービスの実施やアクセスまで、ジェンダーの不平等は検討されるべきであると語った。

原題:Study finds a major gap between policy and practice in efforts by the Global Fund to address gender inequality
出典 :aidspan
日付:2017/06/27
URL: http://www.aidspan.org/node/4259

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(インド)SDGsとHIV/AIDS:偏見のない世界が夢
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【2017年7月12日】国連合同エイズ計画 UNAIDS は、「持続可能な開発目標とHIVにかかわる取り組み=人々を中心に置くストーリー」を発表した。このシリーズは、HIVと持続可能な開発目標(SDG)のリンクに焦点をあてており、ストーリーは、AIDSレスポンスの進歩とSDG達成の道のりを示している。

これは、インド北西部に位置するラージャスターン州のある町に生きるモナ・バラニさんの話である。

友達や家族がモナ・バラニMona Balaniの家に立ち寄ることをやめても彼女は平然としていたが、悪いことに誰も彼女の6歳の息子と遊ばなくなっていた。

モナと彼女の夫が1999年にHIV陽性と診断されてから、彼女の家族は、親戚からの不愉快な言葉、医療スタッフによる夫のTB治療を拒否するといった差別に直面しなくてはならなかった。「医師や看護師、検査技師の言動によって、私は犯罪者であるかのように感じた」とモナは述べている。

一方、彼女の下の息子は後に結核と診断された。夫や2歳の息子の医療費が増大するため、彼女自身のHIV治療費を支払う余裕はなかったとモナは述べている。そして不幸なことに、彼女の下の息子は1か月後に亡くなった。

2002年にモナも肺に結核があることが見つかったが、彼女は規定の治療を完了した。3年後、モナの夫は亡くなった。さらに次の年、彼女は腹部の結核に罹った。「結核の検査と診断のため、一晩入院しなくてはならなかったとき、私のHIVステータスを見て入院を拒否した。結核治療開始までに抗レトロウイルス薬治療を受けていたのに」とモナは語った。彼女は知り合いの医師の力ぞえで入院できた。「入院後でさえ、私を診察する医師はいつも二重手袋で、使用した器具やシーツは全て取り換えるよう要求していた」とモナは回想している。

2007年、彼女はインド北西部のラージャスターン州の中心部からはるかに離れた地域で、HIV陽性者ネットワークで活動を始めた。10年後の今、彼女はニューデリーにあるNGO「インドHIV/AIDS同盟」 India HIV/AIDS Alliance で活動している。彼女は、HIVや結核の人々が権利と尊厳を持つこと、また全ての人々に健康と福祉を保証する世界を夢見ている。「HIVには死しかないと人々は考えているが、それは真実ではない」とモナは言う。「HIVでも健康に過ごせるし、私は実際健康に過ごしている」

SDG3 「全ての人に健康と福利を」
HIVと共に生きる人を含めすべての人に健康で安心な生活を保障することは持続可能な開発において重要である。例えば、医療を拡大すること、検査の戦略を立てること、診断後に治療の保証をすること、HIVに感染している妊婦への早急な治療を提供することは、AIDS流行の終結のために必要である。HIVは、差別のなく質の高い、個々のニーズに沿ったHIV治療にアクセスする権利を持つことによってのみ終結させることができる。

モナのストーリーは、HIVとTBによる差別に苦しみ、公平性と威厳をもって治療を受けることの権利を物語っている。

原題:Mona’s Dream: A World Free of Stigma
出典 :UNAIDS
日付:2017/07/12
URL: http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2017/july/20170712_mona

<地域別記事(アフリカ)>
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(ウガンダ)金銭的支援が女性のHIV感染カミングアウトを手助け
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【2017年6月27日発】ウガンダ東北部のカラモジャ地方 Karamojaモロト県 Morotoに居住するHIV陽性者の女性たちは、偏見を持たれることへの恐怖から、以前はHIV感染していることを打ち明けられなかった。しかしUNウィメン UN Women による無料の財政支援により、HIVに感染していることをカミングアウトする自信をもつことができるようになった。

カボング県 KaabongでHIV感染者のコーディネーターをしているマーグレット・アジング氏Margret Ajilongによると、多くの女性が資金援助を希望し、HIV感染を公言し始めた。また、以前は抗ウイルス薬を隠れて内服していたが、いまや多くの人がオープンに飲んでいる。さらに、多くの女性が製パンや小規模なビジネスに挑戦していく中で、自立できるようになった。「UNウィメンの支援のおかげで、特にカボングに居住する、HIVとともに生きる女性たちの生活がかわり、非常に感謝しています。彼女たちはグループでお金を稼いでいます」と言った。

クライアントの一人であるベティ・ナチョさん Betty Nachoは、財政的に誰も援助してくれないことを恐れ、HIV感染を打ち明けられなかったと述べた。また、「私はいまとても誇らしい気持ちです。私たちのグループは、UN Womenから500万ウガンダ・シリング(編集部注:日本円で約15万円程度)の支援を受けています。私たちのグループは成長していて、HIVに感染している女性たちが新たに加わっています」と語った。

UNウィメンのモロト現地事務所のプログラムオフィサーであるマルティン・オライム氏 Martine Oryemによると、UNウィメンはこれまで、HIVと共に生活する女性で構成される25のグループに1.4億ウガンダ・シリング(426万円)を支援している。オライム氏によると、モロト県とカボング県では、260人が支援を受けている。

モロト県議長のアンドリュー・ナパジャ・キム氏 Andrew Napaja Keemは、UN Womenの支援を歓迎し、他の開発パートナーにもHIV感染者の支援を要請した。彼はまた、国民に対しては、偏見を持たないよう警告した。

近年は、乾燥度の高いカラモジャ地方におけるHIV /AIDSの感染率が急増し、指導者たちや開発パートナーの間でパニックが発生している。モロト県の保健官であるヴィンセント・ムロン氏Vincent Muronによると、カラモジャ地方ではコンドーム使用や禁欲への意識が低いため、全国のHIV /AIDSの流行率の7.3%を上回る可能性が高いという。

原題:Uganda: Financial Support Lures Karamoja Women to Disclose HIV Status
日付:2017/06/27
出典:The Monitor
URL:http://allafrica.com/stories/201706270030.html

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(ザンビア)H IV感染率が11%に低下
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【2017年7月3日、ルサカ(ザンビア)発】南部アフリカの内陸国ザンビアのエドガー・ルング大統領 Edgar Lunguは、第7次国家開発計画(7NDP:2017-2021)が開始され、今後5年間で新規HIV感染率の削減に取り組むと提示した。この計画は「誰一人取り残さない、ビジョン2030へ向けた開発努力の加速」をテーマとし、統合的な開発アプローチを追求している。HIV/AIDSは世界経済に悪影響を及ぼしているため、ザンビアもHIV/AIDSの問題を開発アジェンダに組み込んだのだ。

この計画文書内には、過去数年のHIV/AIDSへの取り組みにおける、非常に大きな成功が記載されている。特に、HIV陽性率は2015年の13%から2016年には11.6%に低下し、HIV新規感染率は2009年から2016年にかけて41%以上低下した。計画期間中の政府の戦略では、2016年のHIV陽性率11.6%からさらに低下させる予定だ。

現在、ザンビアには推定120万人のHIV陽性者がおり、そのうち約80万人が抗レトロウイルス治療を受けている。しかしながら、毎年約4万6千人もの新規感染が記録されている。それゆえ、新規感染を減らし、最終的には0%を達成できるよう、政府は継続的な国内投資とリーダーシップを要請している。

さらにザンビアは、2030年までにAIDSを終息させることを目的とした、2016年ハイレベル会合政治宣言にコミットしていると記載されている。この政治宣言は、2020年までに「90-90-90」治療目標達成を目指している。これは、HIV感染者の90%が自らのHIV感染を知ること、そしてそのうちの90%が治療を受けること、さらにそのうち90% が治療の効果で体内のウイルス量が検出限界以下になる状態を目指すものだ。目標達成に向けて政府は、ステークホルダーとのパートナーシップの強化と、疾病の社会的決定要因を包括的に検討することを誓うと強調した。

また、HIVと共に生活する家族や10代男女中心のケアや支援の最前線にあるザンビア中部のンドラ Ndolaにあるアーサー・デイヴィスン・チルドレン病院 Arthur Davison Children Hospital(ADCH)が適切に整備されれば、目標達成に大きく貢献するであろう。現段階では、ADCHは全国の唯一の小児科病院であり、複雑な症例の地域紹介病院として機能している。

HIVや抗レトロウイルス治療についての神話を払拭するため、伝統的な医療提供者と公的保健医療機関との結びつきを強化する必要がある。最近では、ハーブ療法によりHIVを治すと主張している人々がいたり、HIV感染者の中には、神の介入を優先して抗レトロウイルス治療を避ける人々がいたりする。孤児や脆弱な子供をHIV /AIDSから守り、母子感染の予防、小児ケアや治療、10代男女間の感染予防を促進していくことが、目標達成への鍵となる。

原題:Zambia’s HIV Prevalence Rate Drops 11%
日付:2017/07/03
出典:Times of Zambia
URL:http://allafrica.com/stories/201707030656.html 
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編集後記
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先週の金曜日に帰国して以降、時差ボケがまだ治らず困っています。やはり年のせいでしょうか…。グローバル・エイズ・アップデートも創刊からもうすぐ13年になります。(MI)

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