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地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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(GAU315号)感染症対策、トランプ政権の保健予算削減政策を生き延びる??

2017/04/22

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★「第315号」目次
●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・グローバルファンド、「国際機関評価ネットワーク」(MOPAN)から最高評価を受ける
・グローバルファンド、米国の予算カットの影響をそれほど受けない見込み
・男性とセックスをする男性 MSM およびトランスジェンダー女性のHIV検査へのアクセスの障壁とは何か?=ジャマイカの首都キングストンでの調査=
●アフリカの地域別記事
・(ウガンダ)栄養不足とHIVで子どもたちが致命的な状況に
・(南アフリカ共和国)HIV暴露前予防投薬(PrEP)に関する神話と真実
・男性の亀頭包皮切除がHIV感染の危険性を減少させる:研究結果

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◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
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<対策・課題別・地域別(アフリカ以外)記事>
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グローバルファンド、「国際機関評価ネットワーク」(MOPAN)から最高評価を受ける
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【2017年4月2日】途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関であるグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、本年今回初めて「国際機関業績評価ネットワーク」Multilateral Organizations Performance Assessment Network: MOPAN の評価対象となった。

MOPANは、共通の関心である国際機関の運営・管理の効率性について、合同で評価を行うドナー国のネットワークである。2002年に発足し、現在はオーストラリア、カナダ、日本、デンマーク、イギリス、米国を含む18のドナー国がMOPANに参加している。MOPANによる評価は、5つのパフォーマンス領域が対象となっている。うち4つは機関有効性に関連しており(戦略的な管理、運営管理、関係性管理、パフォーマンス管理)、残りの1つは開発効果に関連している。

グローバルファンドは、MOPANによる評価において、12の主要評価指標で高い評価を受け、中でも「組織構造」、「運営モデル」、「財務透明性と説明責任」の3つの指標において最高評価を受けた。「グローバルファンドは、HIV、エイズ、結核とマラリア対策で強力なリーダーシップを持っている。機関の運営目的に合致しており、今後のニーズに対応することもできる」とMOPANは報告している。

MOPAN によると、グローバルファンドの内部組織の再構築と新しい資金提供モデルの採用が、機関の高パフォーマンスにつながった。グローバルファンドの結果重視の計画・管理と報告が、国レベルのデータ向上の尽力を支えている。MOPANは、運営体系の再構築、リスク管理の向上、市民社会・企業とのパートナーシップ強化、資金管理と施行の対談をグローバルファンドの強みとして挙げている。また、グローバルファンドは積極的に学ぶ姿勢を持った機関であり、スタッフは実践的な解決策を執行することで高い評判を得ていると、MOPANは報告した。

MOPANはグローバルファンドを高く評価した一方、改善の余地もあることを指摘している。特に、証拠に基づいた効果査定と保健システム強化 (HSS) の取り組みに関する改善が必要だとした。効果査定については、有効性の低い介入を特定するための形式システムを通し、結果管理と組織学習を強化すべきであると述べた。HSSについては、資金運営の追跡調査、持続可能性を意識した介入方法に向けたさらなるイノベーションが必要であるとした。 
                                
原題:Global Fund gets top marks in performance assessment
出典:aidspan
日付:2017/4/2
URL:http://www.aidspan.org/node/4146

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グローバルファンド、米国の予算カットの影響をそれほど受けない見込み
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【2017年4月3日ナイロビ(ケニア)発・AIDSPANデイヴィッド・ガーマイズ記者執筆】米国の新政権を率いるドナルド・トランプ大統領が3月に米国議会に提出した「切り詰めた予算」計画 skinny blueprint によると、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)the Global Fundを始め、米国大統領エイズ救済緊急計画PEPFAR、米大統領マラリアイニシアティブthe U.S. President’s Malaria Initiative: PMI、そしてGaviワクチン・アライアンス(旧・ワクチンと予防接種のための世界同盟 Global Alliance for Vaccines and Immunisation)などに対しても、国内のHIVプログラムと同等の重要性に基づいて資金が確保される。

これらはトランプ大統領が提出した予算計画における、医療、国際協力プログラム、国務省への予算減という大量の「敗者」の中で、数少ない「勝者」の一つだ。この予算計画では、米国国立保健研究所the National Institutes of Health (NIH) に対して58億ドル減、つまりこれまでの予算と比較して20%を減らすとしている。

世界銀行や他の開発銀行は今後3年間で6億5000万ドル減、アフリカ開発基金the African Development Foundationや、フォガーティ国際センターthe Fogarty International Canter(国際保健の不公平を削減する活動をしている団体)など、いくつかの国際機関や団体への資金提供は全体的に削減される。

エイズ・保健へのアドボカシーに取り組む米国のNGO、「保健への地球規模アクセス・プロジェクト」Health Global Access Project (Health GAP) の「米国の政策及び草の根活動」部門のディレクターを務めるヒラリー・マッキー氏Ms. Hilary McQuieは、PEPFARやグローバルファンドへの資金を継続するのは正当だと述べている。なぜなら、その資金援助はもともと共和党・民主党の両政党の合意に基づくものであり、その資金を使用して行われる活動は人道的に、国際保健に関する政策提言や専門家、コミュニティから最優先事項だとみなされているからである。

「まだ、資金不足によって多くの人に治療へのアクセスがなく、何百万人の人々が亡くなっている現状がある。さらに、この問題を解決するには、PEPFARやグローバルファンドに十分に資金を提供するために年次予算に20億ドルの増額を行うことが必要である。つまり、トランプ政権の現状維持の決定は、1,900万人に治療を受けさせず、何百万の避けられ得る死を導くこととなり、喜ぶことのできない知らせでもある。」とマッキー氏は述べている。

マッキー氏はこの予算削減によって、2030年までに地球規模感染症としてのエイズを終わらせるという誓約の実現が難しくなる、と述べ、「我々は議会に対してこの予算案を否決し、最終予算案では国際的なエイズ治療拡大に向けて、アメリカが十分な予算を充てるよう要求する」と述べた。

米国のニュース解説サイト「ヴォックス」Voxの3月16日の記事で、ジュリア・ベルーズ氏Ms.Julia Belluzは「NIHに対する大幅な予算削減の中心となっているのが、エイズやマラリアなど感染症との闘いで中心を担っている機関への予算である。この削減は国連への資金拠出にも影響し、この予算案で勝者と思われた機関も結局は勝者にはなりえないだろう。」と述べた。

ケニアに本部をおくNGOで、グローバルファンドに関する独立した報道機関の役割を果たしている「エイズパン」Aidspanが、発行する機関誌である「グローバル・ファンド・オブザーバー」(GFO)第307号の記事で報告しているように、議会が採択する予算案は、大統領が公約したものとかなり違うものとなることが想定される。さらに、この予算はアメリカ政府の各省やプログラムへの資金提供する支出権限からは切り離されたものである。

原題:Global Fund Untouched by Trump’s Proposed Budget Cuts
出典:Aidspan
日付:2017/04/03
URL: http://www.aidspan.org/node/4153

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男性とセックスをする男性 MSM およびトランスジェンダー女性のHIV検査へのアクセスの障壁とは何か?=ジャマイカの首都キングストンでの調査=
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【2017年4月4日】カリブ海の島国ジャマイカでは、男性とセックスをする若い男性(MSM)のHIV感染率が、カリブ海諸国で最も高い。またトランスジェンダー女性のHIV感染率についての情報はほとんどないが、同じく高いと推測される。

HIVに関連したスティグマは、ジャマイカの人々のHIV検査へのアクセスの障壁となっているが、MSMとトランスジェンダー女性のHIV検査の状況についてはあまりよくわかっていない。そこで我々は、首都キングストンでMSMとトランスジェンダー女性がHIV検査を受診する上で障壁となっているものは何か、その要因についての調査が行われた。

本調査では、ジャマイカの首都キングストンで、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーと協力して、彼らが住むコミュニティにおいて調査を実施した。

調査の対象としては、二つの集団に焦点を当てた。一つは、若いトランスジェンダー女性(18〜30歳)8名で、もう一つは、若いMSM10名である。また、若いMSM(20名)、トランスジェンダー女性(20名)、コミュニティにおけるキーパーソン(13名)の合計53名に対してもHIV検査の経験について一人ひとりに詳細なインタビュー調査を行った。インタビュー調査の結果から分析を行った。

結果としては、調査に参加した人々のインタビューから、HIV検査を受信する上での社会的な障壁とその要因がわかった。障壁となるものは、医療従事者の誤った対応、守秘義務の違反、そして個人に対してだけではなく、コミュニティ内さらには制度面にも及んでいるHIVに関連するスティグマが挙げられる。医療従事者の差別と偏見は、陽性者のHIV治療へのアクセスの障壁となっており、結果として、陽性者の性的指向や自分が男性なのか女性なのかという性自認(ジェンダー・アイデンティティ)をも隠す風潮をもたらしている。守秘義務の違反では、検査室を他の診療室から隔離するというレイアウトの問題や、医療従事者が陽性であることを他者に公表するのではないかという心配、そして検査を受けたということが仲間に知れ渡るのではないかという、LGBTを受け入れてくれるクリニックに対する懸念が含まれる。

HIVに関連するスティグマは、HIV検査に対する不安の一因となる。つまり、これはHIVが「ゲイ」の病気として捉えられることを意味する。参加者はまた、もし自分たちがHIV陽性だったとしたら、医療従事者が誤った対応をとるのではないかと心配している。参加者は個人的(自分がHIV陽性かどうかを知るメリット)、社会的(社会的支援)、そして制度的(検査へのアクセスのしやすさ)な要因が検査を促すと理解している。

調査結果から導き出される結論としては、ジャマイカにおいて、守秘義務が順守され差別を少なくするためには、政策と変革が必要であることが示された。コミュニティや医療現場におけるHIVに関連するLGBTのスティグマへの介入により、MSMやトランスジェンダーの若者たちのHIV予防策へのアクセスが改善することになるだろう。

原題:Barriers And Facilitators to HIV Testing among Young Men Who Have Sex with Men And Transgender Women in Kingston, Jamaica: A Qualitative Study
出典:Journal of the International AIDS Society
日付:2017/04/04
URL:http://www.jiasociety.org/index.php/jias/article/view/21385

<地域別記事(アフリカ)>
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(ウガンダ)栄養不足とHIVで子どもたちが致命的な状況に
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【2017年3月22日】東アフリカの内陸国ウガンダでは、栄養不足とエイズがあいまって、子どもたちに致命的な状況をもたらしている。

HIV治療薬は、充分な栄養状態でなければ十分な効果が表れない。ウガンダで、ある7才の女の子が病院に運ばれてきた時の様子について、担当した医師が次のように話している。
「彼女は3日間入院している。彼女が病院に来たとき下痢とおう吐の症状があり、ひどく痩せていた。」

彼女はなぜ、やせ細っていたのだろうか。それは東アフリカを襲った干ばつの影響である。それにより、農家は乏しい食料を分け合わないといけない状況に置かれ、栄養不足に苦しんでいる。この状況はただ栄養不足というだけではなく、HIV陽性の親子にとって危険な状態だと専門家から指摘されている。

ウガンダでは、この食料不足により、年の初めから栄養不良が深刻化しており、ARVが適切に機能することについて、悪影響を及ぼしていると医師たちは指摘している。栄養不足は薬の吸収や薬への耐性に影響を及ぼすことから、HIV陽性者は薬を摂取する前に栄養状態を改善する必要があるのだ。ウガンダのヨウェリ・ムセヴェニ大統領は、干ばつと飢餓に対して食糧援助を行うために、もともと道路関係に割り当てられていた予算を付け替える、と発表したが、にもかかわらず、干ばつによる食糧不足に対して政府からの食糧補助は国全体に行き届いていない。

人々は畑から限りある食糧を得るために悪戦苦闘し、野生の葉を食べて飢えをしのぎながら、ウガンダ各県の県庁に対して、食糧援助が得られるように要求をしている。ウガンダのジェンダー・労働・社会開発省の高官であるデイヴィッド・トゥムウェシジェ氏 David Tumwesigye は、ウガンダの子どものうちの1170万人、つまり10人に6人にあたる子どもたちが、栄養不足と不衛生な居住環境による飢餓や肺炎などの理由で、命の危機にさらされている、と記者会見で発表した。氏は、厳しい乾季の到来によって事態はさらに悪化し、もしこのまま行動を起こさなければ、多くの子供が飢餓によって死ぬか、健康について悪影響を受け続けるだろうと付け加えた。

同様のことは大人にも当てはまる。食事を抜いたまま薬を摂取するとめまいがするなど、助けとなるはずの薬が毒となっている。医師は食事をとっていない時に薬を摂取するのをやめるように警告しており、多くの人は、3日間何も食べられなかったときには、薬の摂取も辞めているケースが多い。薬をきちんと摂取し、薬の効果の増大を図るために、栄養状態を改善するための食料の確保が急務となっている。

●原題: Uganda: For Ugandan Children, Hunger and HIV Make a Deadly Mix
●出典:Thomson Reuters Foundation
●日付:22 March 2017
●URL: http://allafrica.com/stories/201703220808.html

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(南アフリカ共和国)HIV暴露前予防投薬(PrEP)に関する神話と真実
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【4月5日 南アフリカ共和国】南アフリカ共和国において、HIVの感染予防のための「暴露前予防投薬」 Pre-Exposure Prophylaxis: PrEP を行う事例が過去最高に達した。

PrEPがHIV予防法として利用されれば、服薬方法のあり方にもよるが、40%から90%以上のHIV感染を減らすことができることが、調査によって証明されている。2016年3月、南ア保健省は最大5000人のセックスワーカーにPrEPを実施し始めた。次のPrEPのターゲット層はもっぱら男性とセックスをする男性 MSM とされている。しかし、南ア保健省と協力する研究機関である「アノヴァ保健研究所」 Anova Health Institute の臨床専門家ケヴィン・レベ氏 Kevin Rebeが講演したように、私たちとPrEPの間にある誤解が適切な情報の普及を妨げ、人々を混乱させているようである。以下で4つの代表的な誤解を紹介する。

(誤解1)PrEPを行うと、ARVに対する耐性を促す危険がある?
PrEPに用いられる予防薬である「ツルバダ」Turvada は、感染予防のために用いられる一方で、HIV陽性者の治療にも活用されている。すなわち、HIV陽性者が受ける多剤併用療法の薬の一つとしても活用されている。HIV陽性者は治療においては3種類の抗レトロウィルス薬を同時に服用するが、服用を忘れたり、3つの薬を同時に服用しないと、薬への耐性を生じさせる恐れがある。しかし、HIV陰性の人がツルバダを服用しても、体内にHIVが存在しない以上、HIVへの耐性を生じさせる恐れはない。実際に主要な調査においても、PrEPを受けた人においてHIVの薬剤耐性が生じるという証拠は発見できなかった。PrEPによってHIV感染を防止できる症例数は、ツルバダへの耐性ウイルスを発生させてしまう症例数を大きく上回っているのである。

(誤解2)PrEPは性感染症のリスクを上昇させる
そのような結果を示す臨床試験や実験計画はない。むしろ、服用者は3か月ごとに検査を受けなければならないことから、性感染症の感染率が下がることが期待される。

(誤解3)PrEPを服用している人は性行動がふしだらである
PrEP服用者はHIV感染をしないと思い込んでいるため、PrEP服用者は危険な性行動をすると恐れられることがある。これに関しても証拠はなく、むしろより安全な性行動をすることが、これまでの臨床調査によって証明されている。2010年に医学雑誌「ニューイングランド医学ジャーナル」で公表された調査によれば、PrEP服用者が、性行動で、より高いリスクをとる証拠はないことが明らかになった。2014年に実施された同様の調査では性感染症の感染率も低いことが示された。

(誤解4)妊娠中はPrEPを服用することはできない
PrEPが妊婦と、生まれてくる子供に対してどんな影響を与えるかについて、十分な長期的調査はない。このことが、HIV陰性の女性をPrEPの服用から遠ざけている。ただ、これについての証明を試みようとするいくつかの臨床試験が行われている。米国の疾病管理・予防センター CDC の調査によれば、HIV陽性の妊婦が治療薬としてツルバダを継続的に服用してきたケースにおいて、生まれてくる子供に何らかの害が及んだ証拠は出ていない。ある調査によれば、妊娠中にHIV陰性と診断された女性のうち3パーセントが子どもを産む前にHIVに感染しており、これは女性全体の割合の2倍であることが明らかになった。PrEPは妊婦のHIV感染率を下げるカギとなる。2016年5月時点では、WHOは妊婦のツルバダ服用の安全性に関して再調査を行っていたが、政府のガイドラインでは、医師の助言の下で服用を決断するように促している。

●原題:  South Africa: Busted - the Myths That Could Be Standing Between You and the HIV Prevention Pill
●出典:all africa
●日付:5 April 2017
●URL:  http://allafrica.com/stories/201704050867.html

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男性の亀頭包皮切除がHIV感染の危険性を減少させる:研究結果
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【2017年3月28日】東アフリカのケニアで行われた調査で、男性の医療的亀頭包皮切除(男性の医療的割礼)が、HIV感染の危険性を増加させる男性性器上の細菌群を減少させるとの事実が判明した。

先月開催された「レトロウイルスと日和見感染に関する会議」The Conference on Retroviruses and opportunistic infections で発表された調査結果によると、医療的亀頭包皮切除をしていない男性は、炎症の引き金となる生殖器周辺の細菌量が、同施術を行った男性よりも多いということがわかった。調査はまた、同施術が「HIV感染の可能性を約60%減少させる」としている。
ケニアの日刊新聞「デイリー・ネーション」の2016年3月の記事によると、社会習慣として割礼を行っていない地域の男性の多くは、割礼の医学的な利点に気が付いていなかったという。また、別の調査によると、これらの男性は、性交渉をしている女性の総数が60人以下であれば安全であると考えていたという。

2014年のケニアの「人口と健康に関する調査」では、ケニア西部ビクトリア湖周辺の旧ニャンザ州出身の男性は、割礼をしていることが少ない(72%)ことがわかった。また、他の地域についても、トゥルカナ地域Turcana (26%)、シアヤSiaya (56%)、ホマ湾 Homa Bay (56%)やキスムKisumu (59%)を含む地域で、割礼をしている男性の割合が特に少なかった。

ケニア政府は、社会習慣として割礼を実施していない地域であるニャンザ、トゥルカナ、テソ、西ポコトなどでHIV感染率が一番高いという調査結果を受け、HIV予防のための男性の自主的な医療的亀頭包皮切除のプロジェクトを実施した。

この計画は、野党の党首であるライラ・オディンガ元首相 Raila Odingaが敗北した大統領選挙後すぐに実施されたため、旧ニャンザ州の人々は、オディンガ元首相の出身民族であるルオ人のコミュニティを制圧するための陰謀であると思ったという。

オディンガ氏の家族、特にオブル・オディンガ氏 Oburu Odingaが医療的亀頭包皮切除を推奨する発言を行うまで、その地域の人々は計画を受け入れなかった。2016年の国連合同エイズ計画 UNAIDSの報告書によると、2015年までに、15歳から49歳の86万人の男性が医療的亀頭包皮切除を行なったという。

●原題: Kenya: Male Circumcision Lowers Risk of HIV, Reveals Study
●出典:allAfrica (Dairy Nation)
●日付:28 MARCH 2017
●URL: http://allafrica.com/stories/201703290135.html


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編集後記
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またまた出張でイタリアに来ています。本年G7サミットが開催されるイタリアで、本日、世界の市民社会と外務副大臣の会談(Civil 7) が開催されました。G7 では、近年グローバル・ヘルスが常に議題となっていますが、イタリアは今年「気候変動と保健」を中心とする「プラネタリー・ヘルス」という概念の導入を提唱。地球環境の悪化と保健を直接結び付ける新たな課題設定として注目されています。この観点から言えば、エイズも、特に気候変動などによって引き起こされる大規模な人口移動との関係で注目する必要があるほか、マラリアは原虫を媒介するハマダラカの生息地域が広がることから、警戒する必要があります。また、結核についても、気候変動などに基づく難民の増大と大きな関係があり、「プラネタリー・ヘルス」の観点からも、感染症対策は重要な課題として立ち現れることになります。保健分野では、新たな概念がサミットごとに打ち出されては消えていく、というところがありますが、「プラネタリー・ヘルス」が今後どのようになっていくか、注目されるところです。(編集責任者 MI)

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