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(GAU307号)グローバルファンド新事務局長選出プロセスが開始される

発行日:12/25

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★「第307号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
(ジュネーブ)医薬品アクセスの報告書で「医薬品特許プール」を活用した製薬企業に高い評価
(インド)ピアサポートを受けていないゲイ男性の52%が暴力を受けている
グローバルファンド、主要実績指標で高い評価
グローバルファンド次期事務局長選のプロセス開始

●アフリカの地域別記事
(ウガンダ)HIVの増加 ―薬剤の引き起こした矛盾か?
(ナミビア)HIVの母子感染への理解
(南アフリカ共和国)HIVワクチンの試みが始まる
(ナイジェリア)25パーセント以上の新たな子供のHIV感染

------------------------------------ Vol. 13 No.7 ---

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。

<対策・課題別・地域別(アフリカ以外)記事>

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(ジュネーブ)医薬品アクセスの報告書で「医薬品特許プール」を活用した製薬企業に高い評価
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【2016年11月14日 ジュネーブ(スイス)発】世界の人々の多くが、医薬品への不十分なアクセスに苦しんでいる。「医薬品アクセス・インデックス」Access to Medicine (ATM) Indexは、医薬品アクセスに関する製薬企業の努力について評価する報告書を隔年で発行している団体である。同団体は11月、隔年発行の報告書を発表した。そこで同団体は、航空券連帯税を活用してエイズ等の新薬の特許権をプールし、疾病負荷の多い途上国向けにジェネリック版の治療薬等を開発しやすくする組織「医薬品特許プール」Medicines Patent Pool を活用して、抗レトロウイルス薬やC型肝炎治療薬の許諾交渉を実施した企業に高い評価を与えた。報告書では、「医薬品特許プール」について、2012年に米国のギリアド・サイエンシズ社が最初の企業として「医薬品特許プール」を活用して以来、同組織が、「製薬業界における、アクセスを重視した認可への中心的な牽引役」として存在してきたと述べている。

ATMインデックスは、トップ20までの地位にある開発系製薬企業が、どれだけ低所得国および中所得国において医薬品をよりアクセスしやすくするために努力を行ったかを評価している。特許および認可 Patent and licensing は、ランキングを決定するための審査の対象となる7つの領域のうちの一つである。ギリアド・サイエンシズ社、グラクソ・スミスクライン株式会社GlaxoSmithKline、ブリストル・マイヤーズ・スクイブBristol-Myers Squibb、そしてメルク株式会社Merck & Co.やアッヴィ AbbVieは、「医薬品特許プールを活用して、途上国における治療薬のアクセス拡大に貢献した」会社として認識されている。 

MPPの事務局長であるグレッグ ペリー氏Mr. Greg Perryは、「私たちは、『医薬品特許プール』のライセンスが、低所得国・中所得国の人々の医薬品アクセスを最大化するために持っている高い基準に注目していることを歓迎します。我々のパートナーとなっている製薬会社が、開発途上国における医薬品へのアクセスの方針を改善しようと取り組んでいることに心より祝福を表したいと思います」と続けた。

ATMインデックスは報告書において、こうした製薬企業が「医薬品アクセス拡大のための取組を改善しており、また、多くの企業が現在、より詳細な医薬品アクセス拡大戦略を有している」ことを評価している。さらなる改善の余地はあるものの、ATMインデックスは関連企業が、知的財産管理において、より医薬品アクセス重視のアプローチの採用に踏み出していることを強調した。ATMインデックスの報告書作成に当たった専門家は、「認可することで競争が進み、価格低下や供給が促進される」と述べている。さらに、「アクセスに重要なインパクトをもたらすためには、認可は特例であってはならないし、透明でアクセスしやすい条件で行われなければならない」と述べた。

最後に報告書は、より多くのHIV/AIDS治療薬の製造を行っている製薬会社が、自主的な認可によって、2014年よりも製造が拡大すること、さらに「医薬品特許プール」がエイズに続く第2の疾患として取り上げるC型肝炎についても、製薬企業が自発的に許認可の供与に踏み切りつつある、と述べている。医薬品特許プールは、これまでに、アッヴィ合同会社、ブリストル-マイヤーズ・スクイブ、ギリアド・サイエンシズ、アメリカとカナダのメルク株式会社MSD、アメリカ国立衛生研究所、ヴィーブヘルスケア株式会社、そしてグラクソ・スミスクライン株式会社、ファイザー製薬、およびシオノギ製薬が特許を有する12の抗レトロウイルス薬および一つのC型肝炎ウイルス薬について、これらの企業と協定を結んで、途上国向けの治療薬を製造するジェネリック薬企業へのライセンスの供与に踏み切っている。

●原題:Access to Medicine Index 2016 Published Today with High Marks for Companies that License to the Medicines Patent Pool (MPP)
●出典:the Medicines Patent Pool
●日付:2016/11/14
●URL:  http://www.medicinespatentpool.org

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(インド)ピアサポートを受けていないゲイ男性の52%が暴力を受けている
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【2016年10月21日】インド・タミル・ナードゥ州にある大都市チェンナイのホテルで働いているアジス(匿名)は、これまでの22年間の生涯の中でずっと、同性愛者であることを隠して生きていかなければならなかった。アジスは、タミル・ナードゥ州の「カンバン」という小さな村出身である。両親と妹は、アジスの性的指向に気づいていた。アジスはゲイであることを公にすることで、カンバンで差別や暴力を受けることを恐れている。だが、チェンナイでは、同性愛者のコミュニティ団体の活動(COs)のおかげで、アジスは自分の性的指向をひた隠しする必要があまりない。

インドの保健に取り組むNGO、スワスティ保健資料センターSwasti Health Resource Centreは、インドの5つの州に住む8549人からアンケートを取り、アジスのような人々がどのような経験をしているかを、データで公表した。これによると、なんらかの暴力の被害に遭うゲイ男性の半数以上は、未だに両親と同居しており、性的指向を公にしていない。回答者のうち、14%は感情的な暴力、8.9%は性的暴力、9%は身体的暴力を受けたことがあることが明らかとなった。多くの場合、加害者は面識のない者、顧客(セックス・ワーカーの場合)や犯罪者である。対照的に、交際期間の短い、もしくは長いパートナーと同棲している男性が暴力に直面するのはわずかであった。

インドが国連のHIV/AIDSハイレベル会合に提出した報告書によると、インドには、性的指向が同性に向く男性が推定310万いる。また、別の報告書では、インドのゲイ男性のうち、14.5%がHIV陽性であるという。同性愛を犯罪とする法律は、同性愛者である男性が性感染症(STIs)の治療を受ける障壁となっており、命に関わることもありうる。同性間の性行為は、2009年デリー高等裁判所によって処罰の対象外とされたが、2013年最高裁判所によってまた犯罪の枠に戻された。2016年10月5日に承認された2014年HIV/エイズ(予防と管理)法案は、法律上の不調和を解決するものではなく、現行法が事態を改善すると期待できそうにない。

なお、暴力の被害に遭った場合、男性は身体的暴力であると通報しないことが最も多い(41.3%)。チェンナイでは、コミュニティ団体を介して暴力被害からの保護を警察に求める方が、個人的に要請するよりも容易である、とアジスは述べた。調査では、回答者のうち6482人(75%)は、コミュニティ団体に登録しており、セックス・ワークに従事する者も含めて、コミュニティ団体はゲイ男性にとって強力なサポートを提供していることが示された。

●原題:52% Of Gay Men Without Peer Support Suffer Violence 
●出典:IndiaSpend
●日付:2016/10/21
●URL:http://www.indiaspend.com/cover-story/52-of-gay-men-without-peer-support-suffer-violence-65005

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グローバルファンド、主要業績指標で高い評価
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【2016年11月18日】グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の理事会に提出された主要業績指標 KPI に関する中間報告書によれば、グローバルファンドThe Global Fund は、2012年から2016年までの間の感染者数予防目標を大幅に上回る達成を示したとのことである。それはグローバルファンドが目標としている10分野のうち1つである。一方、実績評価尺度のうちの4つは、目標に達していない。

一方で、グローバルファンドの資金拠出目標は達成出来ないだろうし、事務局が人権に関する苦情申し立てを把握し、解決する件数についても、達成はできないだろう。抗レトロウイルス薬の提供を受けているHIV陽性の女性の数(2015年にHIV母子感染を減らすためにHIV陽性の妊婦の76%に抗レトロウイルス薬を提供)も、結核の治療を受けながら抗レトロウイルス薬の提供を受けているHIV陽性の結核患者数(2015年末で80%)も、共に90%というグローバルファンドの目標設定を下回っている。グローバルファンドには、保健システム強化 Health System Strengthening の度合を評価するために設定した実績指標を各国が満たしているかどうか判定するための十分なデータもない。

達成出来た目標の中で際立っているのが、救われた人命の数と防がれた感染者数を測定する主要実績指標1である。2012年から2016年の間に1千万の人命を救うのが目標だったが、プロジェクトは成功裏に進み、結果的にグローバルファンドは、期限まで1年を残す2015年までに、850万人の人命を救った。また2012年から2015年までの間にHIVへの新規感染を1億4千万件減らすのが目標だったが、現在までで目標を上回る1億4600万件を減らしている。

マラリアへの感染者数の減少に関しても著しい成果を挙げた。感染者数は2006年から2010年の間に年に3%ずつ、2011年から2015年の間に年に4%ずつ減っている。

グローバルファンドは資金を基準値とした主要実績指標に関しても好実績を収めている。その購買力を利用して幾つかの特定の消費財に費やす費用を2016年に7%削減する目論見だったが、結果的には半期で12.5%、6千400万米ドルの節約となった。これで2016年の主要業績指標は2015年のマイナス分を埋め合わせるだろう。

●原題:KPI Results for 2014-2016 Show Mostly Strong Results.
●出典: Independent Observer of the Global Fund  
●日付: 2016/11/18
●URL: http://aidspan.org/gfo_article/kpi-results-2014-2016-show-mostly-strong-results

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分野4 グローバルファンド次期事務局長選出のプロセス開始
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【2016年11月17日】グローバルファンドの理事会は、現事務局長のマーク・ダイブル医師Dr. Mark Dybulが2017年5月31日で退任するのに伴い、正式に次期事務局長の募集活動を開始した。

理事会は2017年2月28日〜3月1日に行われる理事会の特別会議 retreatで新事務局長を選出する見込みだ。

理事会の下部機関である「倫理・ガバナンス委員会」ECGは2016年9月に、事務局長指名委員会の組織と権限(TOR)、理事会の意思決定プロセス、TORと新事務局長選の基準に関して、各理事とともにコンサルティングを行った。更に人材紹介会社のラッセル・レイノルズ・アソシエイツRussell Reynolds Associatesを事務局長選出プロセスの管理に任命し、指名委員会の権限を承認し、そして、正式に指名の呼びかけが行われた。

ECGは、これまでのの事務局長選のTORに、「事務局長は出張による不在中を含め通年でスムーズな任務遂行を保証するため、副事務局長を指名する」という条項を追加して、新しいTORを決定した。指名委員会の委員長には、欧州委員会選出理事のヤン・パエラ Jan Paehler 氏が選出され、そのほか6名が理事会で指名された。更に、結核の国連特別代表を務める米国のエリック・グースビー氏 Eric Goosby と、クリントン財団クリントン保健アクセス・イニシアティブの副会長であるプー・ケネイロエ・ラマトラペン氏 Mphu Keneiloe Ramatlapengの2名が理事会とは独立して任命された。

選出までのスケジュールは厳しく、応募締め切りは2016年12月5日。これから2〜3週間かけてインターネットなどを通じて求人の宣伝を行ったりして最適な候補者を発掘する。12月5日以降は応募者の評価や総合的なレビューを行い、指名委員会が12月中旬までにレビュー用の候補者の長いリストを作成する。指名委員会は12月末に理事会へ中間報告を提出する。

面接や心理試験が2017年1月に行われ、指名委員会は4人まで候補者を絞り込む。そして、2月第2週までに理事会へ報告する。絞り込まれた候補者は理事会退任会で議論され、面接が行われる。最終決定は2017年3月1日に行われる見込みである。

前回との相違点は、最終的に絞り込んだ候補者に女性を含める規定がないことである。ダイブル氏が選出された2012年の時は4人中2名は女性であることが前提条件だった。

●原題: Process Launched for Recruitment of Next E.D.
●出典:Aidspan
●日付:2016年11月18日
●URL: http://aidspan.org/gfo_article/process-launched-recruitment-next-ed

<地域別記事(アフリカ)>

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地域1:(ウガンダ)HIVの増加 ―薬剤の引き起こした矛盾か?
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【2016年11月27日カンパラ(ウガンダ)発】東アフリカの内陸国ウガンダでの最近のHIV/AIDS統計では、HIV感染が拡大している。これについて専門家は、抗レトロウイルス薬 ARVへのアクセスが拡大したことによって、人々が医薬品のアドヒアランスを遵守しなくなったこと、適切な予防メッセージが減っていることが原因ではないかと述べている。

ウガンダは、ARVsにより母子感染の68%を減らすことができたが、そこで満足してしまい、更なる(HIVの)拡大の原因にもなったと専門家は主張する。一方で、すでに治療中だが処方通りのアドヒアランスを遵守できない人もおり、二次的な問題(薬剤耐性や新規感染)を招くという。

HIVにワクチンはないが、血液内のHIV量 viral loadを抑制する薬剤が発見された。きちんとした服薬を行えば、ウイルスを検出限界以下まで減らすことができる。ウイルス量が低い時、HIV陽性者は体調を崩すことなく普通に活動でき、また他人へ感染も減少させることができる。

 「しかしこれは完治とは違う。ウイルスはリンパに逃げ込み、長年潜伏して少しずつ変異する。ARVsを止めると、ABCだったものが変異してXYZとして出てくるためとても危険だ。そのときにはもう初期に使用した治療薬は効果がなく薬剤耐性となる」と、ウガンダのHIV専門家アレックス・アリオ博士Dr Alex Arioは言う。

ウイルスは急速に増加し、他人に感染させる恐れが再び高くなっていると医師は説明する。「アドヒアランスとは、薬を毎日服用するだけでなく、同じ時間に服用することでもある」と、医療サービス調整役のメアリー・キコンコ博士 Dr Mary Kiconcoはいう。

260万人近くのウガンダ人がHIVに感染しているが、治療を受けているのは100万人に満たない。治療を受けていない人は頻繁に病気を発病するため疑いをかけられやすく、簡単にエイズだと特定することができる。一方、投薬を受けている人は健康であり、疑われることもない。

ウガンダは、1980年代に30%だったHIV蔓延率を1990年代に18%、2006年にさらに6.4%まで落とし、世界で一番の成功事例として賞賛された。しかし、今日、蔓延率は7.3%と上昇傾向にある。何がよくなかったのか。

 「昔は、HIVに関するメッセージは非常に強く精力的に行われていた。その頃はHIV陽性者が悲惨に見えたため禁欲など予防方法を伝えることは容易だったが、今は薬の効果で、誰が陽性か否かを判断できないため、ARVsは感染拡大を招いた」と、ウガンダのHIVに取り組むNGOリーチ・アウト・ンブヤ Reach Out Mbuyaのカウンセラであるフローレンス・アウォール氏 Florence Aworは述べる。彼女は、それが矛盾だと認めた。

東アフリカの日刊紙「イーストアフリカン」The East Africanは、カップルが、ステータスを偽ったり、ステータスを隠すため職場などへ薬を保管したり、薬の容器を、完治できる病気のものに変えるなどして、パートナーの目からARVsを隠すという。

治療を続けているパートナーは健康そうに見え、真実を知らない他方のパートナーへHIV感染という損害をもたらす。この事態は、ウガンダが国際的な感染症を止めるために2014年にエイズ対策法を採択した理由の一つである。

●原題: Uganda: HIV Rise - Is It a Drugs Paradox?
●出典: All Africa (The Monitor)
●日付:2016/11/27 
●URL: http://allafrica.com/stories/201611290134.html

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地域2:(ナミビア)HIVの母子感染への理解
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【2016年11月23日ウィントフック(ナミビア)発】南部アフリカの西部に位置する国ナミビアに住むマリーは、自分が初めて妊娠していると知った時、最大の心配は子どもの父親にどうやって伝えるかと、子どもが生まれた後どうやって世話をするかだった。しかし、彼女がHIV陽性だと知らされた時、それまでの彼女の心配事は、彼女と子どもがHIV感染という「死刑宣告」を受けたことに比べたら些細なことだった、とナミビアの新聞「ナミビアン」The Namibian に語った。

 「私は、自分が病気で死ぬかもしれないというだけではなく、私の子どもも死んでしまうかもしれないというショックに呆然とした。その時、私は看護師の話をそれ以上聞くことができなかった」と彼女はいう。

マリーは看護師が、子どもがHIVなしで生まれて来ることができる可能性があるというわずかな希望を彼女に伝えたとき、どうにか気を取り直した。 「それは希望の声だった。私はどのようにそれが可能なのかを聞いたが、本当に知りたかった訳ではなく、ただ子どもを救える方法があると聞き単純に嬉しかった」と彼女は微笑み言った。

ナミビアの国連人口基金 the United Nations Population Fund (Unfpa)の責任者であるデニア・ガイレ氏 Dennia Gayleによると、HIVの母子感染とは、妊娠中・出産時または授乳時母乳を通してHIVに感染した女性から彼女の子どもへのHIV拡大のことをいう。

 「治療なしの場合、母子感染率は15~45%。しかし抗レトロウイルス治療 antiretroviral treatment (ART)やその他の予防介入により、このリスクは5%以下まで下げることができる」

 「介入は主に、母親へのARTと乳児への抗レトロウイルス薬 antiretroviral drugs (ARVs)の短期投与、母親へのカウンセリングや心理的サポートがある」とガイレ氏はいう。

 「ナミビアが母子感染予防組織的かつ戦略的に行ったことで、最近の報告ではナミビアの母子感染率は4%まで下がり、政府が宣言した2025年までに母子感染を根絶するという可能性に近づいた」と彼女はいう。

 現在の世界保健機関The World Health Organisationのガイドラインは2つの介入を推奨している。まず一つ目は、CD4数や臨床段階に関係なくすべてのHIV―AIDS陽性妊婦と授乳婦に対してARTを提供することである。

二つ目に、危険性がある期間のHIV―AIDS陽性妊婦と授乳婦へのARVsの提供と、彼女たち自身の健康のためにARTを継続することで、新規の子どもへの感染をなくすために邁進し、母親を生き永らえさせることである。これはすべての女性に対して母子感染予防介入を提供できるよう徹底することで達成できると、世界保健機関の報告は明らかにした。

◆現在の世界的目標は、2つの標的がある。
―新規の子どもの感染を90%減少させること。
―HIVに関連した妊産婦の死亡を50%減少させること。

ガイレ氏は、これは、HIV―AIDSに関する俗説について話し合い、お互いに真実を教えあうことによる母親への啓蒙によって可能であるという。

◆薬はどのようにHIVの母子感染を予防するのか

HIV薬は、体内のHIV量を減らすためにHIVの増殖を防ぐ薬である。これにより、体内のHIV量を減らすことで、妊娠中や出産中に女性が子どもにHIVを移すリスクを減少させる。また体内にHIVが少ないということは、女性の健康を守ることにもなる。いつくかのHIV薬は胎盤を通して母親から胎児に移行する。このHIV薬の移行は、乳児が産道を通るときに、母親の血液や体液などによりHIVに被曝した際にHIV感染から胎児を守る。出産時のHIV感染の危険性を減らすため、帝王切開をすることもある。生まれた子どもは、HIV薬を産後4〜6週間受け取る。その薬は出産時に乳児の体に侵入したかもしれないHIVによる感染の危険性を減少させる。

●原題: Namibia: Understanding Mother-to-Child HIV Transmission
●出典: All Africa (The Namibian)
●日付:2016/11/23
●URL: http://allafrica.com/stories/201611231053.html

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地域3 南アフリカ共和国、HIVワクチンの試みが始まる
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【2016年11月28日】南アフリカ共和国ではHIV感染を予防するためのワクチン接種の臨床試験が始まった。米国立衛生研究所National Institute of Health(NIH)の声明によると、HVTN702というこのワクチン接種の臨床試験は、700万人ものHIV陽性者がいる南アフリカ共和国で実施され、大規模かつ最も進んだワクチンの臨床試験であるという。
NIHの傘下である米国立アレルギー・感染症研究所National Institute of Allergy and Infectious Diseases(NIAID)のアンソニー・フォーシ所長Anthony S. Fauciは、「この臨床試験は、米軍HIV研究プログラムU.S. Military HIV Research Programとタイ保健省Thai Ministry of Healthが共同してタイで実施した臨床試験「RV144」に基づいている。

HVTN702ワクチンは、HIV感染が最も拡大している南部アフリカで優勢なサブタイプに対応している」と話している。

この臨床試験には、1日に1000人以上が感染しているとされる南アフリカ共和国の15か所において、18歳からから35歳の男女5400人が参加する見込みである。

フォーシ所長は、「安全で効果的なワクチンが、現在実績のあるHIV予防法と同時に採用されたならば、HIV感染拡大にとどめを刺すことになるだろう。たとえ効果がそれほど高くなくても、高い感染率がつづく南アフリカ共和国のような国や地域でHIVによる負担を軽減することになるだろう」と話す。

2009年にタイで行われた臨床試験で初めてワクチンの有効性が証明された。結果が公表されて以降、研究者はデータを詳細に検証してきた。しかし、ワクチンの有効率は31%しかなく、これは市場に出すには十分ではないが、研究者を満足させる値であった。

新しい臨床試験では、より多くの人々に持続的な予防効果が出ることが期待されている。南アフリカ医療研究委員会South African Medical Research Councilのグレンダ・グレイ委員長Glenda Grayは、「HIVは南アフリカ共和国に大きな犠牲を強いてきたが、いま、我々の国にとって恩恵をもたらすかもしれない科学的探究が始まった。もしワクチンが有効に機能したら、状況は劇的に変わるだろう」と話している。

被験ボランティアは、無作為に治験ワクチンまたは薬効成分を含まないプラシーボのどちらかを受けることになる。第一回目の治験は10月26日に開始され、臨床試験の結果は2020年にわかる予定である。

●原題:South Africa: HIV Vaccine Trial to Begin
●出典:allAfrica
●日付:2016/11/28
●URL:http://allafrica.com/stories/201611280919.html


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地域4 ナイジェリア、25パーセント以上の新たな子どものHIV感染
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【2016年11月25日 ラゴス(ナイジェリア)発】西アフリカに位置するナイジェリアは、世界で新たにHIVに感染する子どもの4分の1以上を占めているが、一方、妊婦の半数しかHIV検査を受けていない。

11月24日に発行された国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書「ファーストトラックに乗る:HIVに対するライフサイクル・アプローチGet on the Fast Track: The Life-cycle Approach to HIV」ではHIV検査が依然として課題であると指摘している。

報告書によると、HIV母子感染予防のための治療へのアクセスは、2010年の50%から2015年に77%まで増加した。その結果として子どもの新規感染が2010年以降、51%減少したという。

また、2015年に新たにHIVに感染した子ども15万人のうち、およそ半数が母乳を介して感染したと報告している。
母乳による感染は、HIV陽性の母親が継続して抗レトロウイルス薬を服用するための支援を受けることでかなりの程度、避けることができる。服用することで母親は安全に母乳を与えることができ、乳児は母乳から高い予防効果を得ることができる。

さらに報告書では、妊婦のHIV検査の拡大と感染した子どもへの治療の拡大、最新診断ツールによる新生児の早期診断を改善・拡大すること、そして携帯電話のショート・メッセージ・サービス(SMS)のような革新的手段でHIV陽性の母親と子どものケアを継続して確保することなどに向けてより一層の努力が必要だと強調している。

子どもや青少年、若い女性の新規感染を減らし、HIVに感染した場合には生涯にわたり抗レトロウイルス治療を受けられるようにするために、UNAIDSと米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)が提唱する「スタートフリー、ステイフリー、エイズフリーStart Free, Stay Free, AIDS Free」目標の採用を各国に促している。

報告書によると、2016年の1月から6月のわずか半年で100万人が新たに治療を受けられるようになった。2016年6月までに、91万人の子どもを含むおよそ1820万人(1610万人〜1900万人)が治療にアクセスし、5年早く倍増したと報告している。

●原題:Nigeria Accounts for Over 25 Percent of New HIV Child Infections
●出典:allAfrica
●日付:2016/11/25
●URL:http://allafrica.com/stories/201611250459.html 


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編集後記
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早いもので、もう年末ですね。今号が今年最後の「グローバル・エイズ・アップデート」となります。皆さま、良いお年をお過ごしください。来年またお会いしましょう!(GAU編集長 MI)

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★メールマガジンご案内
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★HIV/AIDS問題は、現代世界における保健医療上の最大の課題の一つです。しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。

★このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語に要約し、隔週で発行しています。また、発行後すぐにブログにも更新。過去記事をカテゴリーごとに確認したい方はこちらからどうぞ。

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    IOMは世界的な人の移動(移住)の問題に取り組む国際機関です。IOMが世界各地で実施している、人身取引対策や人道復興支援などの活動紹介を現地からのレポートを織り交ぜてお送りします。

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AJF

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(特活)アフリカ日本協議会は、アフリカの人々の地域自立の支援、アフリカの人々との対等なパートナーシップの構築、アフリカに関わる人々のネットワークの形成、アフリカ理解の促進とアフリカの自立支援のための政策提言などを行っています。

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