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(GAU288号)薬物とHIV:ベラルーシ共和国は積極的

発行日:12/26


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★「第288号」目次
●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
(UNAIDS) 各国でエイズ治療へのアクセスを拡大=UNAIDS年次報告
(ベラルーシ) 2016年からエイズ対策を自国資金にシフト
(MSF) 米国FDAの「顧みられない病気」の医薬品開発促進スキームにNGOが提言
(バングラデシュ) 第12回アジア太平洋地域エイズ国際会議が延期
●アフリカの地域別記事
(ナイジェリア) HIV/エイズ用の新検査器登場
(アフリカ) AIDSが10代の主要死因に - UNICEF
(エチオピア) 母子感染の終息に向けて
(ジンバブウェ)15歳の生徒へのコンドーム供給について激論

------------------------------------ Vol. 11 No. 34 ---

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
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http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。

<対策・課題別・地域別(アフリカ以外)記事>
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(UNAIDS)各国でエイズ治療へのアクセスを拡大=UNAIDS年次報告
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【2015年11月24日 ジュネーブ(スイス)発】 12月1日の世界エイズデーを前に、国連合同エイズ計画UNAIDSは新たな報告書を公表した。報告書のタイトルは、「地域と集団の絞り込み:2030年までにエイズを終息させるためのファスト・トラック」(Focus on location and population: on the Fast-Track to end AIDS by 2030)。報告書では、「持続可能な開発目標」SDGsのひとつである、2030年までにエイズの流行を終息させるという目標に向け、各国が優先順位の高いプログラムを迅速に行う「ファスト・トラック・アプローチ」に取り組んでいることを紹介している。報告書のURLは以下の通り。

タイトル: Focus on location and population: on the Fast-Track to end AIDS by 2030
(地域と集団の絞り込み:2030年までにエイズを終息させるためのファスト・トラック)
http://www.unaids.org/en/resources/documents/2015/FocusLocationPopulation

ここ15年間のHIV対策には、驚くべき進展があった。UNAIDSの推計では、抗レトロウイルス治療ARTを受けている人は2005年には220万人だったが、2010年には750万人、そして2015年6月には1,580万人に達している。また2014年末のHIV新規感染者数は、ピーク時の2000年に比べ35%減少し、エイズ関連死亡者数はピーク時の2004年から42%減少した。

ARTは、HIV陽性者がより健康的に長生きするという、彼らの人生が一変するような効能をもたらすが、それはつまりHIV陽性者が増えるということでもある。UNAIDSの推計では、2014年末時点でHIV陽性者が3,690万人に達した。HIV陽性と診断されたら、直ちに抗レトロウイルス治療を受けられるようにする必要がある。

エイズの流行を終息させるには、より的確なデータを用いながら、新しくHIV感染が進む最も深刻な地域、集団を発見し、彼らにサービスを提供すべく、対策を絞り込んで迅速に行うことが求められる。そこでこの報告書では、HIVの包括的な予防と治療へのアクセスを拡大するため、革新的なアプローチを行っている国や地域の例を50以上紹介している。詳細なデータをしっかりと活用することで、各国はHIVの新規感染がどこで起こっているのか、サービスを最も必要としている人がどこにいるのかを把握し、よりきめ細かい対策をすることができる。

また、報告書の中では、世界のHIV新規感染の90%を占める35ヵ国を、「ファスト・トラック・アプローチ」を行うべき国として取り上げている。地域、集団、プログラムの絞り込みは、多大な成果につながる最大の効果を生み出す。その成果とは、例えば、2030年までに2,100万人のエイズ関連死を防ぎ、2,800万人のHIV新規感染と590万人の子どものHIV新規感染を予防する、といったことである。

エイズの影響を最も受けているコミュニティや都市、国で、強力なリーダーシップと積極的な投資のもと「ファスト・トラック・アプローチ」を実施すれば、エイズの流行を2030年までに終息させることが可能になるだろう。

●原題:Countries adopt UNAIDS Fast-Track Strategy to double number of people on life-saving HIV treatment by 2020
●出典: UNAIDS
●日付:2015/11/24
●URL: http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2015/november/20151124_LocationPopulation

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(ベラルーシ)2016年からエイズ対策を自国資金にシフト
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【2015年9月29日】 東ヨーロッパのベラルーシ共和国では、途上国のエイズ・結核・マラリア問題に資金を拠出する「グローバル・ファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)によって、今後3年間は資金供与を受けるものの、その後はすべての予防プログラムを自国資金で賄うようにするための移行プロセスが既に開始されている。

グローバル・ファンドの支援により、ベラルーシで最初の「オピオイド代替療法」Opioid Substitution Treatment (OST:編集部注)が2005年に計画され、ベラルーシのホメリ州にある薬物治療クリニックが計画に賛同して、最初のパイロット・プロジェクトを開始した。保健省の専門家が2年間、この事業の評価を行ったが、これは「生活の質」quality of lifeの評価だった。OSTを受けた患者では、受けない患者と比較すると、その後投獄される割合imprisonment rateが大幅に減少したことが判明した。

このオピオイド代替療法について、ベラルーシでは、2013年に2度目の評価が行われた。この時はプログラムの社会経済的効果を見るものであり、薬物治療の専門医のみならず経済学者も関与した。そして、プログラムが実際に有効であることが分かったので、今日では全国19施設でOSTを実施している。2015年前半に、1,083人の患者を治療した。

オピオイド代替療法に使われる、ヘロインと同じくオピオイド系薬物の一種であるメタドンmethadone(商品名:メサペイン)は、2018年まではグローバル・ファンドの資金で調達されるが、2019年からは自国予算から割り当てられる。注射針/注射器については、2004年からこれまで、グローバル・ファンドが100%支援してきたが、今後はすべての新規プロジェクトで地方自治体と政府の医療機関が基本的に負担する。2016年初頭からすべてのプログラムが徐々に自治体予算で賄われるようになる計画だ。

抗レトロウイルス薬ARVの調達は、主に、グローバル・ファンド経費で賄われる。政府予算による最初の購入は2012年12月だった。2014年に政府は、HIV感染症治療薬の製薬会社を設立したが、その薬は、グローバル・ファンドによって調達されたものよりも高かった。そこで、当座は、国内製を優先するものの、国際調達メカニズムを使用して調達することとした。すなわち、ARVは、国内製は政府予算から支弁され、海外製はグローバル・ファンドの資金で調達される。このことは、国が調達する薬剤リストは徐々に増加していき、グローバル・ファンドはARV調達費用を削減していく。ついには、全額、国が負担するようになる。

グローバル・ファンドは2016年ないし2018年までは資金供与を続ける。そして、2016年から2020年まで、国のHIV感染予防プログラムは、ハーム・リダクション(健康被害軽減)プログラムのためのグローバル・ファンド資金を徐々に減少させ、政府資金による割合を増加させて、2019年には完全に移行される。

ベラルーシ共和国は、OSTプログラムを拡大していきたいという意向を持っている。ヘロインなどオピオイド系薬物の使用者数は推計18,450人であるが、現在、その約5%だけがOST治療を受けている。2018年末までにこの値を26%に拡大していきたい。野心的な目標値ではあるが、来年の初めには薬物依存に移行する高いリスクのある都市部の薬物使用者数を把握する予定である。そうすれば、オピオイド系薬物使用者数を正確に把握することができる。

(編集部注:オピオイド代替療法=オピオイド系薬物の中で最も身体への有害性が強いヘロインに依存する薬物使用者に関して、より有害性が低くヘロインの禁断症状を緩和するメタドンなど別のオピオイド系薬品を投与することで、健康被害を軽減する療法。)

●原題: Beginning in 2016 all programs will gradually transition to funding from local budgets
●出典: Eurasian Harm Reduction Network
●日付: 2015/09/25
●URL: http://www.harm-reduction.org/blog/ludmila-trukhan-%C2%ABbeginning-2016-all-programs-will-gradually-transition-funding-local-budgets%C2%BB

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(MSF)米国FDAの「顧みられない病気」の医薬品開発促進スキームにNGOが提言
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【2015年11月19日 アメリカ発】 去る11月17日、国境なき医師団 Médecins Sans Frontières (MSF)を含む医療関係機関7団体は、米上院の「健康、教育、労働および年金に関する委員会」HELPに書簡を送り、米国食品医薬品局FDAの「顧みられない病気」neglected diseases(編集部注)のための「優先審査票」Priority Review Voucher (PRV)プログラムに内在する重大な欠陥を修正するよう求めた。

FDAのPRVは、顧みられない病気の研究に投資する企業を優遇するものだ。プログラムでは、製薬会社が特定の顧みられない病気を治療するために製品としてきちんと登録すれば、審査票が発行され、その製品もしくは薬剤はFDAの難しい薬剤審査プロセスを優先して受けることになっている。

この審査票は、他の機関に無料もしくは有料で使用させてもよく、FDAにおよそ6ヵ月以内の判定を促すものである。これまで、顧みられない病気に関するPRVが3件、稀な小児疾患に関するPRVが5件認定された。このうち4件の審査票が価値を高めて販売され、最近では2015年8月に3億5千万ドルで(その権利が)転売されている。

この優遇措置制度は、明らかに、最終製品が高額なものになることを許すものであるにもかかわらず、プログラムはこれまで、顧みられない病気のための医薬品が適切に認定されているかどうか、また、それらを早急に必要としている患者や医療従事者にアクセス可能となっているかどうかを確認することについて、十分に対応していない。これは顧みられない病気のためのPRVプログラムの認定プロセスに2つの重大な欠陥があるためだ。すなわち、PRVプログラムには新規性がなければならない。顧みられない病気のためのPRVは認定された企業によって新しい研究開発投資がなされない場合でも認定されており、顧みられない病気のために何ら新規性がない場合でも認定されている。

PRVプログラムは、受付時の確認手法を明確にする必要がある。顧みられない病気のPRVプログラムには、患者、政府、医療従事者が、PRVに認定される製品に対する合理的で適切なアクセスを確保する仕組みがない。その結果、顧みられない病気のためのPRV3件のうち2件は既に他の国で長い間使用中の医薬品に与られており、いくつかのPRVケースでは、早急に必要としている患者や医療従事者にとって手の届かない高額なものになっている。

現在、米上院では、バイオメディカル研究開発法案を提出する準備が進行しており、このプログラムの修正がなされる見込みだ。

(編集部注)「顧みられない病気」neglected diseasesは、「顧みられない熱帯病」neglected tropical diseasesに対して、MSFなどが、広義で用いる用語。途上国では、先進国では滅多に発病しない疾患が多発するが、大多数の患者が貧困層であるために、製薬会社にとって採算の合う市場とはならない。したがって製薬会社は、これらの病気の治療薬の研究開発に投資することに消極的である。

●原題: Health Groups Ask Senate for Changes to FDA Priority Review Voucher Program for Neglected Diseases
●出典: Médecins Sans Frontières (MSF)
●日付: 2015/11/19
●URL: http://www.doctorswithoutborders.org/article/health-groups-ask-senate-changes-fda-priority-review-voucher-program-neglected-diseases

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(バングラデシュ)第12回アジア太平洋地域エイズ国際会議が延期
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【2015年11月13日 ダッカ(バングラデシュ)発】 アジア太平洋地域エイズ国際会議は、アジア・太平洋地域のHIV/AIDS問題について、2年に一回開催されている。2015年には、第12回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP12)がバングラデシュで開催される予定であったが、直前に延期が宣告された。同会議は、アジア太平洋地域におけるHIV/AIDS関連の最大のフォーラムで、エイズに関する意識向上、政策策定、動向発信など重要な働きをしている。

ICAAP12ウェブサイト http://www.icaap2015.org/ によると、「諸事情によりアジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP12)は延期する」とされていて、延期後の日付については言及されていない。

ICAAP12は、2015年11月20日から23日までの4日間、バングラデシュの首都ダッカにある「バングラデシュ国際カンファレンス・センター」で開催される予定であった。

シェイク・ハジナ首相Sheikh Hasinaは同センターでの会議に出席することを予定していた。また、本会議には26の国から大臣らが参加する予定であった。

バングラデシュの有名な映画俳優であるアナンタ・ジェリルAnanta Jalil氏がICAAP-12の特別大使となっている。

●原題: International Conference of ‘ICAAP-12’ Postponed in Dhaka
●出典 : Eibela dot Com
●日付: 2015/11/13
●URL: http://www.eibela.com/english/article/international-conference-of-'icaap-12'-postponed-in-dhaka

<地域別記事(アフリカ)>
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(ナイジェリア) HIV/エイズ用の新検査器登場
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【2015年11月25日】 先日、世界保健機関WHOがHIVと結核を命に関わる主要な病気に位置づけたことを受け、医療科学技術の大手企業であるメルク社Merckは、成人および子どものHIV/エイズの進行を監視するため、「ミューズ・オートCD4/CD4システム」Muse Auto CD4/CD4 Systemと呼ばれる革新的な機器を西アフリカのナイジェリアの医薬品・医療機器市場に投入した。

ミューズ・オートCD4/CD4システムは、成人や子どもの体内のT細胞を迅速、簡単、かつ正確に監視できるものであり、低価格で、持ち運びやすく、最小限の訓練で操作できるように設計されているので、医療機関が遠方の地域に住む患者に対応するのに最適な解決策となる。

製品の発売直前に出された国連合同エイズ計画UNAIDSの2014年報告書によると、世界の3,500万人以上のHIV陽性者のうち2,500万人がアフリカに住む人々で占められており、そのうち1,900万人しか、自分がHIVに感染していることを把握していないという。ナイジェリアなどの発展途上国の多くの患者、特に農村地域に住む患者は、定期的に医療機関で受診することが難しい。患者の住む村から最寄りの医療機関までの物理的距離の遠さが治療の障壁となっているのだ。

メルク社のライフサイエンス事業Merck's Life Science Businessのウディット・バトラUdit Batra社長兼最高経営責任者はマスコミに対する製品発表の際、「ライフサイエンス分野の牽引役として、弊社は最も革新的で、最高品質の製品とサービスを提供し、世界中の人々の日々の健康と生活の向上を目指す」と述べ、「この製品の発売を通して、弊社はナイジェリアの医療関係者が患者の医療ニーズにより効率的に対応し、HIV/エイズの治療および予防に向かって前進できるようにしていく」と話した。

メルク社は東の隣国、カメルーンのヤウンデ大学University of Yaoundeと提携し、ハーバード大学特別研究員であり、カメルーン保健省のフランソワ・グザヴィエ・ンボピ・コウ教授François-Xavier Mbopi-Keouの主導の下、製品の臨床試験を行った。そこでは、製品がHIVウイルスの侵攻を正確に監視しているかどうかを検証し、成人および子どもの患者両方について予想通りの結果が示された。

ンボピ・コウ教授は、製品には患者のCD4 T細胞を容易に監視するためのユニークな分析、自動ゲートおよび収集ソフトウェアと小型の装置が組み合わせられていると指摘し、「使いやすいタッチパネル型インターフェースと直感的なソフトウェアが共に作動し、製品の操作や分析を単純化している」と言及した。

●原題: Nigeria: Novel HIV/Aids Monitoring Device Debuts
●出典: Vanguard
●日付: 2015/11/25
●URL: http://allafrica.com/stories/201511260534.html

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(アフリカ) AIDSが10代の主要死因に - UNICEF
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【2015年11月27日】 国際連合児童基金(ユニセフ)UNICEFは、子供や青年とAIDSに関する最新状況を発表した。その内容によれば、AIDSはアフリカの10代の主要死因であるという。

ユニセフ本部のHIV/AIDSプログラム担当であるクレイグ・マクルア氏Craig McClureが26日、南アフリカ共和国のジョハネスバーグで述べたところによると、HIV感染者の人口分布で、唯一、青年グループのみがAIDSによる死亡者数が減少していないという。HIV陽性の若者に対しては、治療やサポートにアクセスできるよう整備し、同時にHIVに感染していない若者にとっては、感染しないための知識や手段へのアクセスが不可欠である。

世界の全HIV陽性者の半数近くが、南アフリカ共和国、ナイジェリア、ケニア、インド、モザンビーク、そしてタンザニアの6カ国の住民である。世界的にも若者の死因で2番目に多いのがAIDSによるものである。これらの多くは、乳児期であった10〜15年前にHIVに感染したにもかかわらず、HIV陽性であることを知らないまま青年期に至っていたのである。

HIV感染が最も拡大しているサハラ以南のアフリカ諸国では、特に少女たちに感染が広がっている。この地域の15歳〜19歳のブループでは、新たな感染者の70%が少女たちであり、同グループ全体の感染率は10%以上に上る。2000年以降、主に母子感染の予防により、約130万人近くの子供の新規感染を防ぐことに成功したと言われている。

●原題: Unicef Says AIDS is Major Cause of Teen Death in Africa
●出典: Daily Trust
●日付: 2015/11/27
●URL: http://allafrica.com/stories/201511290040.html

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(エチオピア)母子感染の終息に向けて
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【2015年11月27日 アジスアベバ(エチオピア)発】 東アフリカに位置するエチオピアの保健省は2020年までにHIVの母子感染を終息させる計画案を発表して、新規HIV母子感染率を2%ないし0%まで減少させることを目的とした2016年から2020年の5年間の戦略計画を最終化した。保健省は、HIV陽性の母親から産まれた子どものHIV有病率が2015年の11%から、2016年に5%まで落ちることを期待している。

エチオピアでは、2001年からウイルスの母子感染を予防するサービスを提供している。現在では国内に3,000ある母子保健施設のうちの2,600ヵ所でサービスを提供しているが、多くの妊産婦はサービスにアクセスできないため、政府は母子感染予防にリプロダクティブ・ヘルスと母親、新生児、子どもの保健を加えたサービスを提供しようと考えている。

2012年、政府は上記計画の一つとして「オプションB+」を採用した。これでHIV陽性の妊婦がCD4数値に関係なく生涯にわたり治療を受けられるようになる。保健省の症例チームリーダーであるイェティムワーク・テクレ Yetimwork Tekle看護師によれば直近3年間で状況は大きく改善されたという。同氏は「抗レトロウイルス治療を受けるHIV陽性妊婦の割合は2015年に大きく増加した。サービスが必要なHIV陽性の母親約28,000人のうちの70%をカバーするまでになった」と述べる。これは母子感染予防率が42.9%だった2013年と比較すると劇的な変化である。

首都アジスアベバのある女性は、HIV陽性とわかってから5年間、このサービスを利用したおかげで2人の子どもはHIVに感染することなく暮らしている。「夫は子どもが欲しかったので妊娠をした。1年半にわたり病院が提供するプログラムに参加したおかげで生まれてきた息子は感染から免れることができた」と述べ、娘を産んだ時も同じく感染を防ぐことに成功している。

しかしながら、イェティムワーク氏はまだ問題があるという。「HIV陽性の母親を多く受け入れるようになったが、ウイルスに暴露した子どもを受け入れることにはならなかった。そこで、次の5年間は母親がHIV感染の状態を知らないで生まれた子どもたちを診断することだ」と述べる。イェティムワーク氏は新しいモニタリング評価技法である「母子コホート」mother child cohortが役に立つだろうと言う。これにより、保健サービス施設が2年間にわたり母親と子どもの両方を同時にフォローすることが可能となる。

UNAIDSによると、エチオピアを含む21の対策優先国における子どもの新規HIV感染は、2009年以来48%も減少した。イェティムワーク氏は、「これまで、予防対策は主に保健施設を中心として行われてきたが、今年は選んだ50郡からのコミュニティをパイロット活動に参加させようとしている。また、国内津津浦浦に派遣された保健エクステンション・ワーカー34,000人も草の根レベルで啓発を促し、母親や家族へのサービス提供に貢献できるよう期待されている」と述べる。これら一連の活動は、国が主導しているグランド・ルネッサンス・ダム・プロジェクトの様な主要インフラ・プロジェクトを含めた、比較的HIV感染者の多い地域を中心として展開していく。

●原題: How Ethiopia Will End Mother to Child Transmission of HIV
●出典: Key Correspondents
●日付: 2015/11/27
●URL: http://www.keycorrespondents.org/2015/11/27/how-ethiopia-will-end-mother-to-child-transmission-of-hiv/

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(ジンバブウェ)15歳の生徒へのコンドーム供給について激論
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【2015年11月29日 ハラレ(シンバブウェ)発】 南部アフリカの内陸国、ジンバブウェ政府は最近、「国連人口基金」United Nations Fund for Population Activities (UNFPA)と連携し、15歳の生徒に小さいサイズのコンドームを配布する取り組みを始めた。望まない妊娠や性感染症を回避する狙いだが、政府やその他関係者による今回の決定については、「子供たちに性交渉を勧めることになる」という非難の声が相次ぎ、同国で激しい論争を引き起こしている。

多くの親は、今回の決定は「非常識で本質的に恥ずべきこと」と非難する。HIVやエイズ関連の著書があるペトロス・ムゾンド氏Petros Muzondoは子供たちに必要なのは、神であり、コンドームではないと主張する。「大人でもHIVや性感染症に感染している。コンドームを使わずに性交渉をする者もいる。生徒たちにコンドームを配って問題解決になるとは全く思わない」と述べ、「大人でも性感染症にかかり、ポケットにコンドームを入れたまま死亡している。子供達に淫行を勧める必要は無く、こうした運動で混乱させるべきでない」と、指摘した。

「ジンバブウェ学生連合会議」Zimbabwe Congress of Students’ Union (ZICOSU)も、コンドーム配布運動の論理に疑問を示し、ジンバブウェの国民が、精神的な退廃により、聖書にある、淫行にふけり、異常な肉欲を追い求めたソドムとゴモラに陥る危険があると主張した。「間違った動きだ。ジンバブウェがソドムとゴムラにならないいよう希望する。18歳以上に対する方針はどこに行ったのか」と、声明で述べた。

一方、国会議員で保健委員会のルース・ラボード委員長Ruth Labodeは、同氏自身はコンドームの配布を知らなかったが、自分自身を性的に守るのに積極的なのは悪いことではないとし、批判する人は、現実的になり、10代の一部が性的に積極的であるのを認識すべきだと言う。

UNFPAの技術顧問、ビデア・デパース氏Bidia Deperthesは、15歳以上の10代の若者は、一部の若者が性的に活発になったことから、コンドームの配布について考慮が必要だと述べたとされる。

一方、ソーシャル・メディアに反応し、10代の若者には、コンドームでなく、教育など基本事項が必要だと言う人もおり見方は分かれている。ジンバブウェでの学校の状況は、コンドーム配布の動きを正当化するほど手に負えない状況ではなく、もし実現すれば暴発的な、制御不能な文化を作るだけだという。

統計では、15〜19歳のジンバブウェ女性の24.5%が結婚していて、10代の若者が性的に活発であることを示しており、15歳以上にコンドームを配布するのは有効だと見る人もいる。

●原題: Condoms for teens spark debate
●出典: The Standard
●日付: 2015/11/29
●URL: http://www.thestandard.co.zw/2015/11/29/condoms-for-teens-spark-debate/

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編集後記
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クリスマスおめでとうございます。今号が本年最終号です。ご愛読ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。すばらしい1年となりますようお祈りいたします。
よいお年をお迎えください。
(GAU担当 BS)

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