トップ > ニュース&情報 > 国際情勢 > グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

RSS

メルマガの登録・解除

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。

(GAU188号)米国下院、ハームリダクションへの連邦資金拠出に反対か

発行日:1/29

----------------------
★「第188号」目次
----------------------
地域情報

●アフリカ
ケニア:義務的なHIV検査を計画中
ザンビア:ホーム・ベースド・ケアの家族にとっての意味
ガンビア:若いHIV陽性青年がエイズ啓発のために全国を行脚
ナイジェリア:HIV感染を懸念する人のHIV感染率は低く、懸念しない人の感染率は高い
●知的財産権・医薬品アクセス
米国の市民グループ、カレトラ(リトナビル/ロピナビル)のアボット社による独占に反対するキャンペーンを開始
●国連・国際機関関係
UNAIDS技術支援機関、世界基金のCCMに関するワークショップ開催
●米国・カナダ
米国下院、ハーム・リダクション・プログラムへの連邦資金拠出に反対の意向
●東南・南アジア
インド・プネーの性感染症クリニックにおけるトランスジェンダー高いHIV感染率

------------------------------------ Vol.8 No.11----  

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

---------------------------------
★ケニア=義務的なHIV検査を計画中
---------------------------------

【2011年9月26日 ナイロビ発】アフリカ東部のケニアでは、マラリアや腸チフス、その他の病気で治療を受ける人々に対し、HIV検査を義務付けることが計画されている。

これまでHIV検査を義務付けられていたのは妊婦だけだったが、この計画では、HIV感染の有無がわかっていない子どもが何らかの病気で受診した際にもHIV検査が義務付けられるという。保健省におけるエイズ対策の担当部署である「国家エイズ・性感染症管理プログラム」 National AIDS and STI Control Programme (NASCOP) が発表した。

検査は義務的ではあるが、子どもに検査を行う場合は保護者にカウンセリングを行い、書面による同意を得ることになっているという。

NASCOPの責任者のピーター・チェルティッシュ博士 Peter Cherutich は、「この計画はHIV/エイズに対する総力戦となることが期待でき、HIV検査の義務付けが大きな利益をもたらすことは確かである。」との見解を述べた。

チェルティッシュ博士は、自発的カウンセリングと検査 Voluntary Counseling and Testing (VCT) が、VCTそのものに対するスティグマが原因で成功していないと説明し、今回計画されているHIVカウンセリングと検査HIV Counseling and Testing (HCT) はそのスティグマを軽減することが期待できると述べた。

チェルティッシュ博士はまた、「出産前検査の義務づけにより、HIV検査を受けた人のうちの65%を女性が占めているが、それは、HIV陽性者にダメージを与えるスティグマが大きな問題となっているからだ。」と述べ、国民に対して検査を受けに行くことでHIV/エイズとの闘いに協力するよう訴えた。

チェルティッシュ博士は検査を受けることについて、「新規感染を減らすと同時に、陰性(感染していない)とわかった人が予防行動を取るようになることにつながる。検査に行くことは、見境のない性行動をしたということを意味するものではない。生まれた時に母親から感染する可能性もあるからだ。検査を受けるということは、誰かを、特にあなたのパートナーを感染から守ることにもなるのだ。」と力説した。そして、「感染の末期状態になるまで検査を受けない人が多い。HTCキャンペーンがHIVの早期診断につながることを期待したい。」と述べた。

原題:Kenya: Compulsory HIV Testing Planned
出典:allAfrica.com
日付:2011/9/25
URL:http://allafrica.com/stories/201109260041.html

---------------------------------
★ホーム・ベースド・ケアの家族にとっての意味
---------------------------------

【2012年1月3日 ザンビア発】 当たり前のことだが、HIV陽性者はただ陽性者であるというだけではなく、家庭の中では、親だったり、兄弟・姉妹だったり、子どもだったりする。ホーム・ベースド・ケア Home based care (HBC) は、コミュニティで行われる保健・医療の中で、不可欠なものであり続けるだろう。病院が患者に医学的治療を行う場である一方、家庭は、特に抗レトロウイルス治療 Antiretroviral therapy (ART) を受けているHIV陽性者にとって、所定の医療やサポートを効率的に受けられる場となる。

HBCプログラムは、NGOや信仰に基づく奉仕活動団体 Faith-based organizations によって実施され、ザンビア全土に広まった。HIV/エイズとの闘いにおいて患者をケアしてきた人たちに支えられてきたこのプログラムが当初から担ってきた役割は、いくら強調してもし過ぎることはない。

HIV感染者やAIDS患者のケアを家庭で行うことは、患者と介護者双方にとって多くの潜在的利益がある。ARTを受けている人を家庭でケアできれば、患者は仕事に就くこともでき、家族は病院の行き来に費やしていた時間を家事などに回すことができ、交通費や治療費を抑えることができる。

HBCの登場によって、HIV/AIDSとの闘いにおける協調が進み、「全国ホーム・ベースド・ケア連盟」が発足した。連盟は、HIV陽性者のホーム・ケアに関する統一した取り組みと、情報と経験の共有のためのプラットフォーム提供を目指し、信仰に基づく奉仕活動団体、政府、NGO、市民団体をまとめ上げてきた。ザンビア福音連盟のクレオファス・ルング事務局長Cleophas Lunguは、連盟は、ザンビアのHBCに関わる多くの問題を効率的に議論する重要な場の一つであり、HIV/AIDSとの闘いのためには、地域レベルの治療およびサポートの中心である介護者を含め、全ての当事者が納得する取り組みが必要だと語った。

また、保健省のチャールズ・ニャンベ臨床サービス局次長Charles Nyambeは、HIV陽性者を自宅で治療する動きを政府は評価しており、保健省を通じてHBCの活動を国内全土に拡大し、サービス設立と強化のために全国で325名の指導者をトレーニングしたと語った。氏によると、これまでに合計5,500名の介護者がトレーニングを受け、自治体職員はHBCプログラムの運営・調整ができるようになっているという。

原題:Zambia: Benefits of Home-Based Care to Families
出典:allAfrica.com
日付:2012/1/3
URL:http://allafrica.com/stories/201201031943.html

---------------------------------
★ガンビア:若いHIV陽性青年がエイズ啓発のために全国を行脚
---------------------------------

【2012年1月3日 ガンビア発】 アフリカ西部のガンビアで、20歳のHIV陽性の青年が、国中を行脚するという大胆なHIV/エイズの啓発キャンペーンに乗り出した。

HIV陽性者として14年間を生きてきたモハメド・バリー氏 Mohammed Barry は自らの資金でこの事業を立ち上げ、2011年の年末にガンビア中部のファラフェニ Farafenni や同国東部のバンサン Bansangなどの地方都市から首都の大バンジュール圏Greater Banjul Area に至るまでの行脚を開始した。

バリー氏は、今回のキャンペーンの前にも、若者や大学生、中高生を対象としたイベントを、首都バンジュールの西側にあるウェスト・フィールド West Field において手掛けている。イベントでは「コンドームを使い、感染ゼロを目指そう」というスローガンを掲げ、行進をしながら若者へのコンドーム配布を行った。

今回のキャンペーンでは、Tシャツとコンドームを配りながらHIVの予防啓発を行った。

また、訪問先の「マリーナ・インターナショナル・スクール」Marina International Schoolでは、「私は14年前のまだ子供だった頃に、ここガンビアでHIV陽性と診断されました。HIVに境界はないため、私は感染予防に気を付けています。」と自分自身の体験を語った。

また、ウェスト・フィールドでは公開討論会も実施された。その中でバリー氏は、「殻に閉じこもっているHIV陽性者は、他者と手を結び、HIVの流行を阻止するために何かをするべきです。HIV陽性者には希望があります。薬があるからです。薬は寿命を延ばすことが出来ます。」と訴えた。

バリー氏によると、キャンペーンは今後も継続され、アフリカ南部のモザンビーク、ジン
バブウェ、スワジランドの3か国を近く訪問する予定という。

バリー氏は現在、大学1年生である。留学先のイギリスで約2か月前に抗レトロウイルス薬の内服治療を開始したという。バリー氏は、「私の家族は、私を岩のようにしっかりと支えてくれます。私の家族の中にはHIVへの差別や偏見はありません。私はとても幸せです。」と話している。バリー氏はまた、Tシャツへの資金提供及び配布用コンドームの提供を行った「英国文化振興会」 British Council 及び「ガンビア・エイズ支援団体ネットワーク」 Gambia Network of Aids Support Society に対して感謝の意を表明した。

原題:Gambia: Aids Victim Embarks On Nationwide Trek
出典:allAfrica.com
日付:2012/1/3
URL:http://allafrica.com/stories/201201031027.html

---------------------------------
★HIV感染を懸念する人のHIV感染率は低く、懸念しない人の感染率は高い
=ナイジェリアでの調査=
---------------------------------

【2012年1月5日 ナイジェリア発】 ナイジェリアで実施された研究において、HIV感染の危険性が高いと懸念していた被験者はHIVに感染しておらず、反対に危険性が低いと考えていた被験者の感染率は、3〜4%という結果が出た。

HIV感染の危険性の認識が、HIV感染率に影響するということだ。しかし、HIVの危険性の認識に関する研究は十分に行われていない。

今回の分析では、出産年齢のナイジェリア人グループを対象に、HIV感染の可能性に関する自己申告の妥当性の検証を行っている。調査は2007年に実施された。

今回の研究は、ナイジェリア人9039名(都市部の男性1678名、女性1519名、農村部の男性3170名、女性2672名)を対象としている。

被験者の約3分の2(都市部64.5%、農村地域61.7%)が自分にはHIV感染のリスクがないと信じており、HIV感染の危険性が高いと懸念していたのは、都市部で2.2%、農村部で2.3%に過ぎなかった。

農村部の女性は男性と比較しHIV感染の可能性が高いと報告する傾向にあり、都市部の男性はHIVの危険性の高さをより認識しているという結果だった。

ナイジェリアのHIV感染率は都市部が3.8% (男性3.0%、女性4.6%)、農村部では3.5%(男性3.4%、女性3.6%)であった。

HIV感染の危険性が高いと懸念していた被験者はほぼ全員(都心部91.6%、農村部97.9%)、実際は陰性という結果だった。

HIV感染の危険性が高いと懸念する被験者のうち、都心部で8.5%、農村部で2.1%が陽性であり、危険性が低いと思っている被験者については、都心部で2.9%、農村部で4.3%が陽性だった。

全体では、都市部の男性95%、女性90%、農村部の男性95.3%、女性94.5%が、自身のHIVステータスを正しく予見していなかった。

自身のHIV感染の危険性が高いと信じており実際に陽性であった割合は、都心部で28.7%、農村部で44.8%、逆にHIV感染の危険性が低いと考えており実際に感染していなかった割合は、都心部で64.5%、農村部で62.2%という結果になった。上記のことから、HIVリスクの自己認知の確度は、都市部と農村部で大差ないことが判明している。

性別と地域別に実施した今回の調査結果は、農村部の人々が、自身のHIV感染の危険性を過大に認識していることと、都市部の女性が自身のHIV感染の危険性を低く認識していることを明らかにしており、今後、こうした問題を解決するような、HIV感染予防のための行動変容を促すコミュニケーションプログラム等の介入の必要性を示している。

原題:Self-Perceived HIV Risk often off Mark in Urban and Rural Nigeria
出典:International AIDS Society
日付:2012/1/5
URL:http://www.iasociety.org/Article.aspx?elementId=14173

---------------------------------
★米国の市民グループ、カレトラ(リトナビル/ロピナビル)の
アボット社による独占に反対するキャンペーンを開始
---------------------------------
【2011年11月9日 アメリカ ワシントンD.C発】 本日、世界各国の公衆衛生に関するグループが、抗レトロウイルス薬であるロピナビル・リトナビルRopinavir/Litnavir (商標名カトレラ Kaletra。冷蔵が不要な新配合薬が「アルビア」Alluvirとして開発された)に対するアボット・ラボラトリーズ社(アボット社)の独占に対するキャンペーンを立ち上げた。キャンペーンの目標はジェネリック薬製造メーカによる競争に拍車をかけ、更には治療薬の値段を下げること、そして複合的な治療の為にロピナビル・リトナビルの成分に対する規制を解く事も目標としている。

米国、ベトナム、インドネシアでは、活動団体が政府による特許利用の許可の元で、ジェネリック薬の承認を求めようとしている。ブラジルでは、法律家たちが、「アボット社は特許権に関する国際基準を満たしておらず、特許権独占の延長を認めるべきでない」という主張で訴訟の提起を準備中である。その他の国々でもライセンスの延長や法整備などを進めており、アボット社の特許を取り除く事や、新たな特許権申請を阻止するために尽力している。また、公式文書によりジェネリック競争を許可する申し立てをしている国々もある。

「アルビア」および「カレトラ」は、特に、第一選択薬に耐性のできた患者に対する第二選択薬として重要な治療薬となっている。米国の連邦政府の補助金は、混合薬である「カレトラ」をロピナビルとともに構成するリトナビルの開発の資金源となってきた。リトナビルは他の薬とともに効果を発揮するが、競争をできる限り回避しようとするアボット社のポリシーは、効果拡大とコスト削減を妨げている。新たな科学的調査によると、抗レトロウイルス薬は予防薬としても利用できエイズの広がりを阻止することができるので、エイズ治療薬へのアクセスを拡大することは極めて重要なのである。

ジェネリック薬の競争により、一人当たり年間一千米ドルかかった抗レトロウイルス薬は、現在、途上国では、最も安いもので年間百米ドルとなっている。にもかかわらず、アボット社は最貧国でも四百米ドル、他の途上国では千〜四千米ドルという価格を設定している。米国では昨年、八千米ドルで販売された。

10年前、世界貿易機関WTOは、「知的財産権は、WTO加盟国の、公衆衛生を守り、特に全ての人に治療薬へのアクセスを促進する権利を支持する形で解釈され、実施されなければならない」と決定したが、開発系製薬企業の持つ権力により、各国が特許権に関するセーフガード条項を発動するのは難しいのが現状である。アボット社は、ガン・心臓病・エイズの治療薬の特許に関する強制実施権を発動したタイに対抗し、いくつかの新薬をタイでは発売しないなどの強硬措置に出ている。多くの国々は、この攻撃を恐れている。

治療グループは、「キャンペーンの始まった日、それは今日だ。この日を境に、世界各国は治療薬へのアクセス拡大のために闘うべきである」と語っている。

原題:Public Health Groups Launch Global Campaign Against Abbott Labs’Monopoly on Critical AIDS Medicine
出典:Public Citizen
日付:2011/11/9
URL:http://www.citizen.org/press-release

---------------------------------
★UNAIDS技術支援ファシリティ、世界基金のCCMに関するワークショップ開催
---------------------------------
【2011年12月19日】国連合同エイズ計画 UNAIDSの「南アジア技術支援機関」 Technical Support Facility for South Asia, TSF South Asia がNGOの「メートル」Maitreと共同で、世界基金の国別調整メカニズム Country Coordinating Mechanism (CCM) をテーマに2日間にわたるワークショップを開催した。

ワークショップは、CCMに基づいた良好なガバナンスを取り巻く問題を議論する強力なプラットフォームの提供に向けて開催されるものであり、多くのコンサルタントに対してこの問題に関する知識を増やしてもらうという広い目的を持っている。

ガバナンスが失敗した時の費用と結果の問題については、TSF 南アジア  TSF South Asiaのディレクター、ジョー・トーマス博士Dr. Joe Thomas が資金のニーズとメカニズムをより効果的に強化することが緊急に必要であると強調した。また、将来的にはより重要な事項としてガバナンスの問題を取り扱う必要があると主張している。

ワークショップには市民社会の代表や政府高官、南アジア各国からのCCMコーディネーターが参加した。ワークショップでは、手続きの一部として、参加者は各国の現状とCCMの構造について報告をし、世界基金と同様にCCMの役割と効果的な導入に関心を表明した。その中でもとくにCCMの選定や代表性、透明性や機能についての全体的なメカニズムへの関心が高かった。

CCMの機能については、関心の高い主要エリアとして挙げられていたが、ワークショップのメイン・ファシリテーターの一人、UNAIDSインドネシア代表のナンシー・フィー博士Dr. Nancy Fee は「ガバナンス」という言葉自体がエイズの世界にとって比較的新しい言葉であるため、このような状況から事業の効率性や効果へ最大のインパクトを与えるような証拠に基づいた介入に焦点を置くのみならず地域社会や国の所有権を援助するような包括的で透明性を確保した方法で事業を進める必要があると強調している。

TSF South Asiaの能力開発マネージャーであるプラボド・デブコタ氏 Mr. Prabodh Devkotaは、「世界基金の機能は、理屈で考えれば理想的ではあるが、実践のレベルで考えると、現場でそのシステムを動かすにはもっと多くの努力が必要である」と述べている。

ワークショップのメイン・ファシリテーターでもある世界基金のジェフ・ムッシェル氏Mr. Jeff Muschell は、南アジア地域においても、世界基金の案件管理のためのツールである「ダッシュボード」をより効果的に利用する必要があると指摘し、参加者とCCMの機能に関する多くの資料を共有した。最後に、ワークショップ初日は、地域を超えたガバナンス問題を直視して地域間での比較分析をする必要性があり、そこから得られる教訓を各々が共有できるだろうという結論に至った。

原題:Need to look at the issue of governance of CCMs across the region
出典:AIDS ASIA eFORUM
日付:2011/12/19
URL:http://health.groups.yahoo.com/group/AIDS-INDIA/message/13436

---------------------------------
★米国下院がハーム・リダクション・プログラムへの連邦予算拠出に反対の意向
関係団体は批判声明
---------------------------------

【2011年12月16日 ニューヨーク発】 米国エイズ研究財団amFARは、米国下院が大統領エイズ救済緊急計画PERFARのハーム・リダクション(健康被害軽減)プログラムへの資金拠出を制限する見込みであることを受け、非難声明を出した。2012年度の支出法案が通れば、注射器の回し打ちを防ぐ注射器交換プログラムSyringe Programmeの資金が滞ることとなる。現行の支出法案では、保健福祉省の資金によるアメリカ国内外の公衆衛生プログラムを禁止するものとなっている。

米国エイズ研究財団の副会長兼公共政策ディレクターであるクリス・コリンズ Chris Collinsは、このような動きをうけて、「アメリカは、国内外において人々を支援し、予防のためのエイズ対策・ケアに携わってきたこれまでの尽力とその成果をみることなく無意味なものにしてしまうだろう」と語った。

州政府に助成を受けている8つの研究によると、注射器交換プログラムは費用対効果に十分見合っており、C型肝炎に代表される血液が原因の病気の予防にも繋がるとされている。その成果として、過去20年間に亘り実施された同プログラムにより、アメリカ国内においては、静脈注射による薬物使用者 IDUsのHIV感染数が過去20年間で80%も下がったという報告がなされている。同財団は、他の公衆衛生の団体リーダーなどと共に、下院における政策変更と改善を求め、米国の連邦予算を引き続き活用できるように働きかけることを約束した。

原題:amfAR Deeply Critical of Re-Imposition of Ban on Federal Funding for Syringe Exchange
出典:amfAR: AIDS Research
日付:2011/12/16
URL:http://www.amfar.org/hill/article.aspx?id=10634

---------------------------------
インド・プネの性感染症クリニックでトランスジェンダーに高いHIV感染率
---------------------------------

【2012年1月2日 インド発】インド西部のマハーラーシュトラ州第2の都市で約500万人の人口を擁するプネにある3つの性感染症(STI)クリニックで、ケアを求めているヒジュラの人々、男性とセックスをする男性(MSM)、そして異性愛の男性のHIVおよび性感染症(STI)の感染率とリスク要因を調査するため、同クリニックで研究を行なった。被験者は、1993年から2002年にかけてデモグラフィック(人口統計学的属性、つまり性別、年齢、住んでいる地域、所得、職業、学歴、家族構成などその人のもつ社会経済的な特質データ)、社会経済および性行動に関するアンケートに答え、STI検査のために血液サンプルも提供した。

その結果、およそ半数のヒジュラがHIVに感染していることが判明した。異性愛男性およびMSMも、HIVの感染率が高い。多くの国々のトランスジェンダーは、保健サービスへのアクセスが乏しいことも感染率の高さの一因となっている。ヒジュラは、南アジアにおける伝統的なセクシュアル・マイノリティのカテゴリーの一つで、カーストの一つに位置づけられている。トランスジェンダー、女性的なゲイ、インターセックスなどの人々の一部がヒジュラに分類されている。

HIVの感染率は、異性愛男性で20%、MSMで18.9%のところ、ヒジュラが最も高く、45.2%であった。尖圭コンジローマの有病率も異性愛男性(4.6%)、MSM(7%)と比較して10.3%と高いことが判った。その反面、生殖器潰瘍は異性愛男性の32.6%、MSMの21.5%と比較すると15.3%と低く、分泌性疾病も異性愛男性で13.6%、MSM9%のところ、5.4%であった。これらの数字から、異性愛男性およびMSMと比べると、ヒジュラは性交渉をして金銭を得る傾向が強く、またその年齢も早いということが伺える。

多変量解析において、ヒジュラのHIV感染が高い理由として、(1)金銭を得るための性行為、(2)生殖器潰瘍を患っていること、の2つが判明した。研究者は、ヒジュラの高いHIV感染率と性感染症感染率について、「現在の対策のレビューをすること、そしてヒジュラのコミュニティの人々に感染を防ぐための適切な予防対策プログラムを拡大していくことが重要である」と述べている。

原題:HIV Rare 45% among Transgenders in Three Pune, India Sti Clinics
出典:Internatinoal AIDS Society
日付:2012/1/2
URL:http://www.iasociety.org/Article.aspx?elementId=14167

------------------------
編集後記
------------------------

先日東京に雪が降りましたね!みなさん、影響はありませんでしたでしょうか?編集員Wは見事にすってんころりんでした。電車が遅れたところもあるようで。。雪が降ってわーい、と喜べた子どものときの心はどこにいってしまったんでしょう。

------------------------
★メールマガジンご案内
------------------------   

★メールマガジン「グローバル・エイズ・アップデイト」は、世界のHIV/AIDS問題の最新動向を網羅するメールマガジンにして発行しています。   

★HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。   

★このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語に要約し、隔週で発行しています。   

★継続して購読を希望される方は、以下の講読申込票をメールマガジン発行元((特活)アフリカ日本協議会)までご送信下さい。また、本メールマガジンを発行している「Melma!」の以下のサイトから登録することもできます。

http://www.melma.com/backnumber_123266/   

---------------------------------------
<講読申込票>info@ajf.gr.jpまで
---------------------------------------
★氏名
★所属(あれば)
★メールアドレス
★ご在住の市町村
★コメント

---------------------------------------   

最新の記事

ブックマークに登録する

TwitterでつぶやくLismeトピックスに追加するdel.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録記事をEvernoteへクリップ
My Yahoo!に追加Add to Google

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。

この記事へのコメント

コメントを書く


上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  1. コメントはありません。

このメルマガもおすすめ

  1. Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

    最終発行日:
    2012/05/20
    読者数:
    12943人

    日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万8千部突破!

  2. JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

    最終発行日:
    2012/05/21
    読者数:
    4006人

    政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

  3. 月刊アカシックレコード

    最終発行日:
    2012/04/11
    読者数:
    18085人

    02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家が、政官財界の分析にも進出し、宣伝費ゼロで読者19,000人を獲得。2009年9月から月刊化。

  4. 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

    最終発行日:
    2012/05/22
    読者数:
    18758人

     評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

  5. IOM国際移住機関 “Migration”

    最終発行日:
    2012/05/18
    読者数:
    1233人

    IOMは世界的な人の移動(移住)の問題に取り組む国際機関です。IOMが世界各地で実施している、人身取引対策や人道復興支援などの活動紹介を現地からのレポートを織り交ぜてお送りします。

発行者プロフィール

AJF

AJF

http://www.ajf.gr.jp/

(特活)アフリカ日本協議会は、アフリカの人々の地域自立の支援、アフリカの人々との対等なパートナーシップの構築、アフリカに関わる人々のネットワークの形成、アフリカ理解の促進とアフリカの自立支援のための政策提言などを行っています。

過去の発行記事