国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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(GAU160号)コレラ禍のハイチでHIV陽性者が危機に直面

2010/12/23


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★「第160号」目次
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※年末年始の発行体制について

地域情報
●アフリカ
エジプト:性教育カリキュラム排除に警告
ナイジェリア:HIV感染率が減少―UNAIDS報告書より
ルワンダ:エイズ孤児たちに対し強力なサポート

●アジア・太平洋
中国:HIV陽性者が雇用に関する裁判で敗訴

●カリブ海
ハイチ:HIV陽性者コレラに対するぜい弱性が顕著

●宗教関連
ローマ教皇、エイズ予防のコンドーム使用は容認

●新規予防・医療技術開発
HIVワクチン開発に有力な候補?

●データ・統計
テノホビル服用で骨粗しょう症の傾向出ず

------------------------------------ Vol.7 No.9----  

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
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◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。   

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※年末年始の発行体制について
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「グローバル・エイズ・アップデイト」をご愛読いただき、ありがとうございます。
本誌の年末年始の発行体制ですが、本号(160号)が本年(2010年)の最終号となります。次号(161号)については、1月17日前後の発行となりますので、宜しくお願いいたします。本年もご愛読いただきまして、ありがとうございました。良いお年をお過ごしください。また来年お目にかかりましょう。

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★エジプト:性教育カリキュラム排除に警告
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【11月22日カイロ発(IPS)】男女の生体構造やリプロダクティブ・ヘルス、性感染症(STDs)等を学校教育のカリキュラムから除く決定をこのほど行ったエジプト・アラブ共和国政府に対し、市民社会は警告を発した。

エジプトの教育省は「生殖や繁殖方法」、「授粉や受精」遺伝子、人間の生殖機能に関する教育を行わないよう、各学校に対し指導を行った。配布済みの教科書に既に記載されている内容については、授業では扱われず、今後印刷される教科書からは、こういった内容が削除される。

「リプロダクティブ・ヘルス、性感染症などが、現時点でもほとんど教えられていないことはわかっていますが、カリキュラムから削除されるということは、大幅な後退です。」「個人の権利のためのエジプトイニシアティブ」Egyptian Initiative for Personal Rights:EIPRの研究者、ノハ・ロウシュディ氏Noha Roushdyは話す。

今回の改定は、12歳〜17歳の生徒・学生たちに影響を及ぼすという。週刊誌「アル=ヨウン・アル=サバア」Al-Youn Al-Sabaaが伝えるところによると、教育省は、教科書から削除された内容の替わりに、教師が、学校教科書以外から入手した最新の知見などに基づいて生徒と議論をすることは構わないとのことである。

リプロダクティブ・ヘルスは、エジプトにおいては、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD)を受け、カリキュラムに追加された。この会議では、すべての男女がリプロダクティブ・ヘルスについて知る権利があるとし、学校教科書に記載するべきだとしている。

こういった内容をカリキュラムから削除するという政府の決定は、市民社会団体が20年近く行ってきた、性教育に関する世間一般の知識を高めようとする活動を大きく後退させるものだ。「社会と健康には必ず因果関係があります。」リプロダクティブ・ヘルスの普及活動を行ってきたアマル・アブデル・ハディ博士 Dr. Amal Abdel Hadiは話す。「性交渉や夫婦の不調和、セクシャルハラスメントに関して、誤った解釈が広がり、STDs(性感染症)の感染も拡大するでしょう。」

エジプトでは、性交渉は常にセンシティブなトピックであり、性に関する議論は社会の中で常にタブー視されてきた。その結果、人口の増加を食い止め、また、人々の健康を促進するための手段が十分に行使されておらず、これらの問題は深刻化している。また、宗教保守派の力が増大し、人々の健康や権利よりも、宗教的に敬虔であることや礼節を守ることが尊重される風潮が増大している。

「性についての議論が行われるようになった1960〜70年代には、性的な関係のあり方のよしあしが問題とされていました。ところが、現在、議論の焦点は、「ハラール」(宗教上許容できる行為)か「ハラーム」(宗教上の罪となる行為)か、つまり宗教上合法か違法かということに設定されてしまい、宗教領域に問題を持ち込む結果になってしまっています。」

エジプト人の宗教的権威は、安全な性交渉や性感染症に関する学校教育を拒否してきた。議論が起きた5年前、影響力を持つあるイスラーム法学者は、学生が「本能を刺激したり、公的モラルを脅かしたりしない方法で」性交渉について学ぶべきだと主張していた。この主張はつまり、結婚までの禁欲や貞節が、モラルある正しい行動であることを強調するような方法でのみ、性教育が行われるべきだということだ。実際、授業での性教育は、宗教や生物的な観点でのみ議論され、社会的、精神的側面に触れることはない。

調査によれば、エジプト人は若年女性を中心に、リプロダクティブ・ヘルスや安全な性行為についての知識が不足していることが判明している。生体構造、生殖機能、性感染症に関する基礎知識が最も不足しているのだという。

2008年に行われた調査では、HIVとエイズに関する基本的知識を持っているエジプト人女性の割合は、最貧困層は2%以下、最富裕層では約16%であった。男性の認知度は若干高いが、「HIVに感染していても健康に生活することができる」ということについて知っている人は、最富裕層の三分の一に満たなかった。

アラブ諸国において、公立学校のカリキュラムにリプロダクティブ・ヘルスを組み込むのは、エジプトを含む5カ国のみだ。チュニジア、モロッコ、アルジェリア、バーレーンは、中等学校で基本的な性教育を行う。レバノンでは、私立の無宗教の学校でのみ授業が行われる。

家族保健のためのエジプト社会 Egyptian Society for Family Health: ESFH代表、マムドゥウ・ワーバ博士 Mamudouh Wahbaは、学校教科書からリプロダクティブ・ヘルスに関する内容を削除した場合は、性交渉に関する世間一般の正しい理解への道が遠のき、性感染症の抑止に対する努力を蝕むことになると警告する。性交渉や生殖機能に関し、正統性のある説明を行わなければ、好奇心旺盛な若者は、信頼性に足らない情報源から情報を得ようとするようになるという。

「友人やインターネット、ポルノなどから情報を得るようになるでしょう。」一般市民に対する性教育に関し、エジプトではメディアの役割が高まってきており、5年前に比べ情報も充実している。テレビやラジオのトークショーでは、コンドームの使用やオーラルセックス、マスターベーションなど、以前はタブーとされていた内容を含む、性に関する議論が活発に行われている。

ここでの問題点として、教育を十分に受けていない視聴者は、情報の真偽を判断できない。無資格の医者やイスラーム法学者の発する、主観的で当てにならない内容を扱う番組により、性に関連した事実や適切なアドバイスは失われてしまう。すべての若者が、リプロダクティブ・ヘルスに関する客観的で科学的な情報を得る権利を有することを、16年前にICPDが定めていると博士は話す。

「カリキュラム外の活動になる可能性があるが、すべての学生に情報を行き渡らせる必要があり、そのためには、こういった活動を義務化するか、学校教育に組み込むか、いずれかの手段が必要だ。」

原題:No Sex Education Please, We're Arab
出典:IPS
日付:November 22, 2010
URL:http://ipsnews.net/news.asp?idnews=53628

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★ナイジェリア:HIV感染率が減少―国連合同エイズ計画報告書より
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国連合同エイズ計画(UNAIDS)が11月に発表した2010年の最新のHIV/AIDS状況に関する報告書によると、ナイジェリアなど西アフリカ諸国でのHIV感染率が減少している。

2001年〜2009年にかけて、サハラ以南のアフリカ34カ国を含む、少なくとも全世界の25%以上である56カ国において、HIV新規感染率は、一定を保っているかあるいは減少している。

最も感染が拡大している地域の5カ国における新規感染率については、ナイジェリアでは変化がなく、エチオピア、南アフリカ、ザンビア、ジンバブウェの4カ国では、25%以上減少した。

サハラ以南のアフリカ諸国は、HIV新規感染全体の69%を占めており、依然として最も感染の拡大した地域となっている。一方、東ヨーロッパと中央アジアを中心とした7カ国において、新規感染率は25%以上上昇した。また、安全な性交渉に対する若者の理解が進んだ結果、最も感染の拡大した地域における15歳の新規感染率は25%以上減少している。

HIVとエイズの拡大を阻止し、減少を目指す世界的な努力は、肯定的な結果を生んでおり、新規感染者数とエイズに起因する死亡者数は減少傾向にある。

182カ国のデータを基にしたUNAIDSの報告によれば、新規感染者は260万人と推定されており、1999年の310万人よりも20%程度少ない数字となっている。

2009年には180万人がエイズに起因する病気により亡くなっているが、2004年には210万人が志望していたことを考えると、この時点よりも5分の1程度減少している。また、エイズ対策の費用が減少しつつあることを踏まえれば、しなければならないことは未だに多く存在する。いずれにせよ、全世界のHIVと共に生きる人々の総数は一定を保っている。

原題:Nigeria: UN Reports Reduction in HIV/Aids Infections
出典:allAfrica.com
日付:November 24,2010
URL:http://allafrica.com/stories/201011261010.html
 
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★ルワンダ:エイズ遺児たちに対し強力なサポート
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中部アフリカ・ルワンダの首都キガリのキバガバガ病院 Kibagabaga Hospital の混雑した待合室で、12〜18歳の30人の若者が抗ウイルス薬(ARV)を処方する医師の診察を待っている。彼らは、ルワンダ政府及び開発パートナーが提供する社会・医療的支援を受けている、エイズの影響を受ける22万人の子どもたちの一部である。 

治療センターの看護師、アントワネット・ムレブワイレ氏 Antoinette Murebwayireは、「子どもたちの中には、恐れや罪の意識から医師の診察を受けることさえできない子どももいます。そういう子どもたちの多くは、エイズ遺児です。私たちは彼らの親代わりの存在です。」と話す。
 
トゥンガ君 Tunga (匿名)は、キガリの最も貧しいスラムのひとつである、サムドゥハ Samuduha 出身の13歳の少年だ。彼の両親は2008年にエイズで亡くなったという。小学6年生だった彼は、両親を失うと同時に自分自身もHIVに感染していたことを知り、途方に暮れた。二人の弟の面倒を見ることができるかどうかが心配だった。 

キバガバガ病院の小児センターでは、毎日40人の子どもにHIVの検査、カウンセリング、及び治療を提供している。センターで治療を受けている(HIV陽性の)子どもたちは870人に上っており、そのうち55人の子どもたちがARV治療を受けている。しかしながら、HIV陽性の子どもたちの家族の多くは社会的に弱い立場にあり、子どもたちは飢えや空腹のために内服できない状況にあるという。 

キバガバガ病院では、エイズ遺児に対してHIVの自発的カウンセリングと検査を提供している。この検査を受けたトゥンガ君は検査を受けた経験について、「HIVの検査を受けることはとても簡単でした。でも、HIV陽性と言われることは、検査を受けることとは全く別のことでした。HIV陽性と言われた時、それは僕自身に対する罰であると感じました。」と語った。 

しかし、トゥンガ君は幸運にもいくつかの支援を受けることができた。両親の死後、一旦はホームレスになってしまったが、今は、地元のNGOが2009年にトゥンガ君と二人の弟のために建てた家に住んでいる。また、政府のHIV陽性者及びエイズ患者に対する社会・医療的支援も受けている。ユニセフが支援するこのファミリー・パッケージ Family Package は、HIV及びエイズの影響を受けている家庭に対して、治療とカウンセリング、家族計画、栄養サポート、及び収入向上事業を提供している。また、子どもだけの家庭には、学校の授業料及び制服代、フード・バスケットの支援を提供している。 

この様に保健当局がエイズの影響を受ける子どもたちの基本的ニーズに注目していることは評価できるが、十分とは言えない。キガリにあるNGOの活動家によると、最も貧しい地域に住む子供たちの多くは、無料の支援が受けられることを知らず、また、エイズ遺児やHIV陽性の子どもたちに対する精神的支援も不十分であり、子どもたちが差別・偏見により地域から孤立する状況が起きているという。
 
原題:Stronger Support for Children Affected by HIV
出典:IPS
日付:November 8, 2010
URL:http://ipsnews.net/news.asp?idnews=53484

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★中国: HIV陽性者が雇用に関する裁判で敗訴
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中国のHIV陽性者が採用段階で差別を受けたとして地元教育局を訴えた国内初の裁判で、11月12日、裁判所は原告の訴えを退けたと発表した。地方政府は自由に規則を制定できるため、教育局はHIV陽性者の雇用に関する権利を保持していること、教育職関連の法律にHIV陽性者は教育分野で雇用されるべきではないとの記載があることが判決理由となった。

原告のウー・シャオ Xiao Wu氏(仮名)は、今年初めに地元教育局での中学校教員採用に応募し、教育に関する技能試験に合格したが、HIV陽性だということが判明したため身体検査において不合格となった。教育局は、ウー氏は公務員採用における身体検査の基準に抵触しているので教師として採用できないと結論付けたが、ウー氏は、これをHIV陽性者に対する差別と考え、10月13日に地方裁判所に告訴した。

教育局は、裁判で、身体検査を規準に基づいて実施するとあらかじめ地元新聞に告知しており、応募者は応募要領を理解していることに言及。また雇用者がHIV陽性者の採用を拒否することは法律では禁じられていないと主張している。しかし、ウー氏の弁護士は、教育局が他の公務員と同様な身体検査を教員に適用して間違った決定をしており、また現行の法律は感染の可能性のある職務にHIV陽性者が就くことを禁止しているだけで、教育職は含まれていないと反論した。さらに、ウー氏は、ウー氏自身やウー氏に教わる生徒の健康状態も考慮すべきである」という教育局の主張は陽性者に対する差別に該当すると述べている。

ある北京大学の教授は、18歳未満の免疫力はウイルスから身を守るほど発達しておらず、労働環境もまた教師の免疫力を低下させエイズ発症のリスクが増加するとして、教育局の主張を擁護している。一方、中国の「エイズ予防・管理指針」AIDS Prevention and Control Regulationsには、雇用者はHIV陽性者やエイズ患者、その家族を差別することは許されていないことが明記されており、HIV陽性者やエイズ患者の結婚、労働、教育に関する権利についても強調している。

HIV陽性者の労働差別に取り組むNPOに所属する弁護士ユー・ファンジアンYu Fangqiang氏によると、ウー氏のケースは中国内の社会問題を反映しており、一般市民の大きな関心となっている。しかし、上述の北京大学教授はHIV陽性者に関するそのような規制は社会問題とはいえず、医療水準や保健条例に関連する問題だと指摘する。同教授は「中国では、B型肝炎ワクチンが利用可能になってから患者はより自由になったため、HIVも有効な予防方法が出現すれば関連する規制も緩やかになるであろう。」と述べるとともに、「個人の権利を主張するばかりでなく、社会的責任を果たすべきだ」などとして、ウー氏が差別の犠牲者だという主張に反対している。

ウー氏は匿名性の保持のため裁判所には現れなかった。上述の弁護士ユー氏によれば、ウー氏はこの問題を通して身体検査の基準が改善され、HIV陽性者に対する差別軽減を望んでいる。この報道に関するインターネット上の議論では、ウー氏に同情するがHIV陽性の教員に子供を預けることはしないだろうという意見が多い。ウー氏は控訴を検討している。

原題:HIV carrier loses lawsuit
出典:Global Times
日付:November 12, 2010
URL:http://china.globaltimes.cn/society/2010-11/591811.html

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★ハイチ:HIV陽性者、コレラに対するぜい弱性が顕著
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2月の大地震の復興がままならないまま、秋以降にコレラが大流行している中南米・ハイチでは、コレラ患者数が19,000人、コレラによる死亡者数が1,000人を超えたのを受け、HIV陽性者のコレラに対するぜい弱性についての注意喚起が行われている。
 
コレラに感染した人々のうち、水様性下痢や嘔吐などの症状を発症するのは約25%であるが、病気、栄養失調、妊娠などにより健康状態が良好でない人々が発症する危険性は特に高い。西県 West Department の公衆衛生省のハンツ・レガノー主任 Hanz Legagneurは、「HIV陽性者は、免疫システムが既に弱められており、コレラの流行に関して非常に危険な状態にある。」と警告している。
 
コレラは、経口補水塩(ORS)を摂取することにより体液及び電解質を補うことで容易に治癒させることが可能である。しかし、症状が急激に悪化し、治療を受ける前に大量の水分を喪失すると致命的となる。多くのHIV陽性者は貧しく、医療機関へ行くための交通費を払うことができないため、そのような状況となる可能性が高い。
 
ハイチのレズビアン、ゲイ、両性愛者、トランスジェンダーのHIV陽性者のために活動しているNGO、SeroVIEのレジナルド・デュポン氏 Reginald Dupont は「通常、発症後4時間以内に治療を受けるかORSを摂取できない場合は死亡する可能性が高まる。HIV陽性者の場合は、それが2〜3時間とさらに短くなる。」と訴える。
 
ハイチにおけるHIV感染率は2.2%、HIV陽性者数は約12万人に上る。2010年1月に発生した大規模地震により、HIV陽性者を含む多くの人々がテント生活を送っており、飲料水や清潔なトイレにアクセスできない状況にある。
 
医療従事者はコレラ流行への対応に追われており、コレラに感染したHIV陽性者の数はまだ報告されていない。しかしデュポン氏によると、HIV陽性者の多くは医療機関へ行く手段を有しておらず、また、HIVに対する差別・偏見により適切なケアを受けることができていないという。
 
国連人口基金(UNFPA)は2010年11月から、コレラ予防のための衛生キット配布を開始した。妊婦及びHIV陽性者に対して配布したキット数は7,000近くに達する。キットには、感染予防のための石鹸、歯ブラシ、バケツ、塩素が入っている。
 
ハイチではこの他、国内外の組織によりコレラ予防への関心を高めるための取り組みが行われている。ハイチにおけるUNFPAのHIV/AIDS担当責任者であるマリー・ジョゼ・サロモン氏によると、HIV陽性者に対してコレラの危険性を呼びかけるラジオ広告が間もなく放送される予定だ。
 
ハイチでは、コレラの治療センターが全国に設置されている。しかし、国連人道問題調整事務所UNOCHAは、対策に必要とされる資金、必需品、及び技術の10%程度しか供給されていないと見積もっている。

原題:HAITI: HIV-positive people especially vulnerable to cholera
出典: IRIN
日付:November 22, 2010
URL:http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportID=91152

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★ローマ教皇、エイズ予防のコンドーム使用を容認
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ローマ教皇ベネディクト16世は、11月23日に出版された会見録「世界の光−教皇、教会と時代の道標」の中で、「コンドームを使用することは、エイズの蔓延を食い止めるために、時に正当化されうる」として、コンドームの使用を教皇として初めて認めた。性行為は受胎のためだけにあるというカトリックの大原則の例外を認めるこの発言は、議論を呼んでいる

これまでも何人かのカトリックのリーダーたちが、HIV/エイズ感染を抑制するためのコンドームの限定的利用について話したことはあったが、ローマ教皇が公の場で使用の可能性について言及したのは、これが初めてである。

教皇は「カトリック教会は原則的コンドームの使用に反対ではないということか」という質問に対し、「性産業に携わる者がエイズ感染予防に使う場合などに限り認められうる」と語った。ただし、コンドームの使用が真の、或いは道徳的な解決方法であると考えているわけではなく、あくまで感染予防のための、より人間的な性行動に向けた一歩に過ぎないと説いている。また、同氏は避妊のためのコンドーム使用については、従前通り反対の意を表明している。

フランスのキリスト教徒とエイズに関する組織の事務局長を務めるゲラルド・グエリン氏 Gerard Guerinは、教皇の発言は革新的なものとはいえないと指摘する。なぜなら、法王はコンドームの使用が認められうるケースを性産業に携わる男性のみに限定しており、夫婦の一方がHIV陽性であった場合の対応策などについてまでは言及がないからである。

しかし、少なくとも今回の教皇による発言は、限定的ではあれ、HIVの感染を予防するためのコンドーム使用の可能性を認めるものであり、エイズ活動家や保健従事者たちは、これを前向きに受け止めている。

原題:AIDS activists welcome pope's words on condoms
出典:Reuters
日付:November 21, 2010
URL:http://uk.reuters.com/article/idUKTRE6AJ1CO20101121

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★HIVワクチン開発に有力な候補?
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2010年11月、HIVワクチン治療によりHIVによって引き起こされる免疫不全のいくつかを解消することができる可能性があるということが研究者によって報告された。イタリア・ローマの「高等保健研究所 全国エイズセンター」の研究者らは、HIVの蛋白質Tatに対するワクチンが安全で新たな免疫を生じるということを第2相無作為臨床治験の基礎データにより解明した。HIV複製が完全に抑えられている患者においても、ワクチンにより免疫機能が改善する傾向にあることも判明しており、高活性抗レトロウイルス薬治療(HAART)によりHIVの複製を遅らせることができれば、免疫が恒常的に活動するだけの機能が十分回復する可能性がありそうだ。

TatはHIV複製に必要な蛋白質であり、免疫回復性と安全性を証明するため第2相無作為治験において遺伝子組み換え蛋白質を複数回投与し、ワクチン接種スケジュールを設定してその効果を検証した。次の目標は、ワクチンが免疫状態を特定する変数、例えばB細胞やCD4、CD8の数値にどれだけの効果があるかを検証することである。分析はこの実験のためだけの特別で予備的なものであるが、87名の参加者から協力を得て、自然発生するTat免疫の効果の検証する観察実験に参加している別の患者と結果を比較した。

87名の参加者にはTat抗体がなく、HAARTによりHIVが検出されない状態で、7.5μgまたは30μgを3回または5回皮下注射により投与された。その結果、ワクチン投与者の79%にTatの抗体反応が観察された。一方、参加者の59%に何らかの副作用が検出されたが、そのほとんどがHIV感染に関係するものであった。Tat関連では、投与による局所的なもので、その程度は軽度であった。重篤な副作用は7例のみで、そのうち構語障害・知覚異常を示した1例だけがワクチンと関連があると考えられ、ワクチン投与を終了したと同時にその症状は消失した。また、ワクチン投与によりインターロイキン2、インターフェロンγ、インターロイキン4、Tat-specific CD4&CD8 T細胞の数値が優位に増加し、HIV感染を弱める抹消血単核球の試験管内での生存能力が改善した。これらの効果は、大量の投与を行う場合よりも大きく、HAARTとTatワクチンの併用がHIV陽性者の免疫回復に役立つことを示していると、研究者たちは報告している。

原題:Therapeutic HIV Vaccine Promising in Early Study
出典:medpage today
日付:November 13, 2010
URL:http://www.medpagetoday.com/clinical-context/HIVAIDS/23335

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★テノホビル服用による骨密度の低下は起こらない?
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イタリアでの研究により、21人の子どもと若者に対するテノホビルを含む5年間の抗レトロウイルス療法は、骨密度を低下させていないということが報告された。一方、米国の研究の中には、テノホビルの継続使用は、骨密度を低下させると報告しているものもある。

イタリアの研究は10人の少年と11人の少女を対象としており、すべてが白人でHIVに感染している。研究では、テノホビル、ラミブジン、およびエファビルを含む抗レトロウイルス薬が投与され、研究が開始されたときの子どもたちの年齢は、4.9歳から17.9歳であった。

研究では、腰椎と全体の骸骨の骨密度を測定するため、DEXAスキャンが用いられた。 タイプIコラーゲンの骨形成マーカーと尿のN-テロペプチドを、骨吸収として骨の特有のアルカリ・ホスファターゼを測定した。

治療前の骨密度は、平均して腰椎については、-0.7(±0.9)、そして、骨全体においては、-0.13(±1.0)となっており、一般の同じ年齢層の子どもと比較して、標準値よりわずかに下回っていただけで、5年間にわたるテノホビルの療法が、骨密度の値に大きな変化を及ぼすわけではないことが証明された。研究者は、「テノホビルを含む治療は、HIVに感染した若者の骨密度を減少させない」と結論づけた。

テノホビルは、いくつかの研究においては、大人の骨密度を下げる作用があるとされており、米国国立衛生研究所は、平均12〜13歳の21人の子どもを2つの研究グループに分け検証を行ったところ、テノホビルの服用により、骨密度が減少したと報告されている。本研究と、イタリアの研究結果との違いは、イタリアの子供たちの年齢の高さや高い身長、zスコアの体重にあるといえる。

原題:5-Year Study Sees No Bone Mineral Drop in Youth Taking Tenofovir
出典:International AIDS Society
日付:November 20, 2010
URL:http://www.iasociety.org/Default.aspx?pageId=5&elementId=13133

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★編集後記
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大掃除の季節ですね!
きれいな部屋はものが少ない、がモットーの編集員Wは、いらなくなった洋服をフリマにだしました。実は私、フリマが趣味ってくらいよく開いています。。。毎回二束三文で売れていくのをみて、もう無駄遣いしない!と心に誓うのですが買い物もやめられないんですよね。。

肝心の売り上げですが、ほとんど100円で売り切り(゜o゜;;出店料とランチ代をギリギリ確保できました。
部屋もすっきりしたし、そうじをがんばろう!

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