国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

全て表示する >

(GAU135号)アフリカでも進むMSM向けエイズ対策と調査=ケニア=

2009/12/28


----------------------
★「第135号」目次
----------------------
地域情報
●アフリカ
1.南部アフリカ:HIV陽性者の生命保険加入は依然として困難
2.ガーナ:一部の教会が信徒に婚前HIV検査を強制=反対の声上がる
3.ケニア:ゲイ向けのHIVプログラム計画を報じる新しい調査
4.南アフリカ:アルコール依存とHIVの致命的な組み合わせ
5.ジンバブエ:HIVスティグマと闘う女性サッカーチーム

●アジア
1.ブルネイ:「予防対策が大事」〜低感染率の国々へのメッセージ

● 国際機関
1. 世界基金、ロシアへの資金拠出継続=特例措置=
2. HIV/AIDSへの資金カットでこれまでの成果が台無しに?国境なき医師団が警告

---------------------------------------------- Vol.6 No.8 ----

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

-------------------------------
★南部アフリカ:HIV陽性者の生命保険加入は依然として困難
-------------------------------

途上国でも抗レトロウイルス薬治療(ARV)とHIV陽性者差別禁止法の導入が進んだことにより、エイズと他の深刻な慢性疾患の違いはかなり減少したといえる。しかし、HIV陽性者にとって、ローン組みや保険の加入は、依然として大きな障害となっている。

サブサハラ砂漠以南アフリカ諸国では、ほとんどの生命保険企業が、保険加入希望者らのHIV検査結果の提出を必須としており、陽性結果が出た場合は保険適用を拒否している。生命保険を担保として、ローンが組まれるため、金融機関から資金を借りることも難しい。

アフリカ南西部のナミビアのNGO「法律サポートセンター Legal Assistance Centre (LAC)」は、政府に対し、保険業界におけるHIV陽性者差別撤廃法の法制化を訴えている。しかし効果はまだ見えてない。 HIV陽性者は死後にも差別される。保険加入後、HIVに感染した旨を伝えずに、日和見感染症などで亡くなった場合は、契約した保険が無効になってしまう。 

隣国ボツワナでもHIV検査を必須とする保険会社が多い。メトロポリタン・ライフ社 Metropolitan Life は、HIV陽性者も保険に加入することが可能だが、支払わなければならない額が高額である。一方で、HIV陰性者は5年ごとに再検査するが、陽性反応が出た場合、保険契約が自働的に純粋な貯蓄に変わってしまう。 

「ボツワナ倫理・法律エイズネットワーク」 Botswana Network on Ethics, Law and HIV/AIDS (BONELA) 法務部アシスタントのリニー・ケオラペツェ氏 Linny Keorapetse  は、「ボツワナは世界で2番目にHIV感染率の高い国だが、ARV治療の普及率も高く、治療を受けた人々の寿命も20年以上延びている。しかし同国の憲法は社会的・経済的権利を保障していないため、裁判を起こしにくい。」 と指摘する。

一方でHIV陽性者の生命保険に特化した保険会社もある。南アフリカ共和国のオールライフ AllLife である。同社経営責任者かつ共同創設者、ロス・ビアマン氏 Ross Beerman は、「オールライフの扱うモデルは通常とは異なる。標準モデルは加入希望者の過去の態度をベースとしているが、我々は将来への前向きな姿勢をベースに価格設定している。」と、述べる。 

保険加入者は、定期的に血液検査を行い、必要ならばARV治療を受けなければならない。その際、同社は医療従事者を通しARV治療の受診状況を確認しフォローをする。 保険料は通常の生命保険の2倍から5倍だが、リターンは家の購入やビジネスの立ち上げの資金となる。また、ARVのフォローにより、保険加入者の健康状態は良くなる傾向がある。 同社は高度な管理システムとITシステムを稼働。他の発展途上国では難しい血液検査結果の電子化などだ。ボツワナではこのようにHIV陽性者に特化した生命保険を扱う会社はない。 しかしHIV陽性者も他の人々と同じように主流な経済活動に参加する権利があると、ビアマン氏は述べる。 

原題:SOUTHERN AFRICA: Life insurance for HIV-positive people, at a price
日付:22 October 2009 
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportId=86698

-------------------------------
★ガーナ:一部の教会が信徒に婚前HIV検査を強制=反対の声上がる
-------------------------------

西アフリカのガーナ共和国では、一部の教会が信徒に対して婚前のHIV検査を強制していることが問題となっている。教会のこの様な行為に対して、このほど開催されたHIV/AIDS関連の全国セミナーに参加していた人々から憤りが表明された。

婚前HIV検査の強制に反対する人びとは、HIV検査を受けるか否かを決めるのは完全に個人の意思に基づくべきであり、HIV検査の強制は廃止されるべきであると訴えた。反対する理由としては、教会のリーダーたちが検査結果を他の信徒たちに漏らすことでHIV陽性者に対する差別・偏見が引き起こされているためであると述べた。

彼らはさらに、教会の信徒たちに対して、検査を受ける心の準備が出来ていない場合は強制的な検査を拒否するよう呼びかけた。また、医療関係者が個人情報を教会に漏洩する行為は倫理的に間違っていることを強調した上で、「ガーナ国家エイズ委員会」 Ghana AIDS Commission に対して、国家エイズ政策2004 National AIDS Policy of 2004 が遵守されるよう、「ガーナ医療協会」 Ghana Medical Association 及び「ガーナ看護協会」 Ghana Registered Nurses Association と協力するよう訴えた。

彼らはその他、女性の権利を守るために、未亡人相続(結婚している女性が亡くなった場合、かわりに亡婦の姉妹がめとられる伝統的な社会的慣習)を取り締まる法案の通過に対する支持も表明した。

セミナーでは、女性のHIV/AIDSに対する脆弱性に関する意見交換も行われた。「ジェンダー研究と人権に関する情報センター」Gender Studies and Human Rights Documentation Centre (GSHRDC) のドーカス・コーカー=アピア Dorcas Coker-Appiah 氏は、一夫多妻制が女性のHIV感染へのリスクを高めていることを指摘し、その様な婚姻関係にある女性に対して、VCT(自発的カウンセリングとHIV検査)を受けるよう呼びかけた。また、HIV陽性者が彼ら自身とその家族の生活を支え、必要な薬を購入することが出来るよう、陽性者に対するさらなる金銭的支援の必要性を訴えた。

GSHRDC及び地元NGOにより開催されたこのセミナーには、ガーナ全国の10地域から参加者が集まった。英国のNGOである「ウーマンカインド・ワールドワイド」Womankind Worldwide、英国国際開発省、 英国の団体「コミック・リリーフ」Comic Relief、 「アフリカ女性開発基金」African Women Development Fund等が後援を行った。

原題:Participants Kick Against HIV/Aids Mandatory Tests Before Marriage
出典:all Africa.com
日付:2009年10月27日
URL:http://allafrica.com/stories/200910271138.html

-------------------------------
★ケニア:ゲイ向けのHIVプログラム計画を報じる新しい調査
-------------------------------

東アフリカのケニア共和国で、「男性と性行為をもつ男性」men who have sex with men (MSM) 対象の国レベルの調査がこの12月に開始される。これにより、HIV感染に脆弱性を持つ人口集団であるMSMを国のHIVプログラムに組み入れるための計画の第一歩が踏み出される。国家エイズ・性感染症対策プログラムNational AIDS and Sexually transmitted infections Control Programme (NASCOP) 局長の.ニコラス・ムラグリNicholas Muraguri氏が発表した。

ムラグリ氏は、「政府は、MSMがHIV新規感染において大きな割合を占めているにも関わらず、対策を怠ってきました。しかし、手に負えない状況になるまで傍観しているべきではないと決心したのです。」と、述べている。

ケニアでは、MSM間のHIV感染に関する調査・研究は僅かしか行われていない。2007年にモンバサ Mombasa で実施された285人の男性を対象とした調査では、性行為の対象を男女両方とする男性のHIV感染率が12.3%であったのに対し、性行為の対象を男性のみとする男性のHIV感染率は43%とかなりの高率であることがわかった。ケニアの国全体のHIV感染率は7.4%と報告されている。

今回の調査は、MSMとしてカミングアウトしている男性を通してカミングアウトしていない男性へのアクセスをも試みるRespondent-Driven Sampling (RDS)法を採用し、MSM特有の性の健康上のリスク及びニーズ、MSMに人気のある場所、MSM向けの医療サービス等の情報収集を目指す。実施期間は12月から半年間の予定となっている。

今回の調査に対する当事者であるMSMの反応は様々である。

NASCOPの研修を受けピア・エデュケーターとして活動しているセックス・ワーカーの男性は、「今日話をした75人のMSMセックス・ワーカーのうち40人がHIV陽性でした。彼らは途方に暮れています。彼らの多くは差別・偏見のために家から追い出されホームレスになっています。今回の調査がMSM向けのHIVサービスの向上につながることを期待します。」と述べている。

一方、MSMとしてカミングアウトしていない男性は、「同性愛を違法としている政府を信じることは到底出来ない。私たちのことを詮索することなどせず、サービスを提供してもらいたい」と訴えている。

ケニアでは、(編集部注:英国の植民地時代に出来た法律により)同性愛は違法とされており、最高14年の禁固刑に処せられる。MSMの懸念に対してムラグリ氏は、「問題の緊急性により、法律を無視せざるを得ない状況であると認識している。また、政府も差別・偏見が引き起こされる事態は最も避けたいと思っている。政府がHIVサービスを提供する際には(調査によって得た)情報を使用している。」と説明し、今回の調査が特別なものではないことを強調した。

原題:KENYA: New survey to inform HIV programming for MSM 
出典:PlusNews
日付:2009年11月9日
URL:http://www.plusnews.org/report.aspx?ReportID=86932

-------------------------------
★ジンバブウェ:HIVスティグマと闘う女性サッカーチーム
-------------------------------
南部アフリカのジンバブウェでは、女子サッカーが、HIV/エイズによるスティグマに対抗するために活用されている。HIV感染を公表した女子選手たちから成る16チームが、現在、女子サッカーの大会に参加している。選手たちの勇気は賞賛に値するが、一方、同国では依然根強い差別や偏見が残っている。

ジンバブウェはHIV感染の拡大によって、世界でも最も大きな影響を被っている国の一つだが、最新の統計では、感染率は人口の13.7パーセントに「減少」している。

首都ハラレの外れに位置する、あまり綺麗とは言えないエプワース Epworth 地区をホームとする女子サッカーチーム「ARVスワローズ」は、これまで行われた三つの大会全てで、優勝の栄誉を勝ち取った。当初、選手たちを嘲笑していた人々も、選手たちが優勝のトロフィーを手に凱旋してからは、態度を改めた。選手達の体調にもよい影響があるようだ。

 そう言うものの、同国に根強い女性蔑視も相まって、依然前途は多難である。ジンバブウェ・プレミアリーグ前会長のクリス・サンボ Chris Sambo は、もっと大勢の人に観てもらうために、男子の試合の前座として、HIV感染者の女子チームの試合を行おうとした。しかし彼の企ては、女性蔑視とHIV陽性者に対する差別の壁によって、阻まれてしまった。

 HIV陽性者の女子サッカー大会は、昨年12月に始められた。続いて、この男性版をやろうという試みがなされたが、2チーム分の選手さえ集められず、失敗に終ってしまった。しかし、サンボには壮大な夢がある。それは、アフリカ南部でのHIV感染の拡大に配慮するよう訴えて、来年南アフリカで行われるワールドカップの開会式の最後に、HIV陽性者による国際サッカー大会を組み入れることである。

原題:Zimbabwe women combat HIV stigma 
日付:October 26,2009
出典:BBC
URL:http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/africa/8304292.stm

-------------------------------
★南アフリカ:アルコール依存とHIVの致命的な組み合わせ
-------------------------------
 南アフリカ共和国の最大都市ジョハネスバーグ郊外の、旧黒人居住区ソウェト在住の57歳の女性エリザベスは、アルコール依存症で、HIVにも感染している。彼女はHIVの治療のために、ARV薬の投与を受けているが、過度の飲酒のせいで、さしたる効果は上がっていない。

エリザベスは、病弱な二人の姉を世話しなければならないので、悪化する一方の経済状態から、気を紛らわせようと、酒を呑むのだという。エリザベスにとって悪いことに、この姉たちは、酒に酔うと、彼女のHIV感染を罵倒するとのことである。

彼女は、医師と看護師から、アルコール依存症を克服するために、南アフリカ共和国の「国家アルコールおよび薬物依存評議会」 South African National Council on Alcohol and Drug Dependence の実施するサービスに行くよう、強く勧められた。

 実はエリザベスは、1990年代に同評議会のサービスでリハビリを受けたことがあった。しかしこの時には断酒は、半年しか続かなかった。とは言え今回は、エリザベス自身、アルコール依存症を克服したいと切に願っている。ARV薬の投与を受けている患者にとって、過度の飲酒がどれ程危険か、十分自覚しているからである。

 ジョハネスバーグののウィッツ・ドナルド・ゴルドン医療センター Wits Donald Gordon Medical Centre のゲイル・アシュフォード Gail Ashford 氏によれば、ARV薬とアルコールの同時摂取は、免疫系に影響して、エイズの発症を早めてしまう危険性があるばかりでなく、痴呆の原因にさえなるという。

 エリザベスは地元の南アフリカ国家アルコールおよび薬物依存評議会の支部を訪れ、ソーシャルワーカーによるカウンセリングを受けた。彼女は、そこでリハビリを受けて、今度こそアルコール依存症を克服出来るだろうという希望を抱いている。

原題:A deadly combination of HIV & alcoholism
日付:October 17,2009
出典:health-e
URL:http://allafrica.com/stories/200910201247.html

-------------------------------
★ブルネイ:「予防対策が大事」〜低感染率の国々へのメッセージ
-------------------------------

2009年11月9日、東南アジアのカリマンタン島にある小さな産油国、ブルネイ・ダルサラーム国(以下、ブルネイ)の首都バンダル・スリ・ブガワンのザ・リズクン・インターショナル・ホテルで、同国の第17回エイズ戦略タスクフォース会合 Mean Task Force on Aids Meeting が開催された。開会式で、タスクフォース保健分野感染症対策課兼ASEAN事務局人材開発局保健・人口課課長を務めるブンペン・ピラウォン医師 Bounpheng Philavong は、「予防こそが何よりも重要である。」と述べた。同国のHIV感染率は、東南アジア諸国の中では最も低いうちの一つである。

同医師は、地元メディアに「わが国は東南アジアの国々のなかで、HIV感染がラオス、フィリピンと共に低い。2007年は、東南アジアおよび太平洋地域の感染者数は500万人程度であり、年間感染者数は38万人にも上る」と語った。 「ブルネイでは、政治家らや保健省・他機関と多くのエイズ・サービス組織らが連携しエイズ対策が行われている。継続的にASEAN諸国のお手本となるよう、国内HIV感染予防対策を行いたい。」と意気込みを語った。ただし同医師による意見の根拠となる統計等はない。

同医師は「今後も国内での予防教育は引き続き行い、人々がHIV感染について意識することが重要である。特定の人口集団だけの感染症ではない。国々によって状況は違うものの、東南アジア諸国では、夫を持つ女性が夫から感染させられる、というケースが増えていることも忘れてはならない。」と述べる。同国では、2003年より医師に対してHIV陽性者を報告する義務が課せられ、56例が報告されているが、HIV陽性者である国民および永住権所有者は、抗レトロウイルス剤治療の他、カウンセリングを含めた保健サービスを無料で受けられる。

保健サービス部門次長 ハッジャ・ラーニアー・ハッジ・モフド・サイード氏Dr Hjh Rahniah Hj Mohd は、開会式に際して「我々は、今後もわが国の人口やライフスタイル、社会構造等に照らし合わせながら、エイズの状況を常にモニタリングしていくだろう。」と述べた。 
 
原題:Brunei's HIV Infection Rate Lowest In Southeast Asia
日付:Tuesday, 10 November 2009
出典:BruDirect.com website
URL:http://ip-174-142-62-49.static.privatedns.com/index.php/2009111010188/Local-News/bruneis-hiv-infection-rate-lowest-in-southeast-asia.html


-------------------------------
★世界基金、ロシアへの資金拠出継続=特例措置=
-------------------------------

世界エイズ・結核・マラリア対策基金は、特例措置として、ロシア連邦のエイズ対策に2400万ドルの資金を拠出する。この資金により、薬物使用者やセックス・ワーカーのような、脆弱性の高いグループに対するHIV予防プログラムが2年間延長される。

2004年に世界基金の資金拠出により開始した、ロシアの「オープン・ヘルス財団」の5年間総額8874万ドルのプロジェクトは、今年8月に期間満了となった。11月11日にエチオピアのアジスアベバで開かれた世界基金の理事会において承認された新たな基金により、助成金の交付は2011年12月31日まで延長されることとなった。

世界基金の資金拠出を受けて実施されている、このHIV予防プロジェクトは、ロシア連邦の83の行政区のうち、10の行政区を対象に、NGOが「GLOBUS」という名称のコンソーシャム(連合)を組んで実施している。このプロジェクトは、HIV/AIDSに対する啓発と、新規感染の防止に関して、大きな役割を果たしている。

ロシアでは、2007年の新規感染の3分の2を薬物使用者が占めている。このプロジェクトは、薬物使用者に対して福祉サービス、注射針の交換、カウンセリングや検査、コンドームの配布などの各種サービスを提供している。

世界基金は、その資金拠出対象国を低所得国およびHIVの影響を強く受けている一部の中所得国に限っており、高中所得国 Upper Middle-income Countryであるロシアは、世界基金の資金の受給資格がない。しかし、理事会は、資金提供が途切れた場合に想定される非常事態を鑑み、オープン・ヘルス財団に対し、特例で助成金交付の延長を決定した。世界基金の理事会は、2010年後半に受給資格の見直しを行う予定だ。

なお、これまで世界基金の資金で実施されてきた、ARV治療やPMTCT(母子感染予防)や一般の市民における予防などのプロジェクトは、今後はロシア政府により引き継がれる。

「ロシアのGLOBUSコンソーシャムに対し、世界基金の資金拠出を延長するという理事会の決断は、実利にかなっており、また、人々の苦難に共感的に対応するものでもあります。」世界基金のミシェル・カザツキン事務局長はこう話す。「国内で最もHIVに対し脆弱なグループの新規感染を予防し、命を救うという、極めて重要な役割を継続できるという意味で、実利的だといえます。一方で理事会は、世界基金の資金拠出に当たって、単純にその国が富裕国か貧困国かのみを基準としているわけではなく、最も必要とする人々という観点も含めて資金拠出先を決定しています。また、世界基金とロシアの間の重要なパートナーシップの強化に一役買っていることについても、喜ばしく思います。」

ロシアの人口1億4300万人のうち、100万人がHIVに感染していると想定されている。
ロシアは世界基金の受益国であったと同時に、資金提供国として、世界基金に対し、2億2585万ドル の資金拠出を提供して、世界のHIVプロジェクトをサポートしてきた。

原題:GLOBAL FUND TO PROVIDE $24 MILLION OF NEW FUNDING TO FIGHT HIV/AIDS IN RUSSIA
日付:13 November 2009
出典:Global Fund Website
URL:http://www.theglobalfund.org/en/pressreleases/?pr=pr_091113


-------------------------------
★HIV/AIDSへの資金カットでこれまでの成果が台無しに?国境なき医師団が警告
-------------------------------

「国境なき医師団」は、2009年11月、今後予測される世界的なHIV対策予算の削減に対して警告を発する声明を発表した。

国境なき医師団は、HIV対策予算の削減により、これまでの成果が損なわれる可能性があると警告する。ワシントン・ポスト紙によれば、現状は大幅な削減には至っていないが、これまでのような、HIV対策予算の継続的な増額には、暗雲が立ち込めているという。

世界のエイズ対策に資金を供給する主要なイニシアティブである、世界基金と米国大統領エイズ救済緊急計画 PEPFAR は、共に予算削減を強いられており、世界基金のAIDS対策予算が減少する可能性がある。

現在200万人以上のHIV陽性者の治療をサポートしている、大統領エイズ救済緊急計画の予算は、2009年から2010年にかけて横ばい状態であり、国境なき医師団によれば、「2011年も同様に増額されない模様」だという。もともと、大統領エイズ救済緊急計画では、2013年までに、世界で300万人のエイズ治療を実現する予定であった。

オバマ政権下で新たに地球規模エイズ調整官に就任したエリック・グーズビー氏は、「我々を取り巻く世界の状況は変化している。世界経済危機の時代にあっては、われわれは、これらの変化に対応して、より広い観点から、数ある世界の課題のうち、どれに対して資金を投入するかについてのバランスをとらなければならない」と主張する。「その結果、我々は大統領エイズ救済緊急計画の発展に向け、次の段階に進むための計画を立てなければならず、初期のような予算の大幅な増額は見込めないだろう。」

俺に対して、国境なき医師団のティド・フォン・シェーン=アンゲラー医師 Tido von Schoen-Angerer はこのように警告している。「かつて90年代には、HIV陽性者は病院から追い払われていた。最近の予算削減により、医師や看護師が、病院や診療所に来たHIV陽性者に、お引取り頂かなければならないような状況が生じてきている」。

原題:MSF WARNS THAT HIV/AIDS FUNDING PLATEAU COULD HALT RECENT GAINS
日付:09 November 2009
出典:International AIDS Society website
URL:http://www.iasociety.org/Default.aspx?pageId=5&elementId=12274


------------------------
★編集後記
------------------------
寒いですね〜クリスマスですね〜。みなさん、どんなふうに過ごされましたでしょうか。編集員Wはあえて書きません!
今号で2009年最後となりました。2004年に創刊してからはや6年。。。続いてるのは読者の皆様のおかげ、そして僭越ながらボランティアで続けている編集&翻訳チームの努力の結晶でもあります。。来年もどうぞよろしくお願いします!よいお年をお迎え下さい。
------------------------
★メールマガジンご案内
------------------------

★メールマガジン「グローバル・エイズ・アップデイト」は、世界のHIV/AIDS問題の最新動向を網羅するメールマガジンにして発行しています。

★HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。

★このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語に要約し、隔週で発行しています。

★継続して購読を希望される方は、以下の講読申込票をメールマガジン発行元((特活)アフリカ日本協議会)までご送信下さい。また、本メールマガジンを発行している「Melma!」の以下のサイトから登録することもできます。
http://www.melma.com/backnumber_123266/

---------------------------------------
<講読申込票>info@ajf.gr.jpまで
---------------------------------------
★氏名
★所属(あれば)
★メールアドレス
★ご在住の市町村
★コメント
---------------------------------------

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-09-14  
最終発行日:  
発行周期:隔週  
Score!: 81 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。