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85号(Global AIDS Update)

発行日:12/23





■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
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第85号(第4巻第9号) 2007年(平成19年)12月22日
Vol.4-No.9(No. 84) Date: December 22, 2007 

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
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★「第85号」目次
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地域情報

● アフリカ
1.南アフリカ共和国:ハウテン州で官民を挙げてのエイズ対策協力を呼びかけ2.南部アフリカ:結核とHIV治療の統合が必要

● アジア・太平洋
1.インド:男性の政治家はどこへ?第4回アジア太平洋リプロダクティブ・ヘルス&ライツ国際会議より
2.インド:注目を浴びる女性用コンドームの普及

● 国連・国際機関関係
1. 国連:Google・Ciscoと共同し、貧困対策プロジェクトの情報サイトを開設
2. 世界エイズ・結核・マラリア対策基金:11億ドル分の新規案件を承認
3.G8洞爺湖サミットに向けて日本で世界基金に関するシンポジウムを開催

● オピニオン
1.オピニオン:エイズ対策を持続可能なものにするために

---------------------------------------------- Vol. 4 No. 9----

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

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南アフリカ共和国:ハウテン州で官民を挙げてのエイズ対策協力を呼びかけ
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11月15日、南アフリカ共和国の首都プレトリア、最大都市ジョハネスバーグを擁するハウテン州で2日間にわたり、ハウテン州・エイズ会議 Gauteng AIDS Conferenceが開催され、ムバジマ・シロワ・ハウテン州知事 Mbazima Shilowaは、「ビジネス界、政府、非政府組織、地域社会、すべてが一丸となってHIV/エイズに立ち向かわなくてはならない。」と800人の出席者に呼びかけた。「エイズは、すべての人に影響する問題であり、啓発活動だけではとても解決できない。私たち一人一人の意識と十分な情報をもっての意思決定が不可欠である。つまり私たち個々人が自分で決めて行動を改善し、共同で努力を続けていけば成果をもたらすことができるはずである」。

シロワ氏によれば、必要なのは、政府と他セクターの関係者がより統合した連携を図り、これまでの対話を実際の行動に変えていくこと。つまり、治療法をどう改善するか、複数の薬剤への耐性を持つ多剤耐性の問題にどう取り組むかなど、具体的な働きかけを行っていかなければならないということだ。

南アの著名なHIV陽性者団体「治療行動キャンペーン」Treatment ActionCampaignのアグネス・モロイ氏は、1991年にHIV陽性と診断された人物である。モロイ氏は会議で、農村部でのHIVエイズに関する教育の必要性を訴えた。
また、地域社会で成果を挙げた例として、ハウテン州西部のウエストランド県 Westrandがとりあげられ、県職員であるドーラ・ノンドザバ氏 Dora Nondzabaは、県内の各地でエイズ委員会を設立し、一軒一軒家庭を訪問したと報告した。地域でHIV/エイズに関してのトレーニングを実施したことで、地元からのサポートも得られた。

トレーニングに加えて、HIV陽性者に絞り、収入向上のためのプロジェクトも実施しており、同氏は「このように地域に的をしぼったアプローチが、HIV/エイズ対策に効果的だと確信している」と話している。

ハウテン州での会議では、HIV感染を食い止め、また感染した家族へ社会サポートを提供するなど、エイズへの対応をより強化していくための提言を検討することであった。南アフリカの2007年から2011年までのHIVエイズ国家戦略を今後見直すことによって、今後のエイズへの対応に新たな息吹を吹き込むことが期待できる。また、同会議では、国、州、そして地方政府の連携についても再考の機会が与えられた。同戦略には、今後、大規模に活動を展開するとともに、地方レベルでも活動が持続するよう必要な資源や人材、管理が確保できるような支援の必要性についても検討されるべきである。
 
原題:Call for Joint Effort to Curb HIV
日付:15 November 2007 出典:All Africa.comURL:
http://allafrica.com/stories/200711150743.html

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★ 南部アフリカ:結核とHIVの治療の統合が必要
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11月8日から12日にかけて、南アフリカ共和国ケープタウンで「肺の健康に関する第38回世界会議」 the 38th Annual World Conference on the Lung Health が開催された。之に向けて、結核の問題に取り組む専門家グループが、南部アフリカでの結核とHIVの感染拡大に対して、2009年末までに取り組むべき4つの課題を策定した。

4つの課題とは、「より多くのHIV陽性者への結核診断テストの実施」、「結核とHIVに関する治療の統合および分散化」、「よりよい感染対策」、そして「薬剤耐性結核の予防と治療(多剤薬耐性結核 MDR-TBと超薬剤耐性結核XDR-TBの両者に対して)の改善」の4つである。

このレポートでは、南部アフリカでのHIVの感染拡大が世界的に注目を集めている一方で、同様に深刻な状況にある結核の感染拡大が実質的に隠蔽されている事態を問題視している。
「南部アフリカでの結核とHIVに立ち向かう」と題された同報告書は、「結核が南部アフリカ地域でHIVと共に生きる人々にとって最大の死因となっており、新規結核感染者に占めるHIV感染率は50%をはるかに上回る。」と事態の深刻さを伝えるとともに、この2年間で4つの重要課題を達成していくための方法を紹介している。

世界保健機関(WHO)によると、結核の新規感染者数の高い、上位15か国中9カ国は南部アフリカ地域で占められているという。

原題:TB And HIV Treatment Must Be Integrated
日付:7 November 2007
出典:Health-e(Cape Town) website
URL:http://www.health-e.org.za/news/article.php?uid=20031803

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★ インド:男性政治家はどこへ?〜
第4回アジア太平洋リプロダクティブ・ヘルス&ライツ国際会議より
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第4回アジア太平洋リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(生殖に関する健康と権利)国際会議(APCRSH)が、2007年10月29日から31日にかけて、インド中央部に位置するハイデラバードの国際会議場で開催された。40カ国以上、1,300名以上の参加者を迎え、女性、思春期の若者、トランスジェンダーや性的少数者らのリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(生殖に関する健康と権利)について討議された一方、男性政治家らは、数々のセッションを欠席するなど、これらの課題について重きをおいていないように見うけられる会議となった。

インド保健家庭福祉大臣であるアンブマニ・ラーマドース氏 Anbumani Ramadoss とアーンドラ・プラデーシュ州知事 Andhra Pradesh イェドゥグリ・サンディンティ・ラージャシェーカル・レッディ氏 Y.S. Rajasekhara Reddy は、APCRSH会議の開会セレモニーを欠席した。その理由は「ウイルス性の発熱」および「家庭の事情」とのことである。。また国連人口基金事務局長 トラヤ・オベイド氏 Thoraya Obaid も基調講演を行うことができず、事務局次長である プルニーマ・マネ氏 Purnima Mane が代読した。

一方、中国人口家族計画協会 National Population and Family Planning Commission の次長 Vice Ministerを務めていザオ・バイジ氏 Baige Zhao が、彼らの欠席の穴を埋め、また初日の全体会では、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツの実施に向けて〜未解決の課題への取り組み 'Implementing Sexual and Reproductive Rights: An Unfinished Agenda'」と題して、インド女性・児童開発担当国務大臣 Minister of State for Women and Child Development レヌカ・チョードリー氏 Renuka Chowdhury が、その存在感を十分に示した。

インド独立後初の女性大統領として当選した プラティバ・パシル氏 Pratibha Patil 、首相 マンモハン・シンManmohan Singh およびインドの中道左派政党の連合体である「統一進歩同盟 United Progressive Alliance (UPA)」総裁ソニア・ガンディー Sonia Gandhi がそれぞれ賛辞のメッセージを送った。

UNFPA事務局次長 プルニーマ・マネ氏は、高い妊産婦死亡率、女性のHIV感染、女性に対する暴力等について言及し、女性らのリプロダクティブ・ヘルス&ライツを守ることは、妊産婦死亡率および妊娠関連疾病への罹患率減少とミレニアム開発目標達成に不可欠であると述べた。

国際家族計画協会 the International Planned Parenthood Federation 事務局長 ジリアン・グリア氏 Dr Gillian Greer は、女性が「自分の身体を守る権利」は、家族計画にとって重要なことであり、関連する政策や実施プログラムが遂行されることで、女性、特に少女や少年のリプロダクティブ・ヘルス&ライツを満たすことができるだろうと述べた。

なお、第5回アジア太平洋リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(生殖に関する健康と権利)国際会議(APCRSH)も、中国にて開催予定となっている。

参考記事:グローバル・エイズ・アップデイト75号:
「インドで第4回アジア太平洋リプロダクティブ・ヘルス&ライツ国際会議が10月に開催」http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/50959194.html

原題: Men politicians missing at the APCRSH meet
日付: Monday, October 29 2007
出典: OneIndia website
URL: http://news.oneindia.in/2007/10/29/men-politicians-missing-at-the-apcrsh-meet-1193656069.html

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★インド:注目をあびる女性用コンドームの普及
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インドの国営コンドームメーカーであるヒンドゥスタン・ラテックスHindustan Latexは女性用コンドーム「Confidom passion rings」の出荷準備を完了した。それに合わせ、国家援助管理機構 National Aid Control Organizationも61のNGOと協力し、国内の6州で約6万人のセックスワーカーたちにこれを配給する計画を進めている。

男性がコンドーム使用を拒否する事例が後を絶たない中で、男性用コンドームの有効な代替手段となりうるため、女性用コンドームが普及すれば、女性にとっての、「安全なセックス」に向けた行動選択の余地が広がる女性用コンドームがあれば、自分自身でHIVやその他の感染症から身を守ることが可能になる。女性用コンドームへの期待が最も高い集団がセックスワーカーたちだ。南インドのハイデラバード市に住む、あるセックスワーカーは、「最初は、財政大きさなどから使いにくい印象を受けたが、実際に使用するとそれほど難しくなく、自分の意思で予防ができるのは素晴らしい」と語る。その丈夫さから、男性の同性愛者でも使用する人が増え始めている。

この製品には、装着に時間がかかったり、価格も男性用のものの2倍程度かかったり、問題はあるが、多くの女性は、女性本位の性感染症対策という点で女性用コンドームの使用に前向きな姿勢を示しており、使用者の増加が将来的に期待されている。

原題:Female condoms: Shifting the burden of safe sex to women?
出典:Infochange News & Features
日付:2007/11/14
URL:http://www.infochangeindia.org/features457.jsp

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★国連:Google・Ciscoと共同し、貧困対策プロジェクトの情報サイトを開設
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国連は、ネットワーク技術最大手企業のGoogle、Ciscoと共同し、貧困対策およびミレニアム開発目標 Millennium Development Goals (MDGs) 達成に向け、世界中で行われているプロジェクトのデータや地図情報を提供する新ウェブサイト「MDG Monitor」を開設した。 

MDGsとは、2000年9月米国ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで合意された「世界の貧困をなくす」ための時限的な目標である。147の国家元首を含む189の加盟国は、21世紀の国際社会の目標とし、国連ミレニアム宣言を採択した。当時の世界中の首脳が、保健・教育・栄養・女性の地位等、貧困の要因となる項目についての最新の統計を出しあい、検討された中で合意された。2015年までに、極度の貧困状況にある人口比率の半減、普遍的初等教育の普及、5歳未満児死亡率を3分の2削減、HIV感染拡大阻止およびその感染率の減少、安全な飲料水を確保できない人数の半減等が含まれている。

今回開発されたウェブサイト「MDG Monitor」では、世界中の国々によるMDGs達成のためのプログラムに関する情報が閲覧でき、またGoogleユs Earthの機能も利用可能で、世界中のプロジェクトが行われている場所を地図・衛星画像で見ることもできる。 

国連事務総長であるパン・ギムン(潘基文)氏によれば、1日1米ドル未満で暮らす人々が依然として約10億人おり、毎年何百万人もの子どもたちが栄養失調関連の要因により5歳未満で命を落とし、エイズやマラリアのような感染症が最も貧しい国々に最もひどい損害を与え、そしてスラムに暮らす人々が何百万人もいるという。 

こうした状況に対して、世界中で緊急に対策を講じる必要がある。しかし、HIVには特効薬もない以上、今回の新ウェブサイトは「MDGsを達成するためのツール」の1つにあてはまるであろう。このサイトではインターネットの力を利用し、MDGsという国連の目標のすべてが初めて「必要とする人誰にでも、クリックするだけで」手に入れられるため、政策策定者や開発専門家にはお互いの成功した点・失敗した点を共有できる。さらに一般の人々もアクセスできるため、国連の目標達成に対する関心を高めることもできる。 

このウェブサイト開設促進に携わった国連開発計画 United Nations Development Programme (UNDP)によると、このプロジェクトの予算は20万米ドル(13万9000ユーロ)で、うち15万米ドル(10万4000ユーロ)は企業からの寄付で賄われている。

また、UNDPによれば、「MDG Monitor」 のデータは、国連機関や世界銀行、各国政府から得られているものであり、入手困難な統計があったり、入手機関によってデータが異なったりすることがあるという。今後はこうした短所が徐々に改善され、そうした統計データを集めるあらゆる組織・団体が情報提供できるようになることが望まれる。

参考ホームページ:「MDG Monitor」 http://www.mdgmonitor.org

原題:UN teams up with Google and Cisco Systems to track global efforts to fight poverty
日付:November 2, 2007
出典:International Herald Tribune
URL:http://www.iht.com/articles/ap/2007/11/02/news/UN-GEN-UN-Fighting-Poverty.php

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★世界エイズ・結核・マラリア対策基金:11億ドル分の新規案件を承認
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11月12日・13日に中国・雲南省昆明市で開かれた世界エイズ・結核・マラリア対策基金の理事会は、2009年までの73の新規プロジェクトに対する資金援助と今年期限切れとなる5つの既存プロジェクトの資金援助継続を承認した。この第7回目の新規案件募集でのプロジェクト承認率は申請されていた全案件の50%に達し、過去第6回のラウンドの平均である40%を上回り、承認されたプロジェクトの2年分の資金合計額は過去最高となる11億ドルに達した。
 
2002年に設立された世界基金は、エイズ、結核、マラリア対策を資金援助しており、各国政府からも大きな寄付を受けている。現在では全世界のエイズ対策費用の約20%を拠出するなど、エイズ対策の分野において欠かすことのできない支援機関となった。この世界基金の援助したプログラムによって、110万人がエイズ治療を、280万人が喘息治療をそれぞれ受け、結果として約200万もの人命を救ったとされている。近年、世界基金に対する期待はさらに高まっており、支援額は今後も増大していく可能性が高い。

 今回の第7ラウンドで認可された補助金の80%以上は貧困国へと向けられている。地域別には、アフリカへ66%、アジア・太平洋西岸に13%、中南米に5%、東欧に3%、中東地域に13%の予算がそれぞれ割り当てられたことになる。

原題:BOARD OF THE GLOBAL FUND APPROVES US$ 1.1 BILLION
IN NEW GRANTS
出典:The Global Fund
日付:2007/11/12
URL:http://www.theglobalfund.org/en/media_center/press/pr_071112.asp 

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感染症との闘いにおける新しいパートナーシップとしての世界基金の重要性を確認
=シンポジウム「世界基金:三大感染症に取り組む新たな官・民・市民社会パートナーシップ」=
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【11月17日:東京発 グローバル・エイズ・アップデイト編集部】11月17日、東京・港区の「キャンパス・イノベーション・センター」において、世界基金先進国NGO代表理事のエイシア・ラッ セル氏ら世界基金に取り組む国際的な市民社会の代表3人と、世界基金事務局渉外ディレクターのクリストフ・ベン氏 Christoph Benn が参加して国際シンポジウム「世界エイズ・結核・マラリア対策基金=三大感染症に取り組む新たな官・民・市民社会パートナーシップの挑戦」が開催された。

 シンポジウムの主催は外務省。NGOの能力向上のための事業である「NGO活動環境整備支援事業」の一つ、「NGO研究会」(NGOの保健分野における国際機関との連携)を受託している(特活)アフリカ日本協議会が企画実施に当たった。参加者は約50名。

 スピーチの先陣を切ったのは、世界基金理事会先進国NGO代表団に日本の市民社会から参加している稲場雅紀氏(エイズ&ソサエティ研究会議・プロジェク トRING)。稲場氏は、日本ではあまり知られていない世界基金の仕組みや、その有効性について基本的な解説を行った。稲場氏に続いて、先進国NGO代表 団の連絡責任者を務めるオランダのジャクリーン・ウィッテブロード氏が、世界基金における市民社会のパートナーシップについて解説。市民社会が、理事会な ど中央のガバナンス部分から、実際に資金援助を受ける途上国におけるプロジェクト作りや運営、関係機構のモニタリング・評価やアドボカシーに至るまで、政 府や民間セクターと対等に参加していることを解説。「21世紀の国際機関」たる世界基金の重要性を強調した。

次に登壇したクリストフ・ベン氏は、世界基金が感染症への直接対策への資金拠出を主たる業務としながらも、保健システム強化に大きく資していることを、 事例を交えながら解説。いわゆる「感染症直接対策」と「保健システム強化」の二項対立を乗り越え、双方を拡大しながら統合的に取り組んで成果を出していく 「対角線アプローチ」 diagonal approach を提唱した。

 先進国NGO理事のエイシア・ラッセル氏は、エイズ対策における到達目標である「2010年までのHIV/AIDS予防・治療・ケア・サポートへの普遍 的アクセス」の実現の重要性を強調。この達成に向けてまだまだ資金が足りないことを強調し、また、日本がHIV/AIDSへの国際的な取り組みにおいて後 れをとっていることに警鐘を鳴らした。
 
最後に、先進国NGO代表団において結核への取り組みを代表して参加しているリザルツ教育基金のジョアンヌ・カーター氏は、三大感染症対策において結核 への対策が充分に注目されていないこと、HIV/AIDSと結核の複合感染や、多剤耐性結核(MDR-TB)、広範囲多剤耐性結核(XDR-TB)など一 般の薬が効かない結核の新たな脅威が存在していることを挙げ、結核対策における世界基金の重要な役割について強調した。

 質疑応答では、世界基金の資金支援案件において、途上国の自主性や主体性を確保する方策としてどのようなものがあるか、また、先日開催された中国理事会 におけるHIV陽性者の入国規制や人権問題についての世界基金の対応などについて質問が出された。シンポジウムは、世界基金を主要なテーマにしながら、世 界の保健戦略の動向などについての最新情報をも紹介する有益なものとなった。

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★ オピニオン:エイズ対策を持続可能なものにするために
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エイズと貧困の相互関係を理解することは、地域的かつ世界的な感染の潮流や傾向を分析する上で重要である。また、このことはHIV/エイズの予防や治療に対して有効な戦略を策定し、実施するためには欠かすことができない。

エイズの経済的な側面についての認識が高まったことで、近年、エイズに対する政治的な動きが増えている。例えば、エイズは国連安全保障理事会や国連総会の特別部会で議論の主題となった唯一の保健問題であり、かつ、G8の会議やアフリカ、カリブ海その他の地域サミットで定期的に大きく取り上げられてきた課題である。現在、40ヶ国以上の国で、エイズ・プログラムは、大統領や副大統領、首相らによって主導されている。

こうした政治的な動きに伴って、財政支援も増加している。中低所得国に対する世界のエイズ関連の支出は、1996年には2億5千万ドルしかなかったが、2007年には100億ドルにまで増加した。その結果として、例えば東アフリカ諸国の多くではHIVに感染する人が減少した。また、5年前には10万人だった抗レトロウィルス薬治療を受ける人の数が、現在では250万人にまで増加している。

今後、こうしたエイズ対策の進歩を維持し、持続可能なものにするためには次の6つの要素が重要となるだろう。

(1)「エイズを理解し、行動する」というコンセプトに則った戦略があるときに、エイズ対策への資金は最大のインパクトを持ちうる。

(2)HIVプログラムと貧困削減イニシアチブの統合が重要であるということを示す、様々な小規模の活動が増加している。

(3)HIV治療薬の提供は、スティグマを緩和し、貧困の削減やHIVの予防にも寄与するものである。

(4)開発計画(生産部門の開発に関わるものであれ、社会的なセーフティネットの提供に関わるものであれ)は「エイズテストの通過」が必須である。

(5)貧困削減プログラムやエイズ対策は、女性や若者などのHIVに対する脆弱性を減らするものでなければならない。

(6)世界の最貧国や最貧地域でのエイズ問題に取り組むには、国際的な支援を増加、確保していくという高度な政治的意思によって主導されなければならない。

原題:Aids is the Only Disease to Find Audience in the UN
日付:6 November 2007 
出典:The East African (Nairobi)(allafrica.com website)
URL: http://allafrica.com/stories/200711060798.html

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★編集後記
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寒い日が続いていますが、読者の皆様は風邪など引かれていないでしょうか。
さて、編集員Wが最近気にしているのが電気代。。暖房を入れると電気代がかさみますよね!今年はひとりぐらしをはじめてから最初の冬なのですが、電気代がどれくらいになるのか気になって。。冬に限らず電気代は抑えたいなーと思っていたところ、電気代の夜間割引があるときいて、早速申し込んでみました。詳しくは会社のホームページをみていただきたいのですが、私の場合、昼間は家を空けていることもあって少しは安くなるみたいです。
今年は去年よりもだいぶ寒いみたいですよね!お体にお気をつけて、楽しい3連休をお過ごしください★
 
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★メールマガジンご案内
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★メールマガジン「グローバル・エイズ・アップデイト」は、世界のHIV/AIDS問題の最新動向を網羅するメールマガジンにして発行しています。

★HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。

★このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語に要約し、隔週で発行しています。

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