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地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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59号(Global AIDS Update)

発行日:12/21



■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第59号(第3巻第8号) 2006年(平成18年)12月21日
Vol.3-No.8 (No.59) Date: December 21, 2006 

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

*********************
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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

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■「第59号」目次
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★地域情報

●アフリカ
1.南アフリカ政府、積極的なHIV/AIDS治療政策へと方針を転換
2.ザンビアで幅を利かせるタンザニアのマサイ人伝統的施術者
3.ルワンダ:子どものHIV/AIDS治療実績が格段に進歩
4.地域のイニシアチブにより少しずつ前進を続けるアフリカの保健事情

●北米
米国:エイズ対策プログラム、ジェネリック治療薬購入方針に政策転換

●国連機関
ピーター・ピオットUNAIDS事務局長「途上国もHIV/AIDS対策にもっと資金を拠出すべき」

★新規予防技術開発情報

日本ではじめてのHIV新規予防技術開発に関するシンポジウムを開催

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★南アフリカ政府、積極的なHIV/AIDS治療政策へと方針を転換
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世界最大のHIV陽性者人口を抱える南アフリカ共和国のHIV/AIDS政策がついに動き始めた。政府の新しいスポークスパーソンであるテンバ・マセコ Themba Maseko 氏はここ2ヶ月間、南ア政府のエイズ政策の変化について、わかりやすい説明を行っている。南ア政府は、積極的にHIV/AIDSの治療を行うとともに、まだAIDSを発症していない400万人のHIV陽性者が長期に渡ってAIDS発症を免れ、健康な生活を送れるように努力する、と、マセコ氏は述べる。

これまで南ア政府のHIV/AIDS政策は、「HIVがAIDSの原因かどうか疑問がある」と述べたターボ・ムベキ大統領と、抗レトロウイルス薬(ARV)の代わりに野菜で栄養をとることをことあるごとに勧めてきたマント・シャバララ=ムシマン保健相によってゆがめられてきた。また、南ア国家エイズ委員会(South African National AIDS Council)は、エイズの存在を無視するジェイコブ・ズマ前副大統領が議長を務めてきた。

しかし、8月にカナダのトロントで開催された国際エイズ会議で、南アのエイズ政策が厳しく批判されたことで、ムシマン保健相を中心とするエイズ政策に亀裂が入った。ムシマン保健相が病気で入院したことにより、南ア政府の政策転換は容易となった。ムシマン保健相の不在により、ノジズウェ・マヂャラ=ルートリッジ Nozizwe Madlala-Routledge 副保健相がエイズ政策の前面に立ち、ムシマン保健相の路線を否定。さらに、ムシマン保健相の不倶戴天の敵であったHIV陽性者団体「治療行動キャンペーン」Treatment Action Campaignのザッキー・アハマット Zackie Achmat 議長に対し「南ア国家が感謝を表明するに値する人物」と持ち上げた。また、別の理由で退任したズマ前副大統領にかわって就任したプムジレ・マンボ=ヌグカ Phumzile Mlambo-Ngcuka 副大統領によって、南ア国家エイズ委員会は再活性化された。

実際には、南アのエイズ治療プログラムは20万人近くに治療を供給しており、また、予算も人種隔離政策の撤廃後の12年間で100倍に伸び、現在、30億ランド(=4.3億ドル)が費やされている。しかし、それでも、治療が必要な人の4人に1人しか治療にアクセスできていない。また、医療機関の能力の不十分さにより、不適切な処方が行われる例も後を絶たない。

今回の南アのエイズ政策転換は、人種隔離政策撤廃後12年間の歴史の中で最大の転換であるといえる。ムシマン保健相は退院したが、職務に復帰しても、この政策転換を後戻りさせることはあってはならない。また、ムベキ大統領は、後ろ向きのエイズ政策をとることによって、死ななくても良い人々を死なせてきたことの責任をとらなければならない。
原題: Government joins the real war on Aids
日付:Nov. 5, 2006
出典:The Sunday Times website, South Africa
URL: http://www.sundaytimes.co.za/PrintEdition/Insight/Article.aspx?id=309940

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★ ザンビアで幅を利かせるタンザニアのマサイ人伝統的施術者
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ザンビアでは、伝統的な医療に対するニーズが急拡大している。その穴を埋めているのが、隣国タンザニアから国境を越えてくるマサイ人の伝統的施術者たちである。ザンビアの同業者たちは、マサイ人が低価格で提供する伝統医療に対して脅威を感じている。

タンザニアの施術者たちがザンビアに殺到するのは、ザンビアの経済的な中心地であるコッパーベルト州と首都ルサカが経済的に一定、富裕な地域であり、一方で、医療システムが整っていないことが理由である。タンザニアの施術師らは、ビジネス・ビザでザンビアに入国し、薬草を販売している。販売業者は何千人もいるとみられ、路上や市場で薬草をならべて、糖尿病、肝臓病、下痢、頭痛、マラリアに効くと売り込んでいる。

そのうちの1人であるダニエル・ナカラガ氏 Daniel Nakaraga は、今年の6月に商売を始めたが、売れ行きは順調と笑顔で話している。これまでザンビアの伝統的施術者たちは、薬草を供給する代わりに、金銭に換算すれば300ドルにもなる羊や牛を手に入れていたが、ナカラガ氏の商品はわずかに1か月5USドルから高くても20USドルであるため、よく売れるという。ルサカの住民ベティ・ムワンサさんは「私の祖母が以前、ひどい心臓発作を起こし、病院に連れて行ったが良くならなかった。マサイの薬草を与えたら少し良くなった。効果があるように思う」と言う。

一方、現地の既存業者との摩擦も起き始めた。ザンビアでは以前から伝統的な治療法が重要視されており、一定の効果を挙げてきた。免疫力を高める効果のある薬草がCD4値を増やす為に使用されることもあるという。ザンビアの伝統的施術者で作る「ザンビア伝統的保健業者協会」(Traditional Health Practitioners Association of Zambia)は、、「マサイの伝統的施術者は、薬草に関して詳しい説明もせず、アフターケアもしないため、薬草治療の信頼性を根幹から揺るがしかねない」と批判する。保健省の広報官カニシアス・バンダ氏 Canisius Banda は、「伝統的な薬は重要な分野である。現在、許認可制度を策定中だが、まだ追いついていない」と述べている。

この問題の背景には、ザンビアでは公衆衛生の設備が十分に行き届いていないという現実がある。人口およそ1,000万中、約160万人がHIV陽性者であり、その中でも6万人しか抵レトロウイルス薬にアクセスできていない。

WHOが2006年に発表した報告書「健康に向けた協働 Working Together For Health」によると、現在低所得国では医師や看護師をはじめとする医療関係者の不足が著しく、HIV感染を増加させる最大の原因となっているという。ザンビアの場合、約600人の医療関係者が南アフリカ共和国や欧州など、よりよい労働環境と高額な所得が見込める国に流出してしまった。医療関係の人材流出は、ザンビアできわめて大きな問題となっている。

原題: ZAMBIA: Masai healers fill public health services void
日付: 6 Nov 2006
出典: IRIN Plus News
URL: http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=56328&SelectRegion=Southern_Africa&SelectCountry=SOUTHERN_AFRICA

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★ルワンダ:子どものHIV/AIDS治療実績が格段に進歩
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11月20日、アフリカ中央部の内陸国、ルワンダ共和国の首都キガリ Kigali において、第2回HIV/AIDSに関わる児童の治療・ケア・サポートに関する全国会議the Second National Paediatric Conference on Treatment, Care and Support to Children Infected and Affected by HIV and Aids が開催された。二日間にわたって行われたこの会議には、ルワンダ国家エイズ管理委員会 National AIDS Control Commission (CNLS) やユニセフ、UNAIDS、クリントン財団 Clinton Foundation などが参加した。人口900万人のルワンダは、世界で10番目にHIVの影響を受けている国と言われている。ポール・カガメ大統領 Paul Kagame は、この会議を力強くサポートした。


ルワンダ国家エイズ管理委員会によれば、国内感染率は15歳から29歳では3%、女性の感染率は3.6%を数え、男性の感染率2.3%の約1.5倍。また、125万人いる遺児のうち、エイズ遺児は21万人。その中で2万7千人が、HIVに感染し、6,500人以上の子供が日和見感染の治療薬であるコトリモクサゾールCotrimoxazole (ST合剤:日本では「バクター」と呼称)を必要としている。しかし、2005年にルワンダでこの薬にアクセスできた児童はいなかった。

 そこでルワンダ政府は2006年に改善策を実施し、この薬を必要とする児童6,500人のうち67%にあたる4,370人がコトリモクサゾールを入手できた。また、抗レトロウイルス薬(ARV)についても、2004年時点では、必要としている児童の1%未満しかアクセスできていなかったが、2006年には、ARVを必要としている6,951人の33.2%にあたる2,311人が、治療薬を入手することができた。さらに、母子感染予防についても、2004年には防ぎうる母子感染の5分の1しか防止できていなかったものが、2006年には、母子感染の3分の1を防ぐことができた。今回の会議では、ルワンダにおいて児童のHIV/AIDS対策が着実に前進していることが確認された。

ルワンダの総人口の半数は子どもである。今回確認された成果と実績を踏まえ、「子ども」をエイズの重点課題に据えることは、同国のエイズ対策にとって、非常に重要なことである。

原題:Rwanda: Second Annual National Conference on Pediatric Aids Opens
日付:November 20, 2006
出典:AllAfrica.com
URL:http://allafrica.com/stories/200611200108.html

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★地域のイニシアチブにより少しずつ前進を続けるアフリカの保健事情
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世界保健機構(WHO)は11月20日に、スーダンを除く全てのサハラ以南アフリカ諸国の保健事情についての報告書を発表した(★編集部注)。この報告書によると、アフリカ諸国は様々な病気に立ち向かうため、先進国から輸入した高額な治療法に頼るばかりではなく、地域に既にある資源を生かした新たな取り組みを行いつつあるが、エイズ危機をはじめとして癌や糖尿病患者の増加など、いまだ計り知れない保健問題を抱えている。

ウガンダでは医師不足のため、エイズ患者が充分な治療を受けられない状況にあるが、看護師の育成によってこの状況を打開しようとしている。WHOのHIV/AIDS・結核・マラリア担当局長のアントワーヌ・カボーレ氏Dr. Antoine Kaboreは、「看護師が訓練を受けて、従来医師が行ってきた治療を施すようになれば、より多くの患者に治療が届き、多くの命を救うことができる」と述べ、既存の人材を有効活用することの重要性を訴える。ロンドンのアフリカ医療研究財団のルイス・オルトン氏Louise Ortonも「地域の保健従事者を訓練することで、人々は医療を受けるために何日もかけて歩いて行く必要がなくなる」と、地域の人材活用による影響の大きさを指摘する。

しかし、アフリカの直面する深刻な保健問題は、このような取り組みだけでは解決できない。「アフリカの各国政府が保健問題を優先課題に掲げるとともに、ささやかながらも成功しつつある様々な取り組みを繰りかえし行っていかなければならない」とカボーレ氏は言う。実際に、アフリカの深刻な状況は、統計からも裏付けられる。アフリカの人口は全世界人口のわずか11%に過ぎないが、全世界のマラリア感染者の90%以上、HIV陽性者の60%を占めている。また、サハラ以南アフリカにおいては、安全な水にアクセスできる人口は60%以下である。さらに、先進国ではほとんど見られなくなったメジナ虫症、ハンセン病、河川盲目症などがいまだにはびこっている。

このような状況を受けて、WHOの次期事務局長(Director-General-elect)のマーガレット・チャン氏Dr. Margaret Chanは、11月9日に次期事務局長の承認を受けた際に、「アフリカの人々の健康状態がWHOのパフォーマンスを測る上での重要な指標とならなければならない」と語り、アフリカの保健問題をWHOの最重要議題に掲げた。

WHOは、モーリシャスで出産時に助産師などの医療従事者が付き添うようになり、妊婦死亡率が先進国並みの10万人中21人にまで減少したという事例を紹介し、ゆっくりではあるがアフリカの保健事情が改善されつつあるとしている。しかし、モーリシャスはインド洋にある島国で、アフリカでは稀に見る高い識字率と無償の保健サービスを誇る国である。他国にもこうした取り組みを広げていくことは決して容易なことではない。また、WHOも報告しているように、アフリカでの母子保健は過去20年間に、ほとんどあるいは全く改善されていない。さらに、HIV/AIDSの感染の拡大は、南アフリカでの新たな薬剤耐性結核の広がりなど、アフリカの保健医療問題をより困難なものにしている。「アフリカの状況が一夜にして変わることはありえない」と、前出のカボーレ氏は語った。

原題:WHO: Small strides in African health made by local initiatives
日付:November 20, 2006
出典:CNN website
URL:http://edition.cnn.com/2006/WORLD/africa/11/20/who.africa.ap/index.htm

★(編集部注)WHOの地理的区分は独特であり、北アフリカ諸国(エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ)、およびスーダン、ジブチ、ソマリアを、いわゆる「中東」とあわせて「東地中海」(Eastern Mediterranean)地域として分類しています。一方、WHOは国連の専門機関ですが、旧スペイン領西サハラは、国連の非自治地域とされているにもかかわらず、モロッコ王国領として区分され、WHO東地中海地域事務所の管轄とされています。

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★米国:エイズ対策プログラム、ジェネリック治療薬購入方針に政策転換
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米国政府は、ブッシュ政権の下、昨今まで3年間にわたって、発展途上の貧困国向けに、高価なブランド品のエイズ治療薬の購入政策を敷いてきたが、その政策を転換し、安価なジェネリックのエイズ治療薬を購入量を急激に拡大することを、公式に発表した。(★編集部注)

2003年にブッシュ政権が「米国大統領エイズ救済緊急計画」(PEPFAR)と銘打って貧困国15カ国(内12カ国はサハラ以南アフリカ諸国)を中心とするエイズ対策5ヵ年プログラムを始めた際に、米国政府は米国製薬企業の生産する高価なブランド治療薬を購入することを決定していた。米国では、製薬会社によって作られた治療薬は米国食品医薬品局Food and Drug Administration;(FDA)によって承認されるプロセスが必須なのであるが、ジェネリック治療薬を購入することになった場合、承認プロセスに長い時間がかかってしまうために、政府はジェネリック治療薬の購入を足踏みしていた。しかし、昨年にFDAがようやくジェネリック治療薬の安全性を確認し、29種の薬品を承認した。このことが政府のエイズ政策がジェネリック治療薬の購入を大量に拡大することにつながった。

ジェネリック治療薬の利点は、ブランド治療薬に比べて5%から90%も安価に購入できることである。この米国政府のジェネリック治療薬政策によって、PEPFARの恩恵を受ける貧困国や途上国にも変化が起こっている。今年度の最初の3ヶ月間の間にハイチ、ザンビアにおいて購入された抗レトロウイルス薬のうちのジェネリック薬の割合は昨年の15%に比べて70%に増え、ジェネリック治療薬を生産している南アフリカ共和国のアスペン・ファーマケア社によれば、ケニア、ナイジェリア、ウガンダや、いくつかの南部アフリカ諸国もジェネリック治療薬の購入拡大を検討し始めている、という。他にも、インド、タイ、南アフリカがこのアメリカの政策転換を受けて、国内のジェネリック治療薬の生産速度を急速に進めている。

一方、この政策転換に伴い、ブランド治療薬の価格も、途上国では5年前の10分の1まで下落してきた。ジェネリック治療薬との競合、治療薬需要の拡大、そして世界的な治療薬価格引下げを求めるアピールやプレッシャーなどが、製薬会社を価格引下げへ向かわせたのである。そして、製薬会社は過去2年間の間に特許も放棄し、一部のジェネリック治療薬の生産者に薬品の製造方法をも提供している。

このように、米国政府エイズ対策のジェネリック治療薬への政策転換は、製薬企業や途上国の対策など様々な方面にわたり大きな影響を与えている。

米国エイズ対策プログラムは、昨年の4月より、ジェネリック治療薬生産者、製薬企業、及び国立衛生機関等とともに、子供のエイズ治療薬の幅広い提供を実現するための方策の検討をはじめている。WHOのエイズ対策プログラムの前責任者で現在ハーバード大学で公衆衛生の専門家であるジム・ヨン・キム氏 Jim Yong Kimは、ジェネリック薬の広がりは、PEPFARや製薬会社の努力であると評価する。しかし、次のステップは治療薬が全ての貧しい人々に提供されるようにすることである、と述べる。例えば、子供用の治療薬はまだまだ高価であり、なかなか貧困層には手が届かないのが現状なのである。

原題:US buying more generic AIDS drugs
日付:November 12, 2006
出典:Boston.com
URL:http://www.boston.com/news/nation/articles/2006/11/12/us_buying_more_generic_aids_drugs/?page=full

(編集部注)ここでいうブランド品とは、特定の医薬品を開発し多くの国でその医薬品に関する特許を取得している製薬企業が製造した医薬品という意味、ジェネリックとは、上記以外の製薬企業が製造した、同一の成分を持つ医薬品という意味です。

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★ ピーター・ピオットUNAIDS事務局長「途上国もHIV/AIDS対策にもっと資金を拠出すべき」
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UNAIDSの事務局長であるピーター・ピオット氏Peter Piotは、11月22日ベルギーのフランドル地方 Flandersを訪れ、「途上国は、(外国の支援に頼るだけでなく)自国のHIV/AIDS対策に支出すべきである。一方、世界銀行と国際通貨基金(IMF)は途上国が財政支出するのを妨げるような政策介入をすべきでない」と発言した。

ベルギー王国で広汎な自治権を認められているフランドル地方の自治政府は、南部アフリカの6ヶ国に130万ドルを拠出する計画があり、今回、ピオット氏はそのための協定に署名するため、同地方を訪れ、ゲールト・ブルジョワ開発相 Geert Bourgeois と会談した。フランドル地方自治政府は、他にもUNAIDSが主導するマラウィの女性を対象としたHIV/AIDS対策の4か年計画に390万ドルの拠出を割り当てている。

ピオット氏は、フランドル地方自治政府が、アフリカ南部で最も経済的に貧しい国の一つマラウィに100万ユーロ(130万ドル)拠出したことを高く評価した。マラウィは国家予算の40%、開発予算の80%をドナー国からの援助に依存しており、人口の半数以上は1日あたり1ドル未満で生活しており、平均余命は2004年では40歳である。一方、ピオット氏によると、同じ南部アフリカでも、ボツワナはHIV感染率が30%を超すが、この国はダイヤモンド鉱山の存在により中所得国の地位を得ており、経済的にもっと自立できる可能性がある。

UNAIDSは、2006年の世界的なHIVの感染拡大の現状に照らすと、世界的なHIV/AIDSの予防とケア、治療およびエイズ遺児対策に2008年までに221億米ドルが必要になるとしている。2005年のUNAIDSの予算は830万米ドルで、その3分の2はドナー国の政府、残りは途上国が負担した。「途上国の政府による、さらなる努力が必要だ。すべての予算を『北』だけが負担するべきという考え方ではいけない。最貧国以外の、例えばラテンアメリカやアジア諸国は、もっと資金を出せるはずだ。」とピオット氏は述べている。

一方、ピオット氏は、IMFや世界銀行の戦略が途上国自身によるエイズ対策を妨げていると指摘した。例えば、最近では、ウガンダ政府が世界エイズ・結核・マラリア対策基金からHIV/AIDS対策資金を受け取ったものの、IMFが「中間期支出枠組み」(Medium Term Expenditure Framework)を一方的に提案したため、実際に資金をHIV/AIDS対策に充てることができなかったという。またケニアは、IMFから公務員数を削減するよう指示されたため、看護師4千名を解雇せざるを得なかった。

さらに、20年以上前から実用化が期待されているHIV/AIDSのワクチンについては、完成にはまだ時間が必要と話した。「医薬品企業による治験結果が出るまでに、あと10年はかかるであろう。成功するかどうかは多くの資金と、運次第だ。」。

原題:Africa: Developing Countries Asked to Pay to Treat Aids
日付:2006/11/23
出典:stayhealthynews.com
URL:http://www.stayhealthynews.com/AIDSandHIV/id_45449/

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日本ではじめてのHIV新規予防技術開発に関するシンポジウムを開催
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【2006年11月17日東京発:グローバル・エイズ・アップデイト編集部】欧米などの先進国では、エイズ・ワクチンやマイクロビサイド(膣・肛門用殺菌・殺ウイルス剤)など、HIVの新規予防技術開発に向けて多くの動きが展開されている。しかし、日本ではこの領域は必ずしも注目されてこなかった。日本では、現在、エイズ・ワクチン開発に向けたいくつかの研究プログラムが存在するが、十分な資金を得られていない。マイクロビサイドやその他の新規予防技術開発については、研究はおろか、注目もほとんどない状況であった。

こうした状況を少しでも改善し、HIV新規予防技術開発に官・民・市民社会の注目を集めることを目的に、11月17日、東京の慶應義塾大学で「HIV/エイズの新規予防・医療技術の現状と課題 〜地球規模の取り組みのために〜」と題された国際シンポジウムが開催された。

このシンポジウムは、(特活)アフリカ日本協議会、(特活)エイズワクチン開発協会と米国に本部を置く「国際エイズワクチン推進構想」 IAVI の三団体が共催した。シンポジウムのパネリストには、ガーナを拠点にアフリカでマイクロビサイドの開発に向けた市民社会の連携を促進している「アフリカ・マイクロビサイド・アドボカシー・グループ」のマンジュ・チャタニ氏 Manju Chatani、国際エイズ・ワクチン開発構想の公共政策部シニア・アドバイザーのホリー・ウォン氏 Holly Wong、日本でエイズ・ワクチンを含む新規予防・医療技術の開発に取り組む国立感染症研究所エイズ研究センター長の山本直樹氏の3名がパネリストとして登壇した。

最初に登壇したホリー・ウォン氏は、現在の国際的な新規予防技術開発の流れについて説明した上、IAVIのような、政府、民間セクター、市民社会の革新的連携をめざす「製品開発パートナーシップ」 Product Development Partnership: PDP のしくみと役割について説明した。また、製品が開発された際に一定の金額を支払って購入することを誓約することで研究開発を促進する「先行的市場コミットメント」 Advanced Market Commitment など、近年の先進国政府による製品開発イニシアティブについても解説した。

次に登壇したマンジュ・チャタニ氏は、女性が主導権をとって予防行動を実践できるマイクロビサイドの開発がもつ可能性について力説した。マイクロビサイド開発はHIV/エイズ予防におけるジェンダー格差の問題を解消する可能性を秘め、現在進んでいる臨床試験が成功すれば、早くて2010-2011年に使用可能になるが、最初のマイクロビサイドは40-60%の有効性を持つとされており、大きな規模での感染阻止が期待できる。しかし、ワクチン同様、資金不足が問題である。氏は、今後の戦略的アドボカシーの必要性を訴えた。

最後にエイズワクチン開発協会(AVDA)副理事長、国立感染症研究所・エイズ研究センター長の山本直樹氏が「エイズワクチン開発の現状と日本の貢献の可能性」と題した発表を行い、日本の状況を中心に、エイズワクチンの潜在力と将来性、ワクチンの種類と作用、開発プロセスと課題、AVDAの活動について説明した。山本氏はエイズワクチンの仕組みや通常のワクチン開発と異なるHIVの特性の説明、世界の臨床試験を紹介され、日本でもいくつかの研究が行われているが、産学官の連携強化が必要だと述べた。

このシンポジウムは、HIV/AIDSの新規予防技術開発のうごきについて総合的に日本に紹介する初めての試みであった。このシンポジウムをスタートラインとして、日本でも官・民・市民社会の連携による新規予防技術開発の動きが生まれることが期待される。

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■□編集後記
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今号も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今年最終号の「グローバル・エイズ・アップデイト」はいかがでしたでしょうか。

編集員Nは、最近親知らずを抜きました。周りの友だちからの「抜いたら、痛くなる」と散々言われていたのですが、あっという間に歯は抜かれ、あまり腫れることもなく、わずか数分の(ように感じた)出来事でした。後3本抜かないといけないんですけどね。

数年ぶりの歯科通院ですが、驚いたのは、パーソナルモニターもついてテレビを見たりしながら、受診できること。何もせずにぼーっとしていられる時間が持てるので、何気に毎回通うのが楽しみです。

なんだかわけのわからない話になってしまいましたが、どうぞ皆さま、良いお年をお迎えください。健康で少しだけ成長できるようなそんな年にしたいものです。

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■□メールマガジンご案内
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発行者プロフィール

AJF

AJF

http://www.ajf.gr.jp/

(特活)アフリカ日本協議会は、アフリカの人々の地域自立の支援、アフリカの人々との対等なパートナーシップの構築、アフリカに関わる人々のネットワークの形成、アフリカ理解の促進とアフリカの自立支援のための政策提言などを行っています。

過去の発行記事