国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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55号(Global AIDS Update)

2006/10/26

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
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第55号(第3巻第4号) 2006年(平成18年)10月26日
Vol.3-No.4 (No.55) Date: October 26, 2006 

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/mag/66/m00123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

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■「第55号」目次
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地域情報
●アフリカ
1.南アフリカ: 政府が服役者にARVの提供開始
2.コンゴ民主共和国:ピグミーにHIV感染拡大- 性的暴力行為と保健医療対策不備に起因

●アジア
タイ:HIV/AIDS 見直しを迫られる予防戦略−既婚女性がバルネラブル・グループに

●北米地域
米国:HIV抗体検査のルーチン化推進策を打ち出し

●国際関係
1.米国の反対でWHO会議混乱 HIV/AIDS治療と薬物問題 
2.2006年世界エイズ・デーのテーマは「アカウンタビリティ」に。

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★ 南アフリカ: 政府が服役者にARVの提供開始
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南アフリカ政府は、刑務所に服役中のHIV陽性者に治療薬の提供を開始した。現在東部クワズール KwaZulu-Natal の3つの刑務所で抗レトロウイルス薬(ARV)が手に入る。南アフリカ共和国HIV陽性者団体 治療行動キャンペーン Treatment Action Campaigns (TAC) とエイズ法律プロジェクトAids Low Project (APL) がダーバンウエストビル刑務所Durban Westville Prison のHIV陽性者がエイズに関連した病気で死亡したことをきっかけにHIV陽性の服役者への対策を取ることを求めた裁判で勝ったことが背景にある。TACのザッキー・アハマット氏 Zackie Achmat は、「裁判で勝利したことは、大変光栄だが、十分な措置とは言えない。たった200人程度しか治療が受けられない状況は由々しき事態だ。未だ治療が受けられる刑務所の数は少なく、このような対策を始まるのが遅すぎた。」と述べる。

南アフリカでHIV陽性者が死亡した事件に関しては、こちらの記事をご参照下さい。 
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/50730756.html

原題:Three KZN jails get ARVs
日付:September 26, 2006
出典:編集部にお問い合わせ下さい。 

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★ コンゴ民主共和国:ピグミーにHIV感染拡大- 性的暴力行為と保健医療対策不備に起因
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コンゴ民主共和国(DRC)の森の民ピグミーといわれる民族バトゥワ Batwa は、社会的に隔離された存在であり、同国東部の各州に広がった紛争では武装集団の格好の標的となった。この10年間に及ぶ紛争では、地元住民がレイプや略奪の犠牲となった。HIV感染率はDRC全体と比べると低いが、貧困や差別が強く残っており、また、保健医療の設備が不足しているため、今後の状況の悪化が懸念されている。

カフジビエガ国立公園 Kahuzi-Biega National Park は、1994年ルワンダ大虐殺を引き起こした主要勢力の一つである、フツ武装勢力 Interahamwe の基地となっている。その国立公園内に位置するバトゥワの村チョムボ Chombo の住民は、何年間にもわたってフツ武装勢力の略奪行為に脅かされている。

ある村民の女性は、畑を耕していた時に民兵に連れ去られ、繰り返しレイプされた後、2週間後にやっと逃げることができたという。しかしその4年後から健康を害し、地元のNGO、地方在住女性解放連盟 Union Pour l'Emancipation de la Femme Autochtones (UEFA) によるHIV抗体検査を受けたところ、陽性であった。

バトゥワのHIV陽性者は、DRCの保健医療施設を利用しようとしても、保険制度の問題や被差別待遇があるために利用しにくい。抗レトロウィルス薬(ARV)の入手も難しい。国立公園の道路建設のために、居住地から追い出された人もいる。彼らは栄養不足の傾向にあり、衛生状態が良くないため日和見感染症が発生しやすい状況にある。

チョムボ村の長老マーレガン・ルケーラ Marhegane Lukhera は次のように話した。「12歳以上の子どもたちに対して、性交渉しないよう、若い女性には売春行為をしないよう教えている。男性は妻との貞節を守るよう忠告し、女性は夫以外の男性とはつきあわないよう忠告している。全員がエイズについて関心を持つことが重要である。子どもたちを教育し、大人は抗体検査を受ける必要がある。」
 
原題: DRC: Sexual violence, lack of healthcare spreads HIV/AIDS among pygmies Press Release
日付: September 13, 2006
出典: IRIN plus news
URL: http://www.plusnews.org/aidsreport.asp?reportid=6371

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★ タイ:HIV/AIDS 見直しを迫られる予防戦略−既婚女性がバルネラブル・グループに
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タイ公衆衛生省 Public Health Ministry は、既婚女性の間でHIV感染が増加していると報告した。感染した夫との性交渉時に防御策が講じられていないことが原因とみられる。

昨年のHIVの新規感染者は17,000人と推定され、その内訳は30%以上が既婚女性であり、男性との性交渉のある男性 (20%)、薬物の静脈内注射常用者 (10%)、その他十代の若者やセックス・ワーカーやその客と続く。既婚女性の感染率増加の主な原因は、貞節やコンドームの使用の不徹底であると推測される。

タイのエイズ/結核/性感染症対策局 Aids, Tuberculosis and Sexually Transmitted Diseases Bureau の局長ソムバット・タンプラセルトサック Sombat Tanprasertsuk は、今回の調査結果でこれまでHIV感染の可能性が低いと思われていたグループにおいても新規感染者が増加したことが判明したため、保健当局は今後のHIV/AIDS予防対策の見直しを迫られていると述べた。

タイはこれまでセックス・ワーカーなどHIV感染の可能性が高いと思われるグループを特に対象にしたコンドーム使用の啓発や、安価なエイズ治療薬を普及させたことによってHIV/AIDS対策に成功してきた。今後は、保健当局はコンドーム使用キャンペーンに加えて、既婚カップルに定期的に血液検査を受けるよう勧める、性教育強化やコンドーム使用推進キャンペーンなど、全国民を対象にしたキャンペーンを拡大していくという。

原題:HIV/AIDS / PREVENTION STRATEGY UNDER REVIEW: Married women a high-risk group
日付:September 6, 2006
出典:Bangkok Post ウェブサイト
URL:http://www.bangkokpost.com/090906_News/09Sep2006_news14.php

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★米国:HIV抗体検査のルーチン化推進策を打ち出し
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米国疾病予防管理センター The U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC)は9月21日、13〜64歳の米国民全員に対するHIV抗体検査ルーチン化推進策を発表した。HIV感染の早期診断による感染の拡大防止と、全米で25万人いると推定されているとされている未診断のHIV感染者に適切なケアを受けさせるのが目的だ。

このHIV抗体検査ルーチン化推進策では、すでにルーチン化を進めているHIV感染可能性の高い人口集団や妊婦等の一部の対象に加え、国民すべてが緊急時やさらに定期健診時にも標準の健康検査の一部としてHIV抗体検査を受けるよう推奨している。この推進策に対し、保健政策の専門家や医師、患者を擁護する立場からの反応は概ね好感触で、米国医師会 the American Medical Association もこの推進策を支持している。法的に拘束力はないが、これは医師の業務や健康保険の管掌範囲に影響を与えるものである。

しかし、一部の医師の間には、検査やカウンセリング、またそれらの改定にかかる多大な費用と時間への懸念があり、米国家庭医学会 the American Academy of Family Physicians 会長によれば、検査対象を広げることの有効性を疑問視する考え方もあり、実施を悲観している。また、検査実施の同意を得るために、各医療機関での標準的同意文書を用い、患者は検査を拒否できるとされているが、米国自由人権協会 American Civil Liberties Union (ACLU) は、エイズに関する問題を標準的同意文書で扱い、検査前カウンセリングを軽視する検査ルーチン推進案に異議を唱え、ルーチン化が強制的になることを懸念している。他にも、費用面での先行きも不透明である。HIV抗体検査対象者数が増えれば、ただでさえ資金繰りの苦しい公的健康保険にはさらなる負担が課され、または、逆に検査の必要性が増すことによって、財政支援が強化される可能性もある、との声もある。

医師会やHIV陽性者支援団体を含む100以上の団体からアドバイスを受け、約3年かけて作成された本推進策であるが、実行の見通しは困難であるようだ。

原題:CDC: Regular, routine HIV test for all between 13-64
日付:September 21, 2006
出典:yahoo news
URL:http://news.yahoo.com/s/ap/20060921/ap_on_he_me/hiv_testing

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★ 米国の反対でWHO会議混乱 HIV/AIDS治療と薬物問題 
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ニュージーランドのオークランドで開かれたWHOアジア太平洋会議で9月22日、アジア太平洋地域におけるHIV/AIDS治療への普遍的アクセスを求める決議案が、米国の強い変更要求のために否決された。

21日には、「2010年までにアジア太平洋地域でのHIV/AIDS治療を普遍的アクセス可能なものにする」という内容の決議案をアジア太平洋諸国代表らは要求していたが、米国は22日の決議採択直前に、アジア太平洋諸国の決議案内にある「薬物常習者への注射針交換プログラムを促進する」という文言に削除を求めために、会議は混乱に陥り、最終的にアジア太平洋諸国らの作成した決議案は否決された。

HIV陽性者サポート団体によると、アジア太平洋諸国の提案した文言にある薬物常習者への注射針交換プログラムは、注射器使い回しによるHIV感染抑止に有効なのだが、米国側は「注射針の交換を認めれば、薬物使用を増大させてしまう」として反対している、と述べた。さらに、米国の提出した決議修正案は、HIVに感染しやすいバルネラブル・グループの定義の詳細(性産業従事者・注射針による薬物常習者・男性と性交渉を持つ男性など)の説明をも求めており、WHO西太平洋地域課長代理のリチャード・ネスビット氏 Richard Nesbit は、決議案の言い回しにこと細かく変更要求が出たのは米国政府の指示があったためと見ている。また、議長を務めたニュージーランド保健相のピート・ホジソン氏 Pete Hodgson は、「米国の修正案は決議案を骨抜きにするもので、文言の内容を弱めた妥協案を採択するくらいならば、決議案を出さない方がましだった」と語っている。

WHOの推計では、西太平洋地域において、新規HIV感染者の3分の1以上は注射針による薬物常習者であるという。薬物使用拡大とHIV問題のハームリダクションという観点からの相互関係は複雑に絡み合っているようである。

原題:AIDS treatment resolution withdrawn at WHO meeting because of U.S. opposition
日付:September 21, 2006
出典:International Herald Tribune
URL:http://www.iht.com/articles/ap/2006/09/22/asia/AS_MED_WHO_Asia_AIDS.php

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★国際関係: 2006年世界エイズ・デーのテーマは「アカウンタビリティ」に。
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12月1日は世界エイズ・デーである。今年のテーマは、「アカウンタビリティ(説明責任)」に決定をした。世界エイズ・デーは、毎年世界エイズキャンペーン World AIDS Campaign WAC によって主導され、全世界においてHIV/AIDSに関する意識喚起・行動変容に一役買っている。

今年の世界エイズ・デーでは、特に以下の目的を達成するため「アカウンタビリティ」を掲げる;
- 各国リーダーらによる、エイズに関する誓約の説明責任の拡大
- 共通の目的・アイデンティティのため市民社会による幅広いムーブメントを支持
- 全世界におけるエイズ問題において、より多くの市民が意識喚起・行動変容促進

各々の国や地域に即し、「アカウンタビリティ」という全体テーマの範囲内で、それぞれ決定される。これらのキャンペーン・テーマは、世界エイズ・デーの「スローガン」である「ストップ・エイズ 約束を守れ Stop AIDS. Keep the Promise.」 をより効果的に見せていく。例えば、国のキャンペーン・テーマが治療・ケア・予防に関する普遍的アクセス Universal Access についてのものであれば、「普遍的アクセスのゴールを決めろ: ストップ・エイズ 約束を守れ Set the goals for Universal Access: Stop AIDS. Keep the Promise」 といった具合に、各々の国や地域でスローガンの前半部分を決め、キャンペーンを張る。

世界エイズ・デーでは、赤色のTシャツやリボンを使用する、政府にエイズ対策の重要性を伝える為にマーチ、広告、手紙などを活用するなど、WACでは、ポスターやCD-ROMを英語、スペイン語、ロシア語、フランス語で提供している。また全世界の世界エイズ・デーの活動は、 www.worldaidscampaign.org で参照することができる。

原題:Accountability: Theme for World AIDS Day 2006
日付:September 21, 2006
出典:Aids-HIV Information
URL:http://www.aidshiv.info/theme-for-world-aids-day-2006/theme-for-world-aids-day-2006.html

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■□編集後記
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猫の目のようにめまぐるしく空模様が変わる今日この頃、読者の皆様はいかがお過ごしですか。
編集員Wは先週筑波山に登ってきました。標高約800メートルと、決して大きい山ではないのに、岩場が多くて登るのが大変でした。その分、頂上で食べるおにぎりの味は格別でした!日に日に朝晩の冷えが厳しくなるのを感じますが、深まる紅葉を楽しめるいい季節ですよね。読者の皆様も、素敵な秋の過ごし方を教えてくださいね。

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創刊日:2004-09-14  
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