国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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52号(Global AIDS Update)

2006/09/14

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
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通巻52号(第3巻第1号)
2006年(平成18年)9月14日
Vol.3-No.1 (No.52) Date: September 14, 2006

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

●特集:第16回国際エイズ会議

1.国際エイズ会議:世界の若者はどう動いたか=次回メキシコシティ会議に向けて
    〜政策提言と「大人」とのパートナーシップが課題〜
2.南アでのHIV陽性の受刑者の死亡事件、トロント会議を揺るがす
3.トロント会議閉会式:スティーブン・ルイス氏が、南アフリカの政策を批判
4.ジンバブウェとジャマイカの二人が「レッドリボン賞」を受賞

●地域情報
1.ギニア・ビサウ共和国−構造的危機の中、滞るエイズ対策
2.スワジランド:侮辱的なキャンペーンに怒ったHIV陽性者たち1000人が首相官邸にデモ
3.ケニア:知的財産法の改訂に反対するHIV陽性者たち 

● 国際関係
2007年G8サミットでは感染症問題は取り上げられない?

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トロント・国際エイズ会議特集
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国際エイズ会議:世界の若者はどう動いたか=次回メキシコシティ会議に向けて
〜政策提言と「大人」とのパートナーシップが課題〜
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【2006年9月10日 東京:グローバル・エイズ・アップデイト編集部】 トロントの国際エイズ会議は、メディアを含め、27,000名が参加者した。この巨大な会議に、世界中の若者(今回の会議では、26歳以下の参加者を指す)約1,000名が参加した。

若者は、世界の人口における20-27%を占め、毎年の新規感染の50%以上を占めているにも関わらず、単純に数だけを見れば、今回の会議において、若者はまだ代表性を確保できていない。しかし、若者は、「政策提言 advocacy 」と「若者と大人のパートナーシップ Youth-Adult partnership」 の二つに特化し、一貫した行動を取ることで、前回のバンコク国際エイズ会議よりもスケールアップした存在感を見せることができたと言える。

13日の本会議開催前の10日より3日間、世界ユースエイズ連合や国際NGOファミリー・ヘルス・インターナショナルが主催して、ユース事前会議(youth preconference)が開催された。世界中から選考を通じて参加資格を得た250名の若者がこの会議に参加し、メディアやインタビューの仕方などの実践的な手法、政策やその他科学的な論点などに関しての集中的な研修を受け、また互いのネットワーキングをし、本会議への準備を進めた。

また今回、若者は5つのメッセージを掲げ、政策提言と「大人」(Adults:この場合26歳以上の成人を指す)とのパートナーシップに臨んだ。
1) Sex 安全でないセックスにより、若者が感染をしている事実。
2) Listen 若者が政策提言の場に、参画できていない事実。
3) Truth 教育の場において、性教育がおざなりになっている事実。
4) Access 予防・治療において、若者にとって使いやすい施設やサービスが不足している事実。
5) Money そして、十分に若者に特化したプログラムが行われていない事実。

本会議には、NGOなどがブースや休憩スペースを設置し、ネットワークができる「グローバル・ビレッジ」という場所が設けられたが、その一角に若者も陣取り、若者らしい飾り付けで、休憩所やレクチャースペースを作ったり、セッションを行ったりした。そこでは、もう一つの目玉として、「コミットメント・デスク」という一角を設けた。そこは、会議に参加をしている大人が、「私は若者に対して、『いつ』までに『何を』します」と、「約束(コミットメント)」をする場所である。本会議中、国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長 ピーター・ピオット氏は、「UNAIDSでのインターンシップ制度の確保」を約束した。また、メキシコ保健相 フリオ・フレンク氏Julio Frenk は、「2008年に開催されるメキシコシティ国際エイズ会議において、若者の参加者をトロントの2倍にする」と公約した。

一般的には、国際的な論調としては、今回は若者たちが「よく見える」会議であった。さて、翻って日本の若者はどうだったか。今回ユース事前会議に参加した日本人の若者は2名。そして、本会議でも10名弱しか参加を果たせていない。世界の人口比から見ても、これでは代表性を確保できない。

筆者は5-6月にニューヨークで行われた国連HIV/AIDS対策レビュー総会に政府代表団顧問として、そして今回ユース事前会議への参加者として選ばれ、本会議に参加し、アジアの一国として、G8の構成国として、日本の若者に対する国際的な期待も大きくあることがわかった。少しずつかもしれないが、世界的な動向を見極めながら、連帯をし、また日本でのグッド・プラクティスも共有できるような枠組みを構築が必要である。そうした枠組みを作ることは「若者と大人のパートナーシップ」なくしては成し遂げられない。基盤を作り上げ、まずは来年7月のスリ・ランカのコロンボで行われるアジア太平洋国際エイズ会議、そしてメキシコシティ国際エイズ会議に向け、日本の若者たちも声を発していかなければならない。

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★南アでのHIV陽性の受刑者の死亡事件、トロント会議を揺るがす
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 トロント国際エイズ会議の直前に、南アフリカ共和国の獄中でHIV陽性者が治療を受けられずに死亡した事件は、トロント会議の後半戦を揺さぶる大きな衝撃となった。

2006年8月15日、南アフリカの代表的なアドボカシー団体である治療行動キャンペーンTreatment Action Campaign(TAC) は、南ア・クワズールー・ナタール州のウェストヴィル矯正センター Westville Corrections Centre に収監されていた、エイズを発症した受刑者が、キング・エドワード病院 King Edward Hospital で8月6日に死亡したと発表した。亡くなったM.M氏(注・本人の希望により、イニシャルのみ表記。)は、2004年頃から大量の出血や、耳の上と全身の痛みを伴う吹き出物、痒み、傷の腐敗、足の痛みなどの症状を訴えていた。しかし、獄中で十分な治療を受けておらず、病院をたらいまわしにされたという。

2005年11月からM.M氏の世話人として仲介していたTACとエイズ法律プロジェクトAIDS Law Project (ALP) は、M.M氏の死は南ア矯正教育省および保健省がM.M氏に十分な治療を施さなかったことが原因であるとして、両省を過失致死で刑事告訴している。すでに裁判は始まっており、TACとALPは、2004年11月の時点で、刑務官がM.M氏のCD4陽性細胞の数値が87に下がっていたことを認識していたことを証拠として提出した。

政府側の代理人は、南ア政府が2003年11月には受刑者に対して抗レトロウイルス治療を実施することを決定していたと主張している。これに対し、ALP側の証人は、M.M氏がすでに絶望的な病状であった2006年7月12日にようやく抗レトロウイルス(ART)治療を受け始めたと証言している。さらに、ALPは、2006年7月20日に、M.M氏がウェストビルにおいて病状についての相談をすることができず、監禁状態にされていたという供述書を提出した。

TACはこの収監者の死に対して、完全な司法調査を要求している。他にもHIV陽性者で十分な治療を受けていない収監者がいるとみられ、TACは「悲劇を繰り返してはならない。」と主張している。

 南アフリカ共和国政府は、自国の「包括的なエイズ対策」をキャンペーンするために、ブースにレモンやニンニクなどを展示して来場者の失笑を買っていた。しかし、TACの15日の記者会見後、トロント会議ではこの問題に関して各種の抗議行動が展開され、南ア政府はきわめて厳しい立場に追い込まれている。

原題:PRISONER DIES BECAUSE OF DELAYS BY GOVERNMENT - MINISTER OF HEALTH AND MINISTER OF PRISONS MUST BE CHARGED WITH CULPABLE HOMICIDE
日付: August 16, 2006
出典: Treatment Action Campaign (TAC) Website 
URL: http://www.tac.org.za/pstatement.html

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★トロント会議閉会式:スティーブン・ルイス氏が、南アフリカの政策を批判
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8月13日から1週間にわたり、カナダ・トロントにて開催された国際エイズ会議では、アフリカHIV/AIDS国連事務総長特別代表 the UN special envoy for HIV/Aids to Africa スティーブン・ルイス Stephen Lewis が、閉会式で南アフリカ共和国政府を厳しく批判するスピーチを展開した。

ルイス氏は、南ア政府が、抗レトロウイルス薬(ARV)の十分な確保を怠っているとして、政府のエイズ対策の怠慢を強く非難した。一方、南アの代表的なHIV陽性者団体である治療行動キャンペーン(TAC)は、「ARVを使用する代わりに、レモンとニンニクとビートの根をエイズ治療に推奨する」と発言したチャバララ・ムシマン保健相 Tshabalala-Msimang  の更迭を要求した。ルイス氏は、南ア政府を名指しで「思慮と温情の国というより、常軌を逸した連中と言った方があたっている」と述べ、「その対策は誤っており、非人道的で弁解の余地がない」と糾弾した。

これに対し、同国保健省の関係者は、ルイス氏は、南アフリカに対して個人的な恨みをもっていると反論した。また、南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)は、南ア政府の対応を「信頼性があり、一貫したものだ」として擁護している。

本会議は、マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏 Bill gates らの開会演説に始まり、大きな成果が得られるものと期待されていた。しかし、ルイス特使の演説が始まる数時間前、南アフリカで44人のエイズ活動家が、ムシマン保健相の政策に反対し辞任を求める運動を起こしたとして逮捕された。ルイス氏はムシマン保健相と対立しており、「南アフリカの政府の受けは良くない」と自称している。ルイス氏は、その演説の中でこの逮捕を厳しく非難したが、これは南アのエイズ活動家からも評価を得ている。

南アフリカでは毎日800人がエイズに関連する疾病で命を落とし、ルイス氏は「このままでは政府は、国民に罪を償いきれない」と訴える。一方、ルイス氏は、返す刀でエイズ、結核、マラリアを議題とした2005年英国グレーンイーグルスG8サミットにも触れ、このままではG8の公約が達成される見込みは少なく、資金も目標値を大きく下回っているとしてG8諸国を批判した。

原題: SOUTH AFRICA AIDS POLICH ATTACKED
日付: Saturday, 19 August 2006
出典: BBC website
URL: http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/5265432.stm?ls

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★ジンバブウェとジャマイカの二人が「レッドリボン賞」を受賞
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8月13日から18日にかけてトロントで開催された第16回国際エイズ会議(IAC2006)には、ビル&メリンダ・ゲイツ夫妻、米国の前大統領ビル・クリントンや俳優のリチャード・ギアなど多くの著名人が出席し注目を集めた。南アフリカ共和国の治療行動キャンペーン Treatment Action Campaign TAC の共同議長ケンサニ・マワサ氏 Nkhensani Mavasa は、「これではまるでハリウッド会議だ。」と批判的だ。

華々しいスターの話題の裏で、二人の庶民が「レッドリボン賞」を受賞した。この賞は、国連開発計画 United Nations Development Programme UNDPとUNAIDSが主催しており、毎回のエイズ会議でHIV/AIDSの取り組みにおいて業績をあげた人に贈られる。今回受賞したのは、ジンバブウェで6児を育てるベティ・マコニさん Betty Makoni (35歳)とジャマイカ人のケレル・マッケイさん Kerrel McKay (21歳)。

マコニさんは、6歳の時に性的暴行に遭い、9歳で遺児になった。親を亡くしてローマ・カトリック教会の修道女に育てられたおかげで教育が受けられたというマコニさんは、現在英語の教師をしている。彼女のクラスには最初50人いた少女が、その年の終わりには15人に減ったという。彼女が教師として出会った2千人ほどの少女が、古い家長制度にとらわれた考え方やHIV/AIDSに対する偏見が原因で、HIVに感染し、感染しても適切な治療を受けられずに命を落とすことになったという。「私のような経験を、生徒たちにはさせたくない。」その思いで彼女は、1998年にはコミュニティ・センターを創設し、経済的な理由で学校に来られなくなった女学生たちの世話をするように計らった。現在ではジンバブウェにある500ものセンターにて、HIV陽性者である3万人もの少女や女性を支援している。

もう一人の受賞者であるマッケイさんは、ジャマイカ保健省のエイズ予防プログラムを運営している。最近は国際的な活動もしており、中国政府にエイズ支援の基金をもっと手厚くするよう要求するために、中国保健省との折衝役を果したという。

原題:Grassroots aids activists get their due
日付:Friday, August 18, 2006
原典:Associated Press,
出典:Crisscross.com
URL:http://www.crisscross.com/us/news/33653

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★ 地域情報
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★ギニア・ビサウ共和国−構造的危機の中、滞るエイズ対策
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1998年のある日、ギニア・ビサウでエイズに関する活動を行っていたパウロ・メンデス Paulo Mendesは、自分のオフィスが破壊されているのを発見した。ファイルは燃やされ、キャビネットは壊され、書類は破られ、あちこちに散乱、コンピューターや電話も無くなっていた。このような事例が頻発し、ギニア・ビサウにおけるエイズ活動が事実上不可能になったのは、1998年の内戦の時からである。

世界でも最も貧しい国の首都ビサウでは、兵士による略奪が横行し、政府の研究室や血液バンク、大病院などが壊滅的な状態となった。この混乱で、国家の人口の20%にあたる35万人が、かつての入植国であるポルトガルに逃れた。国家エイズ対策事務所 the national secretariat of the fight against AIDS SENLS セリフォ・エンバロ博士 Dr. Serifo Emballo は、「当時同国にいて外国に避難した医師・看護師の25%が帰国していない。内戦のため、エイズ対策は10年後戻りしてしまった。」と語る。彼は、現在国家プログラムに従事する唯一の医師であり、何も無いオフィスで古びたタイプライター、カーボン紙を使って仕事をする。

 内戦は継続し、政治や社会が不安定になり、数々の不正行為、経済停滞、議会の解散の挙げくに、2003年にはさらにクーデターが起こった。2005年7月の選挙の後、10月に新政府が誕生し、2006年6月西アフリカ諸国経済共同体 the Economic Community of West African States はそれまで3ヶ月も給料が未払いだった公務員や教師、医師や軍人などの救済にあたった。人道問題調整事務所Office for the Coordination of Humanitarian Affairs OCHAによれば、そもそもこの危機の原因は、機能していない国家、非効率な行政、分裂した政治エリート、介入好きな軍隊によるものである。

ギニア・ビサウでは、より感染力が弱いHIV-2種ウイルスが流行したが、戦争後、より感染力が強く致死率の高いHIV-1ウイルス感染が増加した。そして、2003年に政府が示した計画に基づき、現在状況は落ち着いているように見えるが、感染者数は今後も増え続けるのでは、と懸念がある。「ここではエイズはマラリアや結核を抜く勢い」と、カメルーン生まれの世界銀行職員のマロケ・エフィンバMaloke Efimbaは語る。

現在エイズ対策には、世界銀行から700万ドル、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)から450万ドルが資金拠出されている。だが問題は、室の低い案件提案書、公務員の汚職、技術者などの人材不足、インフラ不足などが整っていないことだ。また治療はブラジルから寄付された治療薬で行われているが、治療にあずかっているのは首都に住む80人のみである。

 ギニア・ビサウは、1962年にポルトガルからの独立戦争が開始されて以来、ずっと混乱が続いてきた。1973年の独立以降、政情はますます不安定となり、「構造的緊急事態」だと言われる(編集部注)。前述のマロケ氏は、1978年以来ずっと活動し続けている現地のNGO、バンディム・ヘルス・プロジェクト The Health Project of Bandim の手を借りるべきだと考える。市民戦争の間、ここの事務所はビサウ郊外のクムラという町に移転しており、給与が支払えない間はスタッフに食料を支給をしていたという。この混乱の中バンディム・ヘルス・プロジェクトが消滅しなかったのは、スタッフの高いモチベーションと質の高い管理体制などのおかげだという。

バンディム・ヘルス・プロジェクトでは、5つの郊外人口と首都人口の30%を合わせた7万5000人に活動を行っている。しかしこの10年の間に若者の間での感染が増え、さらに多くの人がエイズの存在自体を信じていない。内戦、政府機能不全が、HIV感染の拡大の要因となり、アプローチの仕方にも困難が生じている。

原題:GUINEA-BISSAU: Trying to work a miracle
日付:July 14, 2006
出典:IRIN PLUS NEWS
URL:http://www.plusnews.org/aidsreport.asp?reportid=6166

(編集部注)ギニア・ビサウはポルトガルの植民地でしたが、アミルカル・カブラルを指導者とする「ギニア・ビサウ/カーボ・ヴェルデ・アフリカ人独立党」(PAIGC)が独立戦争を展開し、1973年にポルトガル軍を独力で放逐し独立を勝ち取りました。この独立戦争は、単にギニア・ビサウの独立を勝ち取るのみならず、当時ファシスト体制下にあったポルトガルを民主体制に移行させた1975年の「カーネーション革命」の直接の原動力となったと言われています。その点で、この記事におけるギニア・ビサウの歴史に関する記述は一方的で余り適切なものとは言えません。しかし、独立の英雄カブラルは独立直前に暗殺され、独立後は極端な経済的困難に直面し、結果としてクーデターと独裁に道を開きました。90年代後半には、ここに書いてあるとおり内戦が深刻化しました。現在は、70年代末から政権の座にあった独立戦争の軍事指導者ジョアン・"ニノ"・ヴィエイラが選挙に勝利して大統領職に復帰しています。

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★スワジランド:侮辱的なキャンペーンに怒ったHIV陽性者たち1000人が首相官邸にデモ
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7月中旬、スワジランドのHIV陽性者らは首相官邸と国家エイズ委員会のオフィスに向けて、“侮辱的な”メディアキャンペーンに抗議するためにデモを行った。ここ数年で最も大きなもので、約1,000人が参加した。

非難の対象となったメディア・キャンペーンを主導したのは、政府機関である「国家エイズ緊急対策委員会」 National Emergency Response Council on HIV/AIDS:NERCHA である。この委員会は、HIV感染は不道徳な性的行為が原因であるとして、HIV陽性患者の意見を聞かずに6月にキャンペーンを開始した。

「これではHIV感染者は不名誉だ。侮辱されて憤っている。我々も行動を起こす時が来た。」デモのリーダーでスワジランドHIV陽性者ネットワーク Swaziland National Network of People Living with HIV/AIDS:SWANNEPHA 議長のヴシ・マツェブラ氏 Vusi Matsebulaは主張する。

不適切な恋愛関係を結ぶ人々の間で使われるスラングでもある「マクワフェニ」Makhwapheni と呼ばれるメディアキャンペーンでは、恋人同士の性的な逢瀬をイメージさせる携帯電話テキストメッセージが、何万通と送信された。主導していたマーケティング会社は、携帯電話がカップルらの最も利用されるコミュニケーション手段であることに注目し、このキャンペーンを行った。もちろん、こうしたメッセージによるキャンペーンは重要だが、人口の40%がHIV感染者であるという状況のスワジランドでは、これは安っぽいキャンペーンとしか受け取られなかった。「HIVはうそつきの旦那と不倫女性によって広がったのではない。これは私たちへの侮辱だ。」とHIV陽性者であるデモ参加者センゾ・ンコシSenzo Nkhosi は言う。

スワジランド・タイムズ Swaziland Times の調査によると世論は2つに分かれている。キャンペーンの支持者(全てが感染者と言うわけではない)は、キャンペーン自体、意表をつくもので、意識喚起に良いとしており、国家エイズ緊急対策委員会NERCHAは、この試みは人々の意識を変えるものだったと主張した。しかしSWANNEPHAは、そうしたNERCHAの主張を傲慢だとし、キャンペーン・スタッフはエイズの問題をネタにして糊口をしのいでいる連中だ、と批判した。

“Makhwapheni”キャンペーンは、エイズ活動グループが異議を唱えるきっかけとなった。SWANNEPHAは、この国の首相やNERCHAに対して、HIV陽性者の治療アクセスへの権利を求めている。

原題:SWAZILAND: Anti-AIDS text messaging campaign raises hackles
日付:July 21, 2006
出典:IRIN PLUS NEWS
URL:http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=54748

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★ ケニア:知的財産法の改訂に反対するHIV陽性者たち
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2006年7月、ケニアでは、産業知的財産権法Industrial Property Act–IP の改定案が国会で議論されている。保健医療関連の市民社会組織およびHIV陽性者らは同国の国会議員たちに対し、同法改定案の否決を呼びかけている。

同法の改定は、HIV/AIDS、結核、マラリアなどの感染病治療薬の入手がより一層困難になる可能性があるということを意味している。しかし、ケニアの国会議員の中には、その重要性に気がついてない者も多くいる。改定案は、2006年7月20日に2度目の審議を終えたが、医薬品の入手可能性の問題に触れたのは法務長官と1議員のみで、保健委員長の議会への出席はなく、法的課題を扱う担当委員会からは、IP法に関する説明さえなかった。国会議員のエイズ治療薬に対する関心はあまり高くないと言える。

今回提案されているIP法の改定案(第58条(2)、第80条(1A)、(1B)、(1C )は要約すると、以下のとおりである。

○ケニア政府および薬品調達業者は、海外から薬品を輸入する前に、特許権保持者からの許可を得ることが必要。

○政府は、緊急時のみ、薬品供給の必要が生じた第三者に薬品製造許可を発行できるが、その際、事前に特許権保持者と交渉が必要。

上記条項が適用されるとなると、薬品の調達に時間がかかり、薬価が高騰することは明らかである。更に、国民の治療薬ニーズが高まると、政府の対応が困難になり、政府機能が麻痺する可能性もある。そうすると、感染症の治療薬へのアクセスが途絶え、政府がせっかく取り組んできた感染症や緊急医療保健ニーズへの対応という目標からも大きく逸脱する。

エイズ・マラリア・結核に取り組む統一市民社会連合 United Civil Society Coalition on HIV/AIDS, TB and Malaria のイグナティウス・キベ医師 Ignatius Kibe は「2002年にも、今回と全く同じ改定案が提出され、ケニア国民の利益に反するとして否決された。ケニアの国会議員は実直で責任感があり、公衆衛生への意識の高いのだから、今回についても、この改定案は否決されるべきである」と話している。

原題:Press Release: Our lives over patent rights! 
日付:July 24, 2006
出典:af-aids listserv
URL:http://archives.healthdev.net/af-aids/msg02599.html 

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★2007年G8サミットでは感染症問題は取り上げられない?
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2007年主要国首脳会議G8サミット議長国となるドイツは、サミットの主な議題として世界経済問題を取り上げることを、7月下旬に発表した。ただしまだ本決定はしていない。

ドイツのアンヘラ・メルケル首相Angela Merkelは、「近年のG8サミットでは、途上国の貧困、気候変動、感染症対策など、マクロな視点でのテーマが多すぎたため、充分な議論や提案がなされなかったという問題があった。これを受けて、次のサミットでは、サミットが開始された1970年代の『原点』に立ち返って、世界経済をテーマに据え、その中でも世界経済の不均衡に焦点をあてたいと」説明している。G8サミットは、1973年のオイルショックを起源として1975年に発足したが、近年では、経済的課題を討議する場という当初の趣旨は薄れ、外交政策から感染症まで幅広いテーマを扱っていた。

世界経済に基軸を戻すという今回の提案の背景には、今週ドーハで行なわれたWTOの貿易会談がうまくいかず、輸出依存体制のドイツが厳しい局面に立たされていることや、中国、インド、ブラジル、南アフリカ共和国、メキシコなどの諸国のサミットへの参加を拒みたいという意図が関係しているであろう。EUではすでに加盟国が25ヶ国に達し、EUサミットでの議論実施も限界になってきている。一方、G8サミットでは、不定期ながらも中国をG7蔵相会議に招待するなどの対策をとっている。

なお、次回サミットは、2007年6月6日から8日までバルト海沿岸のハイリゲンダムHeiligendammで開催される予定だ。ドイツはサミットの議長国となるのは今回が5回目で、来年は上半期のEU議長も務めることになっている。ドイツ政府はサミットの議題を近日中に最終決定するが、経済の不均衡の他、知的財産の保護とエネルギーが議題として上げられる可能性が高いと見られている。

このドイツの判断が、今後、世界経済、また、地球規模課題にどのような影響をあたえるのだろうか。次のサミットに注目があつまっている。

原題:Germany plans to shake up G8 agenda
日付:July 27, 2006
出典:Financial Times
URL:http://www.ft.com/cms/s/e3e35a3c-1da2-11db-bf06-0000779e2340.html 

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■□編集後記
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9月に入り、秋らしくなってまいりました。グローバル・エイズ・アップデイトも3年目を迎え、現在勉強会なるものを予定しております。世界のHIV/AIDS事情に興味はあるけれど、もっと概論的なことを知りたい!という、皆さまのご要望にお応えし、10月初旬に開催されます。

3年目に入り、編集部も5人体制となりました。ぜひ皆さまからもご感想をいただき、よりよいメールマガジンになるように尽力したいと思います。よろしくお願いいたします。

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