国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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40号(Global AIDS Update)

2006/03/31


■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
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 第40号 2005年(平成18年)3月30日
  Vol.2 -No.17  Date: March 30, 2006

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
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◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は
 事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

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■「第40号」目次
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★地域情報

●アフリカ
1.モザンビーク:国境なき医師団、ARVプログラムの現地政府・地域住民への引き継ぎを進める

2.ザンビア北部: 湖畔の町で拡大するHIV/AIDS

●アジア太平洋地域
1.インド:携帯電話ゲームで感染予防
2.タイ米FTA交渉の停止を要請−タイと米国の市民社会が連携してキャンペーン

●中東
イラン:HIV/AIDSの現状-性行為・薬物使用による感染が増大傾向

★オピニオン
HIV/AIDS活動では英語が優勢:-非英語圏出身者は不利?〜中南米のHIV/AIDS活動団体からの提起〜


★ドナー情報
政府開発援助の分配をめぐる暗闘〜米国国務省

★会議情報
「国連HIV/AIDS対策レビュー総会」ユースサミット開催決定(5月29日および30日)

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★ モザンビーク: 国境なき医師団、ARVプログラムの現地政府・地域住民への引き継ぎを進める
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アフリカ南東部に位置するモザンビークで、抗レトロウイルス薬(ARV)治療プログラムの持続性の確保を目指し、国際NGO「国境なき医師団(MSF)」は、その現場を政府に委ねるための技術移転に重点的に取り組んでいる。北部ニアサ地方の二チンガでMSFが展開している事業を政府やコミュニティに引きついでいくもので、2008年末までに370人を治療する。

MSFマプト Maputo 地域プログラム・コーディネイターパトリック・ウィーランド氏 Patrick Wielandは「MSFは政府に代わって市民への責任を引き受ける役割は持たず、モザンビークに恒久的に留ることは考えていない」と言う。モザンビークでは、推定20万人が治療を必要としており、このうち、約17,000人が治療を受けている。HIV感染率は16.2%と推定される。同氏は「非医療従事者やコミュニティを巻き込むことで、ARV治療モデルが貧しい環境でも有効であることを我々は証明した」とも述べる。南アフリカ、マラウィ等で実施したMSFの治療プログラムは、コミュニティの参加により、薬剤を適切に摂取している人の割合 drug adherence rate が西洋諸国のそれより高くなり得ることを証明している。

MSFは2006年4月に、3,600人のHIV陽性者を治療している南アフリカの3つの現場を西ケープ州地方保健部門に引き継ぐ予定である。公共サービスの非効率・官僚的なこととスタッフの訓練不足への疑念からMSFが撤退することに懸念を示す声もあるが、「プログラムを有能なパートナーに引き継ぐだけであり、治療が必要な人を放置することはない」「人々が懸念するのは分かるが、MSFは現地スタッフを入念に教育している」とMSFは説明する。教育は理念と実践が含まれる。リチンガでは、MSFが運営していた薬剤の安定的供給業務を保健省が引き継いだ。次に引き継ぐべきプログラムは母子感染の防止に関するものである。MSFは、患者がMSFの治療計画に従うことを支援している地域活動家のみならず、市の病院や地域診療所の医師、看護師、助産師の教育を行っている。週に一日、病院の医師はMSFのスタッフと一緒に治療現場で働く。地方の健康管理機関において、MSFの管理専門家が統計処理の仕方、ARV治療や日和見感染用薬剤供給の管理方法を職員に教えている。

リチンガのフィールド・コーディネーター ヌリア・ドミンゴ氏 Nuria Domingo は、「教育はゆっくりしたテンポで進んでおり、1回に1歩前進する程度」と語っている。 

原題: MOZAMBIQUE: MSF to ensure sustainabiliity of ARV programme
日付:January 17, 2006
出典:IRIN Plus NEWS
URL:
http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=51164&SelectRegion=Southern_Africa

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★ ザンビア北部: 湖畔の町で拡大するHIV/AIDS
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アフリカ南部の国、ザンビアの北部のコンゴ民主共和国との国境地帯にあるムウェル湖 Lake Mweru では、30年ほど前までは、小さな網二つで一日に1トン以上の魚が捕獲できた。しかし、その後続く貧困増大や、コンゴ側での紛争、ザンビアの銅山閉鎖などによって、大量の若者がこの湖に押し寄せ漁業に従事した結果、魚は急激に減少、最近は魚を捕るよりHIVに感染するほうが容易であるとまで揶揄されている。

ザンビアの銅ベルト地帯から商品の塩魚を買いに来た女性、ムオネ Muhone は「ここには、あらゆる所から人が集まり、自然の成り行きでカップルができます。男性は妻なしで過ごせず、女性は生活のため自分の身を売ります。」と、語る。

2001年、世界の途上国で活動をするNGO 「国境なき医師団(MSF)」が、湖畔の町 ンチェレンゲ Nchelenge を訪れ、1ヶ月に400人の調査を行っている。15-49歳の4人に1人がHIV陽性で、1,500人は病気が進行した状態で抗レトロウイルス薬の治療が必要であるという。平均余命は40歳以下で数百人の孤児がおり、1万人がHIV感染していると推測する。

ンチェレンゲには、セックスワーカーは80名ほどいると言われている。そのうちの一人ドリーン Doreenは、「相手にコンドームを着けさせることは難しい。お金を余計に払うから着けたくないという人、つけていると言って着けていなかった人、結婚しようと言いながら翌朝にはいなくなってしまう人がいます。我々は自分たちのHIVの状況について話をしますが、私は自分が感染しているかどうかわかりませんと言います。」と語る。

MSF相談員チームを率いるアレックス・クンダ Alex Kunda によれば、湖畔地域に住む男性は極めて感染リスクの高い状態であるという。「彼らの中には、より多くの女性と寝ることが男らしさの現れであると考える者がいる。コンドームについても、使われている潤滑油が胃痛を起こすので危険であると言って使用せず、コンドームでフットボールやブレスレットを作るなど目的外使用が多く見られる」と語る。クンダ氏は、「たしかに教育は不可欠だ。教育により、今は皆がHIV/AIDSを知っている。使っているかどうか分からないが、コンドームをもらいに来る若者も出てきた。コンドームをクラブ、ゲストハウスあるいは公共広場などに置いている。数千人を対象にカウンセリングを行っており、効果は現れているがまだわずかである。やるべきことは山ほどある」と意欲を見せている。

原題: The lake where locals say it's easier to catch HIV than fish
日付:Saturday January 7, 2006
原典:IRIN Plus NEWS
出典:guardian website
URL: http://www.guardian.co.uk/aids/story/0,,1681089,00.html

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★ インド:携帯電話ゲームで感染予防
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インドの首都デリーを中心に事業を展開するソフトウェア会社 ZMQが、昨年のエイズデーにあわせて、「フリーダムHIV/AIDS」(Freedom HIV/AIDS)という、エイズに関する啓発を目的とした4つの携帯電話専用ゲームを開発した。同社は、インド最大の民間企業リライアンス・インダストリーズ Reliance Industriesの子会社で、インド国内で900万人もの携帯電話市場を持つリライアンス・インフォコム社 Reliance Infocomm と提携し、デリー州立エイズ対策協会 Delhi State AIDS Control Society の認可を受け、このゲームを開発した。

すでに携帯ゲームは、同社の携帯電話に導入されており、今後、ますます利用者が増えるであろうと見込んでいる。労働記念日であるメイ・デー(5月1日)には世界仕様のゲームが発売される。

「フリーダムHIV/AIDS」 は4種類のゲームから成り、様々な利用者心理に配慮している。どのゲームも白黒・カラーの両使用の携帯電話で操作可能だ。4種類のゲームの簡単な説明は以下の通り;

「セーフティ・クリケット Safety Cricket 」: 善 good と悪 evil によるクリケット対決で、レッド・リボンやその他の情報を象ったボールを打ち合う。ゲームの途中で感染リスクの高い性交渉、HIV感染している血液の輸血、注射器や悪い友だちなどとして飛んでくる曲球も交わさなくてはならない。

「リボン・チェイス Ribbon Chase 」:プレイヤーが赤いリボンとなり、HIVに追われながら、世界にメッセージを発信していく。

「メッセンジャー The messenger 」:ハトが村から村へHIV啓発のためのメッセージを伝達する

「クイズ:バブといっしょに Quiz with Babu 」:キャラクターが登場し、プレイヤーのエイズに関する質問に答え、詳細な情報を提供していくという主旨だ。

問題は、これらのゲームに効果があるかということである。欧州委員会情報社会メディア担当European Commissioner for Information Society and Media ヴィヴィアン・レディング氏 Viviane Reding は、「次世代携帯電話の知的使途のひとつとして、HIV/AIDS教育はよい一例となっている」と語る。UNAIDSのエイズ教育モデレーター モハマド・ラフィーク氏 E Mohammad Rafique も同様の意見だ。一方で、競争の激しい携帯電話市場において、やはり大掛かりな宣伝をしていかない限り、一般の人には中々浸透していかない。携帯電話がエイズ対策に一役かってくれるのか…希望を持って見守るしかなそうだ。

原題:Fighting HIV/AIDS with mobile gaming
日付:January 22, 2006
出典:Financial Express Website
URL: http://www.financialexpress.com/fe_full_story.php?content_id=115292

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★ タイ米FTA交渉の停止を要請−タイと米国の市民社会が連携してキャンペーン
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(2005年1月11日)現在、米国とタイの間で自由貿易協定の交渉が進行中だ。目下の焦点は知的財産権に関する条項で、米国はタイに特許権をはじめとする知的財産権保護の強化を迫っている。これまでタイはエイズ治療薬のジェネリック薬(特許後発薬)を自国生産して安価な医薬品を供給してきたが、交渉が成立すればそれが難しくなる。
米国在住の公衆衛生や人権に関する活動家らはタイの活動家と協力して交渉を止めるように米国通商代表部(USTR)に要求しているが、政界に強い影響力を持つ巨大製薬企業によって阻まれている。

タイでは、HIV感染者を含めた1万人にのぼる反対派が結束して、協議の行われているホテル周辺にバリケードを築いた。タイHIV/AIDSグループ Thai HIV/AIDS group のナパラート・サ=ンジエムジトル氏 Nopparat Sa-ngiemjitr は「私たちは命を懸けて特許権と戦っている。衝突で怪我しようと逮捕されようとかまわない。実際、交渉が成立すれば私たちはさらに窮地に追いやられる」と話している。

米国では、下院議員なども含め、多くの団体・人々が、現在USTRが進めている貿易交渉に懸念を示している。これらの人々は、米国経済において最大の収益を上げている産業である製薬産業が、米・タイ両国民を傷つける形で、米国の外交政策をリードしているのではないかと危惧している。実際、米国の貿易政策は、安価なジェネリック薬を締め出そうとするものであり、それによってタイの有効なエイズ治療プログラムが危機にさらされている。

「グローバルな正義のための運動 the Mobilization for Global Justice」 のモーガン・フィリップス Morgan Phillips 氏は、「特許権を重要視する今回のFTA交渉は人命よりも製薬企業の利益を優先しており、到底支持できない。必須医薬品 essential medicines に対する企業の知的財産権は、自由貿易協定の対象事項に含まれるべきではない。米国政府は、米国とタイの国民がそれぞれ討議をし、合意をみるまで、交渉を中断するべきだ」と話している。1月11日には、同団体など米国の数団体がUSTRを訪問し、製薬企業の利潤よりも人命を尊重すべきであると訴えた。

原題:Press Release: Activists "Die" At US Trade Office Demanding Halt to US-Thai Free Trade Agreement
日付:January 11, 2006
出典:Sea-Aids
URL: http://archives.healthdev.net/sea-aids/msg01696.html

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★ イラン:HIV/AIDSの現状-性行為・薬物使用による感染が増大傾向
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イランでのHIV感染率は、アフリカやヨーロッパ、アメリカと比べれば小さな数字であるが、増大傾向にある。イラン保健省の報告によれば、現在12,500人以上が感染しており、その殆どは男性で、女性の感染者は700人未満であるという。また、これまでに少なくとも1000人が亡くなっている。感染の主な原因と推測されているのは、麻薬の静脈注射針の共有である。イランの薬物使用者は、およそ20万人といわれ、今後HIV感染率が爆発的に増加する可能性がある。

国内でのエイズの第一人者であり、テヘラン大学のイラン・エイズ調査センター代表のミノー・モフラズ医師Minoo Mohraz は、20年にわたって政府や公衆に対してHIV感染拡大の警告を発し続けてきた。他の地域、例えばアフリカでのHIV/AIDSによる影響を知った医師は、いつかイランでも起こることであると見越していたという。しかし当初は誰も彼女の警告を相手にせず対策をとらなかったため、かつて300人程度だったHIV陽性者の人口は、今では12000人以上にも増加している。

エイズは例えば、乱交や男性間の性交などリスクが高いといわれる特定の行為によってのみ感染すると信じられていた。今ではだいぶ理解も進んできたが、厳格なイスラム国家であるイランでは、性や麻薬について語ることは困難であり、感染予防教育の大きな障害となっている。

モラズ医師によると、麻薬の使用が感染の一番の原因であるが、現在は安全でない性行為による感染が増加しており、特に売春によるものが多くなっている。

また、経済状況が問題を悪化させているとも指摘している。最近、離婚率が増加して初婚年齢が高くなっている傾向にあるが、これはセックスワーカーを含む複数のセックスパートナーを持つことにつながり、HIV感染の可能性が高まる。

HIV感染拡大を予防するための意識を高めるとともに、HIV/AIDSは恥ずべきものではないと伝えることも重要なことであり、偏見をなくしていきたいとモラズ医師は話している。

原題:Sex, drugs and HIV in Iran
日付:January 18, 2006
出典:hotzone.yahoo
URL: http://hotzone.yahoo.com/b/hotzone/blogs2212

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★ HIV/AIDS活動では英語が優勢:-非英語圏出身者は不利?
〜中南米のHIV/AIDS活動団体からの提起〜
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中南米でHIV/AIDSについて活動しているアグア・ブエナ人権協会Agua Buena Human Rights Association (本部:コスタリカのリチャード・スターン氏Richard Stern は、「ラテンアメリカ・カリブ海地域のエイズ活動家は、言語の問題が原因で、グローバルなHIV/AIDSに関わる市民社会の意思決定から半ば締め出されている状態なのではないか」と述べている。。

現在、HIV/AIDSの国際的な会議をはじめとする活動の場においては、共通言語は英語と想定されている。費用の掛かる通訳や翻訳サービスが最小限に抑えるためだ。

その結果、英語で教育を受けている国の出身者や、英国植民地時代の影響を受けている国は、会議での発言などで有利な立場にある。例えばフィリピン出身の活動家は英語による早期教育を受けており、少なくともタガログ語から英語へ翻訳すれば足りる。一方、スペイン語を公用語とする多くのラテンアメリカの国やポルトガル語が母語であるのブラジル、さらにフランス語圏のアフリカ諸国では、経験を国際的に広めようとしたり、基金の申請書を提出するためには、自分の民族のことばをまずスペイン語など公用語に翻訳し、さらに英語に訳さなくてはならない。そのため、翻訳のために高い費用を払わなければならない

スターン氏は、英語がHIV/AIDS活動において優勢であることによって生じる悪影響として、非英語圏出身のHIVエイズ活動家の経験を国際的に広めることが困難になることを指摘する。英語圏か非英語圏かに関わらず、地域の経験や知識をグローバルに共有していくことは重要である。ところが、非英語圏の地域の経験や知識は、他の地域の活動家と共有できることもなく失われてしまう。また、最新の情報を入手することが難しいという欠点もある。

国家を超えた民間社会共同体が、言語やコンピューターによる情報格差に打ち克ち、情報と伝達技術の利益を受けるためには、どうしたらよいのであろうか。情報技術を利用するための物理的問題、情報普及の際の優先事項は何かを明確にすること、情報伝達のためのネットワークの透明性と自由をどのように守るのか、という問題がある。

英語が優勢であるという理由で、非英語圏の活動家が、活動情報の普及や共有化に消極的にならざるを得ないとか、情報共有に失敗してしまうといったことがあってはならない。国際NGOにとっても、共同体や現地での活動による報告は大変有用な情報となるはずである。

原題:A Key Subject: Communications and International Activism
日付:16 January, 2006
出典:Sea-Aids Website
URL: http://www.healthdev.org/eforums/cms/inv-archives.asp?sname=Break-the-Silence

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★ 政府開発援助の分配をめぐる暗闘〜米国国務省
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米国国務長官コンドリーザ・ライス氏は、米国国際開発庁(USAID)やその関連機関を国務省長官の管轄下に置くため、国務省に新たな担当局を設置すると発表した。また、現在、米国大統領地球規模エイズ調整官の地位にあるランドール・トバイアス氏 Randall L. Tobias 氏が1月19日よりUSAID長官となる。米国の大手製薬会社イーライ・リリー社 Eli Lilly の取締役であり、共和党の有力支援者でもあった。

USAIDは1961年に設立されたが、、実質的な予算の執行は庁外で操られ、ライス氏が指摘するように、その透明性が疑問視されてきた。USAIDの体制について、前長官で現在ジョージタウン大学教授のアンドリュー・ナツィオス氏は極めて批判的である。ナツィオス氏は、USAIDの予算は議会による数多くの決定や指示によって縛られて極めて窮屈な状態にあり、実際、USAIDの190億ドルの予算のうち、50億ドル分については、エイズ、麻薬対策や軍事訓練、民主化支援などの50億円の執行分については、権限が与えらなかったと話す。

一説によると昨年、ライス国務長官は開発庁を解体して国務省に吸収させ、国務省の権限拡大を目指していたという。しかし、当局報道官は、この方法だと立法措置が必要になるとしてこの説を否定する。この報道官は、ライス長官がUSAIDと他機関を統括・調整する役職の設置を示唆したという。

ライス氏は、ジョージタウン大学で行われた講演会で、今後各国の民主化を定着させるため、「移行期外交」を行う意向を示した。具体的には、欧米に駐在する数百人の職員を、中国、インド、ナイジェリア、レバノンやその他の途上国に派遣する方針を検討しているという。またライス氏は、2003年のフセイン追放後のイラクにおいて援助が出遅れたことを教訓として、今後は紛争国における紛争後の再建にも注力すると語った。

米国の国際支援予算は2000年のブッシュ政権下で倍増したが、その大半がUSAIDではなく、国務省内の他機関に流れたという。クリントン政権下においても、議会による予算削減圧力の回避策として、援助資金の他省庁への振替が行われていたという。次期長官トバイアス氏の下では、今後すべての予算管理を行い、各援助対象国の5ヶ年計画の策定を支援し、1年毎に援助の実施状況を管理する。しかし、開発庁関係者は、すでに、これらのシステム自体がすでに非常に官僚的であるとの見方があり、また早期に成果を挙げるよう、外部からの強い圧力があるとの窮状を訴えている。

原題:Rice to Group Foreign Aid in One Office in State Dept.
日付:January 19, 2006
出典:New York Times Website
URL: http://www.nytimes.com/2006/01/19/politics/19aid.html


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★「国連HIV/AIDS対策レビュー総会」ユースサミット開催決定(5月29日および30日)
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この5月末に開催される「国連HIV/AIDS対策レビュー総会」の関連企画として、ユースサミットが2006年5月29日および30日に開催される。後援は、国連人口基金、および、若者の性の健康に関する支援をしている民間団体である「アドボケーツ・フォー・ユース」 Advocates for Youth、HIV/AIDS世界ユース連合the Global Youth Coalition on HIV/AIDS。5月31日から6月2日にかけて国連本部で開催される国連総会に先立ち、世界中の若者を集めて米国・ニューヨーク市で会議を行う。

最近の新規HIV感染者の約半数は15歳から24歳の若年層である。この現状を踏まえて、若者を巻き込もうというのが今回の目的。サミットで得られた結論や参加者の声は、その後のUNGASSに取り入れられることが期待されている。参加費は無料だが、会場までの交通費と会期中の宿泊費は各自負担のこと。
サミットの内容は下記のとおり。

第1日目:アドボカシー(政策決定)、メディア、HIV/AIDS に関するコミットメント宣言(Declaration of Commitment on HIV/AIDS)や国連の決議プロセス等に関するスキル養成。
第2日目:対話形式の議論を通してユース世代代表としてのUNGASSへの要請をまとめる。

詳細な情報は、beth@advocatesforyouth.org またはjoya@youthaidscoalition.org にお問い合わせ下さい。

原題:Event: UNGASS Youth Summit Advocates for Youth, the Global Youth Coalition on HIV/AIDS, UNFPA
出典:Global Youth Coalition on HIV/AIDS
URL: http://www.youthaidscoalition.org/activities.html

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■□編集後記
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すっかり春らしい陽気になってきましたね。先週は卒業式ラッシュらしく、袴を着た学生をたくさん見かけました。来週は初々しい新入社員や新入生をたくさん目にすることでしょう。読者の皆様の中にも、異動や進学等で環境が変わる方も多いと思います。それでなくても、人が大移動する季節。毎年人との出会いが楽しみである一方、新しい環境に慣れなくて戸惑うことも多い季節ですよね。そんなストレスを感じたときは、桜の木を見上げて深呼吸!日本が(9月でなく)4月を新年度にしているのは、うまくできているなぁと思います。

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