国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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38号(Global AIDS Update)

2006/03/03


■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第38号 2006年(平成18年)3月2日
Vol.2 -No.17 Date: March 2, 2006

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:以下のブログを参照!
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◆Melma!を通しての購読申し込みは
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◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は
 事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

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■「第38号」目次
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★地域情報

●アフリカ
1.ウガンダ:貞操政策がエイズ対策を後退させる—女性エイズ活動家の手記
2.スーダン: 青少年向けHIV/AIDSキャンペーンを開始
3.タンザニア製エイズ治療薬発売:治療拡大に光
4.ボツワナ: 遅れるカウンセリングの実状
〜無料治療供給とHIV抗体検査の壁〜

●北中米地域
米国: ブッシュ婦人、禁欲や貞操を基礎にしたエイズ対策を支持する

●アジア・太平洋地域
1.オーストラリア: 対米国自由貿易協定で薬価に関する問題
2. イラン: セックスとドラッグとHIV

★国際機関情報

1.第16回国際エイズ会:トロントで8月13日開催-詳細決定
2.国際保健会議:米国イェール大学で4月開催-
「保健格差是正に向けての地域社会エンパワーメント」参加申込受付中

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★ウガンダ:貞操政策がエイズ対策を後退させる
—女性エイズ活動家の手記
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 ウガンダが禁欲と貞操を重視するエイズ対策を採用し始めて10年以上がたった。同国のHIV感染率は1990年代前半以降15%から9%と低減し、禁欲プログラムが成功したと見る向きもある。しかし、多くのエイズ活動家は極端に禁欲、貞操を重視する現在の政策に批判的だ。

 以下は、ヘラルド・トリビューン氏に掲載されたエイズ活動家ベアトリス・ウェレ氏 Beatrice Were の手記である。彼女は14年前に夫からHIVに感染して2人の子どもを育てている。

 夫をエイズで亡くしてから、HIV陽性の女性のサポート活動をしてきた。当初は偏見もあったが徐々に努力が報われているように感じる。以前よりもHIV抗体検査を受けに行く人が増えたし、家族とHIV/AIDSを話せる雰囲気になってきた。

 一方で、最近HIV陽性者に対する新たな偏見が生まれているのを感じる。その原因は政府が進める禁欲重視型のHIV/AIDS対策プログラムだ。ムセベニ大統領 Yoweri Kaguta Museveni は「コンドームはHIV感染の可能性が高いグループだけ使えばいい」と公式にコメント。奨学金の応募者に「性体験がない」ことを条件にする大学もあるほどだ。

 こうした傾向はABC政策(禁欲 Abstinence, 貞操 Be faithful and コンドーム使用 use Condoms)を推進する米国の動向ガ大きく関係していると考えている。なぜなら、米国はウガンダにとって、最大のHIV/AIDS対策資金提供国だからだ。かつてコンドームの積極的な利用を訴えてきたエイズ活動家たちでさえ最近は沈黙するようになってしまった。コンドームを配布でもしたら、米国の資金援助を受けられなくなるからだろう。

 「HIV陽性者は性的にだらしない」という見方は現実に広まっている。私の知り合いの10代の娘は、「HIVに感染している女性は不注意で腰の軽い人たち」と話していたという。私自身、「コンドームの使用を勧めるのは、お前がもっと性行為をしたいからだろう。」と、なんとウガンダ国会議員に言われたこともある。

 たしかに禁欲がHIV感染対策になるという主張には一理ある。しかし、今の傾向は明らかに行き過ぎだ。

 私がこれまでに経験した最も困難なことは、自分の子どもたちに、私がHIV陽性であることを告げた時だった。これからの女性たちには、私と同じような思いはさせたくない。

原題:The destructive strings of U.S. aid 
日付:DECEMBER 15, 2005 
出典:International Herald Tribune 
URL: http://www.iht.com/articles/2005/12/15/opinion/edwere.php 

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★ スーダン: 青少年向けHIV/AIDSキャンペーンを開始
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 2005年12月 スーダン国家エイズ管理プログラム SNAP : The Sudanese National AIDS Control Programme(SNAP)、ユニセフ、UNAIDSなどが共同で、子どもへのHIV/AIDSのインパクトに焦点を絞ったキャンペーンを開始した。

 現在、スーダンでは30万人もの25歳以下の若者がHIVに感染しているという。ユニセフのHIV/AIDS担当官のセベリン・レオナルディ Severine Leonardi は、「スーダンではHIVは全年齢層で感染拡大している。紛争が終結して平和復興に向かっている今、この問題に早急に対処しなければならない。」と話す。今後は女性と子どもを対象に治療薬を配布する計画もあるという。

 キャンペーンは、若者にHIV/AIDSとその感染予防方法を教えることを目的としている。SNAPやユニセフが今年初めに実施した調査によると、19歳から24歳のスーダンの若者の大部分は性体験があると回答したが、HIVの感染防止方法やコンドームを正しく理解していると答えたのはそのうちの10%に満たなかった。同じ調査で、15歳から49歳の女性の75%が、HIVが母子感染することを知らなかったことが明らかになった。

 統計によると、スーダンでは2万3千人がすでにエイズに関連する病気により死亡し、6万人のエイズ遺児がいると推定されている。
UNAIDSによると、スーダンでの15歳以上の人々の間でのHIV感染率は2.6%と、他のアフリカ諸国に比べれば低い。しかし、ユニセフスーダン代表 テッド・チャイバン Ted Chaiban は、同国では、発表されているデータの数値よりも多く、約60万人がHIVに感染していると推定している。「もし、今対処しなければ、エイズがスーダンの全ての発展を遅延させるといっても過言ではない。また、スーダンが発展していくためには、未来を担う子どもたちにエイズ教育をしなければ。」と話す。また、このキャンペーンが成功すれば、内戦を経て復興しようとしているスーダンの保健医療分野以外での発展の見本になるはずだ、と期待している。

原題:SUDAN: Campaign to focus on HIV/AIDS affected children 
日付:7 Dec 2005 
出典:IRIN Plus News 
URL: http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=50522

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★ タンザニア製エイズ治療薬発売:治療拡大に光
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 2005年12月9日、タンザニアの製薬会社TPI Tanzania Pharmaceuticals Industries Limited は、新薬TT-VIR錠 the TT-VIR tablets の一般販売を発表した。この薬は、タンザニアで開発・製造された初の抗レトロウイルス(ARV)薬で、ネビラピン Nivirapine、ラミブジン Lamivudine、スタブジン Stavudine の混合剤。大手製薬会社の製品よりも格段に安く、患者の負担は1ヶ月で20ドル以下だという。TPIは、3年以上の研究・開発期間を費やし、とうとう販売にこぎつけた。

 開発に関する技術協力を行ったタイの専門家クリサナ・クライシンツ氏は、「タンザニア製の医薬品が発売されたことは喜ばしいことだが、今後、製品の高い水準を品維持していくことこそが本当の挑戦だ」とコメントした。クリサナ氏は続けて、「タンザニア政府は、HIV/AIDS問題に本気で取り組む気があるなら、医薬品の特許権の問題に真剣に対応していくべきだ」と述べた。現在、ARV薬は大手製薬会社がもつ特許技術が不可欠だ。しかし、特許権の利用には制限がある。

 今回の新薬開発はドイツの2つの機関アクション・メデオア Action Medeor  とインウェント InWent が協力した。

 これまで、タンザニアはHIV/AIDS治療を大手製薬会社の製品に頼っていた。しかし、一般にブランド薬といわれ、特許権の関係もあり高額なため貧しい人々の医薬品アクセスを妨げになっていた。今回のタンザニア産治療薬の発売を機に、タンザニアが自ら医薬品製造に乗り出せば、治療コストは下がり、より多くの人にHIV/AIDS治療の道が開けることになる。

 また薬品が手に入りやすくなって治療に希望が見えることを意味するので、潜在的なHIV感染者が自発的にHIV抗体検査を受けに行くことに繋がると、クライシンツ氏は期待を見せる。

 今後、HIV感染率が下がらなければ、タンザニアの経済規模は2015年までに25%減少するという。政府はARV薬の無料配布に力を入れており、昨年外国からの資金援助を得て約3万人に配布した。今後2008年までに50万人がARV治療を受けられるようにするという。

原題:Govt 'must uphold high ARV standards'
日付:Decmber 10, 2005
原典: Guardian (Tanzania)
出典:IPPmedia.com website
URL:http://www.ippmedia.com/ipp/guardian/2005/12/10/55643.html


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★ ボツワナ: 遅れるカウンセリングの実状
〜無料治療供給とHIV抗体検査の壁〜
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 世界で最もHIV陽性者の多い国、南部アフリカのボツワナでは、無料のエイズ治療政策が国民に十分に浸透していない。ボツワナでは、HIV抗体検査の陽性結果=「死」という方程式は未だに拭いきれていない。陽性者が多い中、HIV抗体検査の実施方法には課題が残っているといえる。

 2004年アフリカ諸国で、最初にルーチン検査(編集部注:例えば病院への受診者にHIV検査の受診も勧め、断らなければ検査するという方式)を開始させたボツワナ政府の決定は、受診者のプライバシーや、インフォームドコンセントなどが徹底されないかのではと、懸念する国際的な批判もあった。

 しかし、これに対し、ボツワナの国家治療計画の実施マネージャーは、「人間の生きる権利が一番目で、その他の全ての権利は二番目である」と反論し、「医師が機密性と秘密を混同して、ボツワナの成人の3分の1が感染しているHIVの検査を薦めることをためらっている」と主張する。医師たちは、患者を呼んで特別なカウンセリングを行うと、患者が脅え、不名誉と思って医療を求めなくなると信じている。

 首都ガボロネのプリンセス・マリアナ病院 Princess Mariana Hospital 病院責任者 ハワード・モファト医師 Howard Moffat は、「カウンセリングをし、検査を迷っていれば、検査はしないという方針が決まっている」が、「医療従事者らがエイズに対する恐怖心で、カウンセリングで検査をしたくなくなる」という消極性を生み出していると語る。

 患者は検査の拒否はできるが、検査の拒否はほとんどないという。人口170万人の35%が自分のHIVの状況を知っていると推測。検査結果が陰性ならば、医療従事者は、陰性のままでいるためにはどのようにしたらよいかアドバイスしし、陽性であれば患者は健康管理や治療についてのアドバイスを受ける。しかし、陽性者の多くは、症状がひどくなった状態で来院し、手遅れになる場合もある。ボツワナの女性ケラトゥルウェ・セゴレ Kelatlhiwe Segole は、妊娠した時、HIV抗体検査が行われなかっため、垂直感染し、子どもとともに治療を受けている。しかし夫は車椅子になるまで検査を拒んだと言う。

 自発的カウンセリング・検査が強調される背景には、アメリカにおける同性愛とHIVの結びつきがあるが、世界のHIV感染者の60%以上がいるサハラ以南のアフリカでは、同性愛はタブーである。HIV検査の国際基準は自発的カウンセリング・検査(VCT)であるが、アフリカ大陸では、エイズは圧倒的に異性愛者の病気であり、昨年だけでアフリカ大陸のみで240万人が、死亡していると言われる。ボツワナは、2002年に抗レトロウイルス薬(ARV)が必要な人に無料提供を始め、現在直ちに治療を要する推定11万人の半数が治療を受けている。

 人権活動家は残りの半数にアプローチする必要性は認めるが、準備なしで検査に多くの人が合意することを懸念している。妊産婦検診では、新施策後の3ヶ月で90.5%が検査を受けたが、多くの者がその結果を聞きに来ない。また、男性で検査を受ける者は依然少ない。現在は検査で自分の状態を知ってもらうことに全力をあげているが、重要なことは次に何をすべきかである。

 WHOとUNAIDSは、ARVが入手可能な地域でのルーチン検査を奨励しているが、陽性の通知が、多くの人々にとって死の宣告となっている状況は依然として変わらない。

原題:Botswana's AIDS program confronts stigma, fear
日付:January 5, 2006
出典:CNNウェブサイト
URL: http://www.cnn.com/2006/WORLD/africa/01/05/Botswana.AIDS.ap/index.html

(編集部注:サハラ以南アフリカにおいてHIV陽性者の多数が異性間性行為で感染していることは事実ですが、これは、同性間性行為の存在を否定するものではありません。アフリカにおいても、男性同性愛者・MSM(Men who have sex with men)がHIVへの高い感染可能性にさらされていることは他の地域と変わりありません。)

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★ 米国: ブッシュ大統領夫人、禁欲や貞操を
 基礎としたエイズ対策を支持
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1月19日、米国大統領夫人、ローラ・ブッシュ氏は、訪問先のリベリア・ガーナ・ナイジェリアで、禁欲や貞操を基礎としたHIV予防戦略を採用する「米国大統領エイズ救済緊急計画」 PEPFAR について持論を述べた。話の中で、氏は、「禁欲や貞操を基礎とするエイズ対策を非難する声があるが、性感染の病気に対する対策としてもっとも効果的である」と述べた。

 PEPFARは15の国々でエイズに関する治療・予防・エイズに関連した病気で親を亡くし、ケアを必要としている子どもたち-いわゆるエイズ遺児-たち対策・エイズ患者とその家族のケアに150億ドルを拠出している。

 しかし「健康とジェンダーの平等のためのセンター」 Center for Health and Gender Equity (CHANGE) は、この3年間の PEPFARの活動を非難。禁欲や貞操が中心となるプログラムに巨額な資金拠出をする一方、コンドームの調達や配給については全く予算を費やしていないと批判している。

原題:AFRICA: Laura Bush defends anti-AIDS abstinence programmes
日付:January 19, 2006
出典:IRIN plus news
URL:
http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=5614&SelectRegion=Southern_Africa&SelectCountry=AFRICA

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★ オーストラリア: 対米国自由貿易協定で薬価に関する問題
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 オーストラリアの進歩的な薬価政策が、米国主導の利益追求型の多国籍製薬産業に脅かされている。1月1日、オーストラリアが米国との間で締結した自由貿易協定 Free Trade Agreement (FTA) について、米・オーストラリア間での薬剤供給制度の差異が、高く評価されてきたオーストラリアの医薬品供給制度に悪影響を与えている。

 オーストラリアでは、政府が薬価規制に取り組んでいる。オーストラリアでは一般薬剤に12.5%の薬価引き下げが行われた。そして、医薬品有効利用計画 the Pharmaceutical Benefits Scheme (PBS)により、薬価を医療経済学的観点から調査し、その有効性や、効果測定をする調査が行われている。

 2004年の選挙の際に、オーストラリア連邦政府は、米国との協定によって、薬価の引き上げや、PBSのメカニズムを変えないことを公約している。しかし、その自由貿易協定の中に、薬価に最も深刻な脅威を与える明確な条項が存在していた。

 製薬会社は、自社の医薬品の成分や品質を申し訳程度に改善して、自社の医薬品の特許期間を引き延ばしたり、価格を上昇させたりすることを狙う場合がある。これを「エバーグリーニング・プロセス」という。オーストラリア連邦議会はこのようなやり方を防止したり、大量買い付けによって医薬品の価格を安価に保つ措置を立法化している。

 ところが、米国とのFTAを進めるマーク・ヴェイル通商大臣 Mark Vaile は、政府が製薬会社のロビー活動に屈し、この反エバーグリーニング法を撤回する可能性があることを暴露した。バイレ氏は、「(もし法改正が必要だというなら)製薬産業は、連邦政府の現行の法律が単に哲学的に不利益をもたらすというだけでなく、商業的にも不利益をもたらすということを証明しなければならない」と警鐘を鳴らしている。

 こうした問題は、米国とオーストラリアの薬剤の取り扱いに大きな違いが生じているためである。米国では、オーストラリアとは違い、政府が自らの購買力を使って薬価を操作することを禁止する一方で、製薬企業に多額の補助金を与えることによって、これを製薬企業への圧力として使うということが行われている。

 オーストラリアの産業界では、最近行われた政府の基本的な薬剤価格のレビューと、一般薬剤価格の12.5%強制的引き下げにより、PBSの下で医薬品への支出が低下することを懸念している。オーストラリアの医薬品価格は、医薬品の価格と住民の利益とのつりあいをとるための、世界で最も優れた実践例として紹介されることが多いため、世界の製薬産業は、オーストラリアの医薬品価格に注目している。

 米国との自由貿易協定が2005年1月1日に発効(編集部注)してから、オーストラリア政府が、新薬に対する価格規制政策を採用することを阻止する製薬産業のロビー活動が激化している。

(編集部注: 出典先の文章では、米豪自由貿易協定の発効が2004年1月1日となっておりますが、2005年の誤りであるため、編集の際に修正をしてあります。)

原題:Warning: giving in to the US may have serious side effects
日付:January 4, 2006
出典:The Sydney Morning Herald ウェブサイト
URL: http://www.smh.com.au/news/opinion/side-effects-of-giving-in/2006/01/03/1136050441339.html

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★ イラン: セックス、ドラッグ、HIV
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 イラン在住のアブデュッラー夫妻は、結婚生活5年目に初めての子供をもうけた。しかし喜びと同時に彼らは不安を抱えている。なぜならば2人ともHIV陽性者だからだ。

 彼らがHIV陽性だと分かったのは4年前だが、未だに家族には報告していない。彼らは日和見感染症に苦しんでおり、夫はC型肺炎に苦しんでいる。1月160ドルほどしか稼げず、家賃を払う額ほどにもならない。赤ん坊のHIV感染が明確になるのは1歳から18ヶ月であるが、夫妻の子供は現在6ヶ月であり、まだ感染しているか定かではない。しかし夫婦はもし赤ん坊がHIV陽性でもお互いにエイズと共に強く生きていくと話す。

 イランではHIVは他の感染症と比べえると重要視されておらず、プログラムはまだ普及していなく、また理解もされていない。イラン保健省では、12,500人以上がHIV陽性者であり、そのうち女性は700人程度と言われる。少なくとも1,000人は、エイズに関連した病気で死亡しており、最大の感染原因は薬物使用時による注射針の共有とされる。20万人が薬物使用者であるイランでは、今後陽性者の数が急速に上ると推測されている。

 テヘラン大学エイズ研究センター the Iranian AIDS Research Center at the University of Tehran センター長ミノー・モフラス氏 Minoo Mohraz は、20年にわたり、政府や国民にHIV/AIDSに関する問題に警鐘を鳴らし続けている。しかしイスラム教国家であるイランでは、セックスや薬物使用について公に話すことは難しく、また病気に関する差別もあり、医者の中にもHIV感染者の治療を怖がる人もいるという。

原題:Sex, drugs and HIV in Iran
日付:January 18, 2006
出典:scripps.com website
URL: http://www.knoxstudio.com/shns/story.cfm?pk=HOTZONE-01-18-06&cat=II

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★第16回国際エイズ会:トロントで8月13日開催-詳細決定
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第16回国際エイズ会議は、トロントで2006年8月13日から16日にかけて開催される。これまでの国際エイズ会議の反省を踏まえて、新しい形のセッションを導入するなど、新たな試みも予定されている。以下詳細を紹介する。

「架け橋セッション」Bridging Sessions
科学、コミュニティ、リーダーシップという異なる3つのテーマを取り上げて、分野横断的で多角的な視点を交えた議論を行う。パネルディスカッションや参加者との意見交換を通じて、テーマに関する知識や考え方の共有を目指す。一見異なる分野のテーマだが関連性や相乗効果を見つけ出し、具体的に活用していくことが期待される。発表者はコミュニティ活動家、科学者、指導者、研究者、人権活動家、エイズ陽性者、若者、政府関係者、薬剤師など。

「実例から学ぶ」Learning from Practice
これまでのエイズプログラムや政策の実例を取り上げて、今後どのように応用できるかを検討する。革新的な事例または成功した事例だけでなく、過去に失敗した事例からも有益な教訓を引き出すことを目指す。また、今後エイズプログラムを計画する際には、どのようにすればよい教訓を得られるかについても考案する。

「論争課題と共通認識」Controversy and Common Ground
このセッションでは、いくつかの重要なエイズに関する論点を検証する。エイズ活動家、科学者や政治家などが参加予定。利害が対立する論者たちが率直でオープンな意見交換を行うことで、問題の共通認識を深めることが狙い。前向きに、今後の方向性を探っていく。

「シンポジウム」
解決が提示されていない困難な課題を取り上げる。明確に定義された一つの議題について、発表者と参加者がそれぞれの経験を共有し、研究やブレインストーミングの成果を元に、今後の方針を打ち出す。その成果として、課題への新たな所見、今後の研究課題や取り組みが報告される。

「スキルズ・ビルディング・ワークショップ」
参加者の専門分野やバックグラウンドにあわせた特定のスキルや戦略の策定方法の養成を目指す。

原題:XVI International Aids Conference
出典:International Aids Conference 公式ウェブサイト
URL: http://www.aids2006.org/subpage.aspx?pageId=312

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★ 国際保健会議:米国イェール大学で4月開催-
「保健格差是正に向けての地域社会エンパワーメント」
参加申込受付中
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2006年4月にイェール大学で国際保健会議が開催される。女性・子供の健康、薬学、保健教育、公衆保健、国際保健学、国際サービス、眼科や非営利及び零細企業等に関心がある人には興味深い内容だ。概要は以下のとおり。

○日程:2006年4月1・2日
○場所:イェール大学 Yale University コネチカット州ニューヘイヴン New Haven, Connecticut
○テーマ:保健格差是正に向けての地域社会エンパワーメント
○会議の目標:会議参加者の保健ニーズを検証し、保健サービスへのアクセス改善に向けた解決策を見出す
○早期申し込み割引:学生35ドル、一般50ドル

○基調演説:
アル・ソマー医学博士 Al Sommer, MD "環境、慣習、健康:社会の関心"

○主な協議内容

1.国際保健

○主な講演内容:「国際保健とガバナンス」、「ミレニアム開発目標」、「国際保健目標達成のためのコミュニティ手法」、「保健サービスインフラの格差是正」他

2.女性と子供の健康

○主な講演内容:「女性の健康:世界概観」、「妊婦、新生児、小児保健に対するコミュニティの対応能力強化」、「アフリカにおける小児エイズ対応」「女性の保健と人権」、「東アフリカにおける産科フィスチュラ(obstetric fistula)の現状」他

3.地域コミュニティにおける保健サービス

○主な講演内容:「地域コミュニティにおける保健サービスの取り組み」、「ハイチの貧困層に対する財政・保健サービスの提供」「グアテマラ農村部における虫歯の発生率」他

4.眼科:目の健康に関する国際社会の取り組み
○主な講演内容:「眼、エイズ、アフリカ」、「緑内障克服への各国の取り組み」、「途上国における移動式眼科治療の試み」、「アイ・ケア改善に向けた地域コミュニティ戦略」他

5.視力と臨床研究
○主な講演内容:「角膜の移植の進歩」、「白内障の発達と栄養要素」、「発展途上国における臨床検査の倫理」他

原題:International Health Conference at Yale University inApril 2006 -
Early Bird Registration Rate! "Empowering Communities to Bridge Health Divides"
日付: December 2005
出典:Unite for Sight, Inc website


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■□ 編集後記
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みなさま、ご購読ありがとうございます。今回も無事に38号を出すことができました。トリノオリンピックもあっという間に終わってしまいましたが、続けてパラリンピックやこれからサッカー・ワールドカップなど様々なスポーツの行事が目白押しでしたね。
トリノでは、やはりフィギュア・スケートの荒川静香選手の金メダル獲得に、日本中が歓喜をしたと思います。「期待に応える」精神力、そして表現者としてのマスコミ等に流されずに、凛とした表情で演技を見せてくださいました。一言では言い尽くせませんが、やはり何かに向かって精進されている方には、頭が下がりますね。
みなさまは、何か打ち込んでいらっしゃるものはあるでしょうか。春も近づいてまいりました。編集者Nも久しぶりにジョギングを再開してみようかと思っております…。

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