国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

全て表示する >

33号(Global AIDS Update)

2006/01/05

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第33号(第2巻第10号)2006年(平成18年)1月5日
Vol.2-No.10 Date: January 5, 2006

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:以下のブログを参照!
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/mag/66/m00123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は
 事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

*********************
------------------
はじめに:発行趣旨
------------------

○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

----------------------
■「第33号」目次
----------------------

● 会議情報

1.国際連合エイズ特別総会
  コミットメント宣言+5評価会議の日程は5月31日〜6月1日
2.2006年、ペルーで開催予定だった
  国際HIV陽性者会議、国際在宅・地域ケア会議、中止に

地域情報
● アフリカ
1.ジンバブウェ:差別と迫害、スラム街の強制撤去政策と
  経済的困窮によって追いつめられるHIV陽性者
2.リベリア:若年層はHIVの予防については知っているが、
  行動に結びついていない
3.ザンビア: 妊産婦の健康を守るUNFPAの働き

● アジア太平洋地域
1.中国:呉儀副首相に請願書を渡そうとした活動家ら、
  拘留される
2.中国:セイファー・セックスに向け
  「クリントン・ルインスキー・コンドーム」が売れ行き好調

● 北中米・カリブ海地域 
1.深刻化する医療関係者の頭脳流出
  先進国は途上国から医療関係者を奪うべきでない

● NGO情報
1.米国の人権団体、ウガンダの女性エイズ活動家を表彰
2.世界HIV陽性者ネットワーク:
  前国際責任者、国際赤十字・赤新月社連盟の賞を受賞

-------------------------------- Vol.2 -No.10 ★

----------------------------------------------
★会議情報:国際連合エイズ特別総会
コミットメント宣言+5評価会議の日程は5月31日〜6月1日に
----------------------------------------------

 2006年の国際的なHIV/AIDSへの取り組みの最大の山場となる「国連エイズ特別総会」の日程は、2006年5月31日から6月1日の二日間となることが、2005年12月23日に開催された国連総会において決定された。

 2006年の国連エイズ特別総会は、そのちょうど5年前に開催された国連エイズ特別総会で採択された「HIV/AIDSに関するコミットメント宣言」the Declaration of Commitment on HIV/AIDS (以下「コミットメント宣言」とする)の包括的なレビューを行うために開催されるものである。

 「コミットメント宣言」は、2000年に開催された国連ミレニアム特別総会で採択された「ミレニアム宣言」およびその分野別指標である「ミレニアム開発目標」を、HIV/AIDSの文脈に即して、より包括的に実現するために、2001年の「国連エイズ特別総会」の場で採択されたものである。この宣言では、予防・陽性者支援や治療・人権・脆弱性からの脱却・いわゆるエイズ遺児の問題や社会・経済的な影響・調査やその開発・そして経済的/人的資源・そしてこの目標が達成された後のフォローアップまでが盛り込まれる内容となった。

 この宣言は、2005年9月にニューヨークで開催された「国連2005ワールド・サミット」で採択された成果文書にも、その実現が明記された。12月23日に行われた国連総会は、バルバドスの国連大使ハケット氏 Hackett、タイ王国の国連大使ラオハファン氏 Laohaphan の議事進行によって進められ、この宣言の包括的なレビューを行うための特別総会を2006年5月31日から6月1日までの2日間にわたって開催することが決定されたものである。その翌日の6月2日には、ハイレベル・セッションが開催される。

 この国連エイズ特別総会は、全体会、パネルディスカッション、円卓会議、そして市民社会セクターからのヒアリングなどの形態が取られる。市民社会からのメンバーは、円卓会議にも参加をし、HIV陽性者やその他様々な角度からの討議が期待される。

 国連事務総長は、この会議において報告書の責任者となり、これまでの成果や残された課題などについてまとめる作業をすることになっている。

原題:*GA Draft Resolution Approved on Implementation of the Declaration of Commitment on HIV/AIDS *
日付:December 28, 2005
出典:Health-gap listserv
URL:

----------------------------------------------
★2006年、ペルーで開催予定だった国際HIV陽性者会議、国際在宅・地域ケア会議、中止に
----------------------------------------------

 「HIVとともに生きるパートナーシップ」 The Living with HIV Partnership は2005年11月、ドナーからの財政支援が十分に得られないとして、2006年にペルーで開催する予定であった 「The Living 2006 会議」Living 2006//VIVIR 2006(英語・スペイン語の順、以下 Living2006 ) の開催を中止する決定を下した。決定は困難であったが、不可避なものでもあった。開催4ヶ月前にして、必要とされる資金の4分の1しか拠出見込みがなかったためである。

 Living 2006 は、もし開催されれば、「国際HIV陽性者会議」 the International Conference of People Living with HIV/AIDS と「国際在宅・地域ケア会議」 the International Home and Community Care Conference を組み合わせたユニークな会議になるはずであった。参加予定団体には失望の念が広がっている。

 これによって、過去の会議で自分たちの知識や経験を共有してきた陽性者らは、生命の重要性を考える貴重な機会と新しい活動家の活動技術を磨く場が奪われ、またエイズ対策には欠かせない地域・在宅ケア支援者の重要な役割を認識する機会も失われた。

 この会議中止にあたって特に述べておきたいのは、ドナーが在宅・地域ケア支援者への投資を軽視し、公的な医療保健システムのみに支援をするのは、遅れているエイズへの対策をさらに低速化させるものだということである。

 国際NGO関係者も、ドナーの市民社会や地域医療軽視の立場に強い懸念を抱いている。「国際エイズ・サービス組織評議会」 the International Council of AIDS Services Organisations :ICASO代表のリチャード・ブレジンスキ氏 Richard Burzynski は、「HIV/AIDSの流行拡大に鑑み、この中止決定が何を意味するのか再検討をしなければならない。もっともHIV/AIDSの影響を受ける人々が国際的な場に立って、おのおののスキルや経験を共有し、かつ今後の国際的戦略を構築するために開催されるはずだったこの会議の中止の決定は、カレンダーから一つ会議開催を消しただけのことではすまない」と嘆いている。

 主催団体である「HIVとともに生きるパートナーシップ」も自らの理念にかなう他の活動を模索しており、重要な課題を地域レベル・世界レベルでさらに発信していかなければならない。すでに、ドナーたちで決定されるコンソーシアムが昨年12月に開催されており、コミットメントの欠如の理由などが議題として討議された。

編集部注: 参考ウェブサイト Living 2006  www.living2006.org. (英語)

 本件会議については、今後新しい情報が入り次第、編集部でも本メールマガジンでニュースを発信していきたいと思っています。

原題:Press Release: Living 2006/VIVIR 2006 Cancelled Global Network of People Living with HIV/AIDS (GNP+) 
日付:7 November 2005 
出典:GNP+ website 
URL: http://www.gnpplus.net/cms/article.php/2005110719342768

----------------------------------------------
★ ジンバブウェ:差別と迫害、スラム街の強制撤去政策と経済的困窮によって追いつめられるHIV陽性者
----------------------------------------------

 ジンバブウェのモニカ・ンズー Monica Nzou は、スラム街で果物を売っていたことを理由に、突然ジンバブウェ警察に逮捕された。警察官らは彼女のHIV感染をあざけり、勾留した。

 近年、政府はスラム街の強制撤去政策を強化しており、すでに70万人ものジンバブエ人が住宅から立ち退きを迫られた。34歳の内気でやせ細ったンズーもその1人で、これまでは、通りで果物を売って生計を立てていた。彼女は夫をAIDSで亡くし、2人の娘を育てている。彼女によると、逮捕時に警官は彼女を嘲り笑ったうえ、夫を感染させた殺人罪で起訴すると言ったという。さらに、彼女の靴を取り上げ、裸足で家に帰れ、どこかへ行って死ねとののしられたという。

 これは彼女だけでなく、何万人ものジンバブウェのHIV感染者が直面している現実である。かつて繁栄を誇ったはずのアフリカの国家は不適切な政策により飢饉と経済破綻に瀕している。世界で最もHIV感染率の高い国の一つであるジンバブウェは、現在、問題が山積みである。国連の統計では、1,270万人の人口のうち、4分の1以上がHIV感染しており、毎週300人がエイズを発症しているという。

 そのような中で、主要な問題の一つが、著しい物価上昇率だ。国連によると、1ヶ月分のジェネリック薬の価格が米ドル換算で7ドル70セントから17ドル以上に上昇。1ヶ月の平均給料が20ドルのジンバブウェの人々には、到底入手はできない。また、薬自体もインフレのせいで不足している。ジンバブウェでARVを製造している製薬会社であるヴァリケム製薬 Varichem Pharmaceuticals は、インドから薬の材料を輸入しているが、自国通貨(ジンバブエドル)の価値が急落に低下し、1USドルは26,000ジンバブエドルにまでなってしまったため、インドからの原料輸入を見合わせている。

 ジンバブウェの独立以来の大統領であるロバート・ムガベ大統領が推進しているスラム一掃計画「ムランバツビナ作戦(不潔追放作戦の意味)」 Operation Murambatsvina も大きな原因の一つだ。最近の4ヶ月間で、ブルドーザーが貧民街を一掃した。さらに、都市の食料供給を制限して、スラム居住者が戻ってくるのを妨げている。そのため、いくつかの人権擁護団体がスラム街のHIV陽性者を対象に、内密にとうもろこしの配給を行っている。これら人権擁護団体は、大統領が拠り所のない都市貧困層をジンバブウェの与党であるジンバブウェ・アフリカ国民同盟−愛国戦線 ZANU-PFの支持基盤である地域へ追いやろうとしていると非難している。外国人の開発援助関係者は、「このスラム一掃計画は、ようやく薬を飲み始めた人々の食料供給所までも破壊してしまった。」と言う。

 保健省は一握りの患者には、薬を提供しているが、援助は著しく偏っている。先月新薬が発表されたが、需要を満たすにはほど遠い。国際援助も政府の方針のため減っている。ザンビアの患者が平均184ドルの援助を受けているのに対し、ジンバブウェではたった4ドルである。

 ンズーは、前向きに生きようとしているが、果物売りを政府に禁止されては薬を得ることなど到底できない。彼女は「食料が私の薬です。娘たちのために強く生きなければ。」と言う。彼女は一包みの穀物を持ち上げると、きつい太陽の下、ホームレスのごった返す地区へ用心深く出て行った。色褪せた服を着たンズーは警官を避けるため、裏通りから離れないようにしている。

原題:Zimbabwe policies thwart HIV victims seeking help 
日付:Nov 7, 2005 
出典:CHICAGO TRIBUNE WEBSITE 
URL: http://www.chicagotribune.com/news/nationworld/chi-0511070237nov07,1,343741.story

----------------------------------------------
★リベリア:若年層はHIVの予防については知っているが、
 行動に結びついていない
----------------------------------------------

 ユニセフはリベリアの大部分の若者 Young Liberians はHIV感染の予防方法を知っているが、その知識を実践していないという調査結果を明らかにした。

 ユニセフのリベリア駐在代表 アンジェラ・カーニー Angela Kearney は、「高い知識普及率にも関わらず、多くのリベリアの若者の性行動は無防備だ。HIV/AIDSの真の恐ろしさを若年層に伝える努力をしなければならないと再認識した」と語る。

 HIV感染率が8.2%のリベリアでは、感染防止に取り組むことは重要であると認識されている。しかしリベリアは長期にわたって続いた内戦が終結したばかりで、検査センターや抗レトロウイルス薬の導入どころではなく、最も基本的な保健設備の設置から始めなければならないほど荒廃してしまっている。

 ユニセフは、リベリアの人口の半数以上が18歳以下の若年層であるという事実を鑑み、若者の行動様式の変革が最重要課題であるという。その一環として、若者のコンドームの使用の奨励を始めた。

 保健専門家たちは、国民の全体的なHIV/AIDSの知識レベルの高さを賞賛する一方で、知識レベルの地域格差が大きいという弱点も指摘する。特にギニアとシエラレオネの間に位置する深い森に包まれた郡、ロファ Lofa では、HIV/AIDSに関する知識があまり普及していない。これは、この地域においては内戦が原因でHIV/AIDS予防に取り組むNGOが活動しにくかった事実による。

 また、全国的には80%以上の回答者がHIV抗体検査を受ける意思があると回答した。しかし、検査が実現するかは定かではない。政府が運営する国家エイズ管理プログラムによると、2003年の戦争終結以降に運営されている30の自発的カウンセリング・検査センターのうち、一つを除いて全てが首都モンロビアにある。

 ユニセフは、医療関係者だけでなく、伝統的な指導者、宗教指導者、そして親たちにもHIV/AIDS関連のトレーニングが必要であると指摘。また、HIV陽性者らが、こうした教育キャンペーンへの参画を促して、HIVは治療方法のある感染症だという事実を強調することも提唱している。

原題:LIBERIA: Youth not putting HIV prevention lessons into practice 
日付:27 Oct 2005 
出典:IRIN/PLUSNEWS 
URL: http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=49804&SelectRegion=West_Africa 

----------------------------------------------
★ ザンビア: 妊産婦の健康を守るUNFPAの働き
----------------------------------------------

 HIV/AIDSが母体に与える影響により、妊婦の免疫が減少し、妊娠・出産に関連した死亡を増加させている。ザンビアでは、妊娠に関連した合併症により妊婦の10万人中729人が亡くなっており、さらにその死因の30-40%が、HIV/AIDSに関連したものであると、国連人口活動基金UNFPA ザンビア駐在代表 デージー・ポポーラ Deji Popoola が述べた。

 こうした背景に対して、UNFPAは、ザンビアの妊婦らのHIV/AIDSの影響を軽減させるべく、ザンビア政府に対して、技術支援や医療器具・医薬品支援を行っている。妊娠・出産・分娩および授乳時のHIVの母子感染 Mother-to-Child transmission MTCT は、公衆衛生にとって依然として大きな問題である。MTCTのうち約65%は妊娠末期、出産・分娩時に起こっていると見込まれている。きちんとした研修を受けた医療関係者とカウンセリングをすることで、彼女自身と胎児の健康に気をつける方法を知ることは、女性にとって大変重要なことである。また、UNFPAは、妊娠前にHIV抗体検査を受けることも薦めている。

 サブサハラアフリカ諸国の人口 110万人中16%がHIV陽性であると考えられている。このため、UNFPAでは、深刻な人材資源枯渇に対する影響軽減のため、看護師や助産師への研修を施し、女性らが健康に妊娠し、出産できるようにしている。

 現在では、多数の医療関係者がより良い生活を求め、近隣国やヨーロッパに出国している。こうした現象が、サブサハラアフリカ諸国の母子保健状況を悪化させており、政府による早急な対策が叫ばれている。

原題:HIV/AIDS increases maternal deaths in Zambia
日付:November 2, 2005
出典:China view website
URL: http://news.xinhuanet.com/english/2005-11/02/content_3720388.htm

----------------------------------------------
★中国:呉儀副首相に請願書を渡そうとした活動家ら、
 拘留される
----------------------------------------------

 2005年11月、中国・河南省の省都、鄭州において、HIV/AIDS活動家約30人が呉儀副首相 Wu Yi に請願書を提出しようとし、逮捕・拘留された。拘留されたのは河南省の活動家ら。彼らは、河南省の省都である鄭州で行われた中国のHIV/AIDS会議に出席予定だった呉儀副首相との面会を求めていた。

 1990年代初期から中頃にかけて、河南省政府の官僚らのイニシアティブにより、河南省の僻地の農村などに売血所が設置された。これらの売血所では不適切な方法で血液採取が行われた結果、売血を行った多くの農民がHIVに感染した。

 中国政府は現在84万人が感染、うち8万人はエイズを発症していると概算しているが、国連によれば、感染者数は100万人を超えるという。活動家らも売血を通じてHIVに感染し、請願書の中で、保健医療設備の拡充や、副作用の少ない薬の配布、生活費の補助と安全でない血液採取を行った関係者への刑事責任追及を含む16項目を要求していた。

原題:Chinese AIDS advocates detained after attempting to submit letter to vice premier at conference 
日付:13 Nov 2005 
出典:Medical News Today Website 
URL: http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews.php?newsid=33351

----------------------------------------------
★ 中国:セイファー・セックスに向け
「クリントン・ルインスキー・コンドーム」が売れ行き好調
----------------------------------------------

 コンドーム製造会社デュレックス Durex やUNAIDSの報告によれば、新しいセックス・パートナーと無防備なセックス unprotected sex が行われる比率が最も多い国は中国であり、HIV感染の30%が安全でないセックスによるものである。中国では現在、セイフ・セックスへの関心がメディアを通じて高まりつつある。

 中国の大学では、キャンパス近辺の屋外で、学生らがいっときの「行為」を持つことは日常的にある。これらの多くは一時的な関係であり、コンドームを取りに寮まで戻ることはないため、セックスは無防備になる。中国政府はこうした状況を改善すべく、一般国民に対して3億個以上のコンドーム配布を計画した。中国青少年HIV/AIDS予防ケア基金 the China Youth HIV/AIDS Prevention and Care Fund のタオ・ラン氏 Tao Ran は、「白菜を買うのと同じようにコンドームが手に入るのなら、人々の生活やコンドームに対する偏見を変えることができるだろう」と言う。専門家は"no condom, no sex"を掲げ、中国全土で100%コンドーム利用プログラムを呼びかけた。

 起業家らもさっそくコンドーム販売に乗り出したが、最も目に付く商品は10月から売り出された「クリントン・ルインスキー・コンドーム」 the Clinton/Lewinsky condom である。これは米国の前大統領であったビル・クリントン氏と当時ホワイトハウスのインターンをしていたモニカ・ルインスキー氏 Monica Lewinsky の名前から取ったもので、12個の「クリントンコンドーム」が、約3.70米ドルにて販売されている。

 このネーミングについて、ハオジャン・バイオサイエンス Haojian Bioscience Co. のリウ・ウェンホア氏 Liu Wenhua は、「クリントンは成功のシンボルかつ責任感のある人であり、ルインスキーは思い切って愛し憎しむ女性だからということで、このように名付けました」と述べた。リウ氏はさらに「我々はクリントン氏がどれだけ中国で尊敬されているか伝えたいと思っています。私たちは彼の自信を増加させ、彼の今後の活躍に一役買っているのです」と付け加えた。

原題:The condom wagon lands in China to cash in on safe sex 
日付:2 November 2005 
出典:China Daily ウェブサイト 
URL: http://www.chinadaily.com.cn/english/doc/2005-11/02/content_490048.htm

----------------------------------------------
★欧米:深刻化する医療関係者の頭脳流出
 〜先進国は途上国から医療関係者を奪うべきでない〜
----------------------------------------------

 近年、貧困国から先進国への医師・医療関係者の移動が急激に増加している。欧米をはじめとする先進諸国は、自国だけでは、必要なだけの医師を養成しきれていない。そのため、外国で養成された内科医の移民を促して自国の医師不足を補おうとしている。先進国は貧困国の医師を活発に自国にリクルートしている。先進国で不足しているのは医者だけはない。看護師や他の医療関係者も同様である。

 この医療関係者の人口移動が世界の公衆衛生の向上を妨げているという主張が目立ち始めた。現在、米国は世界人口の5%を占めるに過ぎないが、世界の内科医の11%は米国で働いている。医療関係者たちの移動は需要と供給のバランスを不釣合いにしている。裕福な国は、自国の需要を満たすために、途上国の医療関係者をリクルートする。途上国の医療関係者は低賃金で出世も望めず、政情不安にもさらされかねない自国で働くよりも、先進国に移住することを望んでおり、双方の利害が一致する結果、医療関係者の多くが先進国に移住してしまうのである。

 現在、サハラ以南アフリカ諸国のうち10ヶ国において、HIV/AIDSが原因で平均余命が短くなるという現象が生じている。アフリカ全土には、6億の人口に対して、合計60万人の医師・看護師・助産師がいるが、国連ミレニアム開発目標 MDGs が掲げる必要最低限のサービスを供給するためには、さらに100万の医療関係者が必要だという。こうした人材流出によって、貧しい人たちは医療サービスを受けにくい環境に追いやられている。

 途上国からの医療関係者の流出を食い止めるためには、労働環境の向上が鍵になる。米国大統領エイズ救済緊急計画 PEPFAR は、5年間で150億ドルを投入するとしているが、その中心となる対象国は世界で15ヶ国に限られている。世界最大の保健関係の助成財団であるビル&メリンダ・ゲイツ財団 The Bill and Melinda Gates Foundation は、新規医療テクノロジー開発に力を入れている。しかし、HIV/AIDS対策を効果的なものにするためには、途上国の人的資源にもっと投資するべきであろう。

 途上国の医療関係者の労働環境改善とともに、米国自体も、医療技術者の育成を他国に依存するのでなく、自国で医療従事者を養成することにもっと力を入れる必要がある。米国では、高齢化が進むにつれて医療関係者の不足が深刻化してきている。医療系大学の拡大や医療訓練などを行ってこれに対応するべきだ。国際保健の向上のために、米国は他国と共に問題に取り組むべきである。米国のリーダーシップは自国を守るだけでなく、他国を守ることにも繋がるのだ。

原題:Fatal Flows - Doctors on the Move
日付:October 27, 2005
出典:The New England Journal of Medicine website
URL:http://content.nejm.org/cgi/content/full/353/17/1850

----------------------------------------------
★米国の人権団体、ウガンダの女性エイズ活動家を表彰
----------------------------------------------

 2005年11月8日、米国の主要な人権団体の一つである「人権ウォッチ」 Human Rights Watch は、ウガンダのHIV陽性者の権利拡大のため、活動を展開しているベアトリス・ウェレ Beatrice Were 氏を表彰した。

 ウェレ氏は、HIV陽性の事実を初めて公表したウガンダ人の1人である。3人の子どもの母親でもある彼女は、90年代に夫がHIV感染の診断を受けとき、同時に自身のHIV感染を知った。夫の死後、彼の家族が彼女の財産と子どもたちの養育権を奪おうとしたが、それに立ち向かった。その後、彼女と同じように夫をAIDSで亡くし、親族や周囲の社会などから虐待を受ける他の女性たちを擁護する活動家になった。そして、全国HIV陽性女性コミュニティ National Community of Women with AIDS: NACWOLA を創設した。この組織は、現在、ウガンダの20県で4万人以上の女性にサービスを提供している。

 「人権ウォッチ」のHIV/AIDSプログラム研究者 ジョナサン・コーヘン氏 Jonathan Cohen は、「ベアトリス・ウェレ氏は、人生のあらゆる局面において、『沈黙を破る』 breaking the silence ことを選んできた。そして、自らの感染を公表して多くのウガンダ人に希望をもたらした」と彼女の活動を称えた。

 ウガンダは90年代に国内のHIV感染率の減少に成功して、国際的な賞賛を得たが、ここ数年、ウガンダ政府はHIV予防政策に関して、米国共和党政権の資金援助により、「結婚するまで禁欲」プログラムに方針を転換した。その結果、コンドームの供給が遅れたほか、現実的なHIV予防手段の情報伝達が遮断されてしまうことになった。それに対して、ウェレ氏は2004年以来、「人権ウォッチ」や他の組織とともに、「禁欲」・「貞操」を重視する政府のエイズ政策に反対している。彼女はこれまで若者のHIV/AIDSカウンセリングに重点を置いて、HIV感染予防の選択肢を示し、奨励してきた。

 「ベアトリス・ウェレ氏は『結婚するまで禁欲』アプローチの危険性を示す生き証人である。彼女の奮闘は、HIV/AIDS問題が結婚ではなく女性の人権を奨励しなければ解決しないことを如実に表している。」と、前述のコーヘン氏は語っている。

原題:Uganda: Human Rights Watch Honors Ugandan AIDS Activist 
日付:October 27, 2005 
出典:Human Rights Watch Website 
URL: http://hrw.org/english/docs/2005/10/25/uganda11920.htm

----------------------------------------------
★世界HIV陽性者ネットワーク前国際責任者が
 国際赤十字・赤新月社連盟の賞を受賞
----------------------------------------------

 世界HIV陽性者ネットワーク Global Network of People Living with HIV/AIDS GNP+ の前国際コーディネーター、スチュアート・フラベル氏 Stuart Flavellが、国際赤十字・赤新月社連盟 the International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies, IFRC の総会において、ヘンリー・デビットソン賞 Henry Davison Award を受賞した。この賞は、赤十字・咳新月者連盟を創設したヘンリー・デビッドソン氏の名にちなんでおり、全国的な組織または連合体のボランティア、会員、スタッフのうち、「人間性に基づく力を結集することで弱い人々の生活を向上させる」ことについて顕著な功績のあった人々に与えられる。

 フラベル氏は国際赤十字・赤新月社連盟とGNP+の協力関係を強化した業績を認められての受賞となった。フラベル氏は、受賞の挨拶で「国際赤十字・赤新月社連名は、地域社会を変え、HIV陽性者らの生活の質 Quality of life QOL を高める新たな機会を生み出している」と賛辞を述べた。また、IFRCの活動の例として、マサンボ基金the Masambo Fund を創設し、HIV/AIDSの影響で、組織のリーダーやボランティアの数多くが亡くなっている地域において、赤十字のスタッフとボランティアが治療活動を行っていることを述べた。

 フラベル氏は、HIV陽性者の世界的な活動において、人々がGNP+とIFRCの協力関係を学ぶことによって、IFRCに対する期待はより高まるとし、「多くの場所で、赤十字と赤新月社の対応を待つ人々がいる。診療所をつくり、予防のため若者を教育する活動を行って欲しい。」とIFRCにエールを送った。

原題:STUART FLAVELL, FORMER GNP+ INTERNATIONAL COORDINATOR, RECEIVES IFRC HENRY DAVISON AWARD
日付:November 13, 2005
出典:GNP+ website
URL:http://www.gnpplus.net/cms/article.php/20051113171445874

------------------------
■□編集後記
------------------------

ご購読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。2006年は、2月にトリノ冬季オリンピック、3月には野球のワールドカップ、そして 6月にはドイツでサッカーのワールドカップが開催される予定です。2005年以上にアグレッシブに世界中が燃える年になりそうですね。
皆さまは新年の目標などは立てられましたでしょうか。イギリスのあるラジオ番組で聞いていたのですが、信念の誓いを立てた3分の1以上の人が3月までにあきらめているか、すでに忘れてしまっているそうです。この統計本当か嘘かはわかりませんが、どこの国の人でもなかなか誓いを達成するのは簡単なことではないようですね。
グローバル・エイズ・アップデイトは、今年で2歳の誕生日。そして、9月あたりに50号が達成される予定です。今年もどうぞ一段とお引き立ていただけますように、よろしくお願いいたします。

------------------------
■□メールマガジンご案内
------------------------

○メールマガジン「グローバル・エイズ・アップデイト」は、世界のHIV/AIDS問題の 最新動向を網羅するメールマガジンとして発行しています。

○このメールマガジンは、購読者の皆さまに逐次お送りするほか、HIV/AIDSや国際保健・医療関係のメーリングリスト、関係機関等に継続して送付いたします。ただし、メーリングリスト等への投稿は、徐々に減らす形となります。継続してお読みになりたい方は、以下の講読申込票をメールマガジン発行元(アフリカ日本協議会)までご送信下さい。また、本メールマガジンを発行している「Melma!」の以下のサイトから登録することもできます。
http://www.melma.com/mag/66/m00123266/

---------------------------------------
<講読申込票>info@ajf.gr.jpまで
---------------------------------------
○氏名
○所属(あれば)
○メールアドレス
○ご在住の市町村
○コメント
---------------------------------------

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-09-14  
最終発行日:  
発行周期:隔週  
Score!: 80 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。