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地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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32号(Global AIDS Update)

発行日:12/23

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第32号(第2巻第8号)2005年(平成17年)12月22日
  Vol. 2-No. 9  Date: December 22, 2005

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:以下のブログを参照!
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/mag/66/m00123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は
 事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

*********************
------------------
はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

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■「第32号」目次
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地域情報

●アフリカ
1.南アフリカ:エイズとの闘いに勝利しつつある小さな町
2.ナイジェリア:医療関係者のエイズ治療知識の少なさが問題に
  〜アブジャ全国治療サミット〜
3.アフリカ: 新開発の安価な女性用コンドームの使用増大へ

●アジア太平洋地域
3.インドネシア:バリ島で薬物使用による感染が拡大

●カリブ海地域
1.ジャマイカ: HIV陽性者の結核感染拡大
 〜差別や治療へのアクセスの低さが原因〜
2.ドミニカ共和国: 刑務所でのHIV/AIDSと結核への取り組み

会議情報

1.治療へのアクセス拡大の必要性が叫ばれる
 〜アフリカ地域エイズ・性感染症国際会議〜
2.ニュージーランド:遅れるHIV/AIDS治療へのアクセス
 〜環太平洋地域エイズ会議〜
3.アジア太平洋地域:「今こそ決断を」
 〜UNAIDS、各国政府の早急な対応を呼びかけ〜



-------------------------------------------- Vol.2-No.9 ★--

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★南アフリカ:エイズとの闘いに勝利しつつある小さな町
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 国境なき医師団(MSF)が南アフリカ共和国東ケープ州の小さな町ルシキシキ Lusikisiki で行っているプロジェクトが、順調に成果を上げている。
 11月25日、関係者がプロジェクトの成功を祝うために集った。このプログラムにより、1,100人以上のHIV陽性者が抗レトロウイルス(ARV)薬治療を受けるという成果がなしとげられた。パレードを行った陽性者らは「ウイルス量検出限界以下」とロゴの入ったTシャツを着て、敵を表す「アパルトヘイト」の部分を「AIDS」に、身を守る武器を表す「カラシニコフ銃」の部分を「ARV」に置き換えて、フリーダム・ソングの替え歌を歌った。お昼過ぎには雨が降り出し、風も強くなり、白い看板を叩きつけたが、それでも自らの治療の成果を訴え続けた。彼らは皆、名前や写真の公表を承諾した。HIV治療が可能となった今は、感染していることを隠す必要はない、と言う人もいた。
 このルシキシキでのプログラムは、2年前に南アフリカの前大統領ネルソン・マンデラ氏によって開始され、人権団体やMSF、東ケープ州保健省 the Eastern Cape Health Department やネルソン・マンデラ基金 the Nelson Mandela Foundationが協力して発展させてきた。
 MSF関係者は、南アの名もない小さなこの町でのHIV/AIDS対策プログラムの成功は、同様のプログラムを一気に国全体に普及させる足がかりになると期待をみせる。
 このプログラムの治療を受けているある患者は、病院に行って初めて自らのHIV感染を知った。CD4の数値は当初24だったが、現在は375に回復し、日常生活に支障はないという。ルシキシキの住民は、プログラムは治療を普及させただけでなく、HIV/AIDSの知識を人々に浸透させて差別や偏見をなくした、とプログラムの成果を賞賛していた。

原題:Rural E Cape is Winning Aids Battle
日付:October 31, 2005
出典:allafrica.com website
URL: http://allafrica.com/stories/200510310089.html

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★ナイジェリア:医療関係者のエイズ治療知識の少なさが問題に
 〜アブジャ全国治療サミット〜
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 7月24〜28日、ナイジェリアの首都アブジャで「第1回全国治療サミット」First National Treatment Summit が開催された。この会議には、治療専門家、HIV陽性者、報道関係者や寄付団体代表者が集まり、治療に対する教育の必要性や、質の高い治療を受けられるようにするための方策について話し合った。
 この会議に出席した一人の青年の名はバーナード・カー Bernard Kaa 。 デザイナーだった。エイズ患者であった彼は会議で意見を述べた5日後に亡くなった。彼は、医療機関のARV治療に対する無知により、薬剤耐性ができてしまったという自らの経験を語り、HIV/AIDS治療に携わる医療関係者の教育を要求した。
 カー氏が抗レトロウイルス薬(ARV)治療を開始してから2年後、薬剤耐性が発生してしまった。担当医に薬の組み合わせについて相談したが、その医者はARV治療に精通しておらず、投与するべき薬の組み合わせについてはほとんど知らなかった。彼は服用薬を変更したが、3ヶ月後にその薬が国内で入手することが不可能になったため、代用薬を飲むしか術がなかった。彼の薬剤耐性の経験は、治療に対する教育の不備と、HIV陽性者のためのカウンセリング欠如という現実の縮図といえる。
 一方、ナイジェリア治療行動運動(Treatment Action Movement)のコーディネイター、ロラケ・オデトインボ・ンワグ氏 Rolake Odetoyinbo Nwagwu は、ナイジェリア連邦政府が米国政府やGFATM(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)からエイズ対策費として受領した受けた資金の行方や、公的治療施設の粗末さについて懸念を表明した。またUNAIDSのペレ氏 Dr. Piere M'peleは、人々が容易に理解できるように、簡単な言葉を用いての治療の必要性を強調した。

原題:Feature:Wasted lives, needless deaths
日付:October 21, 2005
出典:http://www.nigeria-aids.org/news/content.cfm/122

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★アフリカ: 新開発の安価な女性用コンドームの使用増大へ
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 女性用コンドームは、男性用コンドームと比べてきわめて高価であるため、アフリカにおいては、性感染症予防において果たすべき役割を果たし得ていなかった。しかし、第2世代の合成ゴムでできた女性用コンドームは、現在のものよりも安価なため、アフリカでもこれを活用して、パートナーとのより安全なセックスが可能になるだろうと目されている。
 多くのHIV/AIDS支援団体は、女性用コンドームの使用など、女性が自らできる予防は、女性自身の感染予防に重要だと考えている。女性用コンドーム製造会社である女性健康カンパニー Female Health Company FHC の代表取締役メアリー・アン・リーパー氏 Mary Ann Leeper は、「新素材のコンドームは、大量生産が可能で、コスト削減、大量発注で小国でも廉価で購入ができる」と述べる。実際、コンドームの価格は、購入量に左右される。ところが、現在のポリウレタン性の物が1つ0.72米ドルするのに比べて、しかし、新コンドーム「FC2」は0.22米ドルとずっと安価である。
 南アフリカ共和国のダーバンで、性と生殖に関する健康に関する調査チーム Reproductive Health Research Unit に参加したマグス・ベクシンスカ氏 Mags Beksinska は、新しい女性用コンドームは、性能に問題はなく、また女性にも広く受け入れられている、と結果報告をした。しかし、男性用に比べ、女性用コンドームの理解はまだ遅れており、女性用が男性用に比べて未だ高価であるという。昨年60-90億個の男性用コンドームが世界中で配布・販売されたが、女性用は1,200万個だけという現実が、そのことを物語っている。

原題:Cheaper female condom will increase access in Africa
日付:October 18, 2005
出典:aidsmap news website
URL:http://www.aidsmap.com/en/news/E33913EF-0A68-462D-AD2E-80BB89D819DB.asp


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★インドネシア:バリ島で薬物使用による感染が拡大
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 「東洋の宝石 the jewel of the East」と呼ばれる、インドネシア バリ島でHIV陽性者数が増加している。全国的に広がる薬物使用がさらに追い討ちをかけている。バリ島だけでも推計3,000人のHIV陽性者がいる。
 インドネシア全人口の1.5%にあたる360万人が薬物使用者で、その31%が薬物常用者 addicts である。同国の薬物使用開始年齢は、11-12歳である。これは欧米諸国よりもずっと早い。実際、HIV感染が若者、麻薬静脈注射常習者やセックスワーカーらの間で急増していることから、感染が一般人にも劇的に広がる可能性があることを公衆衛生の専門家は指摘する。
 バリ島では、サングラ病院 Sanglah Hospital とウダヤナ大学 Udayana University がバリ島のHIV/AIDS活動の中心となっている。このプロジェクトは、エイズ研究アメリカ財団 American Foundation for AIDS Research:AMFAR が実施している「トリート・アジア」 TREAT Asia のインドネシアの情報データベース the TREAT Asia Observational Database  TAHOD 構築に貢献をし、感染可能性が高い行動をする人口集団の態度・行動に関する調査も行っている。
 インドネシア国立麻薬機関によれば、バリ島では、HIV陽性者の53%が麻薬静脈注射による感染とされているが、ウダヤナ大学熱帯感染症研究科長、サングラ病院エイズ・ワーキング・グループ長のトゥチ・パンワティ・メラティ医師 Tuti Panwati Merati は、「この統計は、バリ島の住民が他の地域に比べ、より高い移動性を持つことを反映している」という。
 インドネシアでは、1987年に初めてHIV感染例がわかったが、感染者がオランダ人だったため、欧米の病気であるとして軽視され、また、当初国であるという地理的条件により、周辺諸国よりもHIV/AIDSの流行が遅く始まったので、公衆衛生担当官もHIV/AIDSの深刻性を認識できなかった。
 また、長年バリ島にはHIV抗体検査センターがほとんどなく、1991年にサングラ病院がクリニックを開いた時は、月に陽性者の数は1〜2名であった。政府が無料の相談・抗体検査・日和見感染治療や抗レトロウイルス(ARV)薬の提供を始めた結果、抗体検査受検者も増え2004年7月から2005年10月の間で136人のHIV陽性者が申告された。
 「ARV薬が導入されるまで、サングラ病院の陽性者生存率は低かった。今は、政府により薬の入手が容易になり、25の病院にエイズ専門家を配置するため、医療従事者にエイズ教育が始められたが、問題は陽性者へのスティグマや差別がはびこっていることだ。診療看護を拒否したり遅らせたり、陽性者が保健医療施設を利用する際に特別料金を徴収したり、承諾なしで血液検査を行って結果を暴露したりするといったことが未だに起きている。さらに、本人にとって最も苦痛なことは、家族や隣人からも避けられてしまうということである」とトゥチ氏は、報告している。
 最近の行動サーベイランスデータでは、コンドーム使用は増加しておらず、また、性感染症の発生率も低下していない。さらに、買春を行う男性の数は増加を示しており、重大なHIV/AIDSの課題に向き合うのは、まさに「時間の問題」であるといえる。
 
原題:TREAT Asia Site Profile: Udayana University and Sanglah Hospital, Bali, Indonesia
日付: October 2005
出典:amfar website
URL:http://www.amfar.org/cgi-bin/iowa/asia/news/index.html?record=75

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★ジャマイカ: HIV陽性者の結核感染拡大
 〜差別や治療へのアクセスの低さが原因〜
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 近年、ジャマイカでは、HIV陽性者の結核感染が拡大している。HIVに感染すると、抵抗力が弱まり、結核を始めとする他の感染症にかかりやすくなる。ある統計によると、カリブ地域の諸国では結核患者の3分の1はHIV陽性者であるという。また、年間HIV感染者の5〜10%が結核に感染すると報告されている。ジャマイカでは人口270万人に対し、23,000人がHIV陽性者と報告されている。しかし、民間の診断所のHIV新規感染者の報告が少ないため、実際にはもっと多いだろうともいわれている。一方、HIV陽性者に対する差別が根く、感染を報告しない人も多い。また妊娠した人に対する無料のHIV抗体検査が十分に普及していない。抗レトロウイルス薬はまがりなりにも同国内で入手できるようにはなったものの、依然として高額だ。
 ジャマイカでは1年で120から130人の結核患者が報告されている。これは世界的に見ても少ない数字といわれる。しかし、結核の患者は減少しているが、結核とHIV両方の感染者の数は増え続けている。医療関係者はこの原因のひとつに、結核とHIV陽性者の治療薬として必要不可欠なイソニアジド isoniazid (INH) の不足を挙げる。INHは1日あたりのコストは数円からせいぜい数十円だが、都市部には過剰に普及している一方で、地方では入手が難しい。これらの薬はインドから輸入しているが、届くまでに数週間もかかる。
 医療関係者らは、世界エイズ・結核・マラリア対策基金が現在ジャマイカで推進しているHIV/AIDS対策にINHを採用するよう求めている。また、医療関係者らは、ジャマイカの結核問題が好転しない要因として、医学生らが結核の治療の訓練を受けたり、実際に患者に関わることなく医学部を卒業してしまうことも原因の一つに挙げている。
  
原題:Government Neglect Creates Potential for Explosion of HIV/TB Epidemic and Multi-drug resistant TB in Jamaica
日付:Ocotober, 2005
出典:Buenaagua website
URL:http://www.aguabuena.org/ingles/articules/jamaica20051101.html

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★ ドミニカ共和国: 刑務所でのHIV/AIDSと結核への取り組み
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 2005年8月初旬、HIV陽性者の組織であるアグア・ブエナ人権協会 the Agua Buena Human Rights Association が、ドミニカ共和国ヴィクトリア刑務所 La Victoria Prison においてエイズ治療および人権に関するワークショップを主催し、受刑者と刑務所内での抗レトロウイルス(ARV)薬治療へのアクセスや、日和見感染症としての結核などについて意見を交換した。
 刑務所では、低所得層の受刑者が非人道的かつ劣悪な環境下で生活をし、特に日光のほとんど差さない部屋での集団生活は、結核感染の拡大をむしろ促してしまっている。幸い、国家の結核対策が行き届いているため、刑務所でも直接監視下短期化学療法 Direct Observed Treatment Short-course: DOTS を比較的容易に実施できるが、耐性結核は対策外であり、特にカリブ地域における結核患者の3分の1がHIV陽性者であり、HIV感染率もサハラ以南のアフリカ地域に次いで高いため、所内での結核対策は非常に重要である。
 一方、ARVは、刑務所内でもようやく開始され、先週3人の受刑者への供給が始められた。これについて、一般世論では、8割から9割の市民が未だARVを受けていない現状で、治療薬が先に受刑者に渡ることへの疑問の声があがっている。しかし、同行した国家エイズ対策プログラム ホセ・ゴンザレス医師 Dr. Jose Gonzalez は、HIV陽性者の受刑者にも人権があり、一般人と同様に治療を受けられるべきだとして政府の決断を評価している。受刑者自身もARVへの関心が非常に高く、主催者側と活発に議論が行われた。
 しかし、刑務所内でのエイズや結核予防対策には、国や刑務所の役人らが所内の劣悪な生活環境の改善に向けてより労力を注ぐ必要がある。所内では、コンドームの無料配布がなく、受刑者同士のセックスやレイプ、またパートナーや売春婦を含めた面会者とのセックスが問題となる。
 さらに、所内では受刑者どうしがビタミン補給に使う注射針を売買している。注射針は、麻薬注射にも使われる可能性があり、針の使いまわしは言うまでもなくHIV感染リスクを高くする。
 その他、プライバシーや不衛生な環境も重要な問題である。例えば患者がARV薬を服用する際のプライバシーや衛生的でない水を介した感染症対策等である。また、所内への情報流入が大きく制限されているため、特に紙媒体でのHIV/AIDSや結核、人権などに関する情報がほぼ皆無である。そのため、ワークショップで配布される資料は重要であるとともに、ワークショップそのものが受刑者にとって外部とのつながりを保ついい機会となっている。

原題:Perspective: Part of the Punishment? HIV/AIDS and TB in La Victoria Prison in the Dominican Republic
日付:Tue, 18 Oct 2005
出典:[pwha-net] listserv
URL:http://archives.healthdev.net/pwha-net/msg01393.html

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★ナイジェリア:HIV治療へのアクセスの拡大が叫ばれる
 〜第14回アフリカ地域エイズ・性感染症国際会議〜
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【2005年12月9日:グローバル・エイズ・アップデイト編集部】12月4日から9日にかけての6日間、ナイジェリアの首都アブジャで、第14回アフリカ地域エイズ・性感染症国際会議が開催された。
 開催国ナイジェリアからの参加者を中心に数千人の参加を得て行われたこの会議は、会議プログラムが全員に配布されないなど、事務的な側面で多くの問題があった。また、会場も大きく二つに分かれており、また、当初は各会場を結ぶ交通手段に不備が見られた。そのため、アフリカからの参加者の中にも「これまでアフリカで開催された会議の中でも最悪だ」と不満を漏らす人が多かった。一方で、ナイジェリアを中心として、様々な取り組みを展開している関係者が多く集まったため、企画の開催や広報、ネットワーク作りなどを目的とした参加者にとっては、最終的には満足度の高い会議であったともいえるだろう。

 この会議で最も目に付いたのは、青少年のHIV/AIDS対策への参加拡大や、ARV治療の無料化を力強く訴えるナイジェリアの当事者運動の活動であった。開会式では、「禁欲・貞操」を強調する昨今のアフリカの予防対策に対してコンドームの重要性を訴えるため、ナイジェリア等アフリカ各国の青少年で作る「コンドーム・プロジェクト」がそろいのTシャツを着て、コンドームの重要性を主張するシュプレヒコールやパフォーマンスを展開した。また、青少年が開会式での発言を封じられたことに対して、ナイジェリアの青少年団体の数十人が、自分の口にビニールテープで×印を作って国際会議場のロビーで座り込みを行った。

 一方、ナイジェリアでARV治療の無料化と治療アクセスの拡大を求める直接行動団体、「治療行動運動」Treatment Access Movement も、コミュニティ・ビレッジでのキャンドル・ライト・サービス・イベントを行ったほか、閉会式においては、多くの人がエイズ治療にアクセスできないで死んでいることを訴えるため、閉会式の壇上を占拠してダイインを行い、正規のプログラムを中断させて治療の無料化、アクセスの拡大を要求した。

 実際、この会議の開催中、世界エイズ・結核・マラリア対策基金が、翌週開催予定の理事会で、ナイジェリア政府の腐敗と無能力を理由に、ナイジェリアへの資金供給を停止する決定をする可能性が生じていた(ナイジェリア市民社会の働きかけもあって、結果的に、理事会では資金拠出の停止は否決された)。「治療行動運動」の直接行動には、世界基金による資金拠出停止といった不名誉な自体を引き起こしたナイジェリア連邦政府の問題に対するHIV陽性者たちの怒りが込められていた。

 この会議では、アフリカではこれまで必ずしも十分注目されてこなかった、男性と性行為をする男性(MSM)および女性と性行為をする女性(WSW)に関する円卓会議なども開催された。これらのイベントは南アフリカおよびナイジェリアのコミュニティによってリードされており、サハラ以南アフリカ地域でも、MSM/WSWによるHIV/AIDSや人権への取り組みが始まりつつあることがアピールされた。

関連情報:以下のウェブサイト参照
ICASA2005
http://www.icasa2005.org.ng/english/
Abuja Aglow with ICASA 2005 (Allafrica.com)
http://allafrica.com/stories/200512090401.html
ICASA2005 (UNAIDS)
http://www.unaids.org/Unaids/EN/About+UNAIDS/UNAIDS+Executive+Director/photo+gallery/20051204_abuja.asp
Nigeria Funding Agencies Demand Greater Accountability(IRIN)http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=5533
Gays Called on Govt not to Ignore them (IRIN)
http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=5538

※編集部注:本編集部から1名を当該会議に派遣しました。今後、本メールマガジンで今回の会議の模様などを詳しく紹介していきたいと思います。

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★ニュージーランド:遅れるHIV/AIDS治療へのアクセス
 〜環太平洋地域エイズ会議〜
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 ニュージーランドのオークランドで10月25日、環太平洋地域エイズ会議 Pan Pacific Regional HIV/AIDS Conferenceの開会式が行われた。会議では、HIV/AIDS治療薬の普及が要求された。多くの太平洋諸国は抗レトロウイルス(ARV)薬を入手するべく努力しているが、先進国であるはずのニュージーランドは薬の供給をあえて遅らせているようにすら見えると、参加者の一人は語っている。
 ニュージーランドでは現在、欧米諸国で新薬が開発されても、薬が認可されるまで2〜5年間は治療に使用することができない。その間に亡くなる人も少なくないという。
 一方、太平洋諸島エイズ財団 The Pacific Island's AIDS Foundationのアイリーン・マラチ氏 Irene Malachi は、バヌアツからニューカレドニア島のヌーメアまで毎月治療のため自費で通っている。
彼女は、HIV陽性であることを公表したために地元で差別にさらされることになり、さらに、薬が入手できないために苦しんでいる、と会議でスピーチした。
 メルボルン大学のHIVワクチン研究所 University of Melbourne's HIV Vaccine Research Laboratory の所長は、エイズワクチンが近い将来開発されるのではないかという期待に対して、否定的なコメントを行った。付け加えて、最善の予防策はコンドームを使用した予防と殺菌した針の使用、母子感染の防止であると何度も繰り返し主張した。
 最新のワクチン治験は失敗に終わっている。今後二つの治験が予定されているが、2007年まで結果は出ない。もし成功したとしても、人々は薬の認可までさらに何年も待たなければならないのだ。

原題:Demand for access to HIV treatments in NZ and Pacific
出典:New Zealand Aids Foundation
URL: http://www.nzaf.org.nz/articles.php?id=499

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★ アジア太平洋地域:「今こそ決断を」
〜UNAIDS、各国政府の早急な対応を呼びかけ〜
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 この10月にニュージーランドのオークランドで開催された環太平洋地域エイズ会議 Pan Pacific Regional HIV/AIDS Conference において、国連合同エイズ計画(UNAIDS)アジア太平洋地域代表 プラサダ・ラオ氏 Dr. Prasada Rao は、太平洋地域における各国のHIV/AIDS政策に警鐘を鳴らした。「このアジア太平洋地域が、深刻なHIV流行拡大に対して効果的な対応を求めるのであれば、政治的なリーダーシップに基づき、包括的で、各種のセクターが関連し合って方策を進める必要である」と語った。「重要なのは、『HIV/AIDSの流行拡大が訪れるか否か』ということではなく、『いつ』訪れるかということであり、それを阻止することができるかどうかは『10年後』ではなく、『今』決定するかどうかにかかっている。」とラオ氏は述べ、各国のエイズ対策の拡大を強く求めた。
 ポリネシアで古くから伝わる祭祀のスタイル "マラエ marae" を取り入れた開会式で、太平洋地域全域で、政府やドナーは、HIV予防や治療計画のため、未だ不十分である様々な資金・資材の増強を図るべきと強調した。
 「エイズと真に向き合うためには、権力や資源の分配を行うための政治の舞台で、エイズと正面から向き合うことが極めて重要です。太平洋地域の全政府が、HIV/AIDSの課題に対して、経済的な支援をし、より具体的な貢献を行うことが、今求められています。」
 ラオ氏は、推計で成人人口の1.7%、約47,000人がHIV陽性者となったパプア・ニューギニアの統計を引用し、「エイズは、太平洋諸国全域に大変大きな影響をもたらす可能性を秘めています。また、この地域では、今まさに流行拡大が起きています。小さな島国で、我々は、人間、文化、言語を将来に引き継いでいくため、また、国の安全保障の維持のために、HIV/AIDSに関して話しあっていかなければならないのです。」と述べた。
 この会議は、HIV/AIDSの域内活動強化のため開かれ、アジア・太平洋地域の政府、NGO、科学者ら300人以上が参加した。

原題:PACIFIC ON BRINK OF SERIOUS HIV EPIDEMIC
〜Governments must make solid commitments to invest in national responses,UNAIDS Regional Director says〜
日付: 25 October 2005
出典:UNAIDS
URL:
http://www.unaids.org/NetTools/Misc/DocInfo.aspx?LANG=en&href=http://gva-doc-owl/WEBcontent/Documents/pub/Media/Press-Releases03/PR_Pacific_25Oct05_en.pdf

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■□編集後記
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日本は、今年も残すところ10日をきってしまいました。年末は、大変忙しく、クリスマス・忘年会などで体を酷使しがちですよね。さて、本日22日は1年で最も昼が短くなる冬至です。ゆずをお風呂に入れ、小さな幸せに浸るのも一興かもしれません。体が疲れているからこそ、小さな幸せを見つけられるような心のゆとりを持ちたいものです。
次回発行は2週間後、2006年1月5日(木)となります。どうぞ33号もご期待ください。それでは、ご購読者の皆様、どうぞ良いお年をお迎えになりますように編集部一同お祈り申し上げます。

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■□メールマガジンご案内
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<講読申込票>info@ajf.gr.jpまで
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発行者プロフィール

AJF

AJF

http://www.ajf.gr.jp/

(特活)アフリカ日本協議会は、アフリカの人々の地域自立の支援、アフリカの人々との対等なパートナーシップの構築、アフリカに関わる人々のネットワークの形成、アフリカ理解の促進とアフリカの自立支援のための政策提言などを行っています。

過去の発行記事