国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

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世界のエイズ最新情報

2004/09/27

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

 グローバル・エイズ・アップデイト
       GLOBAL AIDS UPDATE
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 創刊準備3号 2004年8月27日
  Vol.0-No.3 August 27, 2004

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:ajf@mtb.biglobe.ne.jp

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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、ほぼ隔週刊で発行いたします。

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■「創刊準備3号」目次
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○HIV/AIDS対策に関するニュース(4つ)
 ・途上国での服薬アドヒアランス
 ・予防行動へのアクセス
 ・ABCモデルに対する英国の立場
 ・マンデラ氏、結核とエイズの関連を強調

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■HIV/AIDS対策に関するニュース
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★途上国での抗レトロウイルス薬の
 服薬アドヒアランス促進には何が必要か
 〜ここ2年間の進展は?〜

 ある研究によれば、最も資源の限られた環境にあっても95%以上の人がARV治療のアドヒアランスを維持することができる。これを達成するために用いられた方法は、「直接監視下治療」 DOT:directly observed therapy  と「ケースマネージメント」に大別される。
 ケースマネージメントが、カウンセリング、教育、ピアサポート、経済的動機付け、アラームの使用による服薬時間の周知などにより、個人の服薬行動を修正する戦略に焦点を当てるのに対し、DOTは、抗レトロウイルス療法の服薬計画に基づき、他人の前で服薬をすることに焦点を置くものである。
 サンフランシスコ総合病院のデイヴィッド・バンズバーグ氏 David Bangsberg は「ケースマネージメント戦略に比べ、DOT戦略の方がより大きな効果がある」と述べる。アドヒアランスについての研究は多いが、ランダム化比較試験 RCTs に基づいたものは少なく、臨床への応用にとっては障害となっている。DOTは、RCTsに基づいた研究では、よい成果を上げているものが多いが、永久にDOTを続けるわけにはいかないこと、スティグマや守秘義務の問題があり、導入が難しいことなどの課題を抱えている。
 バンズバーグ氏は、アドヒアランスの課題をより大きなフレームワークで再検討することを提唱した。「アドヒアランスの問題を軽視するわけではない。結核におけるDOTの事例を見れば、供給と配布における信頼性の確保がもっとも重要である。」
 アフリカでは、長期にわたるアドヒアランスの調査は少ないが、アリス・デスクラ氏 Alice Desclauxによる、54ヶ月にわたるセネガルでの前向きコホートの調査結果によると、一般にはアドヒアランスのレベルは高いが、アドヒアランスが低くなる場合は、治療期間の長さ、コスト、およびプロテアーゼ阻害剤(抗レトロウイルス薬の一タイプ)を含む治療計画と関連している。米国における薬物使用者のコホート研究でも、対象者の中で、プロテアーゼ阻害剤を使用していた人の40%が治療を継続できなかったとしている。タイの研究によれば、12時間ごとになるアラーム付きの腕時計や、1ドルのピル・ボックスがアドヒアランスに有効とされる。
 いずれにせよ、アドヒアランス向上のためには、治療のコストを下げること、治療サービス提供者と良好な関係を促進すること、副作用を軽減と管理が重要であり、アドヒアランスのモニタリングは、よりシンプルな方法で可能である。これらのことは、長期にわたって、アドヒアランスを維持する上で重要である。

News Title
News Dated: July 16, 2004
Source: Health and Development Network
        Key Correspondent Team
URL: http://archives.healthdev.net/af-aids/msg01428.html

★HIVの予防手段へのアクセスをどう確保するか?
 〜バンコク国際エイズ会議 木曜日の討議〜

【7月15日 バンコク】第15回エイズ国際会議の開会式であがった「すべての人にアクセスを(access for all)」と「増加する女性への不均衡な負担(the increasingly disproportionate burden falling on women)」という2つの問題点について、7月15日の本会議にで討議がなされた。コンドームの使用、マイクロビサイド(Microbicides:殺菌剤。HIV/AIDSの文脈では、性行為等においてHIVの体内への進入をくい止めるための薬剤。)の開発、ワクチン試用、母子感染予防など予防技術に関するセッションでは、それぞれのスピーカーが成功例と将来への期待を述べた。
 感染のパターンについて、南アフリカの疫学者であるカライッシャ・アブドゥール・カリム博士 Quarraish Abdool Karim は次のように述べた。HIV感染の約87%は予防をしない異性間性交渉による。女性が感染する年齢は、男性より5〜10年ほど若く、感染者と性行為を持った場合は、男性の7倍感染しやすい。カリム博士は、「予防のABC」として、禁欲Abstinence、貞操being faithful、コンドームcondomの重要性を強調し、禁欲と貞操に基づいた一夫一婦制の維持が重要だと述べた。またコンドームの適切な使用により性行為の97%においては感染予防が可能であるとし、さらに女性用コンドームの高い成功率、感染の可能性を減らす効果について発表した。
 米国のゼーダ・ローゼンバーグ博士 Zeda Rosenberg は、女性自身でコントロールが可能なHIV予防方法の必要性を詳細に述べた。HIV感染リスクが最も高いのが、「貧しく、若く、既婚」 poor, young and married の女性であり、「ABC」では不十分であるとする。女性たちが性的関係を強要される場合、感染の防止だけでなく、避妊に関しても弱い立場に置かれる。マイクロビサイドの開発により、女性は性交渉における感染防止のコントロールが可能になり、60%の効果でも数百万人の人々の命を毎年救うことができる。しかしマイクロビサイドは今後5年〜10年間は正規の形で市場には出ないと思われる。2002年のバルセロナ国際エイズ会議ではマイクロビサイドへの強い期待感があったが、それは時期尚早のようである。
 同じく米国のホセ・エスパルサ博士 Jose Esparza は、HIVワクチン開発の遅れについて発表した。全ての臨床段階を終え、運用準備ができるのは早くとも2015年になる予定であり、ウイルスの構造について研究が進むにつれ、一つのワクチンでは対応が不可能だとわかってきた。ウイルスが突然変異をすると、新たな亜種が発見され、新たなワクチンの開発が必要になる。
 HIV/AIDSワクチンに取組むためには社会やコミュニティ、民族問題も考慮すべきである。HIVワクチンは予防、マイクロビサイドの開発、治療へのアクセスの確保に重点を置きつつ考慮すべきである。
 HIV母子感染予防 PMTCT は家族を治療へと促す包括的アプローチでもある。2003年は約80万人の子供が母子感染によってHIVに感染した、とタイのシリポン・カンシャナ教授 Siripon Kanshana は述た。母子感染防止プログラムの理解とそのサポートは十分な方針と治療、そして個人よりも家族全体へのケア、スタッフへ支援が必要である。今回の会議では主にHIV感染者の治療拡大に対してフォーカスされたが、さらに予防へも焦点をあてるべきであるという主張もなされた。感染予防のための新しく正確な情報へのアクセスの確保は重要である。これらの実現にはグローバルで包括的な対応が不可欠である。

News Title: Access for all includes access to prevention
News Dated: July 17, 2004
Source: HDN Key Correspondent Team
URL: http://archives.healthdev.net/af-aids/msg01446.html


★「英国は、米国の禁欲政策やジェネリック薬
 に関する政策を支持しない」
 〜国際エイズ会議でガレス・トーマス
  英国国際開発庁政務長官が表明〜

【7月16日(木)バンコク】
 ロンドン・ガーディアン紙 Guardian によると、第15回国際エイズ会議で、英国国際開発省政務長官 Parliamentary under secretary state ガレス・トーマス氏 Gareth Thomas は、英国は、HIV感染拡大防止の最良の方法として「禁欲」を掲げる米国ブッシュ政権の立場に同意しないと公式に表明した。トーマス政務長官はまた、英国は米国のジェネリック抗HIV薬政策を支持しないと発言した (Boseley, Guardian, 7/16)。米国は会議において、そのジェネリック抗HIV薬政策を批判されてきたが、禁欲を第一とする教育に出資するという立場についても強く批判されることになった。 (Kaiser Daily HIV/AIDS Report, 7/14). 
 米国の大統領エイズ救済緊急計画 PEPFAR において強調されている「ABC・HIV予防モデル」は禁欲 Abstinence・貞操 Be faithful・コンドーム Condom 使用を銘とし、エイズに関する資金のうち3分の1は禁欲、貞操プログラムに使うべきとしている。 (Kaiser Daily HIV/AIDS Report, 6/24).
 トーマス政務長官は以下のような見解を示している。「我々は米国と多くの面で共働できるが、禁欲キャンペーンにおいては見解を異にする」「英国は国連人口基金 UNFPA: United Nations Population Fund と国際家族計画連盟 IPPF: International Planned Parenthood Federation への出資を継続する」 (Guardian, 7/16)。
 先週、英国はHIV/AIDSと女性のリプロダクティブ・ヘルスのため国連エイズ合同計画 UNAIDS United Nations Joint Programme on AIDSとUNFPAに2億1400万ドルの資金提供を約束した。今後4年間で、およそ6600万ドルをUNAIDSに、約1億4800万ドルがUNFPAに分配されると、ヒラリー・ベン国際開発相 Hilary Benn は発表した。UNFPAへの供出金は20%増加しているが、ベンは「性に関する問題及びリプロダクティブ・ヘルスはAIDSと密接不可分である」と表明した。 (Kaiser Daily HIV/AIDS Report, 7/8). 
 トーマス政務長官はまた、「英国政府は国民の性の行動の開始年齢を遅らせることの重要性を信じているが、性生活は個々人の意思決定によるものである。我々はその現実を理解し、コンドームのアクセスを増加させる必要がある」と発言した(Hirschler, Reuters, 7/15)。更に「禁欲や貞操はそれそのものだけでHIVの拡散を防ぐものでない」とした(Dyer, Financial Times, 7/16)。
欧州委員会人間社会開発ユニット長官で、欧州連合国際エイズ会議代表であるリーヴ・フランセン博士 Lieve Fransen は「HIV/AIDSの予防法としてコンドームの使用に特定の道徳的勝官を付与するのは、HIV/AIDSという世界的感染症に対する戦いから後退することだ」と述べた(Reuters)。国際エイズ学会会長で会議の共同議長である ヨープ・ランゲ氏Joep Langeは「科学者やリーダーたちは、コンドーム使用はHIV感染拡大防止に際して、最も安価で効率的な方法であると繰り返し主張するべきである」と述べた。(Reuters, 7/15). 

News Title: U.K. Rejects U.S. Abstinence Policy 
            for HIV/AIDS Prevention, Supports 
            Generic Antiretroviral Drug Use
News Dated: July 16, 2004
Source: Kaisernetwork
URL: http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?DR_ID=24802


★【国際エイズ会議】マンデラ氏、
 結核とエイズの関連性にせまる

 国際エイズ会議で、南アフリカ共和国の前大統領ネルソン.マンデラ氏 Nelson Mandela は、HIV/AIDS問題は結核のような他の病気と切り離して取り組むことは出来ないと明確に主張した。
 マンデラ氏はバンコクに降り立った際、「私たちがここにいるのはAIDSに取り組むと決心したからです。しかし結核にも取り組んでいかなければ、AIDSに打ち勝つことはできません。結核がAIDS患者の死亡原因になることが、あまりにも多いのです。欠けているのは、すぐ患者を結核と診断し、必要な治療を提供する意志と資源なのです。」と述べた。記者会見でも、自分がロベン島 Robben Island(マンデラ氏が拘禁されていた監獄のある島。ケープタウンの沖合いにある)の監獄に拘禁されていたとき、結核にかかったことがあったことを明らかにした。「結核は4ヶ月で治るのです。私は治療に恵まれ、そして4ヶ月で完全に治りました。」
 マンデラ氏は、ザンビアの活動家であり、自身も結核にかかった経験を持ち、AIDS患者でもあるウィンストン・ズールー氏 Winstone Zuluと共に会見に臨んだ。ズールー氏 は「私が今日生きているのは、多くの人々には入手不可能な結核の薬を手にすることができたからです。私は多くの友人たちが薬を入手できずに死んでいくのを見てきました。私自身も4人の兄弟を同じ理由で亡くしました。」と述べた。マンデラ氏も「世界がAIDSに打ち勝つことを最優先としていることはありがたいことではあるが、結核は無視されたままなのです。私たちは世界に警告します。AIDS同様、結核にこれまで以上取り組まない限りAIDSに打ち勝つことはできません。」と述べた。
 会議最終日の前夜に開催された、マンデラ氏を迎えるイベントの会場では、は彼がロベン島の監獄で付けられていた囚人番号"46664"を名前に取った世界的なHIV/AIDSキャンペーンのためのコンサートの模様がビデオで放映された。マンデラ氏はスピーチでこう述べた。「18年以上もの間、私はロベン島に拘禁されていました。そして私は、ネルソン・マンデラという名前ではなく、番号で識別されていました。今日、地球上にHIV/AIDSとともに生きている数千万人の人々を、単なる統計数値として扱うことは許されません。」

News Title: Mandela: fight AIDS by fighting TB
News Dated: July 17, 2004
Source: HDN Key Correspondent Team
URL: http://archives.healthdev.net/af-aids/msg01440.html

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