病気・病院

LA LUNA

市民と精神保健福祉とメディアをつなぐネットワーク情報誌です。精神医療の利用者、また精神保健福祉についてもっと知りたい人に、ジャーナリストが現場で取材をした情報を提供します。子育て中の親や10代にも読んで欲しいです。

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LA LUNA vol.36(

2001/01/29


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      市民と精神保健福祉とマスコミをつなぐネットワーク情報誌    
             vol. 36 (2001.1.29)
                          http://www.mars.sphere.ne.jp/la_luna/
      
     「昔 子どもで、今も子どもだった事を忘れていない大人と
      今 大人になるのが少し恐い子どものために」

■■■■ LA LUNA(ラルナ)は、毎週月曜日発行の週刊マガジンです ■■■


□ 週替わりMENU □
今日お届けするのは ?印です

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 ? 「新企画『インテルビスタ』 ジャンルを問わず月崎が会いたい人を訪ねて、
  インタビューした結果を会話形式でお届けします。 

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  新企画『OH  !  ママ ミイア』 
  子育て現場の問題や現状を母親の立場でレポートします
                   
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      『POCO aPOCO』サバイバ−体験記エッセイ版      byルート14
   笑い、涙、ビンボー、そして幸せあり。サバイバ−の痛快エッセイです

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  『a journalist eyes』 精神保健福祉に関するレポート
  精神保健福祉に関する制度や情報をレポートします。


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      『コラム月影茶房』 カルチャー最新情報             by 月崎時央
      本、映画、ファッションなどの情報を精神保健福祉からの視点で紹介していき
ます

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□今週のつきざき□
■やっと事務所の水が出ました。凍っていたのではなくて、水道管の水漏れを発見し
た検診員の方が元栓を閉めてくれたのが原因だったようです。掘建て小屋なので、水
道管が凍るのも仕方ないと大家さんもいうので、暖かくなるのをひたすら待っていた
のです。わざわざ駅ビルのトイレに通った私はバカでした。自分の頭でモノを考えな
いとひどい目にあいます。しかし水のない生活の不便さを実感できるよい機会ではあ
りました。そして週末の雪。雪の重みで事務所が潰れたらどうしようと思いましたが
降りやんでよかったです。

■今週も引き続き松田院長のインタビューを掲載します。


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? インテルビスタ  柏崎監禁事件  第三回             ?
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?  柏崎少女監禁事件とマスコミ報道の話  その2
   
   立川メディカルセンター 柏崎厚生病院
   院長 松田ひろし先生   
                                     ?
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●司法と医療のこと


月崎 一部報道によると玄関前で逮捕されたということですが。

松田 退院するのも大変で、結局、霊安室から、車で出ました。逮捕されたのがどこ
だかは知りません。我々が関わるのは、退院の所までです。でも玄関は利用しなかっ
たのだから、玄関の前ではあり得ない。職員が敷地外まで先導して、その後は私たち
の領域の外ですから。

月崎 退院について、警察はあらかじめ知っていたのですか?

松田 その日の朝退院を決めました。決めるにあたって本当に医療的に大丈夫なのか
どうか、うちの医者は3人で診たけれど、さらに東京からお願いした教授にも診察し
てもらって、これで大丈夫ということで午前中に判断した。そして警察が逮捕令状等

を取りに行ったのでしょう。家族に連絡したら、退院後の保護は、警察のほうにお願
いしますと言うので、その旨を書いてもらって、引き渡しました。

●精神医療の現場を知らないマスコミ報道

月崎 新聞を全部読んだんですが、実際には誰がどういう順番でどこで被害者の女性
が発表されたのかよく分からなかったですね。報道だけでは。1月28日に警察が事
実と異なる発表をし、2月12日の記者会見でその虚偽発表が明らかになっています
が、それは警察の動向を伝えただけで、事件の事実関係を独自に取材して書いたり、
訂正したりはしていないですね。

松田 警察がああいう発表をしたことに対して、私達は、警察が「保健所や病院に迷
惑かけちゃあいけない」と配慮してああいう発表をしたのかなくらいに思っていまし
た。病院としては約1ヶ月前から母親の相談を受けていましたが、(月崎註/本人を
診察していないので急に病院が往診するというわけにも行かなかった)しかし患者さ
んのほうは、興奮した状態が続き母親も限界だったため、医師同士で話し合いをし、
結局、往診して入院が必要だろうという話になっていた。それで、当日、保健所職員、
市の職員、病院から指定医を含む医者2人、看護士で自宅を訪ねた。必要があれば警
察にも出動をお願いすることになっていた。

月崎 保健所と警察はこの移送という場面では、連携をもってことに及ぶ場面がある
わけですね。地元でいっしょの現場の仕事を協力しておこなうこともある間柄だった。
精神病院の先生はあまり往診をしてくれないという話も聞くのですが、先生の病院で
は往診はよくなさるのですか?

松田 そうですね。必要な場合にはしています。今回は往診した先生と保健所の職員
の合計7人が立ち会って患者さんをを搬送しましたた。もちろん指定医が患者さんに
「入院して治療する必要があります」ときちんと告知してね。そうしたら「何をこの
やろう」って大暴れしたんですね。6〜7人で取り押さえて、一人は注射をしたんで
すね。そうこうしている内に、部屋にほかに誰かいるなと気付いた。しかし医者の1
人は、ベッドで格闘しているから、彼女を怪我させないように、かばいながら……。
その時にはもう警察に電話どころじゃない。その後階段からいかに降ろすかで、体が
大きいし階段がせまく、それで手伝ってくれないかと電話をしたようですね。

月崎 つまり最初は暴力の危険性があって警察に電話をしたんですね。でも1回目の
電話で担当者がいないということで、コールバックを待つうちに注射が効いてきた。
警察から再度かかってきた時には状況は変わっていた。

松田 そうです最初は、あいにくその時、生活安全課には人手がなかった。そして男
性はすでに沈静していた。うちの看護者は男性で、若くて力があるんだけれど、結局
大柄な患者さんを狭い階段からおろせなくて、看護士が下になる形で階段を滑り落り
た。患者さんを上にした状態です。その時点では注射をして眠ってしまっていたんで
すね。

月崎 こういったケースはよくあるのでしょうか?

松田 精神科の医療のなかでは患者さんが自宅で興奮したりしてどうにもならない状
態で、指定医立ち会いのもとに注射をして連れて来るというのは時々あることです。
うちの病院はやります。他の病院よりもあるかもしれないですね。「普通の病院では、
行かれない」と断るようなケースについても「いいですよ」と引受けることが多い。
しかし行けば必ず連れて来るわけでは、決してない。

月崎 往診し、説得して外来診療につなげることもあり得るということですね。

松田 もちろん医療の必要性について説得はしますけれど。5回も6回も説得して、
ある日突然「俺やっぱり入院するわ」って、自分から病院に来る患者さんもいるわけ
です。

月崎 そうですか。往診や移送を病院が行なうのは、やはり緊急性が高い場合でしょ
うか。

松田 そうですね。自傷他害などの状況にもよりますけれど。今回は病院にお母さん
もきて、保健所が行き、これは暴力がきつくて、入院させないと駄目だと言うことに
なり、病院としても段取りをして若い先生と指定医である副院長といっしょにいった
わけです。

月崎 つまり、今回は初めから入院の必要があるだろうということで、指定医と医師、
看護士など体制を作っていたわけですね。

松田 そうしたら、患者さん本人だけでなく女性も連れてきた。その時点では水を飲
ませました。彼女は2人で抱えないと歩けないほど衰弱がひどい状態でした。
 
●2週間の入院を決定する根拠

月崎 そして、容疑者である患者さんだけが二週間ここに入院したわけですね。新聞
の報道によると彼は狭義の精神病ではない。人格障害的なモノであったと発表されて
いますが?
 
松田 人格障害というより、僕が検察に言ったのは四通り考えられるということ。結
局、診断としては四人の医者の意見が別れたんだけれども、四人に共通したのは、こ
のケースはいわゆる心身耗弱状態とかではなく善悪の判断はできますと言う点だった。
病状的には退院できると。治療も通院でも可能であると言うことで、退院したわけで
す。
 
月崎 ここで、もし自傷他害の可能性のある患者さん、あるいはすでに犯罪を犯した
事が明白な患者さんが入院してきたとして、医療という視点で見た場合、その人を退
院させる根拠というのは、どのように考えたらいいでしょうか。

松田 これは非常に難しいんですが、精神病院は社会防衛のために、患者さんを保護
する場所じゃない。刑務所じゃないんだから。治療なんだから。あくまで治療的な関
り中心に考えなくては。だから、患者さんがちゃんと外来に通院して薬を飲んだりで
きると思えば一応退院でしょうね。実際に幻覚妄想状態でありながら通院している人
たくさんいるものね。犯罪云々と言う事以前に、大前提としてそれはある。ただ衝動
性とか突発的にかなり自傷他害のおそれがあると、退院に関して少し長引きますよね。
その程度のことです。

月崎 今回のケースは犯罪を犯した直後であり、また患者さんが興奮していた。その
興奮という状況に対して、精神医療が医療サービスを提供する必要があったわけです
ね。

松田 当然そうです。

月崎 そのために、本人を自宅から入院させるために、まず沈静をしたということと、
二週間の間に興奮状態という精神科で治療すべき対象の問題が解決したので退院となっ
たという考え方でいいですか?

松田 興奮状態は4日ぐらいで収まりました。話しもちゃんとできるようになった。

月崎 ではなぜ二週間も入院していたのでしょうか。

松田 患者さんが内科的合併症を持たれていたからです。

月崎 そうなんですか。二週間という中途半端な時間で、何をしたのかなあとわから
なかったです。精神症状は3日、4日で沈静したわけですね

松田 最初の日から、警察も早く出せないかと言って来た。しかし、それは駄目です。
医療を優先してくださいといった。警察のほうもわかりましたと言った。

月崎 精神症状が最初の4日間で沈静されたということ、本人に意思能力があるとい
うこと。内科的な問題があったがこれも改善した。その結果、精神医療サービスの必
要性は、もうないということですか?

松田 いえいえ。医療は必要ですから通院しています。然るべき所で治療は継続して
います。警察で預かっている間は、ずっとこちらが治療していました。3、4ヶ月間
はかならず二週間に一回、担当の人が薬を取りに来て、薬は飲んでいました。

●精神医療にできることとその限界

月崎 すでに犯罪を犯していたので、その患者さんは病院を退院したら、社会に戻る
のではなく、今度は法のもとに行った。結局、病院側は治療的な役割のみを果たした
ということでしょうか。この場合、病院の役割ははっきりとさせられますよね。

松田 問題として、15年先のことまで考えた時にはどうしたらいいのか。まだその
時、年令が50歳前後だったら、犯罪を防止すると言う観点からみれば大変なケース
だなと思います。
 
月崎 薬で防止できるものではないんですよね。

松田 全然違います。

月崎 では、幼女に強い興味を示すというような傾向が一方にあって、興奮と言う精
神医療の治療の対象とすべき症状があった。当面治療のターゲットは興奮や幻覚妄想
であったりするという精神医療の範囲内であるわけですが、例えば「小さい女の子が
好き」ということは本来的には精神科のテリトリーの医療としての対象ではないと考
えていいですか?

松田 治療対象でないとは言わないが、それだけで完結はしません。性犯罪者の場合
は、アメリカでも州によっては去勢してしまうとかね。本人の希望でホルモン剤を飲
ませるかなんてやる。州によっても事情は違うでしょう。日本はそこまではっきりし
ていない。日本では、治療にはそのようなものはない。しかし患者さんがこまって何
か相談したい、不安を抱えているというような場合には何かの解決策を医療の中では
考えていかないとならないと思いますが。

月崎 なるほど。例えば患者さんが、私は喘息を持っているンで咳が出て困りますと
いったらせき止の薬が処方され、ハウスダストを除去するように助言される。精神科
に行って眠れなくて困ると言えば睡眠薬が処方されるわけですが、性的な嗜好といっ
たようなものについての問題を訴えてきても医療的な手立てはないということですね。

松田 犯罪を犯したら、アメリカでは、そういう選択肢をせまられる。しかしこれは
司法の問題です。社会防衛的なことが精神医療と重なり過ぎているんです。イギリス
なんかでも明らかに精神分裂病と言う人が女性を何人か殺して死刑になりましたね。
精神障害であろうとなかろうと社会的に見て、生きる資格があるかどうかで判断する
国もある。そう言う意味で日本はまだいろいろなことを曖昧にしている。無責任すぎ
る。 実際、自分達がやっていてこれでいいというのは一つもない。いつもハラハラ
しながら、大丈夫かな、退院させてとそういう思いのなかで診ている。これでいいん
だなんていうのは一つもない。

月崎 そうなんですか。

松田 例えば患者さんに「あなたにはこういう権利がある。人権擁護委員会に電話か
けられますよ」といったところで患者さんも聞いていない。それよりお互いにまず信
頼関係が結ばれるかどうかなんですよ。今回疲れているから、薬を飲みましょう。あ
るいは入院して休んだ方がいい。あなたが入院したら、僕が一生懸命診るからって説
得すれば向こうも「はい」っていう。人と人との信頼関係をいかにつないでいくかと
いう部分要するに「俺に命預けろ。俺その代わりちゃんとやるから」ということです。

月崎 医療のなかでできるだけのことをするという信頼関係ということですね。事件
当時を振り返ってもっとこうあるべきだったと思う事はありますか

松田 とにかく彼女が「見つかってよかったな」ということから始めるべきだった。
死んでいたかも知れない。見つかった彼女には色んなことがあったに決まっている9
年間もの時間だもの。

月崎 本当にそうですね。彼女が見つかって良かったって、彼女が解放されたことを
素直に喜ぶ記事はありませんでしたね。私は彼女の生命力、9歳の女の子が逆境のな
かで、とにかく生きようとしたその心の強さを 、そしてサバイブした事実をえらかっ
たねと誉めたいと思います。同じ女性として、子を持つ母として。(次号に続く)

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