病気・病院

LA LUNA

市民と精神保健福祉とメディアをつなぐネットワーク情報誌です。精神医療の利用者、また精神保健福祉についてもっと知りたい人に、ジャーナリストが現場で取材をした情報を提供します。子育て中の親や10代にも読んで欲しいです。

全て表示する >

LA LUNA vol.35(柏崎監禁事件)

2001/01/22















   ■      ■      ■    ■ ■  ■  ■   ■   
              
   □     ■ ■     ■    ■ ■  ■■ ■  ■ ■
   □     ■■■     ■    ■ ■  ■ ■■  ■?■  
 
   □■■   ■ ■     ■■■   ■   ■  ■  ■ ■
      市民と精神保健福祉とマスコミをつなぐネットワーク情報誌    
            vol.35(2000.1.22)柏崎厚生病院
                          http://www.mars.sphere.ne.jp/la_luna/
      
     「昔 子どもで、今も子どもだった事を忘れていない大人と
      今 大人になるのが少し恐い子どものために」

■■■■ LA LUNA(ラルナ)は、毎週月曜日発行の週刊マガジンです ■■■


□ 週替わりMENU □
今日お届けするのは ?印です

★^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

  ?「新企画『インテルビスタ』 ジャンルを問わず月崎が会いたい人を訪ねて、
  インタビューした結果を会話形式でお届けします。 

★^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
^      
  新企画『OH  !  ママ ミイア』 
  子育て現場の問題や現状を母親の立場でレポートします
                   
★^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
^ 
      『POCO aPOCO』サバイバ−体験記エッセイ版      byルート14
   笑い、涙、ビンボー、そして幸せあり。サバイバ−の痛快エッセイです

★^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

  『a journalist eyes』 精神保健福祉に関するレポート
  精神保健福祉に関する制度や情報をレポートします。

★^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

      『コラム月影茶房』 カルチャー最新情報             by 月崎時央
      本、映画、ファッションなどの情報を精神保健福祉からの視点で紹介していき
   ます

★^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

□今週のつきざき□
■  柏崎厚生病院、院長の松田ひろし先生に「柏崎少女監禁事件」について12月
初めにインタビューをすることができました。
 私が松田先生に御会いして何よりも驚いたことは、あれ程多くのマスコミが殺到し
たのに、「取材にきたのはあなたが初めてです」と言われたことです。
 今回の取材は33号でこの欄に登場していただいた精神保健福祉センターの所長で
ある後藤雅博先生に紹介していただいたのですが、その後の取材依頼は、著書と企画
書と手紙を送付するというごく平凡な方法でした。医療上の守秘義務によって聞いて
も書けないこともあるという前提を踏まえた上で、かなり踏み込んだ話を取材できた
と思います。もちろん書かない事実も含めてです。
 しかし一方でマスコミ被害を知るほどに、いかにメディアと精神医療との溝が深い
かを思い知り、暗たんとした気持ちになっています。
 今回発行しますのは、第一部として、事件によって精神病院が直面した報道の問題
をまとめたものです。さらに今月、東京で松田先生と2回めのインタビューを行った
結果も追って誌上で発表していきます。さまざまな関係者の取材を経て、移送と医療
保護入院の問題につきましても、私なりにいろいろ考えていきたいと思います。

■コンピュータの御機嫌がよくありません。マウスとジップが壊れたみたいです。プ
リンタの調子も悪いし、もう最悪! それに事務所の水道も凍ったまま。いったいど
うなってるんだ! プンプン

■読者の方から、本文が改行されないで配信されるという指摘をいただきました。メー
ルソフトの設定の問題だと思います。そこでこちらの事情ですが、ここ数回の方法を
元に戻して従来の配信方法に変更します。読者の皆様にとっての違いは、長いタイト
ルがついていないことだけだと思います。タイトルは本文にいれますので、ファイル
のタイトルについては、ご了承ください。
______________________________________

??:::?:::??:::??:::?:::??:::??:::?:::?
?                                    ?
    
? インテルビスタ  柏崎監禁事件 第二回                 
         ?
? 
  柏崎少女監禁事件とマスコミ報道の話 その1
  
  立川メディカルセンター 柏崎厚生病院
  院長 松田ひろし先生                        
?                                    ?
?                                    ?
??:::?:::??:::??:::?:::??:::??:::?:::?

●メディアの殺到に戸惑う医療現場

柏崎の少女監禁事件では、事件の特異性もあり、報道が大変過熱したわけですが、ま
ず、報道の被害という観点から、当時の状況からお話いただけますか。

松田 とにかく取材に関しては最悪の状況がしばらく続きました。大勢の取材陣、テ
レビのレポーターや記者やカメラマンが病院に押し寄せました。私たち病院の職員は、
我慢すればいいし、患者さんや家族のプライバシーに関わる部分はノーコメントでい
くらでも押しおせばいいのですが、精神障害者で頑張っている人たち、外来患者さん
やデイケアの利用者が、とにかくこの取材によって非常に嫌な思いしたことが、僕は
一番の問題だと思っています。

月崎 ええっ?あの事件の報道でマスコミの人たちは、関係のない患者さんにもマイ
クを向けたわけですか?いったい患者さんたちに何を聞いたのでしょうか。

松田 病院の内外、その付近にいた人が、患者さんかどうかすらもわからないわけで
す。職員かどうかも外部の人にはわからないんですから、誰かれ構わずということに
なります。

月崎 その際に、柏崎の事件について取材をさせてくださいという、きちんとした取
材依頼はなかったのですか?

松田 電話はたくさんかかってきましたが、取材の体裁をきちんと保ったものはなかっ
た。それで僕は体育館に病院の全職員を集合させて「すべてノーコメントを徹底する」
という話をしたのだけれど。そういったなかでね、「○○大学の教授だけれど、当直
の先生を出せ」とか「○○病院の院長だけれど院長をだせとか、医者を出せ」という
怪し気な電話も多かった。こっちは「今手を離せないから折り返し連絡しますので電
話番号を……」というと切れてしまうような電話が多かった。。

月崎 そういうやり方でそこまでして来るんですね。

松田 そう、そこまでね。アベックを装って、具合の悪い患者さんのふりをして病室
をうろうろしたり、ある時など僕が外来から診察を終わってきたらこの院長室に座っ
ている人がいたんですよ。とはいえ、それが家族か何かは、わからないしね。

月崎 ある意味で病院と言うのは出入り自由な場所ですものね。
松田 それで職員にはノーコメントを徹底したんです。しばらくして敷地内も、患者
さんがいるから立ち入りをやめてくれと言いましたがそ、れでも外をうろちょろ回っ
たり、写真を撮ったりする人があとをたたなかったですね。

月崎 そうですか。その取材の人たちが、そうまでして知りたかったこと、手に入れ
たかった情報とは何なのでしょう。

●顔写真が欲しいマスコミ

松田 それは、犯人の顔写真です。ウチの看護婦さんが数名、歓迎会か何かで、事件
後にある飲み屋に行ったら、たまたま近くの席にいた週刊誌の記者が名刺をだして、
「容疑者の写真を撮ったら30万、カルテの写しをとったら40万円で買うと言われ
ました」という報告も受けています。

月崎 ええっそんなことまでするのですか?。

松田 そうですよ。その時も雪でね、敷地の向かいの山に3日間、隠って張り込んで
いる人がいた。それも、たまたま職員が見つけたから退去してもらった。だってちょ
うどそこの場所から、女子の大風呂が見えるんですよね。これはちょっとまずいでしょ


月崎 ええ。それにここはなんといっても病院ですよね。 事務長の藍沢さんは、マ
スコミ対策の最前線にいらしたそうですが、今回のことはどんな風に御考えですか。

藍沢事務長 私も今までは、他の事件ではテレビ、新聞の内容を信じる意外ないなと
思ってきました。しかし今回のように自分がその場面に直面すると、その内容がかな
り違うように伝わっていくのを感じています。でも一般人は報道された内容しか信じ
る物がないので、これまで、自分が報道で知り得たことは果たして事実かなと。

月崎 それほど違うわけですね。
藍沢 はい。これまでは報道の内容が、事実に基づいて少し違ったとしても大半の所
ではあっているのではないかとみていたんですが、自分が当事者になってみると全然
違うなと感じます。

月崎 そうですか、ほかには?

藍沢 自分が病院に勤務し、事務長という仕事をしているので、患者さまの守秘義務
というのが仕事の一番大切なこととしてあるんですが、それに対して報道の方たちも
自分達は「これが仕事なんだから取材する事も正当だ」ということで来られたわけで
す。

月崎 どちらにも仕事上の権利があるということになったわけですね

相沢 ええ。こちらはこちらの仕事としての権利で、どんな方であってもその方の医
療上の秘密を守らなければいけないというところがあるんですね。ところが報道が、
だんだん過熱していって、こちらのお断りもすべてノーコメントということで話はす
るんですが、なかなかそれを受け入れていただけなくて、最後には、「容疑者がもし
ここに入院していたって事がわかったらあなたを偽証罪で訴えますよ」というくらい
にまでいわれました。

月崎 偽証罪???

藍沢 はい。入院の事実も含めてずっとノーコメントを私達は通したわけですが、あ
る一社の方は逮捕された日の夕方病院に来られて、「やはり入院していたじゃないか」
と言うことまでいわれた。

月崎 医療にも守秘義務がある。マスコミも報道をしたい。情報公開の進む時代とい
うことですが、医療の守秘義務と報道する権利をめぐる攻防のなかで、結局現場がゆ
がめられてしまうですね。挙げ句に間違った報道もなされていって。何か常識的な線
でルールを作っていく必要があるんでしょうね。医療のほうも情報のだし方とかどこ
まで言うことが可能な情報なのかなど。とにかくお互い不信感が募っている感じです
ね。結果的に精神障害の偏見につながってしまう。

藍沢ええ。一番迷惑していたのは外来に来られる患者さまたちです。駐車場とかそう
いうところで、呼び止めて聞かれるし、駅から病院までタクシーに乗られても、運転
手さんに「僕そんなに悪くないんだけれど。軽いんです」って患者さんが自分から言
い訳をしなければならないような状態だった。

月崎 医療にかかるのに変ですね。

相沢 私たちは院長の方針にしたがってノーコメントで、時間がかかろうがいやな思
いをしようが仕事ですからいいのですが、やはり一番迷惑されたのは患者さまだと思
いますし、御家族だと思います。いつきてもマスコミが駐車場や外来に待ち受けて、
色々な方法で聞かれるのですから、病院に来る事自体が勇気のいる事だったり、他の
方に知って欲しくないことという方もいらっしゃるので。

月崎 ノーコメントで通されたということですが、病院としてきちんとした取材を受
けるために例えば広報窓口をつくるということを考えなかったのでしょうか。

松田 もしそうしたとしても、マスコミ側は一緒にやろうという気がない。とにかく、
他社を出し抜き、自分の所だけ先にという。それは凄い。それにコメントするような
段階ではなかった。職員の中には、取材攻勢を断るのにもうへろへろに疲れて、「先
生取材に応じて下さい」という人が結構いた。

月崎 そうですか。

松田 職員の家族のところにまで取材が来て、どうにか取りなしてくれないかという
のがあった。僕にも他の番組でテレビに出すから話をしてくれなんていうのもあった。
それにしても、僕はどんな新聞も「見つかって良かった」っていう論調で報道をして
いないことがまずおかしいと思う。

月崎 そうですね。藍沢事務長にとって一番衝撃的だったことは?

藍沢 やはり「偽証罪で訴える」と新聞記者の方にいわれたことです。一番大変な時
には、ひとりの方をお断りするのに30分か一時間ぐらいの時間がかかった。とても
しつこく言われるんですね。「あなたじゃ信用できないから院長を出せ」とか、「院
長の意向で、私がお話しています」といっても信じられないとおっしゃるんです。

月崎 藍沢さんが女性だからでしょうかね。それで、ここには入院していないといっ
たわけですか。

藍沢 いいえ。「いるともいないとも言えない」と言いました。マスコミの方が駐車
場とかにも、いらっしゃるんで、敷地内から出て下さいと押し問答になるし、そうい
う毎日が大変でしたね。患者さんやその家族を装って、「○○の家族の者だけれど」
何号室にいるかというような問い合わせが多かった。一時期は疑心暗鬼になり、患者
さんの家族ですと言われても、しばらくの間は、この人の話は本当だろうかと考える
ような状態が続きましたね。

月崎 本当にひどいですね。

松田 まあ、取材現場の本人たちは上司から、とにかくガンガン写真を撮れと命じら
れているんだろうな。

月崎 記者の良識とか、報道したい気持ち、大事なことを伝えたいという純粋な欲求
を、もう持てない位の圧力なのでしょうね。

松田 あれだけのマスコミの大騒ぎがあって、転勤になった時に挨拶に来たのは、地
元の記者だけでしたね。「御迷惑かけました」って。東京からレポーターやキャスター
もいっぱい来たけどね、みんなそのままです。

月崎 ノーコメントを貫いた理由は医療者としての守秘義務ということでしょうか。

松田 いや、むしろ守秘義務があるからだけじゃなくて、マスコミに売れるか売れな
いかということではなくて、事実をきちんと報道してくれれば、取材に応じる事はや
ぶさかでない。しかし余りにも歪んで、エログロナンセンスだけがあって、興味本意
の写真から物語りが作られてしまうのがね。それに本人だけでなく、他の人も撮られ
てしまうしね。事件の渦中であってもルールを守って取材をする関係がつくれれば、
病院としてすべてをシャットアウトするつもりではなかった。

月崎 例えばどんな条件が揃えば取材に応じることができたと御考えですか?

松田 そうですね。まず本人や家族の名前を出さない。病名を出さない。
例えば「興奮が激しい」など状態像にのみ触れる。顔写真は撮らない。病歴に触れな
い。家族歴に触れない。身体的な症状に触れないといったところです。

月崎 取材する側としては厳しい条件ではありますが、その範囲でなら応じると言わ
れれば、取材を、申し込んだ人はいたと思います。しかし、非常事態でもあるわけで、
押し寄せるマスコミに対してきちんと取材をしたい人と写真をとりたい人をわける事
は難しいですね。

藍沢 そうですね。お断りするにしても、理由を説明すると「そう言う事でしたら」
と引き下がる人と、「あんたも商売かもしれないけれど、俺もこれで飯くっているん
だ」と開き直るタイプがあって、会社によって品位がわかりますね。

月崎 ところで、医療保護入院だという事も当初、報道されていませんが、それも秘
密だったのですか?

松田 いや全然。入院形態についての質問はなかった。

月崎 私は医療の側が隠したのかなと思いました。

松田 そんな質問は一切なかった。まず欲しいモノは写真ですよ。

松田 取材の人たちの中には「私たちには取材する権利がある。国民に知らせる義務
がある」というようなことを叫んでいる人もいたなあ。

月崎 でも容疑者も、病院では患者さんですよね。患者さんについて何を書くために、
どんな情報が必要だったということでしょうか?

松田 ともかく顔写真が欲しいようでした。だからこちらも患者さんの検査をする時
には気をつけて、院内でも写真が撮れないような、経路を通りました。

月崎 そうなんですか。結局写真が撮れなかったために、あの高校時代の学生服の写
真が新聞各社で使われたわけですね。公判になってあの写真とイラストとして公表さ
れた本人の風貌のギャップに驚かなかった人はいないと思います。高校時代の彼の写
真を20年以上後の彼の犯罪と結び付けて報道するのは、それこそマスコミの偽証罪
のような気がしています。
                                (次号に続く)


★:::‥‥‥:‥***★☆:::‥‥‥:‥***★☆:::‥‥‥:‥***

発行者からのお知らせ

■メールマガジンLA LUNAの転送は、基本的にお断りしています。もしお知り合いに
紹介していただける場合はホームページよりバックナンバー閲覧ができるページに行
けますので、そちらを御利用ください。
LA LUNA URL       http://www.mars.sphere.ne.jp/la_luna/

■メールマガジンLA LUNAは無料ですが、毎週送付されるマガジンに添付されている
広告を読者がクリックすると一回につき20円の広告掲載料が、発行者に支払われる
システムです。

■読者の皆様からの御意見は下記のアドレスにお願いします。感想や企画に関するア
ドバイスなど、いろいろな方からのメールをお待ちしております。        
    
mokito@anet.ne.jp                        

■メールによる登録。退会は受け付けておりません。バックナンバーの閲
覧、登録、退会は以下のアドレスにお願い致します。
http://www.melma.com/mag/44/m00012144/index_bn.html

■編集・発行者:TOKIO TSUKIZAKI■

★☆:::‥‥‥:‥***★☆:::‥‥‥:‥***☆★☆:::‥‥‥:‥*


規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-06-14  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
Score!: 97 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。