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中国で成功する人事、失敗する人事

「中国人に対するこの偏見、根拠のない先入観は、どうにかならんのか」。これがこの本を書いた動機でした。成功している日系企業の事例をもとに、中国で成功する組織のつくり方を考えます。




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「中国で成功する人事、失敗する人事」

2004/09/02

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 メールマガジン  「中国で成功する人事、失敗する人事」

       中国ビジネス、日系企業の労務、マネジメントを考える

                           執筆・田中信彦
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第23回 採用編2 「新聞で来た人は新聞で動く」

集まった村の役人たちを前に、「応募者は満16歳の女子に限る。仕事は電子部品の組み立て。条件は視力が裸眼で1.0以上」などと書き、会社の歴史や概要も説明した。その場で「各村で自信を持って集められる人数を教えてほしい」と言ったら、あっと言う間に600人以上になった。あわてて筆記試験や適性検査、面接、身体検査を実施することにし、選に漏れた人には次の募集の機会に連絡するという形にしてもらった。村の幹部たちは食事に招待して親交を深め、次回以降の募集に備えた。

中国では当時、国有企業は国から人材の計画的な配分を受けるのが普通だった。そのため合弁相手の国有企業も筆記試験などやったことがない。中国人の総務部長と一緒に書店に行って高校入試の問題集を買い、初歩的な英語や作文、加減乗除などの問題を抜粋して筆記試験問題を独自に作った。面接だけでなく筆記試験を加えたことで、非常に粒の揃ったワーカーを採用することができたという。

近年は工場の地元だけでは必要数の充足が難しく、近隣の奉賢や南匯などの地域からも従業員を募集している。これらの地域は工場から見ると黄浦江の川向こうになり、かなりの距離がある。200人以上のワーカーが自転車で毎日10キロ以上の道のりを通ってきていたが、台風などで渡し船が動かなくなると通勤不能になってしまう。それでは業務に支障が出るし、遠距離通勤は本人も大変だ。

総経理氏は一計を案じ、工場近くの農家に下宿させる手を思いついた。会社の総務課員が近くの農家を回り、交渉して受け入れ先を見つけてきた。1ヵ月あたり1人20〜30元の下宿料を会社が支払い、1軒の農家に数人を住まわせてもらう。農家にとってはいい現金収入になるし、会社は宿舎を建てる必要がない。従業員たちは金曜日の夜に自転車で自宅に帰り、月曜日の朝、再び出勤してくる。

現在、同社の従業員は2500人を超える。立ち上げ時に採用した250人の女子工員のうち9年目に入る現在でも約3分の1の80人が残っており、現場の班長クラスとして工場を引っ張っている。会社の規模が大きくなっても総経理氏の人材募集にかける意気込みは変わらない。「創業以来、ワーカーのレベルと人数には満足している」と話す。

同社の場合、幹部クラスの採用はほとんどが関係者の紹介、いわゆるコネである。大学生の中には自分で履歴書を持って会社を訪ねてくる者もいるが、総経理氏は「自分で回ってくるような学生は、他にもキッチリ網を張っているので、結局は定着しない」と話す。原則的に新聞広告での募集もやらない。「新聞で来た人は新聞で動く」というのがその理由だ。

毎年春節の前になると、総経理氏は市内の機械、電気、電子などの学科がある大学を挨拶に回って歩く。学生課に希望する学生の数や試験日を伝え、入社試験を受けるよう勧めてもらう。

以前に比べて学生の採用は難しくなったという。「試験は受けてくれるが、入社しても長続きしない。当社のような規模の大きな会社では、そう思い切って賃金の差をつけられない。小さな会社が倍近い給料で持って行ってしまう」と厳しい表情だ。

(以下次号)

※文中のデータや法律などは執筆時点のものです。中国の動きは速く、現在とは状況が変わっている部分があると思われます。その点はご留意のうえ、ご愛読をお願いいたします。

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創刊日:2004-07-11  
最終発行日:  
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