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JOG-mel No.620 捏造と独占 〜 新聞業界の病理

2009/10/25

■■ Japan On the Globe(620) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■

        Media Watch: 捏造と独占 〜 新聞業界の病理
    
                        新聞業界の独占構造が捏造報道の温床
                       となっている。
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■1.反省しない餃子メーカー■

     東アジアのとある経済大国。同国では自由市場のもと、自動
    車、家電、食品などの各分野で激烈な競争が展開され、そこで
    磨かれた各社の製品は海外でも高く評価されていた。しかし唯
    一、取り残された業界があった。餃子(ギョーザ)業界である。

     そこではアサヒ餃子、マイニチ餃子など数社が全国的なメー
    カーとして、君臨していた。

     マイニチ餃子は、かつて毒入り餃子を出荷して、中毒患者ま
    で出したのだが、消費者団体が非難の声をあげても、「原因は
    製造工程には見つからなかった」などと素知らぬ顔で通した。
    不買運動も起きたが、それをものともせず営業を続けている。

     アサヒ餃子も、中国産餃子を国産と偽ったり、売れ残りを再
    加工したりと、不祥事が何度も発覚して世論の非難を浴びてい
    たが、一向に聞く耳を持たない。

     他の業界なら、こういう悪徳業者は売上を失って倒産するか、
    官庁の取り締まりで営業停止処分になるはずなのだが、なぜか
    しぶとく営業を続けている。先進国での市場ではあるまじき現
    象なのだが、どうしてこんな悪徳業者が許されるのか。その秘
    密は業界構造そのものにあった。

■2.なぜ不祥事を起こしても売上が落ち込まないのか?■

     まず毒入りとか、売れ残り再加工、中国産偽装などという不
    祥事を起こしたメーカーの餃子を、なぜ消費者が買い続けるの
    かという疑問である。

     第一に、こうした不祥事が起こって、監督省庁や消費者団体
    が非難しても、朝日新聞や毎日新聞はあまり報道しないので、
    多くの消費者はその事実を知らなかった。これらの新聞は他の
    食品だと鬼の首をとったように、業者を糾弾するのだが、なぜ
    か餃子メーカーに関しては、控えめな報道しかしないのである。

     第二に、たとえ消費者が問題を知っても、容易には他社製品
    に替えにくい仕掛けがあった。宅配である。アサヒ餃子やマイ
    ニチ餃子は、毎日、餃子を各家庭まで届けてくれるので、その
    宅配サービスを利用する消費者がほとんどだった。

     たとえばアサヒ餃子の不祥事を知った消費者が他社製に替え
    ようとすると、いちいちアサヒの販売店に購入停止を申し入れ、
    また他のメーカーに注文して、銀行口座の引き落とし手続きを
    するなど、手間がかかる。不祥事があったとしても、そんな面
    倒をかけてまで他メーカーに変える、という几帳面な消費者は
    少ない。

     第三に、監督省庁の方でも営業停止処分にするなど、十分な
    規制をするための法的整備が遅れていた。毒入りや売れ残り再
    加工など不祥事が起こる度に、餃子メーカーに厳重な注意をし
    ても、罰則規定がないので、行政処分ができないのだった。
    
     こういう二重、三重の仕掛けにより、餃子メーカーは不祥事
    を起こしても、営業停止処分となったり、消費者から見放され
    たりしないので、売上はそれほど落ちず、そのために十分な反
    省をする事もなく、同様な不祥事を繰り返していたのだった。

     また、不祥事を起こした社内の責任者も、経営的に大きなダ
    メージを与えていないので責任を問われず、逆に豪腕ぶりを買
    われて幹部に出世する社員もいた。こうした有様を見ていれば、
    一般社員も不祥事に対して、鈍感になっていくのは当然であっ
    た。こうして不祥事を起こす社員が再生産されていく。

■3.専門宅配店網で新規参入防止■
    
     しかし、不祥事を続ける餃子メーカーに対して、品質と値段
    で優れた新規業者が参入してくれば、悪徳業者は駆逐されるは
    ずである。これが自由市場の長所なのだが、こと餃子業界にお
    いては、新規参入を防ぐ障壁があった。

     アサヒ餃子やマイニチ餃子は、それぞれの系列の専門宅配店
    網を全国に展開していた。アサヒ餃子系列の宅配店は、アサヒ
    餃子のみを取り扱える。新規参入業者が、自社の餃子を売ろう
    と思っても、アサヒ餃子の専門宅配店は取り扱ってくれないの
    だ。しかし、自前で宅配店網を整備しようとすれば、膨大な資
    金がいる。

     販売店網を持たない餃子メーカーは、各種メーカーの餃子を
    扱ってくれるスーパーで勝負するしかない。ここでは売れる商
    品のみがスペースを確保できる本当の自由競争がある。しかし、
    毎日餃子を食べる消費者にとっては、やはり宅配が便利なため、
    売上全体ではスーパー経由よりも専門宅配店経由の方がはるか
    に多い。結局、餃子市場では新規参入企業は大きなシェアをと
    れないことになる。

     この専門宅配店網こそ、アサヒ餃子やマイニチ餃子が新規参
    入を恐れることなく、現状にあぐらをかいていられる仕掛けな
    のであった。
    
■4.餃子メーカーどうしの競争防止策■

     アサヒ餃子やマイニチ餃子などの既存メーカーどうしの競争
    はないのだろうか。通常の業界なら、メーカーどうし、あるい
    は販売店どうしで激烈なシェア争いが起こり、悪徳業者が駆逐
    されるはずだ。

     しかし、ここでも競争を防ぐ巧妙な仕掛けがある。まずは販
    売店での勝手な安売りを禁ずる条項が、独占禁止法の中の「餃
    子特殊指定」として規定されている。

     一般のメーカーは、独占禁止法により、小売業者に特定の販
    売価格を押しつけることを禁じられている。これはメーカー側
    の定価押しつけによって、小売店どうしでの自由競争を阻害し
    ないようにするためだ。しかし、どういうわけか、餃子業界だ
    けは、例外として小売価格をメーカー側に強制することが認め
    られている。

     そのため販売店が餃子の売り上げを伸ばそうとすれば、新規
    契約顧客に、洗剤やティッシュペーパーなどを配るという程度
    のことしかできない。そして、販売員が売り込みのために戸別
    訪問して、消費者に嫌がられている。

     販売店側の自由な競争を封じてしまえば、あとはメーカーど
    うしで無言の談合がなりたつ。価格は1円単位まで各社横並び
    になっており、価格面でも競争原理が働かないようになってい
    る。
    
■5.販売店への押し込み■

     しかし、餃子業界の全体売上は右肩下がりなので、各社とも
    経営は苦しかった。そこで、各餃子メーカーは専門販売店に
    「押し込み」をかけている。これは販売店からの実際の注文以
    上に、製品を押しつけ、売上があがったように見せるという手
    段である。

     販売店が餃子を配達する際に、各種の折り込み広告も一緒に
    配られる。この広告料も、餃子メーカーにとって重要な収入源
    だった。広告収入は、餃子の販売数に比例する。餃子メーカー
    は各配達店の実売以上の餃子を押しつけて、販売数を水増しし、
    それだけ高い広告料金をとるのである。これは限りなく詐欺に
    近い手口である。

     実際には、余分に押しつけられた餃子は、販売店が自分で消
    費するか、食べきれない分は廃棄される。販売店の店員の中に
    は、毎日毎日、マイニチ餃子ばかり食べさせられて、ノイロー
    ゼになった被害者も出てきたとの事である。

     こんな押しつけ販売が横行するのも、各販売店が特定の餃子
    メーカーの専売となっているからだ。アサヒ餃子の専売店は、
    アサヒ餃子から睨まれたら、他社製品を扱えないので、廃業す
    るしかない。だから押し込み販売でも、いやいや協力するしか
    ないのである。

     もし、各販売店が自由にいろいろな餃子メーカーのものを扱
    えるのなら、こんな無理を言ってくるメーカーとの取引は断っ
    てしまえるはずだ。やはり、専売店網による宅配制度こそ、餃
    子メーカーの横暴を赦している仕組みなのである。

■6.押し寄せてきた自由競争の波■

     こうして、餃子業界は、専門販売店網とマスコミの報道自粛、
    それに独占禁止法「餃子特殊指定」の3本柱によって独占構造
    を維持し、その中で様々な不祥事を起こしながらも、一切反省
    することなく過ごしてきた。まるでガラパゴス諸島のイグアナ
    のように、グルーバル化する外界とは切り離されて、我が世の
    春を謳歌してきたわけだる。

     そんな餃子業界にも、ようやく変革の波が押し寄せてきた。
    インターネットの普及である。いくつかの新しい餃子メーカー
    がインターネットで注文をとり、宅配便で納入するというシス
    テムを採用し始めた。

     これなら専門販売店網を持たない新規業者も、自由に参入で
    きる。また、インターネット上では価格の比較もすぐにされて
    しまうし、どこのメーカーの餃子がおいしいなどの口コミ情報
    も即座に伝わる。消費者の方も、こうした価格情報や口コミ情
    報をもとに、注文するメーカーを自在に変えるようになっていっ
    た。ようやく自由競争の波が、餃子業界にも押し寄せてきたの
    である。

     また、どういうわけか大手新聞は餃子業界の不祥事を隠して
    きたのだが、インターネットの世界では、そうした情報もあっ
    という間に伝えられるようになった。

     このような透明性の高い市場競争が広まると、毒餃子を売っ
    たり、中国産を国産と偽ったりすれば、消費者がすぐに離れて
    しまい、売上面で甚大な被害を受ける。したがって、不祥事を
    起こしたら、その責任者が社内で追求されるようになる。その
    時こそ、餃子業界が自浄能力を持つことができる。
    
■7.朝日新聞と毎日新聞の捏造報道ぶり■

     以上は、経済評論家・三橋貴明氏によるマスコミの業界構造
    の分析[1]をもとに、寓話に仕立てたものであ。食品業界の不
    祥事をマスコミは叩きに叩いたのだが、当の新聞業界自体の不
    祥事と置き換えてみれば、その異常な様が見えてくる。

     朝日新聞や毎日新聞が、捏造報道を繰り返しながら、決して
    謝罪をしない姿勢は異様である。その典型例として三橋氏が挙
    げているのが、毎日新聞のWaiWai変態報道事件である。

     これは同社の海外向け英語版ホームページ、MDN
    (Maninichi Daily News) において、信じられないような変態
    的な記事を発信していたという事件である[2]。たとえば、
    「多くの日本の母親は受験シーズンを迎えた息子に口で性処理
    をしている」などというような記事を全世界に向けて発信して
    いたのだ。

     インターネットの世界で批判の嵐が起きたため、毎日新聞は
    おざなりな謝罪文を掲載し、MDNを閉鎖したのだが、きちん
    とした訂正記事を書くわけでもなく、その上、問題のサイトの
    担当役員は役員報酬0.1カ月分を返上した後、すぐに代表取
    締役に昇進している。餃子メーカーが毒入り餃子を出荷したの
    と同程度の重大な不祥事なのだが、食品業界なら、こんな対応
    はマスコミ自体が決して許さないだろう。

     朝日新聞も負けてはいない。本誌でも、その捏造報道ぶりは
    何度か紹介してきた。たとえば、「朝日の三ホンダ」と呼ばれ
    る三人の記者がいた。[a,b]

     一人は日本軍が中国で「百人斬り競争」をしたとでっち上げ
    た本多勝一。もう一人は、沖縄のサンゴ礁を自分で傷つけたう
    えで、環境破壊を戒める記事を書いた本田嘉郎。3人目が、安
    倍晋太郎議員などが、NHKの慰安婦番組に圧力をかけて改編
    させたとの虚偽報道を行った本田雅和。これだけ捏造報道が続
    いているのだから、朝日新聞社内に自浄能力がないことは明ら
    かである。

     こういう捏造報道を続けていても、新聞社として平気でやっ
    ていけるのは、専門販売店による宅配や「新聞特殊指定」によ
    る価格統制などで、自由競争を排除している新聞業界の独占構
    造に問題があるからだと、三橋氏は指摘している。
    
■8.自由民主主義国家にふさわしいメディアとは■

     この独占構造を急速に打破しつつあるのが、インターネット
    ・メディアである。

     第一にインターネットによって自由競争が持ち込まれること
    になった。巨大新聞社のホームページサイトも、個人のブログ
    と同じ舞台で競争しなければならない。さらに欧米の有力新聞
    社のサイトも競争に加わる。

     第二にインターネットの双方向性がある。新聞というメディ
    アは基本的に記者から読者へという一方向でしかない。捏造記
    事に対して読者が反論の投書をしても、編集者側で簡単に握り
    つぶすことができる。それに対して、インターネットではブロ
    グやメールマガジンによって、読者側の反論を大々的に広める
    ことが可能である。

     インターネットへの批判として、そこに流れる情報が玉石混
    淆だという点がある。しかし、新聞も今までの捏造記事、誤報、
    虚報のオンパレードを見れば、玉石混淆である点で変わりない。

     問題は新聞が流した「ゴミ情報」は、その独占性、一方向性
    ゆえに、そのまま多数の読者に届けられる、という浄化プロセ
    スの欠如なのである。それに対して、インターネットでは膨大
    なブログなどでの自由な相互批判を通じて、「ゴミ情報」をチェッ
    クする浄化能力を持ちうる。

     こうして見ると、統制価格と配給制度に守られた新聞の独占
    構造は、独裁国家にふさわしいメディアであり、インターネッ
    トこそ、自由民主主義国家にふさわしいメディアであることが
    分かる。中国政府がインターネットの規制・監視のために世界
    最大・最先端の統制システムを構築している理由がよく理解で
    きる[3]。

     三橋氏は「日本が現在抱えている問題の多くは、マスメディ
    アの報道姿勢に起因している」[1,p8]と指摘しているが、弊誌
    も同感である。少なくとも、マスメディアが問題の存在を隠し
    てしまえば、国民は問題を問題として気がつくことができない。

     インターネット・メディアの健全な発展によって、現在の新
    聞業界の独占構造を打破し、正確な情報と多様な議論を生み出
    していくことが、我が国の自由民主主義国家として必要不可欠
    な基盤である。
                                         (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(401) 北風と朝日
    ある朝日新聞記者が北朝鮮擁護のために でっちあげ記事を書
   いたという重大疑惑。
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h17/jog401.html
b. JOG(432) 姉歯の設計、朝日の報道
    建築士の偽装設計と、新聞社の捏造報道とは、職業の使命へ
   の背任という点では同じはないか。
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog432.html
c. JOG(439) 「天網恢々、疎にして漏らさず」 
   〜 中国のメディア・コントロール(下)
    中国政府は世界で最大かつ最先端のネット統制システムを構
   築した。
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog439.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 三橋貴明『マスゴミ崩壊』★★、扶桑社、H21
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594060439/japanontheg01-22%22
2. 毎日新聞問題の情報集積wiki
http://www8.atwiki.jp/mainichi-matome/


■ 編集長・伊勢雅臣より

     読者からのご意見をお待ちします。以下の投稿欄または本誌
    への返信として、お送り下さい。
     掲載分には、薄謝として本誌総集編を差し上げます。
    http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P36920582

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             http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogindex.htm
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  • 名無しさん2009/11/01

    日本人としての自覚と誇りを持つために、常に客観的事実を淡々と述べておられる、また、良識ある国民として、知っておかなければならないことを、この養成講座で、たくさん学びました。



    これからも、日本人が正気を取り戻すため、さまざまな話題を提供していただくことを、熱望いたします。



    読書大好き

  • 名無しさん2009/10/26

    自民党により作り上げてきた特定の業界が保護される仕組み、ねつ造報道の宝庫の産経・読売をはじめとしたメディア。これら時代遅れの構造的問題を、これから迎える新たな夜明けとともに、解決されていくことを望む。これら自民党では解決できない問題を、民主党が進めていくことを、国民も監視していかなければならない。