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Japan on the Globe(133) by CLICK INCOME

2000/04/09


     _/    _/_/      _/_/_/  Common Sense: 学力崩壊
        _/  _/    _/  _/                 〜ディベート・フォーラム
       _/  _/    _/  _/  _/_/                           23,220部 H12.04.09
 _/   _/   _/   _/  _/    _/  Japan On the Globe(133)  国際派日本人養成講座
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     前々号「JOG(131) Common Sense: 学力崩壊が階級社会を招
    く」[a]ではたくさんのおたよりをいただきました。今回は、
    それらのおたよりをご紹介しながら、今後目指すべき教育シス
    テムのあり方を、一緒に考えてみましょう。(伊勢雅臣)

■1.自分の子供は私学に通わせたい■
                                                   Daidyさん

     僕は、広島県内の公立高校に通う高校生です。僕の通う学校
    は、地域では「公立ではトップクラスの進学校」で有名ですが、
    ハッキリ言って、もはやそう呼ばれる事に違和感を感じます。
    センター試験の平均点は、全国平均よりもかなり下です。東大
    どころか、慶応・早稲田の合格者も毎年ほんの数名です。
 
     この根本の原因は、やはり学習時間の低下にあると思われま
    す。小さい頃から勉強しなくてもそこそこの成績は取れてきた。
    中学でも塾の宿題をして試験予想問題さえしていれば、満足い
    く点数がとれた。高校に入って成績の低下に愕然としたが、辺
    りを見まわせば似たような連中ばかりなので安心した。
 
     模試を受けていくうちに、「本当に、これは危ない」と思い
    始めたが、時すでに遅し…
 
     この号のことと、自分の経緯のことを考えて思うことは、
    「生活が苦しくとも、自分の子供は私学に通わせたい」と、い
    うことです。

        編集長>いきなり、身につまされる実体験談でした。しか
        し、Daidyさん、まだまだ道はありますぞ。入れる大学に
        入っておいて、そこから希望する分野で真に一流の大学院
        を目指すのです。一流大学の学生もあまり勉強しませんか
        ら、これから努力すれば、大学院入試での挽回のチャンス
        は十分あります。ぜひ自分の可能性をのばせる分野を見つ
        けて下さい。
        
■2.子供達から努力する喜びを奪うな■
                                                  Hideyoさん

     結果に対してまで平等を求めては、子供達から努力する喜び
    を奪ってしまいますよね。それを本当の平等と呼ぶのでしょう
    か。共産主義的なこの思想は、文部省まで侵しているのですね。

     なぜ手をつないでゴールしなければならないのでしょうか。
    なぜ努力する人を誉めてあげないのでしょうか。勉強のできる
    子、運動のできる子、はたまた絵の上手い子、色々な子供がい
    るのに・・・。

     よくできれば誉めてあげ、失敗すれば励まし、なぜできなか
    ったか一緒に考えてやれば良いのに・・・。それが個性を重視
    した教育なのではないでしょうか。こんな人が文部省の教育部
    門の中枢にいるとは、将来の日本も暗いですね。

        編集長>「ゆとり」とか、「生きる力」という耳障りの良
        い言葉の陰で、「努力」という言葉が消えてしまいました。
        そこから生まれる本当の達成感、喜び、成長とともに。
        
■3.努力しなさい■
                                                Kanenoriさん

     競争が活力を生むのに、競争を回避しようとする教育。私が、
    小学生時代に習った教育は「努力しなさい。他人に嫌な事はし
    ないこと。」テストで悪い点を取るのは、自分が努力しないか
    らで教師のせいにするな、との事でした。

     自分も小学生時代に塾に通いました。小学生時代(低学年)
    は親から「学校の勉強にはついていきなさい。」高学年から、
    「勉強が好きなら塾に行かせてあげるが、高い月謝なので嫌な
    らすぐヤメテ。」大学も好きなら行かせてあげるが、嫌なら無
    理するな。コックか、手に職をもちなさい。こういう親でした。

     社会に出て、子供が出来て、親のありがたみがよく分かりま
    す。

        編集長> 自己責任で努力せよ、とは、相手を一人前扱いし
        た言葉です。これに比べると、「中学卒業時点で全員百点
        でないとおかしいんです」などという言葉が、本当は青少
        年を愚弄していることが、分かります。

■4.価値観の崩壊■
                                 Noriakiさん(シンガポール)

     一つだけ気になった点がありました。「富める家庭の子ども
    は、恵まれた私立校から一流大学に行って、ますます高収入の
    地位に進み、、、、」貴方の言う「エリート教育+東大=高収
    入=幸福」なんて時代はとっくに終わっていると思いました。

     そのステップを踏んだ人たちが今何をやらかしているかは新
    聞を見れば毎日出ています。そして子供たちは無意識にもそれ
    らを敏感に感じ取っているような気がします。それでもなおそ
    のステップを強要された場合のストレスと閉鎖感はものすごい
    ものだと思います。いくつかの異常な少年犯罪はこれに根ざし
    ているような気がします。

     「エリート教育+東大=高収入=幸福」のような昔からの
    価値観が機能しなくなっていのに気づいていないのはむしろ大
    人たちではないでしょうか。

     そしてそれに代わる新しい価値観を示せないでいるのも大人
    たちだと思います。示せないどころか、他の価値観があること
    にすら気づいていない人が多いように見えます。

        編集長>「教育」の根本は、我々はどのような人生を理想
        とするのか、という価値観の問題に帰着します。編集者と
        しては、上記2と3のご意見に賛成で「青少年に自らの努
        力を通じて、自らの多様な可能性を追求させる、そのため
        に機会の平等を提供する」という事が、教育の理想だと考
        えます。それはご指摘のように単なる「立身出世主義」だ
        けではありえません。

■5.ゆとり教育が無気力の「空っぽ人間」を生む■
                                                 Namikoさん

     「ゆとり教育」で「皆が一緒にゴール」できるというオブラ
    ートに包まれて、誰も自分の実力に気付かずに、また向上心も
    持たないままに、多くの「空っぽ人間」が生まれてしまうよう
    な気がしてなりません。

     今の学生がどんな意識を持っているのか、実際には関わりが
    ないのでわかりませんが、TVやメディアで取り沙汰されている
    ように、無気力が蔓延していることは確かだと思います。

     しかし恐いのは、彼らは自分達がそうなるのは当然だと思っ
    ているし、かと言ってそれをどうこうしようとは思わないとこ
    ろでは? 特に自分達が行動しなくても、どうにかなるし、こ
    れからも「テキトー」で行ける、と思っているのではないでし
    ょうか。

        編集長> ご指摘のように自己実現への気力や志を「空っ
        ぽ」にしてしまう所に、現代の教育の最大の問題点がある
        と思います。

■6.日本人を愚かにさせようとする「仕業」?■
                                                 Hitoshiさん

     私も買い物の件ではコンビニなどで似たような経験があり、
    基礎的な計算能力の低下を懸念していました。

     一度は1500円前後の物を3つ買ったのに、3,200円あまりの請
    求でした。問いただしたところ、うち1件を150円でレジに打っ
    ていたとわかりました。 その女の子は「だから古い機械は嫌
    い」と自分のミスを棚に上げ、バーコード入力で 打ち間違い
    の発生しないシステムを導入しないアルバイト先に文句をいっ
    ていました。

    「グローバルスタンダード」と称して、英語だけを勉強させて
    計算能力やそこから展開される論理的な構成力を欠如させるよ
    うに仕向けているのは、日本人を愚かにさせようとしている
    「ある勢力」の仕業と考えるのは、私の考え過ぎでしょうか。

     今から25年ほど前ですが、神奈川県の某高校の英語の入試問
    題は、筆記体でAからZまで書くことだったそうです。

        編集長> 学力も、気力もない日本人なら、金を出させるだ
        けの人畜無害国家です。それを喜ぶ「勢力」は、少なくな
        いでしょう。しかし、それでは、我が国の国際貢献を期待
        している国々を失望させることにもなります。

■7.奨学金100倍でエリート育成を■
                                                河合司朗さん

     私は「一割の高学力者が、9割の低学力者を支配する」とい
    う「階級社会」が悪いことだとは思いません。優秀なものが、
    そうでないものを指導し、保護する図式は、社会のありかたと
    して当然のことで、むしろ望ましい形態ではないでしょうか。
    サラブレッドと駄馬は峻別されてしかるべきです。

     問題は、サラブレッドか駄馬かの分岐が、本人の努力以外の
    ところで決まってしまうことです。最大の要因は、やはり本誌
    でも指摘されたように、親の経済力、特に不動産を中心とした
    ストック財力でしょう。どんなに優秀で、崇高な理想を抱く、
    人格高潔な若者でも、親に不動産力がなければ、それまでのこ
    とです。

     昨今の学級崩壊、暴力学園化現象も、原因はここにあります。
    自分の人生が自分以外によって決められてしまうという情けな
    さ、やるせなさがすべてです。

     この状況を打開する唯一の処方箋は何でしょうか。具体的に
    は、奨学金の予算を今の100倍にして、一般サラリーマン家
    庭でも受給可能にすることです。
    
     十分な奨学金を受け、それを武器に、みずからの能力と努力
    で最高学府を上位成績で通過し、国の指導的立場に立ち、一般
    を指導するエリートとなる、素晴らしいことだと思います。こ
    れこそ、明治以来の日本の教育機会平等の理想ではありません
    か。

        編集長>「奨学金100倍」案は、面白いアイデアですね。
        さらに進めると、高校大学はすべて私学にしてしまい、教
        育予算は、学生に奨学金の形で配る、というバウチャー制
        になります。これなら親の財力に関係なく、生徒が自分の
        努力と実力のみで、それぞれの分野のエリートを目指すこ
        とができます。
    
■8.十分な知育を期待して、子どもは私学へ■
                                                 Hiroshiさん

     私も2人のこどもを持っており、上は先月中学受験をさせま
    した。その理由もご指摘のとおりです。実は私と家内も中学か
    ら私学で教育を受け、その良さを体感しての受験でした。私の
    ころは、詰め込み教育からの避難でしたが、子供の場合には十
    分な知育を期待しての受験となりました。皮肉なものです。

     私自身は、悪平等よりも、努力の結果としての社会格差は必
    要であると考えますが、それが固定することには反対です。

        編集長> 昔は公立の詰め込み教育を避けて私学へ、今は学
        力をつけるために私学へ。私学の方が常に国民のニーズに
        合い、公立がそうでないのは、市場の声を聞かない官僚支
        配のゆえでしょう。前項で述べたように高校・大学をすべ
        て私学にしてしまえば、一部の役人が、国家権力を私して、
        サヨク的行政を押し進める余地も少なくなります。

■9.教科数を絞った入試が問題■
                                                TAKERUさん

     現在入試は学部によっては極端に教科数を絞って受験するこ
    とが可能になっております。私もその体験者で、文系学生で物
    理や高等微分積分を十分に習わなかったのに、某国立大学の理
    工学部に合格し、入った後もなんと通信工学科という、物理や
    微積が最重要な学科に入ることができました。

     同様に「数学のできない経済学部生」を指摘しておられまし
    たが、これも経済学部入試で(特に私立で)、数学を受験しな
    くても良いという、入試システムの欠陥があるためであると思
    います。

     つまり「大学生が数学ができなくなった」のではなく「(入
    試科目に数学がないから)数学ができなくても大学に入ること
    ができる」のが真実であり、見た目上、あたかも大学生のレベ
    ルが下がったように見えるのです。

        編集長> 入試の問題は、紙面の関係で言及できませんでし
        たが、ご指摘の通りです。生徒数減少の中で、学生を確保
        するために入試を楽にし、その結果、入学させてから低学
        力が問題となっている、というのが大学の現状です。レベ
        ルを落として学生を集めるという方向はいずれ行き詰まり
        ます。自由競争の中で、特定の分野で特徴を伸ばし、やる
        気のある優れた学生を集める、という「志」と「戦略」の
        ある学校が、これから頭角を現していくでしょう。

■10.アメリカの学生の学力は本当に日本より上か?■
                                       Naokoさん(フロリダ)

     わたしは現在アメリカ、フロリダ州の某コミュニティーカレッ
    ジにかよっています。今回の131号のなかに、現在、数学、理
    科とも日本はアメリカにかなり下回るとの内容が書いてありま
    したが、それはどうかな?と思っているのです。
    
     日本の中学数学がアメリカの高校数学、日本の文系高校レベ
    ルの数学がCollege Algebra(大学の代数)の内容とほぼ同じ
    です。そして、数学にしていえば、40%は途中でドロップア
    ウトします。

     このような状況でも日本学生の数学、理科の教育レベルがア
    メリカに劣っているといえるのでしょうか?比較された方(機
    関)がどのような条件をもって比較したのか疑問におもえます。

        編集長>一般的なコミュニティ・カレッジの数学レベルが、
        日本の文系高校レベルと同じで、学生の60%が単位をと
        っているなら、「早慶で中3の2次方程式の正答率8%」
        よりも、学力はかなり高いのではないでしょうか。Naoko
        さんが高校で学ばれた8年ほど前の頃とは、比較にならな
        い程、学力崩壊が急速に進んでいるようです。

         しかし、絶望する必要はありません。今は、4項のNori
        akiさんが指摘されたように、一元的な「立身出世主義」
        の価値観が崩壊し、それを目指した「詰め込み教育」、そ
        れに反発した「ゆとり」教育の、双方とも行き詰まりが見
        えてきた所だと言えます。
        
         読者の皆さんとの対話を通じて、目指すべき新しい教育
        システムの姿が浮かんできました。それは青少年に「機会
        の平等」を与え、同時に様々な私立高校・大学が、多様な
        教育機会を提供する。そして子供も、学校も、自由競争の
        中で、努力の結果が認められるようにする、というもので
        す。このような新しいシステムのもとで、青少年が高い志
        をもって、国際派日本人を目指してもらいたいものです。

■リンク■
a. JOG(131) Common Sense: 学力崩壊が階級社会を招く 
  http://backnumber.to/body.asp?userid=10000699&fname=JOG131

■ 編集長より

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