国際情勢

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万8千部突破!

全て表示する >

Japan on the Globe(86) by CLICK INCOME

1999/05/08


購読申込・既刊閲覧・平成9-10年版総集編(\400)申込み・
 姉妹紙(情報誌JOG Wing等)申込みは:  http://come.to/jog
Mail(お便り、購読申込):            nihon@mvh.biglobe.ne.jp
購読解除: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/quit_jog.htm

         _/    _/_/      _/_/_/  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
        _/  _/    _/  _/           Japan On the Globe (86)
       _/  _/    _/  _/  _/_/      国際派日本人養成講座
 _/   _/   _/   _/  _/    _/    平成11年5月8日 8,808部発行
  _/_/      _/_/    _/_/_/   _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/_/
_/_/  人物探訪:2万人のユダヤ人を救った樋口少将(下)
_/_/
_/_/           ■ 目 次 ■
_/_/
_/_/   1.2万人のユダヤ人、吹雪の中で立ち往生
_/_/   2.難民の件は承知した
_/_/   3.難民、到着
_/_/   4.ドイツ外相からの強硬な抗議
_/_/   5.ゼレラル・ヒグチの出発
_/_/   6.オトポールの恩を返すのは、いまをおいてない
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

■1.2万人のユダヤ人、吹雪の中で立ち往生■

   昭和13(1938)年3月8日、ハルピン特務機関長・樋口少将の
  もとに重大事件のニュースがもたらされた。

       満州国と国境を接したソ連領のオトポールに、ナチスのユ
      ダヤ人狩りからのがれてきた約二万人のユダヤ難民が、吹雪
      の中で立往生している。
       これらのユダヤ人は、満州国に助けを求めるために、シべ
      リア鉄道を貨車でゆられてきたのであるが、満州国が入国を
      拒否したため、難民は前へ進むこともできず、そうかといっ
      て退くこともできない。
       食糧はすでにつき、飢餓と寒さのために、凍死者が続出し、
      危険な状態にさらされている

   これらのユダヤ難民は、フランクフルトからポーランドに流れ
  込んだのだが、すでに数百万のユダヤ人を抱えていた同国は、彼
  らを体よくソ連領に追いやってしまった。
  
   ソ連は難民達をシベリアでもほとんど開発を放棄した酷寒の地
  に入植させたのだが、都市生活者ばかりの難民達に開拓ができる
  はずもなく、彼らは満州国を経由して、上海へ脱出しようとして、
  オトポールまでたどりついた所であった。
  
■2.難民の件は承知した■

   ハルピンのユダヤ人協会会長・カウフマン博士も飛んできて、
  樋口に同胞の窮状を訴えた。しかし、満州国外務部(外務省)を
  飛び越えて、独断でユダヤ人を受け入れるのは、明らかな職務権
  限逸脱である。
  
   なぜ外務部は動かないのか。ユダヤ人問題で下手に動いて、ヒ
  ットラーから横やりでも入ったら、関東軍からにらまれるからだ
  ろう。樋口は腹立たしさを覚えた。彼らは満州国の独立国家とし
  ての自主性をまったく失っている。満州建国の理想として世界に
  掲げた旗印は「五族協和」であり、「万民安居楽業」ではなかっ
  たか。
  
       博士! 難民の件は承知した。だれがなんといおうと、私
      がひきうけました。博士は難民のうけいれ準備にかかってほ
      しい。

   力強い樋口のことばに、カウフマン博士は感きわまり、声をあ
  げて泣いた。「博士、さあはやく、泣いている場合ではありませ
  んぞ。」樋口はすぐに満鉄本社の松岡総裁を呼び出し、列車の交
  渉を始めた。

■3.難民、到着■

   それから2日後の3月12日。ハルピン駅では列車の到着を待
  つカウフマン博士をはじめ、十数人のユダヤ人協会の幹部が、救
  護班を指図しながら、温かい飲み物や、衣類などの点検に忙しそ
  うに動きまわっていた。
  
   やがて、轟然たる地ひびきをたてて、列車がホームにすべりこ
  んできた。痩せたひげだらけの顔が、窓に鈴なりになって並んで
  いる。期せずして、はげしいどよめきの声が、ホームいっぱいに
  ひろがった。列車が停止すると、救護班がまっさきに車内にとび
  こんだ。病人や凍傷で歩けない人たちが、つぎつぎにタンカで運
  ぴだされてくる。
  
   ホームのあっちこちで、だれかれのべつなく肩にとびつき、相
  擁して泣き崩れる難民たち。やつれはて、目ばかりギョロつかせ
  ていた子供たちは、ミルクの入った瓶をみると、狂ったように吠
  え、わめき、オイオイと泣きだした。

 「よかった。ほんとによかった!」
   カウフマン博士は、涙で濡れた顔をぬぐおうともせず、ホーム
  を走りまわって、傷ついた難民にいたわりの声をかけている。
  
   数刻後、樋ロは、オトポールの難民ぜんぶが、ハルピンに収谷
  されたという報告をうけた。凍死者は十数人、病人と凍傷患者二
  十数名をのぞいた全員が、商工クラブや学校に収容され、炊きだ
  しをうけているという。救援列車の手配がもう一日おくれたら、
  これだけの犠牲者ではすまなかっただろうと医師たちは言ってい
  た。
  
   難民の8割は大連、上海を経由してアメリカへ渡っていったが、
  あとの4千人は開拓農民として、ハルピン奥地に入植することに
  なった。樋口は部下に指示し、それらの農民のために、土地と住
  居をあっせんするなど、最後まで面倒を見た。

■4.ドイツ外相からの強硬な抗議■

   樋口のユダヤ難民保護に対して、案の定、ドイツから強硬な抗
  議が来た。リッべントロップ独外相は、オットー駐日大使を通じ
  て次のような抗議書を送ってきた。
  
       満州国にある貴国のある重要任務にあたる某ゼネラルは、
      わがドイツの国策を批判するのみか、ドイツ国家および、ヒ
      トラー総統の計画と理想を、妨害する行為におよんだのであ
      る。
       かかる要人の行為は、盟邦の誓いもあらたな、日独共同の
      目的を侵害するばかりか、今後の友好関係に影響をおよぼす
      こと甚大である。この要人についてすみゃかに、貴国におけ
      る善処を希望している。

   樋口は、関東軍司令部からの出頭命令を受け、参謀長・東条英
  機(後の首相)に対して次のように述べた。

       もし、ドイツの国策なるものが、オトポールにおいて、追
      放したユダヤ民族を進退両難におとしいれることにあったと
      すれば、それは恐るべき人道上の敵ともいうべき国策ではな
      いか。
       そしてまた、日満両国が、かかる非人道的なドイツの国策
      に協力すべきものであるとするならば、これまた、驚くべき
      軽侮であり、人倫の道にそむくものであるといわねばならな
      いでしょう。
       私は、日独間の国交親善と友好は希望するが、日本はドイ
      ツの属国ではないし、満州国もまた、日本の属国ではないと
      信じている。
      
   樋口は、搭乗の顔を正面から見据えて言った。「東条参謀長!
  ヒトラーのおさき棒をかついで、弱い者いじめをすることを、正
  しいとお思いになりますか」
    
   東条は、ぐっと返事につまり、天井を仰ぐしぐさをしてから、
  言った。
    
       樋口君、よく分かった。あなたの話はもっともである。ち
      ゃんと筋が通っている。私からも中央に対し、この問題は不
      問に付すように伝えておこう。
    
■5.ゼレラル・ヒグチの出発■

   樋口を待っていたのは、「不問」どころか、参謀本部第2部長
  への栄転だった。ドイツからの「善処」要求のわずか5ヶ月後に、
  このような人事を行ったということは、「人種平等を国是とする
  我が国はヒトラーのお先棒は担がない」という強烈なメッセージ
  ではなかったか。

   出発の当日、駅頭は、二千人ちかい見送りの群集で、埋めつく
  されていた。その人波の中には、数十キロの奥地から、わざわざ
  馬車をとばして駆けつけてきた開拓農夫の家族たちなどもまじっ
  ていた。樋口が土地や住居の世話をしたユダヤ難民たちであった。
  
   樋口が駅頭に立つと、いっせいに万歳の声がわきおこった。日
  の丸と満州国旗とをうちふり、「ゼネラル、ヒグチ!」と、ロ々
  に連呼しあう。 孫に手をひかれた白髪のユダヤの老婆は、路面
  にひざまずいて樋口を拝み、涙をながしつつけていた。
  
   待合室に入ると、カウフマン博士が、白系ロシア人の代表者ロ
  ザノフとともにやってきた。ユダヤ人と白系ロシア人は、血なま
  ぐさい暗闘を繰り返していたのだが、樋口が親睦のクラブまで作
  って、仲介に努力していたのである。
  
   ロザノフは、カウフマン博士の頬に長い接吻をし、巧みな日本
  語で言った。
  
       これが閣下に対する餞別です。閣下の言葉を忘れず、これ
      から仲良くやっていきます。
      
   樋口が「あじあ」号の最後尾の展望台に立つと、列車は高らか
  に警笛を響かせて、ゆっくりと動き出した。

   「ヒグチ!」「ヒグチ!」。群衆は堰を切ったように改札口を
  乗り越え、ホームにあふれ出した。あどけない顔をした少年達は
  銀髪を振り乱し、両手を振り上げながら、あじあ号を追って走り
  続けた。
  
■6.オトポールの恩を返すのは、いまをおいてない■

   終戦後、ソ連極東軍は、札幌にいた樋口を「戦犯」に指名し、
  連合軍総司令部に引き渡しを要求してきた。停戦後の8月19日
  まで、北千島を攻撃してきたソ連軍は、北方防衛の責任者であっ
  た樋口に大損害を与えられ、北海道上陸を阻止された事を恨んで
  いたのである。

   樋口の危機を聞いて、ニューヨークに総本部を持つ世界ユダヤ
  協会が動き出した。その幹部の中には、オトポールで救われた人
  々もいた。
  
  「オトポールの恩を返すのは、いまをおいてない」世界各地に散
  らばっているユダヤ人に檄がとび、樋口救出運動が始まった。世
  界ユダヤ協会は、アメリカの国防総省を通じて働きかけ、マッカ
  ーサー総司令部は、ソ連からの引き渡し要求を拒否し、逆に擁護
  することを通告したのである。
  
   長い歴史を通じて迫害を受けてきたユダヤ人は、それだけに他
  人から受けた恩義を簡単には忘れないのだろう。エルサレムの丘
  に立つゴールデン・ブックに刻まれた「偉大なる人道主義者、ゼ
  ネラル・樋口」の銘はその証である。

[参考]
1. 「流氷の海」、相良俊輔、光文社NF文庫、H6.1

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/★★読者の声★★_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
        富山県 佐々木和人さん(会社員、34才)より

   JOG編集長・伊勢さん、こんにちは。JOG83号は今日(4月23日)
  初登庁する石原慎太郎新東京都知事に関する記事でしたが、私も、
  富山県民ではありますが石原新知事にぜひお願いしたい事がある
  ので、その事について以下に記したいと思います。

    私が新都知事にまずやってほしい事、それは「東京平和祈念
  館」(仮称)の建設計画を今すぐ中止してほしい、という事です。
  雑誌「正論」等の記事によれば、その内容は、まず「軍事都市東
  京」として東京が軍事上の最重要拠点であった、という事をアピ
  ールし、さらに「南京大虐殺」や「朝鮮人強制連行」といった
  「日本軍の残虐行為」をアピールし、つまりは「日本政府が悪か
  ったから東京は大空襲を受けたのだ」と結論づける展示内容にな
  る予定だ、と記載されていました。

   私の住む富山県でも戦時中に富山大空襲があり、昨年も8月に
  この富山大空襲に関する集会が行われました。しかし報道によれ
  ばその集会の結論は「日本政府がポツダム宣言を早く受諾しなか
  ったから、富山市は大空襲を受けた。」というものだったようで
  す。このような本末転倒な見方は一刻も早く是正しなければなら
  ないのに、東京の「祈念館」の計画はまるで逆なのです。
  
   明らかな親中国派だったジョン・ラーベでさえ、南京戦におけ
  る民間人の犠牲者は多く見積もって1〜2万人と記しています。
  (まして貴HP79号に紹介の東中野教授の論文においてをや、です
  が) 一方、富山大空襲の犠牲者は約1万人です。もしどうして
  も「南京大虐殺」という表現を使うのであれば、富山の場合も
  「富山大虐殺」というべきです。そして東京、広島、長崎の場合
  はそれぞれ「東京特大虐殺」、「広島特大虐殺」、「長崎特大虐
  殺」と表現しなければいけないと思います。それが公平な立場だ
  と思います。
 
   石原氏にはぜひこれから頑張って欲しいと思います。(ついで
  ですが、私は大阪の横山ノック知事にも、「ピースおおさか」な
  る建物をすぐに閉鎖してほしい、と思っています。)

★編集部より 各地の平和記念館は、公費を使って偏向教育をし、
  さらにサヨク団体の利権が絡んでいるようですね。そのうちに本
  講座でもとりあげる予定です。東京の平和記念館はすでに都議会
  で当面の建設計画が白紙撤回されたようです。

   ご意見・ご感想をお送り下さい。本メールへの返信で届きます。
  都道府県(または国名)、年齢、職業、使用パソコン(Windows
  か、Macか)を明記下さい。紙面の都合で短くすることがありま
  す。採用分には、本講座平成9-10年度版総集編を贈呈します。


規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:1999-02-06  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。