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ブラット親爺のつっこみ映画評

ここ10数年映画館に行ったことがないブラット親爺が、DVDで観た泣ける映画、笑える映画、よーできた映画、しょーもない映画を関西訛りのつっこみを入れながら論じる格調高い(?)映画批評メルマガです。

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ブラット親爺のつっこみ映画評:フィッツカラルド

2005/06/06

                                  06/06/2005発行
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         ◇◇ブラット親爺のつっこみ映画評◇◇  

  フィッツカラルド Fitzcarraldo (1982) 西ドイツ  
  監督:ウェルナー・ヘルツォーク 
  出演:クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ 

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┃ネタバレになりそうな話の前には、◆◆ネタバレ注意◆◆がついてます。ま┃
┃だ、その映画を観てない人は、そこから先はすっ飛ばして◆解除◆の後から┃
┃読みませう。ただし、読める部分が残ってない場合があります。(^_^)┃
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エライもんにぶち当たってしもた。こーゆー常軌を逸した話は、おっちゃん大好
きなんや。それにしても、この映画の主人公をやってるクラウス・キンスキーは
型破りゆーか、奇才ゆーか、破天荒ゆーか、奇天レッツのパッパな個性やね。おっ
ちゃん、ジャック・ニコルソンをはじめ、ゲーリー・オールドマンやら、テレン
ス・スタンプやら、ショーン・ペンやら、ジョニー・デップなんかの曲者役者が
ご贔屓なんやけど、このおっさんは別格や。ものが違う。

アマゾンの奥地で船(ボートとかカヌーとちゃうよ、ディーゼルエンジンつきの
立派な汽船や)の山越えを敢行しよるんやが、なんちゅーても、その無謀としか
思えん「先住民多くして船山に登る大作戦」を実物大の船を使て実写で撮影した
ウェルナー・ヘルツォークゆー監督のこだわりも半端やない。

観てない人のために、ちょっと解説しとくと、南米アマゾンの都市マナウス(こ
の街ですらアマゾンの河口から1400キロも上流や)に「アマゾナス劇場」ゆ
ーオペラハウスがある。この劇場は19世紀末に天然ゴムで巨万の富を得た出稼
ぎヨーロッパ人の農園主たちが費用を出して建てたもんらしいが、今見てもなか
なか凝った内装や(ゆーてもおっちゃん写真見ただけやけど)。ところが、この
映画の主人公は、さらに奥地にもう一軒オペラハウスを建てるのが夢やった。

何しろ、このオペラハウスでやってるエンリコ・カルーソーのオペラ観よと思て、
何日も前に家出て、はるばる駆けつけた(漕ぎつけた)時には、ほとんど終わり
かけとったくらいで、えらい奥地に住んどるんや。そんな地の果てにオペラハウ
ス建てるためには、まず先立つもんが必要や。当時は天然ゴムが一攫千金の打ち
出の小槌やったんやが、近場の土地はすでに買い占められとった。そこで、アマ
ゾン川のボンゴの瀬(黒部川の上の廊下をスケールアップした感じかいな)ゆー
難所の上流の未開地に目ェつけよった。ここは天然のゴムの木ィがぎょうさん生
えてるらしいが、ボンゴの瀬が邪魔してて、せっかく穫ったゴムを船で下流に運
ばれへんので、誰も手ェを出してなかったんや。

この男、以前に手がけた鉄道事業が頓挫して破産してて、今は製氷業を細々とやっ
とる。それでも、窮すれば通ずゆーのんか、男の一念山をも越えるゆーのんか、
惚れた弱みゆーのんか、売春宿の女主人やってる愛人からなけなしの金借りて、
その土地の権利とおんぼろ汽船買い取って、奥地の開発に着手しよる。ここから
は、ほとんどプロジェクトXの再現フィルムみたいな感じやった。

上流の土地に行くには2つのルートがあった。この男の住んどる町の少し下流で
二股になって川が合流してるのやが、一方の川の上流には誰も寄せつけんボンゴ
の瀬がある。きっとこのおっさんも、その瀬の下まで船で行って、そこから高巻
きルート見つけるのやろと思てたら、もう1本の川の上流に向けて進んで行きよ
る。「そっちとちゃうやろ」、「そっちのみーずはにーがいぞー」と誰もゆーて
ないけど、ずんずん川を遡って行くんや。

この川の上流には首狩り族が住んどる。これまでも何人もの探検家が干し柿ちゃ
うちゃう干し首にされとるんや。普通は干し首ぶーらぶらのカットを挿入しそー
なもんやけど、この映画は先を急がなアカンから、そんな胡乱なシーンはカット
したった。ところで、干し首は『ハリポタ』にもでてくるけど、ソフトボール大
の大きさや。どーやったら、人間の頭部があんなにちっこなんねん?おっちゃん、
ガキの頃に、少年雑誌でその写真見て、夜うなされたわ。

この船には、酔いどれのコックのおっさんとその助手やゆー2人のおねーちゃん
が乗り込んどった。むさい男所帯に若い女がまじったらややこしなるのは火ィ見
るより明らかや。すぐに女の取り合いですったもんだし始めよる。普通はもーちょ
いここらのエピソードを描きそーなもんやけど、この映画は先を急がなアカンか
ら、そんな胡乱なシーンは思いっきり端折ったった。男2人と女2人に「さっさ
と船から下りんかい」ゆーて、とある村でほっぽり出しよる。こんな辺鄙なとこ
で「タクシー呼んでくれ」ゆーても、来んで。

さらに、川岸まで迫ってるジャングルの奥から不気味に轟くドラムの音の中を船
がしずしずと進んで行くんやけど、このおっさん、ドラムに対抗して、オペラの
レコード大音響で鳴らしよるんや。ゆーても、この前、奈良で捕まった「引っ越
せおばはん」のラジカセほどの大音響でなはない。この時代の蓄音機にはアンプ
なんかついてないからな。ま、それでも、鳴り物入りやから野球かサッカーの応
援合戦みたいな感じやった。(ちゃうかも。。。)

「うしろ見てみ」言われて振り返ったら、川面にぎょうさんのカヌーが浮かんど
る。いよいよ首狩り族の襲来か思て、おっちゃんまで首すくめたら、あにはから
んや姉はらまんや、なんか様子がおかしい。「よー来はったなぁ」ゆーほどでも
ないが、「何しに来たんじゃ」でもない。何となくクリスタルちゃぅ何となく曖
昧な雰囲気や。船に乗り移った先住民は、主人公と西洋式の握手するワケやない
んやけど、手ェにちょこんと触っていきよる。言葉も多少は通じるみたいで、何
となく殺される心配はなさそーや。

 さて、どーやって丸め込んだんか知らんが、先住民の全面的バックアップを得ら
れることになって、(どーも、ノーギャラのボランティアみたいやった。ここで
思い出したんやが、昨日TVで見てて、頭に来た事件がひとつある。なんと『募
金』の詐欺や。しかも、日当貰うて街頭で募金集めして、詐欺師の片棒担ぎしとっ
た学生がぎょうさんおったゆー話や。世も末やね。お前らには良心ゆーもんがな
いんか?)

 閑話休題、なんと驚いたことに、2つの川が接近してるところに仕切り板みたい
に立ちはだかってる山(ゆーか丘)の急な斜面を人海戦術で船引っ張り上げるゆ
ーんや。しかも、たまげたことに、そのシーンを実写で撮影したんや。これ、ド
キュメンタリー映画かいな? 

◆◆ネタバレ注意◆◆ここから先は、この映画を観よ思てる人は飛ばしてちょー
だい。なんとか一山越えて、もう1本の川に船が浮かんだときは、おっちゃん思
わず万歳三唱してしもた。さぁ、そこから話は急展開やのうて、急流下りや。先
住民のリーダー格の男が、夜陰に紛れて船の舫ロープ切ってしまいよる。船はゆっ
くり流れに乗って川を下り始める。しかし、みんな前夜の大盛り上がり大会の酒
で、文字通り白河夜船状態やから、気ィつかん。ついに、ボンゴに瀬に差し掛かっ
て、船はあっちこっちぶつかって沈没寸前や。

このシーンは、どーもミニチュアの船使てたんちゃうか?迫力不足は否めんな。
せっかく山越えさせた船やけど、ここでバラバラになってしもたら、ラストのカ
ンドー的なシーンの撮影ができんようになるしなぁ。ここは模型で茶ァ濁しとこ
かと監督が考えたとしても文句ゆー筋合いはない。そら、しゃーなかったんちゃ
うかと、おっちゃん、見終わってから一応納得したわ。

無事に瀬を乗り切って街に辿り着いたけど、計画としては失敗やった。しかし、
このおっさん、転んでもタダでは起きん。元の持ち主に船売った金で、一世一代
の大盤振る舞いしよった。あのラストは拍手喝采ゆー感じやった。◆解除◆

主人公の最大の理解者である売春宿の女主人役で、クラウディア・カルディナー
レが出てた。若い頃の彼女もよかったけど、中年の彼女もエエ感じやね。この映
画の頃で42〜3か。熟女フェロモンぷんぷんやけど、決して猥雑な感じはせん。
それにしても、あの熱帯特有の蒸し暑さの中で、コルセットで体締めつけてたら、
アセモだらけになると思うで。

主人公も白の麻っぽいスーツにネクタイ、帽子の正装や。着替え何枚も持って来
てる風でもなかったから、そら、汗臭いんちゃうか。水浴びしよ思て川に飛び込
んだらピラニアに大事なとこ噛みつかれるかも知れんしな。。。なんせアマゾン
なんやから。そうそう、このクラウス・キンスキーゆー怪優、あのナスターシャ・
キンスキーのお父ちゃんなんや。そーゆーたら、エキセントリックな光を宿す眼
元なんかよー似てるわ。

ま、この映画はヨーロッパ人の南米での悪行を描いたろと思て映画撮ってたワケ
やないから、アマゾンの自然破壊に対する糾弾とか、先住民への搾取とかの視点
はすっぽり抜けてる。ひたすら男の狂気染みた夢とロマンの映画やった。 

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