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ブラット親爺のつっこみ映画評

ここ10数年映画館に行ったことがないブラット親爺が、DVDで観た泣ける映画、笑える映画、よーできた映画、しょーもない映画を関西訛りのつっこみを入れながら論じる格調高い(?)映画批評メルマガです。

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ブラット親爺のつっこみ映画評

2004/04/02

                         Vol.064 04/02/2004
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         ◇◇ブラット親爺のつっこみ映画評◇◇  
 
   たそがれ清兵衛 (2002)日本
   監督:山田洋次
   出演:真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、丹波哲郎
 
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ネタバレになりそうな話の前には、◆◆ネタバレ注意◆◆がついています。まだ、
その映画を観ていない人は、そこから先はすっ飛ばして◆解除◆の後から読みま
しょう。ただし、読める部分があまり残ってない場合があります。(^_^)
 
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れ弱いので。。。(@。@;) f_f_cat@yahoo.co.jp

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先頃アカデミー賞にノミネートされて話題になった『たそがれ清兵衛』。山田洋
次監督初の時代劇とゆーことで期待したんやけど、結論から言うとなんじゃこれ?
まず、最後まで「がんす言葉」になじめなかったのがひとつでがんす。藤沢周平
の原作を先に読んでたんがまずかったのか、原作との違いばかりに目ェがいって、
映画自体を楽しめなかった。(そ-言えば『グリーンマイル』もスティーヴン・
キングの原作を読んでいたので、トム・ハンクスにちょっとカンクルーワ感があっ
たが、この作品ほどではない)原作のある映画は多かれ少なかれ主人公のイメー
ジと現実の役者のイメージの違いが気になるもんやが、しかし、今回は設定その
ものが思いっきり違うので、カンクル〜ワの連続やった。 主役の真田広之は下級
武士の感じをよく出してたとは思うけど。。。

もともと文庫本で36ページの短編やから、どうやって2時間の映画に引き延ば
すんやろと思ってたんやけど、別の2作品の設定も取り込んであり、時代背景も
幕末にしたらしく、こんなに違うストーリーにするんやったら、『たそがれ清兵
衛』とゆータイトルそのものもやめた方がよかったのではと、思ったほどやった。 

原作のある映画で原作との比較を云々することは不毛の論議やといわれるが、元
来藤沢作品は、武家物と市井の庶民物の2タイプがあるが、庶民物がどちらかと
ゆーと慎ましい、けなげ、切ない、やるせないといった話が多いのに比べ、武家
物は武士ならではのある種の潔い生き様を描く話が多い。この映画の場合、清兵
衛は潔いとゆーより、慎ましい、切ない側に偏った描かれ方で、侍の端くれとは
ゆーものの生活感覚はまったく庶民になっていた。(映画の中で百姓になっても
エエなんてほざいてたが、当時の身分社会の下では、武士は骨がらみに武士なん
やから、決してそんな風に清兵衛が考えるとは思えない。浪人中の武士が仕官で
きた後で、もう一度浪人暮らしに戻りたいとゆーのならあり得なくもないが。。。 

いや、待てよ。ひょっとして、無理矢理時代背景を武家の支配体制が疲弊してき
た幕末に変えたのは、この辺りの台詞にリアリティを持たせたかったからかも。
(小細工すんな)山田洋次は、庶民感覚を表現させれば名人級だから、庶民の映
画を撮る分にはええけど、下級武士とゆーても武士は武士。しかも足軽ではな
く、浪人でもない歴とした藩士なんやから、庶民の生き様とは自ずと違うはず。
事実、小説の清兵衛は病気の妻との二人暮らしで、妻の世話のためにアフター5
のつきあいを一切断って「5時まで男」に徹してたが、これはこれで結構きつい
生活なんやけど、なぜか屹然としたところがあって共感できた。

◆◆ネタバレ注意◆◆ところが、映画の清兵衛は、5年前に妻を労咳で亡くし、
幼い娘が二人もおって、痴呆症の老母までおる。シチュエーションとしてはより
やりきれない度が高い。妻の葬式代に金が掛かって、腰の物を売り飛ばしとる。
その上、娘二人に教育をつけさせるにも金が要る(なんか、山田洋次が無理に娘
に教育をつけさせてるって気がしたのは、果たしてわたしだけだろうか?)から、
つきあい酒なんか飲めないとゆー設定は現代のサラリーマンのつきあいに重ね合
わせてるのかも知れないが、なんとも貧乏くさい。幕末の田舎侍のつましい暮ら
しを描くことで、現代の浮ついた世相に警鐘を鳴らしたかったのかも。いずれに
しても、誤解を承知でゆーと、山田洋次のいけてないところ(なんとなく社会派)
がでた映画やった。◆解除◆

先日NHKで放送してた『蝉しぐれ』も、主人公の役者の年齢がやや高くてカン
クル〜ワやった(主人公以外にも、江戸に行って学問を積んだとゆー主人公の幼
なじみ役の役者が、ただへなへなしているだけでちょっともインテリジェンスが
感じられんでがっかりした)が、まだしもこの映画とは違って、基本の筋は原作
に準じてた。この映画で山田洋次が描きたかったんは、藩命とあらば個人的事情
は脇に置いて従わなければならないとゆー武家社会の非情さへの弾劾やったのか。
(ちょっとちゃうみたい)

◆◆ネタバレ注意◆◆あるいは、討たれる方の侍が「長い浪々の生活の末にやっ
と仕官が叶い、仕えていた上司のために懸命に働いたのに、上司が失脚したら自
分まで詰め腹を切らなければならないのか」とぼやく宮仕えの悲哀やったのか。
(これもちゃうみたい。しかし、この男はドメスティックバイオレンス男の飲み
友達とかで、最初にでてきたときからどう見ても敵役やった。でも、労咳で死ん
だ娘の骨まで囓らせたのはやりすぎちゃうか。。。)

さらに、この男が相当の遣い手とゆー設定になっていたが、立ち回りを映画のハ
イライトに据えるためにあえて屋内での立ち回りにしたのかも知れんが、リアリ
ティにこだわるんやったら、剣の腕前に自信のある侍が、決闘の相手が小刀の遣
い手であると知ってれば、長い刀が明らかに不利になる屋内での斬り合いを避け、
屋外へ走り出るもんやろと思う)◆解除◆

映画としてのつまらなさの最大の原因は、ストーリーに展開の妙がないこと。次
はどうなるのかとゆー期待感がまるで湧かん。前半で淡々と描かれる下級武士の
つましい日常生活と後半の凄絶な斬り合いとの間をつなぐ、清兵衛の刺客として
の葛藤の部分が充分に描かれてない。(小刀を研ぐシーンがそれやがなといわれ
てもなぁ。。。まだしもニキータの方がその辺はリアリティがあった)殴り込み
(おっと、これはやくざ映画じゃなかったっけ)に向けてのカタルシスちゅーも
んがない。加藤泰やったら、このシーンに一番力がはいるとこなんや。

◆◆ネタバレ注意◆◆討ち入り前に、幼なじみの出戻り女を呼びつけて支度を手
伝ってもらうなんて、そりゃあんまりや。話の展開として無理ありすぎなんとちゃ
うやろか。人斬りに行こかとゆーときに嫁はんでもない女と接してたらアカンで
しょ。なんぼ目ぇつぶってても、セント・オブ・ウーマンが鼻をくすぐるがな。
それ以外にもこの映画、ええかげんにせぇとつっこみたなるシーンが結構多かっ
た。エンディングでナレーションもしていた岸恵子が唐突に出てきて父母の墓に
手ぇ合わすシーンなんて、まるで寅さんのエンディングのお正月のシーンと同じ
やんかいさ。 ◆解除◆

清兵衛が風呂にもろくに入っていないらしいのはどうゆー訳なんや。娘が二人も
いて、従僕と下女までいるんやから、風呂ぐらい沸かしてもらえるやろに。家族
の者かって風呂に入りたいやろ。綻びだらけのボロを着て登城するってゆーのん
も、体面を大事にする武家社会で有りやろか。ちょっと呆けがきている母親でも
針仕事ぐらいはできるやろから、綻びだけでも縫ってもらっとけよ。月代を剃ら
んと登城してるのもどうやろ?下士といえども士分なんやから、あれではむさく
るしすぎるがな。娘が寺子屋に出かける時に「行って来ます」と挨拶するのんは、
やっぱり「行って参ります」やろ。江戸時代なんやから。宮沢りえがやもめの清
兵衛の家に頻繁に出入りするのも、時代背景を考えるとかなり変。でも、まぁり
えちゃんは、年相応の出戻りの年増の雰囲気が出ていて、ええ感じやった。

最後にもう一度結論を言うとこ。山田監督はん、頼むさかい藤沢周平の世界をちゃ
んと映像化してちょーだい。たそがれの景色だけやのうて。。。
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創刊日:2004-01-23  
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