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ブラット親爺のつっこみ映画評

ここ10数年映画館に行ったことがないブラット親爺が、DVDで観た泣ける映画、笑える映画、よーできた映画、しょーもない映画を関西訛りのつっこみを入れながら論じる格調高い(?)映画批評メルマガです。

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ブラット親爺のつっこみ映画評

2004/02/27

                           Vol.030 02/27/2004
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         ◇◇ブラット親爺のつっこみ映画評◇◇  
 
 彼岸花  (1958)日本 
 監督:小津安二郎
 出演:佐分利信、田中絹代、有馬稲子、山本富士子、浪花千栄子、
    佐田啓二、高橋貞二、桑野みゆき、久我美子、笠智衆  

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ネタバレになりそうな話の前には、◆◆ネタバレ注意◆◆がついています。まだ、
その映画を観ていない人は、そこから先はすっ飛ばして◆解除◆の後から読みま
しょう。ただし、読める部分があまり残ってない場合があります。(^_^)

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小津安二郎生誕100年特集の第2弾は『彼岸花』。この映画で特筆すべきは関東
と関西の女の社会的ポジションの根本的な違いだ。関東といっても東京の山の手
の住宅街。立身出世を夢見て国元を出て東京の大学に進学し、大手企業のサラリ
ーマンとなり、上司の紹介かなんかで嫁をもらい、一家を構えたオヤジたちの戸
建て住宅が武蔵野の面影が残る風景の中に並んでいたよーだ。住人は役人や丸の
内のビジネス街に勤めるサラリーマンが多く、しかも、当時の大手企業のサラリ
ーマンのオヤジはかなり気位が高かった(今でも国家公務員やら弁護士やら公認
会計士やら医者やらの国家資格を持ってる奴はえらそーにしとるかも知れんが、
一般企業のサラリーマンは腰が低なっとる)ようで、家父長制の名残が色濃く残っ
てた。家柄、職業などを鑑み、親がこいつならまぁ釣り合うやろと決めたお相手
と結婚すると、当然のように女は仕事を辞めて家庭に入り、慎ましやかな主婦の
座に納まるのが当然のとうちゃんやった。職業婦人は一段下に見られ、行かず後
家も同様。24才過ぎたら売れ残りと信じて疑わなかった。ほとんど藤沢周平の世
界やんか。(帰宅したオヤジが服を脱ぎ散らかし、嫁はんがそれをひとつずつ片
づけていくなんて光景は、わが家ではあり得ないが)

家長たる男親は、娘は自分のいいなりになるものと勘違いしていたが、戦後も13
年たったこの映画の公開当時は、強くなったのは女と靴下のたとえどおり、娘を
もつ関東の男親たちもそろそろ立場が悪くなりかけていたという設定だ。それに
比して関西(この映画の場合は京都)は、とっくの昔に女性上位社会になってい
たよーだ。この映画でも男の威厳は微塵も感じられなかった。娘にとって目の上
のたんこぶは父親ではなく母親。しかし、娘も母親の言いなりにはならない。そ
の内、母親が根負けするやろーと高を括っとる。 

◆◆ネタバレ注意◆◆ 某企業の重役の佐分利信の娘(有馬稲子はフランス人形の
ようにエレガントやった。あのころの女優はホンマ絵に描いたようなかわいらし
さやね)が自分で結婚相手を見つけてきたから、さあ大変。すっかりお父ちゃん
へそを曲げてしまいよった。絶対に許さん、結婚式なんかでるもんかと言っとき
ながら、他人の娘には理解あるおっちゃん面をしたもんだから、まんまと女性陣
の戦略にはめられて、しぶしぶ結婚を認めざるを得なくなるという、何のひねり
もないお話だ。 

しかし、ちょっと疑問が残る。有馬稲子の見つけてきた結婚相手が、大手企業の
堅気のサラリーマンで、いかにも好青年風の佐田啓二でなく、ちょっとニヒルで
女たらしっぽい優男だったら話の展開はこうはいかんじゃろ。向田邦子なら、ま
ず間違いなくこの手の女にだらしのない男を結構相手として出してくるだろう。
しかし、小津作品にそんなうろんな男はでてこない。バー勤めをしているという
笠智衆の娘(久我美子)が同棲している相手のバンドマンでさえ、エラく礼儀正
しかったくらいだから。。。これはこれでエエのんちゃうのんとおっちゃんも思
う。 ◆解除◆

もう一方の京女チーム(こっちの方が精神的には、私は私、あんたはあんたのパ
リジェンヌのようだが)の浪花千栄子と山本富士子の母娘は、ふたりとも早口の
京都弁でまくし立てよる。関東人の台詞がぶちぶちと切れる短い台詞ばかりなの
に比べ、こちらは立て板に水の長台詞で、京女といえば、はんなり、おっとりし
ていそうと勝手に思ってる関東人の先入観を見事に覆してくれる。この映画の見
所は、まさに京女の典型を見せたとゆーこと。もうちょいイケズの部分が表現さ
れててもよかったんちゃうかと、おっちゃんは思うけど。。。 

山本富士子が佐分利信を「おじさま」と呼ぶシーンが何度かあったが、あれはやっ
ぱり「おっちゃん」と呼ばなアカン。関西人はよほど知らない人の場合を除いて、
話し言葉としては、「おじさん」「おばさん」「おじいさん」「おばあさん」と
ゆー呼称を滅多に使わない。「おじさん」は「おっさん」、「おばさん」は「お
ばはん」と呼ばれることはある。この場合もけったいな「おっさん」とかややこ
しい「おばはん」とか、あまりいい意味では使わない。「おじさま」「おばさま」
は関西人のボキャブラリーにない。親しい間柄であれば、間違いなく「おっちゃ
ん」「おばちゃん」「おじいちゃん」「おばあちゃん」だ。小津は関東人だから、
「おっちゃん」ではやや品位に欠けるよーに感じたのとちゃうやろか。 

最近では次第に「お父ちゃん」「お母ちゃん」が駆逐され、「お父さん」「お母
さん」が主流になりつつあるようだ。「おとん」「おかん」よりはましだが、こ
れも時代の趨勢か。 
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