政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針5223 号  2019・11・9(土)

2019/11/09



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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5223号
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      2019(令和元年)年 11月9日(土)

          
           イエローとブルーの色分けで:宮崎正弘
                  
         反日韓国 親日台湾」由来は何か:渡辺利夫

     見たい 真っすぐな憲法論議:阿比留瑠比

                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

      

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イエローとブルーの色分けで
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)11月6日(水曜日)弐
         通巻第6264号 
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 「幸福の黄色いハンカチ」はハッピーエンドだったが。。。。。。。
   イエローとブルーの色分けで「親中派レストランには寄りつくな」
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「幸福の黄色いハンカチ」は高倉健と倍賞千恵子の大ヒット映画の題名。
なぜ黄色が幸せを象徴するのかは分からないが、そういえば月光仮面のマ
フラーも黄色だった。
ブルーリボンも、世界の著名な賞などでは使われる。拉致被害者救出の国
民運動も、ブルーである。

 香港では別の使い方が出現した。レストラン、カフェを「イエロー」と
「ブルー」に色分けし、およそ1700軒が「イエロー」。1300軒が「ブ
ルー」という識別である。SNSでその店別の色分けマップが表示される。

 民主抗議活動に支援する店はイエロー。親中派のレストラン、ケーキ屋
などはブルー。
「市民の皆さん、イエローの店で食事を、カフェを」と呼びかけられ、実
際にブルーが表示されると、そのレストランは閑古鳥のところが目立つ。

 最大マキシム集団(美心)の創業者の娘は「香港に未来はなくなった」
と最近、絶望を口にしているように同店経営のスタバなど、放火、破壊さ
れた店は多く、営業に直截な悪影響がでている。

 一方、この識別運動にみられるように香港の民主抗議勢力は、穏健路線
に戦術を変えたようである。

 第一に警察の弾圧の強化。無許可集会は暴力行為がなくても、いきなり
放水し、催涙弾を打ち込むようになった。訪中した林鄭月峨・行政長官が
上海で習近平にあって「励まされた」からだ。
 催涙弾には高熱250度という「武器」さながらの中国製が使われるよう
になり、ボランティア救護班のメンバーが背中に直撃を受けて大やけどを
負う事件もおきた。
深刻な負傷者が急増し救援費用がかかる。これまで香港警察が使用したガ
ス弾は英国製、放水車はドイツ製だったが、英独などが輸出停止措置を講
じたため、弾圧専門的な中国製を使うようになったからだ。

第二に11月4日までに民主抗議側で警察に拘束されたのが、じつに3332人
に達し、戦力が大幅に削がれたこと、これから始まる裁判費用、その前に
保釈金の募金活動など、デモ、集会一本槍の方針を修正せざるを得なく
なったからだ。

      
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■「加瀬英明のコラム」のメールマガジン ■
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人類史で不平不満がはじめて権利となった
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 私たち日本国民は、韓国で歴代の政権が反日感情を煽ってきたのに、困
惑しきっている。
 韓国政府や、アメリカ、オーストラリア、カナダなどに移住した韓国人
が、旧日本軍の慰安婦が「性奴隷(セックス・スレイブ)」だったと主張し
て、世界各所に「慰安婦像」を建ててきたために、日本が非人道的な国だ
とひろく信じられるようになっている。
 韓国のこの誹謗に対して、日本政府や、民間による反論が、不十分なの
かもしれない。
 河野洋平官房長官が慰安婦について故(ゆえ)なく謝罪し、日本を代表す
る(と信じられている)朝日新聞が、娘たちを拉致して慰安婦となること
を強いたという、捏造した報道を繰り返したとしても、どうして慰安婦が
「性奴隷」だったという嘘が、世界に受けいれられるようになったのだろ
うか?
 「反日」の日本人による「性奴隷」という造語が、人々のみだらな好奇
心をそそったのは間違いない。
慰安婦が「性奴隷」だったという韓国の訴えが、世界にひろまったのは、
今世紀に入ってから先進国において不平不満が権利だとみなされて、社会
を動かすようになったからだろう。
 人類は長い歳月にわたって、与えられた境遇に耐えたものだった。
 ところが、テクノロジーの恩恵によって、豊かさが爆発したように増し
たことによって、個人に何よりも高い価値が与えられ、人々が放縦で我儘
になった。
 そのために、人類の歴史ではじめて不平不満が権利として、認められる
ようになっている。
 
▲個人が王座についた
 
都会に住んでいると、誰もがかつての王侯貴族のような生活を営んでい
る。贅を極めているのに、贅に耽っているのに気付かないが、これほどの
贅沢はない。スマホを使って、世界中の料理が自宅まで届く。タクシーを
拾って、行き先をいえばよい。指先一つで、家電を動かせる。
 テレビによって、居間でバラエティー・ニュース・ショーをはじめとす
る芸能(おわらい)番組を楽しめる。
 あらゆるサービスが、身の回りにある。サービスserviceの語源は、
ヨーロッパ諸語のもとのラテン語で、奴隷を意味するセルヴスservusだ。
 今日、先進国に住む人々は、大勢の奴隷にかしづかれているのだ。それ
なのに、不満でいっぱいだ。豊かさと便利さが増すにしたがって、人々の
不平不満が増してきた。

 80年代が終わるまでは製造業が世界を制していたが、金融業によって
代られ、今世紀に入ってネットが普及したために、すべて個人の嗜好に迎
合するようになっている。産業革命は大量消費時代をもたらし、ネット革
命は個人を主役にした。
 
 ▲権利の概念が一変した
 
そのなかで、人々が際限ない欲望を満たす権利が与えられている、と思い
込まされて、権利という概念が一変した。
 10年ほど前から、アメリカで始まった女性たちによる「ミー・トゥ
#MeToo運動」が、そうだ。10年か、15年前にレイプされたと名乗り出
ることによって、有力者がつぎつぎ社会的地位を奪われている。
 レズビアン、バイセクシュアル、ゲイ、トランスセクシュアル、クイア
(変態)が差別を蒙ってきたから、社会的な権利を主張している。
 LGBTQ運動も、最近になって出現したものだ。アメリカ、イギリ
ス、ヨーロッパでは、新聞やテレビがLGBTQIと、Iインターセク
シュアルを加えている。
 個人が崇められる時代だ。個人は多様であるから、性的な嗜好までが細
分化されるようになっている。

「差別語」を排斥するのも、「差別」によって被害を蒙ってきたという
人々の地位を、向上させるものとされる。
 アメリカでは、リベラルなオバマ政権のもとで、ミスター、ミセス、ミ
スの呼称が男女差別に当たるから、「ミックスMX」と呼ぶように求められ
たし、「メリー・クリスマス」「クリスマス・ツリー」は、キリスト教徒
以外の者を差別するから、「ハッピー・ホリデイズ」「ホリデイ・ツ
リー」と呼ばねばならなかった。
 オバマ政権の最後の年には、大統領令によって、自分が信じる性によっ
て男女どちらの便所を使ってもよいこととなった。トランプ政権になって
撤回されたが、リベラルなカリフォルニア州などでは、「ジェンダー・フ
リー」(性差別なし)といって、便所に男女の区別がない。

 ▲不平不満が伝統社会を解体する

 この8月には、サンフランシスコ市議会が条例によって「マンホール」
のマンが女性を差別するといって、「メインテナンス・ホール」と、呼ぶ
ことを定めた。
 日本でも言葉狩りが猖獗をきわめ、女と帚が組み合わされているから差
別だといって、婦人警察官、婦人自衛官が、女性警察官、女性自衛官に改
められるなど、言葉の破壊が進んでいる。それなのに、厚労省が「妊婦」
「産婦人科」という言葉を使っている。どちらかにしてほしい。
 女権活動家が、妬む、妨げる、妖(あや)しい、嫌、姦、奴、奸などの字
が差別になるから廃止すべきだと、要求している。

 男女は体も、精神構造も違っているのに、差別することになるから「男
らしい」とか、「女らしい」といってはならない。男女を区別すると、差
別とみなされる。
 アントニオ・グラムシ(1891年〜1937年)といえば、イタリア
共産党の思想家だったが、グラムシの著書は1960、70年代の全共闘
世代の左翼のバイブルだった。
 グラムシは共産主義者だが、階級闘争によって歴史の必然として革命が
成就して、共産社会が実現するというマルクスの理論を否定して、先進国
において豊かさが増してゆく結果、社会集団が解体して、革命への自覚を
欠き、組織されることがない一般の人々に移ることによって、国家が消滅
してゆくと説いた。
 グラムシはネオ・マルキシストと呼ばれているが、在来文化の鎖によっ
て縛られてきた社会集団が、個人に高い価値が与えられることによって、
解体してゆくと予見した。

▲巨大な不平不満産業の登場
 
日本でも、不平不満によって、社会を統べてきた慣習が力を失いつつある。
「セクハラ」「パワハラ」「人種差別」「男女差別」「過ぎ去った歴史」
から、「気候変動」まで、不平不満の種でいっぱいだ。
 私は地球温暖化が、人間の活動によってもたらされていると、信じない。
 気象変動は地球を見舞ってきた、自然のサイクルによってもたらされて
いる。
 二酸化炭素(CO2)が目の敵(かたき)にされているが、CO2が増え
れば、かえって緑化が進むことによって、作物の増収がもたらされる。
 マスコミが北極の白クマの数が激減しているとか、北極の氷が急速に溶
けていると、報道している。テレビが気の毒な白熊の映像を放映して、
人々の同情をそそっている。
 事実は、白クマの個体数は増えており、体重も増している。北極の氷も
科学的なデータによって増えていることが、証明されている。
 そのために、クリントン政権のアルバート・ゴア元副大統領をはじめと
する、地球温暖化に反対する闘士たちが、白クマや、北極の氷を、温暖化
の例として用いなくなった。
 ところが、気候変動をはじめとして、人々の不平不満を煽ることによっ
て、マスコミや各種団体が、巨額の金儲けをしている。
 この裏では、仏教や、キリスト教などが説く、世界の恐ろしい終末観が
手助けをしていよう。
 不平不満が権利となったために、不平不満が巨大な産業となっている。
不平不満が人々を元気づける。かつてなかった現象だ。
 韓国が、旧日本軍の慰安婦が「性奴隷」だったと言いふらして、成功し
ているのは、このような背景があるからだ。 
                 (かせ・ひであき氏は外交評論家)
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  読者の声 どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)「朝鮮通信使」について。
 石平氏『朝鮮通信使の真実』への書評(11月4日)で感じたことを書
きます。7年前、釜山文化財団が主催した「朝鮮通信使シンポジウム」に
参加しました。その際、韓国の歴史学者が「江戸期の朝鮮通信使には、朝
鮮が日本との関係を改善することにより大陸の圧力を緩和したいという地
政学的な意図があった」と発言し、驚きました。
 日本ではあまり聞いたことがない視点だったからです。
 その結果かどうかは分かりませんが、200年間、東アジアは相対的に
安定した時代であったと思います。朝鮮にも日本にも様々な考え、意図が
あったのだと思います。今も、複雑な政治情勢の中で、様々な「朝鮮通信
使事業」が続けられています。
 内容も担い手も多様であり、私もその一つに関わっています。
 韓国の人々が「親日」「日本との連携」を主張しにくくなっている中
で、「朝鮮通信使」は日韓連携の代名詞となってきたように思います。民
間同士の親しいつながりは今後とも大切にして行きたいと考えています。
   (木谷正道)

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(読者の声2)小泉「大臣」の英語について、少し述べさせていただきま
したが、要人の英語力という点では、日米開戦時の野村駐米大使が行った
ハル長官との対話は、英語力がネックになった面があることは有名ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=E-4HsMuZDG0

 上記で聴いても、この野村吉三郎氏の英語発音は完全な日本人英語で、
これでは、通訳抜きでの会話は危険だったでしょうね。
 英語力があった来栖大使(夫人が米国人)を重任させるという異例の措
置も当然だったでしょう。
 なお、吉田茂元総理の英語スピーチもビデオで聴いたことがあります
が、元駐英大使という割には、それほど流暢とは言い難いように私は感じ
ました。
 その他、海外で駐在日本大使のスピーチを聴いたこともありますが、そ
の際も、私は、流暢とは言いかねると感じました。
 小泉大臣殿がどれほど立派な英語力をお持ちなのかは知りませんが、英
語による公式発言は、原稿をほぼ丸暗記するか、原稿を見ながら行うもの
に限定することが賢明なのではないでしょうか。
 英検1級や通訳案内士の2次口述試験を受けた際の他の方のスピーチを聴
いても、しょせんは、ほとんど暗記したものをオウム返ししているという
程度です。完全な帰国子女でバイリンガルならともかく、また、相当の集
中力で学んだ少数例外の方(悪く言えば「英語だけ」の方)はともかく、
日本人が国内で学んで到達できる英語力のレベルは、海外要人と重要な内
容の「公的」会話をできるほどのレベルだとは私には考えられませんね。
これは私の僻みと偏見かもしれませんが。
  (椿本祐弘)

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(読者の声3)先週、仕事でセミナーのためパリにいました。パリのチャ
イナタウンは13区が有名ですが、18区19区にもありますね。
 18区モンマルトルの街角にある案内地図盤をボ〜っと眺めていたらネ
クタイ・スーツの60歳代位の口髭のある立派な紳士がにじり寄ってきて、
なんと私のウエストバックを狙ってスリ未遂。気配を感じ身をよじると、
一瞬、苦虫を?み潰したようなプロのスリ紳士の表情が印象的でした。く
わばらくわばら。
 18区から20区のパリの北東側周辺を歩いたせいもあって10余年ぶ
りのパリの移民難民の増え具合いは、やはり想像以上でした。
   (KU生、杉並)

   ♪
(読者の声4)英語論があるので小生も一言。私は通常の受験英語しか
やっていませんが、学生時代2ヶ月ほど米国旅行をしました。
聴きとりが苦手でした。その後外資系の企業に転職したので、英語会話学
校へ通いました。すると外国人の同僚から進歩したね、と言われました。
その程度の体験ですが、わかったことは、英語は色々あるということです。
まず日本語と同じで公的、私的な表現がある。大人の席で高校生英語は不
可です。次に、地域です。
インド人の同僚の英語は、ご存じのように強い癖がありますが、これが良
く通じる。大きなパーティーでもジョークを紹介して受けていました。ま
た英国の会議では米国人が英語が不得意というのにはおどろきました。ド
イツ系などの米国人でした。英語は英国人のものという意識があるので
しょう。
結論は、英語は日本人にとって道具です。
だからまず話す内容の思考力や知識の内容を豊かにすることでこれは日本
語の勉強です。次は必要になったら英語学校で勉強です。というのは、英
は使わないと樹木の様に葉っぱや枝がなくなります。使えばまた復活します。
それから、白人慣れは必要と思います。本当はただの人間ですが、見慣れ
ないと外見に気を取られるからです。英語は若い時に名文の一節を暗記す
ると知的な財産になるでしょう。
小生も中学時代に暗記させられた英文の一節ワンスアポンナタイム・・・
が今でも出てきます。


         
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反日韓国 親日台湾」由来は何か
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          渡辺利夫

韓国が反日的である一方、台湾が親日的なのはなぜか、としばしば問われ る。“日本が両者と関わるようになった近代史の起点を振り返れば理解で きますよ”というのが私の答えである。

 ≪近代史の起点振り返る≫

 日清戦争での勝利により清国から割譲された海外領土が台湾である。日 本が台湾に足を踏み入れた時点、この島に住まっていたのはマレーポリネ シア系の原住民と対岸の福建・広東から移住してきた言語と習俗の違う諸 群族であり、台湾は典型的な異質社会であった。群族は原住民を山間地に 追いやり相互に耕地と支配権を奪い合う殺伐たる状況下にあった。「分類 械闘」といわれる。分類とは原籍を異にする者、械闘とは格闘、闘争のこ とである。コレラ、ペストなどの熱帯病も蔓延(まんえん)していた。

 清国は1684年に台湾を福建省台湾府として自国領とした。しかし台 湾の開発には関心がなく、天子の徳の及ぶことのない蕃地(ばんち)「化 外の地」として放置した。日本が新たに領有することになったこの島には 政治も社会統合も不在であった。統治開始のためには、清国兵と現地住民 よりなる反日武装勢力、「土匪(どひ)」と呼ばれるアウトロー集団を排 除しなければならない。日本は台湾で「もう一つの日清戦争」を戦わざる を得なかった。その制圧に成功した日本を待っていたのは、社会の末端を 深く冒していた熱帯病と「アヘン禍」であった。台湾は文字通り「難治の 島」だった。台湾の開発が軌道に乗り始めたのは、総督・児玉源太郎、民 政長官・後藤新平が着任して以降のことである。

 台湾には日本が継承すべき歴史や文化は何もなかった。しかし、このこ とは初期の難題を克服すれば、その後の開発を遮るものがなかったことを 意味する。実際、児玉と後藤は自ら描いたデザイン通りに開発を進め、全 島の隅々にわたる社会統合を史上初めて実現することができた。以来、第 二次大戦での日本の敗北による「台湾放棄」に至るまでの間に、日本が台 湾に根付かせたものが、日本の社会秩序と社会規範であった。

 ≪支配エリート「両班」の観念≫

 台湾放棄の後、台湾を占領した国民党の苛烈な政治、38年に及ぶ戒厳 令下で、日本時代の社会秩序と社会規範は崩れ去ったかにみえたが、李登 輝氏による民主化の時代に入るとともに記憶が鮮やかに蘇(よみがえ) り、台湾アイデンティティの淵源(えんげん)となった。

 対照的に朝鮮はどうか。日本の統治が朝鮮に及ぶ以前の500年余、朝 鮮は李朝と呼ばれる厳たる王朝国家であった。この時代に支配エリート 「両班」の中に強い観念「小中華思想」が刻み込まれた。形式上は清国に 「事大」するものの、中華の本流は満族の征服王朝・清朝にではなく、実 に「我に在り」と考えられた。中華より中華的なるもの、中華をより純化 したものが朝鮮の小中華思想である。日本は小中華の埒外(らちがい)、 朝鮮よりはるかに劣る道徳も正義もない「蛮夷」とみなされた。あろうこ とか、朝鮮はこの蛮夷・日本に併合されたのである。

 李氏朝鮮は朱子学を原理とする圧倒的な専制国家であった。妻は夫に従 い、子は親に従い、身分の低いものは高いものに従う。この血族道徳が政 治道徳となっては、民は王を取り巻く支配エリートに盲従する以外に生き る道はない。

 血族社会原理が政治統治原理となれば、これはもう一元的専制主義と同 義である。この時代の朝鮮には「奪う者と奪われる者」しか存在しなかっ た。この間、中産階層が生まれることはついぞなかった。ここに身分制の 廃止、私有財産の不可侵、契約自由の原則などを持ち込んだのが日本で あったが、これは支配エリートには既得権益の侵害以外の何ものでもな かった。日本統治は彼らには心底受け入れ難いものであった。

 ≪日本のなすべき外交は≫

 大戦敗北により日本が統治を放棄、韓国の「光復」がやってきた。しか したかだか36年の統治により500年以上も続いた観念が払拭されるは ずもない。現在の韓国の知識人、左派政治家、官僚エリートはその観念に おいて紛れもなく新しき両班なのであろう。統治時代の「対日協力者」が 清算されず、独立運動家たちは建国の主役になれなかった。新たな権力者 となった李承晩や朴正煕は反共主義者として朝鮮分断の道を歩み、自らを 侵した日本、日本と同盟関係にある米国と手を組んで大韓民国を作ってし まった。これは道義において許し難い。文在寅氏の感覚はそういうものに 違いない。

 反日の旗を降ろすことは自らの正統性を棄却するに等しいのであろう。 エリート達は韓国は「間違って作られた国」だと考えていると李●薫教授 は指摘する。そうに違いない。「過去史清算」とか「積弊清算」とかいう 物言いは、そういう彼らのセンチメントを政治用語化したものなのであろう。

 日本は韓国には客観的事実を伝えるだけでいい。他方、台湾にはその親 日感情に甘えるのみでいいのか。なすべき外交をなさないでいいはずがな い。(わたなべ としお)

●=火を横に二つ並べ下にワかんむりに水
【正論】「 拓殖大学学事顧問・ 2019.11.6

松本市 久保田 康文さん採録 

     

      
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見たい 真っすぐな憲法論議
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阿比留瑠比の極言御免】見たい 真っすぐな憲法論議  令和元年 (2019)11月7日


ああ、この人も憲法9条を改正して自衛隊を明記することを主張してい たっけー。そういえば、かってはタカ派のイメージがあり、共産党に 「ファシスト」呼ばわりされたこともあったなと感慨にとらわれた。今で は共産党との共闘にも何の抵抗もなさげな国民民主党の重鎮、小沢一郎衆 院議員のことである。

自衛隊明記論は共通

小沢氏が平成5年3月に出版した『日本改造計画』を久しぶりに手に取 ると、憲法9条の1項と2項はそのままに、新たに第3項を付け加える案 を披露していた。例えば次のような条文を追加するのだという。

「ただし、前二項の規定は、平和創出のために活動する自衛隊を保有する こと(中略)を妨げない」

小沢氏の案は、自衛隊を国連待機軍とし国連に提供して海外で活動させる ことが目的なので、現在の議論とは論点が異なる。とはいえ、憲法解釈を めぐる不毛な議論に決着をつけるという狙いは、安部晋三首相と自民党が 提唱する自衛隊明記論と共通する。

自民党憲法改正推進本部が30年3月にまとめた改正9条のイメージは、や はり1、2項は残したうえだこんな条文を「9条の2」に加えるというも のである。

「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つた めに必要な自衛の処置をとることを妨げず、そのための実力組織として (中略)自衛隊を保持する」

また、小沢氏は同書にこうも記している。

「憲法は不磨の大典ではない。私たちが楽しく豊かに暮らすための基本的 なルールである。私たちを取り巻く環境が変わり、私たち自身の必要や要 求が変われば、憲法も、時代の変遷とともに姿を変えるのは当然のことだ」

全く異論はない。至極ごもっともというほかない。それなのにどうして、 国会での憲法論議に野党は後ろ向きなのか。

枝野氏の私案には

立憲民主党の枝野幸男代表の姿勢も奇異である。これまで安倍政権によ る「憲法9条改悪」は許さないと強調してきたが、もともとは9条改正論 者であり、集団的自衛権も認めるべきだと主張していた。

例えば月刊『文藝春秋』25年10月号に寄せた論文「改憲私案発表 憲法9 条 私ならこう変える」では、現行9条にこんな「9条の2」の条文を加 えることを提言している。

1項  「我が国に対して急迫不正の武力攻撃がなされ、これを排除する ために他の適当な手段がない場合においては、必要最小限の範囲におい て、我が国単独で、あるいは国際法規に基づき我が国の平和と独立並びに 国及び国民の安全を守るために行動する他国と共同して、自衛権を行使す ることができる」

枝野氏が主張しているのは限定的な集団的自衛権の行使そのものである。 これは安倍政権下で成立した安全保障関連法と似通っているが、それでは 一体なんのために安保関連法にあれほど強硬に反対したのか。

さらに、同論文には「そもそも、こうして個別的か集団的かという二元論 で語ること自体、おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政 治家や学者くらいでしょう」とも記しているではないか。

安倍政権の邪魔をするためなら、自身のかつての政策や考えも投げ捨て、 反対のための反対に徹する。筆者には、それが野党の役割だとは到底思え ない。

醜聞や揚げ足取りではない野党の仕事を見てみたい。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



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賀茂真淵 〜 歌を学べば
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1分で読む日本の思想(22) 賀茂真淵 〜 歌を学べば上代人の素直な真心 に帰れる

■■ 転送歓迎 ■■ No.2929 ■■ R01.11.8 ■■ 7,773部■■

 四十二歳にして江戸に出て学塾を開く。『万葉集』を中心に古典の研究 に励むなかで門人も増え、やがて八代将軍徳川吉宗の次男である田安宗武 の知遇を得て、その庇護のもとに古典を研究した。

かくて『万葉集』の講読を広めるとともに、自ら歌詠を深めるなかで「言 辞公言葉)のまこと」は上代の心と詞にこそあると確信し、『冠辞考』 (枕詞の辞書)や『万葉考』などを著し、国学の進展に大きな足跡を残し た。六十八歳の秋、居宅を移して県居と称し、歌論などを次々に著すとと もに、その詠歌は『賀茂翁歌集』としてまとめられた。

 晩年に書かれた『にひまなび 新学』は、新たに歌学を志す人に示した 書であるが、その中で当時の歌風であった言葉のもてあそびや弱々しさを 排し、「天地のままなる」「高く直く」「雄々しき」心を詠った『万葉 集』を重んじた。ことに古代の雄渾な歌の調べを「ますらをの手振り」と 呼んで尊んだことは有名である。

さらに、「古への歌は万(よろず)の人の真心なり」、「後の世の歌は人の しわざなり」と記し、万葉の歌にこそ人の真心が示されており、後世の歌 は人為のしわざであって、まことの歌ではないとした。ことに「人麻呂の 歌は、勢ひはみ空行く龍の如く、言は海潮の湧くが如し」と絶賛し、後世 にあって古代人の真心のままに表現したのは鎌倉の右大臣(源実朝)の歌 であると世に知らしめた。

『うたごころ 歌意』は真淵の代表的歌論であるが、『万葉集』に歌の起 源をたずね、もとは素直であった人間が、時代を経て心も詞も乱れていく 姿を批判しつつも、思いを振い起こして古に学べば、ふたたび上代の清ら かな心に帰ることができると述べるとともに、自ら和歌を詠む体験を通し てこそ上代人の素直な真心に自然に帰り、尊い祖神(祖先の神)への道に つながるとし、詠歌の大切さを強調している。


そを一度悪ろしと思はん人、何ぞやよき方に移ろひ返らぎらん。然か心を 起して、古の八咫鏡にあさなあさな向ひ、陰高き千もとの花に、ひとしく 交りつゝ、其の形、其の色に似てしがもと乞ひつゝ、歌をも文をも取り成 して見よ。もとの身の、昔人に同じき人にし有るからは、然か習ふ程に、 心は磨ぎ出でたる鏡如なし、詞は薮原を過ぎて、隈無き山の花とこそ成りなめ

【訳】
そのようになったのを一度悪いと思った人がいても、どうしてその人が良 い方向に移り返っていかないことがあろうか。必ず良い方向に変わるはず だ。そのようによき方に帰ろうという心を起こして、古の八咫鏡のように 清らかな心に毎朝向かい、木陰の高い木々の花に親しみ交わり、その形や その色に似たいと願いながら、歌を詠んだり文を書いたりしてみなさい。
もともとは、昔の人と変わりない人間であるからには、そのように古典に 親しみ習ううちに、必ず心は磨きあげた鏡のように清らかになり、詞は薮 の原を過ぎてけがれのない山の花のようになるだろう。

            
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重 要 情 報
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◎我が国は性善説を信奉する世界にも希な存在:前田正晶

渡部亮次郎氏主宰の「頂門の一針」第5222号に加瀬英明氏が「無防備でお 人好しのままで」と題して投稿してこの点についても言及しておられるの で一部を引用してみよう。

>引用開始
無防備でお人好しのままでは日本の独立と安全は守れない

「オレオレ詐欺」をはじめとして、電話を使って高齢者を騙す詐欺が、あ とを絶たない。

あれほどテレビが注意を促しているというのに、詐欺犯から電話がかかる と、警戒心をいだくことがなく、罠にはまってしまう。

これは日本が諸外国と異なって、人々が信用しあう“和の社会”であって、 人に対する性善説をとっているからだ。

日本は人口が1億2000万人もあるのに、国民が同質だと信じている国 は、他にない。

日本のように外国について、性善説をとっている国も、他にない。

(以下略)
<引用終わる

この加瀬氏の指摘は私が長年主張してきたこと同じ意味だと思って読ん だ。それは、我が国では多くの人々が言わば純真無垢に過ぎて外国人(中 でも白人)は優れており、非常に善意に溢れた存在の如くに尊敬する傾向 があることを、余り好ましくない思い込みに過ぎないと思っているからで ある。私は単に22年以上にも及んだアメリカ人の会社に勤務した経験だけ のみからだけではなく、我が国以外の国には性善説は通用しないという例 を数多く見てきたから、外国人を見ればその性は悪ではないかと疑うべき ではないかと看做すようになったのだった。

我が国と同様に外国人にも悪い人はいないと見ることを必ずしも悪いと は断言できないが、加瀬氏が指摘されたような視点で外国人を見る必要が あると思っている。我が国では性善説を無邪気に信ずるが故に「外国から の観光客を3,000万人では飽き足らず4,000万人も誘致しよう」などという 方針を政府が打ち出しているのは、誠に危険だとしか思えないのだ。手近 な例では京都における韓国客の傍若無人な振る舞いなどは未だ未だ生易し いことで、我が国の近隣だけを見ても我が国の安全保障に対してどれほど 危険な国があるかを考えて見れば直ちに解ることだ。

それのみならず、常に指摘し続けてきた例にはここ新宿区百人町に巣食 う我が国をカモにしているといえば語弊があるかも知れないが、少なくと も食い物にしているアジアやイスラム教圏の諸国の連中を見れば「彼らが 我が国の性善説信奉を良いことにして付け込んでいる」のは自明の理では ないのか。あの偏向気味のTBSの「報道1930」でさえ、7日には習近平主席 を国賓として迎えることの是非を採り上げていたではないか。10数名もの 同胞が有罪宣告されたり、如何なる理由かも告げずに拘束されている事実 を指摘していたではないか。

私は我々国民のみならず、マスコミのこの辺りで一度立ち止まって「性 善説信奉」の是非というか損得をジックリと見直しても良い頃だと主張し たいのだ。恐らく、多くの我が同胞は自分たちが性善説信奉者だとは自覚 していないだろうし、外国人を見たら「その性悪なりと思うべきだ」など とは考えられないだろう。私流に言えば「そのような綺麗さというかフェ アープレー尊重の姿勢というコインの裏側には、予期せざる危険も害毒も ある」ということだ。崇高な存在の如くだと見ていたIOCは、アッサリと マラソンと競歩を札幌に移せと抜き打ち的に通告したではないか。



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身 辺 雑 記
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9日も快晴。

8日の東京湾岸は快晴、爽快。いうことナシ。

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