政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

全て表示する >

頂門の一針5212 号  2019.10.29(火)

2019/10/29

 

□■■□──────────────────────────□■■□
 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5212号
□■■□──────────────────────────□■■□

        
       2019(令和元年)年 10月29日(火)



         世界では大きなイベントがあった:宮崎正弘

             「わが祖国」スメタナ:渡部亮次郎

   文在寅打倒なるか、保守のデモが街を埋めた:櫻井よしこ

                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

         御意見・御感想は:ryochan@polka.plala.or.jp

                購読(無料)申し込み御希望の方は
        下記のホームページで手続きして下さい。
  
       http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm
    バックナムバーは http://www.melma.com/backnumber_108241/
    ブログアドレスは http://chomon-ryojiro.iza.ne.jp/blog/




━━━━━━━━━━━━━━━
世界では大きなイベントがあった
━━━━━━━━━━━━━━━
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)10月28日(月曜日)
         通巻第6253号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日本では報道されなかったが、世界では大きなイベントがあった
ロシアはアフリカ会議、北京は軍人スポーツ國際大会、インドネシアでは
*********************************

シリア北部でISの指導者バグダディが自爆した。カリフォルニアでは未 曽有の山火事が続き、カタロニアでは独立運動の抗議活動が暴力化している。
 
10月23日からソチにおいて、プーチン大統領は「ロシア・アフリカ会 議」を開催し、シシ(エジプト大統領)ら元首クラス43名(加えて副大 統領クラスが11名)が参加、熾烈な巻き返しぶりを示した。

アフリカに猛烈に食い込んだ中国を脅威視している欧米は、梃子入れに懸 命だが、投資額が追いついていない。その上、とくに欧州各国(英国、ド イツ、仏蘭西、ベルギー、スペイン、伊太利亜)は、かつてこの地を植民 地支配したため、反西欧の思想に直面する。コンゴ、ルアンダなどでは新 人の中国が内政干渉せず、人権も言わないので、すごく相性が合うからだ。

米国はアフリカの梃子入れを図るが、それほどの熱意もなく遅れており、 そこで日本が米国に押されたかのように、アフリカへの大々的な梃子入れ を行ってきた。日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)は第七回目の 大会を2019年8月に横浜で開催し、53ヶ国参加のうち、42ヶ国の 元首クラスが来日した。

こうした動きを横目に中東での影響力を回復し、シリア、トルコを梃子に 米国へ挑戦したプーチンは、ここでアフリカへの再接近を試みる。外交の 転換である。

同じ頃、習近平が久々の笑顔で式典にあらわれた。世界軍人スポーツ大会 が北京で開催されたのだが、軍人チームを派遣したのがロシア、北朝鮮。 そして韓国。西側からはアメリカ、インドが主力だった。スポーツを通じ ての軍事大国との交流を始めた中国の狙いは奈辺にあるのか

ついでジャカルタである。

ジョコ大統領の再選、大統領就任式は10月20日だった。後ろ盾のメガ ワティがでんとひかえる中、式典にはシンガポール首相、ブルネイ国王、 カンボジアの独裁者にくわえて、ここに来日直前の王岐山の姿があったの だ。王岐山は天皇陛下との会見時と晩餐会に人民服であらわれた。ジャカ ルターバンドン間の新幹線を日本から横取りしておきながら、完成とされ た2019年にまだ殆ど進んでいない。インドネシアは中国に大きく失望 しているが、それにもめげずに、中国はインドネシアへ熱烈接近を続行し ていることは注目を置いておく必要がある。

  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
10 年に亘った研究と取材の結晶。中国の大プロパガンダ作戦の実態と挫折
パンダ・ハガーの退場の切っ掛けは「ブーバー報告」。その原典が本書だ。

  ♪
何清漣、福島香織訳『中国の大プロパガンダ ――おそるべき大外宣の実 態』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

オバマ時代まで米国の対中政策を操った「パンダ・ハガー」(愛中派)ら が敗れ去った。替わって「ドラゴン・スレーター」(龍処刑人)が、米国 の対中国交の主導役となった。

このトランプの対中外交転換に強い影響力を持ったのは「フーバー・レ ポート」(詳細は本書参照)だった。

その原典とも言えるのが、本書の前身レポートである。

何清漣女史は在米のジャーナリストとして数多い作品を書かれている。し かも主要な作品の殆どは日本語訳されている。
チャイナ・ウォッチャーのみならず、一般読者の興味をぐいと掴んで放さ ない魅力とは、彼女の情報分析の冷徹で慧眼な視点が、所謂「ジャーナリ スト」的でありながらも、独自の研究に裏打ちされているからだろう。

予言的性質を帯び、読み出したら最後まで一気に読んでしまわなければ納 まらないほどのダイナミックな筆力がある。

福島さんの翻訳もそれに輪をかけてダイナミックだ。

中国は2009年から、450億人民元(8000億円強)もの天文学的 巨費を投じて、対外宣伝作戦をはじめた。

なにしろ「中国にとって報道とはプロパガンダのことだ」。

世界各地で展開した政治宣伝作戦の詳細は、米国を例にしてみると、 NY42丁目のタイムズスクエアの電子広告板(液晶ビジョン)を借り上 げ、米国の新聞に『チャイナ・ディー』(英語版の人民日報のような宣伝 紙)の折り込みを入れ、あるいは紙面に挿入させるという大胆な手法で、 米国にチャイナロビィを形成し、多彩で幅広い領域へと、プロパガンダ作 戦を拡大した。この侵略的な宣伝戦争をペンス副大統領は演説で指摘した (18年10月4日)。 

新聞記者、学者、政治家の籠絡も派手に展開された。有力な大学には北京 語を教えるとした孔子学院をつくった。

議会人にはあご足つき、ときに美女付きの招待旅行を次々と繰り返し、他 方、シリコンバレーなどでは高給で釣って優秀な人材をスカウトし、中国 のハイテク向上に役立てた。

何も対応策を採らず、指をくわえて見ていたのは歴代政権だったが、クリ ントンとオバマ政権幹部もまた中国マネーで薄汚く籠絡されていた。

ロスアンジェルスタイムズは怪しげな華僑の資力によって買収された。こ の手法は香港と台湾でも、あらかたの新聞、ラジオ、テレビ、出版社が中 国の資力によって陥落した。

香港の出版界の実情と言えば4分の3の出版社が中国資本となり、中国共産 党批判の書籍は書店には並んでいない。辻々の屋台で売っているという有 様なのである。評者(宮崎)、今月初頭にも、銅鑼湾書店はどうなった か、見に行ったのだが、シャッターが降りて鍵がかかったままだった。

かつては良心的と言われた『星島日報』や『明報』もじわりと真綿で首を 絞められるように代理人を通じて中国資本が入り、論調が変わってしまった。

しかし「これら新聞(『大公報』を含めて)の香港に於ける信用度はきわ めて低く」(160p)、香港の人々からまったく信用されていない。 「親共メディアは読む人などいない」(188p)。

▲シンクタンクも学者もカネに弱かった

ワシントンの「Kストリート」というのは、ロンドンにあった「軍艦街」 とは異なって、政治ロビィストとシンクタンクの集中地区である。(ロン ドンの「軍艦街」は政府批判を吠えるような論調の新聞社が並んでいた時 代に、そう愛称された)。

このKストリートの保守系シンクタンクにも中国資金がぶち込まれた。
中国は、「委託研究」とかの名目で、あらかたのシンクタンクに法外な研 究費を資金提供し、事実上、研究員を間接買収し、中国贔屓の提言を作成 させたのだ。

Kストリートがワシントンの政策決定を動かし、ウォールストリートが米 国経済を動かし、メインストリートが、米国の支配層を領導する図式があ るからだ。Kストリートの保守的なシンクタンクですら一時期の中国批判 色は希釈される始末だった。

2015年までの米国は、取り憑かれたようにチャイナ礼賛が続いてい た。いったい何事が起きているのか、訝った人も多かっただろう。
何清漣女史はこう指摘期する。

「ワシントンのシンクタンクが外国政府から大量の資金提供を受け、ロビ イ機構に成り下がっており、米国官僚にその国に有利な政策を推進させて いた」(264p)。

 中国の米国メディアへの浸透、ロビイストたちの籠絡、そのうえアカデ ミズムの世界への乱入があった。

こうした「紅色浸透」によって、オバマ政権下では「G2」が叫ばれた。 ズビグニュー・ブレジンスキー(学者、カーター政権で大統領安全保障担 当補佐官)やロバート・ゼーリック(元世銀総裁)が声高に提唱し、「世 界を米中で分かち合う」などと中国高官らは高らかに言い放っていた。
中国の「紅色浸透」は映画界にもおよび、嘗てさかんだった反中映画は鳴 りを潜めた。かわりに南京大虐殺があったとする反日映画。出版界でも 「レイプオブナンキン」というフェイク文書が老舗ペンギンブックスから 出されたばかりか、いまも売れているのは、組織買いである。

日本ではどうかと言えば、中国は別にカネを使わなくても、日本人の政治 家も新聞記者も、尻尾をふってやってきた。このチャイナの傲慢はいつま で続くのか、懸念が拡がった。

直近にも評者(宮崎)が香港へ行ってたいそう驚いたことがある。

黎智英の『リンゴ日報』以外、自由主義に立脚する新聞は香港にないが、 中国礼賛の『文わい報』など、新聞スタンドで、まったく売れていないの だ! 

『リンゴ日報』は飛ぶような売れ行きと比較して、これはどういうことか と思っていると、早朝七時。辻々におばさん達がたって『文ワイ報』を無 料で配りだしたではないか!

つまり大量の買い上げによって成り立っているのだ。

これは台湾でもほぼ同じである。

嘗て国民党の宣伝ビラとまで言われた『連合法』も『中国時報』もダミー を経由して中国から資本が入っている。台湾のテレビ、ラジオもそうである。

かくなると、香港と台湾ではどうやって真実を知っているのかと言えば近 年猛烈な勢いで発達したSNSであり、とくに若者たちは新聞をまったく 読まず、SNSで正確な、客観的情報を入手している。

米国の状況に戻ると、トランプの登場によって、こうした紅色浸透の作戦 は、転覆した。百八十度、その効果がひっくり返し、メディアは反中国、 アカデミズムでもキッシンジャーもエズラ・ボーゲルも孤立し、パンダ・ ハガーから転向したピルスベリーが代表するドラゴン・スレーターが世論 をリードするようになった。

本書は、この10年の中国の作戦の軌跡を振りかえりながらも、克明に大胆 に中国の赤い野望を暴露している。本書、日本の外務省のみならず官庁、 商社マン、マスコミ関係者には必読である。
                 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ   読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)通巻第6252号の巻頭記事にある有名ハンドバッグメー カー名の原語に近い表記は「ルイビュトン」ではなく「ルイヴュイトン」 です。

巷間では「ルイビトン」「ルイヴィトン」などと呼称されていますが…。 些末なこととは思いますが、気になりましたので投稿します。
(元仏語教師)

  ♪
(読者の声2)英国で39人の中国人の凍死遺体。貴誌で続報を知りまし たが、これって、中国の経済大国というイメージを根底から破壊した悲惨 な出来事ではありませんか。日本のメディアはなぜ詳しく報じないのです か?(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)中国の官製メディアの反応たるや、「西側は偽善 である。ヒューマニズムを理解していない。管理のずさんな英国は責任を 取れ」などと、凄いですね。この責任転嫁、いつものように中国共産党は 得意な論理のすり替え!

英国のメディアの主眼は人身売買の犯罪シンジケートの解明に置かれてい ます。米国のメディアは関心がない点で日本と同じでしょうか。

熱心に伝えているのは台湾、香港、シンガポールの華僑系メディアという 図式です。

経済大国の実態とは凄まじい所得格差であり、貧困層が数億人!
     


━━━━━━━━━━
「わが祖国」スメタナ
━━━━━━━━━━


    渡部亮次郎

元気の出ない時に聞く曲はスメタナの「我が祖国」だ。ポロン、ポロンと 珍しくハープの演奏から始まる交響詩組曲である。私のクラシック教室に は先生がいないから、ここ20年ぐらい、手に入るだけのCDをやたら聴いて 好きな曲を探す。スメタナはそうした1人である。

ベドルジハ・スメタナSmetana,Bedrich (1824〜1884)はチェコの作曲 家。幼いころから音楽への才能を示し,ピアノと作曲を学ぶ。1848年フラ ンスの2月革命がチェコにも及び,プラハで急進派が蜂起したときそれに 参加,革命軍のための行進曲や《自由の歌》を書いた。

革命が鎮圧された後は,リストの援助を得てプラハに音楽学校を開設。56 年から5年間はスウェーデンのイェーテボリ市の音楽協会〈ハーモニー協 会〉の指揮者を務めた。

61年帰国ののちは,再び大きな盛上がりをみせていたチェコの民族運動の 音楽的スポークスマンとして大活躍を始め,チェコ人のための国民劇場完 成までの仮劇場のために,《チェコのブランデンブルク人》(1863)や《ダリ ボル》(1867)のようなナショナリズムを鼓吹した愛国的なオペラを作曲した。

また,理想化されたチェコの農村の姿をミュージカル・コメディ風に描い た《売られた花嫁》(1866。1870改訂)の大成功によって,仮劇場の首席指揮 者の地位も手中に収めた。

しかし74年,50歳のときに聴覚を失い,晩年はチェコ北部のヤブケニツェ 村に隠とんし,肉体的・精神的状態の悪化と戦いながら作曲に専念。祖国 の風物と民族を賛美した6曲から成る交響詩組曲《わが祖国》(1879。

その第2曲《モルダウ》はとくに親しまれている)や自叙伝的な2つの弦楽四 重奏曲,《第1番わが生涯より》(1876)と《第2番ニ短調》(1883)を完成したの ち,プラハの精神病院で狂死した。

作品にはなお合唱曲と歌曲,多数のピアノ曲などもあるが,〈ボヘミア楽 派〉といわれるチェコの国民楽派の創始者であり,ロシアのムソルグス キーやフランスのベルリオーズと並んで,音楽におけるリアリズムのあり 方を後世に示した先駆者の一1人でもあった。 佐川 吉男

参考:世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービスより。


また
http://www.kk.iij4u.or.jp/~takuya/vltava.htm  に拠ると、

スメタナは同じチェコ出身で後輩格であるドヴォルジャークと共に、土地 に根ざした作風を持つ、いわゆる「チェコ国民楽派」として有名な作曲家 である。

ヨーロッパ各地で研鑚を積みつつも、やはり自らが生まれ育ったチェコの ことが忘れられず、帰国後「ヴィシュフラド(高い城)」「モルダウ」 「シャールカ」「ボヘミアの森と草原にて」「ターボル」「ブラニーク」 という一連の交響詩を次々と世に出し、祖国への熱い思いを託した。

この6曲は1882年11月、この順番で連作交響詩「我が祖国」としてプラハ にて初演され、大好評を博した。

以来この曲はチェコ国民の愛国心を象徴する傑作として、現在チェコで毎 年行われている「プラハの春音楽祭」の初日は決まってチェコ・フィル ハーモニーにより「我が祖国」全曲が演奏される等、スメタナの生涯をか けた愛国心はたくさんのチェコ国民に受け継がれているという。

この「モルダウ」はその連作交響詩の2曲目で、しばしば単独でも演奏さ れる。幸いなことに作曲者自身により、ここは何を描写しているのか具体 的な注釈が残っており、曲を初めて聴く人でも容易にその場面を想像できる。

以下その必見ポイント(?)を順を追って記す。

○「モルダウの最初の源流」
水源地はチェコ西部の山の奥深くである。2本のフルートにより雪が溶け てやがて流れとなる様子が表されている。繊細なハープのハーモニクスと ヴァイオリンのピチカートは、あちこちで陽の光に当たってきらめく水の しずくである。

○「モルダウの第2の源流」
さきの源流(フルート)にやや温度差のある別の流れ(クラリネット)が 合流し、少しだけ水に温かさが加わる。こうして徐々に楽器の数が増え、 水が集まり、河の流れが出来上がってくる。ここでオーボエを伴った弦楽 器により、最も有名なモルダウ河の主題が提示される。

○「森〜狩り」
流れは森の中に入り、ホルンのシグナルとともに馬に乗った勇壮な狩人が 横切る。角笛の音が森のあちこちにこだまする。牧場のカウベルも時折聞 こえ、弦楽器による河の流れは絶え間なく続く。

○「村の婚礼」
拍子は6/8拍子から2/4拍子に変わり、森を抜けると少し視界が開け、村の 集落が見えて来る。今日は村の若者の結婚式。教会から出てきた若い2人 を、村人たちの陽気なフォークダンスが迎え、祝福するヨーデルの歌声が 響く。

○「月の光〜水の精の踊り」
結婚式の夜も更け、あたりは静けさを取り戻す。ファゴットとオーボエの 先導により水の精が登場し、フルートとクラリネットが冒頭と同じような 無窮動を繰り返しつつ楽しげに浮遊する。弦楽器群によりまた水量が徐々 に増え、さきのモルダウ河の主題が再現される。

○「聖ヨハネの急流」
突如として傾斜が急になり、水の勢いが速くなる。岩にぶつかり、激しい 水しぶきを上げる様子がリアルに描写されている。

○「モルダウの力強い流れ」
曲はホ短調からホ長調に転調し、モルダウ河はプラハ市内に入る。オーケ ストラ全体によりこの「モルダウ河のテーマ」が賛歌として力強く歌われる。

○「ヴィシュフラド(高い城)の主題」
かくてプラハ市内にある歴史的な古城、ヴィシュフラド(高い城)に挨拶 する。ここは前作である交響詩「ヴィシュフラド(高い城)」(「我が祖 国」第1曲)のテーマが回帰する瞬間でもあり、本来ならば全曲を連続演 奏した時に効果が得られるように作られており、プラハ市内を抜けてなお 果てしなく続く流れを見送りつつ、フェードアウトされて曲は締めくくら れている。

この「モルダウ」の作曲に着手した頃、スメタナは耳の病が悪化し、あの ベートーヴェンと同様に聴覚を失ってしまった。したがってこの「モルダ ウ」以降、スメタナ自身は自分の作品を音として聴いていない。

スメタナは1884年に世を去り、自らの作品で歌い上げたモルダウ河とヴィ シュフラドのすぐ近くの墓地に静かに眠っている。と書かれているが狂死 とはあまりに可哀想だ。2007・06・08


    


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
文在寅打倒なるか、保守のデモが街を埋めた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


               櫻井よしこ

10月3日、平穏な年なら韓国は国民こぞって「開天節」を祝っていただろ う。開天節は朝鮮の神話に出てくる檀君即位の日、韓国の建国記念日だ。 だが、今年のこの日、首都ソウルは文在寅政権に反対する保守派の怒りで 埋まった。

インターネット配信の「言論テレビ」でデモの映像を紹介しながら、朝鮮 問題専門家の西岡力氏がデモの参加人数を面積を基に計算すれば約50万人 になると説明した。

デモに関しては往々にして過大な数字が発表されるが、誇張ではなく、正 味50万人がデモに参加したことの意味は大きい。

「2017年3月1日、保守派勢力が当時の大統領、朴槿恵氏に対する弾劾に反 対してデモをしました。光化門からソウル市庁前、南大門まで人が一杯に なり、その時はやはり面積比で30万人とされました。今回は南大門からさ らにソウル駅までの大通りが人で埋まっています。50万人説には信頼性が あると思います」

と西岡氏。

朴前大統領擁護の保守派デモより、はるかに多い人々が街に繰り出したの だ。他方、産経新聞ソウル支局の黒田勝弘氏は、朴氏を辞任に追いやった 左翼勢力主導の「ロウソクデモ」よりも今回の人数が多かったと報じている。

2年前の左右のデモを超える人々が、いま、反文在寅の旗を立ててデモを しているのである。「言論テレビ」で「統一日報」論説主幹の洪熒氏が説 明した。

「主催、参加団体は多様でした。キリスト教の牧師、YouTubeなどのメ ディアや言論機関、大学の教授たち、これまで文政権と連携してきた弁護 士、会計士などまでが曺国法相の辞任を求めて、文批判を強めました」

今回のデモは、或いは、韓国世論が大きく変化する予兆ではないのか。普 通の人の姿も目立った。キリスト教会の動員力のせいか、若い男女や主婦 も少なくなかった。

多くの脱北者も座り込んだ

彼らを突き動かしている要因のひとつが香港だという。750万の香港人 が、14億人を擁する中国共産党と戦っている。その気迫に韓国人は目を醒 まされたと洪氏は指摘する。

香港以前に、全世界は、中国共産党が中国本土で国民からあらゆる自由を 奪い取るのを見詰めている。宗教弾圧はとりわけ厳しく、キリスト教徒も 無慈悲な迫害の対象だ。

だが、文氏も曺氏も韓国民の中国共産党支配に対する危機感には鈍感であ る。むしろ中国共産党に近づくかのように、社会主義革命路線をひた走 る。一般の国民が、そのような彼らに国政を委ねることへの危機感を抱き 始めた。それが、10月3日の大規模デモだ。

キリスト教徒に加えて、デモに参加した海兵隊予備役官らも注目を集めた という。

「彼らは皆、文政権への抗議の意味を込めて剃髪したのです。坊主頭の屈 強な男たちの一群ですから、目立つでしょう」

と洪氏。

大学の教授たちも1万人以上が「正義と真実」を求めて抗議声明に署名 し、デモに合流した。

YouTuberの若者たちはデモの現場で大手メディアに抗議した。西岡氏の説 明だ。

「10.3デモの取材に大手テレビ局のKBSが来ていたのです。大手テレビ は本当に左傾化しています。保守の言動どころか存在さえ報じません。で すから若者たちは大型放送車の窓に『本当のことを報道しろ』と書いたプ ラカードを貼り付けたのです。暴力も破壊もありませんでしたが、KBS の記者たちには痛烈なメッセージになったでしょう」

10.3デモは、史上最大規模のデモでありながら、香港のような激しい暴力 沙汰は起きなかった。事前に各団体が注意事項を呼びかけたからだ。武器 と誤解されるようなものは一切身につけないこと、台風の影響で雨が懸念 されるため、雨合羽を持参すること、但し、傘は武器と見做されかねない として禁止した。

「体力のある者は徹夜でデモをして、そのまま青瓦台の前に座り込む。 従って、寝袋と腹ごしらえの食糧を持参するようにという通達も出ました」

と洪氏。

6月から青瓦台前で一人で座り込みをしてきた全光焄牧師が指導して、3日 夜、1000人単位の人々が青瓦台前で夜をすごした。週末になっても人数は 減らず、座り込みが続いている。多くの脱北者も一緒に座り込んだ。彼ら は人間を人間として扱わない北朝鮮から命がけで脱北した。それなのに、 韓国はいま、北朝鮮に同調しようとしている。彼らはそれだけは決して許 せないのである。

政治運動と関わったことのない多様な人々が街に繰り出したのは、文政権 の所業が「臨界値を超えた」からだと洪氏は強調する。

反日が支柱

社会の中間層に属する「大人しい人たち」までもが行動を起こしたことを どう解釈すべきか。明らかに暫く前とは様子が違う。それを向こう側から 息を詰めるようにして、逆転劇を恐れつつ見詰めているのが文氏と曺氏で はないか。娘の不正入学、不正論文、妻の金銭疑惑、その背後の黒幕であ る曺氏本人は暴力革命を信奉するレーニン主義者である。曺氏を罷免すれ ば、文氏への評価は好転するかもしれないが、文氏はそうはしない。ここ で退けば彼の革命の夢は潰れてしまうことを知っているのだ。

この段階でも文氏にはまだ4割弱の支持がある。理由は主として二つ、第 一の理由を洪氏が説明した。

「共産主義への盲信から目が覚めることは、自分の頭で考える力がどれだ けあるかということに直結します。文氏支持の左翼たちは盲信が深いため に、自分の目で見て自分の頭で考えることがなかなかできないのです」

第二の理由を西岡氏が熱を込めて語った。金日成の主体思想を奉ずる人々 が今日まで存在し続けているのは、マルクス・レーニン主義に依拠するか らではなく、反日民族主義に依拠しているからだという。

金日成の「偉大さ」は「日本と戦った」ことによるが、韓国の主流派は残 虐な日本と手を組んだ。その汚れた親日派が親米派になり、反共派になっ て韓国を支配した。世界で社会主義が衰退しても関係ない、親日派を倒せ ば韓国は再生する。そのように信ずる人々は、日本が悪いと言っている間 は大丈夫なのだ。反日が支柱である限り、社会主義や共産主義がすたれて も、彼らは倒れない。

であれば、韓国再生のためには反日の間違いを正さなければならない。そ のことを韓国の保守派はようやく悟った。それがベストセラー、『反日種 族主義』を書いた李栄薫教授であり、弟子の李宇衍教授らだというのだ。 ストンと納得のいく分析である。彼らと連帯していくのが日本の正しい道 である。
『週刊新潮』 2019年10月17日号 日本ルネッサンス 第872回



━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━


◎水の恐怖と対策を考える:前田正晶

私は昭和16年(1941年)から昭和37年まで藤沢の鵠沼(小田急の駅名は 「鵠沼海岸」である)に住んでいたので、海水浴には良く出掛けていてそ の恐ろしさというか危険さは十分に心得ていた。あの海岸では潮が下の方 で沖に向かってかなり強く引いているので、そうとは知らずに泳いでいる と遙か沖合に出てしまって、戻ってくるのが困難になってしまう場合が多 かった。その為に毎年のような水難の事故が発生していたので、その怖さ を知った私はなるべく背が立たないところまで出ていかないようにしてい た。これは海即ち、水とは怖い物だと認識していたという意味だ。

1974年の4月にフロリダ州の大西洋側の海岸で、アメリカで一度だけ海に 入ってみたことがあった。その時も底の方での引き潮を強さに恐れをなし 「触らぬ神に何とやら」で直ぐに引き上げて、美しいフロリダの砂浜を鑑 賞するだけに止めたものだった。その怖さには砂浜の色は違うが、何とな く懐かしき鵠沼海岸を思わせられるものがあった。

水(乃至は水分)は我々人間の身体の大部分を占めている重要な要素で、 水分を常に十分に摂っておらねばならず、脱水症状でも起こせば時には生 命が危険に曝されることにもなるとは、経験上も承知している。それほど 人類にとっては重要なものであるにも拘わらず、その水が自然か天然現象 によって過剰になると、この度の台風15、19、21号の襲来が示したよう に、途方もない災害を引き起こす恐ろしい物に変わってしまうのだ。

最早8年以上も前のことになった3.11の津波による東北地方を襲った大津 波の光景をテレビで見せられた時には、到底この世の出来事とは思えず、 まるでCGによる画像を見させられているのかとすら思わせられた。同時に 痛感したことは「水にはこういう形での恐ろしさもあるのだ」という点 だった。あの津波は地震に伴って起きた現象では人智では防ぐことも予防 すらも不可能な恐ろしさだったのかと認識させられた。将に私が常に言っ ている「コインの裏側」をこれでもかと言わんばかりに見せつけられたと 思った。

その恐ろしさが今回は3つの台風で関東から東北地方を襲って、津波では なく大雨による河川の堤防決壊や越水があれほどの大災害を引き起こすも のだと、あらためて知らされたのだった。土木工学的には色々と予防する 手段はあるのだろうが、あのように「観測史上初」というような豪雨に続 けざまに襲われては「予見不可能」な事態が生じるのは不可抗力だと思わ せてくれた。これほどの異常気象が「地球温暖化」だけが原因なのか否か の見極めがついていないようだが、それこそ“Better late than never”で 対策を講じる必要はあると思う。

私には二酸化炭素の発生を防止する対策が経産省か環境省の何れの管轄か 知らない。だが、何れにせよ環境問題の一環だと認識しているので、小泉 環境大臣が原発の関連ばかりを回っておられるのは見当違いのように思え てならない。彼は親譲りか何か知らないが原発に対する関心があるよう だ。だが、事二酸化炭素の発生については火力発電所の方が抑制すべきで はないのかと言いたくもなる。同時にプラスティックスのゴミが引き起こ している海水の汚染も好ましくない現象も環境問題であり、福島に貯蔵さ れている除染水の処分とともに焦眉の急として、彼が取り組むべき事だろ うと思う。

今から来年の台風発生の季節までにどれほどの治山・治水の対策というか 工事を全国で実施できるかどうか予測も出来ないが、過剰な雨と水に対す る事前(次善?)の対策を講じておくことは極めて重要だと思う。私は地 方で発生する山か崖等から生じる水流や土石流の原因には、我が国の面積 の大きな部分を占めている闊葉樹に覆われた山や丘にあると思っている。 それは紅葉が美しいの何のと景色の良さが称えられてはいるが、あれほど 斜面に樹木が密生して手入れされていなければ、空気は循環せず日当たり も悪くなって樹木が強く根を張らず、土壌も地盤も劣化して大雨が降れば 水分を吸い込んで山や崖が崩れてしまうのは仕方があるまいと思っている。

先日も専門家の方が「その過剰な樹木を伐採して販売しようにも、杉の木 を3本伐っても1,000円にしかならず、林業は不採算で成り立たないのだか ら仕方がない」と指摘しておられた。その通りだが、政府か民間が何処か で手を打たねば、現状のままでは何時何処で山が崩れて犠牲者が出ること を防ぎようがないと思う。これぞ将に治山・治水の最たるものだと思う。 そのように林業を不採算な業種に追い込んだ責任の一端は木材の輸入にも あるかと思うが、何れにせよ山林の管理は水対策として拱手傍観すべき事 案ではないと思う。

因みに、アメリカの西北部を中心に600万エーカーの森林を所有するW社は その社有林で間引き、風倒木や虫食いの木を処理すること、下枝を払うこ と、山林の伐採の期限を決めてクリヤーカットと呼ぶ一定の面積の木を全 部伐採した後には整地して肥料を施して再植林している。これを“managed forest”と称しているが、山林にはこのような管理が必要なのだ。私は木 材の担当分野にはいなかったので基本的なことしか知らないが、このよう な管理は必須だったようだ。


◎何故あれほど愚かな者が多いのだろう:前田正晶

私は在職中に2度ほどアメリカでこの行事の期間というのか当日に本社に いて、これに出会ったことがあった。しかしながら、お恥ずかしいこと に、このハロウイーンなるものの存在を知らず「何故魔女の格好をした女 性が社内にいるのか」と周囲に尋ねてしまった。それで初めてそういう行 事があると知った次第。

2度目は来訪中の大取引先の常務さんを副社長の自宅に招待して夕食会を 催している時だった。玄関にキャンディだったかが入った大きなガラス瓶 が置いてあるのは承知していた。そして夕食の最中に暗闇の中を大勢の子 供たちがやって来て、例の“Trick or treat.”と叫んでいるのが聞こえ た。暗かったので彼らが仮装していたかどうかは知らない。そして、副社 長夫妻が玄関に出てその大きな瓶からキャンデイを配って終わった。そこ で認識できたのは「仮装」と「トリック・オア・トリート」という組み合 わせがハロウイーンとやらの中身だということだった。

それがどうだろう。一旦我が国に入ってくると(「入れてしまった」とい う方が正しいか?)「トリック・オア・トリート」何処かに消し飛んでし まって、今年のように渋谷区が特別条例を制定せざるを得ないような馬鹿 者が仮装して集まり馬鹿騒ぎをするような、原産地のアメリカとは全く異 なる行事に変わってしまったのだった。昨年辺りの渋谷の何とやら交差点 での騒動を見ていると、我が国は善くぞこれほどまでの阿呆を育て上げた ものだと、寧ろ感心してしまったのだった。

私は一刻も早くあのような馬鹿騒ぎを止めさせて欲しいと思っている。そ の為には罰則を伴わない条例では効果はないので、税金の無駄遣いではあ るとは思うが、警察権を行使してでも馬鹿者どもを拘束するかあるいは逮 捕してでも処罰したら如何とすら考えている。極端なことを後難を恐れて 言えば、仮令暴力だの何のと言われようともあのような連中はぶったたい てでも止めるべきではないのかとすら言いたくなる。路上で飲酒をするな と言っても、渋谷に来る前に飲んでくれば効果はないだろう。兎に角、何 とも情けない若者どもの痴呆化である。

因みに、私は「アメリカの会社に勤務していた」と言うが、それはアメリ カに住んでいたのではなく、正確には「アメリカの会社の日本駐在マネー ジャーだった」と言うべきだった。であるから、1年間に6〜7回ほどアメ リカに出張していたので、その中で偶々ハロウイーンの日に向こうにいた 事があったので、アメリかでは如何なる形になっているかを知って、それ と我が国における馬鹿騒ぎを比較して論じてみた次第だ。もしかしてあの 馬鹿騒ぎは我が国独自の文化かも知れない。そうであれば、誠に恥ずべき 文化だと言わざるを得ない。

◎イングランド対ニュージーランドのラグビーは強い方が勝った:前田正晶

テレビと新聞の過剰だと言いたいほどのラグビー礼賛に言うなれば食傷気 味だったが、イングランドというイギリスの本家対分家とでも言いたい ニュージーランド(NZ)のラグビー戦を「イングランドが勝つのではない か」との閃きの下に、昨26日に観戦していた。敢えて「イギリス」という 言葉を使ったが、これを広辞苑で見れば「(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)の西方、大西洋上にる立憲連合王 国グレート・ブリテン島・北アイルランド及び付近の900以上の島々から なる。面積24万4,000平方キロメートル・・・」とある。

イングランドとはその中の一つである。それを知らなかった1969年頃に、 この国から来ていた人に「イングランドからお出でか」と尋ねて「イング ランドではない、UKと言え」と厳しい顔で言われたものだった。ニュー ジーランドは広辞苑によれば「1840年にイギリスとマオリ人とのワイタン ギ条約によりイギリス領となる」とある。独立は1947年とある。この試合 は言わば親子間の争いかというような気もして興味深かった。我が事業部 にはニュージーランド人でオックスフォード大学のMBAのマネージャー (後にSales and Marketingの副社長までなった)がいた。

私の関心と興味はイングランドのヘッドコーチ(HC)が前回のW杯までの 我が代表の指揮を執っていたエデイー・ジョーンズ氏がHCであることに あった。それは、どちらかと言えばラグビーの本家であったはずのイギリ スの霞み気味だった存在を、ジョーンズ氏がその猛練習というか指導法で どのように立て直しているかが勝敗の鍵を握っていると思っていた。ボン ヤリと考えていた事は「我がマスコミの過剰なNZの強さの称え方があると は言え、NZと雖も人の子である以上、そう易々とは3連覇できるものか」 という疑問もあった。イングランドの試合振りはほとんど見ていなかった ので、どの程度の強さかは解っていなかった。

しかし、試合が始まってみるとイングランドの勝ってやろうという気迫 と、やれるところまでやってやろうじゃないかという、古い言葉で恐縮だ が「張り詰めた敢闘精神」の勢いは凄まじく、キックオフ後間もなくイン グランドは結果的にはこの試合で唯一となったトライを決めてしまった。 NZは油断していたのか乃至はイングランドのジョーンズ氏に鍛え上げられ たのであろう精神力と鋭い出足とデイフェンスの当たりに圧倒されたの か、解説の広瀬がこれほど乱れているNZを見たことがないとまで言ったほ ど劣勢だった。

先日指摘したようにラグビーはアメリカ系の球技のように「モメンタム」 に左右される性質ではないので、一度劣勢に立たされたNZは最後まで大勢 を挽回するチャンスもないままにミスと反則を繰り返して、イングランド に4本もペナルテイーキックを決められて、如何ともする術もなく敗退し てしまった。私にはラグビーの微妙な技術を判定するほどの眼力はない が、両者にほとんど力の差がなかったように思う。だが「勝って見せよ う」という精神力の強さ(これを「メンタル」などという妙なカタカナ語 で言うな)においてはイングランドの方が上で、それが試合を決めたと 思っている。

見方を変えれば「両者ともあらん限りの力を出した素晴らしい試合だっ た」と褒めても良いのだろう。だが、私にはNZのミスの多さが気になった し、ウエールズ人のレフェリーがTMOだかに依存した判定でイングランド のトライを2本「ノートライ」という音声が聞こえたと思うが、無効にし てしまったのは気の毒だったとついつい思ってしまう。あれをトライと判 定しなくてもNZの劣勢は明らかだったと思うので。ラグビーの面白い点 は、レフェリーは試合を指導しているという点で、その判定には野球の球 審よりも癖というか、極言すれば独断的のように見えるということだ。

28日はもう一つの準決勝戦である「南アフリカ対ウエールズ」の対戦があ る。この試合にはさほど関心がない。だが、関心はあそこまで勝ち上がっ たイングランドが他国よりも1日休養日が長い利点を活かして優勝できる か否かにはある。イングランドはジョーンズ氏の指揮の下に組み合わせが 決まった時点から、対NZのゲームプランを練り上げて練習してきたとアナ ウンサーが言っていた。であれば、南アフリカかウエールズ相手のスカウ テイングとゲームプランは出来ているのだろうか。あの対NZの精神力は決 勝戦でも発揮できるのだろうか。その辺りに私の関心と興味がある。

言い古された表現だが「技術力が同等ならば、精神力が強い方が勝つ」と いうのがあり、私もそれを信じている。だが、ただ精神力だけを鍛えてあ れば良いものではないのが難しいところだ。最後にもう一度言うが「メン タル」などと言う形容詞をさも名詞の「精神力」のような意味で使うのを 止めろ。「フィジカル」だって同様に形容詞だ。好い加減にしろ。


◎我が国の景気は悪くないのか:前田正晶

先頃、我が国には2期連続で貿易赤字が出たと報じられていた。Prime Newsだったかでは、第一生命経済研究所の長濱氏は昨年の11月から統計上 では景気は良くないのだと指摘していた。こういう状態を見聞きして思い 出したことがある。それは10年1月1日にカリフォルニア州のパサデイナで 投資ファンドをアメリカの国内外で運営して成功しているML氏に「アメリ カと我が国の景気をどのように見ているのか」と質問したことで、L氏の 短くて要を得た答えを思い出さずにはいられなかった。

L氏は「アメリカと中国の貿易取引関係が健全に続いている間はアメリカ と中国の経済は心配ない。日本の経済はアメリカと中国の関係が安定して いれば、当分の間は何ら問題ないと見ている」と答えてくれた。因みに、 L氏はプリンストン大学の出身で銀行等に勤務した経験を活かして独立さ れ、我が国にも進出されている腕利きである。私が興味深いことと感じた 点は、彼は当初はニューヨークに本拠を置かれていたが、現在のICT化と 言うべきかデイジタル化と言うか、グローバル化とも言うべき時代に合わ せて、本部をホノルルに移されていること。

それはそれとして、私は現在の我が国の経済の状況を見ていると、当にL 氏の指摘が当たっているように思えるのだ。トランプ大統領があそこまで 中国を叩きに出られたことは、あの国が世界全体にその気になっていて与 えているだろう影響と、習近平主席の野心の表れだとしか思えない世界各 国への触手の阿漕で強引な伸ばし方を見れば、当然の策だと思って見てい る。だが、そのアメリカと中国の貿易戦争の影響は、間違いなく我が国の 経済に影響を及ぼしているとしか見えない。

私は最早現職を離れて日常的にアメリカと接触していない身であるから、 論じていることは街角景気観測的であり、永年の経験から言う皮膚感覚的 なことだ。その感覚で捉えている我が国の景気が緩やかであろうと何だろ うと、活気を呈しているものではないのだと思う。感覚的に言えば「我が 家の周辺とJRと西武戦の線路の向こう側にあるタクシーの運転手さんがた ちが『新しい道』と呼ぶ無名の道路に真っ昼間から停車して寝ているタク シーの数が増えてきた傾向は、彼らは景気の恩恵に浴していない事を端的 に表している」のである。

物価という点から見れば、大久保通りや高田馬場方面の早稲田通りに行け ば、消費税が引き上げられようと何だろうとデフレ傾向的な安さが続いて いる。ドンキホーテやアジア系の外国人どもが群がる大久保通りの業務 スーパーの値段を見れば、経営者たちは決して景気が良いなどとは見てい ないと一目で解る。何処の店とは言わないが「在庫一掃価格」としか思え ないような安値は相変わらず出ている。それが証拠に、私がジムの風呂場 で使っているフェイスオッシュなどは¥100で購入したチャンとしたメー カーの製品だった。何処かで誰かが在庫を持て余したという証拠だ。

この一例だけで「緩やかな回復」などと言えるのかとまで言う勇気はない が、この界隈に住んでいればこういう目玉商品は頻繁に出ていうるのは事 実だ。得意の英語の講釈をすれば「目玉商品」は“loss leader”となって いる。そういう感覚が表れている表現だと思っている。

報道によれば、野党にとっては菅原一秀前経産大臣の他に未だ攻め立てな い閣僚がいるかのようだ。私から見れば、そんなことを言っている場合か ということだ。野党の連中が一度でも総理に「対韓国問題の処理にどのよ うな対策で望み、何時になれば文在寅大統領を屈服させるのか」といった ような質問をしたことがあるのかと言いたい。「内部留保を吐き出させる 手立ては」と質問したという話を聞いたことがない。偶にはタクシーが公 衆便所がある場所を求めて路上駐車して昼寝をしたり弁当を食べにこない ように景気を良くする対策を論じたらどうだ。枝野や福山の顔を見ただけ で胸が悪くなる。



━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━

29 日の東京湾岸はまたも曇天。

28日の東京湾岸は曇天のち晴れ。隣の第三亀戸中学校の芝生の芝生の校庭 では近隣の子供たちが遊んでいた。雪国生まれの私は今、83歳。子供のこ ろ何をして遊んだかの記憶が全くない。アメリカとの戦争中だったから か、遊ぶことは罪悪だった。
                           読者:6003人




規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: 97 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。