政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5194 号  2019・10・11(金)

2019/10/11



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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5194号
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       2019(令和元年)年 10月11日(金)



          裏切りの代償は8億2500万ドル:宮崎正弘

        太平洋で着々と進む中国の覇権戦略:櫻井よしこ

        日本が復活できない【根本 的】理由:伊勢雅臣 

                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

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裏切りの代償は8億2500万ドル
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)10月10日(木曜日)弐
         通算第6229号  
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 裏切りの代償は8億2500万ドルの金鉱山開発だった
  ソロモン諸島、中国と国交、台湾と断交。米・豪は激怒
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中国語のソロモン表記は「羅門群島」である。
 
10月8日、ソロモンのソガバレ首相が32名の訪中団を率いて北京を訪
問し、翌日に習近平主席と会見した。中国は「ソロモンは一帯一路の海の
シルクロードの拠点」と持ち上げ、8億2500万ドルの金鉱山開発を発
表した。

ソロモンが世界史で名前を見かけるのはスペイン冒険家が初めて上陸し、
砂金を発見したからだ。欧州でひろく信じられていた「ソロモンの秘宝」
が、この群島にあるという裏付けのない噂が広がった。実際にソロモンに
は金鉱山がある。

9月16日にソロモン諸島は台湾と断交した。

国内では野党が猛反発した。トランプ政権は激怒し、訪米したソロモンの
副首相に対して、ペンス副大統領は面会を拒否した。

その直前の9月13日に、ソロモンの外務大臣は台湾を訪問して、蔡英文
総統と会見し「両国関係は良好であり、外交関係は維持される」と発言し
ていたのである。

ソロモンの野党指導者は「これでソロモンは中国の植民地化していること
がわかった」と批判を強めた。

ソガバレ首相は、この四月の首相となったばかりで、ソロモンの国民は中
国に嫌悪感を抱いており、逆に台湾には親しみをもっている。2006年
にはガダルカナル島にある首都のホニアラのチャイナタウンで反中暴動が
起こり、華僑系商店が襲撃されて九軒が破壊された。

ソロモンでは中国人が土地を購入したり、パスポートを裏から手を回して
取得したり、怪しい行為が展開されており、この現象はバヌアツも同じで
ある。

また西隣のパプア・ニューギニアが親中派に転び、ポートモレスビーの港
湾近代化工事を中国が行っている。
パプアには大々的に中国資本が投下されている。

ソロモンの台湾断交の三日後にドミノのように台湾と断交したバヌアツで
は旧日本軍の基地だったルーガンビル港の拡張近代化工事を中国が請け
負っており、「借金の罠」に陥るのは時間の問題だ。
いずれ中国軍の基地になるという危惧が広まっていた。

すでに6月頃から断交の噂が広がり、豪首相はソロモンへ飛んで、188
億円の経済援助を約束した。これは「焼け石に水」だったのか。
 
    
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1968回】          
 ――「臺灣の事、思ひ來れば、感慨無量・・・」――田川(5)
  田川大吉郎『臺灣訪問の記』(白揚社 大正14年)

      △

田川は内地から送り込まれる官吏が一般的に「(一)朝鮮、臺灣を、あま
りに、邊陬の、人文未開の地と看下して居り、(二)臺灣朝鮮に下ると、
何だか、立身の機會がおくれる樣に思ふから」だ。だが「第一は謬見」
で、「第二は、若し事實とすれば、政府自ら之を改むるが宜しい」とす
る。かくて「何にせよ、私は、臺灣の官吏に、加俸の必要を認めない」。

台湾人は内地人官吏を指して「彼等は、果して有能な官吏ですか、内地
で、賣れ口の無い喰い詰め者」ではないかと疑うだけではなく、「内地以
上の贅澤をして居る、いづれも遊惰である、内地以上の遊惰を貪つて居
る、と、批評する」。

だから、寧ろ「思ひ切つて、臺灣人を採用」すればいい。朝鮮でも同じだ
が、大学を卒業しても「その賣れ口の無い」彼らは、「待つて、待ちこが
れて、待ちあぐんで居るのである」。やはり「臺灣の政治に、臺灣人を、
朝鮮の政治に、朝鮮人を、多く用うるに至るのは、實際の趨勢、自然の情
理であると思ふ」。内地で役に立たないような者に破格の俸給を与えてお
く必要はないと考える田川は、自らを「三十年の前から、臺灣人を用ゐ
て、臺灣の政局に當らしむる、自治的論者でありました」とした。(後出
「附録 臺灣統治策」参照)

官吏のみならず一般人も内地からやってきた者は、台湾の生活に馴染もう
としない。これが「臺灣の統治、眞に困難」な要因だ。彼らは「殆ど一人
の例外なく、臺灣語を學ばうとしません」。

ところが日本人と違って「諸所に散在せる、若干の外國人宣?師は、皆よ
く臺灣語を語ります。流暢に、自在に語ります」。「外人は、かくの如く
語るが、内地人は語り得ない、以て、その決心と誠意の違が分ります」。

「若干の外國人宣教師は、皆よく臺灣語を語」るは布教とインテリジェン
スという表裏一体の目的があるからであり、やはり内地人と同日に論じら
れるわけでもない。それにしても日本人の現地社会に馴染まないという一
般的性向は、今日に至っても余り改善はされていないように思える。だか
ら思い込みが曲解を導き、曲解が誤解に結びつき、誤解が妄想を生み、や
がて「疑心、暗鬼、水禽の羽音を聞き、驚き騒いで立つ」ことになりかね
ない。昔も今も、である。

このまま進めば、「臺灣の地は、やがて、臺灣人を以て、從來の支那人を
以て、一杯に充たされませう、政治に志す者は、この傾向と、事情をも、
考慮の中に入れて置かねばなりますまい」。だから日本が「立憲政治の國
である、故に、臺灣も立憲代議政治の行はるゝ所ではなくてはならない」。

台湾に二院制度を設け、「臺灣の代表者の或者、朝鮮の代表者の或者を、
我が貴族院に代表せしめられる事」とし、「臺灣議會の權限は、臺灣總督
の權限に駢行」せしめる。「凡そ、租税の在る所には、必ず議會がある」
から、台湾の租税は台湾議会で決する。「臺灣人の知識は、議會政治に堪
へ得らるゝと信じ」るので、「差し當つて制限選擧を行ふに、何等の差支
へ」はない。

やはり朝鮮も同じだが、「臺灣には、臺灣の?史があり、風習がある、政
は自然を貴び、自治を貴ぶ、自治が最上の樣式である」から、強いて統一
する必要はない。「度量を大きくして、もつと、徹底的に、政治の意義、
内容、目的、世界の趨勢を見」るべきだ。議会開設運動に携わる台湾人を
「罪人の如くに、警察部が、嫌疑」する必要はない。彼らの活動を「絶對
に禁止せらるゝことは、殆んど信じ得られない沙汰である」。

このように田川は様々な客観情勢から考えて、台湾に自治制度を布き、台
湾議会を開設し、台湾人の台湾、台湾人による台湾を実現させることに何
に不都合があろうかと。
同じような条件を備えていればこそ、朝鮮も台湾と同じように扱うべきだ
と主張する。《QED》
            
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読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1)「ミサイルよりも参政権」
香港の民主化闘争は、戦前の支那の激しい学生運動を想起させる。現代中
共の国民の権利は、政治的には百年前の1920年代と変わらないのではないか。

当時の支那には各地の軍閥、国民党軍閥、共産党軍閥勢力があった。

この中で国民の参政権を主張したのは国民党で民族、民生、民権主義を唱
えていた。しかし、戦後共産党が政権を握ってしまった。

毛沢東の本質は個人独裁であり、共産主義は道具に過ぎなかった。このた
め国民は今なお独裁政権の下で呻吟し、参政権が奪われたままなのである。

アメリカでは黒人系国民にも戦後参政権が与えられている。支那人はいつ
まで共産党支配の下で隷属状態に甘んじているのだろうか(X生)
  ♪
(読者の声2)中国の国慶節は香港の騒乱もあり、まったくめでたくあり
ませんでした。一方、台湾の双十節には安倍総理と麻生副総理が祝賀メッ
セージを送っています。

http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-3221.html

『安倍総理は「中華民国」と明記し、麻生副総理はさらに踏み込み、「両
国の友好がさらに深まりますよう(以下略)」と、台湾が国であることを
はっきりと示しました。』
 
日米ともに韓国切り捨て、台湾重視の路線にゆるぎはないようですね。

それにしても虚構の中華民国(首都は南京、台北は臨時首都)を捨てない
限り日米を始めとする国々は台湾を国家として認められないのが現状。台
湾のついて日本は領土としては放棄したものの、その後の台湾の地位につ
いては国際法上未確定とする説もあります。
 
オーストラリアと並ぶ人口で半導体生産では世界屈指の実力をもつ台湾が
国家として認められないのは、日本がアメリカの半属国のままなのと同じ
なのかもしれません。

今の台湾は中華民国の建前を捨てて台湾として独立するなら中国が侵攻し
てくると脅してもアメリカが黙っていないでしょう。

日米に台湾独立の密約があってもおかしくはありません。

100年前には北京の北清事変で日本軍は一番の活躍ぶりで略奪もしなかっ
た。それが逆に中国人に侮られたという説もあります。

日支事変当時からアメリカは蒋介石を支援しては裏切られた。

今の台湾にも中国のスパイはうようよいる。アメリカの対中戦略上で台湾
が重要なのは確かですが、アメリカにすれば台湾がいつ裏切るかわからな
いと考えてもおかしくはない。

日本も台湾もアメリカとともに戦ったことがありません(イラク派兵はお
飾りでした)。英国の歴史を見ると大英帝国あるいは英国連邦としてイン
ド・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなど英国のために軍隊を

派遣し戦ったことがその後の独立に大きく影響しています。
 アメリカが世界の警察を止めるというのなら、その穴埋めをするのは日
本しかありません。
マラッカ海峡からホルムズ海峡まで旭日旗の艦隊が常に目を光らせていた
なら中国やイランがけしかける海賊モドキもおとなしくなることでしょ
う。(PB生、千葉)


◎吉野彰氏は「コングラチュレーションと来た」と言われた:前田正晶

旭化成の名誉フェローである吉野彰氏が、この度ノーベル化学賞を受賞
された。誠に結構なことであると心からお祝い申し上げたい。遺憾なが
ら、私は余りリチュームイオン電池のお世話になっていない生活をしてい
るので、この度の受賞でお恥ずかしながら初めてその偉業を知り得たほど
時代遅れなのである。

こで件名の何が「揚げ足取りではない」のかと言えば、吉野氏が「コン
グラチュレーションと来た」と言われたことを指しているのだ。この辺り
が私が常に指摘してきた我が国の英語教育の至らなさの残念な表れであ
り、カタカナ語製造業者たちの文法無視の悪影響が見えているのが残念な
のだ。この「お目出度う」を意味する“congratulation”という単語はおし
まいに“s”を付けて“congratulations”のように複数形で言うのが普通なの
である。ところが、乱用されているカタカナ語では「コングラチュレー
ション」のような単数形が普及してしまっている。誠に遺憾千万だ。



吉野彰氏は理工系で京都大学の大学院のご出身である。それだけ学問に集
中されてきた方でも、このように複数形で使われるべき言葉を何の躊躇い
もなく「コングラチュレーション」と言われた。私が知る限りのスエーデ
ン人たちの英語力の水準は高く、電話で授与を通知された際に「コングラ
チュレーション」と言ったとはとても考えられないのだ。「吉野氏のご専
門の分野のことではないのだから揚げ足を取るな」と言われそうだが、私
は揚げ足を取っているつもりは毛頭なく、我が国の英語教育の至らなさと
カタカナ語製造業者たちを非難したいのである。



今更、彼ら業者を批判しても詮無いことだが、彼らはこのように“s”を省
いて複数と単数の概念を無視するし、過去形も現在形も忘れているし、英
語の読み方を未だにローマ字式にするは辞書を見たことがないのかと言い
たくなるほど出鱈目だし、勝手に奇妙な造語を産み出す等々、英語教育に
負の貢献をすることに専念している。それを咎め立てもせずに乱用するマ
スコミも無教養の輩の集合体だと批判したいのだ。余計なことだが、もう
一つ複数形であるべき例を挙げれば、「弔意」を表す“condolence”も複数
扱いにするのが普通なのだ。

念の為、再度申し上げて置くが、私には吉野彰氏を批判する意図は毛頭な
い。我が国の英語教育の至らなさと誤ったカタカナ語の乱用を戒めている
つもりだ。





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太平洋で着々と進む中国の覇権戦略
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          櫻井よしこ

9月16日、中国は太平洋の14の島嶼国のひとつ、ソロモン諸島を台湾から
引き剥がし断交させた。中国の働きかけによって台湾を切り捨て、中国と
国交を樹立した島嶼国はすでに10を数える。台湾は蔡英文総統が就任して
以来7か国から国交断絶を言い渡され、国交のある国はいまや15にまで減
少した。

中国の目的は、「台湾は中国の一部」であることを受け入れない蔡総統を
孤立させ、来年1月の台湾総統選挙で落選させることにあるが、同時にも
うひとつ重要な狙いは太平洋における米軍の覇権に異を唱え、西太平洋及
びインド洋から米国を排除することである。

ソロモン諸島の首都を擁するガダルカナル島で、日本軍はかつて死闘を展
開した。情報も食糧も武器弾薬も極度に不足していた中で米軍相手に壮絶
な戦いを続け、日本軍は実に多くの貴重な命を失った。太平洋の島々を
失った日本がその後苦しい状況で後退に継ぐ後退を続けたのは周知のとお
りだ。その激戦の島嶼国にいま、中国が巧妙な侵略の手を伸ばしている。

かつての日米両軍の戦場でいまや米中二大勢力がせめぎ合う。米国が同海
域をグアムを拠点として防衛するのに対して、中国はつい先頃まで第一列
島線、第二列島線を想定して米海軍をハワイ以東に閉じ込めようとしてき
た。現在は、しかし、西太平洋からインド洋全体を支配するために、この
海域への米海軍の接近を阻止する第一、第二列島線戦略をはるかに越え
て、彼らは第三列島線に進出してきているのである。

第三列島線は、2040年までの目標として中国の国益擁護に必要な海を南緯
35度以北、東経165度以西と定義し、その海域に中国の支配権を確立する
というものだ。中国が支配権を目指すのは豪州南部以北の太平洋であり、
米海軍が遊弋(ゆうよく)し、君臨してきた太平洋である。そこにはマリ
アナ諸島、パラオ、ソロモン諸島などが広がる。

太平洋島嶼国を籠絡

07年に中国側は何気ない会話形式で、米国側に太平洋をハワイを基点とし
て二分し、米国が東太平洋を、中国が西太平洋をとることを提案した。そ
れから12年、彼らは着実に自らの目標達成へと歩を進めている。

そうした戦略目標達成のために、中国は悪名高い資金攻勢で太平洋島嶼国
を籠絡する。典型的事例がトンガであろう。人口11万人弱、王室が強い力
を有する。

明らかに中国は王室への接近に成功したのであろう。「フィナンシャル・
タイムズ」のキャサリン・ヒル氏の、「太平洋島嶼国・米中の新たな敵
対」によると、中国は08年にトンガサット社に5000万ドル(約55億円)を
支払い、赤道上空の静止軌道の使用権を得た。

米国のGPSに相当する中国の衛星測位システム「北斗」をミサイル誘導
など軍事的に使用するには静止軌道が必要で、それを提供したトンガは中
国の軍事戦略上非常に重要な拠点となったわけだ。トンガは見返りに55億
円を受け取ったが、国庫に納入されるべき資金の半分がトンガサット社に
入金されていたという。

同社にはトンガ王室のプリンセスが関係していると報じられた。中国得意
の資金も含めたおもてなし外交でプリンセスの心を射止めたと解釈された
のは自然なことだ。

この年以降10年までの3年間で、トンガは中国から1億1400万ドル(約125
億円)、トンガのGDPの実に43%に相当する融資を受けている。この規
模の債務返済は至難の業で、連想するのは、借金のカタにハンバントタ港
を99年間も奪われてしまったスリランカの悲劇、債務の罠である。

中国と国交を樹立した先述のソロモン諸島は人口61万人、太平洋島嶼国
中、最大級である。その国がいまや中国経済に搦め捕られている。また、
近年急増した移住中国人は約5000人に上り、ビジネス上手の彼らは小売店
の大方を経営し、殆どすべての消費財を提供していると、ヒル氏は報告する。

他方、中国政府は後述する海底ケーブルをはじめ、大規模な公共工事に資
金を集中投下し、これら小さな国のインフラを中国式に作り上げてしま
う。資金も技術も労働者も、定型どおり中国からやってくる。労働者は工
事完了後も現地に残留し、力をつけ、その国の事実上の支配者となるのが
お定まりの道だ。

ソロモン諸島政府は豪州政府の協力を得てソロモン諸島・シドニー間を海
底ケーブルで結ぶところだった。公開入札で受注した企業はしかし、突
如、外され、ソロモン諸島政府は中国のファーウェイに工事を発注した。
ファーウェイは中国人民解放軍と一体だと見做されており、豪州政府が驚
き、安保上の懸念を抱いたのは当然だろう。豪州政府はソロモン諸島政府
に代わって海底ケーブルを建設し、費用の3分の2を負担したそうだ(同前)。

それでもファーウェイは諦めず、次にバヌアツからの海底ケーブル建設を
提案中だという。ファーウェイとその背後の中国政府の、世界制覇にかけ
る執念を感じさせる働きかけではないか。

中国のマネー攻勢

現在、太平洋島嶼国で台湾と国交を保っているのはツバル、マーシャル諸
島、パラオ、ナウルの4か国だけであるが、これらの国々も中国のマネー
攻勢に晒されている。

ツバルは人口1万1000人、議会は予算ほしさに台湾寄りの首相を交代させ
る可能性がある。パラオは人口2万2000人、マーシャル諸島は5万3000人、
ナウルは1万4000人である。

どの国も本当に小さい国だ。人々の性格は穏やかで、生活は貧しい。だが
彼らが保有する海洋面積は広大である。日米豪にとって、そこに広がる海
は自由貿易を担保する開かれた海である。国益上も安全保障上も譲れない
海だ。中国による独占は無論、彼らが小さな国々に強い影響力を発揮し
て、支配する海にしてはならない。

だが、小さな弱い国々は、自由や民主主義への中国共産党の弾圧には余り
関心を抱かない。米国か中国か、と迫られるのも恐れる。中国の威力の前
で、台湾と断交をすれば、それがやがて自らにはね返ってくるとも考えな
い。彼らも生き残り、国民を経済的に養わなければならない。日本や米国
が中国に対抗して取り得る道は、国や民族の生き残りと、国民生活の豊か
さを支える、中国よりも優れた策を打ち出すことだ。

中国は地球全体に欲の網を張り、その網を広げ続ける。中国の手法とは全
く異なる手法で、価値観を共有できる国々と連携して、中国の野望を打ち
消していくのがよい。日本は軍事力の効用を活用できない。その分、合理
的で人道的な賢い道を提唱しなければならない。価値観の戦いの先頭を行
くべきだ。
『週刊新潮』 2019年10月10日号 日本ルネッサンス 第871回



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日本が復活できない【根本 的】理由
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           伊勢雅臣 

■1「私たちは大量絶滅の始まりにいます」

 16歳のスウェーデン少女グレタ・トゥーンベリさんが大人たちを糾弾し
た。9月23日、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットでのことだ。

__________
多くの人たちが苦しんでいます。多くの人たちが死んでいます。全ての生
態系が破壊されています。私たちは大量絶滅の始まりにいます。
それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつ
までも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか![1]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 こんな光景を予想していたかのように、「国連も、子供を使って温暖化
ホラー話を広めたがる」と暴露しているのは、アメリカでベストセラーと
なった『「地球温暖化」の不都合な真実』[2]である。同書はこう続ける。

__________
 2016年に国連が出したビデオでは、子供たちがこんな歌を歌う。「CO2
は出さない。お風呂も入らない。・・・クルマもいらない」。
「温暖化に苦しむ子どもたち」という趣旨の国連ビデオでは、歌手のケイ
ティ・ペリーがこう説教。温暖化の悪影響をまず受けるのは、子どもたち
なのです」。[1, p257]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 グレタさんは大人を糾弾するばかりで、事実は何も語っていない。上記
の引用でも「多くの人たちが死んでいます」と言うが、温暖化のためにど
こで何人死んでいるのか、具体的なデータは何も示さない。いわんや「大
量絶滅の始まり」の根拠は何なのか、も語らない。

 後述するように、ますます多くの気候学者が「地球温暖化」キャンペー
ンのからくりに目覚めているのだが、この点は「30年以上にわたって、科
学ははっきりと示してきました」の一言で片付ける。

 学問的な議論で追いつめられた温暖化脅威派が、問答無用の「二重の子
供騙し(子供を騙し、その子供を使って大人を騙そうとする)」戦術に出
たようだ。


■2.次々と事実によって否定されてきた温暖化の「脅威」

 温暖化脅威派の訴える「脅威」が様々な分野の科学者たちの実証研究に
よって次々と否定されてきた様子をこの本は無数の例で示す。

★地球の気温が上がっている。
 → 米国の気候史を調べた気候学者ジョン・クリスティー「50州のう
ち75%までが、1955年より前に最高気温を記録した。また、ほぼ25の
州で、気温の最低記録は1940年以降に起きている。[1, p114]

★温暖化で南極の氷が溶け、海面が上昇する。
 → NASAのチーム「東南極では、氷の質量が1992〜2008年に年々
2000億トンずつ増え、西南極の南極半島では、年々650億トンづつ減って
いる」。西南極の氷の減少は、氷の下にある91個の海底火山からの地熱が
原因と推定されている。[2,p71-73]

★6メートルの海面上昇で、フロリダ半島の半分が水没する(アル・ゴア
『不都合な真実』)
 → 地質学者ドン・イースターブルック「各地の潮位データを総合する
と、1850年から現在まで、10年で約1.8センチの一定速度であがって
きました」。地質学者ロバート・ギーゲンガック「海面上昇がいまのペー
スなら、ゴアの『6メートル上昇』は3500年も先のこと」[1,p80]

★北極の氷が減って、シロクマが溺れている。
 → 1950〜60年代のシロクマの数は5千〜1万頭だったが、2016年には
国際自然保護連合が2万2千〜3万1千頭と見積もった。これはシロクマ
研究の権威スーザン・クロックフォード博士によれば「過去50年間の最
高値」[2, p84]。シロクマは温暖化脅威派のアイドル・キャラクターだっ
たが、以降、使われなくなった。

★温暖化でハリケーンや台風が増える。
 → カテゴリー3超のハリケーンは2005〜17年まで米本土には上陸して
いない。NASAハリケーン部門「巨大ハリケーンが12年も『休む』の
は、177年に1度の確率」[2, p185]。ネイチャーハザーズ誌(2017年)

 このように温暖化脅威派が訴えてきた「脅威」は、事実によって次々に
否定されてきたのである。


■3.「彼らは真実を暴かれるのにビクついている」

 こうした科学的研究の蓄積によって、温暖化脅威派から懐疑派に鞍替え
する科学者たちが続出している。

 高名な地球物理学者で環境運動の始祖ともされるジェームス・ラブロッ
クは、2006年の時点でも「21世紀末までに数十億人が死に、残った少数
のカップルは、気候がまだ大丈夫な南極に移り住む」と警告していた。そ
の彼が2012年にはこう告白している。「温暖化の話で私は誤ったし、人騒
がせもした」[2, p125]。

 ラブロックは言う。「ミスを悟ったら公表する。公表が絶対。そうやっ
て人間は前に進むわけだから」。この良心的な科学者は、いまの温暖化脅
威派をこう評する。

__________
 彼らは真実を暴かれるのにビクついている。なにしろ、まともな研究者
なら、人為的温暖化論に科学の値打ちがほとんどないことを、いやという
ほど分かっているから。[2, 126]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 かつてオバマ大統領が「地球温暖化は未来世代を脅かす緊急課題」と主
張した際にオバマ支持を表明したノーベル賞受賞の物理学者のアイバー・
ジエーバーも、2015年のノーベル賞受賞者会議で「地球温暖化の再考察」
というタイトルで講演し、「温暖化脅威論は、見当外れもいいところ」と
酷評した。[2, 128]

 フランスの名高い地球物理学者クロード・アレーグルも当初、温暖化の
危機を世に訴えていた。それが今や、フランスで最も声の大きい懐疑派に
転向した。「人間が出すCO2が地球を暖めている証拠は、まったくゼロな
んです」。


■4.「温暖化脅威派のさまざまな非行」

 もう一つ、多くの科学者たちを温暖化脅威論から覚醒させたのは、国連
の下部組織「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の腐敗と偏向であ
る。2009年と2011年の二度にわたって、IPCC内部のメールが大量に流出し
た。ニクソン大統領辞任をもたらしたウォーターゲート事件をもじって、
「クライメートゲート事件」と呼ばれる。CBSニュースはこう報じた。

__________
 流出メールは、(温暖化論に対する)懐疑派のデータ開示請求を突っぱ
ね、懐疑派の論文掲載を阻み、グラフの作成手順を隠すなど、温暖化脅威
派のさまざまな非行を教えてくれた。[2, p142]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 2009年11月25日のワシントンポスト紙は一件をこう総括している。

__________
 CRU(気象庁気候研究ユニット)のジョーンズ所長は、「IPCCのルール違
反だが」、懐疑派の論文はIPCC報告書に引用しないのがいい、とメールに
書いた。・・・別のメールでは、懐疑派の目からデータを隠す方法を相談
している。
・・・懐疑派の存在を気にかけていたにせよ、あやふやな部分も多い科学
を誇大宣伝し、あろうことか論争相手の排除に走ったりする研究者集団
は、道をふみはずしたとしか言いようがない。[2, p145]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 気象学者ジュディス・カリーは、2014年に自身のブログでこう記す。
「クライメート事件は私に180度の方向転換をさせた。・・・一件は気象
科学の不透明さをまざまざと教え、気温データの『所有者』は別にして、
気候科学に不快感を覚え始めた研究者が多い」[2, p153] 気温データの
『所有者』とは、不都合なデータを意図的に隠した研究者一派の事だろう。


■5.「きわめつけの人種差別や偽善」

 温暖化脅威論者たちの言行不一致も、多くの人々を離反させる一因と
なっている。たとえば、最大の広告塔たる元副大統領のアル・ゴア。2006
年のオスカー賞をとった映画『不都合な真実』は、ラストシーンで「あな
たは暮らしを変えますか?」と問いかける。

 ゴア自身は暮らしを変えているのだろうか? デイリーコーラー紙によ
ると、ゴアがテネシー州ナッシュビルに構える豪邸(全米3軒のうちひと
つ)は平均的な家庭の21倍もエネルギーを使っている。「温暖化過激派
のゴアは年に220万円も電気代を使うが、環境ホラー話で大儲けしたから
痛くもかゆくもない。2億円未満だった純資産が、2008年には30億円に
も増えたから。」

 ウガンダの活動家フィオーナ・コブシンギェ女史もこう批判する。

__________
 アル・ゴアも国連気候変動枠組条約のイボ・デ・ブア事務局長も、省エ
ネが大事だと説く。でも皆さんに言いたい。アフリカ人は、正真正銘の省
エネ暮らしだからこそ飢えている! ゴアが一週間に使う電力は、ウガン
ダ国民2800万の一年分より多い。[2, p276]
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 ゴア批判の極めつけは、彼が2014年にアフリカの人口を減らして温暖化
の悪影響を減らす「妊娠管理」案を、世界経済フォーラムで提唱した時の
ことだ。ゴアは「21世紀中期にはアフリカの人口が中国とインドの合計
を超す。真剣に考えましょう。・・・異常気象で世界が壊滅しないよう、
産児制限すべきです。」

 これに噛みついたのが元ハーバード大学の物理学者ルーボス・モートル
だった。「4人も子をもつ人間が他国の産児制限を叫ぶのは、きわめつけ
の人種差別や偽善だろう」。


■6.「うまくやれる」と中国を絶賛

 問題は、温暖化脅威派が、なぜデータ隠しや懐疑派の弾圧をしてまで、
地球温暖化を訴え続けるのか、という点である。最も単純な動機は金儲け
だろう。人々の不安を煽って、講演や著書、映画で儲ける。ゴアの純資産
が2億円未満から30億円にもなったというのが、その一例である。

 しかし純粋な金儲けとも違うのは、「人類の危機を救う」という大義名
分(と見える看板)を掲げて、人々から金を集めている点だ。ゴアがノー
ベル平和賞をとったのも、その最高の成功事例だろう。

 温暖化は学者たちが研究費を獲得するにも恰好のテーマでもある。マサ
チューセッツ工科大学の気候学者リチャード・リンゼンはこう語っている。

__________
 温暖化研究者の大半は、湯水のような研究費がほしいだけ。研究費は政
府がほぼ全部を握る。大金を使う研究者は、温暖化が深刻な問題だと言わ
なきゃいけない。とりわけ若手なら、脅威論に反発するのは自殺行為にな
る。[2, p241]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 リンゼンは温暖化脅威論を唱える国連や各国政府の官僚たちの狙いをこ
う見透かした。「官僚は民の支配を生きがいにする。そのネタに人為的温
暖化説がぴったりなのだ」[2, p212]。これを実証する事例がある。

 国連気候変動枠組条約(FCCC)の事務局長クリスチアナ・フィゲレス女史
は「科学者の声に耳を傾け、トップダウンの改革をする時期だ。地球に生
きる全員の暮らしを見直しつつ、中央管理の形で改革を進めよう」。しか
し、その「中央管理」がなかなかうまく行かない事に、民主主義は温暖化
対策の「足を引っ張る」と嘆き、「うまくやれる」中国を絶賛した。

「民主主義の弱点がない中国の政治システムなら、法律をつくるのも政策
を進めるのも簡単とフィゲレス事務局長は語った」とブルームバーグ
ニュースは報じた。二酸化酸素排出量は世界最大であり、環境破壊は世界
最悪レベルの中国の政治システムが、どうして「うまくやれる」と評価で
きるのか理解不能だが、これほど事実を無視した官僚に「中央管理」され
たら、世界はたまらない。


■7.真に「セクシー」な取り組みとは

 そのフィゲレス女史と並んで、海外初デビューの小泉進次郎・環境大臣
が記者会見をし、「気候変動のような大きな問題は、楽しく、かっこよ
く、セクシーであるべきだ」と述べて、炎上した。「セクシー」というの
は、もともと女史の発言を引用したもので、普通の英語なら「クール
(かっこいい)」と言うべき所だった。

 しかし、その後がもっとまずい。「脱火力発電に向けて、今後どうする
のか」と質問されると、「私は先週(環境相に)なったばかりで……」と口
ごもる。こういう所に、日頃の不勉強のほどが露顕してしまう。

 日本の環境大臣なら、拙著『世界が称賛する 日本人が知らない日本』
[b]で述べたように、日本が緑被率(国土の中の緑地の割合)については
OECD加盟先進国の中でフィンランド、スウェーデンに続いて3位であ
り、しかも人口密度は両国の15倍から20倍である事こそ「クール」で
あると、誇って欲しかった。

 そのクールさの源は新著『世界が称賛する 日本人が知らない日本2 
「和の国」という『根っこ』」[c]で述べたように、世界の4大文明がこ
とごとく環境を砂漠化してしまったのに対して、縄文時代以来、1万数千
年維持してきた自然との「和」の賜であり、しかも我々の先祖はその過程
で世界最古の土器を生み出して食材の保管や煮炊きに使うなど、技術革新
を続けてきた。

 これからの我が国も、この「自然との和」を「根っこ」として、集合住
宅やビルの木造化を推し進め、5Gを活用した在宅勤務などで人口の地方
分散を進めていきます、などとアピールしたら、本当に「クール」だった
ろう。

 人口爆発の中でいかに自然と調和した豊かな生活を実現するのか、この
人類の真の課題が、今の「温暖化騒動」ではなおざりにされている。その
ための智恵を生み出し、お手本として世界に示す責務が日本にはある。
    
     

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重 要 情 報
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◎本日(10月10日)の貴誌にて、伊勢雅臣氏の「おもてなし」に関するご文
章には、まことに啓発されました。

それは武士道にもつながる、尊い真理であります。

その一つの実例を、大東亜戦争中、スラバヤ沖で敵兵422名を救った駆逐
艦「イカヅチ」の艦長であった工藤俊作中佐の義挙に見ます。

彼はイギリスの軍艦を攻撃して多数のイギリス兵が海上に漂流するのを発
見するや、直ちに全員を救助したのでした。その時のイギリス将校に対し
て発した彼の言葉「貴官らは勇敢に戦った。今日から貴官らは、本艦のお
客様である」といふ言葉に、「おもてなし」の神髄が現れてゐます。↓

https://matome.naver.jp/odai/2137740718175994801

私も最近、55年ぶりにアメリカのハイスクールのクラス会に出席し、そ
こに「和魂」を見ました。それは74年前に終った戦争の「荒魂」が「和
魂」に変る時でもあったのです。以上


◎吉野彰氏は「コングラチュレーションと来た」と言われた:前田正晶

旭化成の名誉フェローである吉野彰氏が、この度ノーベル化学賞を受賞
された。誠に結構なことであると心からお祝い申し上げたい。遺憾なが
ら、私は余りリチュームイオン電池のお世話になっていない生活をしてい
るので、この度の受賞でお恥ずかしながら初めてその偉業を知り得たほど
時代遅れなのである。

そこで件名の何が「揚げ足取りではない」のかと言えば、吉野氏が「コ
ングラチュレーションと来た」と言われたことを指しているのだ。この辺
りが私が常に指摘してきた我が国の英語教育の至らなさの残念な表れであ
り、カタカナ語製造業者たちの文法無視の悪影響が見えているのが残念な
のだ。この「お目出度う」を意味する“congratulation”という単語はおし
まいに“s”を付けて“congratulations”のように複数形で言うのが普通なの
である。ところが、乱用されているカタカナ語では「コングラチュレー
ション」のような単数形が普及してしまっている。誠に遺憾千万だ。

吉野彰氏は理工系で京都大学の大学院のご出身である。それだけ学問に
集中されてきた方でも、このように複数形で使われるべき言葉を何の躊躇
いもなく「コングラチュレーション」と言われた。私が知る限りのスエー
デン人たちの英語力の水準は高く、電話で授与を通知された際に「コング
ラチュレーション」と言ったとはとても考えられないのだ。「吉野氏のご
専門の分野のことではないのだから揚げ足を取るな」と言われそうだが、
私は揚げ足を取っているつもりは毛頭なく、我が国の英語教育の至らなさ
とカタカナ語製造業者たちを非難したいのである。

今更、彼ら業者を批判しても詮無いことだが、彼らはこのように“s”を省
いて複数と単数の概念を無視するし、過去形も現在形も忘れているし、英
語の読み方を未だにローマ字式にするは辞書を見たことがないのかと言い
たくなるほど出鱈目だし、勝手に奇妙な造語を産み出す等々、英語教育に
負の貢献をすることに専念している。それを咎め立てもせずに乱用するマ
スコミも無教養の輩の集合体だと批判したいのだ。余計なことだが、もう
一つ複数形であるべき例を挙げれば、「弔意」を表す“condolence”も複数
扱いにするのが普通なのだ。

念の為、再度申し上げて置くが、私には吉野彰氏を批判する意図は毛頭
ない。我が国の英語教育の至らなさと誤ったカタカナ語の乱用を戒めてい
るつもりだ。



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身 辺 雑 記
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11 日の東京湾岸はまたまた曇天、がっかり。

10日の東京湾岸は久し振りの快晴、爽快。

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