政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針5138 号  2019・8・16(金)

2019/08/16



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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5138号
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         2019(令和元年)年 8月16日(金)




   雀庵の「福沢諭吉翁の無血革命」:“シーチン”修一 2.0

           「恒豊銀行」を省政府が救済:宮崎正弘

       中国国防白書、対米戦勝利への決意:櫻井よしこ    
         
    
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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雀庵の「福沢諭吉翁の無血革命」
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    “シーチン”修一 2.0



【Anne G. of Red Gables/11】菩提寺の施餓鬼法要はすさまじい暑さの中
で厳粛に行われた。檀家のヂヂババは正面の広い軒下の陰にひしめき合っ
て熱射病を避けている。木陰に座り込んでいる老人もおり、小生同様に
「お施餓鬼に来るのは今年で終わりだろうなあ」と思っている様子だ。

わが街は北は多摩川、南は多摩丘陵で、その真ん中を東西に用水路が流れ
ている。お寺と八幡様は東西南北の中心にあり、大きな木が茂って、そこ
そこ風情を感じさせてくれる。

東側はビルや一戸建てがどんどん増えて空き地は少ないが、西側は結構空
き地や生産緑地がある。用水路の桜並木は東側が満開になり、その1週間
後に西側が満開になるから、「建物が多いと1〜2度は温暖化する」わけだ。

ヒートアイランド現象は都市部だけではなく、郊外でも人口増と比例して
拡大している。世界中でそれは進行しているから、人口増が続く限り温暖
化は進む。温暖化→エアコン普及→排気熱でさらに温暖化→エアコン普及→排
気熱の悪循環になる。

新橋駅界隈なんて汐留の操車場がなくなりビルの無放図な林立で東京湾か
らの海風もない。そのうち燃え上がるのではないか。新橋演舞場どころか
「新橋炎上」とか。

その前に大地震、大津波で湾岸の無節操な建物は一掃されるかもしれな
い。天災ではなく天罰、ノアの箱舟、ソドム&ゴムラ無差別大量虐殺のよ
うな・・・

明治維新は、「このままの徳川幕藩体制では大国の植民地になりかねな
い、王政復古で夷狄を追い出さなければ日本は潰れる」という危機感が尊
皇攘夷の熱情になったのだろう。戊辰戦争の時でも攻守ともに尊皇攘夷だ
が、佐幕派は漸進主義、討幕派は急進主義で、天皇という兜(錦の御旗)
を取った討幕派は、「尊皇攘夷の総本山」水戸藩出身の慶喜がリングを降
りたから損害少なく勝てたという印象だ。

(戦死者は双方で1.4万人とか。同時期に米国は南北戦争で60万人が死ん
で、これは米国にとっては空前絶後の戦死者。南北の遺恨は移民問題とし
て今でも続いているようだ。北は忘れても南はヤンキーの殺戮、強奪を今
も許してはいまい)

明治政府は見よう見まねで操舵を握ったものの、公武合体の王政復古と
は言え、藩閥役人利権政治、貪官汚吏の巣窟では早急な富国強兵、近代化
はできない。そういう時代に孤高の声を上げ、針路を示したたのが福沢諭
吉翁ら世界を見て回った論客、学者だったろう。

翁の「福翁自伝」を10年ぶりに再読したが、小生の読書力も少しは前進し
たのだろう、以前は「面白いなあ」くらいだったが、今回は史書、歴史の
証言として読むことができた。ちょっと長いが同書の最後を引用する。

<図らずも王政維新、いよいよ日本国を開いて本当の開国となったのは
有難い。幕府時代に私の著した「西洋事情」なんぞ、出版の時の考えに
は、天下にコンなものを読む人が有るか無いかそれも分らず、たとい読ん
だからとてこれを日本の実際に試るなんてもとより思いも寄らぬこと。

一口に申せば西洋の小説、夢物語の戯作くらいに自らしたためて居たも
のが、世間に流行して実際の役に立つのみか、新政府の勇気は西洋事情の
類でない、一段も二段も先に進んで思い切った事を断行して、アベコベに
著述者を驚かす程のことも折々見えるから、ソコで私もまた以前の大願成
就に安んじて居られない。

コリャ面白い、この勢いに乗じて更に大いに西洋文明の空気を吹込み、全
国の人心を根底から転覆して、絶遠の東洋に一新文明国を開き、東に日
本、西に英国と、相対しておくれを取らぬようになられないものでもない
と、ここに第二の誓願を起して、さて身に叶う仕事は三寸の舌、一本の筆
よりほかに何もないから、身体の健康を頼みにして専ら塾務を務め、又筆
を弄び、種々様々の事を書き散らしたのが西洋事情以後の著訳です。

一方には大勢の学生を教育し、又演説などして所思を伝え、又一方には
著書翻訳、随分忙しい事でしたが、是も所謂万分一を勉める気でしょう。

所で顧みて世の中を見れば堪え難いことも多いようだが、一国全体の大勢
は改進々歩の一方で、次第々々に上進して、数年の後その形に顕われたる
は、日清戦争など官民一致の勝利、愉快とも有難いとも云いようがない。
命あればこそコンな事を見聞するのだ、さきに死んだ同志の朋友が不幸
だ、アア見せて遣りたいと、毎度私は泣きました。

実を申せば日清戦争何でもない。ただこれ日本の外交の序開きでこそあ
れ、ソレほど喜ぶ訳もないが、その時の情に迫まれば夢中にならずには居
られない。凡そコンな訳で、その原因は何処に在るかと云えば、新日本の
文明富強はすべて先人遺伝の功徳に由来し、吾々共は丁度都合のいい時代
に生れて祖先の賜をただ貰うたようなものに違いはない。

とに角に自分の願に掛けて居たその願が、天の恵み、祖先の余徳によって
首尾能く叶うたことなれば、私の為には第二の大願成就と云わねばならぬ。

されば私は自分の既往を顧みれば遺憾なきのみか愉快な事ばかりである
が、さて人間の慾には際限のないもので、不平を云わすればマダマダ幾ら
もある。

外国交際又は内国の憲法政治などに就いて其れ是れと云う議論は政治家の
事として差置き、私の生涯の中にでかして見たいと思う所は、

・全国男女の気品を次第々々に高尚に導いて真実文明の名に愧ずかしく
ないようにする事、

・仏法にても耶蘇教にてもいづれにても宜しい、之を引立てて多数の民心
をやわらげるようにする事、

・大いに金を投じて有形無形、高尚なる学理を研究させるようにする事、

およそこの三ヶ条です。

人は老しても無病なる限りはただ安閑としては居られず、私も今の通りに
健全なる間は身に叶うだけの力を尽す積りです>

こう締めくくったのは翁が65歳、維新と慶應義塾創設の1868年から30年後
だった。

「出版業界の豆知識」によると維新前の1866年のベストセラーは翁の「西
洋事情・初篇」、1872年は同「学問のすすめ」、1875年は同「文明論之概
略」、1998年は同「福翁自伝」。いずれもロングセラーだ。1882年にはオ
ピニオン新聞「時事新報」(戦後に産経新聞と合併)も創刊している。

翁は国会開設議論の火付け役であり、警察制度、近代簿記普及などでも尽
力した。時には暗殺の恐怖の中で身を潜めたり、三十六計逃げるに如かず
と走ることもあった。まさに無血革命の雄だ。1901年、68歳で没。

嗚呼、小生も68歳、翁に比べれば月とスッポンどころかスズメで、「何と
なく生きてきた」ような感じがする。なんか恥ずかしいなあ、と。一穴主
義の翁を上回るのは多穴主義くらいで、こんなものはちっとも誇れやしな
い。むしろ恥だ。余命も僅かだろうが、「発狂後の晩年は街のスズメの飼
育に情熱を傾けていました」なんて弔辞を読まれたら恥ずかしくて死にき
れない、往生できない。

ここまで書いていたら消防官の息子が仕事帰りにやって来た。グッタリし
ている。熱中症対応で人手が足りず特別チームを作って対応しているとい
う。夜勤明けでも連続勤務だ。

この際は、せめて他人様の迷惑にならないよう静かに逝けば良しとする
か。己の断捨離、始末は結構難しい。

今日も暑くて外出不可。台風の影響で時々驟雨沛然。発狂亭“毀誉褒貶な
し”雀庵の病棟日記から。

【措置入院 精神病棟の日々(129)2017/1/3】承前【産経】外山滋比古
は「異業種交流」を薦めているが、毛色の変わった人と交わるのはそれな
りに面白いかもしれない。こうした催しは大体、業界団体やシンクタンク
などが提唱し、企業が「できる人材」を送り込んでいるのではないか。そ
れでなければただの勉強会とかサロン、仲良しクラブになったりして、マ
ンネリ化しないか。

そもそも鳶、土工、板前、ホステスと、IT企業の技術者、商社の管理
職、学者、公務員などが、何をテーマに話したりするのだろう。人生観とか?

小生の病棟では女が群れていつも囀っているが、知的でも文化的でもな
く、ホモサピエンスの新種どころか類人猿に先祖返りしているようだ。
時々ギャーッ!と大声で笑い体をよじる。興奮し過ぎるとナースが解散さ
せる。

ワット、エジソン、アインシュタイン、ベル、ゲイツ、ジョブズ、鴎外、
漱石、谷崎、芥川、太宰、川端、荷風、夏彦、トルストイ、ステインベッ
ク、ゴッホ・・・彼らはオシャベリ、雑談を楽しみながら新文化、新技術
を創造、発明したのだろうか。

阿比留瑠偉ボナパルト曰く「決まり切ったきれいごとを述べるような学
者や文化人がバカに見えるようになった」。遂に言ってしまった。が、こ
れこそが日本人、ホモサピエンスの進化ではないのか。

プロの物書きである以上は、読者の興味をそそることを書くのは絶対的
な使命で、あらゆる日常の行動はすべて記事のためであり、“歩くAI”“考
えるレーダー”“忍者のごとくターゲットに迫るスナイパー”ぐらいの心構
えでないといい論稿は創れないのではないか。松陰先生の「狂」のごとく
に。(つづく)2019/8/15



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「恒豊銀行」を省政府が救済
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)8月15日(木曜日)
        通算第6170号  <戦の日>
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 こんどは山東省の「恒豊銀行」を省政府が救済
  山東省政府、43億ドルのキャッシュをぶち込んでデフォルト回避
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山東省の煙台を拠点とする恒豊銀行。経営危機に瀕していたが、山東省政
府が43億ドルをぶち込んでデフォルトを回避させる(財訊新聞。8月
10日)。この追跡記事をアジアタイムズが伝えた(同紙、8月14日)。

山東省政府は融資平台を通じて現金を用立てるが、いったいその資金はど
うやって調達したのか、中国の地方政府の債務だけでも5兆7800万ドルを
超えているというのに?

すでに内蒙古省の包商銀行、遼寧省の錦州銀行に続き、恒豊銀行に突如の
救済が行われたが、今度は中央政府でも4大国有銀行の救済合併でもな
く、地方政府が救済資金をぶち込むという異例の事態。おそらく中央政府
に救済意思がなかったことを物語る。

地方政府の負債は5・78兆ドル。これまでに地方政府の「融資平台」と政
府系企業の倒産は、金額にして5兆ドルを突破している。

一方、平安保険系の平安銀行は37億ドルの社債を株式転換した。転換社
債という遣り方は投資家に疑惑を抱かせるが、新聞報道は控えめ。エコノ
ミストの多くが、こうした最近の金融機関の動きに沈黙を守っている。
 日本の諺に「沈黙は金」って、この場合、当てはまらない。
   
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  ♪
(読者の声1)「名無しさん」が、私の「読者の声」投稿について、次の
ように述べておられるのが目にとまりました。
(引用始め)

「今回は、ジョン・ダワー著:「敗北を抱きしめて」を取り上げておられ
ますが、その内容に対する論評は、殆ど記載されなかった様です。ジョ
ン・ダワー氏は、日本にも居住した経験もある「知日家」ということで、
その著作を読んでみたいと思っておりました。ただ、敬愛する高山正之氏
の著作によると、「とんでもないクワセモノであり、典型的な反日アメリ
カ人にすぎない」ということで、読む価値なしと判断した次第です。」
(引用終り)

私が、「読者の声」においていささか不用意に書名を挙げたことを反省し
ています(なお、ある方からの助言もあり、最近は実名で投稿しています)。

個々には挙げませんが(相当に多い)、この「敗北を抱きしめて」には、
かなり問題のある、偏向的というべき表現が散見されます。「内容に対す
る論評を、殆ど記載しなかった」のはそのためもあります。

ただ占領下の日本社会の写真なども多数掲載されており、私としては、
「敗戦の日」も近い中で、占領下日本の実情の一端を知るために、あくま
でも「資料」として読み返しているわけです。少なくとも、著者による主
観的主張の部分を除けば、資料的価値は高い書物であり、「読む価値な
し」とは思っておりません。

米国人などによる我が国についての叙述については、著者が日本語を解し
ないことか多いことから(ジョン・ダワーの夫人は日本人のようです
が)、限られた既刊の偏向的外国語文献に依拠していることが明白なこと
が多く、読んでいて、腹立たしい思いを抱くことが多いですね。今後とも
に、多くのチャネルを通して、適正な情報を我が国から英語により発信し
ていくという緊要性が強いと痛感します。

このたびの日韓両国の問題などについても、NYタイムズによる偏向的報
道もなされているようで、過去の問題点も含めて、慎重かつ冷静に我が国
の主張を英語により発信して欲しいものと、一市井人として念じるところ
です。(椿本祐弘)


(宮崎正弘のコメント)1990年だったか、91年だったか、アメリカ取材で
ワシントンからロスへ戻り、たまさか、ジョン・ダワーもロス近郊に在住
でしたので、インタビューを申し込んだことがあります。当時、かれはカ
リフォルニア大学サンディエゴ校教授でした。その後、MITへ移籍して
います。

当時から日本では極左の歴史家として知られていたので、当方は意欲満々
でしたが、筆者の簡単な来歴を電話でのべ、アメリカ人学者の紹介者も
あったのですが、インタビューを断られました(苦笑)。



  ♪
(読者の声2)トランプは、中共を追い詰めている様に見えますが、ギリ
ギリの所で見切られている感が有り、今日のレポートの様に今一つ手詰ま
りの様な気がしてきています。

また、Huaweiも打撃は喰らったけど軽傷に見えますし、しぶとそうです。
 現況をどの様に捉えていらっしゃいますか? 機会があれば、触れて頂
くと助かります。(FromA)


(宮崎正弘のコメント)2020年度の大統領選挙対策が濃厚に絡み始めまし
た。対中国政策もトランプは国内景気を睨み、選挙区への梃子入れ重視に
なり、中国はトランプの選挙のアキレス腱を狙い撃ちするでしょう。

トランプの戦略はまだ焦点が絞られていません。というのも、バイデンが
相手と決まったわけではないので。いまのところ、バイデンより左翼の候
補者がなったほうがトランプには有利なので、さかんに極左を非難し続
け、民主党が左傾化して国民から離れるように仕向けてはいますが。。。。


  ♪
(読者の声3)次期駐韓日本大使に冨田浩司氏が内定というニュース。何
故か韓国「聯合ニュース」によるもの。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190814-00000032-yonh-kr

『冨田氏は兵庫県出身で、東大法学部在学中の1980年に外交官試験に合格
し、翌年外務省に入省。英オックスフォード大で語学研修を行った。その
後、総合外交政策局総務課長、駐韓、駐英、駐米公使、北米局長、駐イス
ラエル大使などを歴任。今年は特命全権大使として6月に大阪で開かれた
G20サミットの業務を担当した。義父は小説家の故三島由紀夫氏。』
英米イスラエルとの付き合いが長く、新潮選書からはチャーチルやサッ
チャーの評伝も出しています。
いよいよ韓国切り捨ての最終段階に入ったようです。(PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)サッチャー評伝は読みましたがチャーチルのよう
な悪党のことも出してましたか?

どう描いたか、多少は気になるところ。韓国の論調は「右翼小説家ミシマ
の娘と結婚している」との報道が目立ちますね。

  ♪
(読者の声4)「歴史・公民>第11回 新東京塾」 のご案内です。 <激動
する世界情勢の中での 「日本」 の立ち位置とその使命>
−「現行GHQ憲法」の致命的欠陥(國體・建軍・非常時対処)

             記

日時   9月23日(月・休日) 13時00分〜16時30分
会場    文京シビックセンター ・ 4階 シルバーホール
 1)基調講演 (13:10〜14:00)
「第9条は占領軍の本来の解釈に戻さなければ改正はできない」
             講師 : 杉原誠四郎氏 (つくる会顧問・前
会長)
  2)鼎 談(パネルディスカッション) (14:15〜15:45)
「現行憲法の致命的欠陥(國體・建軍・非常時対処)」
鼎談者 : 荒木田修氏(つくる会理事・弁護士)
       杉原誠四郎氏(つくる会顧問・前会長)
        茂木弘道氏(つくる会会員) コーディネーター
  3)質疑応答(15:45〜16:25)
応答者 : 三講師(荒木田氏、杉原氏、茂木氏)
     司会: 荒木紫帆女史(つくる会 会員)
会 費  研修会 1,000円 (予約優先で、概ね100名まで)
    懇親会 4,000円 (近傍の居酒屋 予約制で、30名まで)
主催   新しい歴史教科書をつくる会 東京支部
連絡先  加藤幸太郎 TEL090−9244−2096
FAX 03−5993−1287
MAIL  2740kxuy@jcom.zaq.ne.jp

   
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中国国防白書、対米戦勝利への決意
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          櫻井よしこ

中国が7月24日、4年ぶりに国防白書、「新時代における中国の国防」を発
表した。米国への強烈な対抗意識を剥き出しにした同白書は、2017年12
月、トランプ大統領が発表した「国家安全保障戦略」、続く19年1月に米
国防総省が発表した「中国の軍事力」の報告に、真っ向から対抗するものだ。

トランプ政権は中露両国を米国の安全と繁栄を侵蝕する脅威だと定義し
た。国際法や戦後の世界秩序を否定して、力で現状変更を試みるのが中国
を筆頭とする国々だと名指しで非難し、米国主導の体制を守り通さなけれ
ばならないと謳い上げたその米国に、中国が立ち向かっているのが今回の
白書である。

同白書は、新時代の中国の国防は習近平国家主席の「強軍思想」に全面的
に従うことによって成されるべきだと繰り返し、強調している。

「戦えば必ず勝つ」強い軍を作るために高度の技術革新を行い、情報化を
徹底して「軍事革命」を完遂することを掲げている。

目標は2020年までに戦略構築能力を顕著に磨くこと、35年までに軍事戦
略、軍組織と人材、武器装備体系の近代化を成し遂げること、21世紀半ば
までに世界最高水準の軍を創ることである。

習氏はなぜ、このようにあからさまに軍拡を強調するのか。理由のひとつ
は、国内政治基盤が盤石ではなく、強気の政策で求心力を高めなければな
らないからだとの指摘がある。習氏の強気の構えが、白書では軍拡の責任
をすべて米国に押しつける形となって表れている。以下のように、米国が
一方的な軍拡路線を突き進んでいると非難するのだ。

「米国の挑戦で主要国間の競合が激化した。米国は核能力を増強し宇宙、
サイバー、ミサイル防衛を進め、世界の戦略的安定を損ねている」

そもそも国際社会の軍事的緊張は、中国が過去30年間、世界史の中でどの
国も行ったことがないような大軍拡を続けてきたことに起因するとの自覚
はどこにも見られない。

「一番ダーティな仕事」

台湾情勢についても、台湾が「米国の影響」を虎の威のように借りて頑強
に独立を志向している、と中国は断ずる。台湾は92年合意を認めず、中国
との関係を切り、独立を手にしようとする。憎悪の対立を深めるこれら分
離主義者は中国の安定を最も深刻かつ直接に脅かすと、言葉の限り、非難
している。チベット独立、東トルキスタン(ウイグル)独立も中国の安全
保障と社会の安定において同様に脅威だと非難する。

米国を秩序と安定を乱す勢力として厳しく責めるのとは対照的に、中国自
身の軍事力はあくまでも防衛と平和維持のためだと言い張るのだ。

たとえば第一章の「国際安全保障の状況」の中では、「アジア太平洋諸国
は運命共同体の一員としての自覚を強めている」として、南シナ海の情勢
をバラ色に描いている。

「南シナ海情勢は安定しており、沿岸諸国のリスク管理は適切になされ、
相違は超越され、均衡と安定、開放性を備えたアジア安全保障の枠組みに
多数の国々が包摂されている」という具合だ。

他国の島々を奪い続ける中国に不満を持ちながらも、弱小国であるが故に
十分な抗議ができないベトナムやフィリピンを持ち出すまでもなく、南シ
ナ海情勢が安定しているとは、中国以外の国々は考えないだろう。

ここで私は、静岡大学教授の楊海英氏が雑誌『正論』9月号で語った言葉
に深く納得する。氏は「中国という国はいつも世界で一番美しい言葉を
使って一番ダーティな仕事をします」と喝破したのだ。

中国の内モンゴルに生れた楊氏は、モンゴルの人々が中国共産党から受け
た信じ難い迫害の詳細な調査を長年続けてきた。だからこそ氏の中国観察
には真の力がある。中国の国防白書には楊氏が指摘したように、背後に暗
い闇を隠した美しい言葉がちりばめられている。

再度南シナ海を見てみよう。日本のタンカーは石油を満載してホルムズ海
峡からインド洋を東進し、マラッカ海峡から南シナ海南端部に入り、台湾
海峡またはバシー海峡を通って日本に到達する。

日本の生命線の一部である南シナ海を、中国は均衡と安定を特徴とする開
かれた海だと白書に謳った。だが、約ひと月前の7月2日、中国は同海域で
対艦弾道ミサイル東風(DF)21Dと、東風(DF)26の2発を発射し
た。対艦弾道ミサイルは中国だけが配備する特殊な兵器だ。

中国大陸から発射されたDF21Dに関しては、江蘇(こうそ)省南京と広
東省韶関(しょうかん)に各々一個旅団が配備されている。射程は1500キ
ロ、南シナ海全域はカバーできないが、空母キラーと呼ばれて恐れられて
いる。

台湾の次は尖閣と沖縄

なぜ、空母キラーか。DF21Dはイージス艦に搭載される弾道弾迎撃ミサ
イルのSM3なら撃ち落とせる。だが、イージス艦に搭載できるSM3の数
は限られており、中国が同時に多数のDF21Dを発射すれば、防御は困難
で空母への大きな脅威となるのだ。

DF26も脅威だ。射程4000キロで、南シナ海全域をカバーする。無論、日
本も射程内だ。核弾頭と通常弾頭の両方を搭載可能で、彼らはこれをグア
ムキラーと呼んでいる。

中国軍は彼らの最新兵器であるこの東風ミサイルを正確に撃ち込むため
に、ゴビ砂漠に空母を象(かたど)った目標を建築し、日々、訓練したと
いう。

こうして見ると、「南シナ海情勢は安定」という中国の主張は、南シナ海
が中国の支配する海になりかけているという意味だと思えてくる。万が
一、そうなった場合、日本のタンカーも商船も負の影響を受けずには済ま
ないのは明らかだ。

南シナ海の東北の出入口に当たる台湾はどうか。習氏は今年1月、台湾は
香港と同じく「一国二制度」を受け入れよ、台湾独立の動きには軍事力行
使の選択は除外できないと演説したが、まったく同じ主旨が白書にも明記
された。

「何者かが台湾の分離独立を目論むなら、いかなる代償も惜しまず、国家
統一を守る」と、蔡英文台湾総統に向けて、青白い炎のような恫喝を放っ
た。台湾が中国の手に落ちれば、次は尖閣と沖縄であり、長崎県五島列島
だと考えなければならない。

中国の白書は実に多くの警告を日本に突きつけている。中国は米国と全力
で覇を競い続けるだろう。当面中国に勝ち目はないが、中・長期的に、仮
に中国が覇者となったとして、その支配する世界は日本やアジア諸国に
とって不幸のどん底の世界になるだろう。一国二制度の実態も、民主主義
を約束する中国の言葉の欺瞞性も、私たちは既に知っている。

だからこそ、我が国は米国との協調を密にし、一日も早く、軍事を含むあ
らゆる面で日本自体の力を強化しなければならない。
『週刊新潮』 2019年8月8日号 日本ルネッサンス 第863号




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重 要 情 報
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◎本誌5137号の酒井勝弘(埼玉工大・名誉)教授の投稿。《助手席の窓を全
開、運転席側の窓を全閉にした状態で、“運転席側ドアに付着している車
内の熱気がドアから剥離しないように”を意識して、運転席側ドアをゆっ
くり開け、その後素早く閉じる。この動作を5回ほど繰り返す》という提案
です。前のドアをゆっくり開け、すばやくバタンと閉じるのです。

酒井教授の提案は・・・その通りです。私も実行しています。上記の説明
文の表現は少し固いけれども効果はてきめんです。「車の中の暑い(熱
い)の、飛んでけ!」「あらあら、飛んでった!」となります。駐車場の
隣の場所のAさんが私の様子を見て「何をしているのですか?」と訊くの
で、「私の友人の大学(名誉)教授が推奨する熱気撃退方法です。やって
みてください」「(大手企業)の技術者だったあなたには、この方法の流
体力学の理論的意味がすぐわかるでしょう」と。

それにしても、残念ながら多くの本誌読者がせっかくの酒井教授の理論的
説明を理解できないと思われます(笑)。でも、私たちは「熱いの、とん
でけ」さえ、そうなってくれれば理論的な講釈までは不要です。「百聞は
一見に如かず」。「やってみなはれ(サントリー創業者 鳥井信治郎)」
です。「あ、できた、よかった!」が一番です。さあ、もう少しです。猛
暑を乗り切りましょう。馬場伯明


━━━━━━━
身 辺 雑 記  
━━━━━━━

酷暑続きの折、15日の東京湾岸は敗戦記念の日の所為か少し涼しかった。
助かった。冷房を停め窓を全開した。メルマガ編集のかたわらレコードを
聴いた。約1000枚あるからしぬまでかけてもぜんぶは聴けないだろう。
                          読者:6001人


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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: 97 点   

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