政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針5134 号  2019・8・12(月)

2019/08/12


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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5134号
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       2019(令和元年)年 8月12日(月)



        こんどはサモアだ 中国の軍港化:宮崎正弘

              喧嘩は済みましたか:渡部亮次郎
       
       中国国防白書、対米戦勝利への決意:櫻井よしこ

          文氏が目指す高麗連邦共和国:阿比留瑠比



                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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こんどはサモアだ 中国の軍港化
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)8月10日(土曜日)
        通算第6167号
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 こんどはサモアだ。中国の軍港化を懸念する米豪の声をよそに
   「カネを運んでくる中国は有り難い」(トゥイラエバ首相)
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 南太平洋の島嶼国家が次々に中国の「赤い魔手」、「紅色のカネ」に取
り憑かれ、スリランカの二の舞。「借金の罠」に落ちようとしている。
エスパー米国防長官は、豪にも飛んでダーウィン基地を視察したおり、中
国の南シナ海から南太平洋海域における中国軍の突出的プリセンスに深い
懸念を表明してこう言った。「肉食獣の経済力」。

 サモアは人口僅か20万人、しかも古くからチャイナタウンがあって、
人口の六分の一は中国人との混血の末裔である。第二次大戦中は、この島
も米豪NZ連合軍の兵站拠点となり、サバイー島のマオタ、マサラ両地区
には空港が造られた。ジャングルの深化を防ぐため、両空港跡地は最低限
度の手入れがなされている。

 この7月にサモアで南太平洋諸国のスポーツの祭典「パシフィック・
ゲーム」が開催された。ところが、このゲームのスタジアムを建設し寄付
したのが中国だった。過去数年、「何の目的か知らないけれど、港湾、道
路、橋梁など現場の看板が中国語になった」。現在、サモアの対外債務は
410億円。このうちの40%が中国からの借入金である。

 首都アビアの港湾整備は日本の援助で粛々と進められた。コンテナター
ミナルが整備され、近くにはも第二の港湾建設が進んでいる。後者に深い
関心を寄せているのが中国である。

 日本は豪、NZに続いてサモア援助では第三位。これまでの無償援助累
積は330億円。技術協力に145億円。とくに小学校の建設に力点を注
いできた。アビアはウボイ島にあり真南はNZ、西隣がフィジー。そして
南島に拡がる諸島が「アメリカ領サモア」である。

それゆえ1997年まで「西サモア」と呼んでいた。
 中国が大々的な近代化工事を請け負っており、西側が「軍港化」の懸念
をよそに、ドゥイラエバ首相は「軍事方面のはなしなどしたことがない」
とメディアの取材に答えている。

   
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読者の声  どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者
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  ♪
(読者の声1)上映会と講演の集い。「Behind the Cove 〜捕鯨問題の謎
に迫る」のお知らせです。

とき    8月23日(金)18:30〜
ところ   文京シビックセンター26階スカイホール
参加料  1,000円(お一人様) 事前予約不要
問い合わせ先  03−3519−4366 email
friendrich2016@yahoo.co.jp
講演    「鯨(げい)は国(にほん)を助く」 (30分)

      The Cove という日本人・日本の文化を侮辱する映画が、ア
カデミー賞を受賞しました。これに敢然と対抗する映画 Behind the Cove
を自主制作したのが八木景子監督です。
 Behind the Cove は国際的にも高く評価され、ロンドン国際映画製作者
祭では「長編ドキュメンタリー最優秀監督賞」を受賞しました。今年の4
月22日Earth Day にはコロンビア大学のメインイベントとして上映され
ました。
 クジラと捕鯨に対する偏見解消に大きな貢献をしている映画です。
 日本は独特のクジラ文化を長い歴史で作り上げてきました。また、戦後
は動物性蛋白の47%をクジラに依存していました。クジラは大恩人
(?)です。
 この映画鑑賞と講演の集いを開催しますので、多くの皆様のご来場をお
待ちしております。
(国民の映画上映会 鯨組)


  ♪
(読者の声2)宮崎先生の御著書、活動を拝察すると、そこには一個の
「自由人」があります。なにか巨大な勢力に仕へることなく、阿ることな
く、自らの志向を持ち、伴走者たちとの協力を惜しまず、ともすれば起き
がちなその摩擦を回避しつつ倦怠無く個としての精神の軌跡を描く。大学
の俸給すら得ず経費を他人に当てにせず自助努力で紡ぎだす。
まさしく自由思想家そのものですね。実はこれは稀有なことです。わたく
したちは良き先達を得ました。不一


  ♪
(読者の声3)貴誌先月でしたか、ベトナムの記事がありました。要する
に米中貿易戦争の高関税を避けるため中国はベトナムでラベルの貼り替え
を行い、「ベトナム製」として誤魔化して対米輸出をしている由ですが、
アメリカはこの措置を傍観しているのですか。(HE生、埼玉県)


(宮崎正弘のコメント)アメリカは全てをお見通しで、船舶輸送は保険な
どの関係から、どのルートで、何がどこで積み替えられたかなど宇宙の偵
察衛星が追跡しています。主たる観察は北朝鮮とイランへの不正輸出ですが。

すでにベトナムからの鉄鋼輸入に対しては「ダンピング」として、400%
の報復関税を適用しています。ハノイ、ダナン、ホーチミン経由の中国製
品の誤魔化し状況も掌握していて、ベトナムに警告しており、『南華早
報』に拠れば、ちかく所謂「ベトナム製品」にも関税を適用する動きがで
ています。

全てに適用となると日本企業とてベトナム工場で作っている電器、繊維、
雑貨など影響がでるでしょう。

      

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「喧嘩は済みましたか」
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     渡部 亮次郎

「喧嘩は済みましたか」と開口一番言ったのはかの毛沢東。田中角栄日本
首相に対してである。角栄氏、ノモンハン事件で陸軍に召集された事は
あったが、中国を訪れたのは初めて。それがいきなり国家主席の開口一番
が「喧嘩」だったから驚いたに違いない。

1972(昭和47)年9月27日、未明のことである。釣魚台の迎賓館で寝ている
ところを起こされての「表敬訪問」、しかも事務方の随員や通訳の同行は
不可。外相大平正芳、官房長官二階堂進の3人だけでの「表敬」。

お気づきのように田中首相は、先立つ自民党総裁選挙に当って「日中国交
即時回復」を訴えてライバル福田赳夫を蹴落として、9月25日、北京入り
を果たし、直ちに首相の周恩来と「国交正常化共同声明」の案文を巡って
「喧嘩」を続けてきた。

「喧嘩」が済んだので毛沢東の「引見」が許されたわけだった。しかし随
員も通訳も連れてゆけなかったから、関係者の殆どが死亡した現在、「証
人」は中国人通訳だけである。

私はNHKを代表して田中首相に同行していた記者だったが、毛沢東の「引
見」は知らされず、夜が明けてからいきなり、カラー写真を手交されて初
めて知った次第。

それはともかく毛沢東はじめ中国人は「喧嘩」抜きの和平はあり得ないと
考えていることである。ところが日本人は「和をもって貴しとなす」とば
かり「隣国」との関係は常に平和でなければならないと考え勝ちである。

民主党政権では菅首相も仙谷官房長官(いずれも当時)も「平和状態」を
いつも望む余り、中国への「刺激」を悉く避け、結局「事なかれ主義」に
陥ってしまっていた。中国に嫌がられながら「尊敬」されているのはただ
一人前原外相(当時)のみである。

中国人は利権が好きだ。だが利権を求めて中国訪問をする政治家を最も軽
蔑するのも中国人である。

日中正常化交渉の時、日本側の条約局長はとうとうと原則論を展開して周
恩来首相を怒らせた。しかし周は陰では「わが方にもあれぐらい骨のある
奴がいたらなあ」と局長を褒めちぎった。

詰まり中国人は、なびいたり媚びたりする相手は軽蔑したり舐めたりする
が心の底では徹底的にバカにする。船長を即時釈放しろといったらすぐ釈
放した菅首相、仙谷官房長官は、表面的には歓迎されているが、心底では
「骨の無い奴らだ」と軽蔑されているのである。

<【北京=大木聖馬】中国外務省の胡正躍・外務次官補は21日、記者会見
で、前原外相の日中関係に関する一連の発言について、「なぜこんなに
(ブリュッセルでの首脳会談で合意した関係改善を)刺激するのか。(前
原外相の発言は)深く考慮するに値する」と述べ、今月末のハノイでの日
中首脳会談の調整に影響を及ぼしていることを示唆した。

胡次官補は、ハノイでの首脳会談開催について、「ふさわしい条件と雰囲
気が必要」とした上で、前原外相が 16日に「(首脳会談開催の)ボール
は向こう(中国)にある。開催時期は焦らなくてもいい」と発言したこと
について、

「中日関係の改善には共に努力しなければならない。なぜ焦らなくてよい
のか。なぜ中国にボールがあるのか」と批判。「こんなにも絶えず、両国
関係を傷つけ、弱め、破壊することに耐えられない」と非難した。(読売)>

これに驚いて菅や仙谷らが前原を抑えさせようと言うのが中国側の狙いだ
が、実際に前原外相を抑えたり、前原自身が萎縮したりすれば心の底から
「くだらない政治家」とバカにされるだろう。

以上は多少の取材経験と、軍隊時代、中国戦線で経験の深かった故園田直
(外相3期)の遺言的警告である。

「尖閣問題棚上げ」を提案してきた中国は、これで日本を油断させ、その
うちに実効支配体制を完成し、どうしても尖閣は勿論沖縄も奪取するハラ
である。菅や仙谷は余りにも中国人を知らなすぎる。

特に仙谷は日本的法体系で中国人を考えることを直ちにやめなくてはなら
ない。2010・10・22



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中国国防白書、対米戦勝利への決意
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           櫻井よしこ

中国が7月24日、4年ぶりに国防白書、「新時代における中国の国防」を発
表した。米国への強烈な対抗意識を剥き出しにした同白書は、2017年12
月、トランプ大統領が発表した「国家安全保障戦略」、続く19年1月に米
国防総省が発表した「中国の軍事力」の報告に、真っ向から対抗するものだ。

トランプ政権は中露両国を米国の安全と繁栄を侵蝕する脅威だと定義し
た。国際法や戦後の世界秩序を否定して、力で現状変更を試みるのが中国
を筆頭とする国々だと名指しで非難し、米国主導の体制を守り通さなけれ
ばならないと謳い上げたその米国に、中国が立ち向かっているのが今回の
白書である。

同白書は、新時代の中国の国防は習近平国家主席の「強軍思想」に全面的
に従うことによって成されるべきだと繰り返し、強調している。

「戦えば必ず勝つ」強い軍を作るために高度の技術革新を行い、情報化を
徹底して「軍事革命」を完遂することを掲げている。

目標は2020年までに戦略構築能力を顕著に磨くこと、35年までに軍事戦
略、軍組織と人材、武器装備体系の近代化を成し遂げること、21世紀半ば
までに世界最高水準の軍を創ることである。

習氏はなぜ、このようにあからさまに軍拡を強調するのか。理由のひとつ
は、国内政治基盤が盤石ではなく、強気の政策で求心力を高めなければな
らないからだとの指摘がある。習氏の強気の構えが、白書では軍拡の責任
をすべて米国に押しつける形となって表れている。以下のように、米国が
一方的な軍拡路線を突き進んでいると非難するのだ。

「米国の挑戦で主要国間の競合が激化した。米国は核能力を増強し宇宙、
サイバー、ミサイル防衛を進め、世界の戦略的安定を損ねている」

そもそも国際社会の軍事的緊張は、中国が過去30年間、世界史の中でどの
国も行ったことがないような大軍拡を続けてきたことに起因するとの自覚
はどこにも見られない。

「一番ダーティな仕事」

台湾情勢についても、台湾が「米国の影響」を虎の威のように借りて頑強
に独立を志向している、と中国は断ずる。台湾は92年合意を認めず、中国
との関係を切り、独立を手にしようとする。憎悪の対立を深めるこれら分
離主義者は中国の安定を最も深刻かつ直接に脅かすと、言葉の限り、非難
している。チベット独立、東トルキスタン(ウイグル)独立も中国の安全
保障と社会の安定において同様に脅威だと非難する。

米国を秩序と安定を乱す勢力として厳しく責めるのとは対照的に、中国自
身の軍事力はあくまでも防衛と平和維持のためだと言い張るのだ。

たとえば第一章の「国際安全保障の状況」の中では、「アジア太平洋諸国
は運命共同体の一員としての自覚を強めている」として、南シナ海の情勢
をバラ色に描いている。

「南シナ海情勢は安定しており、沿岸諸国のリスク管理は適切になされ、
相違は超越され、均衡と安定、開放性を備えたアジア安全保障の枠組みに
多数の国々が包摂されている」という具合だ。

他国の島々を奪い続ける中国に不満を持ちながらも、弱小国であるが故に
十分な抗議ができないベトナムやフィリピンを持ち出すまでもなく、南シ
ナ海情勢が安定しているとは、中国以外の国々は考えないだろう。

ここで私は、静岡大学教授の楊海英氏が雑誌『正論』9月号で語った言葉
に深く納得する。氏は「中国という国はいつも世界で一番美しい言葉を
使って一番ダーティな仕事をします」と喝破したのだ。

中国の内モンゴルに生れた楊氏は、モンゴルの人々が中国共産党から受け
た信じ難い迫害の詳細な調査を長年続けてきた。だからこそ氏の中国観察
には真の力がある。中国の国防白書には楊氏が指摘したように、背後に暗
い闇を隠した美しい言葉がちりばめられている。

再度南シナ海を見てみよう。日本のタンカーは石油を満載してホルムズ海
峡からインド洋を東進し、マラッカ海峡から南シナ海南端部に入り、台湾
海峡またはバシー海峡を通って日本に到達する。

日本の生命線の一部である南シナ海を、中国は均衡と安定を特徴とする開
かれた海だと白書に謳った。だが、約ひと月前の7月2日、中国は同海域で
対艦弾道ミサイル東風(DF)21Dと、東風(DF)26の2発を発射し
た。対艦弾道ミサイルは中国だけが配備する特殊な兵器だ。

中国大陸から発射されたDF21Dに関しては、江蘇(こうそ)省南京と広
東省韶関(しょうかん)に各々一個旅団が配備されている。射程は1500キ
ロ、南シナ海全域はカバーできないが、空母キラーと呼ばれて恐れられて
いる。

台湾の次は尖閣と沖縄

なぜ、空母キラーか。DF21Dはイージス艦に搭載される弾道弾迎撃ミサ
イルのSM3なら撃ち落とせる。だが、イージス艦に搭載できるSM3の数
は限られており、中国が同時に多数のDF21Dを発射すれば、防御は困難
で空母への大きな脅威となるのだ。

DF26も脅威だ。射程4000キロで、南シナ海全域をカバーする。無論、日
本も射程内だ。核弾頭と通常弾頭の両方を搭載可能で、彼らはこれをグア
ムキラーと呼んでいる。

中国軍は彼らの最新兵器であるこの東風ミサイルを正確に撃ち込むため
に、ゴビ砂漠に空母を象(かたど)った目標を建築し、日々、訓練したと
いう。

こうして見ると、「南シナ海情勢は安定」という中国の主張は、南シナ海
が中国の支配する海になりかけているという意味だと思えてくる。万が
一、そうなった場合、日本のタンカーも商船も負の影響を受けずには済ま
ないのは明らかだ。

南シナ海の東北の出入口に当たる台湾はどうか。習氏は今年1月、台湾は
香港と同じく「一国二制度」を受け入れよ、台湾独立の動きには軍事力行
使の選択は除外できないと演説したが、まったく同じ主旨が白書にも明記
された。

「何者かが台湾の分離独立を目論むなら、いかなる代償も惜しまず、国家
統一を守る」と、蔡英文台湾総統に向けて、青白い炎のような恫喝を放っ
た。台湾が中国の手に落ちれば、次は尖閣と沖縄であり、長崎県五島列島
だと考えなければならない。

中国の白書は実に多くの警告を日本に突きつけている。中国は米国と全力
で覇を競い続けるだろう。当面中国に勝ち目はないが、中・長期的に、仮
に中国が覇者となったとして、その支配する世界は日本やアジア諸国に
とって不幸のどん底の世界になるだろう。一国二制度の実態も、民主主義
を約束する中国の言葉の欺瞞性も、私たちは既に知っている。

だからこそ、我が国は米国との協調を密にし、一日も早く、軍事を含むあ
らゆる面で日本自体の力を強化しなければならない。
『週刊新潮』 2019年8月8日号 日本ルネッサンス 第863号



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文氏が目指す高麗連邦共和国
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阿比留瑠比

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が5日、首席補佐官会議で北朝鮮との経済
協力について語った言葉を聞き、文氏が本音を隠そうとしなくなったと感
じるとともに、本気で高麗(コウライ)民主連邦共和国の実現を目指しているの
だなとの印象を受けた。

南北統一を説く好機

もともと北朝鮮のエージェント(代理人)ともサーバント(召使い)とも
いわれる親北派の文氏ではあるが、この日は日本による対韓輸出管理の厳
格化についてこう述べていた。

「南北経済協力で平和経済が実現すれば、われわれは一気に日本の優位に
追い付くことができる」

「今度のことで平和経済が切実であることを再確認できた」

「平和経済こそが、世界のいかなる国も持ち得ぬわれわれだけの未来だと
の確信を持ち、南北が共に努力していくとき、非核化とともに朝鮮半島の
平和の上に共に繁栄できる」

軍事力に特化した世界最貧国の一つと経済協力すれば、どうして日本に一
気に追い付けるのか。核・ミサイル・拉致問題で国際社会から経済封鎖さ
れている国と組んで、一緒に制裁を受ける気だろうか。

文氏がこう訴えた翌日の6日も、北朝鮮は韓国を威嚇する短距離弾道ミサ
イルを発射している。ラブコールを送った相手の北側にはまるで相手にさ
れていないようだが、それでいいのか。

2日に発表した国民向け談話でも、文氏は「厳しい状況にあるわれわれの
経済に困難が加わったが、二度と日本に負けない」と語っていたが、日本
といつ戦い負けたというのか。

突っ込みどころは満載だが、文氏の表情は真剣だった。少なくとも、文氏
は本気でこのように思考しているのだと理解した方がいいのだろう。日本
が輸出管理の厳格化に乗り出したことを、国民に南北統一の必要性を説く
チャンスだととらえている可能性もある。

北提案の下地は着々

1980年に北朝鮮の金日成首席(当時)が南北統一の方策として提案し
た「高麗民主連邦共和国制」の骨子は、その前提条件としてこう記している。

? 朝鮮半島の緊張緩和

? アメリカの干渉中止

? 韓国の民主化実現

 親北朝鮮政権の誕生と親北政策の徹底こそが北の求めた民主化だとする
と、この?~?はもうかなりの部分実現している。

また骨子による統一政府の10大施政方針は次の通りである。文氏が述べた
言葉だと言われても特に違和感はない。

自主性の堅持▽民主主義と民族大団結指向▽南北経済交流と合作▽南北間の
科学・文化・教育などの交流と統一的発展▽南北間の交通・郵便手段の利
用保障▽全人民の生活安定と福祉増進▽軍事的対峙(タイジ)状態の解消、民族
連合軍隊の組織、双方の軍隊の縮小▽海外同胞たちの民族的権利保障▽両地
域政府の対外活動調整と共同歩調▽対外関係において全民族を代表、非同
盟・中立路線堅持、朝鮮半島の平和地帯化――。

東洋史家の宮脇淳子氏の著書によると、1274年の最初の元寇(文永の
役)では、高麗軍だけで8千人がおり、1万5千人の元軍本隊の副司令官
も高麗人だった。

作家で歴史に詳しい八幡和郎氏は、高麗軍は元寇に加わっているどころか
むしろ主力であり、経緯としても高麗が元をけしかけたと指摘し「元・高
麗寇」と呼ぶべきだと提唱している。もしかしたら、文氏が「二度と負け
ない」と語ったのは元・高麗寇のことかもしれない。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

松本市 久保田 康文採録 



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重 要 情 報
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◎「総合的に慎重に検討する」ではYou are not answering my question.
と思われただろう:前田正晶

先頃信任のエスパー国防長官が来訪され、我が政府に“coalition”か
“Marine security initiative”(マスコミの訳語は信用ならないので、英
語のままにした)への参加を要請されたと報道された。それに対する返事
は「総合的に慎重に検討する」だったようだ。永年対日交渉に携わってい
た私には、何が言いたいかが良く解ると思わせる回答だ。

このホルムズ海峡の航行の安全を図ることは、事が石油の輸入となると
中近東に80%も依存している我が国にとっては極めて重要な課題だろう。
しかし、私にはこのアメリカ対イランの対立に端を発した問題は、トラン
プ大統領が核合意からの離脱を表明されたことで発生した問題であり、そ
れ故にトランプ氏は我が国に「自国のタンカーは自分で守れ」と言い出さ
れたのであるとしか思えないのだ。正直に言って「アメリカファースト」
がここにもこういう形で現れた気がしてならないのだ。

私はアメリカ人の思考体系にあっては一旦「アメリカファースト」と打
ち出されて実践されている以上、トランプ大統領の考え方の中では「ジャ
パンセカンド」なのだろうと密かに考えている。何れにせよ、我が国は可
及的速やかに「如何にして航行の安全を確保するか」は焦眉の急であると
思っている。だが、そこには憲法やら自衛隊の行動範囲等々の緊急に解決
を考慮せねばならない課題が、敢えて障害物と言うが、立ち塞がっている
のだ。これはおかしな事で、この際「如何に対応するか」と迷っているよ
うな問題かという気がしてならないのだ。

確かに情勢はやや複雑でアメリカ側の提案に乗ったのはUKだけだし、我
が国にはアメリカ以外からの勧誘もあるようだ。だが、アメリカ式の二進
法的思考体系からすれば「参加するか、しないか」の何れかの回答しかな
いはずの問題に「総合的に慎重に検討する」では問題の核心を外している
としか思えないだろう。初めて日本人の思考体系に直面された新任の国防
長官にとっては「何という回答か」かと当惑もすれば腹も立ったかも知れ
ない。日本との交渉に馴れていれば、“Hey! You are not answering my
question.”と切り込んでいくだろう。

私にはエスパー新長官が何処まで我が国の憲法の問題や自衛隊に課せられ
た制約を事前にブリーフィングを受けてこられたか知る由もないが、日本
的な「白でもなければ黒でもない」という一見時間稼ぎのような回答には
戸惑ったことだろうと思わせている。「何故、いいえ、参加しません。ト
ランプ大統領が言われたように“自国の船は自分たちの手で守りますか
ら。”」という解りやすい答えが出てこなかったかの理由がお解りかなと
思ってしまう。尤も、私如きには何が正解かなどは解らないが。


◎読売巨人軍は巡り合わせのお陰で一息ついたか:前田正晶

まさか、こういうことになるようにセントラルリーグの日程が組まれて
いた訳ではあるまいが、読売は巡り合わせで下位の対戦相手に恵まれて、
首位転落の危機を免れそうである。と言うのは、DeNAに0.5ゲーム差まで
迫られた後は、私は何時までも不調が続くことはあるまいと言っていた
が、5位の中日と6位のヤクルトと当たるようになっていたのだった。中日
とは1勝1敗1引き分けに終わったが、その間に何とDeNAは上り調子の広島
東洋カープと星のつぶし合いをやっていたのだった。

中日は彼らが言う「頭を取ったが、2戦目を捨て試合としたような感があ
り、3戦目に起用した柳が私の見立てでは誤算で引き分けに終わってし
まった」のだった。中日は柳と大野という使える投手がいるが、ヤクルト
は厳しく見れば読売の打線を抑えきれる投手が不在で、眠り続けていた岡
本を立ち直らせそうな打たれ方をして、読売の3連勝もありそうな気配に
してしまった。私の偽らざる感想は「本当に上手く出来た巡り合わせであ
り、こういう幸運が起きるのも彼ら読売の腕のうちか?」辺りになる。

その読売にも問題点なきにしも非ずだと思っている。それは、本来は大黒
柱であったはずの菅野智之がおかしいのである。もう1ヶ月も勝利投手に
なっていないのだ。私は彼を「遺憾ながら良い投手だ」と評価してきた。
私が見る限り彼は「怒り肩」という珍しい体型の投手なのである。何とな
く野球の専門家に聞かされていた投手の要件は「なで肩」である事なの
だ。大方の好投手はこの体型である。次回菅野が出てきた時に良く注意し
て観察して頂けば解ると思う。

その体型だから菅野が不調に陥っているというのではなく、私には現在
の姿は元々そういう傾向があった「体の開きが早過ぎて手投げ」のように
見えていたものが、今や完全な手投げになっていることが増えて、それか
あらぬか制球力(=コントロール)が悪化してしまっている。先日の登板
では解説者も言っていたように「あれほど投球がバラつく菅野を見たこと
がない」というようにキャッチャーがミットを構えていない方向に投げて
いたことが多かったのだ。そこに、私が嫌うFAしたのを高値で買ってきた
山口俊が負傷欠場中では辛いだろうと思う。

だが、原監督はドラフト上位で獲得はしたものの、高橋監督時代にはく
すんでいた桜井や今村を上手に使って凌いで来たが、あけすけに「仲川や
デラロサはいないで欲しい。いるとつい使ってしまうから」などと放言
(だろうと思うが)したほど数はいても、安心して仕える投手が少ないの
だ。即ち、こういう問題を克服しておかないとDeNAや広島に追い付かれる
危険性は残るだろう。そのDeNAも張本勲も指摘したように筒香君に冴えが
ないのは苦しいところだろう。私は彼は上体が巧く回らず手打ちになって
いるので、レフト方向にしか良い当たりが出ないのではと見てる。

広島も極言すれば「鈴木誠也しか安定的に打てる者がおらず、結果的に
は丸佳浩が不在となったアナが埋め切れていないのも痛いし、投手では大
瀬良も野村も昔日の安定感が出てこないので、阪神如きにサヨナラホーム
ランを打たれて負けてしまうような不安定なところがあると言いたいの
だ。結局は読売の強みは「原監督の手腕もあるだろうが、金に物言わせて
他球団からFA選手等を買い集めめたお陰で選手層が厚いことにある」と見
ている。でも3球団が僅かのゲーム差の中にひしめいているのは、見てい
る方には面白くなって大変結構なことだと言って終わる。


◎「総合的に慎重に検討する」ではYou are not answering my question.
と思われただろう:前田正晶

先頃信任のエスパー国防長官が来訪し、我が政府に“coalition”か
“Marine security initiative”(マスコミの訳語は信用ならないので、英
語のままにした)への参加を要請されたと報道された。それに対する返事
は「総合的に慎重に検討する」だったようだ。永年対日交渉に携わってい
た私には、何が言いたいかが良く解ると思わせる回答だ。

このホルムズ海峡の航行の安全を図ることは、事が石油の輸入となると中
近東に80%も依存している我が国にとっては極めて重要な課題だろう。し
かし、私にはこのアメリカ対イランの対立に端を発した問題は、トランプ
大統領が核合意からの離脱を表明されたことで発生した問題であり、それ
故にトランプ氏は我が国に「自国のタンカーは自分で守れ」と言い出され
たのであるとしか思えないのだ。正直に言って「アメリカファースト」が
ここにもこういう形で現れた気がしてならないのだ。

私はアメリカ人の思考体系にあっては一旦「アメリカファースト」と打
ち出されて実践されている以上、トランプ大統領の考え方の中では「ジャ
パンセカンド」なのだろうと密かに考えている。何れにせよ、我が国は可
及的速やかに「如何にして航行の安全を確保するか」は焦眉の急であると
思っている。だが、そこには憲法やら自衛隊の行動範囲等々の緊急に解決
を考慮せねばならない課題が、敢えて障害物と言うが、立ち塞がっている
のだ。これはおかしな事で、この際「如何に対応するか」と迷っているよ
うな問題かという気がしてならないのだ。

確かに情勢はやや複雑でアメリカ側の提案に乗ったのはUKだけだし、我
が国にはアメリカ以外からの勧誘もあるようだ。だが、アメリカ式の二進
法的思考体系からすれば「参加するか、しないか」の何れかの回答しかな
いはずの問題に「総合的に慎重に検討する」では問題の核心を外している
としか思えないだろう。初めて日本人の思考体系に直面された新任の国防
長官にとっては「何という回答か」かと当惑もすれば腹も立ったかも知れ
ない。日本との交渉に馴れていれば、“Hey! You are not answering my
question.”と切り込んでいくだろう。

私にはエスパー新長官が何処まで我が国の憲法の問題や自衛隊に課せら
れた制約を事前にブリーフィングを受けてこられたか知る由もないが、日
本的な「白でもなければ黒でもない」という一見時間稼ぎのような回答に
は戸惑ったことだろうと思わせている。「何故、いいえ、参加しません。
トランプ大統領が言われたように“自国の船は自分たちの手で守りますか
ら。”」という解りやすい答えが出てこなかったかの理由がお解りかなと
思ってしまう。尤も、私如きには何が正解かなどは解らないが。



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身 辺 雑 記  
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12 日の東京湾岸は曇天。
                     読者:6001

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