政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針5123 号  2019・8・1(木)

2019/08/01



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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5123号
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        2019(令和元年)年 8月1日(木)



         GAFAは敵なのか、味方なのか:宮崎正弘

            「08憲章」石平氏の見方:渡部亮次郎
          
     脅威に囲まれる日本、いま安保を考えよ:櫻井よしこ
      
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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GAFAは敵なのか、味方なのか
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月23日(火曜日)弐
        通巻第6153号  増ページ特大号
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 GAFAは敵なのか、味方なのか
  独禁法違反もなんのその、中国に協力する懲りない面々
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GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)への締め付
けが欧米間で進んでいる。

GAFAは国境を無視したかたちで国際的なSNSの拡充、送金の自由、
手数料の低減などを実現する一方で、ハッカー、サイバー犯罪を助長し、
テロ組織への資金供給のネットワーク構築にも結果的に協力することに
なった。

自由主義経済システムから生まれたビジネスモデルが、西側の安全保障を
脅かす脅威となったのであり、歴史のアイロニーかも知れない。

まずG7で協議されている課題はGAFAの「課税逃れ」対策である。

「節税」と「脱税」は区別されるはずだが、GAFAの税金対策は徹底し
ていて、四社で74兆円もの売り上げを誇りながら、巧妙な手口で、本来
収めるべき税金を逃れてきた。

GAFAが法源として弁解・活用したのは、営業の「拠点」が恒久的施設
(PE)でなければ、課税対象とはならないという法律の穴をつき、例え
ばアップルは税率の低いアイルランド子会社を利用、グーグル日本支社
は、シンガポール子会社との間で広告契約として節税していた。
 
G7では、GAFAの課税逃れを見逃さず、先進国が一致して共通ルール
による課税強化策を講じるという方向はでたが、フランスが強く反対し
て、先へ進んでいない。ともかくG7は、危機感の共有で認識を共有した
ことは事実である。
 
G7各国は安全保障上の共通の利害を共有できても、税金では対立する。
2019年7月10日、フランスは米国との事前協議なしに「デジタル課税法
案」を議会通過させたため、税収が減ることになる米国が激怒した。

同月17日からフランスで開催された「G7中央銀行総裁、財務相会議」で
は、この課税問題を集中的に議論したが、まとまりがつかなかった。
 
就中、フェイスブックは問題視され続けてきたデジタル企業であり、規制
強化の方向性はワシントンで明確にでていた。法律制定には公聴会や専門
家のパネルを重なる必要があり、実際の規制強化には1年以上の時間がか
かるとされる。

2018年3月にフェイスブックから8700万人分の個人情報が漏洩したため、
司法省が調査してきた。西側のコンセンサスはプライバシー保護であり、
司法省の調査を待って米連邦取引委員会が制裁金を課すことになる。制裁
金は5400億円相当になると予測されている(すでにフェイスブックは、制
裁金を予測し積立金を準備中である)。


 ▲プライバシーが盗まれても、平然としているフェイスブックのダーク
サイド

GAFAへの規制強化に関しては欧米、ならびに日豪がほぼ共通の懸念を
抱いており、米国では連邦議会とは別にカリフォルニア州は単独で個人情
報保護の新法を制定した。

EU諸国でも個人情報管理を規制強化しており、EUはスマホOSとアプ
リの組み合わせは独占禁止法に抵触するとしてグーグルに制裁金を、フラ
ンスはプライバシー問題でもグーグルに制裁金を課した。

ドイツはフェイスブックの利用者からのデータ収集に対して大幅な制限を
かけ、またEUはインターネット広告問題でグーグルに制裁金を課した。
米FTCもグーグルに2250万ドルの制裁金を課した。

次なる難題はフェイスブックが発行を予定している仮想通貨(暗号通貨)
の「リブラ」をめぐる意見衝突である。

フランスは「通貨主権が侵される怖れが高く、金融システムに深刻な悪影
響がある」と根底からの疑念を表明した。

ムニューシン米財務長官も「国家安全保障上問題が多い」とG7で発言し
た。この文脈から見えてくるのは中国対策と同義語である。
 
フェイスブックは、親中企業として有名である。なにしろCEO夫人は中
国人。ザッカーバーグは何回も中国に通うほどに、依然として中国の巨大
なマーケットを狙っている。

フェイスブックは世界で27億人が利用している巨大デジタル産業だが、個
人情報の漏洩というスキャンダル、そして選挙介入の「前科」があるた
め、米国議会の多くは「フェイスブックは危険である」と批判してきた。

「リブラ」に中央銀行が反対なのは多くの理由がある。

仮想通貨で決済が可能となれば請求書や振り込み手数料が軽減されるもの
の、それはドル、ユーロ、円などの資金需要を減退させる。究極的にはド
ル基軸体制が破綻する。

第一に通貨発行、通貨供給量を決めるのは各国の中央銀行の裁量であり、
仮想通貨が出回ることは経済主権が侵されるばかりか、国家そのものの存
在が問われる。独立国家としての主権が脅かされるからだ。

第二にマネーロンダリングに使われることは明らかであり、監視網がさら
に必要とされる。監査を強化すれば、資金洗浄の手口はますます高度化す
るといういたちごっこが現状だが、銀行を経由しない送金が可能となれ
ば、まともな監査も出来なくなる。

第三にテロリストへ資金が流れる可能性を否定できないことだ。犯罪行為
への送金も可能であり、言ってみれば暗号通貨「リブラ」発行という行為
は、国境をなくすのではなく国家をなくすという過激グローバリズムの権
化と認識されるからだ。


 ▲トランプ政権が迅速に動いた。

リブラ阻止。明確な行動目的を掲げて議会も動き出した。もとよりFRB
は反対の急先鋒だ。そのうえ、米国はリブラが国際的に流通する前に厳し
い規制をかけ國際的な包囲網を形成する方針である。

英国でもカーニー(イングランド銀行総裁)は、資金洗浄対策が不安定
で、事業開始は認められない」と発言している。

7月16日には米上院銀行委員会が公聴会を開催し、フェイスブック幹部を
呼んで、以下の問いかけを行っている。すなわち「マネーロンダリング対
策は万全なのか」「サービスを個人データに収集するのではないのか」
「なぜグーグルは米国を避けて、このリブラの拠点をスイスに置くのか。
課税逃れではないのか」など。

対してフェイスブックのデビット・マーカス副社長は「そもそもリブラは
フェイスブック主導とはいえ、マスターズ、ヴィザ等クレジットカード会
社など28社が参加する「リブラ協議会」のような多国籍企業であり、本
拠をスイスに設置するからにはスイス当局(スイス金融飯場監督寄稿)の
監査に従うし、米国の規則に従う」と明言した。

だが、いまの法体系では独禁法適用しかなく、銀行ではないフェイスブッ
クのビジネスモデルを規制する法律はない。

日本も同じ状況だが、大手SNSの言論空間では保守的な意見を書き込む
とネットから削除される。このような世論操作的な行為が頻繁に組織的に
行われており、グーグルやフェイスブックの言論操作、フェイク情報の垂
れ流しはかねてより問題視されてきた。
 

 ▲グーグルと中国の関係を調べ上げろ

米国の包囲網形成には欧州と日本が同意を示しており、過去の多くの情報
漏洩、個人データの売却ならびに詐欺事件の頻発など、その暗い「実績」
を前にすれば欧米日が、ことのほかフェイスブックに慎重に、否定的にな
るのは当然と言えるだろう。
 
トランプ大統領は「フェイスブックのリブラは信頼性がない。銀行規制を
課すべきだ」とし、パウエルFRB議長も「消費者保護で深刻な懸念を払
拭できない」と牽制した。

またウォーターズ下院金融委員長は「国家安全保障の観点からも開発を一
時中止せよ」。上院のタカ派テッド・クルーズは「反トラスト法に触れる
深刻な問題である」。

「議会と政権が珍しく共闘を演じるのはリブロと中国問題だ」と或る議員
は批判のトーンを高め、「いっそのことリブロ解体が望ましい」とする。

IMFは暗号通貨に関しての報告書をまとめ、金融政策の機能喪失の懸
念、マネーロンダリングの怖れに加えて、銀行業務の縮小懸念をあげた。

以上見てきたようにリブラに関してはフェイスブックだが、ほかにも議会
公聴会にはアマゾン、アップル、グーグルの幹部が召喚され、独占禁止法
抵触、機密情報漏洩、データの流用懸念などについて執拗に質問を浴びせた。
 
トランプ大統領は7月16日に「グーグルと中国の関係」、つまりグーグル
が中国軍に協力している疑惑に対して調査を命じた。
   
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1929回】          
 ――「支那は日本にとりては『見知らぬ國』なり」――鶴見(22)
  鶴見祐輔『偶像破壊期の支那』(鐵道時報局 大正12年)

      △

では、なぜ第2の考えは成り立たないのか。かつて「支那即ち世界であつ
た」。だが、いまや「世界の一部分」であるばかりか「外國の壓迫といふ
ことが支那の政治的大因子であ」り、それ故に「悠長なる無政府状態も、
變遷的過渡期も支那民族にとつては之を續けて行くことが出來ない状態に
なつてゐる」からである。

次に「現状を不滿足なりと爲し革新をしなければならぬといふ説」だが、
今後の変化の可能性について鶴見は「凡そ六つの假定を想像して見る」。
 「その一つは英雄時代の出現である」が、「英雄政治の出現は先づ以て
覺束ないと見る方が穩當である」。

「第二の假定は、英米流のデモクラシー、即ち代議院制度に落付くであら
うといふ説」だが、「支那の如く、英米に全く異なる傳統を有し、國情を
有するところの國に、急に英米流の代議院制度が行はれるといふことは想
像し難きところである」。

「第三に、然らば中央集權に依るところの代議院制度は不可能であるにし
ても地方分權に依るところの聯省自治が可能ではないかといふ問題があ
る」が、その前提としては「支那人が自治の能力を本當に發揮し得る」の
か。加えるに「その自治をしたところの支那人が、果して聯省といふやう
な形で一國を成して存在し得るかどうか」――この「二つの條件」を満足さ
せる必要がある。

「第四に起きる假定は、經濟的立國論」である。これは「政治的に強き政
府を造らなくとも、各地方に産業を興して、支那といふ一個の社會が確立
すれば支那が發達する」という考えだが、ならば「今日直ちに政治的方面
から支那を開發しないでも宜からうといふ」わけにはいかないだろう。

「第五には、昨年華盛頓會議の際、唱へられた所謂支那の國際管理問題で
ある」。その場合、「世界の文明國が公平無私の考を以て支那の爲に政治
を代行する」といふ大前提が必要だが、「列國が果してそれだけの人道的
心持を以て利?を措き、他國の行政を管理し得」るわけがない。それが可
能だったとしても、「國家の體面上」、「支那人は決して之に黙從しまい
と思ふ」。

「第六に起つて來る假定は、支那が凡ての改革手段に失敗したる曉には、
寧ろ露西亞の如く外國との連絡を斷つた一個の社會主義國となることが可
能であるかどうかといふ事である」。当然のように「それは非常に大きな
冒險である」。それというのも、「支那人が果して社會主義の思想を有す
る國民であるかどうか」に加え、「露西亞と異つて支那は外國から侵入さ
れ易き境涯に在る」からであり、であればこそ社会主義化して対外閉鎖を
実行した場合、「外國が之を黙認するかどうか」が「明らかな問題」だか
らである。そこで社会主義化は「成功の可能性が頗る薄弱」と結論づけた。

ところが鶴見の旅行から27年5カ月ほどが過ぎた1949年10月1日、毛沢東に
率いられた共産党は「非常に大きな冒險」の末に、「露西亞の如く外國と
の連絡を斷つた一個の社會主義國」を地上に出現させてしまった。

支那人が果して社會主義の思想を有する國民であるかどうか」に拘わら
ず、「外國から侵入され易き境涯に在」ろうがなかろうが、さらには「外
國が之を黙認するかどうか」の別なく、である。

しかも建国後を振り返ってみると、「先づ以て覺束ないと見る方が穩當で
あ」ったはずの「英雄政治」が毛沢東の手で実践されてしまった。もっと
も毛沢東の治世は独裁政治であったとしても決して「英雄政治」ではない
と否定されたらそれまでではあるが。
 
27年5カ月ほどを間に挟んだ中国の激変を、鶴見はどのように考えたの
か。もっとも日本も、中国をめぐる国際社会の政治力学も激変に継ぐ激変
であったわけだが。《QED》
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読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1)ニューズウィークが特集号を出したMMT理論ですが、
ネットで経済評論家の三橋貴明氏が次のようにスティファニー・ケルトン
教授と講演、対談した成果を書かれています。

1.政府の財政赤字は、政府以外の経済主体にとっての黒字
2.国債発行残高は、政府が支出し、徴税で回収しなかった貨幣の履歴
(歴史的な記録)
3.経済の制約は財政ではなく、インフレ率(リソース、供給能力)
4.徴税は、国民の支出能力を奪い取る装置。消費税増税は消費抑制政策
5.経済がバランスしていれば、財政は赤字でも黒字でも均衡でも良い
6.日本は金融政策で国民の債務を増やすのではなく、財政政策で国民の
所得と自信を増やせ!

日本のマスコミは「黒船」に弱い。おまけに金髪で美人のアメリカ人経済
学者の主張となると、それなりに報じてくれるわけです(ケルトン教授を
お呼びした甲斐があった)。というわけで、「completely wrong(でたら
め)」な主流派経済学を否定するためのレトリック、手法は、なかなか洗
練されています。例えば、MMTの始まりと言える「ウォーレン・モズ
ラー氏の名刺」の話や、国民経済を「シンク(水槽)」にたとえる手法
は、見事の一言です。

【Front Japan 桜】ケルトン教授が明かした政府支出と税金の真実(他)
https://youtu.be/ywx-vplOG60
モズラー氏の名刺やシンクは、早速、チャンネル桜の番組で使ってみまし
た。いや、これは使える! あるいはケルトン教授は「財政赤字」や「政
府の負債(国の借金)」という言葉を問題視しており、この点も三橋が以
前からやっていた活動であり、共感しました。

具体的には、「財政赤字⇒国民黒字」。「国の借金⇒貨幣発行残高」
 いかがでしょう。

財政赤字は「政府以外の黒字」です。厳密には「海外」が入っているた
め、「国民」は不正確ですが、その辺りは理解した上で言葉を変更していく。

あるいは、財政赤字とは、自国通貨建て国債しか発行していない国にとっ
ては、「貨幣発行」に過ぎません。つまりは、財政赤字の積み重ねである
「国の借金(政府の負債)」は過去の貨幣発行の歴史的な履歴に過ぎな
い。つまりは、貨幣発行残高。

MMTは、現代の貨幣はもちろん、経済や財政、政府支出、徴税、国債発
行残高等について「正確な理解」を提供してくれる」(以上三橋氏の意見
を要約しました)。
というわけで、MMT理論、如何でしょうか?(YT生、横浜)

(宮崎正弘のコメント)なにも珍しい理論でもなく、ましてアメリカ人の
発明でもないです。

嘗て丹羽春喜教授が主張していた「打ち出の小槌」論です。政府紙幣を発
行し、経済の需要を高めると景気は恢復する。丹羽先生は1970年代す
でに、限られたデータを元にソ連の崩壊をいち早く予測した人で、アメリ
カでの評価が高かった。
 

  ♪
(読者の声2)貴誌前号のコメント中、川田龍平氏落選と書かれていまし
たが、22日午後になって当選に滑り込みました。(JJセブン)

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(読者の声3)米国憲法では、第2編第1節5項で「出生により合衆国市民
である者またはこの憲法成立の時に合衆国の市民である者でなければ、大
統領の地位に就くことはできない。

年齢35歳に達していない者および合衆国内に住所を有した期間が14年に達
しない者は、大統領の地位に就くことができない」

と規定しており、「出生により合衆国市民である者」(a natural born
Citizen)、「合衆国内に住所を有した期間が14年に達した者」でなけれ
ば大統領にはなれません。「移民」によって成り立ち、その後も移民を受
け入れていこうとする国家を樹立する限り、こうした考慮は必然であった
でしょう。

しかしながら、我が国ではこうした規定はありませんから、帰化した元外
国人でも、国会議員を経て首相にもなり得ます

既に国会議員には多くの「帰化人」が存在すると言われます。また、日韓
の両親の間に生まれたと言われる大物政治家もいるようです。

我が国も、飛鳥時代などには、相当数の帰化人を受け入れてきたと言われ
るかもしれませんが、「国民国家」「福祉国家」となった現在とは問題の
基盤を異にするし、情報的にはもちろんのこと、物理的にも容易に移動、
越境できる現代において、移入者の量的増加、比率増大は、形成された既
成社会の質的変化を軽易に招来することになります。

 移民、帰化人の急増が見込まれる現状を踏まえれば、被選挙権の要件に
ついては、あらためて慎重に検討する必要があるのではないでしょうか。
 親の勤務等の事情から、「外地」で出生した方も多いでしょうから、少
なくとも、公職立候補者の経歴には、「出生地」、「主たる生育地と年
数」は明示されるべきでしょう。「国籍」は変更できますが、「出生地」
「生育地」は不動事実で「変更」できないからです。

「学歴」についても、「最終学歴」だけではなく、初等中等教育を含め
て、できるだけ詳細に開示されるべきです。人間の「経歴」「人物」を評
価するにあたって、「出生地」「生育地」「受けた教育環境」は、決定的
とまでは言えないとしても、重要な要素であることは間違いないことだか
らです。 

一般私人なら、個人情報のコントロール権(プライバシー権)というよう
な問題もあるでしょうし、一般私人がそれらの権利を主張することは、基
本的人権として保護されるべきでしょうが、公選で選出を望むという者
に、名誉棄損の保護法益が制限され、プライバシー権が制限されるべきは
当然であって、個人情報の自己管理権などあり得るわけがありません。
公開された、できるだけ詳細な客観的情報をもとにして、選挙民が被選挙
人の公職適性などを判断するべきであって、被選挙者側が情報操作をする
べきではない。

また、帰化の要件についても議論すべき点が多いと思われます。
米国では帰化の要件として、米国憲法、国旗、国歌への忠誠を誓わせ、公
教育でも日常的に励行されているはずですが、我が国では、国旗、国歌へ
の忠誠どころか、その国旗掲揚、国歌斉唱さえ忌避するような教員が多
数、初等中等教育を担っている。

また忠誠を誓わせるべき憲法も、軍事占領下に占領軍が作成したものであ
るというのが現状です。敗戦後70年の間、正面から向き合うことを避けて
きた、「国家」、「国民国家」とは何か、という問題をあらためて真剣に
問い直さなければならない時期だと思います。「国民国家とは人工的なも
のである」と考えられ、自然に生成されるというようなものではないにも
かかわらず、我が国ではその点に関して、あまりにも無自覚、無定見であ
り、認識不足であったのではないか。

ヨーロッパ大陸、英国、米国などにおける現下の大きな社会問題のほとん
ど全てにおいて、その根底には、「移民」「民族問題」「国民国家とは何
か」という問題が存在していると私は考えますが、我が国は、社会全体を
大きく揺るがすような根源的大問題である「移民」について、欧米の先進
事例について十分に研究することもなく、その社会的影響について十分に
考慮、議論することもなく、対応が軽率過ぎているように私には思えま
す。(椿本祐弘)


(宮崎正弘のコメント)グルジア(現ジョージア)など旧東欧が自由化さ
れたときは、外国帰りがいきなり元首になって、土着の人々と悶着を起こ
したり、この問題を取り上げようとするとメディアは回避したがりますね

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(読者の声4)国際歴史論戦研究所(iRICH)主催の国連人権理事会にお
けるNGOサイド・イヴェントは無事終了し、幸いメディア報道もかなりあ
りました。ご参考までに添付ファイル(産経新聞)とタグ付けで、ご紹介
いたします

このシンポジウムで、韓国側が作り上げた偽りのストーリーを完全に覆す
ようなプレゼンテーションを行いました。

 そこで、iRICHは添付の通り、帰国報告会を、8/6(火)午後3時から、
参議院議員会館で開催いたします。
参考までに御案内申し上げます。
 https://www.sankei.com/world/news/190702/wor1907020038-n1.html
 ・・・『産経新聞』(7/2)
https://this.kiji.is/518894266074891361?c=247599509560559095
 ・・・『共同通信』(7/2)
http://japan-forward.com/geneva-symposium-exposes-the-myth-of-gunkanjima-as-hell-island/
 ・・・”Japan Forward “(7/11)
https://i-rich.org/wp-content/uploads/2019/07/2019-06-06
-産経新聞-UN-徴用工s-1.pdf ・・・『産経新聞』 第一面トップ(6/6)
https://i-rich.org/wp-content/uploads/2019/07/2019-06-07
-夕刊フジ-UN-徴用工-2.pdf ・・・『夕刊フジ』 第一面トップ(6/7)
https://i-rich.org/wp-content/uploads/2019/07/2019-06-10-FNN
-徴用工UNサイドイベント-1.pdf ・・・『FNNプライムニュース・オンラ
イン』(6/10)
https://www.sankei.com/politics/news/190701/plt1907010046-n1.html
・・・『産経新聞』(7/1)
https://japan-forward.com/former-gunkanjima-residents-to-debunk-koreas-false-claims-on-wartime-laborers-at-u-n-side-event/
 ・・・”Japan Forward” (6/12)
https://www.sankei.com/world/news/190712/wor1907120025-n1.html
 ・・・『産経新聞』(7/12)(山下英次)

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(読者の声5)ファーウェイが北朝鮮の通信網構築とメインテナンスを極
秘裡に支援していたと「ワシントン・ポスト」(7月22日)がすっぱ抜き
ました。

同紙によれば、ファーウェイは8年間以上にわたり、北朝鮮の複数プロ
ジェクトで中国国営企業と提携しており、米国の輸出規制に違反する、と
していますが、やっぱりねぁという感想ですね。(KY生、大田区)


(宮崎正弘のコメント)前々から言われていたことで、意外感はありませ
んが、「ワシントン・ポスト」は内部文書を入手した上での報道ですか
ら、噂とは違います。

      
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「08憲章」石平氏の見方

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      渡部 亮次郎

中国の民主化を求める「08憲章」は世界人権宣言採択60周年にあわせ、
2008年12月10日、インターネット上で発表された(AP)

中国の学者や弁護士ら303人が公表したものだが、89年の天安門事件で母
国と「精神的に決別し」、2007年日本に帰化した石平(せきへい)氏は12
日の産経紙上で論評した。

「共産党政権おそらく彼らは、08憲章の発表を中国の発展を阻害しようと
する外国勢力の陰謀だと決めつけ08憲章」の連邦共和構想を「祖国を分裂
させるたくらみだと断罪した上で、いわば愛国主義の大義名分において民
主化運動を潰しにかかってくるのであろう」と分析した。

石平氏はさらに「それでも事態の収拾がつかなくなる場合、国民的なナ
ショナリズム情念をもう1度焚付け、対外的な危機を人為的に作り出すこ
とによって、内部統制を強化して生き延びていくというのは、政権にとっ
ての魅力的な選択肢の一つとなってくるはずである」とし以下のように述
べている。

「08憲章」の原文に接したとき、昔の天安門民主化運動にかかわったこと
のある私は、久しぶりに血が湧くような思いをした。民主化の夢は再び、
かの国の大地で蘇ってくるのか。

「08憲章」の示した民主化の理念と構想は、私たちの時代の単純な「理想
論」と比べれば、実によく成熟して高次元なものとなった。

それは、中国の現状に対する冷徹な分析と、民主化の障害となる諸問題に
対する深い洞察の上、政治・経済・教育・司法・宗教などの多方面におけ
る変革の構想と問題解決の道筋を提示し、中国民主化のための総合的なガ
イドラインを打ち出したものである。

その中で、たとえば「軍の国家化」の主張はまさに現体制の核心部分を突
いた鋭い切り口であり、「連邦共和制」の構想はまた、「中国のような巨
大国で民主化が実現可能なのか」という長年の難題の解消に方向性を示し
た歴史的な突破である。

発起人の多くが天安門民主化運動の中心人物の生き残りであることからす
れば、今の成熟は過去の運動の挫折に対する反省の結果であると思うが、
完成度の高い「08憲章」の発表自体は、民主化運動の一歩前進を示した画
期的な出来事である。

何よりも注目すべきなのは、天安門事件から19年目の2008年に、この「08
憲章」が発表されたタイミングの重大な意味である。

天安門事件以来の19年間、中国の民主化運動が低潮期に入ったことは事実
だが、その最大の原因はやはり、1990年代から始まった市場経済への本格
的な移行と、その結果としての高度経済成長にある。

つまり、時代のパラダイム(思考の枠組み)が「政治」から「経済」へと
変えられていく中、この国のエリートと民衆が富と豊かさを求めて市場経
済の波に呑(の)み込まれていくと、民主化の理想と欲求が徐々に忘れ去
られる。そして高度成長のもたらす経済の繁栄はまた、共産党の一党独裁
に新たな正当化の根拠を与えて政権安定の基盤を作った。

その結果、党と政府の思惑通りに、十数年にわたる「繁栄と安定」の時代
が「めでたく」出現したわけである。

しかしその半面、政治的一党独裁と経済的市場化との矛盾が棚上げにされ
たままの経済成長は、やがて腐敗の蔓延(まんえん)や貧富の差の拡大や
農村の疲弊などの問題を生み出し、経済が繁栄しながらも年間に数万件の
暴動が起きるようないびつな社会を作り出すに至った。

かくて運命の2008年から、肝腎の経済繁栄も陰りを見せ始め、特に08年後
半に入ってからは、「急落」、「減速」、「減産」、「リストラ」、「倒
産」などの不吉な単語が毎日の新聞記事に登場してくる中、十数年間の高
度経済成長はその終焉(しゅうえん)を告げようとしている。

これまで経済の繁栄によって覆い隠されていた社会的諸矛盾が一気に噴出
してきて、経済の後退がもたらす失業の拡大が社会的不安をさらに増大さ
せる事態の発生が必至だ。つまり今度は、「繁栄と安定」の時代に取って
代わって、衰退と混乱の時代が再びやってくるのである。

そうすると、中国はどこへ向かうべきか、という忘れ去られていた根本問
題が再び浮上してきて、変化と改革を求める声は再び時代のパラダイムと
なってくる。

したがって、このような歴史的な節目に堂々と登場してきた「08憲章」
は、まさに中国の直面する難局を打開し、国づくりの新しい道を切り開こ
うとする民主化運動の「再出発宣言」となるのである。

インターネットが発達し、市場経済の広がりが党の直接支配の及ばない自
由空間を作り出したこの時代、彼ら民主派知識人や人権活動家を中軸に、
いびつな経済繁栄から取り残された農民工や都市部労働者、経済衰退の中
で生活破綻(はたん)をきたしていく中産階層、卒業しても職にありつけ
ない大学生、そして「中華帝国」の支配に反発するウイグル人やチベット
人などが、自由・人権・民主の普遍的価値を掲げた「08憲章」の旗印の
元に結集してくるのであれば、それが間違いなく、中国の行方を決定する
大きな流れを作り出していくのであろう。

日本がどう対応すべきかこそはわれわれにとっての大問題であるが、とに
かく、08年12月から、巨大隣国・中国の変革と激動の時代がいよいよ
その幕を開けようとしていることを、まず認識しておくべきであろう。



■天安門事件 1989年6月、中国政府が軍隊を出動させ、民主化を求める
学生らを弾圧した事件。4月15日に急死した中国共産党の改革派指導者、
胡耀邦氏の追悼を契機に、学生らが北京の天安門広場でデモを繰り返し、
党の腐敗を批判する大規模な民主化要求運動を展開。トウ()小平氏ら指
導部は運動を「動乱」と断じ、6月3日夜から4日未明にかけて、軍を動
員して広場を制圧し、少なくとも数百人の死者が出た。


 ■せき・へい 1984年北京大哲学科卒。88年に来日。89年の天安門事件
で母国と「精神的に決別」。95年神戸大大学院で博士課程修了。2007年日
本に帰化し08年拓殖大客員教授。「私は『毛主席の小戦士』だった」
(飛鳥新社)など著書多数。四川省出身。46歳。産経ニュース     
                    2008.12.23 18:18



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脅威に囲まれる日本、いま安保を考えよ
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             櫻井よしこ

7月1日、経済産業省が「大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」
を発表した。韓国向けのフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の輸出
審査の厳格化が内容だ。

これらの戦略物資は、これまで韓国をホワイト国、即ち、貿易管理の体制
が整った信頼できる国であると見做して3年間申請不要で許可していた。
だが後述するように韓国はもはや信頼できる貿易相手ではないと判明し、
7月4日以降、輸出案件毎に出荷先、量などを日本政府に申請し、審査を受
けさせることになった。

「朝日新聞」は同措置を安倍晋三首相による韓国への感情的報復措置とみ
て「報復を即時撤回せよ」と社説で主張したが、的外れだ。そもそも今回
の措置は、「禁輸」ではない。これまでの優遇措置を改めて普通の措置に
戻すだけである。たとえばEUは韓国をホワイト国に指定しておらず、普
通の国として扱っている。日本もEU同様、普通待遇で韓国と貿易すると
いうだけのことだ。

安倍総理は地域の安定を損なう通常兵器や関連技術の移転防止をうたう
ワッセナー協約に日本も入っていることを踏まえ、こう語っている。

「今回の措置は安全保障上の貿易管理をそれぞれの国が果たしていくとい
う義務です。相手国が約束を守らないなかでは優遇措置は取れないのであ
り、当然の判断です。WTO違反ではまったくない」

国連安保理・北朝鮮制裁委員会専門家パネルの元委員、古川勝久氏が
FNNPRIMEで指摘した。

「2015年から19年3月の間に韓国国内で摘発されたのは計156件でした。そ
のうち、実に102件が大量破壊兵器(WMD)関連事件でした」

氏が示した具体例の中には、核弾頭や遠心分離機のパーツ等の製造にも使
用されうる高性能の精密工作機械などがあった。「核兵器製造・開発・使
用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制」(NSG)の規制対象と
なる工作機械類の不正輸出事件も多数摘発されていた。核燃料棒の被覆材
として用いられるジルコニウム(14億6600万円相当)も中国に不正輸出さ
れていた。

北朝鮮のために

不正輸出事件は2015年の14件から、17年及び18年の各々40件超へ、さらに
19年は3月までのわずか3か月間に30件以上へと、文在寅大統領の下で急増
した。日本政府は韓国政府に協議を呼びかけてきたが、「過去3年以上、
韓国政府との意思疎通は困難であった」と官房副長官の西村康稔氏が述べ
たように、文政権は話し合いに応じていない。

ここで私は、文大統領の秘書室長(官房長官)だった任鍾晳(イム・ジョ
ンソク)氏の奇妙な外国訪問を思い出す。17年12月、氏は4日間の日程で
アラブ首長国連邦(UAE)とレバノンを訪れた。当時両国には韓国部隊
が派遣されており、任氏は大統領特使として部隊激励のために中東を訪問
したという。だが大統領秘書室長の外国訪問は極めて異例である。任氏は
文氏の親北朝鮮政策の主導者であり、親北朝鮮のUAEやレバノンで、北
朝鮮の重要人物と接触か、などと取り沙汰されたが、結局、何もわからな
い怪しい訪問だった。

それから間もない18年1月1日、金正恩朝鮮労働党委員長が新年の挨拶で
「平昌五輪に代表団を派遣する用意がある」と発表した。朝鮮半島情勢激
変の始まりだった。このときまでに、韓国は国際社会による制裁破りも含
めて、北朝鮮のためにあらゆる障害を取り除くと、誓約でもしたのではな
いかと疑うものだ。

現在までに文在寅政権は、韓国軍から北朝鮮に対峙する力を殆んどすべて
奪い去った。対北防諜部隊は事実上解体され、韓国は北朝鮮の工作に対し
て完全に無防備だ。

韓国軍の武器装備体系にはイージス艦や潜水艦が含まれるが、海軍力が殆
んどない北朝鮮に対する備えとしては不必要なものだ。韓国保有の「玄武
2号」、射程300キロの弾道ミサイルは射程を更に長くしようと試みたが、
日本への脅威となるとして米国が止めさせた経緯がある。これらの武器装
備は日本を仮想敵国と位置づければおよそ全て納得できる。文政権が韓国
にとっての敵は日本だと見ていると、少なからぬ専門家が考えるゆえんで
ある。

韓国が北朝鮮にさらに宥和的になって、連邦政府などの形で統一に向か
い、大韓民国が北朝鮮に吸収されるとき、60万の韓国軍は日本への敵対勢
力となる。北朝鮮が核を諦めなければ統一朝鮮は核保有国となる。彼らは
前述のように多数の弾道ミサイルを有し日本攻撃も可能である。対する日
本には核は無論ない。弾道ミサイルもない。どのようにしてわが国を守る
のか、心許ない状況の日本に対して、トランプ米大統領の重大発言がなさ
れた。

米国に頼れない状況

6月24日、ブルームバーグ通信がトランプ氏の「日米安全保障条約は不平
等」「米国は日本防衛の義務を負うが、日本にはその必要がない」「日米
安保条約を破棄する可能性」もあるとの発言を報じた。26日にはトランプ
氏自身が「フォックスビジネス」の電話取材に応じて、「日本が攻撃され
れば、我々は第三次世界大戦を戦う。日本を守り、命と、大事なものを犠
牲にして戦う。しかし、我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要が
ない」と語った。大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議後の記者会見で
日米安保条約破棄の可能性を問われ、「全くない、ただ、日米安保は不平
等だ」とも言った。

現実を見れば、安保条約の破棄は見通せる近未来、日米双方の国益上考え
られない。それでもトランプ氏の一連の発言は「本音」であろう。

トランプ氏は、米軍が差し出すのは命だが、日本側は結局、金でしかな
い。「命と金」の引き替えは不平等だと言っているのだ。それに日本は応
えなくてはならない。

さらにもうひとつの問題が生じた。安倍総理がイランを訪問した6月13
日、ホルムズ海峡で日本の石油タンカーが攻撃を受けた。

7月10日には英国の石油タンカーがイラン革命防衛隊の武装船3隻に拿捕さ
れそうになった。英海軍の護衛艦「モントローズ」がイラン船に砲を向け
て警告し、イラン船は退散した。その後、英海軍は新たに駆逐艦「ダンカ
ン」を中東に派遣した。

この間イラン側は一貫して如何なる関与も否定しているが、9日、米国か
ら「有志連合」結成の提案がなされた。その主旨は、各国のタンカーの安
全は各国が守り、米軍は全体の調整をするということだ。

朝鮮半島、ホルムズ海峡、ペルシャ湾、すべてにおいて自国を自力で守ら
なければならない体制に、世界はむかっている。米国との緊密な関係だけ
に頼れない状況が生まれている。如何にして日本を守るのか。それをこの
選挙で問うべきであろう。
『週刊新潮』 2019年7月25日号日本ルネッサンス 第861回


            
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重 要 情 報
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◎「何だかなー」の思いを禁じ得ない再度の変更:前田正晶

僅か実質的に2日間我が家を離れていただけで、こうやってPCに向かって
みて「はて、27日までは何をやっていたのだったか」とボンヤリしてい
る。ボンヤリする為に休養に出掛けたのだったが、その間にほとんど新聞
も何もろくに読まなかったが、何となく何処かでこの新国立競技場関連の
記事を読んだ記憶があるのだ。さらに、往路で新国立劇場の横を通る首都
高を走って「こんな大きな物を作って後はどうする気なのかな」と勝手に
不安に思ったのだった。

そこで、その新国立競技場に関連する記事である。それは一旦は陸上競技
のトラックをオリンピック終了後には潰して、そこにスタンを延ばすとい
う決定はしたが、変更の費用が100億円もかかると判明して方針を変更し
てトラックを残す事に変わったというものだった。その理由は費用だけで
はなく運動競技以外に音楽等の催し物を開催する際にはトラックがあった
方が良いという考えがあったという。「何処の何方が決定された再度の変
更か知らないが、何を間抜けな事を言っているのかな」と言わざるを得ない。

私は以前から指摘して来た事で、旧競技場(霞ヶ丘何とか言うのが正式名
称らしいが)はトラックが設置されていた為に、サッカーやフットボール
の観戦に行くと、スタンドの下の方というか球技を観戦する時にピッチに
近い席に座ると、ほぼ同一平面で観戦する事になって全体の動きが見えな
くなるし、上の方に席に座るとサッカーその他が遙か彼方で球技が行われ
ていて極めて見にくいのだった。何も国立だけに限った事ではないが、我
が国では何故か競技場を作ると陸上競技のトラックを付けたがるのだ。作
る方は球技系の競技が見に難くなる事は一切気にしていない様子なのだ。
困った事だと何時も同志たちと嘆いていた。

私は何も陸上競技を軽視せよと言っているのではなく、フットボール系の
球技を見に来られる方々の見やすさに少しは関心を持てと主張したいだけ
の事だ。もしも陸上競技のトラック種目に関して何か言っても良いとなれ
ば言える事は「オリンピック級の規模のトラックの種目の競技が開催され
る頻度がどれほどあるかを考えよ」という事と、「それほど陸上競技が大
事ならば、それ専用の競技場を建設すれば良いないか。観戦者の為のスタ
ンドとトラックが近い物を作れば良いじゃないか。つい先頃まではマイ
ナーだったラグビーはチャンと秩父宮ラグビー場を持っているように」と
主張したいのだ。

今回は新国立競技場ではオリンピック終了後にトラックを廃止すると聞い
たので、やれ嬉しやと思っていたところにこのニュースで、些か落胆させ
られたのだった。尤もこの歳になってあそこまで行って観戦する熱意も体
力などもうないだろうが、陸上競技ようのトラックを残そうという方々の
運動競技の観戦とは如何なるものかを知らない観戦者に配慮しない非常識
振りが残念だと言いたいのだ。

「またアメリカの話か」と言われそうだが、アメリカに行って野球場でも
フットボール専用の競技場にでも行って見たまえ。この急勾配のすランド
でもしも足を踏み外したいすればそのままフィールドまで落ちていくかと
怖くなるほどだ。あの新国立競技場の問題が起きた時に「設計者には一度
でも良いからアメリカの競技場を見てきて欲しい」と言ったのは「アメリ
かでは観客の為の配慮が為されている」からである。尤も、DeNAが本拠地
にしている横浜スタジアムのスタンドも上の方に上がれば、年老いた脚で
上れば息が切れるほどの急勾配になっているがね。関係者が再検討される
と良いのだがと願っている。



◎トランプ大統領は我が国と韓国の間を仲裁するのか:前田正晶

私は文在寅大統領が在任中は現在の膠着状態というか、彼が如何なる状
況下でも譲歩することもなく、我が国を悪者にし自らの地位と政権の安定
を図り続けると見ている。だが、彼はそれでも我が国の輸出手続き変更に
出会って何とトランプ大統領に仲裁を願い出たのである。多くの専門家や
トランプ政権内にあっても「仲裁はしない方が」との意見が多かったと報
じられているし、産経も「トランプ大統領は我が国からも要請があれば」
と言っておられるようだ。

そういう状況下で私は既に安倍総理はトランプ大統領と可及的速やかに
最低でも電話会談をされて我が国の正当性を理解して貰うべきだとは主張
した。だが、22年以上もアメリカ人の中で彼らの為に働いてきた経験か
ら、彼らの思考体系というか物の考え方は我々とは違うとの厳しい目にも
遭っていたので、安倍総理がトランプ大統領と世界のどの首脳よりも親し
く、多くの局面で有効且つ適切な助言をしてきたという実績があっても、
彼らアメリカ人がそれを多として、安倍総理の顔を立ててくれるという保
証はないかも知れないとの懸念も表明した。

ここで事改めて申し上げて置きたい事は、私のように彼らの一員として
アメリカの為に永年勤めてきたから経験出来たことに基づいて述べている
のであって、理論や理屈を超越している考え方だとご理解願いたいのだ。

何が物々しい言い方になったが、ここから先は軽い読み物としてでもお
読み頂くか、あるいは深刻に受け止められるかの判断はお任せするとし
て、トランプ大統領が仲裁に乗り出されるか否かをアメリカ人独特の二進
法的物の考え方に準拠して読んでみようと思う。お断りしておくが、二進
法では「イエスかノーか」あるいは「進むか進まないか」しかない二択な
のである。外から見ていれば「大胆に決断されるものだ」と見える単純な
割り切り方をするのだ。また、見方を変えれば、その中間や妥協点はない
という前提だ。

先ずは、「トランプ大統領が仲裁されるかされないか」の何れを選択され
るかの設問から。仲介するを選択されるとその次の設問は「安倍総理乃至
は我が国の主張を選択される」か「文在寅大統領の日本悪者説を理解され
るか認められるか」の何れを選ぶかになる。そこで我が国の主張を選択さ
れれば、「韓国に考え直すべし」と勧告されるだろうし、文在寅大統領の
説を採られれば「我が国に韓国をホワイト国に戻すと共に徴用工問題も韓
国大法院の判決を受け入れて賠償せよ」となってしまうかも知れない。こ
の結論で日本、アメリカ、韓国の3国韓の関係が従来通り維持されるだろ
うか。

振り出しに戻って「仲裁しない」を選択されれば、我が国と韓国の間は現
状のままで続き、先日TBSで堤伸輔氏が述べていたように安倍総理と文在
寅大統領の直接交渉というか会談に委ねる方向になってしまうかも知れな
い。それが簡単にできればもっと前にやっていただろうという言い方も出
てくるだろうが、それも一つの解決への道だろう。私はかなりの数の専門
家や評論家が(迂闊に言っているとしか思えない)言う「この問題の落と
し所だの出口」などはあってはならないと主張したい。我が国に妥協すべ
き点だのその余地があるかどうか考えて欲しい。軽い読み物的な考え方の
披露はここまで。

実は私は悲観論者である。先ほどもTBSの関口の時間に出てきた姜尚中氏
が近々ボルトン補佐官が来日すると語っていた。そうであれば、彼は当然
我が国と韓国との間に存在する諸問題について言及するだろう。すると、
私はこの方がトランプ大統領の名代なのかどうか知る由もないが、彼が何
を考えているか解らないし特に強硬派と聞けば、何の確たる根拠もなく不
安に陥るのだ。

現時点では、上述の軽い読み物も含めて悲観論者の考え方と物の見方が杞
憂に終わることを願うだけだ。




◎先進国の問題点を探る:前田正晶

昨日の「景気を考えれば」では触れていませんでしたが、インドネシアや
中国が近年になって導入した新マシンはゴルフクラブにたとえれば、素晴
らしく距離が出る新素材のドライバー、我が国やアメリカの近代化が遅れ
た古・遅・小のマシンはパター程度で距離も出ず精度も低く、その規模自
体も比べものになりません。21世紀の現代ともなれば、パーシモン
(persimmon)のヘッドでステイールのシャフトのクラブは市販されていな
いのと同様に、新興勢力が購入出来るのは最新鋭の(アメリカや我が国に
はない)機械しかなくなっていたのです。

我が国も兎も角、アメリカは古き良き資本主義を後生大事に守ってしてい
ますから、拡大再生産など考えられないほど利益が上がらない業種では、
新規設備投資も既存施設の合理化もしなかった為に、紙パルプ業界では博
物館から借りてきたかと思うような古物化したマシンを低い質の労働力で
動かすのですから、高くて(我が国の優れた紙類と比較すれば)質の低い
製品が出来ていたのも仕方がなかったことでした。

それが為にだけでもありませんが、印刷用紙、新聞用紙、段ボール原紙の
大手メーカーは全てChapter 11という惨状。IPを先頭に我がW社等の大手
は2000年代初頭に全て製紙分野から事実上撤退した形となりました。それ
が時代を先読みしたことでもあったのですが、そこに新興勢力が付け入る
余地が生じたのです。だが、その後輸入紙の攻勢に耐えかねて「国内産業
保護」の名目で関税をかけて守ったにも拘わらず、ほとんどの大手メー
カーが民事再生法申請せざるを得ない状況に立ち至りました。IPもW社も
撤退した後でしたから、輸入紙攻勢による実害はなし。アメリカの自動車
産業はこの前に壊滅していたのような事態の実態を、大統領様はお分りで
はなかったようで。

「そのアメリカがTPPだなんておかしい」と私が言うのはこういう根拠で
す。世界の新たな変化に立ち後れ輸入に頼らざるを得ない状態になってい
て、しかも内需依存の経済でありながら、その不振を打開する為に輸出す
るって言っても、アジアに近い西海岸にはこれという産業はありません。
その筆頭だった我がW社は既に材木会社に本卦還り。我が国の木材関連業
界に一部上場の企業はないのですから、輸出する相手を選ぶのは容易では
ありません。スマホがあると言っても作っているのは最近話題を賑わして
いる台湾の会社では?

労働力の質の問題などは一朝一夕に改善出来るものではない階層の難問を
抱え、国内市場の甘い品質の要求に応えていれば良かった技術力(例え
ば、自動車)の飛躍的な向上を図らずして、高高度工業製品の輸出を増や
すことなどは大雑把に言えばボーイング以外では不可能でしょう。では、
従来の一次産品の輸出を強化することも地元の産業の原料を売り払うこと
になるので、既に中止されたり反対の声も上がっています。だからこそ、
牛肉だの豚肉だのと言っている訳で、この辺りがアメリカの泣き所です。

私はアメリカの牛肉は食べる店を選んで食べれば極めて美味であると知っ
ていますから、牛肉が安値で入ってくることは歓迎です。ではあっても、
一次産品を輸出を促進するのがアメリカの真の狙いであるとは思えないの
です。そうだったならば、TPPで縛ろうと何だろうと、直に相手国に飽き
られてくるだろうと思っております、経験的にも。我が国のように優れた
国産品の品質になれ相手向けの輸出はそれほど簡単なことではないと招致
している企業がアメリカや他の国にどれだけある事か。


◎続・今年のNPBの野球:前田正晶

前回は7月19日だったので、思いがけずに間が空いてしまった。そこで残
りの7球団を冷静なる評論家の目で分析してみよう。いきなり弁解をすれ
ば、どうしてもテレビの中継が読売巨人軍(以後「読売」とする)を中心
にセントラルリーグに偏っている傾向があるので、パシフィックリーグの
球団についての味方は底が浅くなってしまうことを予めご了承賜りたい。
例によって順序不同で行こうと思う。

広島東洋カープ:

新井貴浩と丸佳浩が抜けてしまった為にあれほど不安定なテイームになっ
てしまうとは予想していなかった。だが、3番打者だった丸のアナは7月に
なっても埋め切ることが出来ず、一部には新井という精神的な支柱を失っ
て事も堪えているという見方があるようだ。そこにあの田中広輔の打撃不
振が加わっただけに止まらず、私の評価がそもそも低かった大瀬良大地と
野村祐輔がピリッとしていないのもマイナス材料だったと見ている。それ
に今年はジョンソンにも冴えがないので、投打ともに中心となっている者
がいないのが弱点だろう。

高校からポッと出の小園海斗に頼っていては仕方がないとも言いたい。そ
れにローテーションの中にいる言わば将来は期待出来そうだった二番手の
若手たちも伸び悩んでいるのも痛いと思う。早く3番打者を安定というか
固定させ、外野でも松山や野間のような不安定な者を使わないで済むよう
にしないと、世にも希なFA読売球団に追い付いてリーグ4連覇などは「夢
のまた夢」に終わってしまうと危惧する。俗に「弱り目に祟り目」と言う
が、こんな状態だから緒方監督が誰かを殴ったことなどがすっぱ抜かれる
のだ。「しっかりせよカープ」で締めておこう。

埼玉西武ライオンズ:

ここも何だかスッキリしない存在になってしまった気がしてならない。26
日夜の日本ハム戦で7対0から一気に5点を取って追い付いた辺りは「流石
ライオンズ」と評価する気になったが、その後が余りにも締まりがない負
け方をした。この球団も菊池雄星、浅村栄斗と炭谷銀仁朗に出て行かれた
のが痛手だったと思えてならない。投手陣も締まりがなく多和田信三?に
前年の冴えがなく誰がエースなのかも不明だ。甲子園の優勝投手はプロで
は伸びないという典型的な例のような高橋光成も頼りにはないし、今井達
也も同様。

攻める方でも外崎修汰に3番を打たせていては、いくら秋山翔吾がヒット
を沢山打って山川穂高や中村剛がホームランを量産しても勝ち運には恵ま
れないのだ。今年は辻監督は逆境には弱いのではないのかと思わせられる
負け方が多いと見た。何時までも栗山巧をレギュラーの座を獲られていて
は仕方がないと若手が奮起すべきだろう。この状態では多くの故障者を抱
えても首位にいるソフトバンクホークスに追い付いて連覇をするのは覚束
なくなると懸念する。

東京ヤクルトスワローズ:

7月26日の時点でビリなのは仕方があるまいと思う体たらくだ。兎にも角
にもこれという投手がいないのが先ず問題だ。39歳になってしまった石川
雅規に頼っているようでは仕方がないし、小川泰弘にも現れた当時の神通
力が消えてしまったのも痛手だと見る。かくなる上は何処かの球団のよう
にFA市場から古手を買ってくるか、高校から甲子園に出ておらずに使い減
らされていなかった前途有望な者をドラフトで入れてじっくりと育てるこ
とでも考えないと前途はないとすら言いたくなる。

打つ方でもマスコミがトリプルスリーと称える山田哲人君よりも37歳に
なってしまった青木宣親の方が遙かに頼りになると思わせる。それは山田
君は杉村コーチに付きっきりで育てられていた頃のスエーしないで綺麗に
振れていたバッテイングを忘れたのか、スエーはするは力任せ的に振り回
しているとしか見えない状態であるし、筒香嘉智と同じで「ここぞ」と言
う時は70〜80%の確率で打ってくれないのだ。マークされていることもあ
るだろうが、あれほど雑になって悪球に手を出していては困る。バレン
ティンも良いが外国人独特の気まぐれの面があるので困る。

オリックスバファローズ:

一番に感じることはスターではなかった地味な選手だった人の監督が続い
ていること。不思議なことにテイームまでが地味になってしまったとしか
思えない。オールスターは兎も角として全日本代表に選ばれそうな者が何
名いるかとすら思わせられる。吉田正尚のような豪快に振ってホームラン
を打ってくれる打者はいるが、彼の他に誰がいるかと問いかけられた時に
答えにくいのだ。私は山岡泰輔などは切れ味があって良い投手かと思った
が、未だそれほど勝ってはいないような状況。

申し訳ないことにテレビ観戦が頼りの冷静なる評論家としては、この球
団にはこの程度のことしか言えないのだ。


千葉ロッテマリーンズ:

ここにもオリックスバファローズと似たような印象しかない。井口資仁を
選手からいきなり監督にしたが、高橋由伸とは内容は異なるとは思うが成
績が余りパッとしていないと思う。私はその原因の一つに西武から来た投
手の涌井秀章に老成してしまったというか、西武の頃の切れ味がなく勝ち
星に恵まれていないことを挙げたい。その他には折角荻野貴のように首位
打者への道を走っている者がいても、後に付いていく者が少ないと思う。
鈴木大地も良いとは思うが今の使われ方は「便利屋」の如きだ。

この球団には誰に奮起を求めるべきかが解り難いのだ。監督なのか選手
なのかという意味だ。

東北楽天ゴールデンイーグルス:

ここも強いのか弱いのかが解り難い。名選手ではなかった平石洋介を監督
に任じたので、名監督になってテイームを立派に強化したかと見せた後に
連敗したりするので困る。則本昂大が故障していただけが成績が上がった
り下がったりしてきたことの原因ではないとは思う。ここでも球団結成以
来の者がいるが、テイームの顔となるとか圧しも圧されもしない中心選手
が不在なように思える。あれもこれも田中将大を大決断でアメリカに送り
出してしまったことが原因のように思えるのは誤りだろうか。


阪神タイガース:

最後になって申し訳ないが、ズバリと言って矢野新監督は未だ何をどうす
べきか迷っているようだし、「1回にノーアウトランナー一塁の場面で送
りバントをする」ような野球をやっていてはプロの面白さがない。何時ま
で高校野球の真似をする気かと言いたい。まさか同じ甲子園で野球をやっ
ているからではあるまいな。読売にさえ勝っておけば良いのが野球ではな
いはずだ。それに大山悠輔に4番を打たせておくというか、あの程度の打
率しか残せない者しかいない選手層の薄さが問題だ。何時までも福留孝介
や糸井義男に頼っていては埒があかないと思う。

近本光司、糸原健斗、木浪聖也、梅野隆太郎等々次代を担いそうな者た
ちも良いが、皆小粒に見える気がしてならない。大山にしたところで精々
中粒にしか見えない。全員奮起せよと言って終わる。


◎「有志連合」って何のこと:前田正晶

私は以前から我が国で普及している外国語の日本語訳には面白いという
か、何故原語からそこまで離れた所謂「意訳」のし方をしたのかと言いた
くなる例が多過ぎると指摘して来た。最高傑作は元の表現には何処にも
“international”という言葉が入っていなかったにも拘わらず「国際連
合」とされてしまった“United Nations”を挙げてきた。こう訳したのは何
処の何方か知らないが、私には「何かに気を遣ってこう表現したのであっ
て、敵国条項が存在することなどを一般の国民に見せたくなかったのだろ
う」と勝手に推理している。

仮にこの訳語が存在していなかった場合に、例えば大学の入試問題など
に「“United Nations”を和訳せよ」と出題したら、果たして「国際連合」
と訳せる者がいるだろうか。いる訳がないと思う。他にも幾らでもある。
例えばオリンピックの「聖火」は元はと言えば“Olympic flame”だった。
何処に「聖」という字があったか。

ところで、一躍我が国にとって如何に対応するか、または如何にして自国
のタンカー等を守るかということで、国家の重大な課題となったホルムズ
海峡での「有志連合」って如何なる意味かを考えて見よう。先に言ってし
まえば、この元の英語の意味を考える時に何で「有志連合」となっている
のも興味深く且つ奇っ怪なのである。偶々23日のPrime Newsで、最近ズバ
リと言いたいことを言われるようになった宮家邦彦氏が「有志連合」と訳
したからおかしくなったと指摘されたことに刺激された次第。

元は“coalition”で、以前にも中近東だったかに自衛隊を派遣することに
なった時にも、この「有志連合」が使われていたので、おかしな訳語を作
り出したものだと感心した記憶がある。いきなり例文を出してしまえば、
“coalition government”と言えば「連立内閣」という意味で、何処にも
「有志」は関連していない。ホルムズ海峡の場合には自国乃至は他国の船
舶を守ろう(何処の国か海賊からなのか)という意志を持った国の代表が
集合すれば「有志連合」でも良いのだろうか、“coalition”にそういう意
味があるか辞書を引いてみよう。

Oxfordには先ず名詞として“a government formed by two or more
political parties working together”と出てくる。次は“a group formed
by people from several different groups especially political ones,
agreeing to work together for a particular purpose”とあり、これに
は多少「有志」が入り込む余地があるかと思える。それではとジーニアス
英和をみると「(正式)(党・国家などの一時的)連合、合同、(政治)
提携」とあった。宮家氏が「有志連合何でするから・・・」と批判的に言
われたのは解らないでもない。

マスコミの中の某通信社がそう訳したのか、政府の意向でそうなったかは
知らないが、私には陳腐な言い方で恐縮だが「忖度」したい訳者の意向が
濃厚に出ていると思う。私には外国発の言葉を訳す時に何故ここまで卑屈
になって外国のご意向に阿らねばならないかが解らないのだ。「イランの
脅威から自国船を守ろうとする集団」ではいけないのだろうか。乃至は何
故「自営の集団」にはならなかったのだろうか。何処の国にも「守ろう」
という意志はあるはずだから、“coalition”のそもそもの意味は無視して
「有志連合」としたのか。面白い精神構造だ。

「何だ、結局は英語の講釈だったか」と言わないで頂ければ幸甚だ。



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身 辺 雑 記  
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毎朝都立猿江恩賜公園を散歩しながらセミになかれると暑さが倍増する。
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創刊日:2004-01-18  
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