政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

全て表示する >

頂門の一針5114 号  2019・7・23(火)

2019/07/23


□■■□──────────────────────────□■■□
 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5114号
□■■□──────────────────────────□■■□

        
        2019(令和元年)年 7月23日(火)



雀庵の「Anne G. of Red Gables」開店:“シーチン”修一 2.0

               台湾独立色を鮮明に:宮崎正弘        
              1960年チリ地震津波:渡部亮次郎
     
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雀庵の「Anne G. of Red Gables」開店
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


       “シーチン”修一 2.0

回からタイトルを「拉致:朝鮮半島の闇、日本の闇」から「雀庵の〇 〇」にします。

知性と感性の光輝くコラボ、モード・モンゴメリの名作「赤毛のアン」 (原題 Anne of Green Gables/緑の切妻屋根のアン)シリーズ、さらに自 叙伝的な「可愛いエミリー」シリーズも読了した。

小生の次女は小5の娘に「アン」を読ませたいようだが、高2レベル以上 の言語能力がないと難しいと思う。登場人物が多いし、名前が山田花子鈴 木中村とかで、山田が嫁ぎ先、鈴木が父方、中村が母方とすると、同じ花 子さんでも、呼び名が花子、通称は花ちゃん、花、ハナ、ミセス山田、ミ セス花子、山田花子鈴木とかあり、「山田花子鈴木さん、あんたは武門の 中村家の血筋を引いている山田花子鈴木中村なんやさかい、しゃきっとせ なあかんやろ!」なんて言われたりする。

この他に通称・略称でフレデリックが「テディ」、ウィリアムが「ビ リー」とかで書かれ、日本でも歌舞伎や噺家は「三代目尾上松緑」とか 「四代目古今亭志ん朝」とかがあり、屋号も田舎ではまだ残っている。我 が家は生まれ故郷では「精米」と呼ばれていたし「バロン」(男爵)と呼 ばれている人もいた。分かっている人は分かるが、分からない人は理解す るまで戸惑う。

モンゴメリの作品中でも同じ人がいろいろな名で呼ばれたりするから、 ボーっとしていると訳が分からなくなる。数ページ戻って読み直すことも しばしばだ。小生は言語力はIQ130だから読解力はある方だろうが、それ でもモンゴメリと訳者の村岡花子氏の表現に馴染むには時間がかかった。 慣れればほとんど気にならないが、それなりの高度な読書力は必要だと思う。

話は外れるが、専門分野では専門の言語や隠語、略語を使うから、分か る人は分かるが、門外漢にはチンプンカンプンだろう。「五校とってよう やく責了、下版で2階のプレスのとこで写真と見出し載せて紙型とって、 地下の輪転機の刷り出しをチェックして、ようやく工場を出たら11時。毎 日午前様だよ。編集長に泣きついたら血尿が出たら一人前だってさあ」

古典落語の「金明竹(きんめいちく)」は上方の骨董屋業界の話。

「わては中橋の加賀屋佐吉方から使いに参じまして、先度、仲買の弥市 が取り次ぎました、道具七品(ななしな)のうち、祐乗(ゆうじょ)・光 乗(こうじょ)・宗乗(そうじょ)三作の三所物(みところもん)。なら び、備前長船の則光(のりみつ)。四分一ごしらえ、横谷宗珉の小柄(こ づか)付きの脇差……柄前(つかまえ)な、旦那さんはタガヤサンや、と言 うとりましたが、埋もれ木やそうで、木ィが違うとりましたさかい、ちゃ んとお断り申し上げます。

次はのんこの茶碗。黄檗山金明竹、遠州宗甫の銘がございます寸胴の花 活け。織部の香合。『古池や蛙飛びこむ水の音』言います風羅坊正筆の掛 物。沢庵・木庵・隠元禅師貼り混ぜの小屏風……この屏風なァ、わての旦那 の檀那寺が兵庫におまして、兵庫の坊(ぼん)さんのえろう好みます屏風 じゃによって、『表具にやって兵庫の坊主の屏風にいたします』と、こな いお言づけを願いとう申します」(矢野誠一「落語歳時記」などから引用)

素人にはチンプンカンプン。分かる人には分かるが、漢字があるから何 となく意味は分かるだけで、話(口語、会話)だけならお手上げだろう。 読書も日々訓練しないと読書力は伸びないどころか後退する。文字も書か ないと漢字がどんどん書けなくなるのと同じだ(激しい劣化を痛感した小 生は最近では手紙を書くようにしている)。

才媛モード・モンゴメリは熱烈な作家で、手で下書きを書き、清書はタイ プだった。同時に物凄い読書の人でもあった。モリー・ギレン著「運命の 紡ぎ車」から。

<当然のことながら、非常に多くの役割――母親であり、牧師の妻であ り、作家である――を果たさねばならない生活は・・・有能な家事手伝いが いなかったならば、役割の一つや二つはおざなりになっていたであろう。

忙しさに煩わされ続けた年月を通じて、モードは何とか毎日二、三時間の 時間を工面して執筆時間を確保したのである。

「母は早朝に書き物をしていました」と息子のスチュアートは言っている。

「そして夜遅くに読書をしていました。わたしが覚えている限りでは、 母の睡眠時間は5時間、時には6時間でした。母は乱読家で・・・イギリス 文学の古典はすべて、何度も読み返していましたし、それに、信じられな いほどの記憶力で、シェイクスピア、ワーズワース、バイロンばかりか、 有名なイギリス詩人の作品はすべて、大部分の個所を引き合いに出すこと ができました。

そればかりか、同時代の本、雑誌、新聞のすべてを読み、また、毎日 一、二冊の推理小説を読みこなしていたのです」>

大大好きな可愛い才媛、日本のモンゴメリ、曽野綾子先生みたい。小生 も脳ミソがストップするまで読み続け、書き続けたい、できるものなら 「五箇条の御誓文」をベースにした新憲法の成立を見たいものである。 (これにてモード・モンゴメリの項は終わりにします。ああ面白かった!)

そうだ、わがペントハウスを「Anne G. of Red Gables」にしよう。発 狂亭“気分爽快”雀庵爺(G.)の病棟日記から。

【「措置入院」精神病棟の日々(120)】【2016/12/28】【産経】曽野 綾子(!偶然! 1969年横浜市大入学の小生は商学部で男ばっかり、で、 文学部のミスキャンパス廣瀬綾子ちゃんに懸想。「テニスコートの君は 19、ヘルメットの僕は18、ニッコリ笑って淋しく別れた、本当にはかない 恋だったねえ」。閑話休題)「南スーダンの新橋工事中断 安全優先と国 際貢献との葛藤」、途上国で仕事をすることの、日本人からすれば途方も ない難しさ。

「JICAが日本人職員の安全を優先したのは当然だが、生き延びるだけで、 その人が生きたことにはならない時もある。安全第一の思想では人生は理 解できないのである」

カネない、モノない、ヤルキない、技能もないしモラルもない、治安も ない、あるのは賄賂と汚職、私利私欲、おまけに邪教や部族対立・・・そ ういう国での国際貢献・・・「自己犠牲」とは言うものの「三十六計」逃 げ出したくなるわな。

竹内久美子「正論:勝利のキーワードは『赤』だった」。実力伯仲選手 の試合では赤福の勝率が目立って高い。「アカは強さや支配性を強めてい る。トランプ氏が接戦を制したのは赤いネクタイが威力を発揮したからか もしれない」

牛は赤に興奮し、女は赤い唇で誘惑し、共産主義者は赤旗を振る。勝負 服は赤に限る?! アカになったらアカンデ、塀の内側に落ちるさかいな。

小雲則夫「米を蝕む新手の合成薬物フェンタニル型 中国で製造→韓国 ネット 通販流入確認 車事故より多い死者数 次期政権課題」。「2015 年の合成薬物による死者数は前年より7割も多い9600人で、その大半が フェンタニル型」。

支那による阿片戦争のリベンジのような・・・北京が製造販売を黙認し ているのではないか。

藤本欣也「中朝国境で連行されて」。3時間拘束され、一部の写真を削 除されたという。「国境の警備強化を身をもって知った」、スパイだとし て刑務所送りになりかねないから取材は命懸けだ。北の飢えた兵士が越境 して強盗するそうだから中共も必死なのだろう。

「検証 文革半世紀 中国の未来は――専門家座談会 残る傷 居座る指 導部 共産党に国民不信も民主化遠く」。

産経の矢板明夫氏は1972年天津生まれ、15歳で日本人残留孤児2世とし て千葉県に引き揚げた。その発言「文革により中国人は何も信じなくなっ た。すべての宗教が否定され、毛沢東だけが神様になったが、文革後、毛 もトウ小平によって実質的に否定された。信じられるものがないから、 人々はとても現実的になった。お金や権力をとても重視している」。

「習氏が文革的運動をもう1回やろうとしても、50年前に毛沢東に騙さ れた国民が信用することはないと思う。いま中国で起きていることは文革 的だと言われているが、毛沢東の真似ごとでしかない。そう長くは続かな いと思う」

金野純氏によるとキリスト教徒が急増し、共産党員(8500万)よりも多く なっているという話もあるそうだ。

矢板氏の「連載を終えて」から。

「文革で得した人は誰もおらず、皆が被害者だった。個人崇拝など、 様々な文革的現象が中国に戻ってきたのは、共産党政権が自らの負の歴史 を封印し、文革を推進した毛沢東を否定しなかったことにあるのではない か。それが私が辿り着いた結論だ。紅衛兵世代の習近平自身が毛沢東に憧 れ、毛のような指導者になりたいと考えていることも、大きな原因かもし れない」

今朝も産経は面白かった。

・・・

原野商法などを見ていると、詐欺に遭う人は何回も騙される。支那14億 のうち農民や出稼ぎ労働者など低所得層は7億人(50%)ほどらしい (データがないが何清漣女史は68%=10億だという)が、彼らは低学歴で 情報も限られているために中共の岩盤的な支持層になっているようだ。

支那経済の実態は不明だが、「数字で出世する」国柄で、いい数字を出 さなければ首が飛ぶから、官僚はいい数字を出して高度成長を囃し立てて いたが、近年は北京の意向で少しずつ減らしている。それでもGDPは+6% 台で、14億の国が6%台なら世界経済をグングン牽引しているはずなの に、そんな感じはしない。

プラス成長でもまず上流が美味しい思いをし、下流に届く頃には景気が 減速するというのが日本では当たり前になっているが、支那の低所得層は 依然として「飢えからは解放された」レベルでしかないようだ。エリート 階級も大卒の就職はずいぶんな狭き門らしい。

シンクタンクの東京財団によると「失業者が増え、物価は大きく上昇し ています。経済がスタグフレーションに陥る可能性が高まるなか、中国国 内ではナショナリズムが高まっています」という。

実際、支那の農村は発展どころか逆に疲弊が進んでいるらしい。もとも と生産性が低い「水呑み百姓」で、どうにか息子夫婦が出稼ぎに出てヂヂ ババと孫で細々と営農していたが、出稼ぎ需要が減っているから帰村して きた。ところが農地がない、代わりに「閑居して不善をなす」失業者やゴ ロツキがゴロゴロしており、国破れて山河あり、されど耕す田畑なく、 「中国農村のヤクザ社会化、郷村文化のならず者化現象」(何清漣)は目 を覆うばかりのようだ。

「白樺 青空 南風 こぶし咲くあの丘 北国のああ北国の春」

出稼ぎ者は日本でも支那でもこの歌を歌って涙したものだったが、その故 郷自体がなくなりつつあるのだ。

<中国は、世界第2の経済大国と言いますが、中国の現代経済部門は、 かくも就業チャンスを欠いています。その原因を遡れば、2005年にはじ まった「農村消滅」運動(訳注;都市建設のために農地や農民の住居を取 り壊した)と「嘘っぱちの都市化」なのです。

中国共産主義青年団(共青団)が習近平主席の呼びかけに呼応し「農村 振興プロジェクト」として、2022年前に1000万人以上の青年を「上山下 郷」(下放)すると伝えました。海外の世論は騒然となり、これが毛沢東 時代の文革の「下放」と同様、一千万人の青年が「荒れ地を開墾するため に」農村地域に「下放」されたことになぞらえて伝えられました。o

しかし、調べてみると、この大騒ぎの元となったのは、共青団中央の 「3年で千万人の青年ボランティアを農村へ」という文章で、内容を見る と、毛沢東時代の「下放」とは違っており、「延べ千万人の青年ボラン ティア」は、文化、科学技術、衛生の三つの分野で農村へ一カ月前後の期 間活動するというもので、文革時代の「千万青年が農村に根を下ろす」話 とは大違いです>(何清漣)

今さら共産党から農地を借りて「食うだけで精一杯」の農村振興・・・ カラオケねえ、スナックねえ、電車もバスも見たことねえ、たまに来るの は共産党員、オラそんなのはやだ・・・ってなるわな。

北京は時代錯誤的な「漢服ブーム」でナショナリズムを焚きつけている が、小生の愛した深いスリットはご法度。やることがセコイね。「俺は大 国だ」とえばっていた北京は今や「発展途上国に対して特別な待遇を与え ること。発展は国によって差があることを直視し、発展途上国の発展の権 利を守る必要がある」とWTOに訴えている。昨日はジャイアン、今日は泣 き虫パンダかよ。まったく天に代わってオシオキしないとね。

(つづく)2019/7/21


━━━━━━━━━
台湾独立色を鮮明に
━━━━━━━━━
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月22日(月曜日)
        通巻第6151号  <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 台湾独立色を鮮明に、新党「喜楽島連盟」が誕生
  羅仁貴(長老会牧師)を議長に立法委員選挙に大勢の候補者擁立を宣言
**********************************

7月20日、台湾でまた新党が誕生した。台南を拠点に長老会(プレスビテ リアン)がバネとなって「喜楽島連盟」が結成されたのだ。

初代党主席は台湾長老会派議長の羅仁貴が、200人の代議員の投票によっ て選ばれた。

「来年の立法委員選挙に候補者を多数擁立する」と気勢を挙げた。ただし 蔡英文に挑戦する総統候補は立てない、とした。

台南はもともと台湾独立を鮮明にする本省人の根城のような地区で、台南 市長を務めた頼清徳は首相を辞任して総統候補をきめる党内選挙に臨ん だ。同地のキリスト教会は長老派が圧倒的につよく、蒋介石独裁時代には 教会にあつまって独立派の秘密会合が開催されたという歴史がある。
 
長老会はカルビンの宗教改革を端緒にスイスで発祥し、フランスから英国 へ伝わりスコットランドで拡大定着した。米国にも伝播したのはピューリ タンが持ち込んだからで、このカルビン派系プロテスタントは、ちなみに ニュージーランドの主流キリスト教だ。

台湾へは1865年頃に淡水に上陸し、急速に拡大した。現在、台湾のキリス ト教最大の勢力である。

さて新党「喜樂島連盟」は「反中国併呑」「正名台湾国」「制定新憲法」 「加盟連合国(国連加盟)」をスローガンとしているが、前回選挙で躍進 した「時代力量」や、かつての李登輝主導の「台湾団結連盟」に迫る政治 パワーとなるか、中華思想まるだしだった「新党」や宋楚諭率いる「親民 党」と同様な線香花火で終わるかは、現時点で不明である。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 日本は縄文時代の一万年、徳川時代の三百年、泰平だった
  幕末まで国家論も国防論も、日本人は考えなくても生きてこられた

  ♪
渡部悦和 vs 江崎道朗『言ってはいけない!?国家論』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

本書のカバーデザインをながめて、まことに地味。題名も小さい。著者ふ たり渡部悦和・江崎道朗の名前はもっと小さい。「これでは書店で目立た ないのでは?」と老婆心ながらの第一印象だったが、いや待てよ。これこ そ著者と編集者とデザイナーが意図したものではないのか、と考え直した。

つまりプラトン流の「国家論」などと大上段に振りかぶった政治議論な ど、日本人がもっとも不得手とするからであり、このため、安全保障論議 は論壇の隅っこ、地味なのである。

重要な議論を日本人が避けようとしてきたのではない。関心が薄いのだ。
 選挙で「あなたは何を基準に投票しましたか?」と世論調査をすれば 「社会保障」「年金」「保険」「福祉」「教育」、そして「消費税」であ り、防衛とか改憲とかを判定基準とする人たちのあまりの少なさに呆然と なる。

まるで中国とは正反対である。

CCTVも人民日報も環球時報も、朝から晩まで国家、愛国、国防、党の 団結であり、生活保護、保険、社会保障、環境などの議論は何ほども目立 たないではないか。

米国とて、ミンシュシュギとは言ってもWINNER TAKES  ALLの世界、反対意見は切り捨てる。この点で、中国と似ている。

トランプは国防費を増やそうと言うだけで、国防予算は8兆円も増える (日本の防衛費は5兆円)、「おれは国務省が嫌いだ」と言うだけで、国務 省予算はばっさりと削減された。もっとも国務省をヒラリー商会にしたの はオバマ政権の責任だが。。。

日本は? WINNER TAKES SMALLである。

与党は野党の意見を多く取り入れる。これが日本型の和を以て尊しとな す、まつりごとの基本である。

考えてみれば、日本は縄文時代の一万年、徳川時代の三百年、泰平だっ た。幕末まで国家論も国防論も、日本人は考えなくても生きてこられた。 突如嵐に遭遇すると、日本人は大和魂を思い出し、国学の復興をみるが、 緊張緩和の時代がくると忽ち重要な課題を忘れるという特性がある。

だからトランプは日本の核武装を容認し、安保条約の廃棄を言い出したこ とはペリー来航に匹敵する衝撃になる。だが、目の前の現象しか日本のメ ディアは見ていない。危機と平和が表裏一体であることにまだ気がつかな い。おそらくこのような民族の特質は未来永劫変わらないのではないか。

 前置きが長くなった。さて本書である。
 
アメリカは一枚岩ではないという現実をふたりはまず俎上にあげる。パン ダハガーが進歩的でリベラルな学風を誇るハーバード大学に残存してお り、そればかりか彼らがアメリカの一部の世論をリードしている。

渡部氏の2年の留学経験からハーバード大学の現実が具体的に描写されて いて、そこまで酷いのかという感想とともにアメリカ人の中国観の根底に 流れる考え方がわかる。

世界のエリートがいかなる議論をしているか、国際関係論では親中路線を 突っ走るエズラ・ボーゲル教授らパンダハガー一派が議論をリードし、学 内政治も牛耳っているという実態。中国人留学生らは共産党統一戦線部の
指令にもとづいて、その周りを囲んでいるという怖ろしい現実がある。

ミアシャイマーは、いたたまれなくなったシカゴ大学へ移った。

パンダハガーと見られていたディビッド・シャンボーは親中路線を修正 し、パンダ批判組に合流した。

シャンボーが全体主義体制の続く限り、中国は後退し、萎縮、崩壊すると したことは嘗て小覧でも紹介した。

 以下、アメリカ通のふたりは米国政治の内部分析を克明に続けるのだ が、日本のメディアが伝えていない情報が夥しく、参考意見として傍線を 引き始めたら、本書は朱だらけになってしまった。

外交というのは、軍事力と情報力の両輪で成立する。核の傘に守護された 日本は、アメリカが中国を敵といえば、自動的にその国は日本の敵になる。

国際政治ではパワーというのは軍事力ではなく核兵器を意味する。残置諜 者をスリーピングエージェントなどというのは国際政治の常識だし、日本 の忍者には「草」がいた。じつに戦国時代のほうが、日本のインテリジャ ンス感覚は鋭敏だった。

そして二人は合意するのだ。岸信介政権まで戦前の岩畔、藤原機関の生き 残り、中野学校の生き残りがいたのでアジア情勢は彼らのアンテナから精 度のよい情報がもたらされた。
 
渡部 「日本にもインテリジェンスのノウハウがありましたが、現在と終 戦以前との間に断絶があります。国防に関しては終戦以前のあらゆるもの がタブー視されていますから」。
 

江崎 「戦前との断絶が本当に決定的になったのは後藤田正晴官房長官の 時代、つまり昭和50年代から」。

評者(宮崎)はいまから40年前に、日本でも国防論議を本格化させる必要 があるとする加瀬英明、三好修氏らの呼びかけに応じ、「日本安全保障研 究センター」のボランティア事務局長をつとめ、財団化に奔走した経験が ある。米国のシンクタンクとの交流が深まり、何回か、日米セミナーを開 催したが、10年ほどで活動停止状態に追い込まれた。

第一に米国との税制が異なり、寄付が集まらないこと。ひとくち一万円て いどの会費では、セミナーも開催できない状態だった。

第二に自民党の政治家で真剣に安保論議に呼応できる国際感覚の持ち主が 数名しかいないこと。この寂しき現実はいまもかわらず、「アメリカ通」 を自認する若手の議員でも、じつはアメリカ政治を理解していない。かれ らは「エズラ・ボーゲルはこう言っていた」という口癖がある。

第三に日本の官僚制度では当時、防衛庁は二流官庁とみられており、協力 体制にないこと。とりわけ外務省の非協力的な態度には、エリート特有の 「上から目線」があり、ましてチャイナスクール全盛時代だったから、中 国の軍事的脅威を説くと、私たちの議論をはなから莫迦にしていた。

第四が財界の理解がほぼゼロ、金儲け、目先の決算しか思考範囲にないこ と。かれらは天皇訪中を歓迎したし、工場の進出ばかりを考えて、国益と か戦略とかを語ることはタブーに近かった。

第五にメディアの理解が、ほぼゼロだったことである。

したがって二人の議論のなかでも下記の箇所が妙に突き刺さるのだ。
 渡部 「安全保障に関する唯一の官のシンクタンクは防衛研究所です。 (中略)所員には優秀な人もいるのですが、結果を対外的に発表するのはか なりハードルが高い。いちいち許可を得ないといけないのです。そうする と本当にタイムリーな情報の発信はむずかしくなる」
 
江崎 「公表するまでに時間がかかってしまう。それと政府はある程度、 確実なことしか言えませんしね。(中略)これが民間だと政府ほどの制約は ありません。『こういう可能性がある』『こう予想される』という段階で も発表できる」

したがって二人は早めの情報分析と予測を立てる民間シンクタンクの必要 性があると力説される。評者も経験上、大いに賛成である。

レーガン政権時代、ヘリティジ財団の作成したペーパーが政策に反映され るか、あるいは採用された。AEIの経済政策も有効だったし、当時、評 者はこれらのペーパーを集め、研究員と議論するために何回もワシントン へ行ったものだ(いまではネットで読める)。

もう一つ、官ができない見解を民間シンクタンクがさきに警告的に発信で きる利点がある。

CIAの金融予測は、公表するとまずいことがあるので、GFIなどの民 間にシンクタンクがさらりと発表している。だから中国の外貨準備や不正 資金の流失というリアルが、われわれでも掴めるのである。

国防方針はランド研究所をウォッチしていれば概要が掴めるし、アメリカ のホットな議論が奈辺にあるかはCSISの報告などを注視していれば良い。

ともかく本書は全編これ最新情報の固まりであり、紙幅があればもっと紹 介したいところである。
  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)私は1980b年代の前半、マレーシア、インドネシア、韓 国、台湾を含む東アジアの生産に関する責任者でしたが、マレーシアへは 業界内の暗闘があり、何度も出かけ、マハティール首相ともその官邸でお 目にかかったことがあります。握手した時の手の柔らかさが印象に残って います。

マレーシアとインドネシアは、ともにマレー語を話し、主にマレー系現地 人と華僑からなり、経済的には華僑が握っている(他にインド系も結構い ますが)のは似ていますが、華人の人口比率が異なり、マレーシアの華僑 は華人の名前を名乗り、堂々と酒を飲み、一方インドネシアでは、公式に はインドネシア風の名前にして、あまり派手に中国風の宴会などを控えて いるようでした。

日本企業の現地パートナーはほとんどが華僑でした。華人問題を原因にし た暴動は、両国とも起こりましたが、インドネシアの方が起きた時代が新 しいはずです。それにしても、高齢のマハティール氏が首相にカンバック したのには驚きました。(関野通夫)

  ♪
(読者の声2) 中国南部の洪水がすごいことになっています。
https://www.epochtimes.jp/p/2019/07/45034.html
習近平主席にとっては弱り目に祟り目、共産党王朝も寿命ですかね。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)複数のメディアが懸念を伝えていますが、世界一 の三峡ダム、すでに重みに堪えかねて変形しており、また亀裂が数千箇 所。決壊は時間の問題ではないかと懸念されています。

三峡ダムの決壊はすでに10年も前から指摘されていますが、下流域の被害 は甚大、花園堤防を蒋介石が爆破して逃げたときに60万から100万人が溺 死し、進軍をやめて日本軍が救援にあたりました。国民党は、爆破を日本 軍がやったと宣伝していました。

ゾッとするような悲劇がおこる可能性が高まっています。

拙著でも紹介したことがありますが、中国人学者がシミュレーションをし た『上海沈没』という本を思い出しました。


━━━━━━━━━
1960年チリ地震津波
━━━━━━━━━


    渡部 亮次郎

昭和35(1960)年5月24日未明、突然、契約タクシーにたたき起こされ た。津波がきて大被害が出ている、至急、局へ」というNHKからの伝言。 地震も無いのに、津波とは、何事かい。

NHKに記者として採用され、仙台中央放送局に着任して間もなく1年。そろ そろ東北管内のどこかのローカル局への転勤が噂に上っていた。局から歩 いても5分ぐらいの民家の6畳間に下宿していた。

5月24日未明に最大で6メートルの津波が三陸海岸沿岸を中心に襲来し、 142人が死亡したのだった。岩手県大船渡市では53人、宮城県では志津川 町(現・南三陸町)では41人が死んだが、それらがはっきりするのは数日 経ってからのこと。

私は単身、録音機を持って女川町(おながわまち)に派遣されることにな り局の車で向かった。途中、国鉄塩釜駅の前を通りかかったら、跨線橋の 上に漁船が載っていた。津波はこんな高さにまで達したのか。

後で聞けば、前夜、塩釜には同僚のカメラマンが別の取材に訪れて
1泊。だが、津波と聞いても暗くて何も分からず、全く撮影しなかった。 この男は、これが祟って出世できないまま、60前に死んだ。

女川に着いたが、時折、津波がまた、やってきたという声がして人々は海 を横目に高台に逃げる。

そのどよめきを録音しながら私も逃げる。その繰り返し。録音機は空回り して、何も録音されてなかった。2,3日経って赤痢が集団発生。その原 稿を電話で送る私も発症していた。大館通信員時代についで半生、2度目 の赤痢だった。

チリ地震は表面波マグニチュード(Ms)8.5、モーメントマグニチュード (Mw)9・5と有史以来観測された中で最大規模の巨大地震である。最大震 度は気象庁震度階級では震度6相当とされている。

1960年5月22日15時11分20秒(現地時間。日本時間では5月23日4時11分20 秒)、チリのヴァルディヴィア近海を震源として発生した地震である。地 震後、日本を含めた環太平洋全域に津波が襲来し、大きな被害をもたらした。

まず前震がM7.5で始まりM7クラスの地震が5〜6回続いた後、本震がMs8ク ラスで発生した。また余震もM7クラスであったために首都のサンティアゴ 始め、全土が壊滅状態になった。

地震による直接的な犠牲者は1743人。負傷者は667人。

この地震によりアタカマ海溝が盛り上がり、海岸沿いの山脈が2・7m沈み込 むという大規模な地殻変動も確認された。また有感地震が半径約1,000km という広範囲にわたって観測された。

史上初の地球自由振動の観測に成功し、アメリカでの観測で発生した地震 波は地球を3周した事が確認された。

尚、本震発生から15分後に約18mの津波がチリ沿岸部を襲い、約15時間後 にはハワイ諸島を襲った。ハワイ島のヒロ湾では10.5mの津波を観測し、 61人が死亡した。

各地の津波到達時間日本では地震による津波の被害が大きかった。地震発 生から約22時間半後の五月24日未明に最大で6メートルの津波が三陸海岸 沿岸を中心に襲来し、142人が死亡した。

津波による被害が大きかった岩手県大船渡市では53人、宮城県志津川町 (現・南三陸町)では41人、北海道浜中町霧多布では11人が死亡。

この浜中町では8年前の1952年の十勝沖地震でも津波被害を受けており、2 度目の市街地壊滅。街の中心でもある霧多布村がこのチリ地震津波により 土砂が流出し北海道本島より切り離され島と化した。

現在は陸継きだった所に2つ橋が架けられており、北海道本島と行き来が 出来る。1つは耐震橋、もう1つは予備橋で橋が津波で流出する恐れがある ためと避難経路を2路確保するためである。

また、同じく度重なる津波被害を受けた田老町(現・宮古市)では高さ10 メートルの巨大防潮堤が功を奏して人的被害は皆無であった。

この田老町の防災の取り組みを取り入れ浜中町に防潮堤が建設される。北 海道の防潮堤については後の北海道南西沖地震でも津波による人的被害の 甚大な奥尻島などでも建設された。

地球の反対側から突然やってきた津波(遠隔地津波)に対する認識が甘 かった事が指摘され以後、気象庁は日本国外で発生した海洋型巨大地震に 対してもハワイの太平洋津波警報センターなどと連携を取るなどして津波 警報・注意報を出すようになった。

あれから丁度50年後、チリ中部沖で2010年2月27日3時34分(現地夏時間; 6時34分 UTC)に地震が発生した。1900年以降、チリでは1960年5月のチリ 地震に次ぐ規模、世界でも5番目の規模の地震となった。

日本では、2月28日午前8時30分に気象庁が会見を開き、かつてのチリ地震 で最大6mもの大津波を受けて甚大な被害を受けた歴史的経緯もあり、大津 波警報を三陸沖に発表するといった内容を伝えた。

時間は、「午前9時を過ぎればいつでも発表できるようにする」として、 当初の予定を大幅に前倒しすることも示唆した。しかし人的被害は全く無 かった。海苔ひびや牡蠣いかだの被害は大きかった。

気象庁は同日の会見で、津波の予測が過大であったとし、警報・注意報が 長引いたことを謝罪した。ただし最悪のケースを想定したもので、判断ミ スはなかったとした。2010・5・24

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


━━━━━━━━━━━━━━━━━  
選挙を前に激化する、朝日の安倍批判
━━━━━━━━━━━━━━━━━


            櫻井よしこ


7月4日、参議院議員選挙が公示され、世の中は選挙一色だ。その中で「朝 日新聞」の反安倍報道が際立っている。7日の1面に政治部次長、松田京平 氏の署名入りの記事が載った。「『嘲笑する政治』続けるのか」と題して 安倍晋三首相を次のように批判した。

「(安倍晋三首相は)民主党政権の失敗と比較して野党を揶揄、こき下ろ す。身内で固まってあざ笑う―。自分が相手より上位にあり、見下し、排 除する意識がにじむ」、「『嘲笑する政治』が6年半、まかり通ってき た」、「このまま『嘲笑の政治』が続くなら、民主主義は機能しない」、 という内容だ。

安倍憎しの感情がメラメラと燃えているようだ。しかし現実を見れば、国 民の多くが民主党政権の3年余りを「悪夢」と感じているのではないか。 首相が「身内で固まってあざ笑」っているわけではない。その証拠に、政 権を失った後、民主党の支持率は下がる一方だった。だからこそ、2017年 10月の衆議院議員選挙を前に、遂に全員が小池百合子氏の下に逃げ込もう とした。しかし排除されて、立憲民主党が生れ、紆余曲折を経て国民民主 党も生れた。

民主党政権時代の「悪夢」の再来は嫌だと、国民が骨身に沁みて感じてい るからこそ、その後複数回の選挙で自民党が国民の支持を受け続けたので ある。にも拘わらず、この6年半が安倍政権がただ民主党を「嘲笑する政 治」であったとすれば、国民が安倍氏を支持するはずもない。朝日の余り に曲がった見方こそ国民の意思を「嘲笑」するもので、傲慢さを示している。

どんな時でも選挙は国政の行方を決める重要事だが、今月21日の参院選挙 には特別の重要さがつきまとう。結果によって、首相に期待されている憲 法改正が可能になるか、或いは先延ばしで事実上、改憲不能に陥るかが決 まるからだ。

憲法以外にも、経済、年金、北朝鮮と拉致、皇室など重要な問題が山積し ている。これらの課題、とりわけ憲法改正に安倍首相が着手するのが朝日 新聞はいやなのであろう。それが常軌を逸した安倍首相批判につながって いると見てよいだろう。7月3日の「天声人語」はその凄まじい一例だ。

首相を犬にたとえる

同欄で天声人語子は「あくびは伝染する」と書く。「米国が中国に仕掛け た貿易戦争さながら、日本政府が韓国への輸出規制に乗り出した」とつな げている。「韓国側にも問題がある」としながらも、安倍政権の措置は 「筋違い」だと切って捨て、次の下品な批判を展開する。

「ちなみに人のあくびは犬にも伝染するらしい。忠誠を尽くす飼い主から とくに影響を受けやすいとの研究結果がある。日本政府の場合は、こちら に近いか」

安倍政権、つまり安倍首相を犬にたとえるのか。こんな非礼は誰に対して も許されない。だが、朝日は、首相にはどんな下品な批判でも許されると 思っているのであろう。この感覚こそ、「自分が相手より上位にあり、見 下」す視線ではないか。

右の非礼な天声人語と同じ日、朝日は「対韓輸出規制『報復』を即時撤回 せよ」という社説を掲げた。そこにはこう書かれている。

「近年の米国と中国が振りかざす愚行に、日本も加わるのか。自由貿易の 原則をねじ曲げる措置は即時撤回すべきである」

朝日社説子は、韓国への「輸出規制強化」をかつて中国が尖閣問題を巡っ てレアアースの輸出を止めた事例や、トランプ政権が安全保障を理由に鉄 鋼などの関税を上げた事例と同列に置いて、安倍首相の措置を非難するの である。

順序が後先になったが、経済産業省が「輸出管理を適切に実施する観点か ら、大韓民国向けの輸出について厳格な制度の運用を行」うと発表したの が7月1日だ。?韓国をこれまで「ホワイト国」と見做してきたが、そのリ ストから韓国を外す手続きを始める。?4日からフッ化ポリイミド、レジ スト、フッ化水素の3品目を包括輸出許可制度の対象外とし、個別の輸出 審査を行う、とした。

世耕弘成経済産業大臣は7月1日、右の措置の理由として「輸出管理で不適 切な事案が発生した」ことを挙げたが、「不適切な事案」の内容について は「守秘義務」があるとし具体的説明を行わなかった。

経産省の発表は直ちに多方面から反応を引きおこした。その中のひとつに 中部大学特任教授細川昌彦氏(元経産省貿易管理部長)の解説がある。氏 はこれは「輸出規制発動」ではなく、04年から韓国を優遇して簡略化して いた手続きを03年までの普通の手続きに戻すだけだと説明した。本来は契 約毎に個別の許可が必要だが、輸出管理の点で信頼できる国であると見做 されると「ホワイト国」に指定されて輸出手続きが簡略化される。その場 合、3年間有効な包括許可をとることが可能で、いつでも輸出できるとい うものだ。

理不尽な政府批判

安倍首相も繰り返し述べている。

「輸出禁止ということではありません。徴用工(朝鮮人戦時労働者)問題 とも関係ありません。これまで韓国に認めていた優遇策を元にもどしただ けです。EU諸国は元々韓国をホワイト国にはしておらず、わが国はEU と同様の政策を韓国に対してとるということです」

こう強調した首相も、世耕氏が会見で語った「不適切な事案」について、 7日時点ではまだ説明していない。

他方細川氏は、韓国に輸出した先述の品目が北朝鮮に横流しされる事例が 頻繁に起きている、むしろ常態化していると明言する(7月7日「日曜報道 THE PRIME」)。

軍事目的にも転用される先述の物質が北朝鮮に横流しされているのであれ ば、韓国をホワイト国リストから外すのは当然だ。また再度強調したいの は、今回の措置が包括許可から個別許可に戻したにすぎないという点だ。 朝日は3日の社説で、中国のレアアース禁輸と較べたが、その比較自体が 的外れだ。

朝日の社説のもうひとつの間違いは、同措置を朝鮮人戦時労働者問題に対 する日本政府の報復だと見做していることだ。今回の措置はいわゆる徴用 工問題とは何ら関係がない。従って朝日が言う安倍政権が「政治の対立を 経済の交流にまで持ち込」んだという非難は当たらない。「外交当局の高 官協議で打開の模索を急ぐべきである」という主張も、的外れだ。第一、 日本側は徴用工問題で話し合いを呼びかけ続けたが、韓国側が応じないの である。

朝日の理不尽な政府批判は、安倍自民党の勝利は改憲につながると見て阻 止する為であり、朝日の偏ったイデオロギーの産物にすぎないということ だろう。
『週刊新潮』 2019年7月18日号 日本ルネッサンス 第860回



      
━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━

◎結果は私にも読めていたので:前田正晶

21日夜はある程度以上の興味を持ってCMが入らないNHKの開票速報と、実は読売巨人の対広島の三連敗を期待して両方を見ていた。自民と公明で過半数は取れるとの予想が多く、当方もそうと感じていたので、野球との掛け持ちくらいは許されるかと割り切っていた。それに昼間には女子のゴルフで黄金世代と言われている小祝さくらが韓国のイミニョンに競り勝って優勝したので気を良くしていたのだった。

投票の結果は勿論重大な関心事だが、結果として枝野・福山・村田如きが群を為している立憲民主党の議席を倍増させてしまうような選挙民の民度の低さが情けなくて、大袈裟に言えば「涙こぼれる思い」だった。自民党も派閥間の軋轢かどうかどうか知らぬが同じ選挙区に2人立てたり、失言候補を支え切れていなかったり、何処かの偏向新聞に「思い上がり」とで書かれそうな失態を演じていたのは頂けないと思った。

ところで、裏番組の野球だが得意の「閃き」では広島の「遅かりし?三連勝なる」と出ていたので、熱心にチャンネル変えて見守っていた。解説のパーフェクトゲーム達成の槇原が言っていたように「読売がそう勝ち続けている訳がなく、調子が落ちてきている」の通りで、延長戦で鈴木誠也にサヨナラヒットを打たれて無事に三連敗で終わった。でも、2位のDeNAとは7ゲームの開きがある。だから私は「今年はもう諦めた」と言って置いたのだ。

枝野も偉そうに安倍内閣の批判ばかり言っていないで「最早自民党政権とはゲーム差が開きすぎた」と認めて、温和しくしていて貰いたいもの。







◎私には何の繋がりも関心もない世界での出来事だが:前田正晶

21日はフジテレビだったかで松本人志と東野幸治が語るのを、投票に出か かるまで聞いていた。極端なことを言わせて貰えば「私にとっては吉本興 業の問題がどのように転んでも何の関係もないこと」ではあるが、彼らが 何を言うかに少しだけ興味があっただけだ。

この両名が言っていたことと吉本興業社長・岡本昭彦氏が会見した述べた ことを聞く限りでは、この会社の会長も社長も未だ経営者と言うよりも興 行師が会社経営の責任を担っているだけであって、6,000人もの芸人を傘 下に置き1,000名もの社員を統治する能力を備えているのではないようだ と思わせられた。だが、この一件はテレビ局にとっては重大な運営上も問 題であるので、一所懸命に採り上げて報じているのだと良く解った。

聞いていて気付いたことだが、内容も性質も全く異なるのだが、先の日大 フェニックスの「レイト・ヒット問題」(=マスコミが言う「悪質タック ル問題」のことで、詳細は避けるが報道の仕方は誤りである)と似ている 点があるかと感じた。即ち、極悪人のように扱われた宮川泰介君が先に記 者会見をして真相と思わせることを語ってしまったので、後から記者会見 した内田前監督と井上下コーチが否定しても追い付かなかったし、宮川君 が語ったことが「正しい」として世間に広まってしまった。言いたいこと は「岡本社長が後追いで会見しても受け入れられるのか」なのである。

何れにせよ、テレビ局やスポーツ新聞は事の真相を承知しているとして も、この程度の話題で視聴者や読者の関心を煽るような報道を続けている のを苦々しい思いで眺めている。私はイランが絡みのホルムズ海峡対策と いうか有志連合の件や、ボルトン補佐官の来日と韓国行きに時間も紙面も 割くべきだと思っている。「何だ、結局は何時ものマスコミ批判じゃない か」と言われそうだ。


◎トランプ大統領は我が国と韓国の間を仲裁するのか:前田正晶

私は文在寅大統領が在任中は現在の膠着状態というか、彼が如何なる状 況下でも譲歩することもなく、我が国を悪者にし自らの地位と政権の安定 を図り続けると見ている。だが、彼はそれでも我が国の輸出手続き変更に 出会って何とトランプ大統領に仲裁を願い出たのである。多くの専門家や トランプ政権内にあっても「仲裁はしない方が」との意見が多かったと報 じられているし、産経も「トランプ大統領は我が国からも要請があれば」 と言っておられるようだ。

そういう状況下で私は既に安倍総理はトランプ大統領と可及的速やかに 最低でも電話会談をして我が国の正当性を理解して貰うべきだとは主張し た。だが、22年以上もアメリカ人の中で彼らの為に働いてきた経験から、 彼らの思考体系というか物の考え方は我々とは違うとの厳しい目にも遭っ ていたので、安倍総理がトランプ大統領と世界のどの首脳よりも親しく、 多くの局面で有効且つ適切な助言をしてきたという実績があっても、彼ら アメリカ人がそれを多として、安倍総理の顔を立ててくれるという保証は ないかも知れないとの懸念も表明した。

ここで事改めて申し上げて置きたい事は、私のように彼らの一員としてア メリカの為に永年勤めてきたから経験出来たことに基づいて述べているの であって、理論や理屈を超越している考え方だとご理解願いたいのだ。

何か物々しい言い方になったが、ここから先は軽い読み物としてでもお 読み頂くか、あるいは深刻に受け止められるかの判断はお任せするとし て、トランプ大統領が仲裁に乗り出されるか否かをアメリカ人独特の二進 法的物の考え方に準拠して読んでみようと思う。お断りしておくが、二進 法では「イエスかノーか」あるいは「進むか進まないか」しかない二択な のである。外から見ていれば「大胆に決断されるものだ」と見える単純な 割り切り方をするのだ。また、見方を変えれば、その中間や妥協点はない という前提だ。

先ずは、「トランプ大統領が仲裁されるかされないか」の何れを選択さ れるかの設問から。仲介するを選択されるとその次の設問は「安倍総理乃 至は我が国の主張を選択される」か「文在寅大統領の日本悪者説を理解さ れるか認められるか」の何れを選ぶかになる。そこで我が国の主張を選択 されれば、「韓国に考え直すべし」と勧告されるだろうし、文在寅大統領 の説を採られれば「我が国に韓国をホワイト国に戻すと共に徴用工問題も 韓国大法院の判決を受け入れて賠償せよ」となってしまうかも知れない。 この結論で日本、アメリカ、韓国の3国韓の関係が従来通り維持されるだ ろうか。

振り出しに戻って「仲裁しない」を選択されれば、我が国と韓国の間は現 状のままで続き、先日TBSで堤伸輔氏が述べていたように安倍総理と文在 寅大統領の直接交渉というか会談に委ねる方向になってしまうかも知れな い。それが簡単にできればもっと前にやっていただろうという言い方も出 てくるだろうが、それも一つの解決への道だろう。私はかなりの数の専門 家や評論家が(迂闊に言っているとしか思えない)言う「この問題の落と し所だの出口」などはあってはならないと主張したい。我が国に妥協すべ き点だのその余地があるかどうか考えて欲しい。軽い読み物的な考え方の 披露はここまで。

実は私は悲観論者である。先ほどもTBSの関口の時間に出てきた姜尚中氏 が近々ボルトン補佐官が来日すると語っていた。そうであれば、彼は当然 我が国と韓国との間に存在する諸問題について言及するだろう。すると、 私はこの方がトランプ大統領の名代なのかどうか知る由もないが、彼が何 を考えているか解らないし特に強硬派と聞けば、何の確たる根拠もなく不 安に陥るのだ。

現時点では、上述の軽い読み物も含めて悲観論者の考え方と物の見方が杞 憂に終わることを願うだけだ。

◎結果は私にも読めていたので:前田正晶

21日夜はある程度以上の興味を以てCMが入らないNHKの開票速報と、実は 読売巨人の対広島の三連敗を期待して両方を見ていた。自民と公明で過半 数は取れるとの予想が多く、当方もそうと感じていたので、野球との掛け 持ちくらいは許されるかと割り切っていた。それに昼間には女子のゴルフ で黄金世代と言われている小祝さくらが韓国のイミニョンに競り勝って優 勝したので気を良くしていたのだった。

投票の結果は勿論重大な関心事だが、結果として枝野・福山・村田如き が群を為している立憲民主党の議席を倍増させてしまうような選挙民の民 度の低さが情けなくて、大袈裟に言えば「涙こぼれる思い」だった。自民 党も派閥間の軋轢かどうかどうか知らぬが同じ選挙区に2人立てたり、失 言候補を支え切れていなかったり、何処かの偏向新聞に「思い上がり」と で書かれそうな失態を演じていたのは頂けないと思った。

ところで、裏番組の野球だが得意の「閃き」では広島の「遅かりし?三 連勝なる」と出ていたので、熱心にチャンネル変えて見守っていた。解説 のパーフェクトゲーム達成の槇原が言っていたように「読売がそう勝ち続 けている訳がなく、調子が落ちてきている」の通りで、延長戦で鈴木誠也 にサヨナラヒットを打たれて無事に三連敗で終わった。でも、2位のDeNA とは7ゲームの開きがある。だから私は「今年はもう諦めた」と言って置 いたのだ。

枝野も偉そうに安倍内閣の批判ばかり言っていないで「最早自民党政権と はゲーム差が開きすぎた」と認めて、温和しくしていて貰いたいもの。

◎私には何の繋がりも関心もない世界での出来事だが:前田正晶

21日はフジテレビだったかで松本人志と東野幸治が語るのを、投票に出 かかるまで聞いていた。極端なことを言わせて貰えば「私にとっては吉本 興業の問題がどのように転んでも何の関係もないこと」ではあるが、彼ら が何を言うかに少しだけ興味があっただけだ。

この両名が言っていたことと吉本興業社長・岡本昭彦氏が会見した述べ たことを聞く限りでは、この会社の会長も社長も未だ経営者と言うよりも 興行師が会社経営の責任を担っているだけであって、6,000人もの芸人を 傘下に置き1,000人もの社員を統治する能力を備えているのではないよう だと思った。だが、この一件はテレビ局にとっては重大な運営上も問題で あるので、一所懸命に採り上げて報じているのだと良く分った。

聞いていて気付いたことだが、内容も性質も全く異なるのだが、先の日大 フェニックスの「レイト・ヒット問題」(=マスコミが言う「悪質タック ル問題」のことで、詳細は避けるが報道の仕方は誤りである)と似ている 点があるかと感じた。即ち、極悪人のように扱われた宮川泰介君が先に記 者会見をして真相と思わせることを語ってしまったので、後から記者会見 した内田前監督と井上下コーチが否定しても追い付かなかったし、宮川君 が語ったことが「正しい」として世間に広まってしまった。言いたいこと は「岡本社長が後追いで会見しても受け入れられるのか」なのである。

何れにせよ、テレビ局やスポーツ新聞は事の真相を承知しているとして も、この程度の話題で視聴者や読者の関心を煽るような報道を続けている のを苦々しい思いで眺めている。私はイランが絡みのホルムズ海峡対策と いうか有志連合の件や、ボルトン補佐官の来日と韓国行きに時間も紙面も 割くべきだと思っている。「何だ、結局は何時ものマスコミ批判じゃない か」と言われそうだ。



━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━
23日も曇天。

曇天続きの東京湾岸。太陽が待たれる。

焼酎を?む以外、変わったことなナシ。
                    読者数:6001人

               







規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: 97 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2019/07/24

    “シーチン”修一 2.0

    お元気そうで何よりです。

    次回も楽しみにしています。

    梅雨明け宣言のよう ご自愛下さい。

  • 名無しさん2019/07/24

    裏切る中国

    https://www.google.co.jp/search?q=%E8%A3%8F%E5%88%87%E3%82%8B%E4%B8%AD%E5%9B%BD&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwj1yrf28MvjAhUbIIgKHeRHAisQ_AUIESgB&biw=1920&bih=985

    朝日新聞 http://kenjya.org/asahi.html

    一読する価値がある「皇室」関係本 https://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-1415.html 

    女性宮家に反対80%「よるバズ」視聴者アンケ・小林よしのり「ネトウヨが多い」・辻元清美の妄言http://deliciousicecoffee.jp/blog-entry-6686.html

    アンジェラ芽衣

    https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%A9%E8%8A%BD%E8%A1%A3&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwim7JKO8svjAhXCZt4KHVo0DB0Q_AUIESgB&biw=1920&bih=985

    韓国政府の「割当関税」、GATT第13条違反では? https://shinjukuacc.com/20190722-03/

    【台湾速報】抗議で揺れる台湾で「とある社長の独り言」にコメント殺到  

    https://blog.goo.ne.jp/yamanooyaji0220/e/c88bf0b2fe3c34675fd468401978b6da?fm=entry_awp_sleep

    あー、そういう人脈なのね https://ttensan.exblog.jp/27693497/ 

    ペニーグラス

    https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%9A%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwj3ssfd88vjAhVkHKYKHWWgD7QQ_AUIEigC&biw=1920&bih=985

    孫正義伝 http://hatekorea.blog.fc2.com/img/722dd104.jpg/

    「二枚目の和田政宗」と、CBCと宮城県警の話。 https://ameblo.jp/japangard/entry-12495322776.html

    特別永住制度と川崎在日特権条例(下)

    権利ではなく資格付与者に与える特権 http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53326361.html

    日本企業が韓国人を雇うリスクは計り知れない…。徴用工問題があっても採用を募る日本企業。 

    http://kyousuke-jiyuujin.net/2018/11/10/post-4896/

  • kikaitomo2019/07/23

    シーチン2.0 平井修一さんのご回復をお喜び申し上げます

    どうぞお元気で永くご投稿が続きますようにと祈り念じております

    「赤毛のアン」も読んでみます

  • 名無しさん2019/07/23

    夏の笑顔

    https://livedoor.blogimg.jp/ponmorisuke/imgs/0/6/065054e3.jpg

  • 名無しさん2019/07/23

    習近平のイタリア訪問が示すように、西洋側で注目すべきことは、バチカンの動向である。



     2018年5月2日、ローマ法王がマルタ騎士団の最高指揮権を完全に掌握した。それによって西洋の枠組みに大きな動きが出てきそうである。



     マルタ騎士団の中核メンバーには、パパ・ブッシュやベイビー・ブッシュ、ヘンリー・キッシンジャー、ロックフェラー、ロスチャイルド、エリザベス女王等々、欧米王侯貴族の名前が確認できる。



     マルタ騎士団の正式名称は、「騎士修道会」である。国家ではないが、領土を有していた経緯から「主権実体」として承認され、104カ国に在外公館を持ち、独自の外交を展開している。



     設立は1100年頃、聖ヨハネ騎士団がマルタ島を本拠にしたことで名付けられた。法王と契約して法王の為だけに動く組織である。欧米諸国の軍高官たちのみならず、大物政治家、王族や貴族たちは、それぞれの騎士団に所属し、騎士団を通じてバチカンに忠誠を誓う「騎士団文化」がある。こうした特性からマルタ騎士団は、外面的には慈善団体であっても水面下では1000年以上の歴史と軍産複合体への多大な影響力を持つ欧米裏権力の一翼となってきた。



     このマルタ騎士団の第80代総長として「パーパ」ローマ法王に忠実な穏健派である「フラー」・ジャコモ・ダッラ・トーレ・デル・テンピオ・デ・サンギネット副長が選出された。2017年5月から任期1年の臨時総長として務めてきたが、今回の選出で終身の総長となる。



     マルタ騎士団は、2017年、総長がスキャンダルで失脚、騎士団内のイギリス派とドイツ派で権力闘争が起こった結果、中立派で法王に忠誠を尽くすダッラ・トーレが臨時総長に就いていた。法王の手足となった功績が認められ、今回の選出となった。



     マルタ騎士団は、「欧米社会が大きな戦争に突入するか否か」を決める際に多大な影響力を発揮する。その命令系統の頂点が「旧体制のテロ戦争派」を熱烈に支持してきた前総長「フラー」・ロバート・マシュー・フェステイングから「貧困や環境対策の推進」を指示するジャコモ・ダッラ・トーレに代わったことの意味は非常に大きい。この変化は世界規模で目に見える形で確認できることになろう。



     その証拠の一つがフレデリック・マルテル氏が書いた「バチカンの小部屋でーー権力、同性愛、偽善」という本である。



     マルテル氏は4年もの歳月をかけて教会幹部を含む約1500人の関係者にインタビューを行い、その情報を基に「教会で働く聖職者の8割は同性愛者」と記した。この取材自体がフランシスコ法王の就任時期と一致することから法王の強い意向が働いていた。しかも暴行された修道女がカトリックの教義では禁じられている人工中絶を余儀なくされるケースも少なくなかったとまで記している。



     こうしたバチカンの不浄化は「黒いバチカン」べネディクト前法王によって推し進められてきた。部下となる神父たちに悪徳を積ませ、支配してきたのである。結果、風紀が乱れたバチカンでは、2002年に米ボストンのカトリック教会における児童への性的虐待の発覚を皮切りにして世界中の教会の性的スキャンダルが噴出することになる。



     これを憂えたフランシスコ法王は、バチカンの正常化のために動き、その手足となるマルタ騎士団の正常化を強く求めてきた。その念願がかなってダッラ・トーレが終身団長に就任、マルテル氏の著書も無事に出版された。また、神父たちが修道女たちを性奴隷にしていたフランスの修道会を前法王が閉鎖させて隠蔽しようとした事件も正式に認めた。これもバチカンの巣くうクリミナル・ディ―プ・ステイトに対するパージであり、現場を指揮していたのはフランシスコ法王の命を受けたマルタ騎士団であった。団長が代わるというのはここまで影響が出るのだ。



     内部浄化が終われば、次の対象は欧米社会の特権階層である。バチカンは欧米社会の特権階層を浄化するだけの力を持っている。それ以外ではアメリカ軍による軍事政権が軍事裁判という強権を振るうぐらいしかない。その意味ではマルタ騎士団の正常化は、バチカン銀行の正常化と共に、非常に大きなトピックスなのだ。南米出身のフランシスコ法王の存在は、それほどまでに大きい。ちなみに、2018年4月19日、トランプ大統領の「顧問弁護士チーム」にマルタ騎士団の中核メンバーの一人であるレディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が参加した。トランプ大統領の今後もマルタ騎士団がカギを握っている。