政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5107号 2019・7・16(火)

2019/07/16




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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5107号
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        2019(令和元年)年 7月16日(火)



             中国「雪龍二号」を投入:宮崎正弘

         「発禁処分」を知らぬ団塊世代:渡部亮次郎

     米中・米朝首脳会談、つきまとう危うさ:櫻井よしこ

    
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

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 中国「雪龍二号」を投入
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月13日(土曜日)
        通巻第6140号  
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中国、北極圏の「氷上シルクロード」へ国産の砕氷船「雪龍二号」を投入
北極圏参入に神経を尖らせるロシア、ノルウェイ、デンマーク、カナダ
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上海の造船所で「雪龍」二号のお披露目があった。一号は1993年にウクラ
イナで製造された砕氷船で、中国が購入した。二号は、中国の国産品だと
自賛している。

全長122メートル。13999トン、乗組員99名。60日間の無寄港航海が可能と
いう。

中国は北極圏ルートの開拓を「氷上のシルクロート」だと標榜しいるが、
警戒しているのはデンマーク、カナダ、ノルウェイばかりか、ロシアであ
る。先ごろのもロシアは潜水艦が北極圏を通過するときは浮上を義務づ
け、45日前の届け出を必要とする旨、公表した。

グリーンランドを領有するデンマークがもっとも神経質で、中国からの開
発提案を拒否した。グリーンランドには米空軍基地も置かれている。

一説に地球温暖化で溶け出した氷面積はメキシコの総面積に匹敵する等と
言われるが、氷が溶けたことによって砕氷船の航行は比較的有利となり、
中国は資源探査、海底調査などを目的に科学者、地質学者、天候専門家な
ど50名を乗り込ませ、年内に雪龍二号を就航させるとしている。

「あくまでも商業用の距離短縮に繋がる」と言い張る中国に対して、西側
は一貫して軍事利用を懸念している。だがロシアも中国の北極ルートへの
進出に異様なほど神経を尖らせる。中国への不信感は氷の上でも高まった。
      
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 情報収集、スパイ工作にはふんだんにカネを使え 
  敵の情報も知らないで戦争を展開した大東亜戦争への猛省

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渡部昇一 v 谷沢永一『孫子の兵法』(ワック)
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勝ち続けるために何を学ぶべきか、誰もが知りたいところだろう。現代風
に孫子を読み直すとこうなるという随想的な雑談である。

評者(宮崎)のみるところ、孫子を愛読し活用した戦国武将の代表は武田
信玄であり、あの「風林火山」は孫子の戦術そのものだった。同じく家康
は孫子を愛読したが、「兵は詭道なり」というモラルに悖る原則を説いた
孫子をむしろ軽視した。

とはいえ戦争となれば、情報工作、諜報、偽造、偽装、攪乱など孫子流儀
の戦い方をしたのも、家康だった。

日本で最も孫子を理解したのは吉田松陰だった。

攘夷か開国かと維新前夜の騒然とした世にあって、吉田松陰は敵の正体を
知るには自らがスパイとなって米国へ乗り込まなければならないと覚悟
し、下田で碇泊中のペリー艦隊へ小舟で向かった。乗船を拒否され、野山
獄に?がれた松陰は弟子達と懸命に孫子を読み直し、研鑽を重ねた。

なにしろ松陰は萩藩では山鹿流軍学に基づく兵法の師範だったのだ。弟子
達と孫子を読み解き、解題の書を残した。それが『吉田松陰全集第五巻』
に収められている『孫子訳注』である。

これを松陰以後の第二期松下村塾に学んで感動し、生涯座右の銘として自
らの注釈も入れて明治天皇に献呈したのが乃木希典だった(詳しくは拙著
『悪の孫子』、ビジネス社参照)。

さてそれなら渡部、谷沢という二人の読書人という絶妙コンビは、孫子に
対して、どのような感想を抱き、またいかなる結論をだすのか、興味津々
で読んだ。

孫子の肯綮は「戦わずして勝つ」ことにある。

そのためには敵を知り、己を知ることである。二人はこの基軸に沿って随
想的な談論風発。情報、スパイの重要性を多岐の事例を挙げ、とくに時局
を解説しつつ、くどいように説いている。

谷沢はまず「孫子の特徴は、儒学と関係がない」として「儒教の影響を
まったく受けていません」(中略)「人生というものは、どんな時でも勝
負です。『孫子』の場合は戦争ですが、その戦争を別の言葉に置き換えれ
ば、競争ということになります」と現代的解釈の抗議から始める。

スパイの重要性を渡部はルーズベルト政権の内情から説き、ハルノートの
起草者は、じつはコミンテルンのスパイが書いたとする。

日本は日露戦争を前にして、50万円という大金(今日の貨幣価値で50億
円)を明石元二郎にポンと与え、北欧でスパイ活動、秘密工作のための軍
資金として派手に使わせた。革命工作、ロシアの背後を攪乱し、ロシアの
体制に亀裂を生ませ、やがてロシア革命への伏線となった。

これが本来の「情報工作」だとし、渡部、谷沢の両氏は各地に写真屋など
に偽装した日本人スパイ、あるいは代理人を放っていた事例を挙げる。
 つまり敵を知るために情報を集めた。
 
ところが勝利の美酒に酔って、情報より装備、軍隊における出世に関心が
移り、軍のエリートは試験では優秀でも現場を知らない手合いが参謀とな
り作戦を立てた。なんという手抜かりだろう。

大東亜戦争では、アメリカは日本研究を多岐に亘って行っていたのに、日
本はアメリカ研究を怠り、あまつさえ暗号が読まれていることも知らな
かった。日清日露の勝利に酔って、情報という原則を蔑ろにしたからである。

ふたりの結論は参謀本部が試験に優秀な成績だっただけの理由で軍隊を率
いた間違い、たたき上げを尊重し、同時にスパイを育成し、思いっきり情
報にカネを使えと戦い方の基本原則にたち帰る議論となる。

情報を只だと思っている日本は、敵を知るどころか、情報機関もなけれ
ば、そのことに予算をつけず、普通の主権国家なら存在するスパイ防止法
もない。

孫子からもっとも遠いところにあるのが日本である。
     
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1924回】        
 ――「支那は日本にとりては『見知らぬ國』なり」――鶴見(17)
鶴見祐輔『偶像破壊期の支那』(鐵道時報局 大正12年)

        ▽
アメリカの友人は「古きものに對する燃えるやうなあくがれを抱いて居
た」ゆえに、「朱塗りの扉のついた支那家をさがした」のを皮切りに、い
わば『支那趣味』にドップリとつかった生活を始めた。

某日、友人の邸宅に招かれる。

「いづれ劣らぬ支那病の連中が、6,7人來てゐた」。部屋の調度も、料理
も、話題も、まさに「支那病」に完全感染だ。彼らにしたら、「無産階級
だのプロレタリアなんてことは、どこを風が吹くと言ふ具合である」。

そこで鶴見は、「支那の生活の空氣中に陶酔し乍ら、支那が外國人に對し
て有する『魅力』と言ふものについて、深く考えた」のである。

「元も支那を征服して、漢人種の生活美に征服せられた。清も支那を征伐
して、漢人種の生活美に征伐せられた。そして、今西洋人が同じやうに、
デモクラシーとか何とか言ひ乍ら、支那人が六千年かかつて築き上げた生
活の美しさに魅せられて居る。一度北京に住んだが最後、もうその生活の
味はひは忘れられない」。

その「漢人種の生活美」の一端を、鶴見は語る。

「北京の町を歩いてゐる時に、我々は全く時間の觀念を脱却してしま
ふ」。「我々は20世紀の現状から解脱してしまふ」。「悠久な人文發達の
あとを眼のあたりに見て6千年の文化の消長のうちに生息し乍ら、これが
人生であると眼がさめる」。こうなるともう「10年100年の問題ではな
い。況んや1年、2年の小なるをや」。かくして「支那人の落着いた、ゆ
つたりした心持が、やがて此の町に居る外國人の性急を征服して仕舞ふ」
のである。

だが、だからといって北京の街が清潔で静謐なわけでは、全くない。やは
り「生きた人間と動物」とが人を驚かす。動物は「愉快げに人間と同格で
歩いて」いる。

「超然とした態度が、つら憎いほど、落ちつ」きながらラクダが行く。
「その傍を驢馬に乘つた支那人が通る。幾十羽かの鶩を追ひ乍ら農夫がゆ
く。豚が路地から一散に走り出す。驢馬が牽いて通る支那車のうちに滿洲
の婦人の髪飾りが見える。物賣の支那人が天も破れよと怒鳴り立てる。一
人の客を見がけて、二十人の車夫が轅棒をつきつける。その混雜と不統一
の壓巻として、?帽?線の支那巡警がノッソリ閑と町の真中に突つ立つて
居る」。

おそらく彼らの文化――ここでいう文化は、《生き方》《生きる姿》《生きる形》
だが――を表現するに最も相応しいことばは、「騒然たる統一」ではなかろ
うか。

今年は中華人民共和国建国70周年だが、この70年を振り返ってみても静謐
と清潔の一瞬でもあっただろうか。

建国直後の不正・汚職撲滅を掲げた「三反五反」運動から始まって、「抗
美援朝」を絶叫した朝鮮戦争参戦、「百花斉放 百家争鳴」で形容された
束の間の自由化と一転して進められた反右派闘争、餓死者の山を築いた大
躍進、文革の予行演習ででもあったかのような社会主義教育運動、文化大
革命(「毛沢東の敵」は目まぐるしく代わったものだ)、やがて価値観が
逆転した対外開放、際限なき挙国一致のカネ儲け路線・・・「中華民族の
偉大な復興」であり、その果ての習近平一強体制下の紅色帝国――

こう簡単に振り返ってみても、かの国と人々は「騒然たる統一」の日々を
生きてきたように思うが、やはり繊細なる無神経の持ち主なればこそ、と
いうべきだろう。

それにしても、「支那人の落着いた、ゆつたりした心持」と「騒然たる統
一」とが、どんなカラクリによって矛盾なく交わっているのか・・・“絶
対矛盾の自己同一”というヤツだろうか。

車窓から見える「茫々たる平野」。「その千里の平野は悉く人間の力を以
て、耕しつくされて居る。

いたるところ粗衣を身につけた支那の農夫が、無關心に土を耕してゐる。
それは、この同じ農夫が、何千年の昔から、かうして働いて居たやうな氣
がされる」。《QED》
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読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS  
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(読者の声1)近年拘束されたウイグル知識人のリスト、ウイグル詩人パ
ルハット氏の詩集「燃えている麦」
アジア自由民主連帯協議会ホームページからです
http://freeasia2011.org/japan/archives/5628
   (三浦生)
  ♪
(読者の声2)経産省で行われた日韓の貿易当局実務会議(韓国側主張)に
対し日本側はあくまで説明会との立場を崩さず、乱雑な物置部屋に事務
テーブルと椅子を並べただけの対応ホワイトボードには「輸出管理に関す
る事務的説明会」とマスコミや韓国側の捏造予防韓国側をアップにすると
背景には部屋の隅に積み上げられたパイプ椅子が映り込む。

何より体面を気にして優遇されるのが当たり前と考える韓国側をこれほど
冷遇したのですから韓国も日本の怒りが本物だとやっと気づいたのではな
いでしょうか。

韓国のニュース報道では床に散らばるゴミまで気にしています。
https://www.youtube.com/watch?v=MBkf89VyTL4

外交とは武器を用いない戦争であるということを実践する経産省に対し、
すぐに落とし所だの相手の顔を立てるだの役に立たないのが外務省。
韓国擁護の筆頭の朝日新聞はハンセン病患者家族訴訟の報道で1面トップ
の大誤報。

取材力もなく思い込みと主義主張で紙面を作っているからこうなるのも当
然。いわゆるリベラルと呼ばれる(自称する)人々の安倍憎しはどこから来
るのか。

たまには左派系の本でも読んでみるかと手にしたのが「偽りの戦後日本」
(白井聡・カレル・ヴァン・ウォルフレン 2015年)。

戦後の自民党政治家を「敗戦利得者」としアメリカの下請け、あるいは馴
れ合いで対米従属を続けているという指摘はそのとおりかもしれません。
しかし安倍批判となると中身がない。

安倍総理が無能だ批判する根拠が「国会のヤジが下品」「オバマ大統領に
冷遇されている」「勉強が苦手で父親の晋太郎に漢和辞典で頭を叩かれ
た」「学歴コンプレックスがある」と週刊誌ネタでしかない。

まるで東大を卒業したことくらいしか自慢することのない野党のクイズ王
の政治家の物言いと同じ。左翼は学歴で差別しますから共産党は東大出ば
かりがエラくなる。学歴を言うならチャーチルなど落第生でしょう。

安倍総理の出身校である成蹊学園は半分は三菱がつくったような学校で
「ビルマ軍医日記」の著者によれば戦前の旧制中学では府立中よりも評価
は高かったといいます。

そんな三菱にケンカを売った韓国はチンピラが親分にツバを吐きかけたも
同然。韓国の地獄はこれからです。

ヒラメのように左側にしか目がない朝日新聞と違って両側に目があるロシ
アのスプートニクは韓国のことがよくわかっている。
『「アンチ日本主義は韓国の国家イデオロギーの一部となっている」 ア
ジアにおける当てこすり戦争はどこへ向かうのか』とする7月12日の記事
は興味深い。
https://sptnkne.ws/6sEA

『日韓問題が新たな展開を迎えた。日本の制裁に対抗して、日本がフッ化
水素を含む制裁対象の戦略物資を北朝鮮に輸出したと韓国が非難した。こ
の発言が深刻な意味を持つのは、日本がこれまでに韓国に対して発動した
貿易制裁の理由が、韓国がこの物質を北朝鮮に販売した可能性があるとい
うものだからだ。

この熾烈な非難にどれほど根拠があるのか。スプートニクはロシア科学ア
カデミー極東研究所朝鮮研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任
研究員にコメントを求めた。

「私は、韓国の文大統領のとりまきの中にいる左派勢力が北朝鮮への密輸
を行った可能性はあると考えています。しかし、日本に、イデオロギー的
に深刻な敵である北朝鮮との貿易で懐を肥やそうとする人がいるとは、に
わかには信じられません。これは貿易問題を背景にした、いつもの当てこ
すりの応報です。」

「第1次世界大戦の直前も、専門家たちは、ヨーロッパ経済はお互いに密
接に結びついているため、だれも戦争はしないと考えていました。しか
し、実際は違ったのです。過去を振り返ってみると、韓国と日本の関係悪
化は少なくとも2017年にはすでに始まっていたことが分かります。アンチ
日本主義が韓国の国家イデオロギーの一部として確立されたのです。あら
ゆる不可解な状況を日本植民地時代の遺産のせいにして、絶え間ない悔悛
を要求する。日本が過ちを認めると、悔恨に対して支払う金額が少ないと
言う。今、韓国経済は思ったほどには良くなく、韓国の文在寅大統領は支
持率を上げなければならない状況に置かれています。思いつき得るあらゆ
る罪で日本を新たに非難するには絶好の環境です。日本にとってはいつも
の慣れきった不快の種でしょうが、今回、日本は初めて、制裁という真剣
な対応に出ることを決めたのです。」』

ゾルゲ事件の黒幕のロシアがここまで変わったというのに朝日の旧態依然
ぶり。親玉がモスクワから北京・平壌にかわっただけなのでしょう。
   (PB生、千葉)


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「発禁処分」を知らぬ団塊世代
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         渡部 亮次郎


「夜のプラットホーム」は戦時中「厭戦歌」と見なされて内務省から「発
売禁止」処分。敗戦後も「検閲」は占領軍(マッカーサー司令官)も続け
たが、「厭戦歌」は占領目的に合致したから大歓迎。

そこで敗戦2年後に再発売されて大ヒット。私のような戦中派は悲しい思
い出で回顧するが、NHK「ラジオ深夜便」のアナウンサーは戦後生まれ団塊
の世代。この歌の歴史を勉強してこないから、コメントに重厚さがなくな
る。(2008年9月21日 榊 寿之アンカー)

<『夜のプラットホーム』(よるのプラットホーム)は、奥野椰子夫作
詞、服部良一作曲の流行歌。1947(昭和22)年に二葉あき子が歌って大
ヒットし、彼女の代表的なヒット曲の1つに挙げられる歌であるが、もと
もとは戦時中、淡谷のり子が吹き込んだものであった。>

榊アンカーも上記< >内は言ったが発売禁止処分の事は一言も触れな
かった。日本という国が体制維持のためには、言論統制も余儀なくしたこ
と、共産主義体制、中国を笑えない歴史のあることなど無関係だった。

「都」新聞(現「東京」)の記者だった奥野椰子夫(おくの やしお)は
昭和13(1938)年の暮、東京・新橋駅で、支那戦線出征兵士を送る「歓呼の
声」に背を向け、柱の陰でひっそりと別れを惜しむ若妻の姿に心を打たれ
た。もしかして「再び逢えぬ死出の旅」と言えぬこともない。

それなのに「無責任な」「歓呼の声」はそんな若妻の悲痛も知らぬげにた
だただ勇ましい。奥野はその悲しみを胸に刻んだ。

翌昭和14年、作詞家としてコロムビアに入社した奥野は、ためらわず「夜
のプラットホーム」を筆下ろしとした。当初は1939(昭和14)年公開の映
画『東京の女性』(主演:原節子)の挿入歌として淡谷のり子が吹き込んだ。

だが、やはり出征する人物を悲しげに見送る場面は「厭戦」を連想させる
として、「戦時下の時代情勢にそぐわない」と内務省検閲に引っかかり、
同年に発売禁止処分を受けた。

大日本帝国憲法26条では、通信・信書の自由・秘密が保障されていたが、
日露戦争の後、内務省は逓信省に通牒し、極秘の内に検閲を始めた。

検閲は手数料を要し、内務大臣が許可したものは3年間、地方長官の許可
したものは3ヶ月間有効であった。検閲官庁が公安、風俗または保健上障
害があると認めた部分は切除され、検閲済の検印を押捺し検閲の有無が明
らかにされた(大正14年3月内務省令10号、大正11年7月警視庁令1号)。

レコードについてはは、製品は解説書2部を添え、規定された様式に従っ
て内務大臣に差し出して許可を要し、検閲上の取締方針は出版物と同様で
あった(明治26年4月法律15号、昭和9年7月内務省令17号)。

だが作曲の服部は諦めなかった。2年後の1941(昭和16)年、「I'll Be
Waiting」というタイトルのが発売された。「洋盤」の検閲が緩かったと
ころを突いた作戦である。

作曲と編曲はR.Hatter(R.ハッター)という人物が手がけ、作詞を手がけ
たVic Maxwell(ヴィック・マックスウェル)が歌ったのだが、この曲は
『夜のプラットホーム』の英訳版であった。また、R.ハッターとは服部が
苗字をもじって作った変名。

ヴィック・マックスウェルとは当時の日本コロムビアの社長秘書をしてい
たドイツ系のハーフの男性の変名であった。この曲は洋楽ファンの間で
ヒットして、当時を代表するアルゼンチン・タンゴの楽団ミゲル・カロ楽
団によってレコーディングされた。

余談だが、このときB面に、発禁済みの「鈴蘭物語」を「夢去りぬ」
(Love‘s Gone)という題名で吹き込みなおしていたため、
このタンゴを外国曲と誤解したままの人も多かった。

戦後の昭和22(1947)年、今度は検閲をしていた占領軍は、この「厭戦歌」
を占領の趣旨に合うとして大歓迎。二葉あき子が新たに吹き込んだレコー
ドが発売され、大ヒットになった。

二葉は広島原爆をたまたま列車がトンネルに入ったときだったため生き
残った東京音楽学校出の歌手。それまでの歌手活動の中、ヒットはあった
ものの大ヒット曲のなかった二葉にとっては待ち望んでいた朗報であった。

たかが歌謡曲というなかれ。「日本流行歌史」を読めば、これだけの歴史
があリ、ドラマを紹介できるのである。

団塊の世代は一面、幸せである。気がついた時から日本は平和であり、言
論は自由であった。政府が流行歌まで統制した「検閲」や「発売禁止」を
知らないできた。だが、そこに至る歴史をないがしろにしてはならない
事、全世代、共通の願いではなかろうか。2008・09・21
参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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米中・米朝首脳会談、つきまとう危うさ
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             櫻井よしこ

国際政治はテレビと共にある。

安倍晋三首相の20カ国・地域(G20)首脳会議での巧みな采配も、惜しく
も吹き飛ばされた感がある。世界の目は板門店でのトランプ・金正恩両首
脳に集中し、その他の印象を消し去った。凄いものだ。

6月30日、15時45分、トランプ大統領が韓国の「自由の家」からゆっくり
と軍事境界線に向かって歩き始めると、北側からは金正恩朝鮮労働党委員
長が歩み寄った。境界線の南北に二人が相対し、握手をし言葉を交わし
て、やがてトランプ氏が北側に足を踏み入れたとき、思わず私自身、大き
な笑顔になった。メモをとりつつ、冷静に見ているつもりが、大きな笑顔
がこぼれたのである。中継映像を見ていた人の多くも同様だったのではな
いか。

二人が北朝鮮側で暫し佇んで境界線に戻り、そのまま自然な形で揃って韓
国側に入ったときには、取材陣の叫び声が聞こえた。カメラに囲まれて立
ち話をする金氏は、大きな賭けに出たがうまく意思の疎通がはかれそうだ
と、ひと安心した様子だった。安堵と嬉しさを隠しきれない表情には、そ
の残虐な行動に似合わない子供っぽさが残っていた。

トランプ氏は「つい昨日、金委員長に会うことを思いついた」と繰り返し
たが、ワシントンで発行されている「ザ・ヒル」は、同紙が行った24日の
インタビューでトランプ氏が板門店で金氏に会う考えを語っていたと報じ
た。ホワイトハウスがセキュリティ確保のためその件を当日まで伏せるよ
うに依頼し、報道できなかったという。

トランプ氏側が少なくとも1週間は板門店会談について考えを巡らしてい
たのに対して、金氏にとってはいきなりの提案だったわけだ。金氏は「ツ
イッターを見て本当に驚いた」と語っている。これはトランプ氏との立ち
話を終えて、韓国側の「自由の家」に入り、トランプ氏と並んで坐ったと
きの発言だ。

安倍晋三首相の役割

「昨日の午後、初めて、会いたいというトランプ大統領のメッセージを聞
いた。私も再度会いたかった」

金氏は、トランプ氏の「会いたい」というメッセージを受けて、決断し、
板門店に来た。その間約24時間だったことになる。いきなり言われて駆け
つけた。面子にこだわらず、大決断をしたのは明らかだ。その決断力を考
えるとき、「我々はもっとよくできる。もっとよくなることを世界に見せ
られる」という金氏の言葉に希望を持ちたくなるが、やはり問いたくな
る。「もっとよくなる」とは、核・ミサイル廃棄と拉致問題解決を意味し
ているか、と。

両首脳の会談は50分間にわたった。トランプ氏は韓国を去るに当たり、
「予定は2時間半遅れたけれど、すばらしかった」と、紅潮した顔で語っ
た。舞い上がる程の上機嫌は、金氏との会話が具体的な果実につながると
の思いを抱いたからであろう。

北朝鮮相手の交渉が順調に進むとは中々思えないが、今回の「いきなり会
談」で化学反応が起き、交渉が前進する可能性はあるだろうか。

ここで、横田早紀江さんのトランプ評が思い出される。早紀江さんはこれ
までに二度トランプ氏に会っている。

「トランプさんは、あたたかな父性を感じさせます。よき家庭の一家のお
父さんという感じで、守ってくれるような印象でした」

国際関係が真に冷徹な力関係であるのは言うまでもない。それでもトラン
プ・金両氏の関係は、これから存外うまくいくのではないか。

そこで安倍首相の役割が重要になる。核・ミサイル・拉致の三課題を優先
すること、問題がすべて解決して初めて見返りを与えるという結果重視の
原則を守らせることだ。さもなければ北朝鮮とのせめぎ合いに敗れると、
トランプ大統領に助言し続けることだ。

今回、明確になったのは、トランプ氏は北朝鮮に関して、韓国の、そして
中国の助力を全く必要としていないことだ。

習近平主席は内外共に行き詰まっている。国際社会で中国の友人はほとん
どいない。そこで来日前の6月20日、21日の両日、習氏は恐らく、北朝鮮
の核問題と米中貿易問題を一体化させて米国の優位に立つべく平壌を訪れ
た。すると、23日にトランプ氏が金氏に手紙を送り、金氏はそれを「すば
らしい手紙がきた」と言って公表した。まずトランプ氏の手紙で、次に板
門店首脳会談で、習氏の意図は粉々に砕かれた。

金氏も習氏に、米国との仲介を求めているわけではない。求めているのは
国連の制裁破りをしてでも、援助してくれということだ。

中国の情けが命綱

習政権はすでに巧妙な制裁破りを実行中だが、具体例について6月28日の
「言論テレビ」で朝鮮問題専門家の西岡力氏が語った。

「国連制裁の対象になっていない観光で中国は正恩に外貨を与えていま
す。北朝鮮への中国人観光客は2017年が80万人、18年は50%増の120万人
でした。観光客が増えた背景に中国当局が観光業者に補助金を出している
という有力情報があります。旅行費用の7割を中国政府が補助し、業者が3
割取って、ツアーを4割値引きで売り出す。中国人は安い費用で平壌に行
き、焼き肉を食べてカラオケで歌って、夜は買春をするというカラクリです」

この種の客を満載した大型観光バスが毎日多数、北朝鮮に向かい、国連制
裁の対象である鉄鉱石や石炭の先物買いも行われているという。現物は制
裁解除の暁に受け取る条件で、支払いは半分に値引きして現金決済だとい
う。西岡氏の指摘だ。

「中国もそうですが、北朝鮮も騙す国です。先払いなどすれば詐欺にあう
のは当然だと思いますが、大丈夫だという。中国当局の保証があるからだ
そうです。国際社会が北朝鮮の核・ミサイル開発阻止でその外貨を枯渇さ
せようとしているときに、中国はこうした汚い手段で制裁破りをしている
のです」

国連制裁があり、米中の貿易戦争が続く限り、中国は米国に正面から逆ら
えない。結果、中国は今も巧妙なルール破りをしているが、さらに狡知を
極めていくだろう。中国の情けが命綱の金氏がどれだけトランプ氏に接近
するかは、中国のやり方をどれだけ国際社会が封じ込められるかという課
題と重なる。

G20の米中会談はその点で危うさを残した。ほとんどすべての中国からの
輸入品に25%の関税をかけるという第4弾の関税は回避され、米中はつか
の間の休戦に入った。そしてファーウェイへの米企業による輸出を一部認
めることになった。トランプ氏の直感や思いつきは素晴らしくとも、中・
長期的戦略は描き切れていない。むしろ戦略の欠如が懸念される。それで
は中国に敗れかねず、全く油断できないのである。
『週刊新潮』 2019年7月11日号 日本ルネッサンス 第859回



  
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  • 名無しさん2019/07/16

    愛国派軍部連合体はがトランプ政権を後押ししていることは、高級軍人が主要閣僚を占めたことからも明白である。さらに、トランプが大統領に正式就任して以降、即座にクリミナル・ディープ・ステイトの浄化作戦が始まった。ついに本丸アメリカでも革命の火蓋が切って落とされた。



     まずはクリミナル・ディープ・ステイトの息のかかった政治家や官僚から大規模なパージが展開された。結果、米国務省やFBIを包括する司法省、CIAなどの政府当局で大量解雇へとつながり、ドルの発行権を保持するFRBの理事の総入れ替えも実現した。それから50名以上の議員が辞職に追い込まれ、何よりデイヴィッド・ロックフェラーやジェイコブ・ロスチャイルドなどを含む数十名の大物ハザールマフィア幹部らがすでにあの世に旅立った。この辺の徹底ぶりは、米軍らしさにあふれている。



     また数十人にものぼるハザールマフィアの工作員及び人身売買業者が性的児童虐待などの容疑で逮捕され、その逮捕者らが尋問の中で次々と黒幕について告発するようになった。昨今、突然「児童への性的虐待」がニュースになるのは、権力者や影響力を持った重要人物を取り込むために児童買春を悪用していたからである。



     欧米では、日本人が考えるより児童買春に対する社会的な刑罰ははるかに大きい。キリスト教では性に対して非寛容だったが、時代の趨勢で、ある程度は容認してきた。特に聖書で厳しく禁止されていた同性愛や中絶まで容認した際、キリスト教原理主義者たちは猛烈に反発した。そこで現在、敬虔なキリスト教徒にとって最後の守るべきラインとなっているのが「児童への性的虐待」なのだ。これだけは何があっても許さない絶対的正義となっている。それだけに児童買春が発覚すれば、一発で社会的に葬られる。その一方で成功者や権力者たちにすれば、タブーが強いほど倒錯的な性的興奮を覚えやすい。結果、クリミナル・ディープ・ステイトは、そんな成功者たちの性癖を利用して児童買春こそ「成功者」の証として誘導してきたわけである。



     そこで愛国派軍部連合体は、この負の連鎖を断ち切るべく徹底的に児童買春関係者を逮捕した。現場の犯罪者は、下っ端に過ぎない。そこで司法取引などを利用して芋づる式にクリミナル・デイープ・ステイトへと辿り着いた。公に確認できるだけでも8万5千人以上もの「名前が伏せられた起訴状」が用意されている。これから始まる戦犯裁判に向けて、最高裁判事が再構成され、アメリカ司法省も「新たに311人の検察官を採用する」と異例の発表にまで至った。



     そして「アメリカの浄化が終われば、次はヨーロッパや日本でも大量逮捕劇が始まる」と伝えられてきた。最終的には、世界支配の道具であった国連やIMF、BIS(国際決済銀行)、FRB、EU、NATOなど、戦後体制の仕組みが再構築されていくと思われていた。



     ところが、ここで肝心のトランプ大統領が裏切る。大統領予備選中に軍と諜報機関が調査した時にも、トランプには元々「脅迫材料」が山ほどあった。特にトランプが経営していたアトランティックシティのカジノである。1991年、1992年、2004年、2009年にこれらのカジノが破綻したとき、その度に窮地を救ったのがロシア系マフィアなどの人脈の闇資金だった。いわばトランプはカジノマネーに汚染されており、その闇資金が脅迫材料の一つになってしまったのだ。



     トランプは愛国派軍部連合体にとって都合の良い神輿であると同時に敵側にとってもトランプは与しやすい相手だった。どちらに転ぶのか、見定めていた結果、トランプは脅迫材料をちらつかされるや、すぐさま裏切った。神輿は軽い方がいいというが、腰まで軽ければ神輿としても使えない。それで2018年末以降、軍と諜報機関の愛国派はトランプを見限り、神輿から敵をあぶりだす餌へと格下げした。だからこそ、政権から相次いで大物高級軍人が出て行ったのである。



     何ら政治基盤の無いトランプの最大の後援者は、世界最強の米軍とアメリカの諜報機関だった。その後押しを失えば、トランプ政権の価値は皆無となる。すでにレームダック(死に体)になっているというのが国際社会の常識である。