政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針5083 号  2019・6・22(土)

2019/06/22


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 わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5083号
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        2019(令和元年)年 6月22日(土)



           トランプの本心は早い幕引き:宮崎正弘

           「大紀元」を知ってますか:渡部亮次郎
       
          2000万円と100万円のショック:櫻井よしこ
            
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

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トランプの本心は早い幕引き
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)6月13日(木曜日)弐
       通巻第6109号 
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 貿易戦争は関税合戦、トランプの本心は早く幕引きしたい。
  中国はメンツにこだわり、米国は農家もメーカーも苦杯が続く
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そろそろ幕引きとトランプ大統領は内心で考えているのではないか。

だから「大阪のG20で、習近平が首脳会談に応じなければ第4次制裁関税
をすぐに発表するだろう」とさかんにツィートしている。

畏怖と威嚇で相手から譲歩を引き出すディール。トランプ大統領一流の駆
け引きである。

そう言えば、トランプが若き日に世に問うたベストセラーは『駆け引きの
芸術』(THE ART OF DEALS)」という題名だ。いまも筆
者の手元にある。

米国からの対中輸出は29・6%減少、中国はところが8・4%減らしただ
け、駆け込み輸出が主因だが、生産、流通、そして消費が、米国市場とて
中国にしっかりとビルト・インされているからだ。

なにしろトランプの標語「MAKE AMERICA GREAT 
AGAIN」の帽子もシャツも国旗も中国でつくっている。

日本とてアパレルに関しては91%を輸入に頼っており、国内アパレルは壊
滅同然となっている。

中国は消費者物価が2・7%値上がりし、とくに豚肉は18・2%,生鮮果
物は26・7%、たとえばニンニクの中国における小売価格は45〜-50ドル
から55〜-60ドルに値上げになった。

漁夫の利を得ているのは欧州とベトナムである。とくにベトナムは中国企
業が夥しく移管して「ベトナム製」として対米輸出しているため輸出が急
伸中だ。
 
かくして世界貿易構造に地殻変動にたぐいする大変化が起きている。米国
は、この変化を十分に認識しながらも、失業率が低く、国内世論はトラン
プの対中強行策を支援しているので、現在の政策続行はやむを得ないと判
断している。

ところがトランプ支持基盤であるオハイオ、アイダホ、インディアナ、ア
ラバマなどの農業州で、悪影響が著しく出始めた。

大豆輸出は4分の1にまで減少、そのうえ異常気象による洪水が重なり、
これはトランプへの批判票となって、共和党の固い地盤である農業州で、
あろうことかバイデン支持が見られるようになった。

現段階では、議会が中国制裁の法律を作ってトランプにはやく実行せよと
迫り、メディアも議会に輪をかけて中国に強硬であるがゆえに、貿易戦争
の強硬姿勢は、アメリカの総意である。

しかし大統領選挙が近付けば、選挙対策がどうしても視野に入る。

そのうえ、トランプ政権の内部はケリー去り、バノン去り、マティス去り
で、バラバラの様相、通商政策は強硬派のナバロとライトハイザーが主導
し、ロス商務長官ら穏健派は声をあげず、安全保障政策はボルトンの一人
舞台。だいいち安全保障会議が開催されていない気配が濃厚である。


 ▲中国に進出した米企業も大苦戦

他方、中国へ進出して大規模な投資を続けてきたアップル、デル、GMな
どは中国国内で急激な売り上げ不振に見舞われ、大量のレイオフをだして
いる。中国市場で立場がかなり悪化、不利になってきた。

従って貿易戦争における高関税合戦は、米国も中国もはやめに手を打ちた
いのである。G20大阪で、米中首脳会談を急ぐのはトランプのほうにその
動機が強い。しかし選挙の心配のない習近平にとってはメンツを保持する
ことがもっとも重要で、『譲歩』の印象だけは避けたいというところであ
ろう。

貿易戦争なんぞより、米国が重視するのは次世代ハイテクの覇権であり、
こちらの方面ではファーウェイ、ZTE、チャイナモバイルに引き続き顔
面識別のカメラメーカーに社、ドローンのメーカーなどの米国上陸を阻止
した。
 
米中は現在の貿易戦争のレベルから、早晩、金融、技術をめぐる総合戦に
移行する。

トランプ政権は、こちらを優先させるために、やはり貿易戦争で徒な譲歩
を拒み、中国経済の衰退を時間をかけて攻めながら、技術の流失を防ぎ、
中国経済のパワーを弱め、これまでのパワーを集中させて、新しい政策発
動へ向かう方向にある。


 ▼ABCD包囲網、ハルノートあたりまで戦前と酷似してきたが。。。

とはいうものの、熱い戦争に至る可能性はきわめて低い。
 
戦前のFDRは、対日戦争を準備するために、移民法改悪、対日悪宣伝
キャンペーン開始、ABCD包囲ライン、日系人強制収容、ハルノートと
徐々に日本をして戦争を仕掛けるように謀り事をめぐらせて、パールハー
バーを待った。直前には中国奥地にフライングタイガー基地を志願兵と
偽って準備し、日支事変では事実上の対日参戦をしていた。

いま、米中戦争が、このパターン通りに繰り返すことはないが、一つの歴
史教訓として見直せば、中国人移民規制、中国の悪宣伝キャンペーンは開
始され、技術移転封鎖、関税戦争は一種のABCD包囲ライン、ペンス副
大統領演説はハルノートと言えなくはない。

中国は戦争も辞さない。最後までおつきあいすると威勢の良いタンカを
斬ってはいるが、兵站準備はまるで出来ていない。

口では台湾に強硬姿勢を示すものの事実上の戦争準備態勢にはない。むし
ろ台湾企業が中国から撤退して行くのを拱手傍観している。
 ならば次は何が起こるか?

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1909回】                    
――「支那は日本にとりては『見知らぬ國』なり」――鶴見(3)
鶴見祐輔『偶像破壊期の支那』(鐵道時報局 大正12年)

              ▲

その「第2の斷案」というのが、「儒?なんてものは支那では死んで仕舞
つた」である。

後日、胡適は「第2の斷案」を説くために鶴見をホテルに訪ねた。
 胡適が口を開く。

「儒教が支那人の思想をそんなに支配したと思ふのが謬りである」。どう
やら胡適は「老、荘、禪を理想主義と呼んだのに對し儒?を自然主義」と
見做しているようだ。

そもそも儒教とは何であるのか。

儒教の柱である「論語は斷片的な道?と常識だけではないか。しかも論語
の中の十六篇は僞文である。孟子、これは勿論孔子には關係ない。して見
れば、孔子の?義が天下を感化すると言つた所で、その内容はなんである
か」「孔子の生涯には、そんな深い神秘的な感化を與ふべき何物もない」。

まさに一刀両断である。

そこで鶴見が孔子第一の弟子とされる顔回に対する孔子の感化力を持ち
出すと、「顔回?顔回が何をしましたか。顔回が貧乏したと言ふだけで、
何の感化と言ふことが出來ますか」。

全く以て身も蓋もない。

「人も馬もなで斬り」である。そして筆を以て「一、命運(フェータリズ
ム)――知足(コンテント)。/二、果報(カールマ)/三、道家の報應
(レトリビユーシヨン)。」と記し、「是れが、支那人を支配した思想で
ある」と説いた。

胡適の話を聞いた後、鶴見は「只儒?全盛の支那に於て――胡適君の説あ
るに關せず自分はさふ思ふ――斯の如く大膽に卒直に、儒?――孔子と言ふ權
威を否定しやうと言ふ、年若き偶像破壞者の熱情に感動した。一體に、國
權、即ち兵力と財力とを以て、一つの哲學や宗?を一般人に強制すると言
ふことは、卑怯なやりかたである」。

そんな儒教が「自由にして忌憚なき批評の的になる」ようになったのは、
やはり「支那の權力階級の綱紀が緩んだお蔭であ」り、それゆえに「支那
の動亂は、支那の思想發達上の恩惠である」と考えた。

次いで訪れたのは、新文化運動の指導者であり後に共産党の創立に大き
な役割を果たした陳独秀と共に「反孔?運動の急先鋒であると聞いた」呉
虞だった。

呉は、「孔子を非とする理由として、次の如く記された。/一、其學説主
張不合國體。/二、偏重一楷級人的利?。/三、主張尊卑貴賤上下男女楷
級太不平。/四、輕視女子。/五、尊天重喪禮祭禮入於迷信。/六、不合
現代生活」と記し、さらに「科學の眞理に純据し、以て迷信を破除す。外
國人も亦多く賛成す」と綴っている。この6項目を簡単に言うなら、「統
治階級に最便利重寶なる學説であつて專制政治の支柱」ということだ。

呉との筆談中に、「流暢な日本語で言う三十四五の支那服」がやってき
た。陳啓修である。

「東京帝國大學の學生として、よく新渡戸先生の御宅に出這入りしていた
のは、早いもので、もう十餘念の昔である」。現在は北京国立大学経済学
教授として「多望なる未來を大勢の人に嘱目せられて居る」。「その時に
陳君のされた話は、公にすべき性質のものではないと思うから、此處には
書かない」。

だが彼が「月並な意味に於ける日支親善論者でないことが、自分には大層
うれしかつた」という。どうやら当時も「月並な意味に於ける日支親善論
者」が圧倒的に多かったわけだ。何時の時代も、軽佻浮薄の徒は掃いて捨
てるほどいる。

かくして鶴見は「日本と支那との、新しき了解の播きなほしは、陳?授
や周作人君等の手にある」と結論づけた。

次に周作人を訪ねる。この人ほどに日本を理解し、生き方、生きる形・姿
としての日本文化を存分に堪能した人は見当たりそうにない。

だが彼もまた「月並な意味に於ける日支親善論者でないこと」は明らか
だ。毛沢東に持ち上げられた兄の魯迅とも、共産党の走狗然と振る舞った
弟の周建人とも違い、共産党政権下でも節を枉げることはなかった
《QED》
  
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1)日本文化チャンネル桜から討論番組のお知らせです。
番組名:「闘論!倒論!討論!2019 日本よ、今...」
テーマ:「本当の中国・韓国経済」(仮)
放送予定:令和元年6月15日(土)夜公開
日本文化チャンネル桜、「YouTube」「ニコニコチャンネル」オフィシャ
ルサイト
インターネット放送So-TV
<パネリスト:50音順敬称略>
澁谷司(拓殖大学海外事情研究所教授)、田中秀臣(上武大学教授)
田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)、福島香織(ジャー
ナリスト)
宮崎正弘(作家・評論家)、室谷克実(評論家)、渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総(日本文化チャンネル桜 代表)

      
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「大紀元」を知ってますか
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       渡部 亮次郎

大紀元(だいきげん、英: The Epoch Times)は、新聞とインターネット
を報道媒体とする華僑系報道機関である。

2000年5月、ニューヨークで“中国共産党言論統制を突破する”華人たちに
よって設立された。2011年1月現在、新聞では9ヶ国語、ウェブサイトでは
17ヶ国語でそれぞれ各国支局により運営されている。

日本では東京都台東区に事務所を置き、中国語版を2001年、日本語版を
2005年から発行している。

数年前、私は東京での社員集会に招かれて講演したことがある。社員の多
くは来日後「反共」になった女性が大部分だった。

アメリカ国内に11の支社を持ち、日本やカナダ、イギリス、ドイツなど、
世界30カ国にグループ社がある。

ワシントンD.C.やニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボス
トン、カナダ、オーストリア、香港、台湾では日刊で、他の国・地域では
週刊で発行している。 全世界での中国語版の発行は週120万部。他に英語
版、ドイツ語版、フランス語版、ロシア語版、韓国語版、日本語版を発行。

紙面およびウェブサイトで、「中国共産党の圧力に屈せずいかなる検閲も
受けていない」ことを売りにしており、「中国国内では発信されない自由
民主に基づく視点」で、中国時事や文化記事を中心に報道している。

中国大陸以外で生活する中国人向けに記事は書かれており、中国共産党の
内政や外交問題を報道し続けている。特に中国共産党に対する報道姿勢は
非常に批判的である。

特に中国大陸における法輪功迫害問題(例:大量虐殺罪と拷問罪で中国前
江沢民国家主席がスペインおよびアルゼンチン裁判所で民事告訴されるな
どについては、他メディアが取り上げない事実を報道している。

他にもチベット民族、ウイグル民族やモンゴル等の少数民族に対する虐殺
や人権蹂躙に関する問題、中国共産党員の国外スパイ活動、中国大陸の環
境問題、中国の民主化運動などについて盛んに報じている。

『九評共産党(共産党についての九つの論評)』という社説を発表し、こ
の中で大紀元は中国共産党の暴政を糾弾し、同党の解体要因を指摘した。

九評共産党について中華民国元総統・李登輝は、「人も山河もみな、本源
へ帰る。奥の細道にたたずむ平安のみなもとを希求するすべての人々に、
この本を薦める」と評価し、「道徳的覚醒を促す」と出版社博大書店へ
メッセージを送った。

中国臓器狩り問題 の追究に熱心だ。2006年3月、中国人ジャーナリストR
氏は大紀元の単独取材の中で、東北部の瀋陽市近郊にある大型刑務所に数
千人の法輪功学習者が監禁され、当局が彼らを殺害した後、販売目的で臓
器を摘出している事を暴露した。

同問題が世界に明るみになった後、カナダの著名人権弁護士デービッド・
マタスと、カナダ政府元内閣大臣デービッド・キルガーは中国の臓器狩り
問題について調査依頼を受け、2007年7月、法輪功学習者が生きたまま臓
器を摘出されるというショッキングな内容を含んだ報告書「血塗られた臓
器狩り」を発表した。

この問題は世界のメディアや人権団体が注視している。この件でアルゼ
ンチンやオランダ、スペインなどで江沢民らを「人道に対する罪」で起
訴する動きがある。

受賞  2005年8月、アジア系アメリカ人ジャーナリスト協会の全国報道
賞、アジア・アメリカ問題ネット報道部門で優秀賞を受賞。 2005年9月、
カナダ全国マイノリティーメディア協会の2005年メディア賞を受賞。

2006年4月20日、アメリカのホワイトハウスで行われた中国の胡錦濤国家
主席の歓迎式典で、大紀元の女性記者・王文怡(ワン・ウェンイ)が式
典中、ジョージ・ブッシュ大統領の目前で胡錦濤を批判する発言(中国
共産党による臓器狩り問題に対して抗議する内容)を叫んだとして、国
際問題になった。その後、大紀元はアメリカ政府に謝罪し、王記者は解
雇された。2012・4・9

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://www.epochtimes.jp/



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2000万円と100万円のショック
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         櫻井よしこ

「2000万円と100万円のショック」

「ショックですよ。僕らの世代は2000万円と言われてもどうしようもない」

30代の技術者で、小規模ながら会社を経営している男性が語った。妻と共
働きで、幼い娘は2歳になったばかりだ。

金融庁は6月3日、定年後の夫婦が95歳まで生きるには約2000万円の金融資
産が必要だとの報告書をまとめた。平均値で、夫65歳、妻60歳以上の世帯
では毎月の生活費が約26万円、年金収入等は約21万円で、月約5万円の不
足が生じる。不足分は20年間で1300万円、30年間では約2000万円の貯蓄が
必要だということのようだ。

日本人の平均寿命が飛躍的に伸びたために、私たちは老後の資金について
以前よりも堅実に考えなければならないのは事実だ。かといっていきなり
2000万円という数字を出されれば国民が困惑するのは当然だ。

前述のように若い友人が感じた「2000万円ショック」から、私は自身が体
験した若き日の「100万円ショック」を思い出していた。

20代後半のことだ。当時勤めていた米紙東京支局の突然の閉鎖で、私はフ
リーのジャーナリストになった。だが、書き手としての私は正真正銘、無
名だった。それでも私はジャーナリストになりたかった。そこで売れるか
どうかもわからない記事に取り組んだ。記事案を考え、納得いくまで取材
した。苦労して何度も書き直した。しかし記事は中々採用してもらえな
い。取材費だけが重なり収支は赤字で、掛け値なしの貧乏暮らしが続いた。

自立して生きていくために、苦肉の策として翻訳を始めた。誰かが書いた
ものを日本語にしたり英語にしたりするのは、記事案を考え取材する苦労
とは別の難しさがあったが、翻訳の仕事は確実な収入をもたらしてくれた。

見たこともない大金

当初取材の合間に翻訳をしていたのが、段々、翻訳に費やす時間がふえて
いった。そんなある日、私は通帳を見て驚愕したのである。見たこともな
い大金がたまっていたからだ。その金額に、私は思わず知らず、恐怖心を
抱いた。こんなに沢山のお金がある。しかし、ジャーナリストになりたい
のに、このお金は全部翻訳料だ。どうしよう。

このまま続けたら私は駄目になる。急いで路線変更しなければ本来の目標
を永久に失ってしまう。そんな切迫感にかられて、私は翻訳の仕事を基本
的にすべてやめ、再び、効率の悪いジャーナリズムの道に戻った。

で、そのときの通帳の金額が約100万円だったのである。20代後半の私に
とって、100万円がどれほどの大金だったかということだ。

若い世代の金銭感覚は、多少ゆとりの生まれる中高年層のそれとは異な
り、慎ましいものだということを、政治を行う人々は忘れてはならないだ
ろう。私自身のはるか昔の体験を思い出せば、いま、若い世代の人たちが
「2000万円」という数字を見て、どんな気持ちになるか、わかる気がする。

世界一の長寿国になった日本の主人公である私たちは、長生きする分、自
分の人生をどう構築していくかについて冷静に考えるべきだ。考えなけれ
ばならない点は沢山あるのだが、それらは後述するとして、大蔵省出身で
前スイス大使の本田悦朗氏の疑問の声に耳を傾けたい。氏は今回の麻生太
郎金融相の情報の出し方を批判する。

「このような情報の出し方は、金融庁の考え方を代弁するものでしかあり
ません。日本の高齢者が保有している貯蓄額を意識してか、『金融資産は
さらに必要』などとも、報告書には書かれています。資産形成のために
もっと投資しなさいという金融機関の主張そのものです」

高齢国家の国民の生き方を支えるには、どの程度のお金が必要か、そのた
めの税制はどうすべきか(財務省)、健康をどう維持していくのか、仕事
はいつまで続けるのか(厚労省)、すべての省庁の管轄を越えて如何に人
生を意義深くできるか、楽しめるかなど、縦割り行政を脱した全体的な発
想が必要だ。金融庁の発想に基づいた狭い見方だけでは役に立たないばか
りか有害である。

おまけに今回の発表は不必要な心配を引き起こすと本田氏は批判する。

「きちんと説明すれば、高齢になってからの生活を心配するのでなく、
違った目で見ることができます。若い世代にはまだ時間があります。加え
て高齢者世帯の貯蓄額は平均で2300万円、但し、中央値は約1500万円で、
格差はあります。それでも高齢者世帯にこれだけの貯蓄があることを正し
くとらえることが冷静な議論には必要です」

前向きの発想

総務省の家計調査では世帯主が60代の家庭の平均貯蓄額は2382万円、負債
が205万円で、差し引き2177万円の資産がある。世帯主が70歳以上になる
と貯蓄は2385万円で負債は121万円、資産は2264万円だ。

持ち家比率は60代世帯主の場合が93.3%、70代が94.8%である。

右は現実の数字である。この現実の中で、年金だけで生活している高齢者
は、現在すでに貯蓄の取り崩しを行っているであろうが、金融庁のいう
2000万円の不足を補う財力を持っている人は少なくないのである。但し、
中央値は1500万円であり、「2000万円の不足」を補いきれない世帯も存在
すること、そのことへの政策も忘れてはならない。

日本は長寿国を目指し、見事に実現したが、そのことを私たちはどう楽し
み、どう活用していくのがよいのか。これこそ、いま考えなければならな
い課題だ。国民皆保険で医療体制を整え、自身の力だけでは生活が成り立
たない人々への種々のセーフティネットを準備した。それはこれからも充
実させるべきである。

他方、日本人は勤勉である。働けるうちは働き、なるべく自分のことは自
分でしたいと考えてきたはずだ。「生涯現役」や「ピンピンコロリ」など
の言葉の実践こそ庶民の理想であろう。

年金だけで暮らすよりも、誰かのために役立ち、働くことを楽しみ、収入
を得て、何がしかの税金を納める立場に立ち、孫にも小遣いを奮発できる
ような人生を多くの日本人は望んでいるのではないか。

であるならば、日本人の労働に対する誠実さを上手に#抽#ひ#き出し、前
向きの発想を促す施策こそ望まれる。若い世代を元気づけ、国の財政も支
えるには何が必要か。中央政府と地方自治体は何をすべきか、金銭の多寡
を超える精神生活の豊かさを育める地平に如何にして辿りつくか。こうし
た発想と政策こそ必要だ。

同時に私たち国民の側も自分の人生を最終的に引き受けるのは自分自身だ
と認識したい。ちなみに私は死ぬ1週間前まで、何かしら書いていたいと
願っている。
『週刊新潮』 2019年6月20日号
日本ルネッサンス 第856回




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重 要 情 報
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◎八村塁、大阪なおみ、サニブラウン・ハキームに思う:前田正晶

世界で活躍する日本人選手たちのことを採り上げるのだが、何故錦織圭君
が抜けているかと訝る方もおられるだろう。本音を言えば内心では非常に
微妙なことになるかも知れないと危惧する問題を採り上げようとしている
のだ。

八村塁君:
先ほどジムから帰ってヒルオビだかを見ればゴンザガ大学に行ってバス
ケットボールをやっていた八村塁君が世界のバスケットボールの最高峰で
あるNBAのドラフトで1巡目に指名され、ウイザーズに入団が決まったと報
じていた。これは将に素晴らしい快挙であって大いに祝福すべきことだと
思う。

私は幸いにも在職中に何度もNBAのゲームを見る機会があったので、それ
がどれほど凄いことかが解る。彼は本場アメリカの強豪大学に行ったから
こそ天与の素質を伸ばせたのだろう。ご存じでない方の為に付記しておけ
ばアメリカの大学の運動部では成績が悪いと試合には出さないというのが
一般的である。

実は、私はバスケットボールは本職だったサッカーに次ぐ得意なスポーツ
で、高校の頃には身長のハンデイキャップをものともせず、学年のバス
ケットボール部員以外の5人に選ばれていたほど好きな競技だった。何故
上手くやれたのかといえば、サッカーをやっていればそれなりにスピード
がある動きが出来るし、パスの理屈はサッカーと同じなので、気が合う仲
間と組めば十分に楽しめたのであった。

サニブラウン・ハキーム君:
次は100 m走で日本記録の9.97秒を叩き出したサニブラウン・ハキーム
君。Wikipediaのお陰でSani Brownが名字だと知り得た。彼もアメリカの
優れた指導法のお陰で矢張りその持てる素質を遺憾なく伸ばして、0.01秒
の差でも桐生祥秀君を追い越せたのだろう。大方の専門家はサニブラウン
君には未だ伸びしろがあると見ているようだ。彼の他にも期待されている
走者にはケンブリッジ飛鳥君もいるではないか。

大阪なおみさん:
さて、大阪なおみさんである。私は彼女がUSとオーストラリアオープンを
制した後でも「あの勝ちは出会い頭ではないか」という疑いを捨てきれな
かった。彼女が少なくとも私の知らないところから突如として現れ、その
抜群と見える素質を活かして急速に腕を上げて、世界的な大会を連覇して
も「あれが彼女の正味の実力が発揮された結果である」とは信じられな
かった。確かに希に見る素材である事は否定しないが、グランドスラム以
外で遙か下のランキングの選手にコロリと負けてしまうのを続けざまに見
せられては「何処までが正味の実力なのか」と疑いたくもなるのだ。

ここまでに採り上げた3人の選手たちは抜群の素質と体格と体力を十二分
に活かして世界という場で力を発揮して結果を残してきた。何処かの局で
使っていた表現は「両親の何れかが日本人ではない人たち」という解った
ようで解らないことを言っていた。全員の父親がアフリカ系であるとは言
いにくかったのだろう。かく申す私だってこう言ってしまったことは「大
いなる過ちを犯したことになるかも知れない」と本当に密かに怖れている。

こういう両親の下に育ってきた運動選手たちは上記以外にもNPBにはオコ
エ君もいれば、ヴァレーボールにもいるし、サッカーにもいると思う。少
なくとも私が一寸見ただけでも、非常に優れた素質の持ち主であると解
る。私はアメリカでMLB、NFL、NBAの試合を何度も見てきたので、アフリ
カ系の選手たちの身体能力等の凄さは十二分に解っている。また微妙な表
現になるが、何かと言えば人種差別を云々されるアメリカで、アフリカ系
アメリカ人たちがどのように看做されているかも承知している。

結び:
ういう両親の下で育った我が国の選手たちが世界最高峰の場で活躍してく
れていることは大いに結構で、景気がどうのとか、2,000万円の蓄えがな
いとどうのとか、余り気分良くない話題が多い時に、八村塁君がNBAのド
ラフトで1位指名されたなどというのは、2,000万円問題などに引っかけて
野党どもが安倍内閣を責め立てて問責だの不信任案を出すなどという話題
よりも遙かに気分を良くしてくれる事柄である。八村塁君には夢の世界
だったNBAでも思う存分やってくれることを期待しよう。


◎ 安倍首相の父晋太郎が外相就任早々の頃、昭和天皇が「ところで、賀陽
はどうしているかね。」とたずねられたそうです。賀陽とは、2代賀陽宮
恒憲王の次男で、外務省に入省して大使を歴任した賀陽治憲のことです。

昭和天皇と恒憲王妃敏子がいとこでしたから、敏子の子の治憲は、昭和天
皇のいとこの子になるのでした。(まこと)

◎韓国がこれからどうなるか:前田正晶

日韓関係だけを見ていてはダメなのだそうだ。
12日は吉田輝星君の投球と8時からのPrime Newsとを、際どい掛け持ちで
見ていた。ゲストは自民党の平代議士、愛知淑徳大学教授の真田氏、日経
新聞論説委員鈴置氏だった。所謂専門家の方々だが、非常に綿密な情報網
をお持ちのようで、伝聞だけではない迫力があって大変興味深く聞いていた。

結論めいた風に纏めれば、「文在寅大統領の任期中には我が国との関係が
改善される懸念はない」となると思わせて貰えた。即ち、文在寅大統領は
何が何でも、アメリカが何と言おうとDPRKとの統合と言うか融合で頭が一
杯で、我が国との関係修復などは頭の隅のまた片隅の何処かにある程度だ
ろうと言われていたと聞いていた。慰安婦問題、半島からの戦時中の工員
の裁判の問題、レーダー照射問題等々、何一つとして自ら乗り出して解決
しようとは考えていないだろうと、ゲスト方々全員が保証されたと聞こえ
た。尤も至極であると痛感した。

司会の反町が微妙な案件について色々と質問したし、不安材料ばかりの韓
国経済についての見解を尋ねても、そういう案件は文大統領に上がってい
ないかも知れないし、特に経済問題などは理解出来ていないだろうとまで
言われていた。これも言うなれば極めて“understandable”に聞こえたのが
怖かった。特にあれほど北に向いて傾倒していては、アメリカは(既に採
り上げたがKorea fatigueという表現まである)韓国との間柄を尊重する
気はないだろうと、ほぼ全員が言い切られた。

しかも、最大の輸出相手国である中国との間もギスギスしてきてしまった
現在では「韓国の存在を対日関係だけで見ているべきではなく、対アメリ
カと対中国の関係という三つの国との間がどうなっているかで考えるべき
である」という見解が示されたのも納得させられた。要するに、金正恩委
員長にも疎んじられている現在で、対トランプ大統領とDPRKの仲介者とし
ては最早アメリカは見ていないという指摘も「そうだろうな」と思ってあ
らためて聞いた。

特に、平代議士が「通貨スワップ」について非常に否定的であったのも興
味深かったし、当然であると思った。彼のように対韓国に関して情報量も
抱負であり、常に韓国のマスコミの報道振りを注視している姿勢には安心
感さえ持つに至った。私が面白いと思って聞いたのは、鈴置氏が「現在の
韓国の経済状況では国内市場に依存していないサムスン(三星)などが何
時韓国を出て外国に拠点を置くか解らない。あの業態であれば世界の何処
で業務を行っても同じだから」と指摘されたのも聞き物だと思った。サム
スンの去られた韓国の経済が成り立つか!?

韓国内では文在寅大統領を弾劾せよとも署名も25万も集まっている由だ
が、仮令彼が引いても対抗する保守勢力も弱いので、48%の支持率でもあ
の政権は何とか安泰だろうという見方をされていた。ゲストの方々の意見
は興味深かったが、結局は現状では慰安婦と言い何と言い全て韓国側が起
こした案件であるとは言うが、文在寅大統領を凹まして改善させる手はな
いと言っておられたように聞こえた。私は仮令そうであっても、韓国に対
して直接でも、国際的な場ででも、言うべきことを言っておく必要がある
と思う。


◎私事ですが顎関節症は快方に向かっているところ:前田正晶

頬の筋肉が痛いと言うべきか、食べ物を噛むと何とも形容出来ないよう
な痛さで食べる意欲を喪失してしまう奇妙な状態になったのが今年の1月
中旬で、当に臭覚がなくなって悩まされていた蓄膿症から解放された直後
だった。何のことか分らないままに、何とかして噛める物を食べる意欲が
失せる前に、少しずつ食べていた状態が3月中旬まで続いた。掛かりつけ
の歯科医には隔週に通っていれば済む状態だったので、2月になってから
苦境を訴えると「顎関節症」と診断され、原因も確かめられておらず確固
たる治療法も無いと絶望的なようなことを告知された。辛かった。

だが、その歯科医の先生はご出身の昭和大学で同期の先生が「新設の顎
関節症治療科の教授をしているから、行って診て貰いなさい」と紹介状を
頂いて、3月20日に東急目黒線の洗足の病院に行ってみた。ご紹介頂いた
菅沼教授の診断は「これは軽症の部類で、これから指示する顎の運動を続
ければ95%は治癒する」と言われた。昭和大学に伺って驚いたことに、こ
の治療科には実に多くの患者さんが来ておられたことで、この病気に悩む
方が多いのだと知り得た次第だ。

その内容は口を開けられるだけ開けることを10回、右手で下顎を下に引
き下ろし、左手で上顎を引き上げるという運動を最初は10秒間維持するこ
とを5回行う、この2つの運動をワンセットして1日に3セット行い、最終
的には開いている時間を30秒まで持って行くというものだった。聞かされ
た瞬間には「こんな事で治るのか」とは感じたが、選択肢はないと思って
その日から開始して、3ヶ月を経た今では確かに30秒まで出来るように
なった。「出来る」という意味は秒数を延ばした後は、食べ物を噛む時に
少し苦痛を生じるのだ。そこを克服せねば事が進まないのだ。

初診の時に教授に色々と「食べて(噛んで)良いものを伺っておいた
が、その中でステーキは細かく切れば良い」との指示を頂いていた。そこ
で6月の今ではかなり状態が良くなってきたと思っているので、20日は思
い切って外食で150 gのアメリカからの輸入のアンガスビーフのステーキ
に挑戦してみた。これは発症前に何度か食べているのでその柔らかさは
分っていた。そこで、細かく切ったものを噛んでみたが何の問題もなかっ
たし、切らなくても軽々と?噛み切れて一安心だった。非常に気分良く昼
食を楽しめたのだった。

実は、2月頃には余り噛まずに無理矢理に飲み込んでいたので消化不良に
よる便秘まで起こして苦しんだので、自然に小食となり「おじや」や蕎麦
や饂飩の類いの噛みやすい物を少しだけしか食べないようになってしまっ
ていた。その結果として胃が縮小したのか、毎月ほぼ1 kgも体重が減少し
今では50 kg一寸の辺りになってしまった。負け惜しみのようなことを言
えば「体重が減少することは心臓への負担が減って結構なことなのだが、
着るものが皆ダブダブになってしまったのは外見上も芳しくなく、ビジネ
スマンの服装学の提唱者としては体裁が悪い」ような気がするのだ。

だが、半年近くも深刻に悩まされた病から解放される方向に進んでいる
のは本当に有り難いことであるし、結構なことだと心から喜んでいる。自
分自身の診断では回復の度合いは70〜80%くらいの気がするので、これか
らも日に3度の顎の運動を続けていこうと思っている。あの運動は入浴中
が良いと言われているので、恥も外聞もなくジムの大きなジェットバスの
中でも敢行している。20日は顔馴染みの方に「何をやっているのか」と尋
ねられて、喜んで詳しく説明してあげて「これが何時貴方を襲ってくるか
解りませんよ」と余計な警告までしてしまった。


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身 辺 雑 記
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22 日の東京湾岸は曇天。

21日の東京湾岸は快晴。爽快に散歩を済ませた。散歩する都立猿江恩賜公
園では今開花した紫陽花が見事だ。

恥ずかしながら私の生まれ育ったところは秋田県にあった旧八郎潟沿岸の
水田単作地帯.花と言ったら道端の草花しか知らなかった。


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