政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針5065号  2019・6・4(火)

2019/06/04



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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5065号
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        2019(令和元年)年 6月4日(火)



          自衛隊に甘えすぎではないか:阿比留瑠比

           ミャンマーに持ちかける中国:宮崎正弘
        
           裁判員制度が始まって10年:櫻井よしこ
           
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記

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自衛隊に甘えすぎではないか
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        阿比留 瑠比

太平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず------。幕末のペ
リー来航の際の蒸気船と、覚醒効果のある高級茶をかけたこの狂歌ではな
いが、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は枕を高くして
寝られ
ただろうか。安部晋三首相とトランプ大統領が28日、いずも型護衛艦「か
が」を視察した件である。

米大統領が海上自衛隊艦艇に乗艦するのは初めてであり、これまでにない
強固な日米同盟の誇示は、北朝鮮だけでなく、中国に向けて強力なメッ
セージとなった。日米両首脳は「かが」船上で、それぞれ次のように訓示
を行った。

安部首相「強固な日米同盟は日米の隊員一人一人の努力によって支えられ
ている。自衛隊の諸君、昼夜を分かたず自由で平和な海を守り続ける諸君
を、私は誇りに思う」

トランプ氏「素晴らしい米国と日本の兵士たちに言いたい。あなたたち
が、われわれの国民を守るためにしているすべてのことに深い感謝を述べ
たい」

もはや、創設(昭和29年7月)まもない頃のように、自衛隊が「日蔭者」
(吉田元首相)であることを強いられ、甘んじる時代ではない。


9割「良い印象持つ」

内閣府の平成26年度の世論調査では、自衛隊に「良い印象を持っている」
と「どちらかというと良い印象を持っている」を合わせて92・2%に上
る。反対に「悪い」「どちらかというと悪い」との印象を持つ人は4・
8%に過ぎない。

29年度の調査でも、計89・8%が良い印象を持つと答えており、悪い印象
を持つ人は計5・6%にとどまる。過去2回の調査ともに9割前後が良い
印象を表明しているが、これほど高い組織はちょっとほかには考えにくい。

ところが、これほど国民の信頼が厚い組織が憲法で位置づけられていな
い。もちろん、現行憲法の施行時(昭和22年5月) には自衛隊は存在しな
かったのだから、当初書かれていなかったのは当然である。

だが自衛隊発足後それがそのまま放置されているというのは、政治の怠慢
であり、憲法を空文化させてきた。立憲主義にも反している。

憲法9条に自衛隊を明記するという具体案を、安部首相が提唱して2年以
上たつが、国会審議は遅々として進まない。この案は自民党だけでなく、
憲法に足らざるを加える「加憲」を唱える公明党も受け入れられるもの
だったはずである。

にもかかわらず、「憲法改正原案、憲法改正の発議」を審議できるはずの
衆参両院の憲法審査会が実質的に動かないのは、国会議員の怠慢だろう。

国会が、憲法で定められた国民投票の権利行使を妨げている。これまでの
自衛隊の労苦に報いるどころか、文句が言えない自衛隊に甘えすぎではな
いか。

憲法審の慣例がネック

「『自衛隊を憲法に明記する』ために」という冊子の配布やミニ集会、講
演活動などを通じて憲法改正を訴えている元熊本県議で通信制高校校長、
野田将晴氏は懸念を示す。

「全会一致を原則とする憲法審査会の慣例が、一番ネックになっている。
この慣例がある限り、たとえ参院選後に改憲勢力が発議に必要な3分の2
以上の議席を維持しても、野党が反対してまた同じことの繰り返しになり
かねない」

いざ国民投票になっても、憲法に自衛隊を明記することにあくまでも反対
する人がそんなにいるとは思えない。いずれかのタイミングで、無意味で
弊害多き慣例は捨てる必要があろう。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】 



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ミャンマーに持ちかける中国
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)6月3日(月曜日)
         通巻第6096号 
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 怪しげな都市開発プロジェクトをミャンマーに持ちかける中国
   ヤンゴンの西郊外に8000ヘクタールの農地を開発するとか
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ミャンマーの大富豪の一人にセルゲ・パンという政商がいる。
軍事政権時代に中国へ逃亡していたが、1991年にヤンゴンに戻った。政治
的独裁が緩和されるや、パンは不動産開発と金融でまたたくまに商圏を拡
大し、富豪の地位を不動のものとする。

その彼がぶち挙げたのが、ヤンゴンの西に拡がる穀倉地帯を第二の新都心
とするNCDC(新都心開発会社)である。ヤンゴンの新都心は、200
万人の雇用を産む、というのが謳い文句だ。
 https://www.nydc.com.mm/ 

大風呂敷に見えるNCDC構想、ヤンゴン市当局が許可を出した。表向き
の開発理由は「ヤンゴン市内のチャイナタウンが膨張しすぎて限界に近
い。あたらしいチャイナタウンが必要だ」というものだ。

開発予定地はヤンゴン川の西側、約8000へクタールの農地である。8000ヘ
クタールとは8000万平方メートル(2400万坪)。

ヤンゴンのジャーナリストはすぐさま、このプロジェクトに疑惑を抱き、
調べだした。怪しい開発であり、背後に中国のCCCC(中国交通建設有
限公司。2005年に中国港湾建設集団と合併、上海と香港に上場)が15億ド
ルを用意していることが判明した。

じつは、このCCCC。スリランカのハンバントタ港に14億ドルを投じた
近代化工事の主契約社であり、同港はスリランカ政府が返済不能となっ
て、99年の租借を認めざるを得なくなったときも暗躍した。

ハンバントラ港はすでに中国の軍港化している。

マレーシアのパイプライン工事、フィリピンの高速道路工事にも顔を出
し、めちゃに高い資金で入札を繰り返し、政治家への賄賂が告発されている。

つまり曰く付きの企業であり、ブルームバーグは2018年9月に同社を『ブ
ラックリスト』に入れた。


▲つきまとう黒い噂、ミャンマー政治の裏の闇

ヤンゴン市当局は「過去の失敗もあり、このプロジェクトは『スイス・
チャレンジ方式』で行う」とした。これは国際入札を透明化するために第
三者を介入させて入札を監視し、その開発能力を試すのだ。

しかし、ミャンマーは長かった軍政時代から、巨大プロジェクトには必ず
黒い噂があり、ミャンマー政治の裏の闇に拡がるのは政治家と政商、そし
て中国との癒着である。

ヤンゴンの情報筋は、過去の出来事を振り返る。

嘗て北部の水力ダムが36億ドルという途方もないプロジェクトだったし、
ラカイン州の深海開発港のチャウピューも、最初は75億ドルが提示され、
最近の話し合いで13億ドルのプロジェクトにレベルダウンされた経緯がある。

筆者も実際に現場を取材したが、当該現場にはまだ看板があるだけ、本気
で開発するのか、どうか怪しいと疑問を呈している。

ぽつんと崖っぷちに建っているのは4階建ての事務所だけ、警備員が2
人。いつ開業か、工事はいつから始まるのかと聞いても、英語も中国語も
通じないのである。

用地買収から着手するべきだが、それを分担するミャンマー政府が動いて
いる気配もないのだ。

中国の裏の意図は言うまでもない。

ヤンゴン新都心とは名ばかりの「BRI」(一帯一路)の拠点化であり、
貸し込んだカネを、ミャンマーの返済不能をまって、99年の租借とする腹
だろうと、ヤンゴンの情報筋は分析している。
 
       
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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 習近平独裁という中国王朝に黄昏がきた。やがて自滅するだろう
  経済システムの決壊が方々で起こり、人民の不安心理は異様に増幅し
ている

渡邊哲也 vs 福島香織『中国大自滅』(徳間書店)
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初顔合わせの2人、何が飛び出すか。愉しみにページを開いた。

冒頭からテンションが異常に高い。ただならぬ中国経済の惨状が、冒頭か
ら伝わってくる。

中国からの輸入品に高関税をかけ、米国のハイテク企業買収を阻止し、中
国人留学生のヴィザを厳格化し、あからさまな中国制裁へ動き出したトラ
ンプ政権の法的淵源としては、昨秋に成立を見た「国防権限法」が有名だ
ろう。

だがこれは米国が用意した阻止政策のワンノブゼムにすぎない。

渡邊氏は、いきなり「FIRRMA(外国投資リスク審査現代化法)」,
「ECRA(輸出管理改革法)」、そして「CFIUS(投資委員会)」
という新法を並べる。

これらで米国が中国とのハイテク競争に臨んでいる実態を縷々説明してい
る。耳慣れないのも、日本のメディアが後者みっつの法律について殆ど報
道しないからだ。

インテルが半導体供給をやめたためスマホの組み立てが出来なくなった
ZTEは倒産寸前に陥った。

ファーウェイとチャイナモバイルの米国市場からの排斥もきまった。ほか
にも監視カメラ三社、ドローンのメーカーなども排斥が決まった。

慌てた中国は、ファーウェイ国有化を視野にいれ、事実上倒産状態に陥っ
た海航集団と安邦保険を土壇場で国有化して対応した。

金融面でも銀行準備率を数回引き下げ、資金供給という緩和政策をつづけ
ているが、市場はほとんど氷結したままとなった。

新しい投資はどこにも見られず、中国企業がむしろ海外へ工場を移転し、
中国からのエクソダスを展開中だ。習近平独裁という中国王朝は黄昏はじ
めた。やがて自滅するだろうと2人は口を揃える。

とりわけ中国ハイテクのアキレス腱は半導体の自製ができないことである。

福島女史が言う。
 
「国産の半導体への切り替えを急いでいますが、2017年で国産化率は13・
4%ほどで、ハイエンド半導体は8割を輸入に頼っている状況です」
 渡邊氏がさらに説明を深めて解説を拡げる。

「国産化のために中国は半導体3社をつくりました。2009年に破綻したド
イツの半導体大手キマンダを継承した紫光集団(ユニ・グループ)配下の
『長江ストレージ』と『JHICC』。米マイクロン・テクノロジー傘下
の台湾科亜科技(イノテラ・メモリーズ)の技術者を大量に引き抜いて作
られた『RuiLi』です」。

だがうまくいっておらず、JHICCの新工場は建物が完成したが、操業
に到らず、引き抜いてきた台湾人エンジニアも引き揚げた(小誌でも、こ
のニュースは既報)。

ハイテク産業でも、企業倒産、工場閉鎖など決壊が方々で起こり、人民の
不安心理は異様に増幅している。

一帯一路も、いまでは「借金の罠」という認識を世界が共有するに到り、
中国の言い分を是としている国々は数えるほどしかなくなった。
 
自滅はいまや秒読みという点で2人の分析はほぼ一致する。
 
福島女史は、これらにくわえ、中国が建設もしくは建設中の原発がいずれ
事故をおこすだろうと不気味な予告をする。
 
日本は貿易戦争では勝ち馬に乗れとする重要な推奨を忘れない。溢れるよ
うな情報量は、新聞に載らないデータが多いため極めて有益である。

     
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこ 
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   ♪
(読者の声1)従来、靖国神社広報紙「?國」は記事の中で「天皇陛下の
靖国神社ご参拝」あるいは「天皇陛下の靖国神社ご親拝」という表現使っ
てきていましたが、令和元年6月1日付けの第767号で2頁から5ページ
にわたる「?國神社百五十年のあゆみ」と題した年表で「天皇行幸」、
「皇后行啓」と正しく記載されていることを発見いたしました。

今回だけにことか、誤りに気づいて今後は正しく標記するのか分かりませ
んが、一歩前進です。(當田晋也)

  ♪
(読者の声2)成功裏に終えたトランプ大統領の国賓訪問。最終日、横須
賀基地での護衛艦「かが」への乗船は二重の意味で日米の結束を示すもの
でした。

第2次大戦の空母「加賀」といえば、真珠湾攻撃に参加しミッドウェーで
沈没。その名を受け継ぐ「かか」に乗船するとともに「かが」の空母への
改装が発表される。まさに「余命3年時事日記」に書かれていた通りの展
開です。

「真珠湾」は過去のものとして日米同盟の強化を全面に打ち出している。
 しかも5月27日は旧「海軍記念日」。アメリカが海上自衛隊に「海軍」
としてのお墨付きを与えたといってもいい出来事。トランプ大統領は「か
が」からアメリカの強襲揚陸艦「ワスプ」に移動。「かが」と「ワスプ」
は見た目の大きさはさほど変わりませんが、排水量は大きく異なります。
日本の軍事評論家が両者を比較して「いずも」級の護衛艦は甲板の下がが
らんどうで強度が弱すぎ、空母に改修したとしても搭載できるF-35Bの数
は限られると指摘していました。

「いずも」級護衛艦の次世代は本格空母を目指すとして、それまでのつな
ぎにアメリカから強襲揚陸艦を導入することもありえます。

まさに「日本が在日米軍を買収し第七艦隊を吸収・合併する日」の第一歩
かもしれません。(PB生、千葉)



  ♪
(読者の声3)拝啓 薫風の候、 皆様には、ご健勝のこととお慶び申し
あげます。また、日頃は当会に格別のご高配を賜り、篤く御礼申し上げます。

さて、掲題の第23回定期総会開催に伴い、記念講演会等を開催しますの
で、ご案内申し上げます。今回の記念講演会の講師には、台北駐日経済文
化代表処の謝長廷代表をお招きし、日台関係についてのお考えなどをお話
しいただく予定です。また講演会終了後は、ご来賓、一般参加の方、会
員・会友、また留学生を含めた学生を交えて、交流の集いを開催いたします。
ご多用中、真に恐れ入りますが、万障お繰り合わせのうえ、ご参加くださ
いますよう謹んでご案内いたします。
           記
・期 日:令和元(2019)年6月8日(土曜日)
・時 間:記念講演会:午後4時〜5時30分/交流の集い:午後6時〜8時
・場 所:記念講演会(早大早稲田キャンパス26号館(正門前・大隈記念
タワー)B1 多目的ホール
   交流の集い グッドモーニングカフェ早稲田店 
     西早稲田1-9-12 大隈スクエアビル1F
     https://www.gmc-waseda.com/
・記念講演会
 講 師:謝長廷氏(台北駐日経済文化代表処 代表)
 演 題:『台日関係のありかたと今後への展望』(仮題)
 会 費:無料
・交流の集い
 会 費:会員・会友5,000円 /一般6,000円 /学生1,500円
・申込先:※講演会と交流の集いと、それぞれ出欠をお知らせください。
     E-mail:nittaievent@gmail.com
   (担当幹事:梶山憲一/藤本篤志)
・問合せおよび当日の連絡先:090-4453-2433(梶山)
・日台稲門会事務局  電話:090-4453-2433
 HP:http://nittai-toumonkai.com/
   


      
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裁判員制度が始まって10年
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      櫻井よしこ

「国民が参加する裁判員制度が始まって10年 今後も欠点は修正しつつ成
熟することを願う」

 

国民が刑事裁判に参加する裁判員制度が始まって5月で10年、感慨深いも
のがある。

5月21日の紙面で「読売新聞」が特集したが、その中の全国50の地方裁判
所所長へのアンケート調査では、全員が「裁判員裁判は刑事裁判に良い影
響をもたらした」と回答している。

「日本経済新聞」がやはり同日の紙面で報じた最高裁判所の調査では、裁
判員経験者の96%が裁判への参加を「良い経験だった」と評価している。

10年間で裁判員や補充裁判員を務めた人は9万人を超すが、最高裁刑事局
長の安東章氏は「一人ひとりが真摯に裁判に向き合ってくれた」と感謝し
た。皆真面目に責任を果たしてきたのである。

裁判員制度を導入すべきか否かが論争されていた10年以上前、裁判官とい
う裁判官は導入に反対だった。司法は変わらなければならない、もっと司
法を国民の側に近づけなければならないと考えていた人々の側にも迷いが
あった。法律の知識もないいわば素人に、刑事裁判で被告を裁く資格があ
るのだろうかという懸念である。その思いは私も共有していた。

このような思いは大多数の真面目な日本国民の、人を裁くということに対
する人間としての責任感の裏返しであり、自らの能力の限界を認識した謙
虚さの反映でもあったのではないか。

当時の司法の現実は厳しかった。裁判にはどう見てもおかしなことがあっ
た。『裁判官が日本を滅ぼす』(新潮社)や『激突! 裁判員制度』
(WAC)などの著者である門田?将(かどたりゅうしょう)氏は、山口
県光市の「母子殺害事件」の被害者、本村洋氏の思いを広く伝え、司法改
革の重要性を訴えた。

本村氏は1999年4月に、当時18歳だった犯人に、妻と幼い娘を絞殺され
た。愛する家族の命を無残に奪った犯人に、本村氏は極刑を望んだ。しか
し、山口地裁も広島高等裁判所も、犯人には「更生の可能性がないとはい
えない」として、死刑を回避した。

それは典型的な判例主義に他ならない。私は本村氏に複数回お会いし、数
時間話を聞いたが、氏は、「裁判官は相場主義に基づいて判決を下してい
る。それでは審理など必要ない」と厳しく批判した。

また、広島高裁判決後の記者会見では「古い判例に裁判所がいつまでもし
がみついているのはおかしい。時代に合った新しい価値基準を取り入れて
いくのが司法の役割だ」と語っている。この思いはやがて最高裁を動か
し、判例主義を超えた死刑判決が言い渡された(門田?将(かどたりゅう
しょう)著『なぜ君は絶望と闘えたのか』新潮社)。

私にとって弁護士の岡村勲氏との出会いも非常に大切なものだった。氏は
代理人を務めていた山一證券に関する事案で男に逆恨みされ、妻を殺害さ
れた。自身が被害者になって初めて、いかに犯罪被害者が無視されていた
かに気づき、日本で初めて「犯罪被害者の会」を立ち上げ、司法改革の先
頭に立った。

司法は多くの面で改革を必要としていたのである。重要なことは、犯罪は
法律だけで裁いてはならないということだ。それは法を無視せよというこ
とではまったくない。むしろ、真の意味で法の精神を尊重せよということ
だ。法の執行に、人間の良識を反映させよということである。裁判員制度
が生まれ、法律の素人が裁判に参加し、自身の能力の限りを尽くし、良識
に従って誠実に、裁判員としての責任を果たした。その歩みが10年の歳月
を刻んだ。すばらしいことだ。

読売新聞のアンケートには、裁判の在り方が変わり「分かり易くなった」
「判決の説得力が増した」などの指摘がある。

国民参加の司法が法と正義に基づいて成熟していくために、裁判員制度を
支える社会の基盤を広げたい。

『週刊ダイヤモンド』 2019年6月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1281


                   
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重 要 情 報
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◎「雅子皇后様の英語に思う」の補足:前田正晶

3日の論考にはやや説明不足と思われる点があったので、ここに改めてそ
の点を補足しようと考えた次第。文中にも記載したが、恥ずかしながら私
は39歳になるまでアメリカには行ったこともなかったし、勿論留学は言う
に及ばす駐在の経験などなかったのだ。下記のパラグラフからが補足分で
ある。

皇后様が外務省に勤めておられたからと言って、365日外国人と接触して
おられる訳ではないと拝察する。我々というか私のようにアメリカの会社
(所謂外資系ではない)に勤務していれば、例え東京に駐在していても社
内では常時英語でしか仕事が出来ないのとは、お立場が違うのではないか
と思うのだが。細かいことを言えば、私が勤務していたWeyerhaeuser
Japanでは交通費でも交際費でも何でも全ての経費を本社と同じ同フォー
ムに英語で記載するしかないようなことになっていたのだ。

ここであらためて指摘しておきたいことがある。それはアメリカやヨー
ロッパの4年制の大学に留学したとか、駐在したからといって、必ずしも
英語力が飛躍的に上達するとは限らないのである。言うなれば、英語が上
手くなるか否かは本人の心掛け次第だと思う。現実に、私は留学も駐在の
経験もない人々で私が常に言う「アメリカの支配階層」の中に入っても立
派に通用する英語力を備えていた例には幾らでも出会っていたのだ。

具体例を挙げれば、私の親友であるYM氏は40歳間近で日本の普通の会社を
辞めてカリフォルニア州の会社に転進し、更に40歳を過ぎてからハー
ヴァードのビジネススクールでMBAを取得して、68歳でスタンフォード大
学他の3校で合計8年間もビジネススクールの教授になれるだけの英語力を
備えていた。他にも脱帽ものの英語力で活躍しておられた日本の大学だけ
の出身者は幾らでも出会っていた。マスコミの見方は短絡的だと敢えて指
摘しておきたい。(現に、私は39歳までアメリカに行ったこともなかった
ということで、留学は言うに及ばす駐在の経験などはない)

私はJRを始め東急やメトロ等が申し合わせたかのように採用している、
私が繰り返し酷評したクリステル・チアキ(フランス人のギタリスト・ク
ロード・チアリ氏のお嬢さん)の英語の酷さと言うべきか品格の無さを一
度も採り上げたことがないマスコミが、どうやって皇后様の英語力を評価
したのかと奇異に感じている。彼らには英語の質を論じられる能力などな
いと言っても誤りではないとすら思っている。

◎マスコミには英語について判断力があるのか:前田正晶

先頃のトランプ大統領の訪日に際して、皇后様は宮中で親しくトランプ
大統領ご夫妻と言葉を交わす機会を得ておられた。マスコミというかテレ
ビ局は挙って「ハーヴァードをご卒業でオックスフォードにも学ばれた皇
后様は語学がご堪能で通訳を介さずともトランプ大統領ご夫妻を親しく会
話を楽しまれた。この皇后様の語学力を活かして今後は皇室外交が展開さ
れるだろう」という意味の事を報じていた。

私は彼らが宮中で皇后様の直ぐ近くにでもいて、英語で話しておられるの
を聞いていたのかと思った。そんなことがある訳が無いではないか。現に
メラニア夫人と語り合っておられた際には、後ろに位置した通訳の女性の
苦しげな表情を見たのかとも言ってやりたい。

マスコミは何かと言えば「皇后様の高学歴を挙げて、英語がご堪能であ
らせられる」というようなことを言うが、彼らが雅子皇太子妃の頃にでも
英語で外国の要人と語り合っている場面に接していたのだろうかと疑問に
思っている。

また一般大衆も「外交官を務められたのだから、皇后様は英語にご堪能で
あろうし、外交が何であるかを心得ておられるので期待出来る」などと街
頭でも質問に答えている。これは些か疑問である。外務省に勤めておられ
たからと言って365日外国人と接触しておられる訳ではないと思う。私た
ちのようにアメリカの会社に勤務していれば、常時英語でしか意志の疎通
は図れないのとは、お立場が違うのではないかと思うのだが。

私はJRを始め東急やメトロ等が申し合わせたかのように採用している、
私が繰り返し酷評したクリステル・チアキの英語の酷さと言うべきか品格
の無さを一度も採り上げたことがないマスコミが、どうやって皇后様の英
語力を評価したのかと奇異に感じている。彼らには英語の質を論じられる
能力などないと言って誤りではないと思っている。

実は、私は今日これまでに雅子皇后様が英語で離しておられる場面を聞
ける機会がなかった。美智子上皇后様の本当に見事で美しいQueen’s
Englishは何度か聞かせて頂ける機会があったので、将にQueenの英語であ
ると尊敬させて頂いていたが。そこで昨日だったか何処かの局で雅子皇后
様が英語でご意見を述べておられた聞かせて貰えた。当然のことだが、見
事な文章が構成されていた。

そこで感じたことは先日も採り上げた安倍総理の通訳官の高尾氏と同様
に、綺麗で正確な発音であったが、所謂帰国子女のような極めてnative
speakerに近いような英語ではなかったと思った。「それがどうした」と
言われそうだが、皇后様の英語力は堂々たるものだし、UK留学の経験がお
ありの天皇陛下も立派な英語を話しておられるのを何度か聴く機会があった。

私はマスコミが「皇后様が英語力を駆使されて皇室外交を展開して行かれ
るだろう」と言うのは尤もであろうし、敢えて否定はしない。だが、あの
宮中でのトランプ大統領夫妻との会見中に通訳を存在をお忘れだったかの
ような時があったのは回避して頂ければ良かったとは思っている。私は両
陛下が言い間違いを為さることはないと思うが、公式の席では矢張り専門
の通訳を介してお話しになる方が宜しいのではないかと心中密かに思って
いる。

それは、これまでに何度か採り上げてきたことだが、私が知る限りの日本
語を自由自在に操るアメリカのビジネスパーソンたちは「万が一」を回避
すべく「間違いなく自分の意志を表現する為には英語で話すのが安全であ
り鉄則だ」と言っている。また、アメリカやカナダの大使館の一等書記官
たちは、十分な日本語の能力があるが先ず絶対と言って良いほど日本語で
話さないものである。誤解なきよう申し上げて置くが、こう言っているか
らと言って雅子皇后様を批判しているのではなく、飽くまでも一般論とし
て通訳に依存する方が無難で気楽だろうということなのである。

私は未だ嘗て通訳を使って話す機会を得たことがないので、ひょっとし
てその場に経てば生まれついたオッチョコチョイの軽率さが出て、この時
とばかりに英語で話してしまうかも知れないと密かに怖れている。




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身 辺 雑 記
━━━━━━━

4日の東京湾岸は曇天。

東京湾岸は梅雨の6月になっても晴天の幸せが続いている。

                       読者数:6001人

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