政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5061 号  2019・5・31(金)

2019/05/31

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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5061号
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        2019(令和元年)年 5月31日(金)



    トランプ、次の中国企業の標的はMEGVII:宮崎正弘

            「やませ」は凶作の使者:渡部亮次郎

              心筋梗塞は予知できる:石岡荘十

      文大統領の専制革命路線で滅びる韓国:櫻井よしこ
            
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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トランプ、次の中国企業の標的はMEGVII
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月30日(木曜日)
         通巻第6092号 <前日発行>
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 トランプ、次の中国企業の標的はMEGVII(メグビー)
  顔面認識メーカーの機器が新彊ウィグルの監視体制で「大活躍」
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トランプ政権の用意する中国企業のブラックリスト。
 これまでにもファーウェイ(華為技術)、ZTE(中興通訊)、ハイク ビジョン(海康威視数字技術)、ハイテラ(海能達)、ダーファ(大華技 術)などがブラックリスト入りしてきた。

後者3社はいずれも監視カメラならびに通信監視技術の新興企業だ。

このほかにインテルは半導体供給を注視し、また半導体製造装置の対中輸 出も不可能になった。クアルコム幹部は中国で開催される展示会への出席 を見合わせ、またAMD(アドバンスド・ミクロン・デバイス)は、中国 の合弁工場へに新規技術の提供をやめると発表した。

トランプはファーウェイだけを敵視しているのではなく、中国のブラック 企業と資本提携、技術提携している日米欧の企業並びに部品、コンポーネ ント供給をしている西側企業をも制裁の対象としかねない勢いにある。

現に台湾のハイテク企業の多くが、中国への部品供給を続けられなくなっ ている。このなかにはBASF台湾現地法人なども含まれている。

次に標的として動いているのは中国にAI企業のスターと言われる MEGVII(メグビー)社である。

同社は2011年に北京の中関村(ハイテクパーク)で設立された。清華大学 の仲間三人でスタートしたベンチャーだった。顧客にはアリババ、レノ ボ、小美(シャオメイ)などがあったが、2016年から顔認証技術に優れて いたため中国政府が最大の顧客となった。

新彊ウィグル自治区における人民弾圧、監視システムに転用され、指名手 配5000名の逮捕に役立ったのだ。これを問題視したのがNYに拠点をおく 「人権ウォッチ」で、メグビー批判の先陣を切った。

現地取材から帰国した福島香織さんによれば、監視カメラは50メートルお きに設置されており、警察ステーションが町辻に新設置され、この警官ら が「家庭訪問」し、いきなり家宅捜査のように、宗教関係の書籍の有無な どを調べるという。

AIは諸刃の剣である。明るい展望を見ると、これからの健康管理、医 療、財務、自動運転、ロボットなどに応用されるが、中国政府の狙いは第 一に人権弾圧と人民支配のための監視装置への適用にある。

第二にAI技術の軍事転用を活発化させ、中国軍のロボット兵士開発、攻 撃用ドローンなどに既に転用されている。

しかも、この巨大ユニコン(未上場の優良企業)MEGUVIIは、近く 上場を予定し、株式市場から7億5000萬ドルの資金調達に乗り出すという。


 ▲中国の究極の報復手段はレアアース供給中断

中国政府はトランプ政策の変更により関税戦争、中国企業の米国市場から の排斥を受けて、報復関税をかけたが、次ぎにレアアースの供給停止を取 引材料に駆使する手筈だと、中国語の多くのメディアが報じている。中国 の国家発展改革委員会は、レアアース停止計画の存在を示唆している。

日本ではレアアースはハイブリッドカーとスマホが主たる使用用途ゆえ に、民生用としてのレアアース概念しかない。

もし中国が対米レアアース輸出を停止すると米国はスマホレベルの話では なく、米軍が開発、建造中のミサイル発射駆逐艦、原潜、F35戦闘機な どの製造に支障が出る。

戦略物資としての備蓄はすくなく、米国内でのレアアース生産は需要の 5%に過ぎないため、米国の軍事関係者が懸念を表明しているという。。

しかし日本がレアアース供給を差し止められた時に、代替地としてカザフ スタンなどから調達した。日本ではハイブリッドカー、半導体などでレア アースが不足すると生産に支障が出たことは事実だが代替供給国には事欠 かないのだ。

ともかく前回のレアアース中断では、むしろ中国のほうで値崩れを起こし た。レアアース生産地は内蒙古商パオトウ、江西省などで、品目によって は中国が世界全生産の99%を占める。平均値として世界需要の3割が中国 のレアアースに依存している。

ところが、日本は南鳥島沖合海底に膨大なレアアース鉱脈が確認されてお り、世界有数の埋蔵と言われている。だから日米は、中国の警告に慌てな いのである。

        
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこえ
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(読者の声1)前号で御紹介のあった「フロントジャパン」を拝見しました。
https://www.youtube.com/watch?v=JO6RTWR7CPo
 中国のウィグルの奥地カシュガルにまで単独取材で潜入した福島香織さ んの「監獄都市カシュガル」は活き活きとその映像が、当該地区の中国共 産党の監視の実態がわかり、極めて有益でした。彼女の新刊本『習近平の 敗北』、六月中旬に発売の由、さっそく予約しました。

また宮崎正弘先生の「ニュージーランドは今」、これも激変するオークラ ンドとウエリントンの写真を多数紹介されながら、いま現在、かの国で起 きていることを簡潔に纏められ、殆どが知らないことですので、大変有益 でした。
情報通のお2人の番組、いつも愉しみにしております。HU生、日光市)

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(読者の声2)テレビ討論番組「闘論!倒論!討論!2019日本よ、 今...」のお知らせです。

テーマ:「危険水域に達した?!世界の政治経済」(仮)
放送予定:令和元年6月8日(土)夜公開
日本文化チャンネル桜。「YouTube」「ニコニコチャンネル」オフィシャ ルサイト。インターネット放送So-TV。
<パネリスト:50音順敬称略> 川口マーン惠美(作家)、篠原常一郎 (評論家)、
西岡力(「救う会」全国協議会会長)、藤和彦(経済産業研究所 上席研 究員)
宮崎正弘(評論家)、用田和仁(元陸上自衛隊西部方面総監)渡邉哲也 (経済評論家)
 司会:水島 総(日本文化チャンネル桜 代表)
(日本文化チャンネル桜)

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(読者の声3)米国のトランプ大統領が国賓として来日され、各地で「おも てなし」をうけましたが、重要なスピーチのテキストは下記にあります。
(A)日本のビジネスリーダーとのレセプションでのスピーチ
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-reception-japanese-business-leaders-tokyo-japan/
(B)日米首脳会談前の声明
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-prime-minister-abe-japan-bilateral-meeting-6/
(C)日米首脳会談後の共同記者会見
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-prime-minister-abe-japan-joint-press-conference-3/
(D)北朝鮮による拉致被害者家族との会談
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-prime-minister-abe-meeting-japanese-families-abducted-north-korea/
(E)宮中晩餐会でのスピーチ
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-state-banquet/
(F)日本の海上自衛隊護衛艦「かが」での訓示
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-aboard-js-kaga/



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「やませ」は凶作の使者
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      渡部 亮次郎

江戸時代には天候不順や噴煙による日照不足などで「飢饉」が屡々起きた ようだ。天明の飢饉の言い伝えは、生まれ故郷・秋田で子供のころ聞かさ れた。

私の生まれた昭和11(1936)年の2月26日に起きた「2・26事件」の遠因も 「やませ」による東北地方の米の凶作にあるといわれている。

凶作の生活苦に追い詰められた実家の両親が、兵隊の姉妹を東京の苦界に 身売りしている惨状に、政界、財界への反発を募らせたのだと言う説。

流石に敗戦後は品種改良で冷害に強い品種を創り上げたり、秋田県知事 (当時)の提唱による「三早栽培」の普及などで凶作は遠くなったように 見える。

種まきを早くし、田植えを早く済ます。稲刈りも早くして台風の被害を少 なくする、というのが三早栽培。確かにその通りなのだが、それを裏づけ たのが「ビニール」の普及だった。

「温床」に代わる「ビニール・ハウス」で苗が雪消えの前の播種を可能に し、田植えの早期着手を可能にしたわけだ。しかし「やませ」が来たらひ とたまりもない。しかも東北では8月中旬、つまり、出穂(しゅっすい) 時に来て「日照不足」に生ると稲は命をとられる。
稔らないのだ。

海から上陸する「やませ」(山背)は、春から秋に、オホーツク海気団よ り吹く冷たく湿った北東風または東風(こち)だ。特に梅雨明け後に吹く 冷気を言うことが多い。

やませは、北海道・東北地方・関東地方の太平洋側に吹き付け、海上と沿 岸付近、海に面した平野に濃霧を発生させる。やませが長く吹くと冷害の 原因となる。なお、オホーツク海気団と太平洋高気圧がせめぎあって発生 する梅雨が遷延しても冷害となる。

夏季にオホーツク海気団から吹く北東風は冷涼・湿潤な風であり、海上を 進む間に雲や霧を発生させ、太平洋側の陸上に到達すると日照時間の減少 や気温の低下の影響を及ぼす。

若い頃、青森県の太平洋岸八戸海岸でこれを実際に見た。早朝、海で発生 した霧は、海岸から這うように上陸し、山肌を舐めるように登って行っ た。地上の花や野菜はぐっしょり濡れた。私は身震いした。

秋田県の旧八郎潟沿岸の農家に生まれた私は、夏の暑さよりも寒さの心配 を親から聞かされて育ったが、目にしたのははじめてだった。
ただし、やませは奥羽山脈などを越えるとフェーン現象が発生するため、 日本海側では日照時間の増大と気温上昇となる。

「やませ」は、農作物や漁獲に悪影響を与えるこの風の太平洋側の呼称で ある。また、やませが続いた場合、大阪と東京の気温差が10度以上になる こともある。

やませが吹き付ける範囲を「影響範囲」とすると、北海道の影響範囲では 元々稲作をおこなわず、牛馬の牧畜や畑作がなされており、やませが長く 吹き付けても農業への影響は少ない。

青森県の太平洋側(南部地方など)から三陸海岸の影響範囲も畑作や牧畜 が中心で、北海道と同様にやませの影響は折込済みである。また、関東地 方の太平洋岸の影響範囲も畑作・牧畜中心であり、且つ、やませが到達す る回数自体が少ないので、「冷害」とはなり辛い。

影響範囲で最もやませの影響を受けるのは、稲作地である岩手県の北上盆 地・宮城県の仙台平野・福島県の浜通り北部である(福島県中通りも影響 を受ける場合がある)。

熱帯原産である稲の日本での栽培方法は、春季は熱帯ほど暖かくないため ビニールハウスなどで育苗し、気温が上がると露地栽培が可能となるため 晩春に田植えをし、熱帯並みとなる夏季の高温を利用して収量を確保する。

このため、やませが長く吹き付けて日照時間減少と気温低下が起きると、 収量が激減して「冷害」となる。

江戸時代は米が産業の中心であったこと、江戸時代を通じて寒冷な気候で あったこと、また、現在ほど品種改良が進んでいなかったことなどのた め、上述の稲作地に相当する盛岡藩と仙台藩を中心に、やませの長期化が 東北地方全域に凶作を引き起こした。

凶作は東北地方での飢饉を発生させたのみならず、三都(江戸・大坂・ 京)での米価の上昇を引き起こし、打ちこわしが発生するなど経済が混乱 した。

戦後は冷害に強い品種がつくられ、飢饉に至ることはなくなった。

しかし、一億総中流以降、大消費地のブランド米志向が顕在化し、冷害に 弱くとも味のいい品種が集中栽培される傾向が進んだため、再び冷害に弱 くなって「1993年米騒動」が発生した。その反省から、冷害対策は「多品 種栽培」が趨勢となった。

近年は、米の市場価格下落のため、ブランド米志向に再び戻りつつあり、 「1993年米騒動」の再来が危惧されている。梅雨明けも報じられな米どこ ろに「やませ」が吹いている。マスコミは「山瀬」を知らない。農水省が 発表するまで報じないだろう。2009・08・18
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



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心筋梗塞は予知できる
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   石岡 荘十

まず、死因について。

私の父親も死因は「心不全」とされていたが、長い間、この死亡診断書に 何の疑問も感じなかった。しかし、よく考えてみれば「心不全」というの は単に「心臓が動かなくなった」という意味であるから、病気の「結果」 そのものであり、死のトリガー、「原因」ではない。

<最初は背中が痛いと言われたと報じられていた。亡くなった後では容易 に心筋梗塞だったとは分らないのではないか。誰でも経験して学習し教訓 に出来る病ではないので、発症した場合の対処は困難だろう>、これこそ が「死因」となった心筋梗塞を疑わせる症状だ。

私も大動脈弁がうまく開閉しなくなり、十数年前、人工の弁に置き換える 手術を受けているが、そこに至る症状として<背中が痛い>を何年にもわ たって、何度も経験している。

心臓の血流が途絶えると、背中が重苦しくなる。痛いと感じる人もいる。 この苦しさは、血流が滞った程度(狭心症)の場合は、15分程度で回復す る。不整脈のひとつ心房細動の時もそうだ。

私が何度も経験したが、それ以上自覚症状が長く、30分とか続くのは血管 (冠動脈)が完全に詰まっている(心筋梗塞)だと考えた方がいい。ほっ ておけば死に至る。

胸が痛くなるという症状だと、「心臓がおかしいのではないか」と分かり やすいが、心筋梗塞になると左の奥歯がうずいたり痛くなったり、肩が 凝ったりすることもある。歯医者や整形外科に駆け込む人もいるが、これ は心筋梗塞の症状のひとつなのである。

歯医者で鎮痛剤をもらって「一丁上がり」となるが、じつは心筋梗塞の症 状だ。こういうのを「放散痛」という。

不幸にして、こんな知識がなく死んでしまった後、患者を解剖すると死因 が心筋梗塞であったことは明らかになる。

<発症した場合の対処は困難だろう>といっておられるが、心臓疾患の9 割は、対処の仕方を誤らなければ、決して「死に至る病」ではないのである。

本誌常連の前田正晶さんが書いておられる記事が見事にそのポイントを突 いている。

その要点をまとめると、

<失神するほどの、激痛と胸部に圧迫感があった。自分で119番に電話し て症状を説明していた>

<放っておけば治るとかとは思ったが、何故かこれは「一過性の痛みでは ない」と判断した>

<救急患者を受付けてくれる大病院が多いこと、救急車が搬送してくれた 先が国立国際医療センターだったこと、最も偉い先生が日曜日の当直だった>

<心筋梗塞に対応する準備が整っていたのだった。処置も素早かった>

<その判断が正しかったと後で分るのだが、私の場合は幸運の連続だった>

つまり、前田さんのケースは<幸運が重なった>結果であり、誰でもがこ ううまくいくわけではない。

年間の死者5千人を切る交通事故死にあの大騒ぎで安全運動を展開してい る。なのに、心臓疾患で年間15万人以上が死ぬ。なぜか。前田さんのよう な幸運の女神の恩寵に浴する人はそんなに多くない、それだけ啓蒙が行き わたっていないということだ。

<時間との争いであるなどとは知る由もないだろう。知識は皆無だった> とおっしゃるが、そんな人に幸運が訪れることは滅多にない。

この歳になったら、天下国家の危機を憂うる高邁な論議をする前に、わが 身の危機管理に少しのエネルギーを注ぐべきだというのが私からのアドバ イスだ。心臓病は<誰でも経験して学習し教訓に出来る病>なのである。

http://www.melma.com/backnumber_108241_4024688/





      
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文大統領の専制革命路線で滅びる韓国
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           櫻井よしこ


自伝、とりわけ政治家のそれは割引いて読まなければならない。それにし ても韓国大統領文在寅氏の『運命』(岩波書店)ほど独特の左翼臭を放つ ものはないだろう。

日本語版の出版は昨年10月だが、韓国では2011年の発売で、刊行2週間で 書籍部門の売り上げ1位になったと書いている。

氏が北朝鮮からの難民だった少年時代のこと、貧困を乗り越えて人権弁護 士となったこと、「善き人」であろうとした「普通の人」が、人間の尊厳 や人権を尊重して仕事をしている盧武鉉氏と知り合い、深く感銘を受け、 やがて政治に関わり始めたという人生物語が情趣的な文章で描かれている。

北朝鮮一辺倒だった盧武鉉元大統領への感情移入と、彼らの振りかざす社 会主義の旗には欺瞞の色彩が漂う。事実、自伝に綴られている人権、自 由、正義や正統性などの価値観を、文氏自身がいま、酷い形で踏みにじっ ている。

文氏は5月に就任2周年を迎えた。任期5年、1期であるから、残り3年だ。2 年間の文政治は、一言でいえば社会主義革命政治である。文氏も自分は 「ロウソク革命」で政権を奪ったと語っており、氏の政策の方向性は独裁 型社会主義政権の樹立だと断じてよいだろう。

ちなみにロウソク革命は、政権に不満を持つ市民がロウソクを掲げて街頭 に繰り出し、圧力で政治を動かしていくものだ。朴槿恵前大統領はロウソ クデモで糾弾され続けて失脚した。韓国ではこの左派リベラル勢力主導の ロウソクデモと、保守勢力が韓国国旗の太極旗を掲げて行う太極旗デモが 毎週、行われている。

文氏は言葉は柔らかくとも行動は陰湿で強硬だ。そんな文氏の体質は、少 しずつ、韓国国民に見抜かれてきた。政権発足当時には84.1%もあった氏 の支持率は、5月9日の世論調査(リアルメーター)では47.3%に落ちてい た。不支持率は48.6%。政党支持率は文氏の与党「共に民主党」が 36.4%、第一野党の「自由韓国党」が34.8%と拮抗している。

親日派パージ

このままでは来年4月の総選挙で敗北するかもしれない。おまけに韓国経 済は苦戦中である。4月時点で失業者は124万人、若年層の失業率は11.5% だった。朝鮮問題の専門家・西岡力氏は、1日3時間のアルバイトで暮らす 若者やパートタイムで働く予備校生なども入れると、若年層の失業率は 25%にふくらむと指摘する(「言論テレビ」5月17日)。

そこで文氏は巧妙な罠を仕掛けた。西岡氏の説明だ。

「選挙制度の改正案と高級公職者不正捜査処設置法という2つの立法案件 を国会の迅速処理案件に指定してしまったのです。これは通称ファストト ラックと呼ばれて、330日がすぎると本会議で議決にかけられるという制 度です」

今着手すれば二つの法律は来年4月の総選挙に使えるのである。

シミュレーションでは、改正選挙法の導入で文氏のライバル・自由韓国党 が最も大きな打撃を受けるという結果が出た。韓国の国会は一院制で300 議席、小選挙区が253、比例が47だ。小選挙区では第一党と第二党の戦い になり、第三、第四の小政党には勝ち目がない。そこで文氏は比例の議席 数を75、またはそれ以上に増やす案を考えている。

75で計算すると、自由韓国党が約20議席減になる。与党の「共に民主党」 も議席を減らす可能性があるが、韓国の政党は自由韓国党を除けばすべて 左翼政党だ。特に少数野党の「正義党」は極左政党であるため、全体とし ては左派リベラル勢力が絶対に勝つ仕組みである。

「与党代表の李海瓚(イヘチャン)氏は、これで与党は20年間政権を握れ ると豪語しています」

西岡氏が言うと、「言論テレビ」で同席していた「統一日報」論説主幹の 洪熒(ホンヒョン)氏が応じた。

「50年でしょう」

文政権のもうひとつの狙い、「高級公職者不正捜査処設置法」からはどん な結果が予測されるだろうか。洪氏は同法の性格をズバリ「ゲシュタポ 法」だと断じた。

文政権は「積弊の除去」を掲げて、親日派を排除してきたが、このとこ ろ、文政権への批判が各界各層から噴き出し始めた。3月1日、退役軍人会 は後輩の現役軍人に、「対北武装解除を進める文政権への不服従」を呼び かけ、鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相の退任を要求した。

通常の軍隊では考えられない不服従の呼びかけは、韓国内の対立が如何に 深刻かを示している。

また、元大使経験者ら42人が韓国の外交政策への反対を表明し、後輩の外 交官に「早く日米両国との安保協力体制を復元せよ」と呼びかけた。

親日派パージの中心勢力になっているかのように見える検察、裁判官、警 察官などの中にも文政権に批判的な勢力が存在する。こうした反文勢力の 動きを鋭い嗅覚でキャッチし、このままではやられると考えて、先手を 打ったのが今回の二つの法案であろう。

「血を流して我々は戦う」

「反旗を翻したら、今度はお前たちを逮捕するぞというわけです」

と西岡氏。

高級公職者を対象にしたこのような取り調べ機関が実現したら、韓国の空 気は途端に陰鬱なものになるだろう。自伝で文氏は自らの使命を盧武鉉氏 の遺志を継ぐこととしている。盧武鉉氏は07年の南北首脳会談で、金正日 氏に韓国を事実上明け渡すような誓いを立てていた人物だ。韓国で進行中 の革命と言ってよい一連の変化は、大韓民国の崩壊に直結しかねない。大 統領が自ら指揮する、祖国への反乱である。

こうした異常事態の中で、自由韓国党代表の黄教安(ファンギョアン)氏 の動きに注目したい。氏は朴前政権で法相、首相を務めた公安検事出身の エリートだ。元々政治家ではなかったが、今年2月、文政権と戦うために 立ち上がった。氏はいま、街頭に出て国民に「一緒に血を流して戦おう」 と呼びかけている。

黄氏が発表した決起文が凄まじい。

「文政権はすでに行政府を掌握した。司法府もほぼ占領された。彼は選挙 法の改正で国会さえも掌握しようとしている。文在寅の左派独裁を、いま 終わらせよう。自由韓国党は命がけの戦いの先頭に立つ。血を流して我々 は戦う。国民の皆さんも犠牲を覚悟して立ち上がってほしい。そうしなけ れば、私たちの息子、娘たちは左派独裁の下で暮らすことになる!」

韓国は内戦中なのだ。それはとりも直さず日本に危機が迫っているという ことだ。令和の時代、日本を取り巻く国際環境は、平成の時代のそれ以上 に、厳しいものになるだろう。そう自覚して憲法改正を含めて日本の在り 方を考えていきたい。
『週刊新潮』 2019年5月30日 日本ルネッサンス 第853回



            
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重 要 情 報
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 ◎トランプ大統領の主張は比較的分りやすかった:前田正晶

私は先頃の成功だったと各方面で言われているトランプ大統領の3泊4日 の訪日中の発言は決して“unpredictable”ではなく、寧ろ分りやすいなと いう受け止め方をしていた。それは既に採り上げた宮家邦彦氏の指摘を待 つまでもなく、トランプ大統領の言動は概ね再選に向けてのキャンペーン の様相を呈していたからである。しかも、アメリカに向けてテレビ中継さ せていたのであれば、彼の支持層であるプーアホワイト、農民層、労働者 階級、少数民族に向けて、彼らにとっても分り易く、受け入れられそうな ことを主張して見せていたのだ。

しかも7月や8月と期限を切ったかのように貿易問題というのか農産品の 輸出や日本製自動車の輸入問題等を敢えて語って見せたのは、ご自身が抱 えておられるロシア問題等を別にすれば、改訂したはずのNAFTAは未だ議 会の承認待ちであるし、中国との話合いも期限を延ばしたものの未解決 であれば、細川昌彦氏等が既に指摘されたことで、この状況下にあっては トランプ大統領以下には焦りが見えるという実態を、我が国に滞在中にも 明らかに見せていたということのように思えるのだ。

特に私が「支持層向けの発言だ」という印象を受けたことは「対日貿易 赤字を“tremendous”という形容詞を使って強調して見せた点」だった。周 知の事実であると思うが、アメリカの持つ最大の貿易赤字は対中国であ り、我が国は中国の数分の1で全体ではドイツよりも少ない第4位である。 その赤字の何処かtremendousと言われたいのかと思って承っていた。トラ ンプ大統領の就任以来の主張は「日本から何百万台(millions ofという 表現を使われている)もの車が輸入されているのはunfairである。これを 是正した」というものだが、これは完全な誤解である誤認識だと専門家は 指摘されているし、私もそう認識している。

なお、我が国からの輸出の実績は約170万台で、現地生産は700万台に近 いのだ、念の為。ここで、英語の講釈をしておくと、Oxfordには tremendousとは”very great“となっている。

だが、ここでもこの表現の仕向先が所謂ラストベルトと言うかミシガン 州のデトロイトの労働者階層(トランプ大統領の言い方はworking class であるが)であると考えれば、納得できなくもない。だだ、安倍総理も茂 木担当大臣のこのアメリカとの貿易交渉の歴史を正しく認識して頂けるよ うに、改めて丁寧に解説して差し上げるべきだろうし、強行派と言われて いるライトハイザー代表にも認識を改められるように、真っ向から申し入 れるべきだと思う。

私はこの自動車問題の件になると、思い出すことがある。それは以前に 細川昌彦氏が「もしもアメリカから毎年100万台の車を輸入するという協 定を結んだと仮定すると、実際に輸入されてくるのはアメリカ産の日本車 が大宗を占めるのではないか」と語られたことである。私はまさかトラン プ大統領が本当にアメリカの自動車産業界が抱えている労働力の質を含ん だ諸問題をご認識の上で「日本車の大量輸出はunfair」と言っておられる のではないと思いたいのだ。事実、デトロイトは大統領に日本の自動車産 業叩きを請願していないと報じられていたではないか。

アメリカ対日本の貿易問題をここまで見てくると、もしもトランプ大統 領の再選を支持して何らかの貢献をしたいと言うかすべきであるという見 解が安倍政権にあるのであれば、TAGであれFTAであれ交渉を進めねばなる まい。だが、今のアメリカのUSTRがそこまで手が回る余裕があるのかは甚 だ疑問だ。さもなくば、我が方で自動車か農産品(TPP以上に関税を引き 下げずに)以外の分野で貢献する道を探らねばならないかという気もす る。だが、どれをとっても時間的にも無理筋のようにしか思えない。ライ トハイザー氏にせよボルトン氏にせよ、この際「強硬一点張りは得策では ない」と申し上げておきたい。


 ◎私は通訳もする当事者として務めてきた:前田正晶

安倍総理とトランプ大統領の会談がほぼ全部(だったのだろうか?)中継 され、高尾直氏が的確に総理の発言を英訳しておられる様子を見て(聞い て)、1993年末までは「通訳もする当事者」として(アメリカ側の一員と しての責任感もあって)永年担当してきた仕事を思い出しては、高尾氏は 実に完璧な立派な仕事をしておられるなと感銘を受けながら拝聴した次第 だった。しかし、本音を言えば、高尾氏の通訳の仕方は職責上あのように せざるを得ないのだろうと思うが、通訳を専業とされる方々が職業上の束 縛(と言って良いと思う)から、飽くまでも忠実に逐語訳をされ、何ら余 計な言葉を差し挟まないのと同じ手法かなと感じていた。

そう感じたからこそ、30日朝「極めて格調高い文語的な英語」という表 現をしたのだった。高尾氏の経歴をネット上で拝見するとかなりの年数を 英語の世界で過ごしてこられたことが解る。だが、外務省のキャリアの事 務官として総理に随行されている以上、私の年来の主張であり信念でもあ る「通訳とは(元の発言を)破壊と再構築することである」という方式は 間違っても採用できないとの信念でやっておられるのだろうと思いながら 聞いていた。

であるようだから、例えば総理がある信念を述べられた時に、私ならば (勝手に?)“I firmly believe 〜”か“My opinion on this matter is 〜”と言ったような導入部をつけてから英語にしていただろうと考えてし まうのだ。即ち、日本語には主語の省略が多い表現が多いし、誰の考えで あるかは言わずともお互いに有無相通じるという文化があるので、通訳専 業の方は元の発言に忠実に逐語訳されるのだと思っている。即ち、高尾氏 もそのような手法で見事に総理の意を伝えておられたという印象だった。

誤解無きよう申し上げておくと、私の論点は飽くまでも手法の違いであ り、ビジネスの席での「通訳もする当事者」意識から出た発言なのであ る。優劣を論じてはいない、念の為。思うに、1993年までの現職だった頃 の私にも専業の通訳の方と同じようにもその気になれば出来たかも知れな いが、私の手法は何があろうと「破壊と再構築主義」を押し通したであろ うと思っている。

振り返ってみれば、これまでにも何度か論じたことだが「通訳とは頭の 中を完全に空乃至は無にして、発言者の意図を正確に伝えるように言われ たことに異議を唱えるとか間違いがあるなどという思いが浮かぶことなど 無いように、無心で別の言語に直していくこと」なのである。だが、我々 は日本のお客様対アメリカの輸出業間の重要な商談の席に就いているの で、事前に十二分に打ち合わせておいた副社長の意向を相手方に疑問を生 じさせないように破壊して再構築して日本語にしてご理解願う為の最善の 方法と思う訳をしてきたのだ。

同様に、私が出ている席ではお客様側の日本語の発言をも間違いなく英訳 して副社長に完全に理解させねばならないという重大な責任も負っている のだ。実は、この際でも「彼はこう言っておられるが、これはこういう背 景があって、このような主張になっていると解釈しているが、ここでは遺 漏無きように逐語訳にしてみるからそのつもりで聞いて欲しい」という注 釈をつけて英訳することも屡々あったものだった。その背景には事前にお 客様にが「如何なる主張をされたいか」はある程度以上探っておいたから こそ出来る技なのだ。

私は総理が高尾氏とそこまで徹底的に会談前に叩いておかれる時間の余裕 があったのかと考えてしまう。それは総理が「こういうことを表現したい 場合にはこういう言い方をする」とか「本日の主たる議題はこれとこれの 何点かに絞るので、事前に準備しておくように」と高尾氏と打ち合わせさ れておければある程度理想的だという意味だ。更に言えば、高尾氏が常に 総理と行動を共にされて、言葉や表現の癖まで把握できていると素晴らし いのだ。私は生涯最高の上司と表現してきた副社長とは10年以上の部下と してその日のご機嫌まで読めるようになっていたから言うのだ。

正直な事を敢えて言えば「通訳などという仕事は俺以外に誰がここまで 出来るか」というような言わば思い上がった自信というか自己過信と信念 がないことには容易には出来ない仕事だと思っている。しかも、時と場合 によっては何も直接には関係の無いような事柄が話題になるのだから、あ らゆる事態に対処できるような知識まで要求されることが当たり前のよう に生じるのである。それが上手く出来た時などは密かに「どうだ、俺は」 と自己陶酔に陥っているのだ。そこで、場合によっては如何なる事態が生 じるかの例を挙げていこう。

今でも「あの時は善くぞ切り抜けたものだ」と鮮明に覚えていることが ある。それは仕事以外に突然依頼された通訳の場で「存在感」という言葉 が出てきた時のことだった。「しまった。知らない表現だ」と慌てたが、 自然に口から出たのが“presence”で、後になって知ったのだが正解だっ た。自慢話序でにその時に出会った表現が「我がテイームは未だ未だで す」と謙遜されたものだった。これも弱ったが、“We still have a long way to go.”で何とかその場を凌いだ。これは正解か否かは未だに知らな いが、当たらずといえども遠からずだと信じている。



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身 辺 雑 記
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5月末の東京湾岸は曇天。

東京湾岸は30日も快晴。散歩は爽快だった。

血圧も危険な高さにはならず、健康OK。焼酎が美味い。

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