政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5054 号  2019・5・24(金)

2019/05/24


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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5054号
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        2019(令和元年)年 5月24日(金)



           政党内初選で揉める民進黨:Andy Chang

      1ドル=7人民元を中国は死守できるか?:宮崎正弘

    台湾が危ない、中国の侵略阻止に力を貸せ:櫻井よしこ   
          
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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政党内初選で揉める民進黨
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      Andy Chang 
  
来年1月の総統選挙に党代表を選ぶ「政党内初選」で国民党と民進黨
は双方とも党代表選挙で混乱している。

国民党側は初選の候補者が3人から4人に増えて4人の人気に大きな
違いが無くなった。民進黨側では政党の初選のルールをめぐって意見
の相違が起きている。もともと民進黨には初選ルールがあったのに、
蔡英文の民間の支持が頼清徳に大幅に負けていることから蔡英文を支
持する民進黨上層部が初選ルールの変更を主張し、頼清徳を支持する
方は従来の初選ルールを勝手に変更するのは非民主だと抗議した。

3月の民間調査では蔡英文37%に対し頼清徳49%で蔡英文総統が大幅
に負けたことから蔡陣営の民進黨上層部は初選ルールの変更を提案し
た。双方の陣営が4月中に何度も協議を重ねた結果、5月1日になって
民進黨は5月22日までに初選ルールを決定し、6月初旬に2度の政見発
表会、6月10日から14日を民意調査の期間と決定した。

蔡陣営の主張では、これまでの有線電話の民意調査に加えて携帯電話
(スマホ)の所有者も民意調査に取り入れるべきと主張した。これに
対し頼陣営はスマホ所有者の身元が確認できない、外国人も中国のス
パイもスマホを持っていると反対を主張した。

しかし協議の結果、蔡陣営に譲歩してスマホ調査を加えることに同意し た。すると蔡陣営はスマホ調査の結果を80%にすべきと主張し、更に民
進黨員でもなく、未だに立候補もしていない柯文哲台北市長も民進黨の
初選に入れるべきと主張したので合意が出来なくなった。

双方の合意が得られない状況で民進黨の党首は5月22日までに結論が
出なければ数十年来使っていた初選ルールで行うと決定した。しかし
蔡英文陣営の民進黨の中執会(中央執行委員会)は選挙ルールは執行
委員会が決める、党首の決定も否決できると主張している。つまりこ
の論争は蔡陣営の独裁のためと民間の意見は民進黨に批判的である。

民進黨の党内初選が揉めていることを憂慮する台湾本土派は、5月22
日の最終協議会に数名の観察団を派遣して傍聴したいと申し出たとこ
ろ、民進黨秘書長は拒絶しただけでなく、テレビや録音など一切を禁
止すると答えた。つまり非公開の会議で蔡英文に有利なルールを決め
ようとする民進黨上層部に民間団体は大不満である。

来年の選挙は絶対に国民党に負けてはならない。しかし民進黨が独裁
的手段で蔡英文を出せば台湾本土派の支持を失う。蔡英文落選だけで
なく国会議員選挙でも大幅に国民党に負ける。国民党が総統と国会多
数結果となれば国民党は直ちに中台統一を強引に推進するだろう。台
湾の危機は日本の危機、アジアの危機、アメリカの危機である。

民進黨が最終協議に民間団体の傍聴を拒否したので民間団体は22日
に民進黨本部の前で抗議デモを行うと同時に全台湾でラジオ、テレビ
と抗議行動をすると決定した。

まだある。AIT(米国在台協会)も民進黨が党内初選で揉めているのを憂
慮して民進黨本部に人を派遣して協議の進捗状況を質問したと言う。
これまでアメリカは民進黨の執政で「台湾デモクラシー」を謳歌して
いたのに民進黨が独裁的になったので憂慮している証拠である。

さて本日22日の最終協議では蔡陣営がスマホ調査の結果を50%取り
入れ、党員でない柯文哲市長も初選調査に加えると主張したが、討論
で合意に至らず、党主席が閉会を宣言した。蔡陣営の執行委員会はこ
の閉会宣言に不満を発表した。

閉会のあと頼清徳が記者会見で3つの条件を提案した。(1)もし民意
調査で蔡英文が国民党の韓国瑜に勝つ結果が出たら蔡英文を支持する。
(2)もし頼清徳が韓国瑜に負ける結果なら蔡英文出馬を支持する。
(3)もし頼清徳が韓国瑜に勝ち、蔡英文が韓国瑜に負ける結果が出
たら民進黨は頼清徳を支持してもらいたい。
この3条件に対し蔡陣営は直ちに反対した。

結果として初選ルールはまだ決まっていない。党主席は旧来のルール
を維持すべきと言うが、執行委員21人は彼らにルールを決める権利が
あるとしている。

私個人の意見だが、今日の結果を纏めれば以下のようになる:
(1)民進黨は蔡英文支持で頼清徳に不公平である。
(2)人民は明らかに蔡英文を支持しない。
(3)このような混乱が続けばますます民進黨不利になる。
(4)蔡英文が出れば総統選挙、国会議員選挙、ともに惨敗する。
(5)蔡英文は四面楚歌の現状を認めて出馬を諦めるべきである。

               (在米台湾人地球物理学者)



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1ドル=7人民元を中国は死守できるか?
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月17日(金曜日)
          通巻第6082号 
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 人民元為替レート、1ドル=7人民元を中国は死守できるか?
  保有米国債を売却すれば、かえって中国の首を絞めることになる
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国際金融市場において、米中貿易戦争の険悪化で深刻な懸念が拡がっている。

第一の懸念とは中国人民銀行(中央銀行)は、人民元為替レート、1ド ル=7人民元をいつまで死守できるか? という問題である。

第二は習近平が面子にかけてどぎつい報復にでた場合の最悪のシナリオ は、中国が保有する米国債券を売却するのではないかとする懸念である。

米中貿易戦争が第3幕(3000億ドル分にも25%の課税)に移行するや、上 海の株式市場は下落を演じたが、人民元も対ドル相場を下落させ、1ド ル=6・9人民元となった(韓国ウォンはもっと下落した)。逆に安定感 のある日本円は上昇した。

中国にとって、為替の死守線は1ドル=7人民元であり、これを割り込む と、下落は底なしになって1ドル=8人民元を割りこむことになるだろう。

中国人民銀行はしずかに香港での対策を講じた。3ヶ月物と1年物の短期 債券を100億元(1700億円)発行して、香港の通貨市場に介入し、人民元 を買い支えたのだ。なんとしても、人民元の下落を防ぐ狙いがある。

またASEAN諸国は1997年のアジア通貨危機の二の舞を演じかねないと して、中国の金融当局の出方を注目している。
 
中国は最後の報復手段だとして、保有米国債を売却すれば、かえって中国 の首を絞めることになることを、金融界は承知している。しかしながら、 あの「やけくそプーさん」こと習近平が何をしでかすか分からないだけ に、警戒を怠らないのである。

米国債(米国の赤字国債総額は22兆ドル)は5月12日統計で、中国が依 然首位の1兆1230億ドル、日本が1兆420億ドルを保有している。
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地図になかったチベット仏教の聖地を探検した日本人学者がいる
 
再び外国人立ち入り禁止の機密対象地になり、立ち入り出来ない秘境

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川田進『天空の聖域 東チベット宗教都市への旅』(集広舎)
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驚きに満ち満ちたカラーグラビアが冒頭をふんだんに飾る。

凄い、こんな聖域、これほどの秘境が地球上にあったとは! しかも中国 の地図には出ていなかった場所だ。

過去に現地へ入った日本人は数人もいないうえ、中国旅行ガイドブックに はもちろん出ていない。むろん評者も西寧あたりまでは行ったが、その奥 地に踏み込んだことはなかった。地図に記載がなかったからだ。

この「聖域」の場所は四川省の西側、中国の「異界」とされ、妖怪がで て、怖いところという政治宣伝がなされたため誰も近付こうとしなかった 謂われが附帯しているという。

あなたは知っていましたか? 聖域「ラルンガイ」を?

評者(宮崎)も本書を手にするまで、まったく知らなかった。

ラサのポタラ宮殿やセラ寺ほか、青海省の西寧郊外に拡がる宏大なチベッ ト寺院、塔爾寺も一日がかりで見学したことがあるが、ラルンガイは高度 四千メートルの山稜に忽然と拓けている宗教都市だった。
 
成都から直通バスで18時間、乗換バスだと36時間かかる遠隔地、というよ り山岳の悪路をのろのろと走行するのだから、それくらいはかかるだろう。

本書にある概略図で確認すると、西寧から西へ向かい、玉樹の手前を南下 して、そこから迷路のような悪路を辿るルートのようである(現在、外国 人の立ち入りは禁止されている)。

創設者はジグメ・プンツォという「ニンマ派」の高僧であり、しかも何故 か漢語の伝記がでている。プンツォ師は2004年に入寂されたが、後継ラマ を見つけるなと遺言したという。

当時、数千はあるかと思われる学舎らしき建物が僧坊だった。巨大な寺院 の回りに、小粒の住居が山にへばり付くように並んでいる風景は神々しく もあり、逆に或る意味で雑然としている。

1万人を超える学僧が住み着いて、天空の聖地ともいえるコミュニティを 形成していた。尼僧もおり、バザールが開かれて、ちかくの農民や行商が 売りに来る。山の中腹には大仏塔が輝き、やまの頂上からは巨大なタンカ を敷き詰める網が張られていた写真も残っている。

葬儀は鳥葬だった。

著者の川田氏は大阪工業大学の教授。なぜ工学部の先生が、この聖域に惹 かれたのか、これまでに六回の視察をしているという。

「ラルンガルは現実世界とつながっているにもかかわらず、長年、中国の 地図や仏教関係書に載ることはなかった」という著者が最初に、この聖域 に足を踏み入れたのが2001年だった。

爾来6回、定点観測のために訪問してきた。

長田教授はこう書く。

「(初回の訪問時)脳天を割られたような衝撃に襲われた。学僧たちの住 居である僧坊数百戸がことごとく破壊され、基礎と土壁が露わになり、ま るで空襲語の残骸と化していた」。

その後、墓場のような情景につづいたのは「すり鉢状の谷の三方を僧坊群 が埋め尽くす姿が眼前に現れると、再び私の脳天に一撃が加えられ、一瞬 言葉を失った」

江沢民の仏教弾圧によって寺院と僧坊群は破壊され、そのあと地震が襲っ た。そして現在までに何が起きたかは明らかではない。

カシュガルでホータンでモスクが破壊されたように、ラルンガルは中国共 産党の標榜する「改造計画」によってまったく新しい「観光用宗教地区」 となりそうな雰囲気であるというのだが、外国人は誰も近付くことさえ出 来ないため、真相は闇のまま。

それにしても、シャングリラ(理想郷)から地獄に落とされたのか、ラル ンガルの現況はおおいに気になるところである。 
    
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこ 
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(読者の声1)トランプ大統領の非常事態宣言への署名、それにつづく商 務省のEL発表、そしてファーウェイへの部品輸出禁止令。まるで「新コ コム」です。これでファーウェイ排除は完璧、ファーウェイは倒産します かね.(SD生、足立区)


(宮崎正弘のコメント)中国企業は、いま、どこも破れかぶれですよ。ア リババの馬雲が激越なジョークを飛ばしています。『「996」から 「669」へ』です。

意味? 午前9時から午後9時まで週に6日間はたらかせたブラック企業 が、「セックスを毎日六回、それを六日間続ける」という意味です。
トランプのファーウェイ排除は規制の方針ですが、抜け穴を狙うドイツ、 英国、台湾、韓国も死活問題です。

日本でもブローカーが第三国を通す迂回輸出などを持ちかけてくるでしょ うから、いずれ日本企業のなかにも制裁されるところが出てくるでしょう。

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(読者の声2)イランと戦争になりますか? サウジのタンカーがミサイ ル攻撃を受け、米国は空母攻撃群を近海に派遣しています。イランも外相 を日本に派遣してきたように、相当深刻に対応していますね.(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)トランプ政権はイスラエル対策を何よりも優先さ せており、つぎにサウジ対策でしょう。

イランと戦争しても、米国に利益は薄く、むしろ強硬なポーズをとり続け て、イランと中国、露西亜が三角同盟を組まないように、軍事的な牽制と 考えられます。

局地戦にせよ、イランと実戦を展開するには12万人の兵力が必要であり、 いまのアメリカ軍の装備はともかく、兵隊はLGBT、とくに女性兵士が 戦闘にもでるとなれば、これまでのような強さを発揮できるか、どうか。
 そのうえ本気で戦争するならば、イランを孤立させ多国籍軍を形成する 必要からも外交は全方位的方向に傾くはずで、こんなときに中国と全面的 な貿易戦争をやっているのですから、やはり対イランとの戦争の勃発は考 えにくいと思います。





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台湾が危ない、中国の侵略阻止に力を貸せ
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             櫻井よしこ

週末、東京・池袋のホテルで、台湾の与党民進党の前行政院長(首相)、 頼清徳氏に取材した。一言で言えば爽やかな感じの人物だ。台湾出身の金 美齢氏は、「政界一の美男」と評したが、むしろ「穏やかな知性の人」と いう印象が先に立つ。

頼氏は59歳、元々内科医だった。政界に転じ、立法委員(国会議員)、台 南市長を経て2017年9月に蔡英文政権の行政院長に就任、今年1月に職を辞 し、来年1月の総統選挙に名乗りを上げた。

心意気やよし。しかし、頼氏の前には、穏やかな知性だけでは到底越えら れないハードルが2つある。?民進党内の選挙で党の候補者に選ばれるこ と、?本選挙で国民党に勝つこと、である。

まず民進党内の相手候補は現職の蔡総統(62)だ。党内の支持は頼氏優位 だが、蔡氏が猛烈に巻き返している。その激しい選挙戦の最中、頼氏は8 日から5日間日本に滞在した。森喜朗氏ら元首相3人を手始めに、自民党の 要人数十人と会い、政界人脈をアピールした。日本の大手メディアも取材 に走り、日本側の関心の高さは台湾でも報じられた。訪日によって、頼氏 の選挙運動に弾みがつく可能性もある。

日本にとっても頼氏の台湾総統就任は非常に望ましい。第一に氏は馬英九 氏に代表される国民党の政治家のような親中派ではない。むしろ熊本地震 の時には、台湾の人々の義援金を抱えていち早く被災地に駆けつけた大変 な親日家である。台湾と日本の間には家族のようなつながりがあるとも語 る頼氏は後に詳述する蔡氏の少々冷めた対日姿勢とは異なるあたたかさが ある。そのような頼氏への日本政界の期待も大きい。

来日の目的について問うた私に、氏は答えた。

「台湾はいま一番大事な時期にあります。中国の脅威はかつてなく深刻で す。中国の脅威に押し潰されては台湾は生き残れません。台湾人にとって 最も親密な隣国である日本と、中国を含めた国際情勢に関する認識を共有 したい。私の訪日目的はそこにあります」

武力行使は放棄しない

習近平主席は今年1月2日、年頭の演説で台湾に、香港と同様の一国二制度 を受け入れよ、92年合意(中国と台湾がひとつの国であると互いに認めた とする合意)を認めよと要求したうえで、台湾への武力行使は放棄しない と明言した。中国は05年3月の全国人民代表大会で反国家分裂法を制定済 みだ。台湾独立の動きには法に基づいて武力行使するというのだ。

台湾が中国に併合されてしまえば、台湾海峡もバシー海峡も中国の領有す る海になる。そのとき日本の安全保障は危機に直面するとの頼氏の指摘 は、100%正しい。中国への幻想は一切なく、外見の穏やかさの背後に、 厳しい国際情勢についての正確な認識があるのが見てとれる。

台湾情勢を見詰めるとき抱く懸念は、まず第一に、頼氏が表明したような 危機意識を台湾の人々が共有しているとは思えないことだ。世論調査は、 蔡政権の経済政策への失望から、中国に飲みこまれる恐れがあるにも拘わ らず国民党への支持がふえていることを示している。経済が少々悪くても いまは我慢して、中国に国を奪われないように台湾人の政党を支持しよう と考える有権者は、少なくとも現時点では少数派である。

来年1月、万が一、民進党が敗北して国民党が政権を奪還すれば、単なる 政権交替に終わらず、事実上の国家の交替となる可能性が高い。台湾人が 統治する台湾から、中国人が統治する中国の一省としての台湾へと変わっ てしまうであろう。

そう断言する理由は、国民党の候補者、たとえば元国民党主席の朱立倫氏 も、総統選に名乗りを上げる場合、どの候補者よりも強力だと見られる高 雄市長の韓国瑜氏も、台湾の経済成長を押し上げるという理由で中国との 平和協定締結に積極的であることだ。

平和協定について頼氏が警告した。

「絶対に受け入れてはなりません。過去の中国の実績を見れば明らかで す。チベットは中国と平和協定を結びましたが、チベットには平和も経済 発展ももたらされませんでした。逆に彼らは国土を奪われ、ダライ・ラマ 法王は亡命しました。中国に苦しめられる悲劇の平和協定には絶対に反対 です。一国二制度も同様で、台湾は第二の香港にはなりません」

国民党政権になれば、ほぼ間違いなく中国との平和協定が成立するだろ う。頼氏が国民党の政策は台湾を失う危険の道に通ずると警告しても、国 民の支持は民進党より国民党に向かっている。

台湾人の国

台湾大手のテレビ局TVBSの世論調査は、いま選挙が行われれば完全に 国民党が勝利するという結果をはじき出した。調査では蔡氏は野党国民党 のおよそどの候補者にも勝てない。頼氏なら勝てる見込みは少し高くなる。

だが蔡氏は再度総統職に挑戦する構えを崩さない。私は蔡氏に幾度か会っ たことがあるが、真面目で純粋な学者タイプだ。韓国の前大統領、朴槿恵 氏と少し似ている。まず、中国への信頼感が想像以上に強い。朴氏は政権 発足から2年余り、中国を信頼し、中国に頼り、日本にはつれなかった。 中国の正体をようやく理解して日本に接近したときにはすでに政権基盤が 危うくなっていた。彼女の戦略的失敗は、国内で左派勢力の増長を許して しまった。

蔡氏は中国の要求する92年合意を拒否したところまではよかったが、中国 とは摩擦を起こしたくない、話し合いで解決したいという姿勢だった。対 中融和姿勢は、民進党の政権なのに、中国人の政党といってよい国民党の 幹部を外相、国防相などの重要ポストにつけたことにも表れていた。その 後、閣僚は交替させたものの台湾人には納得のいかないことだっただろう。

学者であったがゆえに、熟考することが多く、素早い決断ができず対応が 常に後手に回った。経済運営の不器用さに加えて、決断できないことが、 国民の支持を失ったもうひとつの理由でもあろうか。敢えていえば、勝ち 目のない総統選から蔡氏は身を引く方が台湾のためになるのではないか。 いまは己れを捨てて台湾人のための未来作りに集中するときではないかと 思えてならない。

頼氏は、自身が選挙に勝てば、台湾独立の言葉は封じつつ、台湾の軍事力 を強化し、日米印豪のアジア太平洋戦略に参加したいと述べた。TPPに 参加し、福島をはじめとする東北の産品の輸入にも道を開きたいとも語った。

米国はホワイトハウスも議会も台湾支援を明確にした。事実上の民進党支 援である。日本も同様に、台湾を台湾人の国とするための支援を打ち出す べきである。強力な官邸主導の台湾支援戦略が必要だ。
『週刊新潮』 2019年5月23日号 日本ルネッサンス 第852回


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重 要 情 報
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◎テレビ局よ、ジャニーズがそんなに大事か:前田正晶

22日の夕方に日テレのニュースを見ていると、キャスターの藤井が突然話 題を変えて元ジャニーズの田口とかいうガキ(と言っても33歳だそうだ が)が同居している女性と共に大麻所持の容疑で逮捕されたと言い出し た。そこから後は、社会部のデスクの女性と共に延々とこの話題を語り続 けたのだった。ウンザリだった。私は元々ジャニーズ事務所と所属するガ キどもを蛇蝎の如くに嫌っているので、数多のテレビ局での中でも最も ジャニーズを尊重している傾向が見える日テレには閉口させられていたと ころに、この姿勢には言葉もなかった。

私が何故ジャニーズを嫌うのかといえば、その理由は無数にある。順序不 同で上げていけば、そのジャニー喜多川なる者は噂では妙な性癖があると かで、育ちと言うか出自の怪しい年端もいかない男の子ばかりを集め、悪 趣味の極みみたいな衣装を着せて、踊らせた上で口パクで歌っているが如 くに装わせ、下品な髪型を流行らせ、我が国の幼い子供たちをまともに演 技力や歌唱力を見抜くことが出来ないミーハーに育て上げることに永年専 念してきたことが最大の罪である。

その上に、妙な名前のグループをでっち上げてはテレビ局等に不当な圧力 をかけて出演させ、知性の欠片もないような間抜け面のガキどもをこの世 に送り込んだのが上記に次ぐ罪悪である。その最足るもものが木村拓哉や 嵐やTOKIO等の連中であり、広告宣伝会社もジャニーズ事務所に阿ったの か自発的なのか知らないが、彼らをテレビコマーシャルにも頻繁に起用す るのである。当方は櫻井翔なる者がCMに現れるや否やチャンネルを変えて しまう。ジャニーズの元ガキや現職のガキの顔見せられると胸が悪くなる のだ。

テレビ局も広告宣伝会社も営利追求の為にはジャニーズ事務所を尊重せね ばならないのだろうが、そうすることが我が国にどれほど多くのまともに 歌や芝居の上手いか下手かの判断も出来ぬようなミーハーをあれほど多く 養成してしまったことを恥じていないのかと呆れている。彼らにとっては 田口某が逮捕されたことをあれほど重大事のように扱えば、それでなくと も正常に物事が判断できなくなってしまっているミーハーどもをより一層 惑わせ白痴化させるだけだ。

テレビ局にまともに物事を判断する能力の欠片でも残っていれば、これ までにジャニーズのガキどもがどれほど多くの刑事犯罪になるような事件 を起こしてきたかを採り上げて、喜多川某に反省を求めるような勧告くら いあっても良くはないのか。田口某が犯した罪が厚生労働省の前にあれほ ど多くの人員を長時間は位置して追いかけるほどの価値があるのかとは考 えななかったのか。もう好い加減に若き視聴者をミーハー化する報道の姿 勢を少しでも改めたらどうか。

間もなく国賓待遇でトランプ様がお出でになる時期だ。我が国とアメリ カの間には重要な案件が山積しているではないか。そういうことは忘れて いるのか。衆参ダブル選挙が取り沙汰されているし、現在の世界情勢では 他に採り上げるべき重要な話題が数多くありはしないか。田口如きが逮捕 されたことに現を抜かしているべき時ではないだろうよ。テレビ局と広告 宣伝会社に改めて猛省を求めたい。



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身 辺 雑 記
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24 日の東京湾岸は快晴、爽快。
                 読者数:6001人   

                          




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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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