政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5052 号  2019・5・22(水)

2019/05/22

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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5052号
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        2019(令和元年)年 5月22日(水)



          米中貿易戦争、高関税は序の口:宮崎正弘

       昭和天皇が戦後占領下で発した詔勅:櫻井よしこ

             「わが祖国」スメタナ:渡部亮次郎    
     
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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米中貿易戦争、高関税は序の口
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月19日(日曜日)
          通巻第6084号 
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 米中貿易戦争、高関税は序の口、これからが本番だ
  5G開発で後れを取った米国勢、日本はお呼びではなかった
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 ▲5G特許をめぐる競争は数年前から熾烈化していた。

ファーウェイ排除の前段階からの米中激突の経過を振り返ろう。

2018年春に習近平がトランプに直接電話をかけて、泣きついたとかの情報
があるほど、ZTE(中興通訊)へのインテルの半導体供給停止処分は衝
撃的かつ死活的だった。ZTEはインテルからの半導体供給が止まり、ド
ル箱だったスマホの組み立てが不可能になって倒産しかけたのだ。

ZTEはイランへの不正輸出がばれて、7年間の取引停止を言い渡された
ばかりだった。

トランプの次の手は中国への半導体製造装置の輸出禁止だった。

これで福建省晋華集成電路(JHICC)は、せっかく工場を新築したの
に、操業が不能となった。台湾から来ていた100人のエンジニアも路頭に
迷い、鳴り物入りの最新鋭工場は閑古鳥、まもなくペンペン草がはえるの
ではないか。

完全なるファーウェイ排除となれば、中国として生き残る道は部品の国内
生産しかない。半導体の自製化である。

日米はともかく、中国はスマホ、基地局の輸出先を欧州とアフリカならび
にミャンマーなどアジアの発展途上国の市場に置き換えている。東チモー
ルの山奥や、ミャンマーの辺疆へ行っても現地人がファーウェイを使って
いた光景を目撃したが、驚きである。

そのうえファーウェイは、最悪シナリオに備え、半年分の生産に必要な部
品をしずかに備蓄してきた。昨秋にぴたりと停まった日本への発注が突如
ぶり返していたのは、部品備蓄が目的だったのだ。

鴻海精密工業は董事長の郭台銘が次期台湾総統に立候補するなどと息巻い
たが、中国の主力工場から大量のレイオフをなし、インドなどへの工場移
転を発表した。また一部は台湾へ復帰するとした。

米中貿易戦争は凄まじい突風となって全中国に吹き荒れ、一部、共産党の
高官は「GDPの1%減となるだろう」と予測するが、1%ではなく、
10%の悪影響がすでにでている。中国の株式市場は暴落寸前で、5月5日
から17日までに深セン株式市場で7・5%の下落、上海株式市場で5・
6%の下落となった。

遅きに逸したが、中国は半導体に自製化を本格的に稼働させる。なにしろ
インテルとクアルコムからファーウェイのみならず業界3位の小美(シャ
オメイ)も、廉価販売のOPPOも、半導体の供給を受けてきたのだか
ら、今後、生産が直撃弾を受けることになる。

習政権は、半導体内製化に発破をかけ、開発メーカーなどが赤字であって
も、株式市場から資金を調達しやすいように上場を急がせる方向にある。


 ▲5G特許の「出願件数」で中国は米国を抜いた

5G開発競争で、たしかに中国は「特許出願」の件数において世界最大で
ある。あくまで「出願」で、特許が「成立」した件数でないことを留意し
た上で、次の一覧を眺めてみよう。

5G必須特許出願の企業別シェアは、ドイツの「IPリッテクス社」の調
査に拠ると、

 ファーウェイ(中国)      15・05%
 ノキア (フィンランド)    13・92
 サムソン (韓国)       12・74
 LG (韓国)         12・34
 ZTE(中国)         11・70
 クアルコム(米国)        8・19
 エリクソン(スウエーデン)    7・93
 インテル(米国)         5・34

明らかに米国並びに北欧が劣勢にあり、中国の大手二社で34%強。世界の
3分の1を占める。日本企業と言えば、「まるでお呼びでない」。

ただし、中国勢の特許出願は基地局に関する技術が殆どである。だが、一
件優勢にみえる中国の5G開発には幾つかの深刻な問題点がある。

第一に「出願」と「成立」した特許とをよくよく吟味しなければならな
い。出願が多くとも、特許として認められるかは別の問題である。

第二に5G技術は4Gの上に成立するのである。つまり4G特許は圧倒的
に米国クラルコムが保有する上、5Gは、4G特許へのロイヤリティ支払
いを前提とする。だから中国はダミー(シンガポール籍のブロードコム)
を使って、クアルコムの買収に、史上空前の買収金額を示して乗っ取ろう
としたのだ。

土壇場でアメリカは、この中国が背後にいる野心的な買収案件に「国家安
全保障にかかわる」として拒絶するという行動にでた。
 
すでにオバマ政権時代から、中国の通信機器のスパイ行為、バックドアな
どの仕掛けによって情報が中国に筒抜けになっている「国家安全保障上の
脅威」は情報関係者から指摘されていたが、オバマ政権はなにも手を打た
なかったのだ。

米下院情報委員会は報告書を作成して「ファーウェイ、ZTEなどの通信
機器は中国のスパイ活動ならびにサイバー攻撃に悪用される可能性が高
い」と警告したため、ようやくオバマ大統領は2013年の米中首脳会談にお
いて「経済スパイ行為をしない」という合意をしたが、中国はこれをまっ
たく無視してきた。


 ▲クアルコムとアップルの特許訴訟、突如、和解へ

さらに重要な変化がアメリカで起きた。アップルとクアルコムは特許使用
料問題で深刻な特許裁判を展開していた。アップルがクアルコムの特許が
異常に高いと難詰し、合計270億ドルの訴訟を米国メーカー同士でいがみ
あい、このためアップルは5G製品の発表が出来ず、このまま行けば
ファーウェイ独走をゆるすことになる情勢にあった。

「アメリカ企業同士があらそっている場合か」と政府や議会、株主、メ
ディアから叩かれ、急転直下の和解。これでアップルの5G参入に目処が
立った。

米国企業が認識する中国の脅威とは、次期ハイテクで中国の後塵を拝する
ような事態が目前に迫り、焦燥がつのった背景がある。とくに習政権が
「2015 中国製造」を打ち上げたときに、アメリカは脅威を深刻に認識した。

2017年1月に発足したトランプ政権はホワイトハウスに特別対策室を設置
し、ハイテクに明るい専門家を急遽寄せ集めて、リストを作ってきたのだ。

当時、ホワイトハウスを訪問した加瀬英明氏から同年夏ごろに直接聞いた
のだが「技術の専門家のデスクがもの凄く増えている」。トランプ政権は
発足直後から、この問題に対応するチームを直轄してきたことになる。


 ▲世界の株式市場から時価総額250兆円が蒸発した

2019年5月10日、トランプ大統領は、追加関税増額措置(2000億ドル分の
中国製品に25%の高関税)を発表、続けて同月15日、ファーウェイへの部
品供給を事実上とめる「非常事態宣言」の大統領令に署名した。「中国」
と名指しはないが、だれが見ても中国製品の流入阻止が目的であることは
明瞭だ。

同時に米商務省は「ELリスト」を作成し、およそ68社をその対中禁輸リ
ストに挙げた。

このため株式市場は大混乱に陥った。世界すべての株式市場から時価総額
に直して、約250兆円が蒸発した

ファーウェイは世界68社から年間670億ドルにおよぶ部品を購入してき
た。日本からは村田製作所、東芝メモリィ、日本電産、ローム、
SONY、三菱電機など電子部品、カメラ11社、アメリカはインテル、ク
ラルコム、マイクロソフト、ブロードコムなど、じつに33社、台湾と韓国
からで、中国でファーウェイに部品を収めてきたのは京東方科技集団、
BYDなど25社に過ぎなかった。

むろん、米国企業をも直撃する。

トランプの支持基盤である中西部では穀物輸出の農家、穀物商社が輸出減
に悲鳴をあげた。サイロも、バージ船のターミナルも物流に混雑する風景
はなくなり、中国でもターミナル、コンテナヤード、倉庫に行き交う
フォークリフトの数が顕著に減少し、とくに倉庫スペースは空きが目立つ。

一度は米国復帰を宣言していたハーレー・ディビットソンは対中輸出が難
しくなるため、4月23日、ウィスコンシン州からタイへ工場移転を決めた。

半導体を供給し、中国で組み立ててきたスマホ、とりわけアップルのi
フォンは激甚な直撃を受け、米国内での販売価格は150ドルほど高くなった。

5月初旬の株価下落率でワースト銘柄は半導体のインテル(10・7%の
暴落)、化学材のデュポン(9・8%)、半導体のエヌビディア(7・
8%)、アップル(6・9%)、動画配信のネットフリックス(6・
2%)という具合だった。

アメリカも中国も高関税適用対象からライフラインのかかわる品目を外し
てきたが、とくに中国は豚肉、食料などの税率を据え置いた。報復で中国
が高関税をかけたのは、ガスなど米国以外の輸入代替国があるものに限ら
れた。

一方、米国も消費財(傘とか、スポーツシューズ、PC、スマホ)への関
税を据え置いてきたが、これらも第4次報復関税が発動すれば対象となる。

米中貿易戦争、まだまだ先の見通しが不透明だ。

     
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1896回】       
――「民國の衰亡、蓋し謂あるなり」――渡邊(8)
渡邊巳之次郎『老大國の山河 (余と朝鮮及支那)』(金尾文淵堂 大正
10年)

                  ▽

撫順炭鉱の苦力宿泊所を覗く。彼らは「其得る所の賃金は多く之を賭博に
費やす」のであった。彼らを取り纏める「把頭」と呼ばれる中国人の人足
頭は妻帯し、「權力と高給とによりて、猶人らしき生活を樂み得べしと雖
も」、苦力には賭博程度の楽しみしかない。

「上半身裸體の炭塵に汚れたる儘」で「頭を衝き合ひつゝ、嚴禁せる賭博
に耽る」。賭博を発見した「年少日本人監督のために棍棒を以て叱咤打擲
せらるゝも怒らず、驚き且笑つつて蜘蛛の子を散らすが如く逃げ去る」の
であった。

そんな有様を目にした渡邊は、「窃に惻隠の情を催さゞるを得ず。其生活
の寧ろ動物的にして、彼等の自覺の百年河清を俟つよりも望み難かるべ
し」と綴る。

こういう場面に出くわした際、おそらく欧米列強の支配者は「窃に惻隠の
情を催」すことなく、躊躇せず断固として厳罰で臨んだはず。殖民地の被
支配者に「窃に惻隠の情を催」していた日には殖民地経営なんぞできな
い、と嘯きながら。きっと、そうに違いない。

撫順から奉天を経由して南下し、山海関を越えて北京へ。
 
北京では初期の陸軍支那通を代表する青木宣純中将(安政6=1859年〜大
正13=1924年)に会っている。因みに、青木が北京政府応聘の軍事顧問と
して黎元洪総統の近くにあったのは1917(大正6)年1月から1923(同12)
年1月までである。

「温容一野翁の如き風貌」の青木によれば、「支那の戰爭と稱するもの、
聲容を以てし、文書を以てし、電報を以てし、必ず殺傷相當るが如き激烈
なる鬪爭に出づるにあらざるをや、風雲の動くところ安心すべからず」と
説く。

話が佳境に入る直前、客人が来たということで渡邊は青木の許を辞去して
いる。これから青木が何を話そうとしたのか。大いに興味をそそられると
ころだが、青木や坂西利八郎以下の陸軍支那通、それに大陸浪人の功罪に
ついては、いずれ詳細に論ずることにして、今は渡邊の旅を先に進みたい。

渡邊は明朝歴代皇帝を葬る十三陵、居庸関、弾琴峡、長城(八達嶺)など
を回るが、「初めて支那人の盗癖の油斷ならざる」を知る一方、「支那人
の衣服纏ふの嚴にして、婦人は全く皮膚を露出せず、男子は上半身を露出
すると雖も、斷じて腰部以下を示さず、少年童女と雖も亦相同じく、女兒
は決して胸背並びに乳房を暴露せず、村落の間亦此習慣を存せる」を知っ
たと記す。

さらに足を中国本部と外蒙との接点に位置する張家口まで伸ばす。「人口
六萬五千を有する北京以北唯一の商業地」とはいうものの、やはり旅館に
は閉口したらしい。

「當惑したるは便所の設備の不完全なり。大便所は外壁ありと雖も、入
口に戸あるにあらず、各箇の間に隔壁障陛屏あるにあらず、諸人偶然同時
に會せんか、相並んで脚を接して相見つゝ便せざるべからざるの奇劇を演
出すべし。從つて余等夜中若くは?旦人なき時を窺つて之を爲すの道を取
れり」。

「人口6萬5千を有する北京以北唯一の商業地」でこれだから、他は押
して知るべし。とはいえ、これがスタンダードだから我慢、ガマン、我
慢、ガマン、我慢・・・である。

張家口郊外の農村を歩き「鮮人の深入此の地方に及べるか」と綴る。出
稼ぎ農民か。入植者か。彼らの進出と日本の影響力拡大は重なっているの
か。彼らは独自に黄塵万丈の地まで進出したのか。確かに「木は動かせば
死ぬが、ヒトは動かすと活き活きする」ものだ。

張家口から北京に戻り故宮内の武英殿で「清朝鐘愛の珍寶」を見る。
「其輸送の間、多くの僞物と交換せられ」て、最後は権勢家に私蔵されて
しまう。彼らこそ「獨り國寶を私するのみならず、又國家國民を私して其
存亡消長を雲烟に附するの徒なり。而して民國此等の徒に富む、民國の衰
亡、蓋し謂あるなり」。
ニセ国宝、ニセ国家に、ニセ国民・・・?
《QED》
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこ 
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(読者の声1)「中共の混乱に備える」

新聞によると中共の国民の年平均収入は100万円に達したという。

これをもって良かったという人もいるだろう。しかし社会心理学の分析で
は、社会動乱は生活が良くなると逆に起こりやすいという。

フランス革命やロシア革命もそうだった。これは不満が増大するからだ。
靴を履いていなかった人が靴を買うと、もっと良い靴を履いている人を嫉む。

腕時計を持っていなかった人が腕時計を持つと,もっと高価な腕時計を持
つ人を嫉む。以前は縁が無いと思っていた世界が目に入り欲望と同時に不
満に火が付くのだ。

ということで、中共社会は生活の向上で皮肉にも何時でも火が付く状況に
なってきたのではないか。この解決は普通選挙法の実施しかない。欲求不
満を内部で相殺させるのだ。

しかし独裁体制ではこのガス抜きが出来ない。圧力鍋状態になってゆく。
すでに追い詰められた共産党独裁政権は、仏教寺院まで破壊して、モグラ
叩きに必死だ。しかし共産党幹部まで共産主義を信じている人はいない。
共産主義は「裸の王様」だ。

中共内外にすでに王様は裸だと指摘する子供が現れている。正統な権威は
暴力では維持できない。あとは時間の問題だ。ガス抜きして軟着陸する
か。それとも、である。どうなるか分からない。

なお習近平が共産独裁政治を文化といっているが8千万人も殺した政治が
文化だとすると恐ろしい。日本は再軍備を固めるべきである。憲法棚上げ
特例法で再軍備だ。(落合道夫)



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昭和天皇が戦後占領下で発した詔勅
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          櫻井よしこ

「昭和天皇が戦後占領下で発した詔勅の意味を汲みとることが令和時代の
課題だ 」

御代替わりと長い休日で沢山の本を読んだ。その1冊、『昭和天皇 二つ
の「独白録」』(東野真著、NHK出版)は1997年6月放送の「NHKス
ペシャル」を基にした作品だ。NHKの報じる歴史物にはおよそいつも独
特の偏りと臭気を感じるが、約20年前に出版された本書も例外ではない。
それでも考えさせられる著作だった。

「昭和天皇独白録」といえば、90年12月号の「文藝春秋」のスクープを思
い浮かべる。東野氏は他にも「独白録」が書かれていたことを明らかに
し、その作成は東京裁判において天皇無罪を確定させるための対策だった
とする。

そうした動きの背景には、昭和天皇に対する厳しい米国世論があった。45
年6月のギャラップ世論調査では「処刑せよ」が33%、「裁判にかけろ」
が17%、「終身刑」が11%、「追放」が9%で、70%が強い敵愾心を抱い
ていた。東京裁判終了後も厳しい感情は消えず、50年3月の同世論調査で
は、「天皇を戦犯として裁くべし」が53%だった。

皇室を潰し、国柄を断ち切ってしまいかねない米国国民の激しい対日感情
をどのように回避し得るのか、先人たちが重ねた苦労は測りしれない。

国民統合の中心に天皇を戴く形を辛うじて守ったとはいえ、日本の国柄と
はほど遠い現行憲法を受け入れるなど、先人たちは苦渋の選択をした。し
かも、占領下で日本に強要された無理難題の真実は、厳しい検閲制度ゆえ
に国民は知るべくもなかった。

こうした戦後体制をどう考えるか、昭和天皇のお言葉が東野氏の著書に出
てくる。それは「昭和天皇独白録」をほとんど一人で速記してまとめた内
記部長、後に侍従長を務めた稲田周一の備忘録中のお言葉だ。

46年8月14日、終戦記念日を前に陛下が首相ら閣僚を前に、述べられた以
下の件である。

「戦争に負けたのはまことに申訳ない。しかし、日本が負けたのは今度丈
ではない。昔、朝鮮に兵を出して白村江の一戦で一敗地に塗(まみ)れた
ので、半島から兵をひいた。そこで色々改新が行われた。之が日本の文化
の発展に大きな転機となった。このことを考えると、此の際日本の進むべ
き道も自らわかると思う」

昭和天皇が胸に描いた「此の際日本の進むべき道」は、右のお言葉の約8
か月前に発せられた詔勅に示されているのではないか。占領下で迎えた新
年の詔勅を昭和天皇は以下のように始められた。

「ここに新年を迎える。顧みれば明治天皇 明治の初国是として五箇条の
御誓文を下し給えり」

その後に昭和天皇は五箇条の御誓文全文を続けられた。後年、この件につ
いて、五箇条の御誓文を国民に伝えるのが詔勅の「一番の目的」だった、
「民主主義を採用したのは、明治大帝の思し召しである」「民主主義とい
うものは決して輸入のものではないということを示す必要が大いにあっ
た」と語られている。

民主主義は米国からの輸入ではない、五箇条の御誓文に示されているよう
に、明治以来日本が高々と掲げた価値観である。国民は祖国を信頼し、自
信を持ってよいのだと仰ったのだ。敗戦したからといって、祖国を恥じる
必要はないとのお考えでもあろう。

憲法は国柄を表現するもので、国の基いである。昭和天皇や先人たちは、
前述のように他に選ぶ道もなく木に竹を接いだような現行憲法を受け入れ
た。私たちは70年以上、その一文字も改正できずにきた。日本はまるで米
国に魂を抜かれた操り人形のようではないか。令和の時代の課題は、昭和
天皇が発せられた占領下における詔勅の意味を真摯に汲みとることだろ
う。それが憲法改正だということはもはや説明の必要もないだろう。
『週刊ダイヤモンド』 2019年5月18日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1279

      


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「わが祖国」スメタナ
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     渡部 亮次郎

元気の出ない時に聞く曲はスメタナの「我が祖国」だ。ポロン、ポロンと
珍しくハープの演奏から始まる交響詩組曲である。私のクラシック教室に
は先生がいないから、ここ20年ぐらい、手に入るだけのCDをやたら聴いて
好きな曲を探す。スメタナはそうした1人である。

ベドルジハ・スメタナSmetana,Bedrich (1824〜1884)はチェコの作曲
家。幼いころから音楽への才能を示し,ピアノと作曲を学ぶ。1848年フラ
ンスの2月革命がチェコにも及び,プラハで急進派が蜂起したときそれに
参加,革命軍のための行進曲や《自由の歌》を書いた。

革命が鎮圧された後は,リストの援助を得てプラハに音楽学校を開設。56
年から5年間はスウェーデンのイェーテボリ市の音楽協会〈ハーモニー協
会〉の指揮者を務めた。

61年帰国ののちは,再び大きな盛上がりをみせていたチェコの民族運動の
音楽的スポークスマンとして大活躍を始め,チェコ人のための国民劇場完
成までの仮劇場のために,《チェコのブランデンブルク人》(1863)や《ダリ
ボル》(1867)のようなナショナリズムを鼓吹した愛国的なオペラを作曲した。

また,理想化されたチェコの農村の姿をミュージカル・コメディ風に描い
た《売られた花嫁》(1866。1870改訂)の大成功によって,仮劇場の首席指揮
者の地位も手中に収めた。

しかし74年,50歳のときに聴覚を失い,晩年はチェコ北部のヤブケニツェ
村に隠とんし,肉体的・精神的状態の悪化と戦いながら作曲に専念。祖国
の風物と民族を賛美した6曲から成る交響詩組曲《わが祖国》(1879。

その第2曲《モルダウ》はとくに親しまれている)や自叙伝的な2つの弦楽四
重奏曲,《第1番わが生涯より》(1876)と《第2番ニ短調》(1883)を完成したの
ち,プラハの精神病院で狂死した。

作品にはなお合唱曲と歌曲,多数のピアノ曲などもあるが,〈ボヘミア楽
派〉といわれるチェコの国民楽派の創始者であり,ロシアのムソルグス
キーやフランスのベルリオーズと並んで,音楽におけるリアリズムのあり
方を後世に示した先駆者の一1人でもあった。 佐川 吉男

参考:世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービスより。


また
http://www.kk.iij4u.or.jp/~takuya/vltava.htm  に拠ると、

スメタナは同じチェコ出身で後輩格であるドヴォルジャークと共に、土地
に根ざした作風を持つ、いわゆる「チェコ国民楽派」として有名な作曲家
である。

ヨーロッパ各地で研鑚を積みつつも、やはり自らが生まれ育ったチェコの
ことが忘れられず、帰国後「ヴィシュフラド(高い城)」「モルダウ」
「シャールカ」「ボヘミアの森と草原にて」「ターボル」「ブラニーク」
という一連の交響詩を次々と世に出し、祖国への熱い思いを託した。

この6曲は1882年11月、この順番で連作交響詩「我が祖国」としてプラハ
にて初演され、大好評を博した。

以来この曲はチェコ国民の愛国心を象徴する傑作として、現在チェコで毎
年行われている「プラハの春音楽祭」の初日は決まってチェコ・フィル
ハーモニーにより「我が祖国」全曲が演奏される等、スメタナの生涯をか
けた愛国心はたくさんのチェコ国民に受け継がれているという。

この「モルダウ」はその連作交響詩の2曲目で、しばしば単独でも演奏さ
れる。幸いなことに作曲者自身により、ここは何を描写しているのか具体
的な注釈が残っており、曲を初めて聴く人でも容易にその場面を想像できる。

以下その必見ポイント(?)を順を追って記す。

○「モルダウの最初の源流」
水源地はチェコ西部の山の奥深くである。2本のフルートにより雪が溶け
てやがて流れとなる様子が表されている。繊細なハープのハーモニクスと
ヴァイオリンのピチカートは、あちこちで陽の光に当たってきらめく水の
しずくである。

○「モルダウの第2の源流」
さきの源流(フルート)にやや温度差のある別の流れ(クラリネット)が
合流し、少しだけ水に温かさが加わる。こうして徐々に楽器の数が増え、
水が集まり、河の流れが出来上がってくる。ここでオーボエを伴った弦楽
器により、最も有名なモルダウ河の主題が提示される。

○「森〜狩り」
流れは森の中に入り、ホルンのシグナルとともに馬に乗った勇壮な狩人が
横切る。角笛の音が森のあちこちにこだまする。牧場のカウベルも時折聞
こえ、弦楽器による河の流れは絶え間なく続く。

○「村の婚礼」
拍子は6/8拍子から2/4拍子に変わり、森を抜けると少し視界が開け、村の
集落が見えて来る。今日は村の若者の結婚式。教会から出てきた若い2人
を、村人たちの陽気なフォークダンスが迎え、祝福するヨーデルの歌声が
響く。

○「月の光〜水の精の踊り」
結婚式の夜も更け、あたりは静けさを取り戻す。ファゴットとオーボエの
先導により水の精が登場し、フルートとクラリネットが冒頭と同じような
無窮動を繰り返しつつ楽しげに浮遊する。弦楽器群によりまた水量が徐々
に増え、さきのモルダウ河の主題が再現される。

○「聖ヨハネの急流」
突如として傾斜が急になり、水の勢いが速くなる。岩にぶつかり、激しい
水しぶきを上げる様子がリアルに描写されている。

○「モルダウの力強い流れ」
曲はホ短調からホ長調に転調し、モルダウ河はプラハ市内に入る。オーケ
ストラ全体によりこの「モルダウ河のテーマ」が賛歌として力強く歌われる。

○「ヴィシュフラド(高い城)の主題」
かくてプラハ市内にある歴史的な古城、ヴィシュフラド(高い城)に挨拶
する。ここは前作である交響詩「ヴィシュフラド(高い城)」(「我が祖
国」第1曲)のテーマが回帰する瞬間でもあり、本来ならば全曲を連続演
奏した時に効果が得られるように作られており、プラハ市内を抜けてなお
果てしなく続く流れを見送りつつ、フェードアウトされて曲は締めくくら
れている。

この「モルダウ」の作曲に着手した頃、スメタナは耳の病が悪化し、あの
ベートーヴェンと同様に聴覚を失ってしまった。したがってこの「モルダ
ウ」以降、スメタナ自身は自分の作品を音として聴いていない。

スメタナは1884年に世を去り、自らの作品で歌い上げたモルダウ河とヴィ
シュフラドのすぐ近くの墓地に静かに眠っている。と書かれているが狂死
とはあまりに可哀想だ。2007・06・08


          
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重 要 情 報
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◎街角景気診断の勘の通りだったGDPの速報値:前田正晶

20日の夜はTBSの「報道1930」とフジの“Prime News”をかなりの興味と関
心を持って掛け持ちで見ていた。1〜3月期の速報値の結果は「矢張りそう
だったか」と思わせてくれただけで驚きも何もなかった。最早現職ではな
い以上、街中を吹く風から感じ取る以外に景気の動向を知る術もないと
思っているので、「ずっと好景気ではなかったのでは」と見ていたことが
「当たらずと雖も遠からず」よりも近かったのは残念なことだった。

私が特に共感したのはPrime Newsに出られた伊吹文明元大蔵大臣・元衆議
院議長他という大物の経済の見方だった。覚えているままにお復習いして
おくと「最早資本家ではないしたから成り上がった経営者たちは単なる経
営担当者に過ぎず、先行きの不安からか自分の在任中には資金の固定化を
招く設備投資を避け、内部留保に走り賃上げを躊躇っている。これでは
GDPの大部分を占める内需は伸びないのは当然」と指摘しておられた。こ
れらの諸点はつい先頃私が述べた「景気観」と似ている点が多いので大い
に気を良くしていた。

私はそこに加えて、自分がその一員である我が国の人口全体の25%以上
を占める高齢者として「最早寧ろ終活に入るべき時であるという観点から
も、年金生活であるという制約からも、極力出費を避けるというか必要最
低限の食べ物を買う程度の支出しかしないのであるから、内需が伸びない
のもまた当然だろう」と思っている。自分のことを言えば、ここ2年ほど
は出費の中で最大の項目は医療費である。下着以外の衣料品など買ったこ
ともない。他人様のことは解らないが、そういう生活をしているのではな
いかと推定したくなる人たちが全体の25%を占めて未だ未だ増えていくの
が我が国ではないのか。

そういう国内の退っ引きならない事情がある時に、トランプ大統領は立
ち上がられて世界制覇を目指しているが如くにしか見えない習近平と中国
と、彼らが持つ対アメリカの貿易黒字叩きに出られた。何度も言ってきた
ことで、私はそのこと自体は結構な方向にあると思っている。だが、これ
も既に指摘したことだが、トランプ大統領のやり方は「その大目的を達成
する為には何が起きても構わないでアメリカファースト」と割り切ってお
られるようにしか見えないのだ。世界中の専門家とエコノミストたちは、
そのトランプ方式が残る世界の諸国の景気に大いなる影響を及ぼすと警告
してきた。

そのような恐ろしい結果が具体的には我が国の経済には現れていない
が、輸出が不振に陥り副産物的に輸入がそれ以上の率で減少していたこと
は、既にアメリカと中国の対立の影響が現れてきたのだろうと思わせる。
だからと言って「それは困ります、トランプ様。どーぞ方針の転換を」と
同盟国である我が国が今更お願いに行ける情勢でもあるまいと思う。既に
アメリカは具体的に華為の締め出しに進んでいるし、GoogleはOSの供給を
停止するそうだ。

それでは我が国では如何にして現状に対応するかだ。内需が伸びない理由
はすにこれまでにも指摘して来たが、私は先行きばかりに不安感を示して
いる経営担当者に従業員に対して(貯蓄に回らせられることも覚悟で)思
い切った昇給に踏み切らせることが最も有効だと思っている。同時に経営
担当者たちも、アメリカの金融証券業界のエキュゼキュテイブたちやカル
ロス・ゴーン氏程までとは行かずとも、もっと高額な報酬を与えて「これ
に見合うほど働け」と士気を鼓舞すべきだと思っている。株だって持たせ
るべきだ。私は高齢者には内需の伸びへの貢献は期待できないと思う。

とは言うものの、ここから先の世界の景気の動向はアメリカ対中国とい
うか、トランプ大統領対習近平の作戦如何にかかってくる。だが、6月に
迫った我が国で開催されるG20で両者の会談があるにしても、そこまでの
僅かな期間に両者が「落とし所」の具体案でも持ってこられるのだろうか
という疑問は残る。私は常に主張してきたことで「アメリカのビジネス
パーソンの辞書には『妥協』も『落とし所』もない」以上、マスコミがビ
ジネスマンだと形容するトランプ大統領が妥協する為の会談の席につくか
ということだ。



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身 辺 雑 記
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22 日の東京湾岸は晴天。夕方、義姉夫婦と向島の洋食屋『あきら』で一献。

21日の東京湾岸は朝のうちは雨。散歩は午後4時ごろした。

夜7時からは亀戸駅近くの韓国風居酒屋で懇親会。焼酎を?んだ。

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創刊日:2004-01-18  
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