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頂門の一針

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頂門の一針5049 号  2019・5・19(日)

2019/05/19


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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5049号
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        2019(令和元年)年 5月19日(日)



           全国的にノロウイルスの猛威:毛馬一三

      1ドル=7人民元を中国は死守できるか?:宮崎正弘   
   
     昭和天皇が戦後占領下で発した詔勅の意味:櫻井よしこ     
          
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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全国的にノロウイルスの猛威
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       毛馬 一三

抵抗力の弱い高齢者高齢者を中心にノロウイルスによる感染性胃腸炎が、
全国的に猛威を振るっている。高齢者にとってはゆゆしきことだ。

ノロウイルスは、生ガキのような二枚貝にふくまれ、汚染された貝を食べ
たり、調理したりする際に感染するため、福祉施設などで集団感染する可
能性が高いという。そこで、大阪厚生年金病院 看護部 看護ケア推進室
の柴谷涼子さん(感染管理認定看護師)に「ノロウイルスの入門と予防の
仕方」について、記述してもらった。ご紹介したい。

◆<老人保健施設などでノロウイルスの集団発生が報じられております
が、ノロウイルスについて正しくく理解し、ご自身も感染しないよう予防
しましょう。

ノロウイルス感染症とは・・・

ノロウイルスが人の小腸で増殖して引き起こされる急性胃腸炎です。
?カキや貝類を十分に加熱せず食べた場合

?生ガキや貝類で汚染された調理器具で調理した生野菜などを食べた場合

?ウイルスに感染したヒトの便や吐物に触れた手で調理をした場合・・・
などに感染する可能性があります。

◆症状

年齢に関係なく感染は起こりますが、高齢者や抵抗力の弱ったヒトでは重
症化する例もあります。嘔気・嘔吐・下痢が主症状です。

腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛などを伴うこともあります。 高
齢者の場合、症状が出て、水分摂取ができなくなるとすぐに脱水症状を起
す可能性がありますので、早めに病院の診察を受けて下さい。

◆予防
 生のカキや貝類は内部まで、十分に加熱してから食べるようにしましょう。
 カキの処理に使用したまな板などは、よく水洗いし、熱湯消毒をしてか
ら使用しましょう。

 冬場はこのノロウイルスに限らず、様々な感染症が流行します。感染予
防としてもっとも重要なのは、普段からの「手洗いやうがい」です。
 外から帰ったあとは必ず「手洗いとうがい」をする習慣をつけましょう。>
                       
( 参考文献;)
 1.国立感染症研究所 感染症情報センター感染症発生動向調査週報 感
染症の話
 http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_11.html
 2.大阪府食の安全推進科    http://www.pref.osaka.jp/shokuhin
/noro/
 3.厚生労働省ノロウイルス食中毒の予防に関するQ&A



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1ドル=7人民元を中国は死守できるか?
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月17日(金曜日)
          通巻第6082号 
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人民元為替レート、1ドル=7人民元を中国は死守できるか?
保有米国債を売却すれば、かえって中国の首を絞めることになる
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国際金融市場において、米中貿易戦争の険悪化で深刻な懸念が拡がっている。
 
第一の懸念とは中国人民銀行(中央銀行)は、人民元為替レート、1ド
ル=7人民元をいつまで死守できるか? という問題である。

第二は習近平が面子にかけてどぎつい報復にでた場合の最悪のシナリオ
は、中国が保有する米国債券を売却するのではないかとする懸念である。

米中貿易戦争が第三幕(3000」億ドル分にも25%の課税)に移行するや、
上海の株式市場は下落を演じたが、人民元も対ドル相場を下落させ、1ド
ル=6・9人民元となった(韓国ウォンはもっと下落した)。逆に安定感
のある日本円は上昇した。

中国にとって、為替の死守線は1ドル=7人民元であり、これを割り込む
と、下落は底なしになって1ドル=8人民元を割りこむことになるだろう。

中国人民銀行はしずかに香港での対策を講じた。3ヶ月物と1年物の短期
債券を100億元(1700億円)発行して、香港の通貨市場に介入し、人民元
を買い支えたのだ。なんとしても、人民元の下落を防ぐ狙いがある。

またASEAN諸国は1997年のアジア通貨危機の二の舞を演じかねないと
して、中国の金融当局の出方を注目している。
 
中国は最後の報復手段だとして、保有米国債を売却すれば、かえって中国
の首を絞めることになることを、金融界は承知している。しかしながら、
あの「やけくそプーさん」こと習近平が何をしでかすか分からないだけ
に、警戒を怠らないのである。

米国債(米国の赤字国債総額は22兆ドル)は5月12日統計で、中国が依然
首位の1兆1230億ドル、日本が1兆420億ドルを保有している。
     
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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地図に無かったチベット仏教の聖地を探検した日本人学者がいる
 再び外国人立ち入り禁止の機密対象地になり、立ち入り出来ない秘境

              ♪
川田進『天空の聖域 東チベット宗教都市への旅』(集広舎)
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驚きに満ち満ちたカラーグラビアが冒頭をふんだんに飾る。

凄い、こんな聖域、これほどの秘境が地球上にあったとは! しかも中国
の地図には出ていなかった場所だ。

過去に現地へ入った日本人は数人もいないうえ、中国旅行ガイドブックに
はもちろん出ていない。むろん評者も西寧あたりまでは行ったが、その奥
地に踏み込んだことはなかった。地図に記載がなかったからだ。

この「聖域」は四川省の西側、中国の「異界」とされ、妖怪がでて、怖い
ところという政治宣伝がなされたため誰も近付こうとしなかった謂われが
附帯しているという。

あなたは知っていましたか? 聖域「ラルンガイ」を?
 
評者(宮崎)も本書を手にするまで、まったく知らなかった。

ラサのポタラ宮殿やセラ寺ほか、青海省の西寧郊外に拡がる宏大なチベッ
ト寺院、塔爾寺も一日がかりで見学したことがあるが、ラルンガイは高度
4千メートルの山稜に忽然と拓けている宗教都市だった。
 
成都から直通バスで18時間、乗換バスだと36時間かかる遠隔地、というよ
り山岳の悪路をのろのろと走行するのだから、それくらいはかかるだろう。

本書にある概略図で確認すると、西寧から西へ向かい、玉樹の手前を南下
して、そこから迷路のような悪路を辿るルートのようである(現在、外国
人の立ち入りは禁止されている)。

創設者はジグメ・プンツォという「ニンマ派」の高僧であり、しかも何故
か漢語の伝記がでている。プンツォ師は2004年に入寂されたが、後継ラマ
を見つけるなと遺言したという。

当時、数千はあるかと思われる学舎らしき建物が僧坊だった。巨大な寺院
の回りに、小粒の住居が山にへばり付くように並んでいる風景は神々しく
もあり、逆に或る意味で雑然としている。

1万人を超える学僧が住み着いて、天空の聖地ともいえるコミュニティを
形成していた。尼僧もおり、バザールが開かれて、ちかくの農民や行商が
売りに来る。山の中腹には大仏塔が輝き、やまの頂上からは巨大なタンカ
を敷き詰める網が張られていた写真も残っている。

葬儀は鳥葬だった。

著者の川田氏は大阪工業大学の教授。なぜ工学部の先生が、この聖域に惹
かれたのか、これまでに六回の視察をしているという。

「ラルンガルは現実世界とつながっているにもかかわらず、長年、中国の
地図や仏教関係書に載ることはなかった」という著者が最初に、この聖域
に足を踏み入れたのが2001年だった。

爾来6回、定点観測のために訪問してきた。
長田教授はこう書く。

 「(初回の訪問時)脳天を割られたような衝撃に襲われた。学僧たちの
住居である僧坊数百戸がことごとく破壊され、基礎と土壁が露わになり、
まるで空襲語の残骸と化していた」。

その後、墓場のような情景につづいたのは「すり鉢状の谷の三方を僧坊群
が埋め尽くす姿が眼前に現れると、再び私の脳天に一撃が加えられ、一瞬
言葉を失った」

江沢民の仏教弾圧によって寺院と僧坊群は破壊され、そのあと地震が襲っ
た。そして現在までに何が起きたかは明らかではない。
 
シュガルでホータンでモスクが破壊されたように、ラルンガルは中国共産
党の標榜する「改造計画」によってまったく新しい「観光用宗教地区」と
なりそうな雰囲気であるというのだが、外国人は誰も近付くことさえ出来
ないため、真相は闇のまま。

それにしても、シャングリラ(理想郷)から地獄に落とされたのか、ラル
ンガルの現況はおおいに気になるところである。 
    
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこ 
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(読者の声1)トランプ大統領の非常事態宣言への署名、それにつづく商
務省のEL発表、そしてファーウェイへの部品輸出禁止令。まるで「新コ
コム」です。これでファーウェイ排除は完璧、ファーウェイは倒産します
かね。(SD生、足立区)


(宮崎正弘のコメント)中国企業は、いま、どこも破れかぶれですよ。ア
リババの馬雲が激越なジョークを飛ばしています。『「996」から「669」
へ』です。

意味? 午前9時から午後9時まで週に6日間はたらかせたブラック企業
が、「セックスを毎日6回、それを6日間続ける」という意味です。

トランプのファーウェイ排除は規制の方針ですが、抜け穴を狙うドイツ、
英国、そして台湾、韓国も死活問題です。

日本でもブローカーが第3国を通す迂回輸出などを持ちかけてくるでしょ
うから、いずれ日本企業のなかにも制裁されるところが出てくるでしょう。

  ♪
(読者の声2)イランと戦争になりますか? サウジのタンカーがミサイ
ル攻撃を受け、米国は空母攻撃群を近海に派遣しています。イランも外相
を日本に派遣してきたように、相当深刻に対応していますね。
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)トランプ政権はイスラエル対策を何よりも優先さ
せており、つぎにサウジ対策でしょう。

イランと戦争しても、米国に利益は薄く、むしろ強硬なポーズをとり続け
て、イランと中国、露西亜が三角同盟を組まないように、軍事的な牽制と
考えられます。

局地戦にせよ、イランと実戦を展開するには12万人の兵力が必要であり、
いまのアメリカ軍の装備はともかく、兵隊はLGBT、とくに女性兵士が
戦闘にもでるとなれば、これまでのような強さを発揮できるか、どうか。
 そのうえ本気で戦争するならば、イランを孤立させ多国籍軍を形成する
必要からも外交は全方位的方向に傾くはずで、こんなときに中国と全面的
な貿易戦争をやっているのですから、やはり対イランとの戦争の勃発は考
えにくいと思います。

  
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昭和天皇が戦後占領下で発した詔勅の意味
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            櫻井よしこ

昭和天皇が戦後占領下で発した詔勅の意味を汲みとることが令和時代の課
題だ」

御代替わりと長い休日で沢山の本を読んだ。その1冊、『昭和天皇 二つ
の「独白録」』(東野真著、NHK出版)は1997年6月放送の「NHKス
ペシャル」を基にした作品だ。NHKの報じる歴史物にはおよそいつも独
特の偏りと臭気を感じるが、約20年前に出版された本書も例外ではない。
それでも考えさせられる著作だった。

「昭和天皇独白録」といえば、90年12月号の「文藝春秋」のスクープを思
い浮かべる。東野氏は他にも「独白録」が書かれていたことを明らかに
し、その作成は東京裁判において天皇無罪を確定させるための対策だった
とする。

そうした動きの背景には、昭和天皇に対する厳しい米国世論があった。45
年6月のギャラップ世論調査では「処刑せよ」が33%、「裁判にかけろ」
が17%、「終身刑」が11%、「追放」が9%で、70%が強い敵愾心を抱い
ていた。東京裁判終了後も厳しい感情は消えず、50年3月の同世論調査で
は、「天皇を戦犯として裁くべし」が53%だった。

皇室を潰し、国柄を断ち切ってしまいかねない米国国民の激しい対日感情
をどのように回避し得るのか、先人たちが重ねた苦労は測りしれない。

国民統合の中心に天皇を戴く形を辛うじて守ったとはいえ、日本の国柄と
はほど遠い現行憲法を受け入れるなど、先人たちは苦渋の選択をした。し
かも、占領下で日本に強要された無理難題の真実は、厳しい検閲制度ゆえ
に国民は知るべくもなかった。

こうした戦後体制をどう考えるか、昭和天皇のお言葉が東野氏の著書に出
てくる。それは「昭和天皇独白録」をほとんど一人で速記してまとめた内
記部長、後に侍従長を務めた稲田周一の備忘録中のお言葉だ。

46年8月14日、終戦記念日を前に陛下が首相ら閣僚を前に、述べられた以
下の件である。

「戦争に負けたのはまことに申訳ない。しかし、日本が負けたのは今度丈
ではない。昔、朝鮮に兵を出して白村江の一戦で一敗地に塗(まみ)れた
ので、半島から兵をひいた。そこで色々改新が行われた。之が日本の文化
の発展に大きな転機となった。このことを考えると、此の際日本の進むべ
き道も自らわかると思う」

昭和天皇が胸に描いた「此の際日本の進むべき道」は、右のお言葉の約8
か月前に発せられた詔勅に示されているのではないか。占領下で迎えた新
年の詔勅を昭和天皇は以下のように始められた。

「ここに新年を迎える。顧みれば明治天皇 明治の初国是として五箇条の
御誓文を下し給えり」

その後に昭和天皇は五箇条の御誓文全文を続けられた。後年、この件につ
いて、五箇条の御誓文を国民に伝えるのが詔勅の「一番の目的」だった、
「民主主義を採用したのは、明治大帝の思し召しである」「民主主義とい
うものは決して輸入のものではないということを示す必要が大いにあっ
た」と語られている。

民主主義は米国からの輸入ではない、五箇条の御誓文に示されているよう
に、明治以来日本が高々と掲げた価値観である。国民は祖国を信頼し、自
信を持ってよいのだと仰ったのだ。敗戦したからといって、祖国を恥じる
必要はないとのお考えでもあろう。

憲法は国柄を表現するもので、国の基いである。昭和天皇や先人たちは、
前述のように他に選ぶ道もなく木に竹を接いだような現行憲法を受け入れ
た。私たちは70年以上、その一文字も改正できずにきた。日本はまるで米
国に魂を抜かれた操り人形のようではないか。令和の時代の課題は、昭和
天皇が発せられた占領下における詔勅の意味を真摯に汲みとることだろ
う。それが憲法改正だということはもはや説明の必要もないだろう。
『週刊ダイヤモンド』 2019年5月18日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1279


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重 要 情 報
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◎「欲しがりません勝つまでは」から「アメリカファースト」までを見てきたが:前田正晶

戦前というのか、大東亜戦争が明らかに我が国にとって不利になってきた頃に、私は中学校に入っていた。そして戦争が終わって自由になって、頭髪を丸刈りにしなくても良い時代がやって来た。だが、同時にやって来たことは「食べられる物であれば何でも食べる以外に道はない」という食糧難だった。大豆の絞りかす、薩摩芋、乾燥芋(今は別な名前になっている方だが)、南瓜、大麦・小麦、そして偶にはご飯という生活だった。お米は配給券でしか入手できなかった。

戦前の暮らしで覚えていることは「後楽園に職業野球を見に行って川上哲治だとか苅田久徳やビクトル・スタルヒン(改名させられて須田になっていたが)等を見たこと」や、今にして思えば「現在のように大きな格差(貧富の差と言うべきか)が生じている世の中では、怪しからんと大声で非難する時代ではなかったか」ということである。要するに「耐え難きを耐え」ではなく、食べるということはこういう暮らしをすることだと受け止めていた。一升瓶の中に玄米を入れて棒で突いて白くしていたのは普通のことだったのだ。

そういう時期を経て行く間には「蹴球部で革の靴を履いていた者が何人いたか」であるとか、「アメリカ軍の衣類の横流しのルートを持っていた者が結構な小遣い稼ぎをしていた」とか、「藤沢の駅の近くに販売店があった“Blue Seal”というアイスクリームだったのだろうアメリカの食べ物を食べられる者が幅をきかせていた」のだ。だが、その時期が過ぎると朝鮮動乱が始まって我が国には思いかけなかった「特需」が巻き起こって復興が足早に進んでいったのだった。確かに「闇市」はあったが、当時住んでいた藤沢市には存在していなかったと思う。

我が家は私が病弱だったことに加えて疎開すべきだということで藤沢の鵠沼に言わば半分は転地療養していた為に1945年4月の空襲で帰るはずだった小石川の家が焼失したので、何れ帰る予定で置いてきた家も主な家財も失って一気に「持たざる者」にされてしまった。と言うことは、この年の8月以降は「戦時中の耐乏生活」とは一寸異なった借家住まいという生活をせざるを得なくなってしまったのだった。

その敗戦後に我が国が目覚ましい復興発展を続け世界有数の経済大国にのし上がっていく過程を、何故か私は「これは我が国としては最初からその底力があったので当然のことで、予定していたというか、恰も予め描いていた経済発展のコースを順調に辿っていっているだけなので不思議でも何でもない」と受け止めていた。池田勇人総理の「所得倍増計画」も無茶なことを言っておられると聞くよりも「そうなるのも当たり前かな」と受け止めていた。

アメリカと安全保障条約を結んだことは知っていたが、その為に大きな「安保反対」の闘争が巻き起こって大規模なデモも行われていた。あの樺さんが亡くなった日のデモも帰宅中の新橋駅の近所で見ていたが、デモ隊が去った後にハイヒールの靴の片方が残されていた景色を未だに覚えている。私は要するにかかる樹億追うの単なる傍観者で「会社の為に一所懸命に働くこと」しかなかった、言ってみれば当時良く言われた「ノンポリ」的な存在の会社員だったのだ。

最悪と言われた不況期で所謂「砂糖、セメント、紙」の三泊時代の末期に紙パルプ産業界の会社に雇って頂いた私は、そこから先はただひたすら発展し続けていった我が国の高度成長期の恩恵を十分に楽しませて頂けたというか、民主主義と自由主義経済の有り難さをも経験していた。確かに戦時中は敵であったはずのアメリカの援助はあったかとは思うが、アメリカ自身も我が国の産業界の指導的立場にあって多くの特許等の使用を認め、先進工業国としてライセンスも降ろしていたので、指導もしたのは事実だろうが、巧みに利用していたとも言えるのではないのか。

だが、私が何度でも言ってきたことで「偶然の積み重ねでアメリカの大手紙パルプメーカーに転身した」頃辺りから、我が国の製造業界の一部には徐々に技術的にアメリカを抜き去る傾向が出てきたのだった。その流れを表す現象の一つが、1970年前半だったと記憶するNBCが放送した「日本に出来ることが何故アメリかでは出来ないのか」という番組だったと思う。我がW社でも大変な反響が起こっていた。これをアメリカで見損なったという陸軍中佐は日本に出張してきた際に、藤沢市の我が家まで来て日本のテレビでの日本語の音声付きを聞いたほどの大流行だった。

私が転じた頃のW社の我が事業部は我が国におけるアメリカのサプライヤーとしては末席を汚しているような状況だった。だが、我が国の経済の急速な発展に伴う食生活の質の向上の流れに乗れたお陰と、私が常に「生涯最高の上司」と呼ぶ副社長の巧妙な対日政策の効果と相まって遂には1980年代後半には我が国への液体容器原紙のサプライヤーとしての#1の座を確保できたし、W社全体としては「アメリカの会社別対日輸出金額でボーイング社に次ぐ第2位にまで伸ばしていたのだった。

正直に回顧すれば、私の在籍中の1993年末までは中国にはその人口の大きさから見れば膨大な可能性を秘めていることは、言わば世界の経済界では常識の如きで、その可能性に賭けて進出していく企業が多かった。W社は直接的な投資には至っていなかったが、香港に拠点は置いていたし、上海には駐在員も置いていた。また、鄧小平がワシントン州タコマ(現在はフェデラルウエイ市となっている)の本社を訪問して「(中国には不足している)木材資源を買いに来たのではない。植林の方法と森林の運営の仕方をし得て欲しい」とCEOのジョージに要望したことは「流石に見ているところが違う」という見方が遍く社内には広まっていた。

その森林産業界のみならず世界経済を引っ張っていくはずのアメリカが、今ではのし上がってきた中国と如何に対抗していくかにトランプ大統領以下が腐心する状態になり、中国は世界の下請け工場からICT化された産業の分野では世界の脅威となるまでの経済大国になってしまった。私は中国にここまでの成長というか増長を許した背景にはオバマ政権下の8年が大きくマイナスの貢献をしたと思っている。だからこそ、トランプ大統領はオバマ大統領の実績の反対を行く政策を選ばれたのかとすら考えている。

私はその限りにおいては、トランプ大統領が中国を頭から押さえ込もうとしておられるのか良いことだし、歓迎すべき事だし、我が国としてでいることをして援助しても良いと思っている。だが、私が見る限りでは「トランプ大統領の対中国押さえ込み作戦が進めば進むほど、親アメリカはである諸国の景気というか経済に少なからざるマイナスの影響が出てくることになるだろう」となりかねないのだ。そこにはトランプ大統領の大看板である「アメリカファースト」の旗が閃いている以上は急には方針が大きくは変わらないと思う。

だが、6月G20の機会を捉えてトランプ・習近平の首脳会談が行われるようだ。それまでには未だ1ヶ月は残されているが、その間に両首脳が相まみえて「両国にとって良い解決案であり、世界各国にとっても『目出度し、目出度し』となるのだろうか。私は少なくともアメリカ人の思考体系からすればトランプ大統領が妥協的な案を提示するとは思えないし、習近平とても共産党までが承認するアメリカとの妥協が出来る立場にはいないのだろう」という専門家の先生方の意見を採りたい。

私の個人的な見方では世界ではすべの国が発展していくのは良いことかとは思う。だが、何処か一国だけが群を抜いて成長・発展して覇権をとって、経済から軍事までを独占的に支配するような事態は望ましくないと思う。現在のように、私には内容というか実体の凄さが想像も出来ない5Gを巡る激しい対立がアメリカと中国の間で生じている時代にあっては、アメリカと中国が残る世界の諸国に与えるプラスとマイナスの影響まで十分に考慮する会談が出来るのかと不安になってくる。

ある専門家は「本格的に経済面で争えばアメリカが圧倒的に有利だ」だと言われた。トランプ大統領はそこまでのことを狙っておられるのだろうか。また、習近平が惨敗すれば、その結果として世界というか中国について行った諸国がどうなってしまうのかと重大な問題になると思う。習近平はそこまで考えて横車を押し続けてきたのだろうか。トランプ大統領は再選される為には何処まで行こうと「アメリカファースト」で推し進められるのだろうか。世界の経済の将来がこのお二方の双肩にかかっているのだ。



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身 辺 雑 記
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19 日の東京湾岸は晴れ。
                    読者数:6001人   

                          





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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
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