政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5040 号  2019・5・10(金)

2019/05/10


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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」5040号
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        2019(令和元年)年 5月10日(金)



            混沌たる台湾の総統選挙:Andy Chang 

          郭台銘が台湾で初めて記者会見:宮崎正弘

       皇族を冷遇する学習院の悪しき体質:櫻井よしこ    
                                  
    
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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混沌たる台湾の総統選挙
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      Andy Chang 

台湾に10日ばかり滞在してアメリカに戻ってきたところで、今は時差
ボケで考えがまとまらないが、来年の台湾の総統選挙の候補者選びは
私の時差ボケと同じように混沌としている。国民党と民進黨の両方と
もに候補者の世論評価と党上層部の意向に大きな違いがある。

国民党側では党が永年育ててきた朱立倫が立候補し、国会議長を長年
務めてきた王金平も出馬を発表したので候補者が2人となった。とこ
ろが党主席の呉敦義が突然、民間の人気が最も高いのは高雄市長の韓
国瑜だから政権を取り戻すためには韓国瑜を徴用すべきだと言い出し
た。

既に立候補した2人はこのような民主制度を無視した党主席の主
張に反対である。しかも徴用される韓国瑜も出馬すると言わない。そ
のようにごたごたが続いているところへホンハイ(鴻海精密工業)の
会長郭台銘が出馬すると発表したので更に話が難しくなった。

ホンハイはアップルの下請け会社で中国大陸の数か所に工場を持ち、
百万人の雇用をしている会社である。会長の郭台銘と中国の関係が深
く、彼が当選すれば中台統一が実現する或いは中国に降参するに違い
ないと懸念する人が多い。また、現市長の韓国瑜は政治経験が無いの
に中国の支持で高雄市長に当選したと言われた男で、中国の影響が強
い台湾のメディアは韓国瑜のニュースが毎日新聞の3割を占めている。
中国がメディア操作で韓国瑜を持ち上げているのだ。

候補者が4人となれば誰が国民党の代表となるか全くわからないが、
呉敦義が強引に韓国瑜を徴用すると言い出したのにも中国の暗黙の圧
力があったと思われる。それなのになぜ同じ中国の影響が強い郭台銘
が飛び出したのかと言う疑問に対し、一説では郭台銘の出馬は韓国瑜
に反対するためと言い、一説では韓国瑜と郭台銘は両方とも中国の暗
黙の支持があると言う。つまり「2本立て」で朱立倫と王金平を下ろ
すのが目標で、韓と郭のどちらが選出されてもよいと言う。

このような状態で真相がわかるはずもないが中国の闇の干渉があるこ
とは誰が見てもわかる。台湾人候補者の王金平でさえ中国を訪問して
「先祖のルーツ訪問」をすると発表した。

しかし中国側が王金平を支持するとは思えない。メディアはともかく民間
の評判では実業家の郭台銘を好意的に見る人も少なからず居る。そのかわ
り財界と政党の支持はない。

一般台湾人の政治意識はかなり曖昧で、絶対に国民党に政権を取らせては
ならぬと考える人は半分ぐらいしかおらず、民進黨に失望したから国民党
に投票する人も少なくない。

代わって民進黨の方だが、蔡英文総統が出馬表明したけれど民間では
蔡英文支持は殆どない。去年の地方選挙で惨敗した蔡英文が続投すれ
ば再度惨敗すると言う。

蔡英文に民間は大反対だが民進黨上層部は蔡英文支持を発表した。世論調
査では国民党の候補者4人と比べて蔡英文は誰にも勝てないと発表した。
このような現状を見かねて頼清徳が出馬すると発表したが、民進黨上層部
は蔡英文支持に回ったため世論は更に悪化した。

民間では蔡英文が候補者となれば、絶対に負ける、投票しない、国民党
(誰でもいい)に投票する、などマイナスの評価である。党幹部は頼清徳
出馬に反対で、代わりに蔡頼コンビを推薦したので世論はさらに悪化し
た。海外の台湾人組織はみな頼清徳支持を表明している。

国民党と民進黨が候補者選びで混乱している上に台北市長の柯文哲が無党
派で出馬する可能性もある。柯文哲は何度も親中国的発言をしてきたので
独立派や中国を恐れる台湾人から反対されているが影の支持者も多い。柯
文哲が出れば民進黨の票を攫うので国民党に有利になると言われている。
本人は出ると言っていないが民間では彼が立候補する可能性は高いとみて
いる。

このような混沌とした状態で政見主張は殆どないが、両党ともに中国
の統一が大きな問題となる。中国が武力または経済で台湾を征服する
意図は明らかだから中国との関係が政見主張の主題となるはずだ。

民進黨は中国の台湾併呑(または中台統一)に反対で、国民党の候補
者が中台統一を推進するかも知れないと懸念している。中国は「92共
識」(中国と台湾は一つの国)を固持しているが民進黨は92共識を承
認しない。

中国べったりの韓国瑜や郭台銘が政権を取ればこれを承認するかも知れ
ない。民進黨は台湾と中国は二つの国と主張するが、蔡英文は「台湾は
中華民国」であると言い、頼清徳は台湾独立を主張している。

郭台銘は最近の記者会見で「中華民国と中華人民共和国の2つの国であ
る」、つまり台湾は中国であると主張した。台湾人は「台湾は中国では
ない」と主張しているから郭台銘の発言に反対である。

来年の選挙でもう一つの大きな政見主張となるのは自由経済特区であ
る。自由経済特区とはFTA(Free trade Area)のことで、台湾では既に馬
英九時代からこの問題を討論してきた経緯があり、ECFAまたは両岸経
済合作(Cross Straits Economic Cooperation Framework Agreement)と
して討論されてきた。だが中国がこれに介入してきたふしがある。

韓国瑜が最近、高雄市を自経区とする構想を発表したので政府は直ち
に反対を表明した。自由経済特区とはある地域を自由経済として免税
措置、物流、貿易の自由化を目指す構想で、FTAの免税措置と言えば
台湾経済に有利と思わせるが実際は免税措置が他の地域に不公平とな
り台湾の経済に有利ではない。だが自由経済で台湾人がみんな金持ち
になると言えば賛成する人も多い。

韓国瑜の主張する自経区は中国の経済陰謀の一環である。トランプが
中国に対して25%の関税措置を取り始めたから台湾で自由経済特区
を作り、中国の半製品が台湾で製品となってアメリカに輸出される。
半製品だけでなく中国の人材、機密などの台湾侵略を許すことになる。
中国の目標である台湾の経済侵略を促進するだけでなく、アメリカか
ら「中国の片割れ」と判定されたら大変だ。「台湾独立と中国統一」と
「自由経済特区」が来年の総統選挙の主題となるに違いない。

             
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郭台銘が台湾で初めて記者会見
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月7日(火曜日)
        通巻第6068号 
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訪米から帰国後、郭台銘が台湾で初めて記者会見
  「『中華民国』という正式名称を交渉の前提条件とする」
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5月6日、訪米したトランプ大統領と会見した郭台銘(鴻海精密工業・
会長)は台北市で、記者会見に臨み「北京との交渉は?」ときかれ、「先
方がまず我が国を『中華民国』と正式な名称で呼ぶことから交渉が始ま
る」と煙幕のようなことを言いだした。そのうえで「中華民国は中華人民
共和国の一部ではない」と言った。

大陸で百万人を雇用し、数ケ所に最新家工場を持ち、中国との密接な関連
から「台湾を売り飛ばすのか」と批判の強い問題に関して、郭の言い分は
「主権」に触れず、『92年合意』にも触れず、ひたすら次のように述べた。

「中国大陸においても、年次総会(創立記念日をさすらしい)では従業員
に中華民国の国歌を唱うこと、国旗を掲揚することをやってきたし、日本
でもシャープでそうしてきた」、「われわれは中国で工場を展開し利益を
上げてきたのであり、中国重視はビジネスの拡大だが、政治は異なる。先
方が中華民国という呼称をみとめることから、交渉が始まる」と不思議な
論理を展開した。

また米中対立は「台湾にとっては好機だ」とし、トランプ大統領が突然、
中国からの輸入品に10%の関税上乗せ発表を受けての追加発言をなした。

与党・民進党は、「92年合意なぞ存在しない」とする一貫した立場から、
これを前提とする中国との交渉を拒否してきたが、国民党の幹部も『主
権』に関しては譲っておらず、郭台銘の発言に批判的である。

「ああいうことを主唱して総統選挙に出馬するとなると、むしろ独立派の
支持を増やす皮肉な結果をもたらすのではないか」と国民党の選挙スペ
シャリストが分析している。

郭台銘は、ホワイトハウスでトランプ大統領からウィスコンシン州の新鋭
工場の建設の約束を守るよう強く迫られてた模様で、予定になかったウィ
スコンシン州知事との会見もこなして帰国した。

訪米中、郭台銘は『中華民国の青天白日旗とアメリカ国旗』を並列した特
注の帽子を被っていたが、中国では、この中華民国旗にぼかしを入れた映
像を流した。

郭があえて中華民国と発言した裏には、蒋介石時代から『中華民国』のな
かに、中国を含んでおり、つまり中国人民共和国は「中華民国共匪区」と
いう歴史認識で来たからである。

つまり「中華人民共和国が中華民国の一部」というニュアンスが籠められ
ている。

郭は、その一点に詭弁の基盤をおいたわけだが、マスコミの反応とは異
なって台湾財界の支持はゼロに近く、国民党内でも有力政治家、幹部らは
そっぽを向いている。この不利な状況から脱しようと、郭台銘は懸命だっ
たことが分かる。

世論調査でダントツの1位だが、組織票も国民党の指示もない、浮動票が
頼みのポピュリズムだけで、国民党はむしろ安全パイとして朱立倫擁立に
向かうとする分析もあるようだ。
      
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1890回】              
――「民國の衰亡、蓋し謂あるなり」――渡邊(2)
渡邊巳之次郎『老大國の山河 (余と朝鮮及支那)』(金尾文淵堂 大正
10年)

              ▽

世界的に認められた「民族自決主義に一致せる日韓併合」によって、朝鮮
半島には「平和と安寧と幸福と文化」とがもたらされた。

つまり「擾亂、強奪、誅求、壓制、窮苦、寒慘、薄瘠、其他あらゆる厭惡
すべき文字を以て自然と人事の總てを形容するも足らざる惡政の下に、人
心地もなく生活したる一千五百万餘萬の鮮人」を救い出し、彼らに「今日
何の點においても殆ど日本と擇ばざる太平と文化と繁榮との下に、世界五
大強國の民族として、樂しき生活を送りつゝあるに徴して明白なりといふ
べ」く、「日鮮同族の親和結合は、現代思潮の民族主義を最も完全に發揮
する所以といふべきなり」である。

 ――このような渡邊の主張を、現代の視点から批判することは容易い。こ
こでは日韓併合問題について深入りすることを避けておくが、やはり当
時、こういった主張が大阪毎日新聞で堂々と論じられていたという事実を
確認しておくに止め、渡邊の旅を急ぎたい。

鴨緑江を渡って朝鮮を離れ、中国人が営む安東県に入った。
 
車中からチラッと目にしただけだが、建物は朝鮮の街と較べ「やゝ高大に
して整然、復殆ど白衣の影を見ず、喧囂、殷賑、人亦活氣を有せるの趣あ
り」。ここから「鮮人の支人に及ばざる、一見して明らかなるを得るが如
し」。

広大な満洲で目にした人々を「其純朴の風や愛すべきものをあるを思」う
が、それがまた「支那の支那たる所以」だ。「徒に無懷氏の民尚多くして
人文の進歩なく、晝耕夜息、帝力何か我にあらんやと嘯くも、比々皆然る
の状なるを察知し得べく、彼等のため支那の爲に悲しむべきなり」と綴る。

次に渡邊は「一滿鐵職員の能く語る」ところを引用し、両民族を比較す
る。それによれば、「支那人は利に偏して氣慨乏しく、朝鮮人は意氣稍日
本人に類するものあり、必ずしも利を以て誘ふべからず、其信念の發する
所、其敵愾の迸る所、慷慨激越、斷じて非禮を受け昂然として威力に抵抗
し、得失と休戚とを問はざるもの少なからず、時に學童亦排日の理由を説
いて肯綮に當るものありといふ」とか。

奉天で渡邊は「平滑無髯の一紳士」で「言語平靜、一點矯激のところ」
のない「赤塚總領事」と面談し、滿洲問題について意見を交換している。

「日本人の朝鮮に移住して鮮人を驅逐し」たことから、「鮮人の滿洲に
入り込み支那との間に面倒な交渉の頻起するは面白からず」。だから「寧
ろ日本人の朝鮮を飛越して滿洲に移住するを可とする意見」もある。
これまで「日支葛藤の調査し來」たが、「非慨し我にあり」。「又陸軍側
に徒に威武を輝かすに偏するを非とする」――こう総領事が説いた。

総領事の説いたところが当時の外務省公式見解と言うわけではないだろう
が、それにしても我が外交最前線に在った奉天総領事が、「日支葛藤」に
関わる「非」が「慨し我にあ」るばかりか、軍事的影響力に過度に偏る陸
軍の対応を「非」としている点は注目しておきたい。

総領事の話に耳を傾けながら渡邊は、「支那政局に中心點なく、勢力相
錯綜し、一斑を以て全豹を斷じ難」いから、「一切の交渉問題、交渉の徑
路等」は「内房に私議して」こそ「平隱なる決着を得」ることができる。
「人道と正義とを標榜せる外交」という立場に立って、「鮮人移入によつ
て生ずる問題」の外交的解決を目指も外務当局にとっての障害は「陸軍の
武斷的態度」である。

だが「外交當局の微力」「自己權限の小少」という現実を前に、打つ手な
し――との『嘆き節』と受け取った。

たしかに満鉄(政府)、陸軍、外務省の3者の権限が錯綜しているだけに
満州問題解決は困難ではある。だが外交交渉当事者が泣き言を口にしてど
うする! 渡邊は怒る。《QED》
  
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★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこ 
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(読者の声1)石平さんのツィッター(5月5日)に次の内容がありました。

「連休の読書で、宮崎正弘氏の『明智光秀 五百年の孤独』を面白く読ん
だ。信長の暴走によって「易姓革命」の危機が迫ってきている中、日本の
国体を守るために義挙の軍事クーデターを敢行したという、本書の書き上
げた明智光秀像に心を打たれた。令和が始まった今こそ、読んでおくべき
一冊だ」(引用止め)。
   (X生)


(宮崎正弘のコメント)小生はツィッターをやらないので、存じませんで
した。有り難う御座います。

  ♪
(読者の声2)ちょっと古い話ですが4月21日の地方選挙です。ニューズ
ウィーク日本語版にもコラムを持っていて「歌舞伎町の案内人」を自称す
る李小牧さん、メディアの報道は派手でしたが、やっぱり落選でした。
日本に帰化しているので問題はないといえ、中国人メンテリティの人物
で、問題が多く、それが当選には結びつかなかったとは思いますが、如何
でしょう。(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)選挙当日、小生は外国にいたので、帰国後知りま
した。新宿を歩けば、いまも彼のポスターが所々の飲食店の看板に残
りますが、区議レベルの選挙はどぶ板であり、日常の活動を抜きにして、
いきなりメディアだけで突出していても、よほどの利害関係でもない限り
区議選挙には有権者は投票にいきませんから。

新宿は嘗て小生も15年ほど住んでおりましたので、1300票で当選できま
す。2票差で当落を分けた事例もあり、今回は最低ラインが1450票ほどに
ふえていますね。

新宿に住む中国人で国籍を取った人はむしろ台湾出身者が多いはずです
し、基礎票が脆弱、浮動票は都議レベル以上でないと、なかなか集まらな
いでしょう。中国からの帰化が多い埼玉県川口市あたりだと、意外に当選
していたかも。

  ♪
(読者の声3)「闘論・倒論・討論」という番組で、左翼の本質という
テーマで、未だに世界にしつこく蔓延っている共産主義について、実際に
闘っている先生方の議論を聞いて、大変参考になるところがありました。
と同時に私が前々から主張していた、マルクス主義を根本的かつ学問的に
批判し葬り去ることの必要性が共通認識として示されたことは、我が意を
得たりの思いでした。

共産主義が人類に幸福をもたらさないどころか、不幸しかもたらさない、
ということを示す事実が次々に明らかになっているのにも拘わらず、それ
と逆行する様に、堂々と共産主義を標榜し、あまつさえ世界をその一色に
染めようとの野心をもって、覇権を狙う国家が世界を揺るがせています。

それと軌を一にするように、欧米や日本などの先進諸国においても、堂々
と共産主義を謳うものはなくなった(反日本共産党を除いて)面、リベラ
ルなどと看板を挿げ替えただけの、中身は何も変わっていないマルクスを
信奉する者たちが、驚異の粘りを見せて蔓延し、人類を不幸のどん底へと
引きずり込もうとしています。何より始末い負えないところは、これらの
輩が、自分たちの方が正しい、正義だと信じ込んでいることです。

その議論の中で、そういう輩が正しいと信じ込んでいる、マルクスを学問
的に克服することの必要性が、取り沙汰されていました。
これは全くその通りだと思います。

かつて私は、この投書欄で次のような内容の投稿いたしました。

「人類は、そのマルクスの誤りが、事実的に明らかになっているにもかか
わらず、未だにその亡霊に取り憑かれたまま、克服できていない現実が
多々あります。こういう現実に、共産主義の非道や脅威ばかりをいくら並
べ立てても、共産主義を根本的に克服することは不可能です。それは何故
かと云いますと、それに替わりうる、それよりも格段に見事な、本物の理
論が出てきていないからに他なりません。つまり、人類を輝かしい未来へ
と導きうるものがないからです。しかしじつは、人類は、それをとっくの
昔に、手に入れてはいるのです。人類はマルクスの目晦ましにあって、そ
のことに気づいていないだけなのです」

マルクスが、人類に対して犯した最大の犯罪は、学問の体系化への道を切
り開いたヘーゲルを葬り去ることによって、学問の体系化に向かうべき人
類から、学問の体系化への道を奪ってしまったことです。

これによって人類は、自ら主体的に絶対精神となり、神となる道を閉ざさ
れて、いつまでも人類に主体性を奪っている乳母的な宗教を卒業できなく
なって、とうに歴史的使命を終えている宗教同士の不毛な対立に悩まされ
る一方で、唯物論的な無神論の対自のない即自の欲求丸出しの独善的共産
主義の猛威にさらされるようになってしまったのです。

マルクスは、ヘーゲルの学問的な全体と部分との相関関係論を理解でき
ず、というより観念論だと決めつけて頭から無視して、全体性である哲学
や国家・家族を否定して、部分を全体の上においた、共産党を国家の上に
置くプロレタリア独裁など、自分たちに都合の良い非学問的主張をしてい
るのです。

これは、全体性である国家を解体して、部分性に過ぎない経済権力による
世界の一元的支配を企図する金融グローバリズムと全く同じ構造です。

ところが、この非学問的なマルクスの全体ー部分論を、事実的・学問的に
真っ向から否定し、破壊する歴史を持った国が世界の中でたった一つだけ
存在します。

それがヘーゲルの学問的な全体‐部分の相関論・国家論を、ものの見事に
実践し、実現してきた、天皇を萬世一系の国家理念として仰いで、まっと
うな国造り・歴史創りをしてきた日本です。

これこそが、非学問的・形而上学的・観念論的な共産主義および金融資本
による硬直したグローバリズムに対する、強烈なアンチテーゼなのです。
だから、彼らは、日本の<全体性としての天皇>を壊そうと躍起になって
いるのです。そういう日本の国家そのものを壊さなければ、自分たちの非
が公にさらされて、世界支配はできないと分かっているからです。

そういう見事な歴史を持った日本人は、当たり前のように、対自の全体の
中の自分と、即自の自分そのものとを見事に有機的に統一した自己形成を
行ってきたので、そういう日本人が主体的に創り出す経済は、必然的に社
会全体を潤すことになるのであたかも社会主義であるかのような外観を呈
することもあります。

だからそのように評されたこともあります。これに対して、共産主義国の
作り出す経済は、俗物的で即自的な自分の利益にならないと真面目に働か
ないために破たんするしかなくなるわけです。

その違いの所以は、ヘーゲルとマルクスの人間解放論の違いに由来します。

ヘーゲルの人間解放論は、物質の歩み・生命の歩み・人類の歩みという絶
対精神の歴史的な発展性を自分のものとして、主体的に自らを絶対精神と
して神として創って、理想的な世界創造をしていくことが、すなわち人間
の解放だとしています。

これに対して、マルクスは、差別され抑圧された人間こそが人間解放の主
体だとして、抑圧者と闘って、その頸木を断ち切ることが、人間解放だと
して、差別されている者や抑圧されている者の即自的な感情をそのまま容
認して、より高次の人間性の歩みを求めないがために、即自の自己中心的
な欲求を、全体性の国家の上において、国家の秩序を乱し、自分たちが政
権を取ったあとは、その自己中心的な欲求によって、経済の破たんをきた
して失敗するというのが、マルクスの人間解放論なのです。

現在の日本は、人権の名の下に、このマルクス的な歪んだ人間解放論に
よって、せっかく日本が歴史的に創り上げてきた見事な社会性・経済性・
人間性が浸食され、破壊されつつあります。ですからこれとの闘いは、ま
さしく日本が自分を取り戻す闘いです。

そのためには、彼らの思想の根底に存在するマルクスの考え方の誤りを、
学問的に明らかにしたうえで、ヘーゲルを葬り、統一を否定して対立ばか
りを煽る誤ったマルクス主義が蔓延してしまったために、人類がどれほど
不幸のどん底に陥ってしまったかを、明らかにする必要があります。

何よりマルクス主義のとの闘いは、マルクス主義の大本であり、マルクス
が葬ったヘーゲルの学問をもって戦うのが、唯一の勝利の道であることを
強調しておきたいと思います。

さらに言えばこのヘーゲルの学問をもって、日本の歴史的な歩みの正当
性・正統性が学問的に証明されるからです。(稲村正治)

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(読者の声4)我が国の財務省が固執する緊縮財政・増税は、その一因に
財政法(第4条)の存在があるようだ。

■公債発行を禁じた財政法の規定はなぜできたの?
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-24/ftp20080424faq12_01_0.html
   ( TA生、川崎市)

     
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皇族を冷遇する学習院の悪しき体質
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           櫻井よしこ

元号は令和と改められ、新天皇が即位された。新天皇・新皇后両陛下はど
のような新しい時代を創られ、どのような天皇・皇后になろうとしてい
らっしゃるのか。

そう考えているとき、2001年3月出版のいささか古い本だが、『浩宮の感
情教育』(以下『感情教育』小坂部元秀、飛鳥新社)を勧められて読んだ。

天皇となられる方や皇族には、単に学習院卒業という学歴が求められてい
るわけではない。特別の心構え、帝王学を身につけているか否かが大事だ
といってよいだろう。果たして浩宮さまは親王時代にそのような教育を受
けられたのか、学習院とはどんな学びの場だったのか、その疑問への手掛
かりとして読んでみた。

著者の小坂部氏は1974年から97年まで学習院高等科に勤務し、76〜77年の
2年間、浩宮親王のクラスの主管(担任)を務めた。

同書の印象的な部分として学習院の父母会名簿に関する件りが序章にあ
る。30歳前後の高等科のOBが小坂部氏とざっと以下のように会話している。

「『今でも父母会名簿の1頁目には、皇室関係の在学者が並んでいるんで
すか。高等科生の中には、あのページを破り棄てていた者もありましたよ』

『ああ、相変らずですよ』と私は応えた。

『“御在学”も相変らずですか』

OBは投げ出すように問いを重ねた。

皇族については、たとえば浩宮だったら

『浩宮徳仁親王殿下 高等科第3学年御在学』と表記されていた。

『そうですよ』、私は力なくうなづ(ママ)いた」

皇族の在学者名が記された1頁目を破り捨てる。「御在学」という丁寧語
の使用に関して、小坂部氏は「そうですよ」と「力なくうなづ」く。皇室
への拒否感、嫌悪感を感じさせる件りである。

ソ連に配慮して

クラブ活動や学級活動に関連して小坂部氏はこう書いている。

「学級活動だって、彼(浩宮親王)の存在によって、目にみえる、あるい
は目にみえない制約を蒙ることになる。それらは浩宮自身にとってもまた
他のクラスメートにとっても、決して好ましいことではない」

将来の天皇が同じ空間に存在することによって自ずと生まれる緊張感は、
確かに制約となる面もあるだろう。だがそれは、生徒や教師にとって緊張
を強いるものではあっても得がたい環境として前向きの評価も出来るはず
だ。しかし、氏はこう続ける。

「それ(制約)は簡単に言えば、浩宮という存在が所与のものとして持つ
特権性によるものだった。しかもその特権性は、人間浩宮にとっては、プ
ラスにもマイナスにも働くもので、敢て言えばよりマイナスに働くものだ
と、私は思いこみはじめていた」

天皇・皇太子・親王を含む方々には特権もあるが、反対に、国民全般が当
然のものとする権利はない。職業選択の自由や政治的発言の自由はないの
である。「所与の特権」という斬り方が適切なのか。それが「人間浩宮に
とって」マイナスだと一方的に解釈できるのか。疑問である。

小坂部氏の評価からは、担任教師としての愛情や生徒に真剣に向き合って
育てようという気迫が感じられない。遊泳実習についても同様だ。学習院
高等科の生徒はグループ毎に1キロから5キロを泳ぎ切るそうだが、小坂部
氏はこう書いている。

「浩宮がこの夏どの程度の泳力だったか覚えていない。それはこの時私は
主管でもなかったためだが、おそらく特に優れても劣ってもいない、中程
度だったのだろう」

中等科の「卒業文集」で浩宮親王に触れた文章が一篇しかなかった件につ
いても小坂部氏は、「浩宮の過不足のなさ」「地味な持ち味」「特権性を
剥がせばその個性をどうとらえていいか判らず、そもそも最初から書くべ
き対象としての迫力を持っていなかったということだろう」と、突き放し
た無関心とでも言うべき評価である。ここにも、担任教師としての愛情
を、私は感じとれない。

今上陛下は敗戦によって、選りに選ってバイニング夫人という米国夫人を
家庭教師につけられた。それでも学習院ではご学友がいらした。浩宮親王
には、特別なご学友は存在しなかったらしいことが本書から読みとれる。
帝王学を教える人材もいない。これでどのようにして国民を統合する存在
に成長できるのか、学習院の存在意義が薄れるのも当然だ。

小坂部氏は『感情教育』の終章近くで「天皇と天皇制」をめぐる論議の
内、氏が最も興味を抱いている文学者の発言や文章を列挙した。その筆頭
が東京帝国大学総長で、ソ連に配慮して全面講和を主張した南原繁であ
る。南原が昭和21年12月に貴族院本会議で行った演説を、「天皇の『人間
宣言』と新憲法の公布をめぐっての」「記念碑的な演説」と持ち上げている。

冷淡と言うべき視線

南原の演説はその同じ年の1月1日に、昭和天皇が出された詔勅に関して
だ。昭和天皇は後に同詔勅で国民に伝えたかったのは、メディアが報じた
「人間宣言」という要素よりも、民主主義や自由などの善き価値観は敗戦
によって外国から教えられたと国民は思い始めているが、そうした精神は
ずっと前から日本国に根づいていて、明治天皇が発布した五箇条の御誓文
がそれであるとの主旨を語っている。南原の主張が記念碑的な立派なもの
だという評価はどう考えてもおかしい。

小坂部氏はまた、中野重治の小説『五勺の酒』は「恥ずべき天皇制の頽廃
から天皇を革命的に解放すること、そのことなしにどこに半封建性からの
国民の革命的解放があるのだろう」という発想につながると特記している。

詩人の三好達治の『天皇をめぐる人々』からは次の部分を説得力のある記
述として抽出している。

「所詮は天皇陛下なんかはどうでもいいので、天皇制が現在あるが如くに
未来永遠に存続しようと、神さまが人間に転籍なさつたお布令は出たがそ
の実際がどうであらうと将来どのように逆戻りをしようと、しまいと、一
切まづ問題に関心がない、といふのがこの国の文壇人―といふ特殊な人種
一般の心底であらう」

小坂部氏の想いが那辺にあるかが明らかになるが、氏は「あとがき」でも
書いている。「学習院高等科で浩宮のクラス担任となった時」「〈天皇
家〉という存在に、一種の異和感を抱いていた」と。

帝王学どころか、天皇陛下や皇室などどうでもいいという価値観への共鳴
が先に立つ。このように冷淡と言うべき視線の中で、間もなく即位なさる
皇太子殿下は学ばなければならなかった。非常に気の毒なことだと感じざ
るを得ない。国民全体のあたたかい気持ちで支えずして、皇室が存続する
はずはないだろ
『週刊新潮』 2019年5月2日・9日号 日本ルネッサンス 第845回

             
  
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重 要 情 報
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◎8日の大津市における散歩中の保育園児が信号待ちしているところに事
故を起こした軽自動車が突っ込んで多数の死傷者を出した事故は、「何故
多くの場合に事故車は今回のように保育園児や小学校制の列に突っ込んで
しまうのか」と、何とも言いようがない悲しい気持ちにさせられた。と言
うのも、我が家では貰い事故で命を落とした父を始めとして、時系列では
矢張り貰い事故で会社復帰に2年を要した弟、アメリカでの貰い事故で復
帰に半年かかった私という具合で、男子全員が交通事故の被害者なのであ
るから、その辛さや悲しさや苦しみが良く解るのだ。

私が呆れ果てのが、保育園側(なのか、マスコミの要求か知らないが)
が催した記者会見で、心ない記者が放った質問だった。聞き違いでなけれ
ば「散歩をさせる際にあの交差点の危険性を考慮していなかったのか」と
言っていた。あの保育士さんたちと保育園児たちは完全な貰い事故だろ
う。彼らが信号を無視して交差点内に入っていた様子などない。普通は
「この交差点では事故車が突っ込んで来るかも知れない」というように配
慮する人などいないと思う。

我が家の例を挙げれば、弟の場合は深夜に国道で反対車線から飲酒運
転、中央線突破、免許証不携帯のアメリカ人兵士の運転にぶつかられて、
助手席にいた彼がその衝撃で目の前のダッシュボードに顔面をまともにぶ
つけて生命の危機となった重症を負ったのだ。言わば「10対0」の貰い事
故で、当然全ての補償は貰ったが、彼に言わせれば「会社復帰に2年を要
した。これは金銭で済むような損害ではなかった」そうだ。貰い事故など
は予期不可能だし、避けようもないのだ。そんなことを言えば、世界中で
安心して歩いていられる場所などないことになると言いたいほど失礼千万
な質問だと思った。

私も弟も車の運転免許は取ろうとしたこともない。私の場合にはシアト
ルの郊外でお客様をご案内してホテルに入るべく左折しようと、片側3車
線の道路で一旦停止した。そこで反対側の2列のドライバーが停まって
「行け」と合図したので運転していた上司が左折した。

すると、3列目を走ってきた女性は左折車が来るとは知らずに50 kmの速度
で走ってきて、後部座席の右側に座っていた私の右側のドアに「ドカー
ン」と当たってきたのだった。この場合でも記者のあの質問は「3列目が
来るとは思っていなかったのか」と詰問しているのと同じではないか。

経験上からも言えるのだが、歩行者が交通事故の被害者になってしまう
場合には「この場所は危険だ」などと予め解っていることなどあり得ない
と思っている。ましてや、多くの幼児を散歩に連れ出す保育士さんたちは
十分に注意をされているだろう。だが、目の前で直進車と右折車が衝突し
て自分たちが信号待ちしていた場所に突っ込んで来るとまでは予知されて
いたはずはあるまいと思う。貰い事故に遭われたのは不可抗力ではなかっ
たのか。

思うにあの質問をした記者は自分で貰い事故の経験もないだけではなく、
何が何でも保育園側に責任があったかの如くに持っていきたかったのでは
ないかと疑う。実に心なき記者だと言いたい。

◎「アメリカファースト」の前には何物もないのか:前田正晶

矢張りというか何と言うべきか、中国側はトランプ大統領の10日からの
関税率を25%に引き上げるとの方針に対して、「応戦する」旨の対抗策を
公表した。この点は諸国では既に織り込み済みというか怖れていたようで
あって、株安となって現れていた。

私が以前から述べてきたことで「トランプ大統領というかアメリカが中
国を早い機会に叩いておかれることは支持する」のである。その点は華為
を5G等の関連で締め上げておかれるのにも異議は唱えない。だが、多くの
エコノミストや専門家や評論家は「アメリカの対中国の通商問題が悪化し
交渉が長引けば長引くほど、世界全体の景気と経済に悪影響を及ぼす」と
の懸念を表明していた。そして、トランプ大統領は一旦は話し合いを落ち
着かせると言ってはおられたが、今回は中国側に背信行為があったという
ことで25%への引き上げという言わば報復処置を講じられたようだ。

私はこの両国間の争いが我が国にも好ましくない影響を与えると考えてい
たので、その点を昨8日に大要下記のように表明してあった。

トランプ大統領は「アメリカファースト」というスローガンを打ち出した
以上、今後とも方針に変更がないだろう。だが、私はトランプ大統領はそ
の政策が世界全体の景気の動向や経済に如何なる影響を与えるかに何処ま
で配慮されるのか」が気懸かりなのだ。恐らく、トランプ大統領は再選を
目指している以上、公約である「貿易赤字削減」を推進し続るだろう。そ
の他にも輸出を増やせという旗も振られるだろう。しかしながら、その貿
易赤字削減は予定されたほどには進捗していないのが実体なのである。

だが、私はもしかするとトランプ大統領の赤字削減策が功を奏した時に
は、中国、メキシコ、ドイツ、我が国といったような諸国が対アメリカ輸
出が減少した結果で不況に襲われ、アメリカからの輸入を受け付けられる
ような景気を維持できていない状態になってしまっているのかも知れない
と、密かに懸念しているのだ。重ねていえば、アメリカはそこまでに思い
を致して関税率の引き上げを続行しようというのかという素朴な疑問であ
る。我が国には既に来るかも知れない景気の低迷に備えて、消費税率の
10%への引き上げの延期を提案しているエコノミスト出てきている。


先日も指摘したことだが、上記の私如きの懸念が私だけの杞憂に終わっ
て、アメリカによる中国叩きが速やかに進行していけば良いがと願っている。

◎7日に掛かりつけのクリニックでは1時間半待ちだった:前田正晶

7日は待ちかねたという思いで、長い間お世話になってきているSクリ
ニックに9時半に到着してみた、先客が多くないようにと祈りながら。だ
が、待合室を埋め尽くして大勢の人たちに一斉に「また来たか」という表
情で睨み付けられた気がした。何とか座れる隙間を見つけてから数えると
先客は13人だったので、1時間待ちでは終わるまいと覚悟を決めた。何時
ものことだが、先客の多くは後期高齢者ばかりで、S医師に語りかけられ
る時間が長く、特にご夫婦で見えている方は話が長くなるようで、中々順
番は回ってこなかった。

当方が呼ばれたのは11時15分過ぎ頃で、診察の結果は特に問題なしだっ
たが、何時もS医師が指摘される「貴方も老化したものだ」ということ
で、体力回復の注射をして頂いて会計を終わった時には11時半を回ってい
た。その時でも待合室は満員の状態であり、私の解釈では「高齢者にとっ
ては10連休が如何に残酷だったのか」となってしまう。来年はこういうこ
とがないように、安倍総理に今からでもお願いしておきたい気分だ。と言
うことは来年にも生存している心算だ。

ところがである、家内は8日に私と全く同じ到着時刻でSクリニックに
出掛けていった。その計画は11時45分の歯科医の予約には間に合うだろう
という希望的観測に基づいていた。だが、10時にもならないうちに帰って
きてしまった。聞けば「先客は2人おられたが、何れも診察を終えて薬が
出るのを待っていた模様で、待合室に座ったと同時に呼ばれたのだそう
だ。どうやら病気持ちの高齢者は皆前日のうちに診察を受けに来ておら
れ、当日まで待てなかった人ばかりだったようだ。何れにせよ、私にとっ
ては忌々しい10連休だった。

◎大津市における悲しい交通事故:前田正晶

8日の大津市における散歩中の保育園児が信号待ちしているところに事
故を起こした軽自動車が突っ込んで多数の死傷者を出した事故は、「何故
多くの場合に事故車は今回のように保育園児や小学校制の列に突っ込んで
しまうのか」と、何とも言いようがない悲しい気持ちにさせられた。と言
うのも、我が家では貰い事故で命を落とした父を始めとして、時系列では
矢張り貰い事故で会社復帰に2年を要した弟、アメリカでの貰い事故で復
帰に半年かかった私という具合で、男子全員が交通事故の被害者なのであ
るから、その辛さや悲しさや苦しみが良く分るのだ。

私が呆れ果てのが、保育園側(なのか、マスコミの要求か知らないが)が
催した記者会見で、心ない記者が放った質問だった。聞き違いでなければ
「散歩をさせる際にあの交差点の危険性を考慮していなかったのか」と
言っていた。あの保育士さんたちと保育園児たちは完全な貰い事故だろ
う。彼らが信号を無視して交差点内に入っていた様子などない。普通は
「この交差点では事故車が突っ込んで来るかも知れない」というように配
慮する人などいないと思う。

我が家の例を挙げれば、弟の場合は深夜に国道(だったと思うが)で反
対車線から飲酒運転、中央線突破、免許証不携帯のアメリカ人兵士の運転
にぶつけられて、助手席にいた彼がその衝撃で目の前のダッシュボードに
顔面をまともにぶつけて生命の危機となった重症を負ったのだ。言わば
「10対0」の貰い事故で、当然全ての補償は貰ったが、弟に言わせれば
「会社復帰に2年を要した。これは金銭で済むような損害ではなかった」
そうだ。貰い事故などは予期不可能だし、避けようもないのだ。そんなこ
とを言えば、世界中で安心して歩いていられる場所など無いことになると
言いたいほど失礼千万な質問だと思った。

私も弟も車の運転免許は取ろうとしたこともない。私の場合にはシアトル
の郊外でお客様を案内してホテルに入るべく左折しようと、片側3車線の
道路で一旦停止した。そこで反対側の2列のドライバーが止まって「行
け」と合図したので運転していた上司が左折した。すると、3列目を走っ
てきた女性は左折車が来るとは知らずに50 kmの速度で走ってきて、後部
座席の右側に座っていた私の右側のドアに「ドカーン」と当たってきたの
だった。この場合でも記者のあの質問は「3列目が来るとは思っていな
かったのか」と詰問しているのと同じではないか。

経験上からも言えるのだが、歩行者が交通事故の被害者になってしまう
場合には「この場所は危険だ」などと予め分っていることなどあり得ない
。ましてや、多くの幼児を散歩に連れ出す保育士さんたちは十分に注意を
されているだろう。だが、目の前で直進車と右折車が衝突して自分たちが
信号待ちしていた場所に突っ込んで来るとまでは予知されていたはずはあ
るまいと思う。貰い事故に遭われたのは不可抗力ではなかっ
たのか。

思うにあの質問をした記者は自分で貰い事故の経験もないだけではな
く、何が何でも保育園側に責任があったかの如くに持っていきたかったの
ではないかと疑う。実に心なき記者だと言いたい。



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身 辺 雑 記
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10 日の東京湾岸は快晴、爽快。

東京湾岸はこのところ好天が続いている。新緑は雨が欲しそうだが。

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