政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4960 号  2019.5・9(木)

2019/05/09

                                 
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わたなべ りやうじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」4960号
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        2019(平成31)年 2月19日(火)


        ファーウェイ製品の禁止を正式決定:宮崎正弘

            「検閲」を知っているか:渡部亮次郎

     北朝鮮をさらに追い詰めることが必要だ:櫻井よしこ
          
                      話 の 福 袋
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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ファーウェイ製品の禁止を正式決定
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019年)2月18日(月曜日)弐
         通巻第5995号   
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「キーウィ経済」「キーウィ・ツーリズム」を犠牲にしてもファーウェ
イ排斥

ニュージーランド政府、ファーウェイ製品の禁止を正式決定
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ニュージーランド政府も、ファーウェイ製品の前面禁止を正式決定した。

これで「ファイブ・アイズ」(英・米、豪、カナダ、NZ)加盟国はす
べて中国のファーウェイを禁止したことになる。

中国はニュージーランド(以下「NZ」)への憤懣やるかたなく、カナダ
人13名を拘束し、豪の作家を拘束したように、何かの報復手段に出るだ
ろう。すでにニュージーランド学界では、中国旅行には行かない雰囲気が
支配しているという。


1月にはオークランドを飛び立ったNZ航空機が、上海で着陸許可が出ず
に引き返すという事件が起きた。両国関係に殺伐とした空気が流れた。

NZへの観光客は年間380万人、このうちの15%の57万人が中国人 であ
り、どこへ行ってもチャイナチャイナとなっていた。今年は「中国人 観
光イヤー」とも命名され多彩な行事が予定されていた。

中国人観光客は金使いがあらく観光業界のインバウンド収入は160億ド ル
にも登るという統計がある。「キーウィ経済」とからかわれるNZから
中国への輸出は150億ドル。さらに中国人投資家による不動産投資が 15
億ドルの巨額に達している。首都のウエリントンばかりか、古都オー ク
ランドもクライストチャーチも。。。

NZにとって中国は「大事なお客様」であり、ジェンシンタ・アーデン首
相(女性)は春節にわざわざオークランドで開催された祝賀行事には出席
して両国の友好を謳ったばかりである。

ところが英国のフィリップ・ハマンド外相が北京訪問を延期したように、
アーデン首相は昨年末に予定していた中国訪問を延期した。
英もNZも、北京訪問予定を未定とし、「国家安全保障が優先する」と抽
象的なコメントでお茶を濁した。

背後にあるのは諜報機関の連携、情報を共有する「ファイブ・アイズ」
の誓いが機能しているという国際政治の舞台裏を思いおこしておく必要が
ある。NZは大英連邦の主要構成国であり、ガリポリの戦役では英国の要
請に基づき、豪軍とともにトルコへ軍隊を送った。

中国は「ファーウェイ製品にスパイ装置を施してはいない」としらけるよ
うな反論を繰り出したばかりか、NZの主要新聞すべてに全面広告を打っ
て反撃キャンペーンに乗り出した。

そのファーウェイの反論宣伝コピィ曰く
「ファーウェイなくして5Gを実現するなんて、NZなしくてラグビー大
会をするようなもの」
  
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1860回】             
 ――「劣等な民族が自滅して行くのは是非もないこつたよ」東京高商(1)
東京高等商業學校東亞倶樂部『中華三千哩』(大阪屋號書店 大正9年)

         △

東京高等商業学校(一橋大学の前身)で「日頃東亞の研究に志す者が相
集つて互に意見を交換したり先輩の講演を聞いたりしてゐる我東亞倶樂
部々員」の長年の悲願がかなったのが大正8(1919)年の夏。

「一行30名が4旬に渉つて支那を南から北へ旅行した」。「本書は即ち そ
の紀行文であつて支那が我々日本青年の目に如何に映じたかを語」つた
ものだ。

東亜倶楽部による旅行は、時期的は河東碧梧桐(1843回~53回)のほぼ1
年後であり、大町桂月(1854回〜59回)と同じ時期。であればこそ、東亜
倶楽部の若者と河東や大町ら大人との隣国事情に対する考えの違いを知る
ことができるだろう。

大人と若者という世代間の考えの違い。同じく隣国に向き合いながら、若
者の考えに時代環境の違いがどのように反映されているのか。興味深い点
から読み進んでみたいと思う。

これまで若者の紀行文としては『滿韓修學旅行記念録』(1599回〜1608
回)と『大陸修學旅行記』(1712回〜17回)を読んでいるから、この2冊
と『中華三千哩』を読み較べれば、明治末年と大正初年、それに大正8年
――清朝最末期、辛亥革命直後、さらなる混乱期――において、日本の若者が
隣国をどう捉え、どう対処しようとしていたのか。

冒頭に寄せられた東亜倶楽部に関係する東京高等商業学校の教授や先輩
からの「序」を読むことで、当時の大人の隣国に対する考え方と、若者に
寄せる彼らの『熱い期待感』が想像できるように思うので、そこら辺りか
ら当たってみたい。

「之(『中華三千哩』の草稿)を一讀するに、支那の民情を探り、風物
を描き、史蹟を訪ね、大陸的氣分を稱する處、その觀察にその行文に、概
觀的なるにもせよ、支那の實情を髣髴たらしめ、且學生的氣分の?溢し
て」いる。「刻下、列強の耳目再び東亞の天地に集注せられ、支那問題の
朝野に喧しき時に當つて、此書が一般人士殊に青年に稗?する處蓋し鮮少
ではあるまい」(法學博士 佐野善作)

「今回の戰爭で養はれた我實業上の勢力が漸次其根を張つて來たことで
第一が貿易次が海運金融紡績等の順序で發展して居る」。「地方別にする
と何と云ふても滿洲方面が第一で殆ど内地の感があり次で青島上海天津漢
口などの順で列強を壓して來て居る」。「歐米方面からも將來豫想した程
の資本が入つて來る模樣もないので今後我が實業界の充實と共に支那内地
に於ける産業の調査及事業の計畫が?盛んに我が實業家を中心して企てら
れる」。

「次ぎに拝日問題で注意すべき一事は」、「歐米の商品を扱つて居るも
のが故意にやる外は支那で相當名のある實業家や多數商人は一般に日貨排
斥の意志を眞から持つては居ないので唯學生の危害を惧れるのと民衆への
氣兼から形式的にやつて居る仕事である云ふ點である」。

だが内陸部はともかく「上海其他開港地の隆々たる發展」は凄まじく、
「その發展は大部分粗界(租界の誤りだろう)に於ける外國人の力に因る
のであるが支那人の覺醒も決して見遁かすことは出來ない」(引率者の奈
佐忠行教授)

日本は混乱の隣国に「殆ど献身的に過去の半世を消過」し、やっと「天
産物の潤澤と交通の至便とを覺知し得」た時点で、「漸く歐米列強の鷹?
虎視常に中國を離去せざるの理由を闡明し、?ち豁然會得する所あり」。
「由來東亞は東亞の天地」であり、「之を拓殖するは東洋人の天職」だか
ら、「列強の脅威干渉を許さず」。「同文同種の天縁あ」る両国は「具に
和衷共濟通工易事の本能を發揮し憂國愛民的理想に依り斷乎勇往邁進せば
列強の覬覦睥睨も毫も怖るゝに足らざるなり」。

だが、「今や中日兩國は歐米某國の惡辣煽動教唆に基く種々の猜疑に由
て、深大なる誤解を胚胎し或は又其使嗾に依る謡言蜚語の影響を受けて」
いるそうな。QED》
       
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読者の声 ☆どくしゃのこえ ★READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)「林原チャンネル」の人気番組「いわんかな」のお知らせ
です。下記の番組は既に配信されております。
 「いわんかな 〜日本の国益を考える会 」。出演はホスト堤堯(元『文
藝 春秋』編集長)、ゲストが宮崎正弘、そして出演は馬淵睦夫(元ウク
ライ ナ大使)、日下公人(エコノミスト)、高山正之(コラムニス
ト)、福島 香織(ジャーナリスト)、志方俊之(元陸将。帝京大学教
授)ほかの皆さ ん(順不同、敬称略)です。
#20-1【米中戦争2019・前編★崖っぷちの習近平・中共崩壊の序章】
https://youtu.be/p21mLKtYLpk
#20-2【米中戦争2019・後編★中国共産党建国70年、もう限界!】
https://youtu.be/YlY9PMhLKfo
(林原チャンネル)



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(読者の声2)三島由紀夫研究会の2
月の公開講座はヴルピッタ・ロマノ 先生が講演を行われます。内容以下
の通りです。



日時 平成31年2月25日(月)18時半より(18時開場)
会場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
   JR/地下鉄市ヶ谷下車2分
講師 ヴルピッタ・ロマノ氏(作家、京都産業大名誉教授)
演題 三島由紀夫に思いを寄せて〜現状を考える

(講師略歴 昭和14年(1939年)ローマ市生れ。1961年ローマ 大法学専
攻卒。東大留学を経てイタリア外務省入省、EU駐日 代表部次席代表な
ど歴任。京都産業大名誉教授。主な著書に「不敗の条 件〜保田與重郎と
世界の思潮」「ムッソリーニ〜イタリア人の物語」(何 れも中央公論
社)などがある。憂国忌発起人)
会費 会員・学生1千円(一般2千円)
    
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読 者 の 発 言
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朝鮮日報の記事はニュースでも何でもない:前田正晶

朝鮮日報は韓国の文喜相国会議長にインタビューして、「そのくらいのこ
とを言うに決まっている」と思わせるようなことを言わせて記事にしてい
た。要するに「謝らない」と言いたいようだが、私は世界広しと雖も「謝
罪の文化」が厳然として存在するのは我が国だけだと経験上も言えるの
で、文喜相国会議長が何を言おうと、そんなことが何処も珍しくもなく、
報道する価値もないと思っている。まさか、安倍総理以下は「真摯な謝
罪」を本気で期待しておられるのではないだろうな。

>引用開始
文喜相(ムン・ヒサン)韓国国会議長は17日、自身の「天皇(原文は日
王)謝罪要求」発言に対する日本側の反発について、「謝罪するつもりは
ないし、そうすることでもない」と述べた。ただし、「韓米日が一つに
なって協力すべき状況において、このような事で争い続けるのは、お互い
国益の助けにならない」とも言った。(以下略)
<引用終わる

全文を読めば「どの面下げて我が国にお説教する気か」と腹立たしくなる
だろうし、一説にある「韓国は彼らは我が国よりも一格上であると信じて
いる」は将にその通りだと思わざるを得ない。私も1971年に初めて韓国に
出張した際に、現地の日本語世代の貿易商に「日本の文化は中国に始まっ
て、それが我が半島を経て入っていたものだ。間違えても我が国の文化と
日本のそれが同じだなどと言って欲しくない」と厳しい顔で説諭されたも
のだった。70歳台と聞く文議長も同じような思考回路の持ち主なのだろう。

私は対韓国の諸々の問題点はこのような彼らの考え方を把握しておかない
ことには、四六時中憤慨していなければならなくなる。謝る訳が無いとは
思っていても「謝れ」と強硬に主張しておかない限り、彼らは鉄面皮だか
ら「日本側が沈黙しているのか自分たちの勝利」と思い込むだけのこと
だ。ではあっても「論争と対立」を怖れてはならないのだ。頼みますよ、
安倍さん、河野さん。



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「検閲」を知っているか
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      渡部 亮次郎

「夜のプラットホーム」

作詞 奥野椰子夫  作曲 服部良一 歌 二葉あき子。

敗戦後昭和22(1947)年 の流行歌だが、実は違う。昭和14年、当時は淡谷
のり子がレコードに吹き込みをしてコロムビアレコードが発売。しかし世
には出なかった。

戦後生まれの人には信じられない制度「検閲」により「発売禁止」処分と
なったからである。

1 星はままたき 夜ふかく
  なりわたる なりわたる
  プラットホームの 別れのベルよ
  さよなら さようなら
  君いつ帰る


2 ひとはちりはて ただひとり
  いつまでも いつまでも
  柱に寄りそい たたずむわたし
  さよなら さようなら
  君いつ帰る


3 窓に残した あのことば
  泣かないで 泣かないで
  瞼にやきつく さみしい笑顔
  さよなら さようなら
  君いつ帰る

昭和13(1938)年の暮、東京・新橋駅で出征兵士を見送る歓呼の声の中に、
柱の陰で密かに別れを惜しむ若妻の姿があった。我が大君(天皇)に召さ
れての名誉の出征に、妻が人前で泣く事は許される事ではなかった。

若妻にすれば旅立つ夫はもはや生きて還ることのないかも知れぬ運命であ
る。さよなら さようなら 君いつ帰る 悲痛な叫び。これを知らない最
近のアナウンサーは単なる旅立ちを何故、こんなに悲しむのかと訝る。

新橋駅でこの情景を目撃した都新聞(現東京新聞)学芸記者奥野椰子夫が
コロムビアに入社して翌昭和14年1月に作詞したのがこの歌。しかし中国
との戦時下、女々しいと「発売禁止」。

<明治維新後の日本の言論統制は,どの国にも劣らぬほど厳重なもので
あった。日本の民衆を狂気じみた超国家主義や軍国主義に導いて太平洋戦
争の悲劇を招いた原因の一つは,その強力な言論統制にあったといってよい。

満州事変以後のファシズム時代の言論統制は一段と厳しさを加え,自由主
義を含むあらゆる反ファシズム言論の息の根を止めた。

すでに最初から政府の監督下にあった日本放送協会のラジオに対する統制
を強化し,他方では用紙,フィルムなどの資材統制を武器としながら,新
聞,出版,映画,レコードなどの企業を強権的に整理統合し,全メディア
の支配権が政府に握られていった>。平凡社世界大百科事典。

国を挙げて戦っている。戦意高揚。それに反すると認められたものはすべ
て排除された。現行憲法下で育った人々には想像もつかない「国家統制」
が存在したのである。

作曲の服部良一(大阪出身)は諦めきれないと詞も題名も英訳し
「I‘m waiting」と「洋楽版」に、カムフラージュ、作曲者も
R・ハッターとして検閲を逃れた。これを知らない世代はR・ハッターを
外国人と思って捜している。

戦争が敗戦で終わり、検閲はなくなった。3度目の正直。二葉あき子歌で
ヒットしたのが昭和22年だった。

戦後、さらにヒットした高峰三枝子の「湖畔の宿」(昭和15年)も途中で
発売禁止になったが、内務省が気がついた頃は既にかなり売れた後だった。
社会思想社版「新版日本流行歌史」(中)。2008・06・22


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北朝鮮をさらに追い詰めることが必要だ
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             櫻井よしこ

「核・ミサイル・拉致問題の解決に向けて北朝鮮をさらに追い詰めること
が必要だ」



日本は春爛漫の美しい季節だ。花のあとは瑞々しい若葉を愛でる。日本列
島に住む私たちは、一人一人さまざまな課題や苦労があるにせよ、概して
幸せだと思う。

そんなことを考え、北朝鮮に捕らわれている拉致被害者を想う。横田めぐ
みさんや増元るみ子さん、有本恵子さんをはじめ800人を超える拉致被害
者は無事にすごしているだろうか。

4月から5月の北朝鮮は最も食糧が不足する。5月末からジャガイモの収穫
が始まるが、それまでに前年の穀物は食べ尽くされている。沿岸漁業権が
中国に売り渡されたために北朝鮮の漁船は遠い沖合でしか漁ができない。
油代は高く、大きな船もなく、北朝鮮の住民には満足に魚も供給されな
い。今年に入って餓死者が出始めたとの少なからぬ情報が伝わってくる中
で、2月11日、北朝鮮は国連に140万トンの食糧援助を申請済みだ。

2月末に米朝首脳会談が決裂し、それを受けての4月11日の最高人民会議
で、金正恩朝鮮労働党委員長は27回も「自力更生」の重要性を強調した。
これこそ北朝鮮の国民が最も恐れている言葉だ。それは、北朝鮮政府は国
民のための食糧を確保できないという告白であり、自力で生き延びよと国
民を突き放す宣言に他ならないからだ。

最高人民会議で発表された党人事からも、正恩氏の切羽詰まっている様子
が窺える。

首相に任命された金才竜(キム・ジェリョン)氏は慈江道(チャガンド)
県の党の責任者だった。慈江道は中朝国境に位置する軍需産業の中心地
だ。ここでかつて「慈江道の人々」という四時間の映画が製作された。
1990年代に正恩氏の父親、金正日氏の指導の下、核開発を優先する余り、
経済不振で人々がバタバタと餓死した。しかし、人民は自力更生の精神で
立ち向かい、泥を食べて飢えをしのぎ、神聖な国家防衛の軍需産業を守り
通したという政治学習用の映画だった。

その映画が製作された県の実力者が首相に任命された。それは、正恩氏が
父親と同じく、人民を飢えさせても核・ミサイル開発を続けるということ
か。かつて300万人が餓死した正日時代の「苦難の行軍」を、北朝鮮の国
民は再び迫られるということか。

正恩氏は米朝首脳会談でベトナム・ハノイに出発する直前に、労働党幹部
の政治学習で、米朝会談は成功する、5月から主食の配給が復活すると説
明させていた。朝鮮問題の専門家、西岡力氏は4月12日、インターネット
の「言論テレビ」でこう語った。

「通常、指導者の日程などは極秘にする北朝鮮で、ハノイ会談のときは出
発前から大々的に宣伝した。党の宣伝や扇動の最高責任者は正恩氏の妹の
与正氏です。彼女はトランプ米大統領との交渉に自信を持ち、米朝交渉の
過程を最初から公開したのです。ところが会談は決裂、彼女の戦略の失敗
です」

正恩氏は会談決裂後、大酒を飲み「この結果は何だ!」と不満をぶちまけ
たと、西岡氏は言う。

「正恩氏は与正氏を粛清できない。それで人事を大きく変えることはしな
かったのですが、ハノイに同行した崔善姫外務次官は国務委員に大抜擢です」

国務委員は全部で11人、正恩氏の次に位置する特権的指導者層で、異例の
出世である。しかし、正恩体制下の出世は災いの元だ。責任を取らされ、
処刑されかねない。正恩氏は与正氏は切れないが崔善姫氏なら簡単に切る
だろう。北朝鮮の幹部たちは、こんな危険は真っ平で、責任ある地位には
つかず賄賂で蓄財に励むのが一番よいと考えていると、西岡氏は語る。幹
部の蓄財に気づいている正恩氏は資金枯渇を補うために、党に献金すれば
不正蓄財の罪は問わないという指示を出した。すでに体制は崩壊している
のだ。

正恩氏が、生き残りの道は核・ミサイル・拉致の全てを解決するしかない
と悟るまで追い詰めることが必要だ。
『週刊ダイヤモンド』 2019年4月27日・5月4日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1277 

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読 者 の 声
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◎7日に掛かりつけのクリニックでは1時間半待ちだった:前田正晶

7日は待ちかねたという思いで、長い間お世話になってきているSクリ
ニックに9時半に到着してみた、先客が多くないようにと祈りながら。だ
が、待合室を埋め尽くして大勢の人たちに一斉に「また来たか」という表
情で睨み付けられた気がした。何とか座れる隙間を見つけてから数えると
先客は13人だったので、1時間待ちでは終わるまいと覚悟を決めた。何時
ものことだが、先客の多くは後期高齢者ばかりで、S医師に語りかけられ
る時間が長く、特にご夫婦で見えている方は話が長くなるようで、中々順
番は回ってこなかった。

当方が呼ばれたのは11時15分過ぎ頃で、診察の結果は特に問題なしだっ
たが、何時もS医師が指摘される「貴方も老化したものだ」ということ
で、体力回復の注射をして頂いて会計を終わった時には11時半を回ってい
た。その時でも待合室は満員の状態であり、私の解釈では「高齢者にとっ
ては10連休が如何に残酷だったのか」となってしまう。来年はこういうこ
とがないように、安倍総理に今からでもお願いしておきたい気分だ。と言
うことは来年にも生存している積リだ。

ところがである、家内は8日に私と全く同じ到着時刻でSクリニックに出
掛けていった。その計画は11時45分の歯科医の予約には間に合うだろうと
いう希望的観測に基づいていた。だが、10時にもならないうちに帰ってき
てしまった。聞けば「先客は2人おられたが、何れも診察を終えて薬が出
るのを待っていた模様で、待合室に座ったと同時に呼ばれたのだそうだ。
どうやら病気持ちの高齢者は皆昨日のうちに診察を受けに来ておられ、本
日まで待てなかった人ばかりだったようだ。何れにせよ、私にとっては
忌々しい10連休だった。

◎トランプ大統領は飽くまでも「アメリカファースト」を強力に推進して
いるのだ:前田正晶

6日夜のPrime Newsに「外務省同期」ということで3人のOBが登場した。
その1人だった田中均元審議官は「こういうことを言うのは良くないか
も」と前置きして遠慮気味に「トランプ大統領は不動産業界のみの経験で
政策を推進しておられるようで、全般的に通暁しておられるようではな
い」という意味の事述べていた。確かにそういう疑念を抱いている人は多
いと思うし、私は就任当時から「本当にご存知ないのか、あるいは何もか
もご詳細にご承知の上で知らぬ振りをしておられるのか」と述べたことが
あった。

私は特に国際的な貿易取引については、実際に経験されていなかったト
ランプ大統領はそれ故に大胆な政策を打ち出されたのだと思っている。そ
の推し進め方がやや強引であり、我がW社ジャパンOB(90歳)で私如きが
遠く及ばないアメリカの経済界やビジネス社会の文化の相違点に通暁して
おられる長老がいみじくも昨年春に「トランプ大統領は本当は何かもかも
承知でありながら、何も知らないかの如くに装っているのか、あるいは知
らぬが故の強みで未だ嘗てどの大統領にも出来なかった難題を次々に実行
しているのかが、遺憾ながらこの俺にも読み切れない」

と指摘されたように、あの独断専行で単純明快な実行力と強引とも見える
政治手法は、かえってアメリカという国の事情に精通されている人ほど読
み切れないような事態を招いているのである。私も既に指摘した「中国か
らの輸入品の関税をかけた結果で財務省にドンドンと現金が入ってきてい
る」と発言された辺りを見れば、International tradeについては良くご
存じじないようだと思うに至っている。

私は対中国の貿易赤字削減対策として関税の賦課を開始されて貿易戦争に
突入され、その先に中国をこの際徹底的に叩いておくとの作戦に打って出
られたことは歓迎すべきだし、支持すべきことだとは考えている。だが、
中国との通商交渉を開始され中国が受け入れる3月末までと期限を切られ
て迫られたにも拘わらず期限を延期されたかと思えば、今度は来たる10日
からは25%への引き上げをTwitterで表明された。これぞ英語で言う
“short notice”の中の“short notice”だと思った。

結果として世界全体に、先行きの見通しの不安さから、Twitterの直後か
ら当然のように株安が始まってしまった。しかも、関税率を引き上げてか
らでもアメリカの対中国の貿易赤字が目に見えて減少はしていないと報じ
られている。なお、UKのFinancial Timesは昨年の4月に「貿易赤字を国の
損失と看做すのは誤りだ」と批判したことは先日採り上げた。私は誰が何
と言って批判しようと、トランプ大統領が中国以外の諸国との貿易赤字削
減という公約を実現させるという旗は降ろさないと思っている。

そこに厳然としてある「アメリカファースト」というスローガンがあれ
ば、方針変更がないだろうが、私はトランプ大統領はその政策が世界全体
の景気の動向や経済に如何なる影響を与えるかに何処まで配慮されるのか
が気懸かりなのだ。恐らく、トランプ大統領は再選を目指しておられる以
上、公約である「貿易赤字削減」を推進し続けられるだろう。その他にも
輸出を増やせという旗も振られるだろう。

だが、私はもしかするとトランプ大統領の赤字削減策が功を奏した時に
は、中国、メキシコ、ドイツ、我が国といったような諸国が皆不況に沈
み、アメリカからの輸入を受け付けられるような景気を維持できていない
状態になってしまっているのかも知れないと、密かに懸念しているのだ。
英語には“I could be entirely wrong.”という表現があるが、私の懸念が
杞憂に終わることを望みたいのだ。



━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━

9日の東京湾岸は曇天。

8日の東京湾岸は快晴。
                         読者:6001人



                          


                        















-- 
渡部 亮次郎 <ryochan@polka.plala.or.jp>

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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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