政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針5018 号  2019・4・18(木)

2019/04/18

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わたなべ りや うじらう のメイル・マガジン「頂門の一針」5018号
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        2019(平成31)年 4月18日(木)



              基礎疾患に注目しよう:石岡荘十

            SONY、北京工場を閉鎖:宮崎正弘    
   
      私たちは「日本」を守り続けられるか:櫻井よしこ 

   “Out of control” とトランプ大統領は言う:前田正晶
                     
                      話 の 福 袋    
                       反     響
                      身 辺 雑 記



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基礎疾患に注目しよう
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       石岡 荘十


「基礎疾患」は医学用語で「病気の大元の原因となる疾患」と定義される。

例えば、よく言われるのが心筋梗塞や脳梗塞の基礎疾患として挙げられる
「死の四重奏」。

内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)、高血圧、高脂血症、糖尿病の4つが
揃っていることを言い、死亡率は、そうでない人に比べて30倍以上も高く
なるという調査結果がある。これにさらに喫煙習慣を加えた五つ揃い文で
「死の五重奏」という。

リンゴ型肥満というのは中高年男性の典型的な体型で、写真などで見る金
正日氏がその典型的な体型である。女性の場合は、体脂肪が引力に逆らえ
ず臀部に下がってくるので「(西洋)ナシ型肥満」ということになる。


内臓脂肪型肥満の人は動脈硬化になりすく、心臓病や脳卒中へと進んでい
くリスクが高まるからだ。

メルマガ「頂門の一針」主宰の渡部氏が治療の経緯を述べておられる。一
応、犯人は脳血栓の予防薬プレタールの副作用ということになったよう
だ。渡部氏は数十年前に禁煙を実行しておられるし、お見掛けしたとこ
ろ、内臓脂肪もそれほど大量に溜め込んでいる様子はない。しかし糖尿が
ある。

高血圧、高脂血については伺ったことはないが、もし該当するような疾患
の症状があるとすれば、末永く健筆を振るわれるためにも基礎疾患を撃退
するよう心がけて頂きたい。

一口に「撃退」といっても、そのほとんどが、長年のいわゆる生活習慣病
の結果なのでそう簡単にはいかない。例えば禁煙。簡単に決別できる人も
いるが、懲りるような事態、例えば片肺切除に追い込まれてやっと、止め
ることが出来たという友人もいる。

心臓手術は不整脈の基礎疾患だ。

筆者は、13年前、心臓の大動脈弁が機能しなくなり人工の機械弁に置換す
る手術を受けた。10歳の頃から大動脈弁がうまく閉じない障害がありなが
ら、手術までの五十余年間放置しておいた結果、心臓の筋肉が正常な人の
2倍近い厚さ(1.7ミリ)に肥厚し、弾力性を失いかかっていた。

手術後、不整脈の一つである心房細動に悩まされたのは、心臓手術によっ
て傷つけられ弾力性を失った心筋が基礎疾患となって、時々、心臓の細胞
があちこちで異常な動きを見せるためだと診断された。そこで、術後8年
目(‘07年)、心房細動の根治治療に踏み切った。

カテーテル(ビニールの細い管)を腿の付け根から差し入れて、心臓まで
押し進め、異常行動を起こす細胞を捜索・特定し、高周波で焼き切る。

カテーテル・アブレーション(電気焼妁)といわれる最先端の不整脈治療
法だ。その上、術後、何種類かの薬の服用を強いられ、辛うじて心房細動
の再発を阻止している。

心臓手術を経験すると、心房細動を起こしやすくなる。橋本龍太郎元首相
は、心臓の弁(僧帽弁)がうまく閉じなくなり、私と同じように人工の機
械弁に取り替える手術を受けた。

その3年後(‘06)、同じように心房細動を起こし、心臓で出来た血栓(血
の塊)が飛んで腸に栄養を送る動脈を詰まらせ、どんな鎮痛剤も効かない
激痛を訴えながら死亡した、といわれる。

死因は「腸管虚血を原因とする敗血症ショックによる多臓器不全」だが、
この場合の基礎疾患は心臓手術→心房細動である。しかし、いまさら手術
経験をなかったことには出来ない。

そこで、薬で心房細動を抑え込むことになるのだが、「すべての薬は毒」
である。大学の薬学部で教鞭をとっている友人は、学生にまずこのことを
教えるという。

だから種類と量の処方にはくれぐれも慎重でなくてはならないのだが、日
本では2万種類の薬が使われている。この中からピタリ鍵穴に合う一本の
鍵のような薬を処方するのは、至難の技である。

マスターキーはない。そう考えると、副作用が出ないほうがおかしいとも
いうことが出来る。私もプレタールを服用しているが、渡部氏のような副
作用は今のところない。鍵穴の型が異なるということだろう。

アメリカには「5種類以上の薬を処方する医者にはかかるな」というのが
常識だそうだが、日本では65歳以上の高齢者は平均して6種類の薬を服用
しているといわれる。

が、薬はあくまでその場しのぎの対症療法に過ぎない。その中で一番多い
のは複数種の降圧剤だ。ほとんどの降圧剤には性的機能を不能にする副作
用があることはあまり知られていない。「そのお歳でもういいでしょう」
と、医者はなめて処方しているのかもしれない。なめるな! 

基礎疾患である生活習慣病の克服こそが根治治療法であり、それができれ
ば “毒”をのまなくてよくなる理屈である。“夜明けのテント”も夢ではな
くなるかもしれない。        




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SONY、北京工場を閉鎖
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019)4月17日(水曜日)
        通巻第6044号  
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 SONY、北京工場を閉鎖。赤字1億4000万ドル
    ところが海外留学生51万人が中国へ帰国している
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中国国内に数千万人の失業がでている。未曾有の不況に突入しているのだ。

3月の全人代でも、「1100万人の失業対策」が謳われ、看板だった「2025
 中国製造」には一切言及がなかった。

大学新卒834万人にましな職場がないというのに、ここへ51万人の留学生
が蝗の大群となって帰国した。

大量失業の上に、エンジニア級の失業が拡大することになり、嘗て「海亀
組」といわれて重宝された欧米留学からの帰国組にとって、これからの職
探しは難儀を極めるだろう。職はあっても給料面でおりあうか、どうか。
げんに大学卒の初任給がレストランのホステスより安いというアンバラン
スがあちこちい報告されている。

しかし一時的にせよ、これほど大量の帰国は嘗てないことで、米国留学組
が大半だから、いまのトランプ政権のアメリカにおいて、どれほど強靱な
反中国の嵐が吹き荒れているか、如実につたわってくるではないか。
うかうか在米を続けたらスパイ容疑で拘束されるかもしれないし。

帰国組は上海、北京、広州などに散ったが、意外に多くが深センを選ん
だ。中国のシリコンバレーを目ざす深センでは、海亀組の帰国を歓迎し、
都市戸籍を取得しやすい措置を講じているためである。都市戸籍は李克強
首相がしゃかりになって推し進める都市化政策の一翼を担い、現時点で中
国の都市化率は60%を超えた。まだまだ推進の余地ありと経済政策を司る
国務院は踏む。

ところが、習近平は全人代で公言した1100万人雇用対策として、とてつも
ない反動的政策、すなわち「現代版下放」を打ち出した。
時代錯誤の極みとも言える。

文革時代の下放政策を思いおこす。知識青年を憎んだ毛沢東は、用済みと
なった紅衛兵らを「農村に学べ」と言って都会から追い払い、北京大学な
どは10年間閉鎖された。

習近平も陝西省北部の農村へ追いやられた。

1000万人学生を農村へ、と習近平が呼号する。これ、すなわち共青団つぶ
しであり、紅衛兵の再来という悪夢、しかし同時に1100万失業対策に繋が
るというわけだ。

一説には李克強イジメという見方もある。

日本企業の撤退がいよいよ本格化した。

SONYは20年間運営してきた北京工場を閉鎖する。最盛期には一万人の
従業員をかかえた組み立て工場だが、生産ラインを徐々にタイへ移動させ
てきた。

賃金の高騰で、中国では採算が取れなくなり、経常赤字はじつに1億4000
万ドル(156億円)も累積していた。工場では従業員のストライキが発生
している。

       
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1880回】               
――「『私有』と言ふ點に絶大の奸智を働かす國である」――竹内(6)
  竹内逸『支那印象記』(中央美術社 昭和2年)

                  ▽

上海旧市街にある名所の湖心亭に出掛ける。「普通の案内記には城内湖心
亭なる一項を設けて讃辭を呈してゐるが、赤裸々に支那を觀察した記述や
旅行談は等しくこれを糞味噌にやツけてゐる」。

「池は愚かドブ」であるにもかかわらず、そこに立つ東屋を湖心亭と名付
けるのだから、「有?は文飾の國、招牌の國だ。湖心亭とは勇敢だ」。そ
のうえ、「なぜか此處へ來る見物客は殘らずこの湖畔に佇んで、悠々尿す
る人間を見る約束になつてゐる」。

ここを訪れた日本人は放尿見物を訝しがる。人前の放尿を「吾々の社會道
徳觀が許さないことになる爲に土産話中の有力なる一箇條」となるが、
「支那人に言はせれば、それを見たり氣にしたりする方の人間が社會道?

を心得ない人間であると言ふ結論になる」。広い大陸でのこと。
「南北言語は通じないが、この哲學は一致してゐる」のである。

「琵琶湖や加茂川や宇治の平等院の美しい建築やに馴染みつけてゐる者」
が、「このドブの中に建つた惡趣味の湖心亭」を愛でる気になるわけがな
い。だが、そこで「一卓に肘を衝いて茶をすゝる」ことをも「支那情緒に
耽美する一箇條に數える人があるなら、その人は既に支那情緒なるものに
耽美する異國人ではなく、支那人それ自身だ」。

漢字をはじめ律令制度を含め日本の文化や社会制度の多くは一衣帯水を越
え、かの国から招来されたと説かれることが一般的だ。

この関係を地理的な近さに重ね合わせ、いつの頃からか双方の関係を一衣
帯水と表現するようになった。だが、たとえ一衣帯水であったにせよ社会
道徳の違いは歴然としている。広大な大陸国家においては「南北言語は通
じないが、この哲學は一致してゐる」のである。やはり日本とは違うので
ある。

一衣帯水の向こう側とこちら側とでは社会道徳は大いに異なる一方、余り
にもかけ離れた方言を使いながらも広い大陸とはいえ南北で哲学は一致し
ている――いったい、なにが背景となって、この違いが生まれたのか。社会
道徳やら哲学やらと大仰に言わなくても、やはり生き方、生きる姿勢、生
きる姿、生きる形(それこそが《文化》というものだろうに)の違いが起因
していると考えるべきではないか。

同じように漢字を使うが意味・用法が違う。そこで「背」を例示してみたい。

一般に日本では「背」を「暗記・暗唱する」と動詞としては使わない。だ
が一衣帯水の向こう側では「学多少背多少、外語才能進歩(暗記するほど
に外国語は進歩する)」と。同じように茶碗と箸で米を食べるが、箸の長
さ・太さ・形状も違えば持ち方も違う。茶碗の持ち方も、茶碗と口の位置
関係も違う。日本人では当たり前のお茶漬けも、彼らにとっては『超異文
化』となる。夏の盛り、冷や麦をツルツルと気持ちよく食べていると、
「それは食事か」と奇異の目で見られたことがある。ラーメン・ライスや
ら餃子・ライスやら、これまた『超異文化』だろう。
麺も餃子も、彼らにとってはおかずではないのだから。

とはいえ、あちらが正しく、こちらが間違っているわけでも、こちらが正
しく、あちらが間違っているわけでもない。ともかくも違う。その違いを
自覚することだ。

自覚して付き合うしかない。もっとも「支那情緒なるものに耽美する異國
人ではなく、支那人それ自身」になってしまったというのなら、最早、な
にを言っても無駄ではあるが。

さて湖心亭の湖畔に佇む竹内だが、その袖を引く者がいた。「贋造寶石露
店商人だ」った。かくて「然も排日氣分の濃厚な時節柄、特に城内はその
勢力範圍だと言ふことだつたから、私達は倉皇として退去することにした」。

まさに三十六計となった次第だ。

だが一度狙った客は逃さない。

「彼はまた私の袖を引いた」。値段を尋ねると小声で「八十弗」。電車が
来た。すると「彼は急に三十弗!」。「一弗だ!」。電車が近づくと「三
弗に!」。電車に飛び乗った竹内の袖を引く。電車が動く。すると「二弗
五十仙に!」・・・。《QED》
   
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこえ 
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  ♪
(読者の声1)修築工事中のノートルダム寺院が火災に見舞われたこと、
大きなニュースになりました。けれども、日本のメディアは無造作に「寺
院」と表記してますが、これはキリスト教会でしょ? なぜノートルダム
教会とは書かないのでしょうか?(TY生、名古屋)


(宮崎正弘のコメント)正しくは「ノートルダム大聖堂」でしょう。カソ
リック教会ですし、マリア信仰の本場。メディアも「大聖堂」に訂正しは
じめましたね。

コンクリート作りの尖塔が焼け落ち、消火活動でステンドグラスも大きく
損傷、唯一の救いは内部の文化財が無事だったことでした。

半世紀前に一度拝観した記憶がありますが、よほど建築思想に興味が深い
かフランス文化に惹かれる人いがい、一度みたら良いのではと不遜にも
思ったものでした。

 

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私たちは「日本」を守り続けられるか
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           櫻井よしこ

「私たちは「日本」を守り続けられるか 今こそ福澤諭吉の姿勢に学びた
い 」

春爛漫の日、新元号「令和」が発表された。出典は1200年前の『万葉集』
だ。長い歴史で初めて漢籍から離れ大和の文化から元号が生まれたことを
多くの人々が好感した。

この悦びは、古(いにしえ)の時代、私たちが中国から文字を学び、その
制度のよき点のみを取り入れて国造りをしたこと、その先に日本独自の価
値観に基づく大和の道を歩んだことを改めて認識させてくれる。

歴史の営みを振り返るとき、私たちの胸にはかつての中国への感謝と共
に、中華の文明に埋没せず、大和の道を選んだ先人たちへの敬愛の情が生
まれてくるだろう。

大和の道を最も端的に表現しているのが『万葉集』である。天皇、皇族か
ら、農民、兵士まで、階層や男女の別なく歌を詠み、それらをきちんと記
録して、再び言う、1200年以上、保持し続け、今日に至る。こんな国は他
にない。この新しい道を歩み続けて行く先に、大きな可能性が開けるので
はないか。歴史の大潮流における画期の一歩が踏み出された予感がする。

世界中が政治力学の根本的変化の中にあるいま、先人たちが大和の道を築
くことで立派な国造りを成功させたように、私たちはなれるだろうか。
「日本」を守り続けていけるだろうか。そんな想いで福澤諭吉の著作を読
み直している。約1世紀半も前、先人たちはどのように開国と政治体制の
大転換、列強諸国の脅威などの大波に立ち向かい、克服し得たのだろうか。

当時の世論形成の重要な道標を示し続けた福澤は、世界の事象を極めて具
体的かつ細かい観察眼でとらえている。事実を厳格に認識し、冷静に論
じ、事実抜きの論評はしていない。

たとえば明治12(1879)年8月に発表された『民情一新』である。明治12
年にはまだ帝国議会も開設されていない。帝国議会の誕生は明治
23(1890)年である。

福澤は書いている。

西洋との接触によって日本に「文明開化」がもたらされたと世論に流布さ
れているが、事実を把握しておかなければ大いに誤ちをおかすだろうとし
て、「西洋の理論決して深きに非ず、東洋の理論決して浅きに非ず」だ
と、明確に断じている。

そのうえで、ではなぜ、西洋の文物が「文明開化」を促すとしてもてはや
されるのかと問うている。それは西洋では文学も理論も実用に結びついて
いるからだと福澤は説く。つきつめていくと国全体に交通の便が開かれ、
人々は物理的精神的に解かれているからだと言うのだ。

「人心が一度び実用に赴くときは、その社会に行われる文学なり理論なり
は、皆、実用の範囲を脱す可らず(実用に耐えなければならない)」

福澤は冷静に洋の東西を比較し、日本が手掛けるべきことを具体的に挙げ
たのだ。具体論が基本にあるために、否定するのは難しい。『兵論』、即
ち国防論についても同様だ。

明治15(1882)年の『兵論』は立国に兵備の欠かせないことから書き出
し、列強諸国の人々、歳入、陸軍人、陸軍費、軍艦、海軍費を比較した。
当然の比較だが、福澤は単なる数字上の比較で終わっていない。

軍人1人が守る国民の数はフランスが70人、ロシア110、イタリア130、オ
ランダ57、イギリス230、ゲルマン(ドイツ)100、日本480だなどの比較
に加えて軍人の給料、それで賄いうる食事の質までも細かに論じた。日本
の兵の給与、1日6銭では「鮮魚肉類」は口にできず、肉食の多い列強諸国
や支那と較べて、日本の軍人は体力面で劣るなどと、説得力のある説明が
続く。

事実に基づいた視点は研ぎ澄まされている。このような姿勢をとりわけい
ま、学びたいと思う。
『週刊ダイヤモンド』 2019年4月13日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1275



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“Out of control” とトランプ大統領は言う
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                 前田正晶

以下は昨年の4月15日に掲載したものであるが、先ほど採り上げたばかり
の「アメリカとのTAG交渉が開始された」に関連する記述があると思うの
で、若干の訂正をした上で敢えて再度掲載したした次第だ。

中国は「貿易戦争は好まないが、やらねばならなければやる」と、トラン
プ大統領が口火を切った格好の鉄鋼とアルミへの関税問題に端を発した貿
易戦争への対応策を表明して見せた。その前にトランプ大統領は「対中国
の貿易赤字赤字は耐えがたい域に達しており制御不能(out of control
と聞こえた)だ」と断じた。Twitterではなく音声である。

簡単に私の見解を述べれば「アメリカの貿易赤字はトランプ大統領以前の
歴代の大統領の政権下で発生したもので、トランプ大統領には何らの責任
はない。いや、今更 control 出来る代物ではないと歴史的にも、経験上
も見做している。私は就任後15ヶ月も経たこの時期にトランプ大統領画素
の赤字に至った歴史をご承知ではないとは想像しがたいのだ。全てを把握
されないで “out of control” と言われのだったら大変なことだと思って
いる。

私は何度も述べてきたことで、1972年8月から1994年1月末までアメリカの
紙パルプ林産物産業界の上位5社に入る2社で、彼らの思想・信条・経営理
念・哲学を把握して、それに従ってアメリカの為に対日輸出に励んでき
た。その22年有余の経験の中で「アメリカは根本的に輸出国ではなく、国
内需要に依存した国だ」と「自国の労働事情の為に産業を空洞化せざるを
得なくなり、非耐久消費材を中国等からの輸入に依存せざるを得ない態勢
にした」と認識してきた。

その背景にはアメリカ式資本主義の下に「四半期毎の決算」を制度化し
(と言って良いのか?)短期の利益を追求した為に、新規と合理化に対す
る設備投資が立ち後れた事を挙げて良いと思う。事実、紙パルプ産業界で
は21世紀に入って廃棄した1950年代に導入したマシンをインドの製紙会社
に転売したという事実もあった。事ほど左様に製紙会社では利益が上がら
ずに設備投資に遅滞していた。これなどはほんの一例だが、設備の近代化
と合理化では中国やアジアの新興勢力に追い越されていたのは事実だ。

更に、空洞化の原因には「強くなる一方の労働組合(我が国の社内の組合
ではなく、業界横断の職能別組合である点を見逃してはならない)の賃上
げ攻勢に耐えきれず、安い労務費を求めて、南アメリカや中国や東南アジ
アの諸国に生産拠点を移していった実態」がある。但し、紙パルプや石油
化学工場のような装置産業は国内に止まっていた。オバマ大統領は空洞化
させた業種に「母国に帰れ」と呼びかけたが、応じた企業は希だった。そ
れは戻っても立地条件や労務費等に何らの明るい見通しがなかったからだ。

その空洞化以後の40年ほどの間に紙パルプ産業だけを採り上げてみても、
中国を主体とするアジアの新興勢力と南にはメキシコとブラジル等の勢力
が、後発なるが故に世界最新の最新鋭の生産設備を導入することになり、
いきなり世界最大・最新の設備を擁する一大輸出国となってしまったの
だ。しかも、中国のような膨大な(安価でもあった)若年労働力層を有す
る国では、非耐久消費材の大量生産体制も維持して繊維製品と雑貨を大量
にアメリカに供給し続けた。上記は全て、トランプ政権誕生以前のことだ。

ここで問題になることは最新鋭の世界最大級の生産設備を導入した新興勢
力はその生産能力が内需を遙かに超えた規模で、輸出に活路を求める以外
に生産を継続する手段がなかったのである。中国の製紙産業を例に挙げれ
ば、急速な設備拡張の結果その生産能力はアメリカをも遙かに凌駕して、
年産量は1億トンを超える世界最大の製紙国になってしまった。これは内
需から見れば1,000万トン以上も過剰なのである。

因みに、アメリカは7千万トンほどで2位に転落した。これでは中国は輸出
攻勢に出たのは当然だ。しかも、中国はパルプの生産能力が追い付かず、
故紙の国内発生では需要を賄うほど集荷できずに、パルプとともにアメリ
カからの輸入に依存していた時期があった。それにも拘わらず、オバマ政
権は国内のメーカーの請願を受けて、中国やインドネシア等の新興勢力か
らの印刷用紙の輸入を高率の反ダンピングと相殺関税をかけて閉め出す保
護貿易政策を採った。即ち、保護貿易政策はトランプ政権以前に始まって
いたのだった。

私は事ここに至れば、トランプ大統領が「アメリカファースト」の看板の
下に明瞭に保護貿易政策に打って出たのは不思議でも何でもないと思って
いる。赤字削減などは会社経営の経験があれば、誰でも目指すところだろ
う。だが、私はトランプ大統領がもしも何か見落としておられたことがあ
れば、それは「アメリカの労働力の質の問題」と「折角世界最高の人材を
集めてR&Dに多額の投資をして開発した世界最新鋭のアイディアの商業生
産化の技術が余りにも拙劣である点」だと認識している。

その問題点をアジアの新興勢力はICT化がアメリカを遙かに抜き去った最
新鋭の合理的な設備を活かして解消し、高能率で高品質な製品を経済的な
価格で世界の市場に送り込んできたのだから、アメリカの世界市場での競
合能力が低下していったのもまた仕方がなかったと言えると思う。この現
象もまたトランプ政権以前のことである。私はトランプ大統領の心中察す
るに余りあるとは言わないが、彼の大統領の任期中に逆転まで持って行く
のは至難の業だと見ている。

要点は「トランプ大統領が何処までアメリカの労働組合の在り方と労働力
の欠陥を認識され、改善すべき問題点に取り組まるか」である。その改善
されるべき労働者の層が、トランプ大統領の最大の支持基盤なのである。

ここで一気呵成に結論めいたことを言えば、「だからと言って、いきなり
高率の関税を賦課するといったような貿易戦争になりかねないような荒技
に打って出るのが最善の策なのだろうかという疑問である。アメリカ式の
「これを言うことで失うものはない。後は相手国の譲歩を待つだけだ」と
の作戦なのかどうかなどは、私には解らない。残された問題点は「習近平
主席は何処まで世界の貿易と自国を含めたその歴史を認識して、事に当
たったいるのか」にかかってくると思っている。

私は安倍総理が現在のアメリカと中国の間に勃発しかかっているかに見え
る貿易戦争の直ぐ脇に立たれて、如何にして我が国の利益と権益を守りき
るように17日からのトランプ大統領との会談を進めてこられるかに期待する。


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重 要 情 報
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◎TAG交渉の2日目に:前田正晶

共同通信によれば、アメリカ側は2日目に遂に「対日貿易赤字削減」を言い出したそうだ。既に指摘したように現在USTRが置かれている立場では、それを要求せざるを得ないとは予想していた。しかし、我が国の黒字は中国のそれと比較すれば少額であり、全体の数%にしか過ぎないのである。

私はアメリカ側が対アメリカ輸出を減らせと言わんばかりなのは筋が通らないと、1994年1月末までのWeyerhaeuser Japanに在職中から思っていた。やれ自動車の輸出を減らせとか何とか言う前に、自国の対日本向け輸出を如何に増やすかの努力をする方が先決問題だと言いたいのだ。その点についてはこれまでに何度も指摘したことがだ、1990年代初期には全アメリカの会社別対日輸出額の実績では、我が社がボーイング社に遙かに引き離された第2位だったのである。だが、その売上高たるや2,000億円/年前後だったのである。

永年アメリカの会社の一員として対日輸出に励んできた経験からも言えるのだが、日本市場は最終需要家も、中間に立つ総合商社を始めとする輸入業者も、需要家である製造・加工業者も受け入れ基準と品質に対する要求が非常に精密度の程度が高く且つ厳しく、更に価格に対する要求も細かいのである。紙パルプ産業界だけを捉えて言えば、国産紙の高品質に馴れた国内の需要者にはアメリカの大量生産・大量販売の紙の品質では容易に受け入れられなかったのである。

誤解なきよう申し上げておけば、我が国とアメリカとでは「品質の基準が余りにもかけ離れているので、アメリカ市場で通用する質では日本のユーザーの基準には合わないということ」であって、優劣の問題ではないということだ。簡単に言ってしまえば「文化の違い」なのである。その違いに如何にして合わせて我が国の需要家に認めさせるかが勝負の分かれ目なのだ。だが、その基準に合わせるには我が国の需要量が余りに細分化されていて、アメリカの(当時では)大量生産方式にはそこまでの小回りがきかなかったということもあった。解りやすく言えば、当時のアメリカの紙類の生産量は8,000万トン台であり、我が国では3,000万トン台に入った辺りであり、市場の規模に大きな違いがあったということだ。

ここに以前に一度採り上げたことがあるWeyerhaeuser AsiaとWeyerhaeuser Japanの社長を兼務され、日本市場での代表者を2度と合計20年近く経験され、在日アメリカ商工会議所会頭を2期勤められたWilliam Franklin氏が「日本市場における商いはしかるべく日本人同士の歴史ある強固な結びつきの下で行われているので、外国の会社がその結びつきを解いて参入するのは至難の業であると喝破していたこと」を再度申し上げておきたい。第2位になったことがある会社の代表者にして、このような見方をしていたのである。

私は経験上からも言えるのだが、我が国の需要者たちは決してアメリカの製品を頭から拒否しているのではないと思っている。但し、需要者たちは「アメリカ側に自社乃至は自国の製造基準(現実的に言えば“specifications”だが)の固執することなく、我が国の受け入れ基準に合わせてくれれば、喜んで買う」ということを心得ておいて欲しいということだ。例えば、道路の幅が狭い我が国に大型の左ハンドルの車では受け入れる先も需要者も少なかったということ。

私はトランプ大統領が50年も前の日本対アメリカの自動車貿易問題盛んなりし頃には、アメリカで日本車をハンマーで叩いて潰して見せていた事を今でも頭の中に置かれているような「日本製の自動車が数百万台も入ってきている」というような捉え方をされるのが残念でならない。輸出量は170万台程度である。アメリカで現地生産している量の半分にも満たないのだ。それだから、日本市場がアメリカの車をもっと買えというのは解るが、それならば「左ハンドルを止めるから」くらいの決意をお示しになった方が良いかと思うのだ。

ご自身でTPPから離脱されておきながら、農産物等の輸入を増やせというのは私には無理筋だと思えるのだ。デイールをお望みならば、WTOの規定に従ってパッケージで申し入れられるのが同盟国間の穏当な取引ではないのかと思う。安倍総理にしたところで、他ならぬ「ドナルド」の為ならば、一肌お脱ぎになる用意はあるだろうと察しているし、茂木担当大臣にしても円満に事を運びたいとして交渉に望まれたのかと思っている。事は「一方通行」であってはならないと思うのだ。相互に有益であって欲しいのである。

◎茂木担当大臣はライトハイザー代表に釘を刺した:前田正晶

日本時間の16日から開始されたこの交渉をTBSの「報道1930」が「日米貿
易協議が初会合」と題して採り上げていたのは、敢えてカタカナ語を使っ
て表現すれば、非常にタイムリーだった。だが、名にし負う偏向のTBSで
ありしかも関口宏の「サンデーモーニング」にも出演する松原耕二が司会
とあっては、私としても多少以上厚めのレンズの色眼鏡で見てしまうの
だった。16日夜のゲストは中部大学教授・細川昌彦氏(元通産省局長)、
早稲田大学教授の中林美恵子氏、明海大学准教授の小谷哲男氏だった。

私は事、対アメリカの貿易となれば、細川氏が元通産官僚としてだけでは
なく、テレビに登場する所謂専門家として第一人者と見ても良いと思うほ
ど評価させて頂いている。その根拠は通産省在籍中にアメリカとの交渉の
実務を担当された経験からもアメリカの手の内を熟知されているだけでは
なく、WTOの規定等にも精通されておられ常に隙がない議論を展開される
からである。昨日は私自身が「アメリカとTAGの交渉が開始された」と題
してこの件を採り上げたばかりだったので、大いなる興味を以て「報道
1930」を聞くことが出来た。

16日夜も細川氏の発言は出色だった。先ずは茂木担当大臣はライトハイ
ザー代表との通訳だけの会談で「自動車の数量規制には応じないことと、
TPPの規定以上の関税引き下げは認めない」と釘を刺された事」を指摘さ
れ、更に司会者に対して「マスコミは何かといえば対アメリカの交渉では
我が国が劣勢であるというような被害妄想に言及するが、そういうことは
ない」とズバリと言われた。私はその発言が予め合意した上でのシナリオ
通りなのか、細川氏の即興か否かは不明だが「よくぞ言って下さいまし
た」という思いで聞いた。

細川氏の指摘は「WTOの規定からすればアメリカが一方的に牛肉の関税引
き下げを要求できないのであり、要求したければパッケージでアメリカ側
で何らかの輸入品の関税を引き下げとセットになっていなければならない
のだ。その点を茂木大臣がライトハイザー代表に指摘していた。即ち、例
えばアメリカ側が自動車にかけている2.5%の関税を25年までにゼロへの
引き下げとセットにでもしなければならないのである。」という大事な点
を明らかにされたのだった。

彼は更に「アメリカは対中国の交渉を抱え、一方ではカナダとメキシコ
とのNAFTAに改定案は議会の承認を得ていないという事態を抱えて焦って
いる。即ち、トランプ大統領は再選を目指す為には貿易問題で何らか具体
的な成果を早急に挙げる必要なのである」とも述べておられた。この「ア
メリカ側には早急に成果を挙げねばならぬ焦りがある」という点では中林
教授も小谷准教授も意見が一致していた。

私の偽らざる感想では、テレビ的にはアメリカの政界と議会関連の消息
通としてのスター的存在である中林教授は貿易問題については専門外で
あって細川氏の実務経験に基づく主張に対する介添え役でしかなったとい
う印象。明海大学小谷准教授も一廉の消息通ではあるが、中林教授と同様
で対アメリカの貿易問題に関してはお呼びでないようだった。私は対アメ
リカ貿易を語るのであれば、総合商社には幾らでも実務をいやという程経
験した担当者がおられるのではないのかと思うし、アメリカ側の対日輸出
の実務を経験した幹部でも招聘すれば面白いのにとも考えていた。

私は細川氏の簡にして要を得たアメリカ側の問題点を指摘された上で、茂
木担当大臣がライトハイザー代表に冒頭に釘を刺したという事実を聞かさ
れただけでも価値ある一時だったと思って、敢えてTBSを評価している次
第だ。


◎茂木担当大臣は押し切って貰いたい:前田正晶

TAG(Trade Agreement on Goodsだったか)は実質的にアメリカ(=トラ
ンプ大統領)が我が国とのFTAの締結を目指して開始したものと解釈して
いる。「アメリカファースト」を標榜され強硬に推進されているトランプ
大統領であれば当然だろうし、公約の中で積み残しになっていた「我が国
との貿易赤字解消」があれば、放っておく訳はないと思って見てきた。そ
こに我が国のマスコミは「ライトハイザーUSTR代表は自動車の輸出制限か
関税賦課を言い出すだろう」と予測して見せている。

私はトランプ大統領もライトハイザー代表がもしも自動車について何ら
かの要求を持ち出す場合に、今日までの我が国対アメリカの自動車の輸出
入問題の歴史と実態をご存じの上でのことと考えている、いや予測したい
と思っている。私が言いたいことは「もしも言い出すのであれば、それは
誤りであるとまでは言わないが、如何にも“fair”ではないのであって、不
当でもあるのだから。以前にも報道されたが「デトロイトはトランプ政権
に対日輸出の促進や輸入制限まで請願していない」のである。現に、
フォードなどは日本市場から徹底してしまっている。

あの強力な自動車産業の組合であるUAW(United Automobile Workers)
を抱えるデトロイトでさえ、自らの至らなさを自覚しているとさえ私が推
定しているにも拘わらず、アメリカ側が日本に輸入を増やせというのは筋
が違うと思う。自国の労働力の質に問題があり、我が国の製品に対抗でき
る質の車も作れず、未だに左ハンドルの車を作っていながら、「買わない
日本が悪い」という理屈が成り立たないことをデトロイトは認めているよ
うだ。それでもライトハイザー代表が押してくるのならば「赤字削減の一
部としての交渉」であれば解らないでもない。

だが、私は問題点は「アメリカの車が我が国で売れていないのはアメリ
カ側の努力不足と怠慢であるだけで、我が国には責任はないことをトラン
プ大統領もライトハイザー代表が何処まで認識しておられるかにある」と
思っている。認識された上で何かを要求してくるのだったら、それは明ら
かに不当であると信じて疑わない。

私はアメリカの紙パルプ産業界の一員として経験してきたことの中で、
「日本とアメリカの相違点」で重要だとあらためて主張したいことは「労
働組合の違い」である。それは言うまでもないことだが、アメリかでは職
能別組合(Craft union)である事で、解りやすく言えば「会社側と組合
とは別個な組織である」点で、我が国のように「新卒で入社したものの身
分が先ず組合員から始まる」という仕組みとは大違いなのである。そこに
は、これまでに何度も指摘して来たことで、「時間給の組合員がサラリー
制でありいつ何時“You are fired.”となるかも知れない会社側に転進(出
世ではない)することは先ずない」のであり、その点が法律で保護されて
いる組合員と会社員との大きな相違点である。

私は紙パルプ産業界のことしか詳細には論じられないが、アメリカ西海
岸の組合(AWPPWだった)では英語で言う“progression job”で組合員たち
は年功序列式(勤務年数)により仕事の段階が上がっていくし、時間給も
上がっていく仕組みになっている。簡単に言えばその仕事には常に下から
上がってきた新人が何名かが従事していることになるのだ。故にと言うべ
きかそれらの新人の為にか「職場には非常に良く整備されたマニュアルが
用意されて新人たちが読めるようになっている」のである。

そこには対外的には公にはなっていないと思う2つの問題点があるの
だ。それらとは「識字率の低さ」や「英語を読みこなす力がない外国人も
含まれている」ことなのだ。その点はこれまでに繰り返して指摘して来た
1994年の元USTR代表のカーラ・ヒルズ大使が指摘されていたことである。

事、自動車についてのアメリカ国内での状況はと見れば、私の経験した
範囲内でも今世紀に入っても、市中で観察すると「なるほど、アメリカで
も未だに4ドアのセダンも作っていたのだ」と思わせてくれるほど、日本
車(アメリカ国内生産かも知れないが)、ドイツ車、韓国車等が無数に
走っているのだ。我が国内でも私がキャデラックを最後に見たのは昨年秋
に小田急線沿線の中央林間駅の近所の駐車場で見た海老茶色の車だった。
それ以外のスポーツタイプの車は見かけるが、全て堂々と左ハンドルだ。
彼らは対日輸出を強化する意志があるのかと思わせてくれる。

私はアメリカの産業界が輸出相手国の規格や基準であるとか、消費者の
趣味趣向に合わせて物を造るということよりも、「これぞ世界最高の技術
で世界最高の生産設備で造り出した世界最高の品質を誇るアメリカ製品で
ある。さー買え」と主張して販売しようとすると認識している。それが間
違っているとは思っていないが、現実には上記のように設備投資の立ち後
れと労働力の質の問題もあって我が国や新興勢力の諸国に立ち後れている
のである。貿易赤字はその為だけではないのだが、私は問題はトランプ大
統領もライトハイザー代表も何処まで現実を認識して我が国と交渉される
かにあると思う。

これまでの実績ではNAFTAは改変されたようだし、中国とは一時休止状態
でも交渉は進められていくようである。その状況下でアメリカが我が国に
対しては赤字削減という大目標の前にあっては強硬な姿勢で出てくると
思っている。私はライトハイザー代表がこれまでの我が国との貿易交渉の
実態を何処まで心得て出てくるかに興味と関心がある。彼が実態をご存じ
であろうとなかろうと、トランプ政権下にあっては強硬に出てくる以外の
選択肢はないと思うが、その点を茂木大臣が認識された上で、厳しくアメ
リカ側の問題点を衝いて譲歩させて貰いたいものだ。

私は少なくとも自動車に関しては我が国に譲歩する理由も必然性もない
と思うが、他の農産物等については何かを取り立てて論じるだけの知識も
経験もないので、成り行きを見守っていくだけだ。ここでも言えることは
「トランプ大統領が離脱を選択したTPP以上のことを譲る訳には行くまい
と思う」のだ。茂木担当大臣のご健闘を心から祈るだけだ。


実は、昨年の4月15日に「アメリカの対中国の貿易赤字に思う」と題して
ここまでの内容に関連するだろう私の見解を述べていたので、別途採り上
げてみようと思っている。


 
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身 辺 雑 記
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18日の東京湾岸は晴天。

散歩する都立猿江恩賜公園では17日、躑躅が満開で赤や白が美しい。美し
いのは花と美人だ。17日の東京湾岸は終日曇天、心が晴れなかった。夕方
の焼酎でなんとかごまかした。

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