政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4984 号  2019・3・15(金)

2019/03/15

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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」4984号
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        2019(平成31)年  3月15日(金)



         タリン海底トンネルに中国が資金:宮崎正弘
 
            「あきたこまち」の誕生:渡部亮次郎

        米朝決裂、追い詰められた金正恩:櫻井よしこ   
                       
                      話 の 福 袋
                        反     響
                      身 辺 雑 記


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タリン海底トンネルに中国が資金
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019年)3月14日(木曜日)
   通巻第6016号   
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 こんどはヘルシンキ ーー タリン海底トンネルに中国が資金
  大法螺に聞こえるのは少数、EU諸国は深刻にウォッチへ
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 フィンランドの首都ヘルシンキから対岸エストニアの首都タリンへ、海 底トンネルで繋げようという掛け声は今世紀初頭から本格化していた。

この巨大プロジェクト、まだゴーサインが出ているわけではないが、 22016年にEU委員会はフィージビリティ・スタディを開始している。実 現の可能性く一説には2025年完成という報道まだある。

だが、問題は費用の捻出とNATOの安全保障との絡みとなる。

ヘルシンキ ー タリン間に敷設が計画されている海底トンネルは50キロ から70キロ。ルートによって距離が異なる。ちなみに青函トンネルは53・ 9キロ。ドーバー海峡の海底トンネルは50・5キロ(海底部分では青函ト ンネルより長い)。技術的には難しい工事ではない。中国の港珠澳大橋は 全長55キロに及ぶが、海底トンエル部分は23キロだ。

EU諸国とて景気浮揚のための公共投資、土木工事の必要は認めており、 とくにバルト3国の経済活性化は喫緊の課題である。

この世紀のプロジェクトをファイナンスしようとする財団に、中国が突如 擦り寄ってきた。「建設資金のうち、1500万ユーロ(米ドルで1690万ド ル)を出資したい」というのだ。

この噂話は、ヘルシンキの中国大使館も知らないところで拡がり、フィン ランド外務省は預かり知らないと案件に関するコメントを避けている (ジェイムズタウン財団、ユーラシア・ディリー、2019年3月12日)。
何が出てくるか?
     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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閉塞感が漂い、鎖国状態にあった日本人に与えた一種の羨望と衝撃
 兼高かおるの処女作、みずみずしい世界旅行記が甦った

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兼高かおる『世界とびある記』(ビジネス社)
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 一世を風靡した兼高かおるの「世界の旅」。

彼女の著作のうち2点ほど新潮文庫に入っている。本書は1959年に上梓さ れた兼高かおるの記念すべき処女作の復刻である。

当時、閉塞感が強く、事実上の鎖国状態にあった日本人にこの著作が与え た一種の羨望と衝撃は甚大だった。女性一人で世界の危険地帯に飛びこむ のだ。彼女を囲む狭い社交界では「東京ローズ」という渾名もあった。

兼高かおる女史とは故・藤島泰輔氏の紹介で何回か会ったことがある。古 き良き時代の淑女だが、反面でお転婆。そして活発で活動的な大和撫子 だった。

評者(宮崎)の中学生時代、小田実の『何でも見てやろう』が大ベストセ ラーだった。同時にミッキー安川の『ふうらい坊留学記』があり、海外雄 飛に憧れた。まだ日本人の海外渡航は制限されていて、1964年の東京五輪 前後にようやく自由化された。

だが当時の旅行費用はべらぼうに高く、また一ドルは360円、闇では1ド ルが500円だった。富裕階級の人しか、海外旅行に出かけられず、代替に 著名人等の紀行文をむさぼるように読んだ。

 一生に一度でも海外に出る機会があるのだろうか、と漠然と考えていた のが、当時の時代環境だったのである。

さて本書にでてくる兼高女史の最初の雄飛先はハワイ、それから米国本土 留学だった。

帰国後、海外ドキュメントの仕事が入り、台湾、香港、澳門、フィリピン などを取材するのが、本書の主要部分で、当時の風景、裏街の表情にも、 そこで暮らしている人々にも現代とは隔世の感がある。

 評者が最初に香港へ行ったのは半世紀ほど前、啓徳空港をでると、むっ と現地の臭いが鼻をついて、体臭と料理の臭気が濃き混ざって吐き気を催 すほどだった。街は不潔で塵だらけ、ホテルのシャワーを浴びて、ホット した。どの家にもエアコンは装備されておらず、人々は半裸で夕涼みをし ていた。屋台における牛肉麺、その異臭。油のような顔つき、サンダルか 裸足であった。

台湾へ行くにも大所帯の荷物、羽田空港には大勢が見送りにきた時代だっ た。飛行場で壮行会などもよくおこなわれた。

 彼女は台湾印象期を次のように書いた。

「私は台北の街を縦横に走る輪タクに乗る。そしておよそ前時代的なこの 乗り物に乗って自転車のペタルを汗流して踏む運転手と話をしながら、の んびり街を見て歩く」。

 そうだった。人力車が主流で、台北の街は平屋建て、トタン屋根、屋台 村。高い建築物といえば日本時代の総統府、迎賓館くらいしかなかったのだ。

ところで本書は復刻版だが、初版に序文を寄せている人をみて、驚きの声 を挙げた。三島由紀夫だったからである


三島はこう推薦の辞をこう述べている。

「兼高さんが無頼飛びきりの美人であることは前から知っていた。しかし 早周りの世界一周で有名になった兼高さんと、同一人物であることには、 すぐ気がつかなかった。それほどに男というものは盲目なもので、美女に 対しては、その内(うち)に隠された才能や行動力や智恵などが、なかな か見えてこないのである。彼女の美貌に目をくらまされず、直にその美し い才知にまず接することのできるこの本の読者は、しかし果たして幸福だ ろうか、不幸だろうか」。
 原始的冒険心と浪漫的情感に溢れた本書を再読して、評者はもちろん、 幸福な時間、というより懐古の時を過ごした。 
          
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 読者の声 READERS‘ OPINIONS どくしゃのこえ 読
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(読者の声1) 日本の海洋(排他的経済水域EEZ)は世界6位の面積であ り、中国のそれより広い。中国は本来大陸国家であるにも拘わらず南シナ 海を領有化し太平洋分割論まで出して海洋進出に執着している。また韓国 は日本海を東海と呼称するよう国連に提起したりしている。

近年、中国そして韓国も異常なほど海軍力増強に力を注いでいる。日本の 海洋波高しと云えます。3月の例会下記の通りです。事前申し込み下さい。
             記

1.日時:平成31年3月23日(土) 14:00―17:00
2.内容:1400  講演 :東海大学海洋学部 教授 山田吉彦 先生
        テーマ: 「日本の海洋権益」
       1620 懇親会
3.場所:たかつガーデン(大阪府教育会館)3F 「ローズ」会議室
TEL:06(6768)3911 〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町7番1号
    (地下鉄千日前線(又は谷町線)谷 町9丁目下車北東へ5分
4.会費:4,500円程度(懇親会費を含む。講演のみは1,500 円)ただ し、学生は無料
5.主催: 弘志会 幹事 福井成範 fukuima@tree.odn.ne.jp
TEL090-3090-5452

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(読者の声2)維新の会が提言している「大阪都(現行)案」は無内容な 愚論、暴論だと私は考えるが、橋下前市長が実施したものに「区長公募 制」があった。

その後、この「成果」についての検証は行われているのだろうか。
また、制度が継続されているのだろうか。

この制度により誕生した「公募区長」なる方々の提言を見ると、公用車が 無いのはけしからぬと宣うた方、自転車を減らし電気代を節約すると宣言 した方、登校拒否対策として区長が直接相談に乗ると言った方、区長室を 1階に移して区民と対話すると言う方、その提言は、私には「政策」には 勿論のこと、思い付きにさえも値しないレベルとしか感じられないものば かりであった。

この程度の「政策」を実施するために、1千万円を超える年棒で区長を公 募する意味があったのだろうか。

しかもこんな連中では実務(区の業務は、戸籍関係など定型的ながら適正 さが要求されるもの生活保護などかなり困難な窓口業務等が多いはず)が 動くわけもないから、結局は、従来の区長クラスを副区長として置いただ けではなかったか。人件費の無駄以外の何物でもない。

橋下前市長を称賛する向きもあるが、水道事業民営化案の討議資料を読む と、経営論においても、法律論においてさえも、実に杜撰で軽い思考しか できない人物であることが分かる。小泉、小池などとともに典型的な衆愚 政治家であるように私には思える。

郵政民営化PRの主たるターゲットがB級国民であったというように、世 の中では「改革」と称されていると、その実質も分からずに飛びついてし まう愚かな方々が多すぎる。(CAM)


(宮崎正弘のコメント)しょせん、民主主義とは下克上のことであり、ポ ピュリズムとは衆愚政治でしょう。理想は賢人政治、アリストテレス、ソ クラテス、プラトンの時代に、一度は実現した理想社会も、貝殻追放を もって終わりました。

「最大多数の最大幸福」というデモクラシーの制度を悪用しているのが、 欧州の鼻持ちならぬエリート主義、そして乱暴な多数決原理 (WINNER TAKES ALL)を突っ走る米国ということになり ますか。

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(読者の声3)貴誌前号の書評(渡部昇一『古事記の読み方』、WAC文 庫)の中で紹介されている魯迅の孫の話は、じつに面白いですね。中国共 産党の本質がよくわかります。

宮崎さんが魯迅の孫の台湾亡命直後にまっさきにインタビューに行かれた とは、しりませんでした。あの頃から行動力があったのですねぇ。

我々が歴史で習った中国共産党の歴史で創始者だった陳独秀の名前が見え なくなったと思っていたら、そういうことだったのですが。まるで写真を 入れ替えるように歴史を変えてしまうわけで、呆然となります。
   (AT生、杉並)



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「あきたこまち」の誕生
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      渡部 亮次郎

郷里の秋田県産の米「あきたこまち」が届けられ、コメの美味しさを堪能 した。新米が早く食べたいと、南国の早稲を買っていたが、
比べるのもおかしいぐらい秋田産が美味い。

「あきたこまち」の食味について公的食味試験機関「日本穀物検定協会」 1984年11月の総合評価は「0・944」。これは新潟県産「コシヒカリ」「0・ 7〜0・8」、同「ササニシキ」は「0・5〜0・6」を大きく上回るものだった。

穀物検査官は「『あきたこまち』の高い数値はこれまで出たことがなかっ た」と評した。これを契機にマスコミや流通業界の関心が高まり、とくに 県外における知名度向上に弾みがつき29年の歴史が流れた。

29年前の1984年9月7日に秋田県品種対策協議会を開催し、県農業試験場 が作り出した「秋田31号」を奨励品種に採用することを決定した。

同日、知事が県農協中央会長、県農業試験場長同席のもと記者会見を行 い、品種名を「あきたこまち」と命名し奨励品種に採用したことを発表した。

命名の由来は、秋田県雄勝町に生まれとされる美人の誉れ高い平安時代の 歌人「小野小町」にちなみ、秋田で育成した美味しい米として、末永く愛 されるように願いを込めた。

「あきたこまち」は、母親の「コシヒカリ」から良食味性を、父親の「奥 羽292号」から早熟性を受け継いでいる。このことから、寒冷地北部でも 新潟の「コシヒカリ」並の良食味米栽培が可能となり、倒伏や「いもち」 病に対する抵抗性も「コシヒカリ」以上の特性を持っている。

さらに、炊飯すると米粒に美しい光沢と粘りがあり、食味に関する特性は 申し分がなかった。

米どころ秋田県とは言いながら10a(1反歩=300坪)当たり平均収量は、 戦前(1945年以前)の200?台から1950年頃には350?台に急増。

その後、1955(昭和30)年は450?、1965(昭和40)年には550?と大幅な伸び を示した。この要因は、戦後の食糧難時代に、農地解放に伴う生産者の増 産意欲の高揚とともに、保温折衷苗代、三早栽培(早播き、早植え、早刈 り)などの普及及び県の増産運動「健康な稲作り運動」と相まって、全県 民的な普及によって助長された。

こうした技術開発と多収品種の導入により1976年、1977年、
1980年には「単収日本一」となり全国で最も安定多収県として位置づけら れた。また、全国の多収穫競作会では秋田県から「米作日本一」が続出す るなど、多収技術が開花した時代であった。

しかし1970年代に入ると、全国的に米の生産過剰となり生産調整が始まっ た。秋田県も政府米の在庫を抱えながら、多収栽培から脱却できない産地 であった。つまり、多収栽培を行うのではなく量より質、消費者に喜ばれ る、売れる米づくりへと転換せざるを得なかった。

このような背景から、1974年に秋田県農協中央会が水稲育種事業の実施を 県に要請し、翌年に県が水稲育種事業の開始(再開)を決定した。

つまり秋田県では1913年から1941年までの25年間、交雑育種を手掛けて育 成したが、その後中断していたのだ。1977年の福井県農業試験場へ調査・ 享受の折、同場で75年に交配した「コシヒカリ」(母)×奥羽292号(父)の 「福交60−6」のF2種子1株を譲り受けた。

譲受けた「福交60−6」は、1981年に系統選抜4年目(F6)を迎え、系統 名(地方番号)を「秋田31号」と命名した。1983年には系統選抜6年目 (F8)を迎え、1群8系統の栽植し2系統20株を選抜し育成段階を終了した。

当時「コシヒカリ」は育成して約30年になっていたが、それまで「コシヒ カリ」を親に交配した品種を奨励品種に採用した事例がなく、「秋田31 号」が最初の品種であった。

しかも、「コシヒカリ」の欠点である耐病性、耐倒伏性、収量性を改善し た早生品種で、食味は「コシヒカリ」を上回った。

県農協中央会と農協経済連が「美人を育てる秋田米」のキャッチフレーズ を発表し、秋田県初の水稲新品種誕生に花を添えた。

県外出荷が開始された「あきたこまち」は、新品種?類の中で破格の仮渡 し金60Kg20,133円の高値で取引された。また、キャンペンガール「こまち 娘」が誕生し、市女傘を身につけた平安朝の姿と、秋田で育成した美味し い米「あきたこまち」として大いに印象づけた。

出典:秋田県農林水産技術センター農業試験場次長 児玉 徹 氏作成の資料。



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米朝決裂、追い詰められた金正恩
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         櫻井よしこ

2月28日、ベトナムの首都ハノイで米朝首脳会談が決裂した。北朝鮮の大 いなる誤算による決裂を、わが国の拉致問題解決の糸口にするには何をす べきか。首脳会談初日から2日目朝まで、うまくいっていた会談が突然決 裂したのは何故か。

3月1日夜、私は「言論テレビ」特別番組で、前防衛大臣で自民党安全保障 調査会会長の小野寺五典氏、朝鮮問題で第一線をひた走る「国家基本問題 研究所」研究員の西岡力氏、気鋭の作家である門田隆将氏、毎号完売の実 績を続ける「月刊Hanada」編集長の花田紀凱氏と共に、大いに語っ た。決裂の主因を小野寺氏が喝破した。

「金正恩氏がトランプ氏を甘く見ていたのです。両氏はハノイ到着後の27 日に短いテタテ(一対一の会談)をし、その後夕食会に臨んでいます。翌 朝、再びテタテをした。その時点まで金氏は、トランプ氏を経済制裁解除 に導けると読んでいたと思われます。ところがその後に人数をふやして会 議に入った。そこから雰囲気が変わったのです」

全体会議の写真には、米国側にトランプ大統領、ポンペオ国務長官らと共 に、国家安全保障問題担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏の姿があ る。小野寺氏が続けた。

「それまで参加していなかったボルトン氏が交渉の席に入ったことが、ト ランプ氏の『急いでやるより正しくやる方がずっといい』というコメント につながったのだと思います」

ボルトン氏はブッシュ政権で国務次官として国家安全保障及び軍備管理を 担当、リビアの大量破壊兵器の放棄を実行した。国連大使を務め、拉致問 題にも理解が深い。氏は核、ウラン濃縮、ミサイル開発などの専門家で、 それだけに北朝鮮に騙されはしない。また、原則を重視し、希望的観測に 基づく安易な妥協を嫌う、米国保守派の中核的存在と言ってよい。

ボルトン氏の出席が米国側の原則堅持の姿勢を強めたとして、首脳会談決 裂の具体的理由は何か。トランプ氏は28日午後2時(現地時間)からの記 者会見で、北朝鮮は寧辺の核施設破壊の見返りに、経済制裁の全面解除を 求めた、それは受け入れられない条件だったと述べている。

異例の会見

同会見から約10時間後、未明の0時43分に、北朝鮮の李容浩外相と崔善姫 外務次官が茫然自失の体で異例の会見に臨んだ。

「我々が要求したのは全面的制裁解除ではなく、一部の解除だ。国連制裁 決議11件の内、2016年から17年に決定された5件で、民需経済と人民生活 に支障をきたすものだけだ」と、李氏は説明した。

同じ会談にいた片方の国の大統領と、もう一方の国の外相が異なる主張を する。正しいのはどちらかと迷うのは当然だが、ある意味、両方共、正し いのだ。西岡氏が説明した。

「国連制裁決議は李氏の言うように11項目にわたります。最初の頃の制裁 は、北朝鮮への贅沢品の輸出禁止などで金王朝にとって痛くも痒くもな い。鮪でも高級車でも金一家は手に入れていました。いま彼らを追い詰め ているのは17年に決定された制裁です。これで輸出の9割までが止められ ました。だから、これらを解除せよというのは実質的に全て解除せよとい うことなのです」

17年に採択された制裁の骨子は?石炭・海産物の全面輸出禁止、?繊維製品 の輸出禁止、?加盟国による北朝鮮労働者受け入れの禁止である。北朝鮮 の主要輸出品目が全て禁輸となった。制裁違反の国や企業は、米国の第二 次制裁の対象として米銀行との取引停止などの処分を受けかねない。

中露も賛成せざるを得なかったこれらの制裁の結果、北朝鮮の輸出総額は 29億ドル(3190億円)から4億ドル(440億円)に減少した。それがどれ 程の痛手か、制裁は効いていないとして強気で通してきた北朝鮮が遂に2 月21日、国連に人道支援を求めたことからも明らかだ。

明らかに金氏は、寧辺の核兵器製造施設の恒久的破壊でトランプ氏が満足 すると考えていた。だが、米国を甘く見ていた金氏を震えあがらせるよう なことをトランプ氏が語っている。

「我々は北朝鮮を1インチ単位でくまなく知っている。必要なことはやっ てもらわなければならない」「まだ知られていないことで我々が掴んでい ることがある」

記者が、2か所目のウラン濃縮施設以外にもあるということかと尋ねる と、「その通りだ」、「我々は多数のことを取り上げた。彼らは我々がそ んなことまで知っているのかと驚いたと思う」と答えた。

「木を森の中に隠した」

「言論テレビ」で西岡氏が明らかにした情報も、トランプ氏の自信を支え る米国の情報力の一端を示している。

「米国を含む西側の情報機関は濃縮ウラニウムの設備として、3か所を 疑っていました。原子炉はなかなか地下ではできませんが、濃縮ウラニウ ムの製造には電気があればよいので、衛星写真で見つかりにくい地下に作 るはずだと考えたのです。そこで西側情報機関は疑わしい3か所の砂や土 を取らせて分析した。しかし、何も兆候はない。周辺の住民にそれらしい 怪しいことを言わせていたのですが、全てダミーだったのです。

ところが、平壌に近い地上の製鉄所の建物群の中に濃縮施設があることを 米国はつきとめました。降仙の千里馬製鉄所内です」

衛星写真に写る製鉄所の敷地に何気ない建物がひとつ増えた。北朝鮮は 「木を森の中に隠した」のだ。それでも米国はこの中で何がなされている かを正確につきとめた。

「ヒューミント(人的諜報)を持っているのです。地下工場だと疑った3 か所の土や砂を運び出させて分析し、ダミーだと判断できたのも、ヒュー ミントゆえです」と西岡氏。

まんまと欺きおおせたと考えていたであろう金氏の耳に届くのを意識し て、トランプ氏は、先述のように、まだ公にされていない施設を米国は掴 んでいると語ったのだ。金氏にとってどれ程の恐怖だったか。

「時間は間違いなく北朝鮮に不利に働きます。中国の支援を受けることも 容易でない。習近平氏の中国は、貿易や先端技術問題で米国から尋常なら ざる圧力を受けており、米国に非常に気を遣わなければならない局面で す。北朝鮮は、あまり擦り寄ってこられても困る厄介な存在になっている と思います」と小野寺氏。

金氏は習氏に会わずに帰国した。そうした状況下で金氏が米国との対決に 向かえば命取りになる。

金氏の選択肢は限られている。米国と平和裡に交渉を行い非核化を進める こと、拉致被害者の即時一括帰国を実現して日本の経済援助を受けること だ。日本は米国と共に、結果が出なければ制裁解除なし、という堅い路線 を続けることが大事だ。
『週刊新潮』 2019年3月14日号 日本ルネッサンス 第843回


         
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読 者 の 発 言
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 ◎スポーツ界にも春が来るようで:前田正晶

プロ野球:

12日だったか偶然に合わせたチャンネルでソフトバンク対読売のオープン戦を中継していた。何となく長い間野球を見ていなかったような気がした。読売はドラフト1位指名の八戸学院大学出身の高橋優貴という投手に投げさせていた。確か外れ位の投手だったと記憶するが、体も小さく未だ未だプロでローテーションに入れるようなタマではないとしか思えなかった。

この頃のオープン戦ではお試し期間中だから出られると思わせる選手が多く、余り見るべきものがない試合だった。この試合での出来事だったかどうか確認していないが、興味深い現象があった。それはソフトバンクがモイネロという確かキューバから来た投手を出した時にコーチがマウンドに走っていって投手交代ではなく「帽子交代」させたことだった。何故かと言えば、ソフトバンクには昨年まで話題の華為がスポンサーについていたようで、帽子にあのロゴマークがついていた。だが、今シーズンはそのロゴマークを外していたのに、モイネロは気が付かずに昨シーズンの帽子をかぶっていたのだった。確かに不味いことだっただろう。

他に気になっていることは、マスコミの甲子園を湧かせた高卒の新人を持ち上げ過ぎる点である。既に指摘したことだが、オープン戦での新人だろうと既製の戦力だろうと、その出来不出来を褒め称えても論っても余り意味がないのだ。それは前評判が高い打者には「聞いてみる」という意味で「どの球種で、どのサイドだったら打てるのか」と試してみる期間なので、フリーバッテイングで柵越えを何本打ったかということと同じくらいに意味がないのだ。

そういう意味では大阪桐蔭から中日に入った根尾、同じくロッテに行った藤原、金足農高から日本ハム入りした吉田などを如何にもシーズンともなれば一軍で大活躍するだろうというような報道は無意味だと思って見ている。一昨年鳴り物入りでプロに入った連中で一軍に何人残っているかを考えれば解ることだ。私は吉田君はあの制球力では未だ一軍で使うのは無理だと思っているし、根尾君にしても京田を抜いてポジションを取れる域には達していないとみている。

大坂なおみ:

私は4大タイトルのうちの二つを連取してランキングで世界第1位になったとは言え、大坂なおみは未だ安定した実力がついていないと思わせてくれていると思って見ている。極論を言えば、あの2連覇は「出会い頭の出来事では」と疑っているという意味だ。確かにサーブのスピードやラインギリギリに打ち込む鋭さは並の選手ではないと私にも解る素晴らしさがある。だが、未だ不安定だし、精神的な脆さも見えるし、経験不足は否めないと思うのだ。そういう意味では「日本人として類い希なる将来性に期待したい」逸材であろうと思う。

バスケットボール:

未だ未だBリーグの熱心なファンにはなっていないが、偶にチャンネルが合えば興味深く見ている。その都度思うことは「川淵三郎氏は偉いな」という点だ。毎試合の集客力と熱心なファンが地元テイームを懸命に応援している様は「大したものだ」と感心している。それに日本人の選手たちは身長が高い者が増えたことにもよるのだろうが、NBAに行っても通用するかもと思わせてくれる上手いプレーヤーが増えてきたことは褒め称えても良いと思う。W杯出場権を取ったことも賞賛に値する。


女子レスリン:

週刊誌の報道によれば(野党のような言い方をお許しを)、協会は未だに伊調馨に意地悪をしているようである。これが事実ならば「何と言うことをするのか」と一喝したくもなるし、川淵氏に協会長就任を依頼したらどうかなどと言ってみたくなる。だが、この件の報道では常に「協会が悪で伊調馨は善」というのが気になる。協会側があのような態度を取る裏には、伊調馨側に何らかの問題があったからではないかと思わせてくれる。この件は何れに非があるかどうかな別にして、可及的速やかに善処させるべきではないのか。




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身 辺 雑 記
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15日の東京湾岸は快晴。午後に定期検診のため、大学病院に行く。


                          読者:5587人


                           



                          


                        














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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: 97 点   

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