政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4977 号  2019・3・8(金)

2019/03/08

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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」4977号
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        2019(平成31)年 3月8日(金)



「拉致:朝鮮半島の闇、日本の闇」第24章:“シーチン”修一 2.0

            パキスタン政界に衝撃:宮崎正弘
        
           世界は本当に変わるぞ:櫻井よしこ
                            
                    話 の 福 袋
                     反     響
                    身 辺 雑 記


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「拉致:朝鮮半島の闇、日本の闇」第24章
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        “シーチン”修一 2.0

ヨタヨタと散歩していたら、春の静かな、遠慮がちな訪れを見つけた。

可愛い黄色の花をつけたカタバミ、蝋梅、紅梅、白梅、さらに紅白ミック スのしだれ梅、緑化センターではクリスマスローズやスミレなど多彩な 花々、温室にはコバルトブルーのヒスイカズラが女王様然として目を引 く。町会の花壇には感動的な菜の花がいっぱい、桜並木のつぼみは日々膨 れ始めた。

小生の屋上庭園にはいろいろな小鳥が来るが、餌を食べて小生の無聊を慰 めてくれる鳥として初めてツグミ、アカハラ、ムクドリが来た。ウグイス は「わたし、こんなもの好かないわ」とすぐに消えてしまったが、木の実 が好みのようだ。ツグミはつがいで薄ピンクの花をおいしそうにパクパク 食べてしまったが、そのうち小生も味見をしてみよう。

スズメたちは、ツグミなど鋭いくちばしの大きな体の新参者を歓迎はしな いが、恐れずに一緒に食べている。肉食で残酷なモズは見かけただけで50 羽のスズメが一斉に逃げる。ザーッというすごい羽音で、文字通りの一目 散だ。遅れたのか賢いのかは分からないが、草木やプランターの陰に隠れ る奴もいる。

モズは標的に向かって凄い速さで一直線に向かってくる。まるで矢のよ う、弾道ミサイルだ。ほとんど攻撃力のないスズメは三十六計逃げるにし かずだが、実に小回りが良く、パッと身をひるがえしてモズの攻撃をかわ すのだ。鳥の中で恐らくスズメは一番繁殖しているだろうが、この類を見 ないほどの「小回り力」が大いなる武器になっているのかもしれない。

韓国はモズのような北の攻撃圧力を、カネとスマイルでかわしている。ヤ クザに殺されたり暴れられたくなければミカジメ料を払って、へらへらす るのと同じだ。昔から強い者とは喧嘩をしない、三跪九叩頭の朝貢外交で 圧力をかわしてきたのだから、カネとスマイルでその場の緊張が解ければ いいのだろう。

日米が「暴排条例を守れ」といくら言ったところで、スズメに「逃げてば かりいないで戦え」と言うようなものだ。

スズメは可愛いが、まったくキンバエのような韓国からすればこう反論す るだろう。

「余計なお世話や! うちは『長い物には巻かれろ』でずっとやってきた んやで。相手が弱ったらすかさず豹変して掠奪、強姦、傷害、殺害するの がうちの伝統的なやり方や。ま、日本には舌戦、脅し、レーダー照射で嫌 がらせをしておるレベルやけどな、そのうちに南北共同で叩き潰してやる で。それは国民感情法で決められている国民の正義、義務でな、国民感情 法はすべての法律、条約を上回る最高法やねん。そやさかい、それを遵守 するのがうちらの務めや。チョッパリはよー覚悟するこっちゃ」

まあコリアン半島人は「コリナイ/懲りない」から、ウェノムへの劣等感 を罵倒に転化することで留飲を下げているのだろう、これまでも、これか らも。

韓国のアカ新聞「ハンギョレ」2019/2/10、「寄稿/キム・ヌリ中央大教授 『大韓民国100年、清算なき歴史』」から。

<2019年は歴史的な年だ。2・8独立宣言、3・1革命、上海臨時政府樹立が すべて100周年をむかえる。“大韓民国”が、自主独立運動の火の手に乗っ て遠い他国で誕生してから1世紀を迎えたということだ。

大韓民国が経てきた過去の1世紀は、実に残酷な時代だった。

韓国現代史を振り返り最も驚くべき点は、苛酷な歴史による多くの悲劇に もかかわらず、過去がまともに清算されたことがただの一度もないという 事実だ。大韓民国ほどに、過去が清算されなかった国が他にあるだろうか?

日帝の高等警察の刑事が解放後にも独立闘士を尋問した国、日本軍の将校 が解放された国の大統領になり、それでも足りずにその娘までが大統領に なる国、ファシスト親日派が作った歌を“愛国歌”として歌う国―それが大 韓民国だ。

親日の過去清算と関連してみれば、解放された空間で親日派が民族主義者 を制圧した「反民特別委」の武装解除が歴史の行方を決定づけた分岐点 だった。

問題は親日の過去だけではない。良民虐殺の過去、軍事独裁の過去、司法 殺人の過去、拷問犯罪の過去、御用学問の過去…。何一つまともに清算さ れたことがない。今も変わらず多くの盧徳述、宋堯讚、朴正煕、梁承泰、 李根安、葛奉根が、この社会を支配しているのが私たちの現実だ>

「過去清算」・・・って何よ。過去の延長として今があり、そこから学ん でこれからどんな国を創るのかが今人の仕事だろう。韓国にははっきりし たビジョンがない。近代化と赤化の間で大きく揺れ動いている。「感情と 気分と妄想とバックミラー」だけで「理性と知性と計算とコンパス」がな い。まるでカンカラ菅と鳩ポッポしか人材がいないみたいだ。

小生は「♪過去はどんなに暗くても」未来は明るいだろう、明るくするぞ と思ってきたが、コリアンは相変わらず「バックミラーしか見ない」、つ くづく「恨/ハン」の民族だ。病膏肓、永遠にそうだろう、永遠の「悪 夢」。御先祖様は彼らを「バ〇チョン」と呼んだが・・・前方不注意でそ のうち事故るだろう。反省しない、自浄機能なし・・・未来はないわなあ。

良き隣人を持てば君は幸せになれる、悪しき隣人を持てば君は哲学者にな れる? 凡人のままでもいいから半島人とは関わりたくないなあ、と思わ ない? なあ、同志諸君!

そうだわ、気分一新、「赤毛のアン」のお話よ、良くって?

こういう言葉遣いは1917年のロシア革命に影響された「大正デモクラ シー」が生んだものだと山本夏彦翁は書いていたが(不倫、親不幸、核家 族もそう)、アンを日本に紹介した訳者の村岡花子はクリスチャンで、女 権拡張運動家、不倫もしているという(大正語では「自由恋愛ね、ずいぶ んご発展ね!」か)。彼女の翻訳はもろ「大正デモクラシー」言葉で埋め 尽くされているような気分になるわよ、ちょっとレトロで素敵じゃない?

著者のモード・モンゴメリは不倫はしなかったろうが、当時で言えば「翔 んでる女」だったろう。彼女は仮面をかぶって、あるいは役になりきって 「牧師の妻」を演じたのだが、その忙しさ、心身への負担は尋常ではな い。モリー・ギレン著「運命の紡ぎ車」から。

<(モード)が大人になった時には(教義に)疑問を持ち、反抗心を抱く ようになっていた。正真正銘の(牧師の)伴侶として夫に忠実であるこ と、社会生活のなかで彼女が引き受けた役割に忠実であること、若い人々 に愛読される作家としての立場に忠実であること、こういうことがすべて 相まって、モードは心のうちで、義務感と本心との間の良心の葛藤を鎮め るのは並大抵のことではなかった。

彼女は「自分を取り巻く環境のために、無理やり芝居をさせられている」 ことに気付いていたのである。この止むことのない内面の葛藤の気配すら もモードの周りの人々には届かなかったということは、彼女の性格の強さ を示す印である。

(教区員や周囲の人々は)うんざりする仕事に延々と力を注ぎ続けたり、 みんなから逃げ出して孤独に浸りたいという彼女の気持ちなど決して理解 できなかったのである>

モードはペンフレンド(ともに♂)のウィーバー(在加州、後に教師、作 家)とマクミラン(在英、後に著名ジャーナリスト)宛に典型的な1週間 の退屈きわまりない細目を一覧表にして送っている。

今晩:青年団の劇のリハーサル。
昨夜:お茶の会で外出。
日曜夜:讃美歌詠唱集会。
土曜夜:(教区内にあるもう一つの教会で)礼拝集会。会衆の前であいさ つし、教区を去っていく伝導夫人会員に贈り物を贈呈。
金曜夜:青年親睦会の指導。
木曜夜:例の劇の練習。
水曜:ロイド・ジョージの演説を聞くためトロントに出かける。
火曜夜:牧師の訪問。
月曜夜:劇の練習。

さぞウンザリするだろう。1920年のある結婚披露宴に「一種の義務」で出 席した際のこと。

<私は午前2時までその席に連なり、部屋のあちこちにずらりと居並ぶ何 十人という女の人たちとおしゃべりをしなければならなかったのです。と うとう私はまったく意志を持たずにいつまでもしゃべる続ける機械になっ たような気分になりました>

モードの筆跡は一葉女史の草書体のように非常に美しく、かつ個性的だ が、若い時に筆跡鑑定をしてもらったことがある。結果は――

<「あなたはかなり傲慢な性格ですが、他の人々のみならず自分自身もよ く知っているので、そういう性格が非常によく抑えられています。優美な もの、贅沢なもの、さらに、品のいい作法、等々を大いに好みます。『あ なたは、本当の自分とは全く違って見えるほどに、自分の内面の考えや感 情を押さえつけ、隠すすべを知っています』。

非情に愛想よく、丁寧で親切な態度を取ることができます。あなたは自分 の意思を持っています。安楽と気楽さを好みます。非常な倹約家であり、 とても慎重であると同時に外交的手腕に優れ、猜疑心が強く、容易に人を 信じません・・・>

『 』内はモード自身によるが、マクミランに「このくだりは私が牧師の 妻となるべく運命づけられていたことを示しています!!」と書き送って いる。

静かに自然を鑑賞したり、夢想したり、執筆したり、読書したり、家事に 没頭したり・・・モードはそういった「自分の時間」「クールダウンの時 間」を持ちたくても、思うようにできなかった。悲劇と言えば悲劇だが、 天はモードに試練を課したのか・・・「艱難人を玉にす」とは言うもの の、試練は時に人を押しつぶす。

「運命が もしもあるなら 捕まえて 絞め殺したき わが人生」

40年以上前に知った短歌(朝日歌壇らしい)だが、モードもそんな気分に 落ち込むこともあったのではないか。まあ、順風満帆の人生なんて珍しい のかもしれず、グロッキーになってもグレンバスターで逆転勝利とか、と にもかくにも完走したとか・・・モードはどうやって乗り越えたのだろ う。(つづく)

さてさて、前回に続いて「正論」2005年2月号「大島信三編集長インタ ビュー 元朝鮮総連活動家の懺悔録『未来のために私の過去を話します』 元朝鮮青年同盟中央本部副委員長兼組織部長:全京千」から要約する。

<――日本国内での拉致を含めて何らかの対日工作の指示はありましたか。

全 拉致などについては何も言われていません。「あなたが日本に帰った ら、ラジオで暗号を送ります。モランボン(牡丹峰)があなたの暗号名で す」とは言われました。ラジオでモランボンとくれば、自分あてなので数 字を聞き取って書くわけです。それを乱数表で解読します。

帰る時に活動資金として現金で30万円渡されました。超短波の通信機器な どもそれで買えということですね。洋服もくれました。

――乱数表は向こうで貰ったのでしょう。

全 いや、日本に帰ってから、ある人物から預かりました。その人は新潟 へ来る万景峰号で渡されたようです。

――極秘に出国し、極秘に戻ってくる。そんなことが日常茶飯事に繰り返さ れていたんですね。戻る時も接線ポイントは須佐ですか。

全 下関です。その時、いろいろ注意を受けました。日本に上陸したら 酔っ払いの振りをしろとか、官憲に尋問された時の答え方とか。

――ひょっとしたら北に留め置かれる可能性もありました。戻れてよかった ですね。

全 下関に着いたときはホッとしました。(帰る際の指示は)朝鮮労働党 との連絡を密にして欲しい、何か危険な時があったとしても一切ばれない ように始末してほしい、乱数表などは最初から地下に埋めときなさいと。

――当然、帰国後も全さんの行動はずっと見張られてますよね。

全 恐らくそうでしょう。私に指令を出した人間の上に、さらにまた命令 を出す人物がいるんですよ。これが司令塔であり、ほんとのくせ者です よ。(つづく)

「北、中共、南は敵」という認識がない人はゴロゴロいるだろう。社会 党、社民党、民主党、共産党などの人々ばかりでなく、マスコミの多くも そうだろう。共産主義幻想=憎日・反日の人はカネも絡んでいるのだろ う、まず転向はしない。新左翼小児病だった団塊世代が消えればずいぶん 世の中は浄化されるのではないか。

「連合」(日本労働組合総連合会)は加盟組合員が700万人。弱体の野党 が野合でドタバタしており、連合は支持政党をどこにするのか困っている ようだ。賃上げや労働環境を良くしたいのなら自民党を支持すればいいの に、労組=野党(ほとんど時代錯誤のアカ、ピンク、アホ)支持の悪しき 伝統から離脱できないでいる。専従(夏彦翁曰く「どんなに落ちぶれても 君、専従になるなかれ」)も野党もカネが命だから変身、変心、改革がで きないでいる。

キチ〇イ頭になるもアカ尾になるなかれ、だな。同じアカオでも赤尾敏先 生の姪、赤尾由美氏が元気なのは結構なことである。

【「措置入院」精神病棟の日々(115)】庭の枯れ草を掃除していたら、 その下に緑の葉が育っていた。枯れ草が次代の命を冬の寒さから守り、育 んでいたのだ。人もそうありたいね。

身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂(松陰)

松陰先生曰く「志士は溝壑(こうがく)に在るを忘れず、勇士は其の元 (かうべ)を喪うことを忘れず」 。志士たらんとする者は野垂れ死にや 首を斬られることを覚悟しておけ、と。小生の辞世の句も用意しておかな ければ。

狂に病み 夢は昔の あの娘やこの娘 逢いたく思えど 今は婆さん(修一)

こちらは爺さん・・・全然カッコヨクないなあ、救いがないよ。有島武郎 の不倫心中は梅雨時の別荘の庭で、発見が遅れたので目も当てられない状 態だったという。ヂイヂには心中する相手もいやしない。ぜんぜん素敵 じゃないわよ、いやーね! 発狂亭“非大正ロマン”雀庵の病棟日記から。

【2016/12/25】【産経】今朝もすこぶる充実していた。一番手は“キラ星” 古森義久「未来への祈り 首相に願う」、曰く「米側の戦争への認識を見 ると、日本軍と実際に激しく戦った人たちほど、あの戦争は両国が国益を 衝突させ、国運をかけて雌雄を決した対決であり、そこには道義的な善悪 の入る余地が少ないという態度を保つように映る。その決戦に米国が勝 ち、日本が敗れたのである」

「日米間の戦争での怨讐の時代はとっくに終わったのだ。首相の真珠湾訪 問を機会に、今また謝罪や釈明を求める動きは米国自体ではなく、中韓の 反日勢力や日本内部の反体制からの政治策動だと言えよう」

大ベテランがいきなりレフトに弾丸ライナー性のホームラン、オーエ信者 数名負傷。

二番手は河崎真澄「中国、相続税導入へ 格差深刻 3月にも審議」。中 共の国庫は枯渇し、庶民をなだめるアメの原資が枯渇しそうなのだ。固定 資産税の本格導入も始まりそうだという。左中間を抜く3塁打。

「上に政策あれば下に対策あり」の国柄だから、カネはますます国外へ流 れ出て、習近平の党内基盤は弱まるしかない。

その分を庶民からの「熱烈支持」で補うという大衆動員ポピュリズムは、 選挙で決着をつけるというシステムがないから暴力による「第二次文化大 革命」にならざるを得ない。習は最大最強の利権集団、7大軍区の反発も 引き起こすから、中共の一党独裁は終わり、連邦制にならざるを得まい。

これは小生の妄想なのか? 20世紀にソ連が消えるなんて誰も予測できな かったが、1989年末で崩壊した。築城70年、落城2年だった。1949年の中 共独裁国家建国から来年(2017)で68年。落城へのカウントダウンが始 まっている。

三番手は松浦肇「トランプ氏は新興企業が嫌い?」。曰く「ITなどの企業 は伝統企業の半分しか雇用を生んでいず、トランプ氏は『雇用を米国に取 り戻す』と訴える。労働集約的なダウ平均株価銘柄企業に有利な政策を打 ち出し、シリコンバレーの企業群を敵視するのは自然の流れだ。

例えばトランプ氏は大型の法人減税を約束しているが、新興企業は減税の メリットを享受しにくい。税法上の利益をほとんど生んでいない銘柄多い ためだ。(上昇中の)株式相場は次期政権の政策効果を先読みしているの である」

さすが元日経のベテラン、センター前の二塁打で一点追加だ。(つづ く)2019/3/2


           
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パキスタン政界に衝撃
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019年)2月28日(木曜日)弐
  通巻第6008号
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 パキスタン政界に衝撃。中国はパキスタンの空爆報復を支持しない
  庇護者だった筈が、なぜインドの言い分も聞き分けるのか?
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インド、パキスタン国境が騒がしい。

もともとカシミールの領有をめぐって激しい国境紛争、軍事衝突を繰り 返してきたが、1999年以来、目立った動きはなかった。

インドに自爆テロをしかけ40人を殺害した過激派はパキススタンから 出 撃したため、インド空軍は武装集団の拠点を空爆した。「テロリストの 拠点だったからだ」と主張するインドに対して、パキスタンは「民間人が 多く死傷した」と激怒した。死者は6人といわれる。

インド空軍機が再びパキスタン領空を侵犯した。すぐにパキスタンが撃 墜し、インド空軍のパイロットひとりを捕虜とした。

インドはミグ21,対抗したパキスタンはF16で迎撃した。

米国は「エスカレートするな」と両国に警告した。インド軍は、ただち に次の軍事作戦を協議するため、モディ首相の自宅に軍幹部が深夜に集合 し緊急対策を協議した。

イムラン・カーン(パキスタン首相)は、「このままでは核戦争に突入 する。早急にデリーと話し合う」としたが、インドは無反応。パキスタン は中国の介入を期待したが、北京は冷淡にも、「今次の軍事衝突に中国は 介入しない」としてパキスタンを弁護せず、イスラマバードに衝撃が走った。

パキスタンの有力紙『ザ・ドーン』は、4月に北京で開催予定の 「BRI国際フォーラムに、初回ボイコットしたインドを何としても参加 させたいからだ」と報じた。

BIR国際フォーラムとは「一帯一路」(Belt Road  Initiative)の関係国130ヶ国を招いて、国際協力を要請す る という習近平の目玉である。米国も同会議にはオブザーバーを派遣する としている。インドは、はじめからこのフォーラムを無視してきた経緯が ある。

それにしてもインド vs パキスタンの軍事衝突。ベネズエラが燃 え、米朝首脳会議が開催されているときに、不適切なタイミングで起きた ものである。
          
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ニッキー・ヘイリー(前米国国連大使)が政治活動を再開

 「中国はアメリカにとって外国の最悪最大の脅威」だ
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「米国の経済、文化、国家安全保障」を強力に推進させるための助言グ ループを主導し、提言活動を開始したのは、あのニッキー・ヘイリー(前 国連大使)だ。

最初のパンチ。

「共産主義独裁の中国は、おそらく世界一の、人間性を踏みにじる悪魔 的存在である」

「米国民にとっての安全、利害、価値観に多子弟最大のそとか らの脅威 である」として、共和党保守派の「ロシア、イランと同列に論じ る」趣 きに釘を刺した。

ヘイリー女史は2016年の大統領選挙でサウス・カロライナ州知事と して の著名度もあって、最初はマルコ・ルビオ上院議員を、ついでテッ ド・ クルーズ上院議員を推薦し、トランプを終始批判し続けた。ところが ト ランプの当選直後、最初の指名がニッキー・ヘイリー国連大使だった。 電撃的ショックをワシントンにもたらした。

これはレーガンが政敵だったブッシュ陣営からベーカーを首席補佐官に 任命したような人事上の椿事でもあった。

その後の2年間、ヘイリーは、「アメリカ・フォースト」を掲げるトラ ンプのナショナリズムに基づく外交を着実に推進し、中国とロシアを批判 し、国連人権委員会からは脱退し、米国の国連分担金を3億ドル弱も削減 し、それでいて「この2」年間、国連は変貌した。米国の主張への理解が 増 えた」と自画自賛した。

ヘイリーはインド系アメリカ人女性として、初の国連大使であり、その タカ派発言に世界は注目した。

国連大使辞任の理由を「休暇を取りたい」などとしたのは下手な芝居で あって、誰も信じておらず、ホワイトハウスの権力闘争が絡んだ。とくに クシュナー・イバンカ夫妻との確執が伝えられた。

さて、彼女が助言集団を形成し、政治発言を再開した背景は何か?

ヘイリーは明らかに2024年の大統領選挙を視座に入れている。その政 治 キャリアから言っても、発言記録からみても、資格は十分。今後の仕事 は、様々な政治的機会を利用してつねに提言をし続けながら著名度を保ち つつ、共和党内での地歩を磐石にすることにある。

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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―「劣等な民族が自滅して行くのは是非もないこつたよ」東京高商(5)
  東京高等商業學校東亞倶樂部『中華三千哩』(大阪屋號書店 大正9年)

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折から起こる反日運動の背景を、若者は考えた。

たとえば上海租界の「義勇隊などの御厄介になるのは日本人が一番多い 癖に志願者は一人もないそう」であり、フランス租界にあるフランス経営 の公園に「休日など行つて見たら、日本人が大部分を占領してゐ」たり、 軽快な服装をした西洋人親子が楽しんでいる中に、その輪に加わることな く「汚れた着物を着流して時代後れの深ゴムの靴、眞?い3年越しの麥藁 帽を阿彌陀に被つて腰には烟草入れを下げてゐ」たり――上海在留日本人の 姿は「外人のそれと比較して何たる對照だらう」。

極め付きは蘇州で街頭での体験になる。彼ら日本人学生が「30人も騒 が しく鈴を鳴してこの狹い道を通つて行くと、兩方の家の内から皆んなが 飛出して來て、色?く陽に焦げけた東夷の學生が馬上顧眄の豪傑振り乍 ら、しかも、落馬せんとし乍ら往くのを眺めた。この大勢は少なからず蘇 州の排日氣勢を昂めたことゝと思うはれる」。

日本人自らの無自覚な振る舞いもまた「排日氣勢を昂めた」と考える 「若者の感覚」と、「序」に記された「拝日問題で注意すべき一事は」、 「歐米の商品を扱つて居るものが故意にやる外は支那で相當名のある實業 家や多數商人は一般に日貨排斥の意志を眞から持つては居ないので唯學生 の危害を惧れるのと民衆への氣兼から形式的にやつて居る仕事である云ふ 點である」と指摘する「大人の思考」の間の落差は、いったい何に起因す るのか。

それが世代の、人生経験の、あるいは世間知の違いに直接的に結びつい ているとも思えない。

この時から現在にまで続く中国における排日、あるいは反日の動きを振り 返るなら、「(上海共同租界の)義勇隊などの御厄介になるのは日本人が 一番多い癖に志願者は一人もない」ことへの疑問、大正時代の若者が上海 の公園で感じたであろう気恥ずかしさ、「東夷の學生」が蘇州の街路で皮 膚感覚で直感したであろう一種の蔑みの視線は、やはり軽視すべきではな かったのではないか。

 この時の義憤が「政治家や實業家は恕す可しと雖も、考のあると云はれ る學者までが浮れて日支親善なぞと眞面目くさつてるのは言語同斷だ」と の思いに繋がっているように思えて仕方がないのだが。

 もう少し、日本人の振る舞いに対する若者の考えを追ってみたい。そ こで、漢口の租界を訪ねた際の感想を見ておくことにする。

「何處でもそうだが、殊に支那などに於ては、未だ一般に外國の事情に通 ぜぬので、多くは服装の良否や、建物の大小美醜などで、其國の優秀貧富 などを、きめる傾向があるから、列強と相對峙して、威勢を張り、發展を 策するには、どうしても此點に於て、大なる注意を要し、居留地には他國 に劣らぬ設備をなすと共に」、在留者であれ旅行者であれ服装から立ち居 振る舞いにいたるまで、やはり「他國人に劣らぬだけの心掛けが大切」 だ。それというのも、「既に體格に於て、歐米人は無論、支那人よりも見 劣りのする我々が、服装でも醜かつたらば、彼等の蔑視を受けるのは當然 である」からだ。

言わば見た目がイチバン。

嘗められたら最後で、トコトン嘗められてしまう。

ところが「昨夏來遊した向陵の健兒」――東大の前身である第一高等学校の 学生――は、やってはイケナイことをヤッチまった。日本では超エリートで あればこそ許される弊衣破帽というバンカラスタイルも、外地では一切通 用しない。

だが、彼らは「矢張内地そのまゝの蠻から姿でやつて來たので、事情を知 らぬ外人や支那人から、日本で最も有名な學校の生徒があの姿では、と少 なからぬ侮蔑や指彈を受けて、在留邦人も大いに迷惑した」。
「之れは尤もの事で日本人たるものゝの深く省みねばならぬ事柄である」 ことは確かだ。《QED》
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読者の声 READERS‘ OPINIONS どくしゃのこえ 読
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(読者の声1) 弐回目の「米朝首脳会談」がベトナムの首都、ハノイで開 催され、トランプがJW・マリオット・ホテルに、金正恩がメリア・ホテ ルにそれぞれ宿泊し、最初の夕食会の場所はメトロ・ホテルだったとか、 この配置に特別な意味があるのではと思うのですが、如何でしょう。 (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)JW・マリオットはハノイの新開地にできた米国 系の豪華ホテル。安心して泊まれるからでしょうが、都心までやや距離が あります。会場のメトロは老舗名門、フランス時代からのクラシカルな建 物で、ミッテランンもシラクも、そしてブッシュも宿泊したところ。

一方、金正恩の宿舎となったメリア・ホテルも、旧都心に位置し、名門 高級ホテルなれど、老朽化がいわれておりました。ホテルの予約事情やら 警備事情やらが主な要因であって、ほかに特別な意味があるとは思えませ んが。。。

それより注目は長い長い列車の旅をして、北の新義州から鴨緑江を渡 り、丹東、瀋陽、天津、武漢、長沙からベトナムへ入った道のりを辿る と、金正恩は、こんかい北京に立ち寄っていないという事実が浮かびます。

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(読者の声2)先般、ヴィルピッタ・ロマノ先生の講演を伺いましたが、 氏はその中で「ハンチントンの『文明の衝突』は、初版で、「日本が東側 に属するだろう」と致命的な過ちをしでかし、再版以降は、この箇所を訂 正したそうです。

先生はこの本を、どのように評価されますか? (HU生、戸田市)


(宮崎正弘のコメント)初版の誤謬については知りませんでした。だいい ち未読です。いま集英社文庫にはいっているようですが、手に取る気力が 起きない。

理由はアーノルド・トインビーの大作『歴史の研究』がすでにあるから で、この亜流という捉え方で良いのではないかと思います。

ハンチントンの『文明の衝突』の基本的な間違いは、「中国の儒教文明と イスラム圏が協力する。西洋文明は衰退する」という説で、とくに前者の 歴史観には疑問を抱かざるを得ないというところでしょう。

ついでに言えばフランシス・フクシマの『歴史の終わり』もつまらない本 でしたね。いまでは顧みる人も稀です。

日本ではまったく無視されてきたパット・ブキャナンやエド・ルトワック らの著作翻訳本が、日本で静かに読まれ始めている事実のほうが重要に思 えてなりません。 

        
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世界は本当に変わるぞ
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    櫻井よしこ

「米欧の距離拡大、世界は本当に変わるぞ」

2月15〜17日の3日間、ドイツのミュンヘンで開催された安全保障会議は米 欧関係のただならぬ軋轢を世界に示す場となった。米欧露中など多くの国 が集うこの会議は、世界の安全保障を協議する権威ある会議のひとつだ。 年来、同会議では米欧が相互に同じ立場に立って協調関係にあることを世 界に示してきた。それがいま、空中分解に近い形で、両者の溝の深さを曝 け出した。

世界情勢の分析における第一人者が田久保忠衛氏だ。氏は、ミュンヘン安 保会議で明らかになった米欧の亀裂の深さを、とりわけ日本は厳しく認識 しなければならないと説く。日米同盟が最重要なのは変わらないが、米国 一国とだけの緊密な関係では不十分な時代になっているというのである。

ドイツ首相アンゲラ・メルケル氏と、米副大統領マイク・ペンス氏の演説 から、重要な点を引いてみよう。

メルケル氏は、「国際関係は全て相互作用だ」、「世界は大いなる困惑 (パズル)」の中にあると語り始めた。

「欧州にとって、今年最悪のニュースは中距離核戦力(INF)全廃条約 の終結だ。何年にもわたるロシアの条約違反ゆえに、終結は不可避だっ た。しかし、米ソ(露)はそもそも欧州のために同条約に合意したのでは なかったか」

INF離脱を宣言したトランプ大統領を非難しながらも、ロシアの条約違 反にも言及するなど、バランスをとろうとしているのが見て取れる。

メルケル氏は中国も参加する新たなINF条約を作るべきだと訴えたが、 その後に演説したペンス氏はINF条約でロシアを非難した。さらにその 後に演説した中国共産党政治局員、楊潔篪氏は、メルケル提案に明確に反 対した。

イギリスのシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によれば、中国保 有の核兵器の95%がINF条約違反に当たる。拡大INF条約ができたと しても、中国の加盟はあり得ない。まさにその点こそが米国離脱の理由で ある。楊氏はこの点を問われ、素っ気なく「中国は自国防衛の必要性にお いて核兵器の開発をしており、他国の脅威にはなっていない。INF全廃 条約の多国間化には反対だ」と答えた。

凄味のある指摘

INF条約に入るはずのない中国に参加を要請するなど、メルケル氏は親 中国である。なぜ、そうなのか。氏が演説後半で中国について語った非常 に興味深い部分は、氏の親中国の要因のひとつでもあろうか。

その話は後述するとして、欧州の安全保障について、ペンス氏は、2年前 の自身の演説を振りかえり、「アメリカ第一」は「アメリカ独り」を意味 するのではないと強調した。北大西洋条約機構(NATO)防衛に対する 「固い誓い」は米国の変わらぬ政策だと明言した後、NATO加盟国の国 防費問題をもち出した。経済活性化策を成功させ、歴史的な大減税と大幅 規制緩和を実行し、貿易における相互原則を打ち立て力をつけた米国は、 いまや世界最大の石油・天然ガスの輸出国でもある、その米国がNATO を守ると確約しているのだと強調した。

だが、それにはNATO諸国の自助努力も必要だとして、加盟諸国は GDPの2%を国防費に充て、2024年には国防費の20%を装備購入に充て るよう期待すると述べた。ペンス氏の発言は、NATO諸国が敵対国から 武器装備を輸入するのを、米国は見逃しはしないという発言と対であるか ら、米国の武器装備を買えということだ。

メルケル氏も負けてはいない。そのひとつが「ノルドストリーム2」であ る。ロシアの天然ガス輸出のためのパイプラインを、これまで中継国とし て自国領土に通していたウクライナを迂回し、バルト海の海底に敷設して ドイツが中継国になった。

ペンス氏は、全ての欧州諸国に独露パイプライン計画に反対するよう強く 呼びかけたが、メルケル氏はこう反論した。

「ウクライナを置いてけぼりにはしない。東ドイツは冷戦の時代、ロシア のガスを買っていた。後に西独も大量に買った。いまなぜ、とやかく言わ れるのか」、「私の左にウクライナ大統領のポロシェンコ氏、右には中国 代表の楊潔篪氏がいる前で言いにくいが、我々はロシアを中国に依存させ てよいのか。ロシアのガス輸入を中国頼りにしてよいのか。それが欧州の 利益だとは思えない」。

米国への堂々たる反論である。中国依存にロシアを追いやってよいのか、 とは凄味のある指摘ではないか。

それでもペンス氏は、メルケル氏のノルドストリーム2を強く批判した。 対してメルケル氏は、米国の貿易赤字解消のために車に関税をかける、欧 州車が米国の安全保障の脅威になっていると主張したことを、鮮やかに 斬って捨てた。

メルケル氏の中国観

「ドイツ車は我々の誇りだ。だがBMWの最大の工場はドイツにはなく、 米国のサウス・カロライナにある。米国はそこからBMWを中国に輸出し ているではないか!」

米国にとっては抗弁の余地のない批判をメルケル氏は舌鋒鋭く展開し、大 西洋同盟を維持する気があるのなら、このような無理な批判はするなと反 撃したのだ。

メルケル氏とペンス氏の間の溝は中国のファーウェイの脅威についても、 イランとの核合意についても全く埋まらなかった。その中でメルケル氏の 中国観は、日本人の私たちこそ記憶にとどめておくべきだろう。彼女は ざっと以下のように語った。

中国を訪れたとき、中国政府要人はこう語ったという。「紀元後の2000年 間の内、1700年間は我々が世界最大の経済大国だった。驚くことではな い。これから起こることは、我々が以前の場所に戻るというだけだ。(中 国が大国でなかった)過去300年間、あなたにその経験と記憶がないだけ の話だ。この300年間は、まずヨーロッパ人が支配し、次に米国人が、そ していま我々が共に支配している」。

次の段階で中国は以前の地位に戻ると、中国要人がドイツの現役首相に 語ったというのだ。

「我々は中国が立ち上がり、駆け上がってくるのを、見ているのだ」

メルケル氏はこう語った。つまり中国要人の主張が現実になると考えてい るのであろう。米欧の距離はすでに遠く、なお遠くなるだろう。

ペンス氏は、メルケル氏とは対照的に中国の知的財産の窃盗から南シナ海 での侵略、債務の罠まで手厳しく非難した。この中国批判は正しいが、米 国に関する深刻な懸念は、米欧同盟の戦略的重要性を十分把握しないトラ ンプ大統領が、いま中国と厳しく向き合うことの重要性を理解できず、妥 協してしまうことである。
『週刊新潮』 2019年3月7日  日本ルネッサンス 第842回



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読 者 の 発 言
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 ◎二の矢、三の矢を用意して事に当たれば:前田正晶

6日採り上げた「我が国の外交交渉に思う」の中で迂闊にもこれから述べ ていこうと思う重要な点が抜けていたのだった。それは

<私が難しいことであり困ったことだと思ったのは「多くの日本人社員は 得意先の意向を十分に聞き入れ、それに基づいて上司乃至は会社に提言す るべきだと考えている者が多い」点でした。こういう日本式勤務態度は評 価されないのです。そこで、日本人社員の圧倒的多数は会社側の意向とい うか命令に忠実になって、得意先が言うことに聞く耳持たずという姿勢を 採らざるを得ないのです。即ち、「我が社の意向を受け入れるか否かを明 確にせよ」と迫らざるを得なくなります。この辺りを如何にこなして得意 先との信頼関係を築き上げるかが非常に難しいのです。>

と述べておきながら、そこから先の具体例を挙げて説明をしていなかった のだ。それは「アメリカ側の日本人社員は会社乃至は上司の命ずる通りの 内容で押し切らねばならない」のだから、日本側は屡々議論の余地が全く ない一方的な交渉を強いられて、その要求を受け入れるしか選択肢がない 場合があるのだ。このような姿勢は高飛車であるとか強引過ぎると嫌われ れ、日本人社員は「当事者能力を持たされていないお使い奴でしかない」 との批判を浴びていたのだった。

だが、既に指摘したように、このように会社側の意向を完璧に受け入れさ せてくる社員こそが、アメリカ側というか本社では最も高く評価されるの である。別な見方をすれば「得意先の反論や反対意見等を聞き入れ、それ を会社側に伝える社員は低い評価に甘んじなければならない」のである。 この点ではある大手メーカーでは絶対と言って良いほど得意先の主張に耳 を傾けない日本側で悪名高い日本人マネージャーが、アメリカ本社では最 優秀の社員であり「彼を見習え」という指令さえ出ていたと聞く。

この辺りを「日本とアメリカの企業社会における文化の違い」という点か ら考察すると、アメリかでは会社から給与を得ている以上「会社の意向通 りに客先を納得させてこそ雇った価値があるのだ」という思考体系であ り、客先の意見などを受け入れるなとなっている場合が多いのだ。「客先 の意見を聞かずしてどうする」という疑問点もあるだろうが、彼らは自社 の意向を決定するまでにはそれなりの市場調査を、各社独自の方法で十分 に行った上での決定であるとの自信を持っているのだ。念の為お断りして おくが、W社の我が事業部ではかかる強硬な姿勢で日本市場には臨んでい なかった。

私は上記のアメリカ本社で最高の評価を受けている「嫌われ者で、客先の 主張を一切受けない」との悪評が高い人物と打ち解けて語り合ったことが あった。意外だったのは「彼はサメザメと泣きを入れて、あのような強硬 な態度に出ているのは私の本心からでもないし、私はそういう悪者ではな い」と述懐したことだった。そして、彼は一旦落ち着いてから淡々と回顧 したのだった。

彼の言い分は「そのように会社と上司の命令に忠実に従うことが自分の職 と身分の安全(job security)を保証するものである以上、不本意ながら 悪役を務め、客先での評判が最悪であると承知している。だが、私はそん な評判や嫌われ者であろうと、自らの地位を守っていただけだ。だが、悪 評を聞かされるのは極めて辛いことだった」というものだった。私は見事 なもので、そうすることで職どころか収入まで確保している大した人物だ と思って拝聴していた。余談だが、彼は長身で白面の貴公子然としてい て、全く悪役という感じを与えない穏やかな紳士だった。

ここまでで強調したかったことは「アメリカ側は常に自社にとって最善の 結果となるような主張をしてくるものであって、先ず譲歩するという選択 肢はない」であるのだ。であれば、アメリカとの厳しい交渉をする際に は、その点を頭の中に入れて臨むべきなのだ。だが、彼らは譲歩するとい う選択はしないが、自社の主張を強行して玉砕してしまうことは考えてい ない場合がある。それが私が繰り返して指摘して来た”Contingency plan “という第2乃至は第3の矢を用意してくるという意味だ。

最後にこの contingency plan の実例を挙げておこう。我が事業部が5% だったかの値上げを打ち出したことがあった。勿論、全得意先は「そうで すか」とは聞き入れなかった。ある大手得意先はそのお断り交渉にアメリ カの本部にまで部長自らが乗り込んでこられた。我が副社長と私が事前に 打ち合わせたことは「先ずは受け入れて頂く以外はない」という姿勢を崩 さないことだった。それでは決裂は見えていたし、問題が大きくなるのは 明らかだった。

そこで、副社長が用意した2の矢であるplanは「値上げは見送ることは 渋々受け入れて、その見返りに現在までにご購入頂いていなかったグレー ドを採用して頂きたい事と、値上げを見送る代わりに値上げ幅分に相当す るかそれ以上当社から買い増して頂きたい」と提案することだった。但 し、交渉の席上ではアッサリと値上げ見送りを受け入れずに真剣な議論を 十分に重ねてから妥結するという形は採っていたのだった。

アメリカとの交渉の場合には彼らがcontingency planを用意して臨んでく るのである以上、日本側も二重・三重の代案を用意しての粘り強く折衝す る必要があると思っている。かなり昔の経験であるが、何かのご参考にな ればと、敢えて披露した次第だ。



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身 辺 雑 記
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8日の東京湾岸は快晴。

7日の東京湾岸は雨。やむを得ず傘を差して散歩。


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  • 名無しさん2019/03/08

    疑問が氷解、腑に落ちた。

    >◎二の矢、三の矢を用意して事に当たれば:前田正晶



    6日採り上げた「我が国の外交交渉に思う」の中で迂闊にもこれから述べ ていこうと思う重要な点が抜けていたのだった。それは



    <私が難しいことであり困ったことだと思ったのは「多くの日本人社員は 得意先の意向を十分に聞き入れ、それに基づいて上司乃至は会社に提言す るべきだと考えている者が多い」点でした。こういう日本式勤務態度は評 価されないのです。そこで、日本人社員の圧倒的多数は会社側の意向とい うか命令に忠実になって、得意先が言うことに聞く耳持たずという姿勢を 採らざるを得ないのです。即ち、「我が社の意向を受け入れるか否かを明 確にせよ」と迫らざるを得なくなります。この辺りを如何にこなして得意 先との信頼関係を築き上げるかが非常に難しいのです。>



    と述べておきながら、そこから先の具体例を挙げて説明をしていなかった のだ。それは「アメリカ側の日本人社員は会社乃至は上司の命ずる通りの 内容で押し切らねばならない」のだから、日本側は屡々議論の余地が全く ない一方的な交渉を強いられて、その要求を受け入れるしか選択肢がない 場合があるのだ。このような姿勢は高飛車であるとか強引過ぎると嫌われ れ、日本人社員は「当事者能力を持たされていないお使い奴でしかない」 との批判を浴びていたのだった。



    だが、既に指摘したように、このように会社側の意向を完璧に受け入れさ せてくる社員こそが、アメリカ側というか本社では最も高く評価されるの である。別な見方をすれば「得意先の反論や反対意見等を聞き入れ、それ を会社側に伝える社員は低い評価に甘んじなければならない」のである。 この点ではある大手メーカーでは絶対と言って良いほど得意先の主張に耳 を傾けない日本側で悪名高い日本人マネージャーが、アメリカ本社では最 優秀の社員であり「彼を見習え」という指令さえ出ていたと聞く。



    この辺りを「日本とアメリカの企業社会における文化の違い」という点か ら考察すると、アメリかでは会社から給与を得ている以上「会社の意向通 りに客先を納得させてこそ雇った価値があるのだ」という思考体系であ り、客先の意見などを受け入れるなとなっている場合が多いのだ。「客先 の意見を聞かずしてどうする」という疑問点もあるだろうが、彼らは自社 の意向を決定するまでにはそれなりの市場調査を、各社独自の方法で十分 に行った上での決定であるとの自信を持っているのだ。念の為お断りして おくが、W社の我が事業部ではかかる強硬な姿勢で日本市場には臨んでい なかった。



    私は上記のアメリカ本社で最高の評価を受けている「嫌われ者で、客先の 主張を一切受けない」との悪評が高い人物と打ち解けて語り合ったことが あった。意外だったのは「彼はサメザメと泣きを入れて、あのような強硬 な態度に出ているのは私の本心からでもないし、私はそういう悪者ではな い」と述懐したことだった。そして、彼は一旦落ち着いてから淡々と回顧 したのだった。



    彼の言い分は「そのように会社と上司の命令に忠実に従うことが自分の職 と身分の安全(job security)を保証するものである以上、不本意ながら 悪役を務め、客先での評判が最悪であると承知している。だが、私はそん な評判や嫌われ者であろうと、自らの地位を守っていただけだ。だが、悪 評を聞かされるのは極めて辛いことだった」というものだった。私は見事 なもので、そうすることで職どころか収入まで確保している大した人物だ と思って拝聴していた。余談だが、彼は長身で白面の貴公子然としてい て、全く悪役という感じを与えない穏やかな紳士だった。



    ここまでで強調したかったことは「アメリカ側は常に自社にとって最善の 結果となるような主張をしてくるものであって、先ず譲歩するという選択 肢はない」であるのだ。であれば、アメリカとの厳しい交渉をする際に は、その点を頭の中に入れて臨むべきなのだ。だが、彼らは譲歩するとい う選択はしないが、自社の主張を強行して玉砕してしまうことは考えてい ない場合がある。それが私が繰り返して指摘して来た”Contingency plan “という第2乃至は第3の矢を用意してくるという意味だ。



    最後にこの contingency plan の実例を挙げておこう。我が事業部が5% だったかの値上げを打ち出したことがあった。勿論、全得意先は「そうで すか」とは聞き入れなかった。ある大手得意先はそのお断り交渉にアメリ カの本部にまで部長自らが乗り込んでこられた。我が副社長と私が事前に 打ち合わせたことは「先ずは受け入れて頂く以外はない」という姿勢を崩 さないことだった。それでは決裂は見えていたし、問題が大きくなるのは 明らかだった。



    そこで、副社長が用意した2の矢であるplanは「値上げは見送ることは 渋々受け入れて、その見返りに現在までにご購入頂いていなかったグレー ドを採用して頂きたい事と、値上げを見送る代わりに値上げ幅分に相当す るかそれ以上当社から買い増して頂きたい」と提案することだった。但 し、交渉の席上ではアッサリと値上げ見送りを受け入れずに真剣な議論を 十分に重ねてから妥結するという形は採っていたのだった。



    アメリカとの交渉の場合には彼らがcontingency planを用意して臨んでく るのである以上、日本側も二重・三重の代案を用意しての粘り強く折衝す る必要があると思っている。かなり昔の経験であるが、何かのご参考にな ればと、敢えて披露した次第だ。

  • 名無しさん2019/03/08

    教育を、取り戻す

    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%95%99%E8%82%B2%E3%82%92%E3%80%81%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%88%BB%E3%81%99&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjA_af3h_HgAhVQO7wKHY85ATUQ_AUIDygC&biw=659&bih=434&dpr=2.25

    福田紀彦・川崎市長に公開質問状

    川崎市人権推進協議会のメンバーによる暴言

    http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53312408.html

    非人道的国民負担!外国人の国保滞納の実態。

    https://ameblo.jp/japangard/entry-12445009374.html

    サムスンは日本にスパイを送り世界の最頂上に上った!ネイバーもLINEで日本を掌握・韓国紙コラムhttp://deliciousicecoffee.jp/blog-entry-7401.html

    ★覚せい剤物質に変化する精神医薬が認可寸前!

    https://1tamachan.blog.fc2.com/blog-entry-17359.html

    ピロリ菌の除菌は、結局「胃ガンの発症リスクを増加」させていることに気づき、そこから「統合失調症の原因は腸内細菌の変化」だという医学研究を思いだすまで

    http://blog.livedoor.jp/genkimaru1/archives/2098514.html

    帰化裁判官についての規制強化、弾劾強化が必要ではないか

    http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-1326.html

    中国の三峡ダムについて

    http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/52037743.html

    「一帯一路」はマッキンゼー、推進は国連と中国のNGO

    http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-5939.html

    在日の人々

    http://hatekorea.blog.fc2.com/blog-entry-15.html

    宵山

    https://www.google.co.jp/search?q=%E5%AE%B5%E5%B1%B1&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi1md2djPHgAhVCTrwKHegiAVEQ_AUIDigB&biw=820&bih=389&dpr=2.25