政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4961 号  2019・2・20(水)

2019/02/20

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 わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」4961号
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        2019(平成31)年  2月20日(水)



         「中曽根君を除名する!」: 渡部亮次郎

       「キーウィ・ツーリズム」を犠牲に:宮崎正弘     

    「柔軟路線へ移行する米国の対北朝鮮政策:櫻井よしこ                                               
                      話 の 福 袋
                        反     響
                      身 辺 雑 記





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「中曽根君を除名する!」
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       渡部 亮次郎

河野一郎さんの命日がまた巡って来た。7月8日。昭和40(1965)年のこと。 死ぬ2日前(6日)の夕方、東京・麻布台の事務所を訪ねると、広間のソ ファーで涎を垂らして居眠りしていた。

黙っていると、やがて目を覚まし、バツが悪そうに涎をハンカチで拭い た。何を考えたのか「従(つ)いてき給え」と歩き出した。

派閥(河野派=春秋会)の入っているビルは「麻布台ビル」といったが、そ の隣に建設省分室と称する小さなビルが建っていた。元建設大臣としては 殆ど個人的に占拠していたようだった。

向かった先はそのビルの4階。和室になっていた。こんなところになんで 建設省のビルに和室があるのかなんて野暮なことを聞いてはいけない。

「ここには春秋会の奴らも入れたことは無いんだ」と言いながら
「今度、ボクはね、中曽根クンを春秋会から除名しようと決めた。
奴はボクが佐藤君とのあれ以来(佐藤栄作との総裁争いに負けて以来)、 川島(正次郎=副総裁)に擦り寄っていて、数日前、一緒にベトナムに行き たいと言ってきた。怪しからんのだ」

「河野派を担当するならボクを取材すれば十分だ。中曽根なんかのところ へは行かないのが利口だ」とは以前から言っていたが、派閥から除名する とは只事ではない。

思えば河野氏は喉頭癌のため退陣した池田勇人(はやと)総理の後継者と 目されていた。しかし、河野側からみれば、それを強引に佐藤栄作支持に 党内世論を操作したのは誰あろう川島と三木(武夫)幹事長だった。

佐藤に敗れた後も無任所大臣(副総理格)として佐藤内閣に残留していた が,政権発足7ヵ月後の昭和40(1965)年6月3日の内閣改造で河野氏が残留を 拒否した事にして放逐された。

翻って中曽根康弘氏は重政誠之、森清(千葉)、園田直と並ぶ河野派4天 王として重用されてきた。それなのに川島に擦り寄って行くとは。沸々と 滾る「憎悪」をそこに感じた。その頃は「風見鶏」という綽名は付いてな かったが、中曽根氏は元々「風見鶏」だったのである。

そうした隠しておきたい胸中を、担当して1年にもなっていないかけだし 記者に打ち明けるとは、どういうことだろうか。

7月6日の日は暮れようとしていた。「明日は平塚(神奈川県=選挙区)の 七夕だからね、今度の参議院選挙で当選した連中を招いて祝勝会をするか らね、君も来なさい。ボクはこれからデートだ、では」

それが最後だった。翌朝、東京・恵比寿の丘の上にある私邸の寝室で起き られなくなった。日本医師会会長武見太郎の診断で「腹部大動脈瘤破裂、 今の医学(当時)では打つ手なし」。翌8日の午後7時55分逝去した。享年 67。武見は{お隠れになった}と発表した。

当日、奥さんに招かれてベッドの脇に居た私は先立つ7時25分、財界人 (大映映画の永田雅一,北炭の萩原社長,コマツの河合社長らが「南無妙法 蓮華経」とお題目を唱えだしたのを「死」と早合点し、NHKテレビで河野 一郎を30分早く死なせた男として有名になる。

死の床で「死んでたまるか」と言ったと伝えられ、「党人政治家の最期の 言葉」として広くこれが信じられてきたが、河野洋平氏によると「大丈夫 だ、死にはしない」という穏やかな言葉で家族を安心させようとしたのだ という。これも犯人は私である。

河野氏が死んだので中曽根氏は助かった。「河野精神を引き継ぐ」と1年 後に派閥の大半を継承。佐藤内閣の防衛庁長官になって総理大臣への道を 歩き始め多。風見鶏は幸運の人でもある。

以下はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を参照のこと。

河野 一郎(こうの いちろう、1898年(明治31年)6月2日生まれは、自由 民主党の実力者。死後、従二位勲一等旭日桐花大綬章。河野は神奈川県選 出の国会議員のなかでは実力者であり、県政にも強い影響力があったので 神奈川県を「河野王国」と呼ぶ向きもあった。

参議院議長をつとめた河野謙三は実弟。衆議院議長であり、外務大臣、自 由民主党総裁、新自由クラブ代表をつとめた河野洋平は次男。衆議院議員 外務大臣河野太郎は孫である。

建設大臣時代、国際会議場建設計画があり、選挙区内の箱根との声が地元 よりあがったが、日本で国際会議場にふさわしいところは京都である・・・ との考えで京都宝ヶ池に国立京都国際会館建設を決めた。しかし、完成し た建物を見ることなく亡くなっている。

地元よりの陳情を抑えての決断は現在の政治家にもっと知られてよい事例 であろう。

競走馬のオーナー・牧場主としても有名。代表所有馬に1966年の菊花賞馬 で翌年の天皇賞(春)で斃れたナスノコトブキなどいわゆる「ナスノ」軍 団があった時代もある。

河野は担当大臣として東京オリンピック(1964年)を成功に導いたが、市川 崑の監督した記録映画に「記録性が欠けている」と批判して議論を呼び起 こした。

酒を全く飲めない体質だったが、フルシチョフにウォッカを薦められた際 に、「国益のために死ぬ気で飲んだ」とよく言っていた。

1963年、憂国道志会の野村秋介により平塚市の自宅に放火される。その日 は名神高速道路の開通日で河野はその開通式典でくす玉を引いている。

三木武夫が大磯の吉田茂の自邸に招かれた際、応接間から庭で吉田が笑っ ていた様子が見え「随分ご機嫌ですね」とたずねると「三木君は知らんの か! 今、河野の家が燃えてるんだよ!」とはしゃいでいた。「罰が当っ た」と吉田周辺はささやいたと言う。二人は互いを不倶戴天と言ってい た、終生。2008・07・05



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「キーウィ・ツーリズム」を犠牲に
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019年)2月18日(月曜日)弐
         通巻第5995号   
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「キーウィ経済」「キーウィ・ツーリズム」を犠牲にしてもファーウェイ排斥
ニュージーランド政府、ファーウェイ製品の禁止を正式決定
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ニュージーランド政府も、ファーウェイ製品の前面禁止を正式決定した。
 
これで「ファイブ・アイズ」(英・米、豪、カナダ、NZ)加盟国はすべ て中国のファーウェイを禁止したことになる。

中国はニュージーランド(以下「NZ」)への憤懣やるかたなく、カナダ 人13人を拘束し、豪の作家を拘束したように、何かの報復手段に出るだろ う。すでにニュージーランド学界では、中国旅行には行かない雰囲気が支 配しているという。

1月にはオークランドを飛び立ったNZ航空機が、上海で着陸許可が出ず に引き返すという事件が起きた。両国関係に殺伐とした空気が流れた。

NZへの観光客は年間380万人、このうちの15%の57」万人が中国人であ り、どこへ行ってもチャイナチャイナとなっていた。今年は「中国人観光 イヤー」とも命名され多彩な行事が予定されていた。

中国人観光客は金使いがあらく観光業界のインバウンド収入は160億ド ルにも登るという統計がある。「キーウィ経済」とからかわれるNZから 中国への輸出は150億ドル。さらに中国人投資家による不動産投資が 15億ドルの巨額に達している。首都のウエリントンばかりか、古都オー クランドもクライストチャーチも。。。

NZにとって中国は「大事なお客様」であり、ジェンシンタ・アーデン首 相(女性)は春節にわざわざオークランドで開催された祝賀行事には出席 して両国の友好を謳ったばかりである。

ところが英国のフィリップ・ハマンド外相が北京訪問を延期したように、 アーデン首相は昨年末に予定していた中国訪問を延期した。

英もNZも、北京訪問予定を未定とし、「国家安全保障が優先する」と抽 象的なコメントでお茶を濁した。

背後にあるのは諜報機関の連携、情報を共有する「ファイブ・アイズ」の 誓いが機能しているという国際政治の舞台裏を思いおこしておく必要があ る。NZは大英連邦の主要構成国であり、ガリポリの戦役では英国の要請 に基づき、豪軍とともにトルコへ軍隊を送った。

中国は「ファーウェイ製品にスパイ装置を施してはいない」としらけるよ うな反論を繰り出したばかりか、NZの主要新聞すべてに全面広告を打っ て反撃キャンペーンに乗り出した。

そのファーウェイの反論宣伝コピィ曰く

「ファーウェイなくして5Gを実現するなんて、NZなしくてラグビー大 会をするようなもの」 
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1860回】             
 ――「劣等な民族が自滅して行くのは是非もないこつたよ」東京高商(1)
東京高等商業學校東亞倶樂部『中華三千哩』(大阪屋號書店 大正9年)

                   △
東京高等商業学校(一橋大学の前身)で「日頃東亞の研究に志す者が相集 つて互に意見を交換したり先輩の講演を聞いたりしてゐる我東亞倶樂部々 員」の長年の悲願がかなったのが大正8(1919)年の夏。

「一行30人が4」旬に渉つて支那を南から北へ旅行した」。「本書は即ち その紀行文であつて支那が我々日本青年の目に如何に映じたかを語」つた ものだ。

東亜倶楽部による旅行は、時期的は河東碧梧桐(1843回~53回)のほぼ1年 後であり、大町桂月(1854回〜59回)と同じ時期。であればこそ、東亜倶 楽部の若者と河東や大町ら大人との隣国事情に対する考えの違いを知るこ とができるだろう。

大人と若者という世代間の考えの違い。同じく隣国に向き合いながら、若 者の考えに時代環境の違いがどのように反映されているのか。興味深い点 から読み進んでみたいと思う。

これまで若者の紀行文としては『滿韓修學旅行記念録』(1599回〜1608 回)と『大陸修學旅行記』(1712回〜17回)を読んでいるから、この2冊 と『中華三千哩』を読み較べれば、明治末年と大正初年、それに大正8年 ――清朝最末期、辛亥革命直後、さらなる混乱期――において、日本の若者が 隣国をどう捉え、どう対処しようとしていたのか。

冒頭に寄せられた東亜倶楽部に関係する東京高等商業学校の教授や先輩か らの「序」を読むことで、当時の大人の隣国に対する考え方と、若者に寄 せる彼らの『熱い期待感』が想像できるように思うので、そこら辺りから 当たってみたい。

「之(『中華三千哩』の草稿)を一讀するに、支那の民情を探り、風物を 描き、史蹟を訪ね、大陸的氣分を稱する處、その觀察にその行文に、概觀 的なるにもせよ、支那の實情を髣髴たらしめ、且學生的氣分の?溢して」 いる。「刻下、列強の耳目再び東亞の天地に集注せられ、支那問題の朝野 に喧しき時に當つて、此書が一般人士殊に青年に稗?する處蓋し鮮少では あるまい」(法學博士 佐野善作)

「今回の戰爭で養はれた我實業上の勢力が漸次其根を張つて來たことで第 一が貿易次が海運金融紡績等の順序で發展して居る」。「地方別にすると 何と云ふても滿洲方面が第一で殆ど内地の感があり次で青島上海天津漢口 などの順で列強を壓して來て居る」。「歐米方面からも將來豫想した程の 資本が入つて來る模樣もないので今後我が實業界の充實と共に支那内地に 於ける産業の調査及事業の計畫が?盛んに我が實業家を中心して企てられ る」。

「次に拝日問題で注意すべき一事は」、「歐米の商品を扱つて居るものが 故意にやる外は支那で相當名のある實業家や多數商人は一般に日貨排斥の 意志を眞から持つては居ないので唯學生の危害を惧れるのと民衆への氣兼 から形式的にやつて居る仕事である云ふ點である」。

だが内陸部はともかく「上海其他開港地の隆々たる發展」は凄まじく、 「その發展は大部分粗界(租界の誤りだろう)に於ける外國人の力に因る のであるが支那人の覺醒も決して見遁かすことは出來ない」(引率者の奈 佐忠行教授)

日本は混乱の隣国に「殆ど献身的に過去の半世を消過」し、やっと「天産 物の潤澤と交通の至便とを覺知し得」た時点で、「漸く歐米列強の鷹?虎 視常に中國を離去せざるの理由を闡明し、?ち豁然會得する所あり」。 「由來東亞は東亞の天地」であり、「之を拓殖するは東洋人の天職」だか ら、「列強の脅威干渉を許さず」。「同文同種の天縁あ」る両国は「具に 和衷共濟通工易事の本能を發揮し憂國愛民的理想に依り斷乎勇往邁進せば 列強の覬覦睥睨も毫も怖るゝに足らざるなり」。

だが、「今や中日兩國は歐米某國の惡辣煽動教唆に基く種々の猜疑に由 て、深大なる誤解を胚胎し或は又其使嗾に依る謡言蜚語の影響を受けて」 いるそうな。《QED》
       
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読者の声 ☆どくしゃのこえ ★READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)「林原チャンネル」の人気番組「いわんかな」のお知らせ です。下記の番組は既に配信されております。 

「いわんかな 〜日本の国益を考える会 」。出演はホスト堤堯(元『文藝 春秋』編集長)、ゲストが宮崎正弘、そして出演は馬淵睦夫(元ウクライ ナ大使)、日下公人(エコノミスト)、高山正之(コラムニスト)、福島 香織(ジャーナリスト)、志方俊之(元陸将。帝京大学教授)ほかの皆さ ん(順不同、敬称略)です。

#20-1【米中戦争2019・前編★崖っぷちの習近平・中共崩壊の序章】
https://youtu.be/p21mLKtYLpk

#20-2【米中戦争2019・後編★中国共産党建国70年、もう限界!】
https://youtu.be/YlY9PMhLKfo(林原チャンネル)

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(読者の声2)三島由紀夫研究会の2月の公開講座はヴルピッタ・ロマノ 先生が講演を行われます。内容以下の通りです。

             記

日時 平成31年2月25日(月)18時半より(18時開場)
会場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
   JR/地下鉄市ヶ谷下車2分
講師 ヴルピッタ・ロマノ氏(作家、京都産業大名誉教授)
演題 三島由紀夫に思いを寄せて〜現状を考える

(講師略歴 昭和14年(1939年)ローマ市生れ。1961年ローマ大法学専攻 卒。東大留学を経てイタリア外務省入省、EU駐日代表部次席代表など歴 任。京都産業大名誉教授。主な著書に「不敗の条件〜保田與重郎と世界の 思潮」「ムッソリーニ〜イタリア人の物語」(何れも中央公論社)などが ある。憂国忌発起人)
会費 会員・学生1千円(一般2千円)


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「柔軟路線へ移行する米国の対北朝鮮政策 
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             櫻井よしこ

柔軟路線へ移行する米国の対北朝鮮政策 日本にとっても朝鮮半島外交は 正念場だ 」

トランプ米政権の北朝鮮担当特別代表、ステファン・ビーガン氏が、その 職に就いて5カ月、初めて公式の場で講演した。

1月31日、スタンフォード大学での講演で明確になったのは、トランプ政 権の対北朝鮮政策の進め方が変わるということだ。一口にいえば、北朝鮮 が核廃棄を明確な形で成し遂げない限り見返りは与えないという、日本が 繰り返し主張してきた原則論から、より柔軟な路線への移行をトランプ政 権は考えているとみられる。

ビーガン氏は開口一番、「トランプ大統領は戦争(朝鮮戦争)を終了させ る準備を整えている。終わったのだ。我々の北朝鮮侵略はない。我々は北 朝鮮の政権転覆を目指してはいない」「私、そしてもっと大事なのは合衆 国大統領が、過去70年間の朝鮮半島における戦いと憎しみを終わらせる時 だと確信していることだ」と、述べた。

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長への妥協で在韓米軍の撤退もあり得る かとの懸念に関して、「そのような交渉はまったく行われていない。過去 にもない」と強調したが、こうも述べた。

「金正恩は、米国が相応の対策をとる場合、すべてのプルトニウム及びウ ラニウム濃縮設備を解体し破棄することにコミットした」「我々の側は (それに対応する)多くの具体策を議論する準備を整えている」

ビーガン氏は北朝鮮の非核化に非常に楽観的だが、これより前の1月20 日、政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)が北朝鮮の東倉里ミ サイル施設の解体作業が進んでいないことや、未公表の複数の核・ミサイ ル関連施設が存在することを示す画像を公開した。29日には国家情報長官 のダン・コーツ氏が、「北朝鮮が核兵器を完全に放棄する可能性は低い」 と上院情報特別委員会で証言した。

ビーガン氏はこうした情報について、「情報の正確性ではなく、公開の仕 方が不満だ」とし、「もし、私なら同じ情報をこのように公開するでしょ う──米国への深刻な脅威がここに存在している。我々の外交路線を変える ことで北朝鮮を変えることができるかを見極めるために、北朝鮮と外交関 係をより深めることが重要だ、と」。

米国はなぜこんな希望的観測に基づく柔軟路線に転換したのか、その背景 はビーガン氏の講演から読みとれる。

「トランプ大統領と金委員長の方式はトップダウンです。成功すれば二国 間関係は根本的に生まれ変わる」

過去5カ月間、北朝鮮との交渉の時期と場所を決定するのにも大いに苦労 したビーガン氏は、北朝鮮は真意を測り難い国だと言う。だが、トランプ 氏は北朝鮮非核化をいつも「希望に燃えた星のような目」で語るそうだ。 トップダウンで北朝鮮の非核化を達成できる、トランプ氏はそう確信して いるということであろう。そのような型破りの二人の首脳を信頼すれば、 年来の常識的外交路線から離れて、両首脳の「手腕」に期待することにな るだろう。

米国の北朝鮮外交は日本のそれに直接的かつ大きく影響する。横田めぐみ さんら多くの日本人が今もとらわれている。北朝鮮への姿勢を緩めて大丈 夫か、とトランプ氏の前のめりの姿勢に懸念を抱くのは当然である。

別の理由からトランプ氏の北朝鮮政策に気を揉んでいるのが中国国家主席 の習近平氏だ。安易に論ずることはできない中朝関係だが、中国が北朝鮮 の動向掌握に努め、北朝鮮と米国が、中国の頭越しに関係を深めていくの を恐れているのは確かだ。何としてでも北朝鮮をコントロールし、朝鮮半 島を影響下に置いておきたいのである。

しかし今、トランプ氏の進める外交はまさに中国の頭越しになりかねな い。韓国が北朝鮮につき従い、米朝が結び、中国が反発するという展開も 含めて、日本にとっても、朝鮮半島外交は正念場。緩和策の危険を米国に 説く時だ。
『週刊ダイヤモンド』 2019年2月16日号
 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1267 


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読 者 の 発 言
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 ◎トランプ大統領がどう出るかは予断は許さないが:前田正晶

トランプ大統領対金正恩委員長の会談:

2回目の会談がもう来週のことになってきた。経験から言えることは「ア メリカの会社では会議が招集されて実際に始まった時には既に終わってい た」と言っても良いほど事前に参加する各人に課題が割り当てられ、十分 に練り上げた原稿と質疑応答に備えた準備が整っているのがごく当たり前 のことだった。また、得意先との交渉においても相手先の意向を可能な限 り調べ上げて、対応する議論の進め方を周到に準備したものだった。

そういうアメリカ式な手法をDPRKが何処まで把握しているかは不詳だが、 私は事前に事務方同士が十分な時間を取って話し合って、議題を練り上げ て準備万端整えてあっても不思議ではないと思っている。だが、1回目の 成果とその後のDPRKの動きを見る限り月並みだが、*即時の完全非核化で 両首脳が合意に達するか、*妥協的な段階的非核化をトランプ大統領が認 めて制裁を緩和するか、*何らの具体的結論無しに3回目に落ち着くか辺 りしか見えてこない気がしてならない。

ではあっても、再選を睨んでいるトランプ大統領の立場からすれば、何ら かの具体的な成果を得ることが必要だろう。だが、ここで金正恩委員長と 何らかの妥協する訳にはいくまいから、矢張り難しい会談になるとしか思 えない。トランプ氏は金正恩委員長の関係は“good
one”と一般教書演説の中で言いきった以上、如何なる交渉をして結果を出 されるかを期待して見守っていくしかあるまいと思う。

アメリカ対中国の貿易交渉:

トランプ大統領は3月1日の期限を延ばしても良いようなことを仄めかして おられたが、それが得策が否かは疑問ではないのか。神田外語大学の興梠 教授は人民日報と環球時報の記事を引用して「中国側には『原則』(=中 国の現体制)を変える気はない」と指摘しておられた。中国側はトランプ 大統領を「商人」(ビジネスマンの意味らしいが)と看做しているようだ が、この交渉でこれから先に変える意思はないと言う習近平体制と、どの ような交渉に持って行くかは最大限の注意を払って見守るべきだろう。

私には習近平主席がどれほど国際的な貿易業務や慣行を承知しているか等 は察知できないが、彼らはWTOも何のそので世界市場で荒れ回っているの は確かだと思う。5〜6年前だったか、アメリカの製紙業界の請願で商務省 が中国の対アメリカの印刷用紙のダンピングを調査したことがあった。そ の時に出た結論は「中国政府は輸出に奨励金を交付し、国内の物品税等を 免除しているのは不公正である」として、高率の反ダンピングと相殺関税 をかけて締め出してしまった。オバマ政権時代のことだ。

要するに、中国はこの頃既に輸出奨励金を交付して国営企業等々を後推し てしていたのだった。トランプ政権下でその奨励金を非難しているが、こ れだけはオバマ政権時代を踏襲していることになっているようだ。私が危 惧していることは、中国が「商人」と規定したトランプ大統領の貿易関連 の知識には少し危ないかと思わせる点がある。その点は昨夜のPrime
Newsでも指摘されていたが、トランプ大統領は「中国からの輸入に高率の 関税をかけたことで、財務省にドンドンと税金が入ってきている」と嬉し そうに言われたが、あれは中国が払っている訳ではなくアメリカの輸入業 者が納めているアメリカのお金なのだ。何か勘違いされたのだろう。

そういう点ではトランプ政権で初代の広報官・スパイサーズ氏は大統領が メキシコからの輸入に20%だったかのボーダータックスをかけると表明さ れた時に「これでメキシコの業者は大きな負担をすることになる」と発言 してしまい、後になって慌てて訂正していたという一幕があった。この一 事だけを以て論じる気はないが、アメリカはそもそも内需に依存する経済 で基本的に輸出国ではないのだから、海千山千の中国との交渉は十二分の 用心が必要になるだろうと思う。

今となっては「中国の統計は云々」などとは軽々に言えないとは思うが、 関税賦課競争が始まって以降、中国の対アメリカ輸出はそれほど大幅には 減少していないという統計が公表されているそうだ。アメリカ側はライト ハイザー代表以下はじっくりと腰を据えて中国と渡り合っていかない限 り、トランプ大統領な重要な公約の一つである対中国の貿易赤字削減は簡 単には捗らないと懸念するものだ。何しろ「輸出奨励金は止めない」と既 に公言しているのだから。

          

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身 辺 雑 記
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19日の東京湾岸は快晴、爽快。

19日の東京湾岸は曇天。

                      読者:5587人



                          


                        














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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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