政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針4936 号  2019・1・26(土)

2019/01/26

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わたなべ りや うじらう のメイ ル・マガジン「頂門の一針」4936号
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        2019(平成31)年  1月26日(土)



            中国発「大不況」に備えは:宮崎正弘

              赤穂浪士や龍馬の人気:渡邊好造

      現在革命続行中、文在寅政権の異常さ:櫻井よしこ          
          
                      話 の 福 袋
                       反     響
                      身 辺 雑 記
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中国発「大不況」に備えは
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019年)1月25日(金曜日)弐
        通巻第5968号    
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中国発「大不況」に備えは出来ていますか?
  発端はアップルのスマホ売り上げ急減、株の大下落からだった
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凄まじい勢いで日本の景気が悪化している。米国も悪化の兆しがでた。

元凶は中国だが、この中国の経済構造にビルトインされたシステムの下で 成長してきたアジア諸国が軒並み不況ムードに蔽われた。日本経済も例外 ではない。

「アップル・ショック」というのは2019年1月4日、ティム・クック CEOが「中国でのスマホの売り上げが10%落ち込んだ」と発表したこと を受けて、同社株価は9・22 %の大下落、半年で35%強も下げた。

このためアップルばかりかスマホ関連企業が悲鳴を挙げた。とくに香港株 式は10%の下落となり、日本でも部品、ICなどを供給している多くの メーカーの株価が5−8%も下がった。目立った下げが日本電産、京セ ラ、村田製作所などだったことは投資家ならずとも周知の事実だろう。
 鵬海精密工業は河南省鄭州の工場で五万人をレイオフし、代替工場をイ ンドに移転して稼働すると発表したため、同社従業員が騒ぎ出した。
 
景気後退というより、状況はもっと悪い。

中国の就職戦線。ハイテク技能を持つ理工系ですら、応募倍率が32倍と いう難関になり、これまで会社を移るたびに給与を増やしてきた「トラ バーユ・ジャンプ組」も「向こう十年はいまの会社にしがみつく」と言 う。リクルート代理店、人材スカウト会社も閑古鳥である。

或るコンピュータ企業は2018年8月まで毎月、技能者を8人平均で雇用 し、輝かしい未来を約束されたかに見えたが、12月に突然半分の社員が解 雇された。

華字紙が大きく報じた事例はベンチャーの「マインドレィ社」(本社深せ ん、従業員7千名、NY上場の優良企業)の新卒内定者取り消しという ショックだった

マインドレィ社は急成長を続けてきたため、2017年には430 名の新規採用 があった。18 年には中国全土50の大学から成績優秀の理工系学生485名を 採用した。ところが昨師走になって、このうちの254名を内定契約破棄、 補償金として約束した給与の3分の1を支払うとした。
若者たちの未来は真っ暗、この先、どうなるのか?

夥しい不況の実例が『サウスチャイナ・モーイングポスト』(1月24日) で報じられている。

ベンチャーキャピタルは2018年の年初と比較して第3・四半期には25%の 激減ぶり、たとえばバイクレンタルのベンチャー・ビジネスは50都市で派 手な営業を展開したが、倒産が目立ち、1400万人のユーザーが補償金を返 せと訴えている。

とりわけ厳しい環境に転落したのはアリババ、バイドゥ(百度)と並ぶ御 三家のテンセントに代表されるゲームソフトのベンチャーだった。
カジノ・ゲーム開発ベンチャーなど30%の落ち込みとなった。いよいよ 中国経済の破綻は秒読み、備えはできていますか?
   
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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 監視システムは顔認証で6万人のスタジアムから指名手配犯を見つけ出した

SNSの監視によって潜在的な反党人物を割り出して家族に圧力をかける

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坂東忠信『移民戦争』(青林堂)
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元警視庁通訳捜査官の坂東さんの新作である。明日にも発生しそうな大量 難民だが、我が国政府は『移民を増やす』と頓珍漢極まりない危険は方針 で暴走を始めた。
欧州でいまおきていることを対岸の火事として高みの見物、明日は我が身 という警戒心は稀薄であり、移民法があっという間に国会で成立したこと に保守の政治家はほとんど抵抗を示さなかった。

 安倍政権をどちらかといえば支持してきた多くの保守層が、見限った瞬 間でもある。したがって今後おこることはナショナリト政党ではないか。 ドイツでフランスで「極右」と左翼ジャーナリズムから批判される愛国者 政党は着実に、いや飛躍的に勢力を伸ばし、イタリアで、オーストリアで 政権の座についた。

全ては移民への反感ばかりか、実際に移民に職を奪われたか、賃金が下 がってしまい、自分の問題として移民問題を真剣に考えれば、ナショナリ ストが主張していることが正しいという流れになったのである。

坂東さんは、対策提案のユニークさにかけても定評があるが、中国の断末 魔がいずれ百万の難民を発生させると氏は大胆に予測し、しかも多くが 『偽装難民』となるだろうと予言する。

このいやな未来への対策についての坂東氏のアイディアは本書によってい ただくとして、本書の余滴部分で、大事なポイントが幾つかある。

中国の顔認証技術は、交通警察官のサングラスにも装填されていることか ら、世界一だろうが、14億人のスキャンリサーチが可能の段階まで発展し ており、「その確度は99・8%。江西省の南昌市警察の発表では、このシ ステムにより六万人が参加する音楽フェスティバルで指名手配犯を割り出 し逮捕した」(中略)「貴陽市では顔認証システムによりBBC(英国放 送協会)の記者を発見、当局は彼を7分で身柄拘束しています」
 そればかりではない。ビッグデータによって、プライバシーは当局に筒 抜けとなった。

「個人メール、クレジットカード消費金額、ファイナンスリース、ホテル の部屋、旅行、結婚・恋愛、ジャンル別情報」等々によって「ネットゲー ムで一日に十時間を超える人物は『ネットの暇人』としてカテゴライズさ れ、またネットでおむつを買う人物は『社会的責任感を期待できる人物』 として認識している」そうな。

SNSを見張り、すこしでも反党的言辞を吐く人物がいたら、家族を脅す。

もう一つ、面白い箇所がある。ファーウェイ誕生秘話である。

中国産業部長だった呉基伝が、「巨竜通信」「大唐通信」「中興通訊」 「華為技術」と命名して、これらを横に並べると「巨大中華」と「龍唐興 為」となる。

「龍たる唐を興して巨大中華と為す」と読める、このネーミングにも中国 の隠された野心が存在している。
         
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■読者の声 ☆どくしゃのこえ ★READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)人種差別撤廃提案100周年記念国民集会のお知らせです。

1919年2月13日、日本政府はヴェルサイユのパリ講和会議における国際連 盟規約を草案する委員会で、人種差別の撤廃が規約に盛り込まれるように 提案しました。

米英などの反対に遭い実現しませんでしたが、その後の歴史に大きな影響 を与えた画期的な提案でした。

その百周年、2月13日に記念の国民集会が下記の通り開催されますので、 ご案内します。皆様のご来駕をお待ちしています。

                 記

・日時:平成31年2月13日(水)17:45開演(17:00開場)
・会場:憲政記念館講堂 半蔵門線・丸ノ内線永田町駅2番出口、有楽町 線1番出口
・来賓あいさつ:山田宏参議院議員
・講演:
加瀬英明(外交評論家)人類最大の革命は「人種差別撤廃」の実現
頭山興助(呉竹会会長)無名烈士の壮挙
山下英次(大阪市立大学名誉教授)
    「日本の人種差別撤廃提案100周年」戦勝国史観を覆すとき
藤田裕行(二宮報徳連合代表)ジェラルド・ホーン『人種戦争』の意義
茂木弘道(「史実を世界に発信する会」 代表代行)
     大東亜会議〜世界初の人種差別撤廃宣言
高橋史朗(明星大学教授)人種差別心理学の典型例としての「菊と刀」
ぺマ・ギャルポ(政治学者)チベットにおけるエスニック・クリンシング
トゥール・ムハメット(日本ウイグル連盟代表)中国のウイグルジェノサイド
・代表発起人・発起人
   http://www.sdh-fact.com/CL/100u.pdf
・参加費 1000円
・チラシ:http://www.sdh-fact.com/CL/100o.pdf
       (「史実を世界に発信する会」 )
           
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1848回】         
――「支那はそれ自身芝居國である」――河東(6)
  河東碧梧桐『支那に遊びて』(大阪屋號書店 大正8年)

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数千年の歴史と文明を徒に誇りにはするが、この国に過去はない。

極論するなら、彼らにとっての過去は、自らの立場を補強するための方便 に過ぎない。確かに歴代王朝の歴史を綴った正史をはじめとして膨大な歴 史書群は残されているが、そこに記された史実は真偽を問う前に、専ら善 悪が基準となって採用されているのである。

なによりも道徳が基準となって史実が判断されるから、勢い荒唐無稽な議 論が罷り通ってしまう。

先人の営みを道徳によって裁こうというのだから、どだいムリな話だ。

 たとえば文革時、「毛主席の親密な戦友」と持ち上げられ党規約で毛沢 東の後継者とされた林彪ではあったが、権力闘争の果てに遂には毛沢東に 対する叛徒とされ抹殺されていた。抹殺の理由として挙げられた公式的見 解に「林彪は孔子の熱心な信奉者」が加わる。

 林彪の書斎を捜索すると「克己復礼」の4文字を発見した。それさえも 怪しいが、林彪のモットーは「克己復礼」と断定されてしまう。「克己復 礼」は孔子の封建思想の柱であればこそ、林彪は封建社会再興を狙い、毛 沢東が目指す社会主義社会建設に反対した。いいかえるなら毛沢東思想に よる道徳律に照らして悪である孔子の考えを信奉したがゆえに、問答無用 で林彪は悪というリクツだ。もうそうなったら最後、林彪の一生は凡てデ タラメ・インチキで毛沢東に反対する陰謀で終始していたとされて一巻の 終わり。正直な話、林彪が本当に孔子を信奉していたのかなどといった考 察は、この際、一顧だにされない。

20世紀後半の社会で、共産党独裁政権内の権力闘争において政敵抹殺の正 当性の論拠が古代社会に生きた“聖人”というのだから、奇妙と言う他はな い。林彪批判の論拠に孔子を持ち出すことは、たとえるならアメリカでト ランプ大統領の政治姿勢を非難するに当たってワシントンやリンカーンを 引っ張り出すようなものだろう。どう考えても中国以外では通らない屁リ クツの類だろうに。

それにしても林彪批判の材料にされるとは、孔子サマも浮かばれまい。
 じつは文革時代、孔子は諸悪の根源であり、封建王朝・封建搾取のイデ オローグであり、有史以来の民族最大の大悪人と蔑まれ否定されたものだ。

「封建王朝に『至聖』などと崇め奉られる孔子ヤロー」を断固として許す わけにはいかない、というのだ。ところが現在では孔子学院、孔子平和賞 (まだ続いているのか!?)など共産党政権の正統性を補強するための “ツール”として重用されている。時に地獄の門の入口にまで墜とされ、時 に天高く持ち上げられる。孔子サマとしてもタマラナイ。嗚呼、妄言冷 血、鮮ナシ真・・・。

やはり孔子サマにゴ同情申し上げる次第であると同時に、じつに身勝手な 屁リクツを捏ね繰り回す民族であることを改めて心に牢記しておきたいも の。であればこそ、こういった思考回路を持つ方々と歴史認識を一致させ ようなどと、まるで太陽を西から昇らせるに近いほどの不可能事と心得て おくべきだろう。

 閑話休題。

河東は旅に古くからの舟を利用したが、なかでも足蹴船と呼ばれる原始的 な様式の舟に興味を持つ。

「此足蹴船は、禹の治水時代に人間經濟から割出した進歩した便法であつ たものであらう、それが其のまゝに進歩もせずに保留されてゐるのだら う。一方に蒸氣機關や瓦斯エンヂンがとめ度なく發達して行く世の中に、 南洋の土人のそれと同じやうに、神代に近い物の其の儘の面影を見得るの を、寧ろ一個の軌蹟としてよりも、文化運動中の有り勝な事相として、反 進化論にも相到せしめらるゝものだつた。總ての過去を葬るに吝かならぬ 支那人にも、それと兩極端な思想が存することが、別な興味を惹くのでも あつた」という。
      
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 福島香織(ジャーナリスト)のチャイナ・ウォッチング
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台湾をめぐって何かが起きるかもしれない
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                 福島香織(ジャーナリスト)

 台湾をめぐって何かが起きるかもしれない  ほとんど恫喝、習近平の危 うい台湾政策【JP PRESS:2019年1月24日から転載】

習近平が2019年初頭の「台湾同胞に告げる書」40周年記念行事で発表した 台湾政策がかなり激しい。恫喝を交えながら一国二制度による「平和統 一」を台湾政府に迫る内容だった。

もちろん、江沢民の台湾政策(江八点)の方が、武力統一を強調していた という意見はあろう。だが江沢民は「できるだけ早く」といった抽象的な 期限しかいっていない。一方、習近平の演説には、あきらかに自分の代で 台湾との統一を実現するという強い意思が感じられ、しかもそれをやりか ねない中国内外の情勢も見てとれるので、怖いのだ。

この脅迫めいた呼びかけに蔡英文はきっぱりと反論。はっきり「92年コン センサス」(中台が「一つの中国」原則を確認するという合意)を認めな い立場を強調した。昨年(2018年)の統一地方選の惨敗で、党内外から批 判を受けていた蔡英文は、その対応により支持率が盛り返した。やはり恫 喝は台湾人の反感しか呼び起こさない。
だが、蔡英文政権の支持が上がると、中国との対立姿勢がなおさら先鋭化 してくるだろう。しかも米国も台湾に急接近。今年、台湾をめぐって何か が起きるかもしれない、という予感に満ちている。

◆歴代指導者が発表してきた台湾政策

習近平の台湾政策とはどういったものか。その前に、習近平が大晦日に 行った恒例の「新年のあいさつ」で、必ず冒頭に入れていた香港、マカ オ、台湾同胞および海外華僑同胞への祝賀が入ってなかったので、お やっ? と思った人も多かっただろう。

一部では、香港、マカオはもはや取りたてて挨拶するほど特別な存在では ない中国の一地方都市に成り下がったからだ、と囁かれた。では、台湾も 無視していいほど中国化が進んでいると思っているのか。昨年の台湾統一 地方選では与党民進党が惨敗で、蔡英文は党首を引責辞任、行政院長の頼 清徳も辞任しており、蔡英文政権など相手にせずともいい、と思ったの か、などと話題になった。

だが年明け1月2日、習近平は「台湾同胞に告げる書」40周年記念行事で台 湾に対する強烈なメッセージを発する。

 「台湾同胞に告げる書」は1979年1月にトウ小平が発表した国共内戦後 初めて中華民国に対し軍事的対峙を終結させ平和統一を呼びかけた文書で ある。その後、歴代指導者は必ず任期中に自分なりの台湾政策を発表して きた。1981年全人代常務委員長だった葉剣英が発表した「台湾平和統一に 関する九条方針政策」(葉九条)や、83年に?小平の6つの主張(?六 条)、1995年江沢民が発表した「祖国統一大事業促進を完成し奮闘を継続 する」ための8項目(江八点)、2008年暮れに胡錦濤が発表した「手を取 り合って両岸の平和的発展を推進し、中華民族の偉大なる復興を一緒に実 現する」ための6項目(胡六点)だ。

江沢民の江八点は武力行使を放棄しないことを強調。だが当時の台湾総 統・李登輝が両岸の政治分離の現実や民主促進など6つの主張を含む反論 (李六点)を発表し、これに怒った江沢民が武力威嚇姿勢を打ち出して台 湾海峡危機を引き起こした。

一方、胡錦濤は胡六点で両岸の平和的発展に重点を置き、台湾の現実を考 慮した対話や融和政策を呼びかけた。もちろん胡錦濤政権は台湾が独立を 宣言した場合に非平和的手段を取ることを合法化する「反国家分裂法」 (2005年)を制定し、それをもって対台湾強硬派とみなす人もいるだろう が、これは当時の陳水扁政権に独立宣言をさせないことを目的としてお り、本当の狙いは現状維持であったと見られている。だが、結果的に親中 派の馬英九政権を誕生させ、胡錦濤政権時代が一番台湾人民の心を中国に 引き寄せ、中台統一に一番現実味が出た時期でもあった。

◆「習五条」から伝わる習近平の野望

 さて習近平は台湾政策として5項目(習五条)を挙げた。簡単に内容を まとめると、以下のようになる。
 
(1)平和統一の実現が目標。台湾同胞はみな正々堂々とした中国人であ り、ともに「中国の夢」を共有できる。台湾問題は民族の弱さが生んだも ので「民族復興」によって終結する。
(2)一国二制度の台湾版を模索。92コンセンサスと台湾独立反対という 共同の政治基礎の上で、各政党各界の代表者と話し合いたい。
(3)一つの中国原則を堅持。中国人は中国人を攻撃しない。だが武力行 使放棄は約束しない。外部勢力の干渉と少数の台湾独立派に対しては一切 の必要な選択肢を留保する。
(4)経済融合を加速させる。両岸共同の市場、インフラ融合を進める。 特に馬祖・金門島のインフラ一体化を推進する。
(5)台湾同胞との心の絆を強化。台湾青年が祖国で夢を追い実現するこ とを熱烈歓迎。

 武力行使放棄を約束しないという恫喝表現はじめ、江八点でも使われて いる表現が多いが、江八点よりも激しく感じられるのは、全体の文脈にに じみ出る、自分が権力の座にいるうちに何としても台湾を併合してみせる という意欲だろう。
 たとえば前言で両岸関係を振り返るにあたって「70年来」つまり建国以 来という表現を5回以上繰り返し、過去の指導者の台湾政策の流れにほと んど触れず、自分の意志を強調し、いかにも自分こそが建国以来の中国人 民の願いであった台湾統一を実現する当事者たらんという文脈で「祖国統 一は必須で必然」と強く訴えている。しかも、習近平が2049年までに実現 すると掲げている「中華民族の偉大なる復興」プロセスで台湾同胞は欠く ことができない、としている。「中華民族の偉大なる復興」は習近平個人 独裁確立とセットでタイムテーブルが設定されていることを考えれば、そ こに自分の任期中に台湾統一を実現させたいという野望が見て取れるだろう。

 また「一国二制度」を台湾に適用する考えは?小平から続いているもの だが、トウ小平時代の「一国二制度」と今の「一国二制度」が指す状況は 全く違うだろう。「一国二制度」は今の香港の現状をみれば、決して2つ の違う政治・経済システムが1つの国家の中で運用されているという意味 にはなっていない。香港はほとんど完全に中国化され、司法の独立も経済 の自由も「共産党の指導の下」という枠組みの制限がついている。共産党 が許す範囲の司法の独立であり、経済の自由であり、自治である。もはや 特別行政区の「一国二制度」は中国国内の自治区の自治と同じで、完全に 意味のないものになっている。なので、習近平がいくら「統一後の台湾同 胞の私有財産や宗教信仰、合法権益は十分に保障する」と言っても、それ が嘘であることは香港を見ればわかるのである。

 また江沢民も使った「中国人は中国人を攻撃しない」という表現も、台 湾人自身の過半数から8割前後が「自分は台湾人であって中国人ではな い」というアイデンティティを持っている現状では、台湾にとって何の安 全の担保にはならない。むしろ中国人は中国人を攻撃しないが、台湾人な らば攻撃する、というニュアンスすら感じる。習近平が打ち出した台湾政 策は、表現こそ江八点と共通点が多いが、全体の文脈としては、台湾に対 する恫喝度合いはずっと強い印象を受けるわけだ。

 さらに言えば、江八点が発表されたときの台湾は、稀代の老獪な政治家 と呼ばれた李登輝が国民党現役総統の時代であった。李登輝 VS 江沢民で あれば、政治家の力量とすれば間違いなく李登輝が上だろう。台湾海峡危 機が起きたとき、堂々と張りあえた李登輝政権の台湾と比較すれば、政権 としての力量は各段に劣る今の民進党・蔡英文政権が、江沢民時代より ずっと軍事的にも経済規模としても強大になった中国からの恫喝を交えた 圧力に対抗し続けられるか、という部分もあろう。

◆蔡英文政権は毅然と反論

 もちろん、この習五条に対して即日、蔡英文政権は毅然と反論し、明確 に「一国二制度は絶対に受け入れられないことは台湾の共通認識」と拒否 し、92年コンセンサスについて「終始認めたことはない」との立場を久々 に言明した。
 さらに台湾の人材、資本を大陸に吸収するような中国利益のための経済 統合に反対し、台湾ファーストの経済路線を主張。国際企業に「台湾」名 称を使うなと圧力をかけたり、台湾の友好国に札束で断交をせまるやり方 を批判し、どの口で台湾同胞と心の絆とかいうのかと言わんばかりの拒絶 を示した。
 また「民主的価値は台湾人民が非常に大切にしている価値と生活様式」 「大陸も民主の一歩を勇気をもって踏み出したらどうか」と呼びかけ、中 国が民主化しない限り統一はありえない、という姿勢をはっきりさせた。

 蔡英文は今までは現状維持を心掛けるあまり、中国に対する姿勢は慎重 になりすぎた傾向があり、そのせいもあって昨年の台湾統一地方選挙で与 党惨敗の結果を招いたとして党首職を引責辞任した。今回は習近平の恫喝 的な台湾政策にきっちり反論できたおかげで、多少は失地を挽回できたわ けだが、それでも2020年に総統再選の目はほとんどなく、民進党内の団結 も揺らいでいる。

◆「9」がつく年には乱が起きる?

 習近平は習五条を発表した2日後の中央軍事工作会議では「軍事闘争準 備」を呼び掛けており、あたかも台湾武力侵攻への準備を固めているよう な印象も与えている。蔡英文の反論を受けて中国世論には台湾武力統一論 が再び盛り上がってきた。
 実際に、中国が台湾に対して武力統一を行使する能力があるかどうか、 といえば、米国が台湾の民主主義と独立性守ることが自国の利益であると 考えている以上、台湾に手を出せば米中戦争に発展しかねず、中国に今、 米国と本気で戦える意思や能力があるかといえば「ない」とほとんどの人 が思うだろう。可能性としては非常に低い。
 だが、ペンタゴンが発表した「2019年中国軍事パワー」リポートでは、 「中国の巡行ミサイルなど打撃兵器はすでに米国など西側先進国と同水 準」「中国の兵器システムの一部の領域は世界最先端水準」「解放軍は自 軍の戦闘能力に自信を深めており、最終的には中国指導部に部分戦争を発 動するリスクを侵させうる」といった分析を出している。この場合の「部 分戦争」として一番想定されるのが台湾と一般にはみられている。

 このリポートに関してペンタゴン関係者がAFPなどに寄せたコメントの 中には「最大の心配は、中国が技術的成熟や軍制改革の実施を行い、解放 軍の実力を理解してきたとき、中国が1つの臨界点に達すれば、軍事力の 使用で地域の衝突問題を解決しようとすることがありうること」「北京の 解放軍実力に対する自信の度合いによっては、軍事力による台湾統一とい う選択肢を取らせる可能性がある」というものがあった。米国防関係者の 中には中国による台湾有事を現実感をもって予想している人はいるのだ。 だからこそ、米国は台湾に急接近しているということだろう。
 中華文化圏には「逢八必災、逢九必乱」というジンクスがある。8がつ く年には厄災があり、9がつく年には乱が起きるという都市伝説だ。1969 年珍宝島事件、1979年中越戦争、1989年天安門事件・・・。杞憂であれば と心から願っているが、必乱の2019年に台湾問題は最も警戒すべきリスク の1つかもしれない。

   (ふくしまかおり氏はジャーナリスト、元産経新聞北京特派員)


          
          
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赤穂浪士や龍馬の人気
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    渡邊 好造


以前のNHKテレビの大河ドラマ”坂本龍馬”が大好評であったことを、ふと 想い出した。

龍馬がなぜこんなに人気があるのか。そこには赤穂浪士の人気と共通する ものがあるように思う。大衆芸能で人気を博し、「英雄」となる人物には およそ下記の4つの共通の条件が備わっているのではないだろうか。
                                           
1)逆境に陥る。
2)人から侮られる。
3)努力して大成功を収める。
4)悲劇的最後をとげる。

赤穂藩主の浅野内匠頭が江戸城中で吉良上野介に切りかかり、即日切腹さ せられ、藩は取り潰し。大石内蔵助を初めとする藩士47人が吉良への仇討 を果たす物語が”赤穂義士伝”である。

周知のように、製塩で裕福であった藩の家老大石は、主君の不始末で、生 活はたちまち暗転。仇討をするのかしないのかグズグズと日時が経過し、 昼行灯とまで揶揄され侮られたが、その後仇討を無事達成し一躍英雄と なった。

しかし全員死罪の悲劇的最後を遂げる。まさにこの4条件にピッタリである。

もし、義挙だから救済するべしとの世評通り47人が赦免になって生きなが らえていたら、彼らを称える毎年の赤穂、山科での「義士祭」は行われて いないに違いない。

坂本龍馬は、土佐藩の下級武士の出で、脱藩して薩長同盟に尽力、海援隊 の隊長として活躍したのち大政奉還に寄与するも、慶応3(1867)年 刺客に襲われ明治政府の実現直前で死去。

同じように、この4つの条件に合致する大衆受けのする「英雄」を拾うと、

源義経は平家に預かりの身で苦労を重ねた後、不運な境遇から抜け出し平 家壊滅の端緒をつくる大功績をあげた。しかし、兄頼朝の不興をかって奥 州平泉で滅ぼされる。

豊臣秀吉は、織田信長の家来としてサルと馬鹿にされながらも人一倍の努 力を重ねて這い上がり天下を取るに至るが、わが子秀頼は母淀君とともに 徳川家康にしてやられる。

織田信長も英雄の一人にあげることができる。”ウツケモノ”として侮ら れ、その後天下統一の一歩手前で明智光秀の謀反で挫折し、自害する。た だ織田家を継ぐまでにこれといった逆境に陥ってはいないのでやや条件に 欠ける。

新撰組の近藤勇、土方歳三は剣の腕前はすごいものを持っていたがもとも との身分が低く、中心人物になって組織をつくりあげるまでにはかなりの 苦労を重ねたらしい。最後はともに若くして打ち首と戦死の運命をたどる。

いずれの人物もNHK大河ドラマに登場する「大英雄」である。

反対に、源頼朝、徳川家康らは天下を取ったものの、頼朝は非情な兄であ り、家康は腹に一物のタヌキ親父、桂小五郎(木戸考允)も功績はあるが 殺されもせず、3人とも最後は大往生をとげているから、英雄の資格に欠 ける。その意味では秀吉は病死であり条件にそぐわない面もあるが、次代 での悲劇が待っていた。

もちろん、これらの筋立てはいずれも江戸時代の歌舞伎や浄瑠璃作家が客 うけするストーリーにしたり、あるいは明治政府を正当化するために創り あげられたものであったりで、史実とは異なる部分が多いことは言うまで もない。

坂本龍馬に至っては、一説によると梅毒に侵され、斬殺されていなくても そんなに長くは生きられなかったともいわれている。梅毒で死んだ坂本龍 馬だと大衆芸能で人気を得るはずがない。(完)

     
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現在革命続行中、文在寅政権の異常さ
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           櫻井よしこ

個人的な感想だが、韓国の文在寅大統領は「信用できない男」の典型では ないか。とりわけ1月10日、韓国大統領府で開かれた年頭の記者会見での 発言や表情は、知的に耐えきれないものだった。

韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に、日本の排他的経済水域 (EEZ)内で、火器管制用レーダーを照射した問題でも、「朝鮮人戦時 労働者問題」(自称徴用工問題)でも、文氏以下韓国側は自らの非を認め ず、逆ギレを続けている。

レーダー照射問題に関して、韓国は、自衛隊機が低空で威嚇的に飛行した と言った。ではなぜ、その場で抗議しなかったのか。日本側が低空飛行な どしていなかったから、抗議できなかったのであろう。

加えて、彼らは当初、レーダー照射をしなかったとは言っていない。低空 飛行を持ち出して問題をすり替えたのは、なぜか。

日本のEEZ内で韓国の大きな艦船が2隻も目視され、しかもまん中に漁 船らしき小さな船をはさんでいるとなれば、日本の海や空を守る哨戒任務 についている自衛隊機が、上空から様子を見るべく接近しないほうがおか しい。当然の責務として近づいた自衛隊機にレーダーを照射して追い払お うとしたのは、韓国側に隠したいことがあったからだろう。

どうしても見られたくない現場がそこにあったために、レーダーを照射し たのではないか。隠したいことはよほど重要なことである可能性も高い。 その点も含めて韓国側は重大な嘘をついていると考えてよいだろう。

もう一方の朝鮮人戦時労働者問題を、文氏は、「韓国政府がつくり出した のではなく、不幸な歴史のために生じた問題」だと語り、日本政府に「も う少し謙虚になるよう」求めた。

韓国大法院(最高裁)が下した判断を、韓国は三権分立の国であるが故 に、韓国政府は尊重せざるを得ない、そのことを日本政府も認識せよと、 文氏は言ったが、同問題の背景に、文氏の遠大な企みがあったと見るのは 決して深読みのしすぎではないだろう。

親北朝鮮の完全な左翼集団

日本企業に慰謝料の支払いを命ずる判決を下した大法院長は金命洙(キム ミョンス)氏だ。一昨年9月に文氏が大抜擢した。金氏は「ウリ法研究会」 の一員で「親北朝鮮、反日反韓国」の極左思想の持ち主だ。金氏を大法院 長に任命したときに、すでに今回の判決の流れが決まったといえる。

韓国で朝鮮人戦時労働者問題の訴訟を支えるのは「法務法人ヘマル」の弁 護士達だ。「太平洋戦争犠牲者補償推進協議会」や「民族問題研究所」が 支援組織として名を連ねている。

「ヘマル」の中心人物、張完翼(チャンワンイク)弁護士は、2000年に元朝 日新聞の松井やより氏(故人)らと共に、昭和天皇を裁き有罪にした女性 国際戦犯法廷を開催し、検事役を務めた。また、民族問題研究所は親北朝 鮮の完全な左翼集団である。

留意しておくべきことは、文氏が大統領選挙に出馬したとき、法務法人ヘ マルが全面的に支えたという事実だ。後述するように、朴槿恵前大統領を 弾劾して行った選挙はまさに「革命」と呼ぶべき異常なものだった。その 異常な選挙を乗り切るのに法的支援をしたのが法務法人ヘマルだった。両 者はまさに一心同体と言えるのではないか。

こうしてみると大法院を支配する価値観と、戦時労働者訴訟の原告団を支 援する勢力の価値観は重なる。私たちはこうした人々相手の尋常ならざる 闘いに直面しているのだ。

右のような陣容で裁判をおこし、その中で下された判決を、韓国側は三権 分立を盾にして日本も尊重せよと言う。だが日本にも最高裁が存在する。 日本の最高裁は朝鮮人戦時労働者の件はすべて解決済みと判断した。日本 も三権分立の国だ。日本政府も日本の最高裁判決に従わなければならな い。その事実を、韓国政府こそ、認識すべきであろう。

現在の韓国政府にはいちいち違和感を覚えるが、日本で発行されている韓 国の週刊新聞、『統一日報』の1月1日版に韓国の常識派の論文が複数、掲 載されていた。そのひとつが、ソウル大学経済学部教授を経て、昨年から 「李承晩学堂」の校長を務める李栄薫(イヨンフン)氏の講演である。

李氏は「反日種族主義を打破しよう」という題で語っている。李氏は「精 神文化の遅滞が、20世紀の韓国史を貫通してきた」と断じ、20世紀の韓国 の近代化を、韓国人は「無賃乗車」で成し遂げたと指摘する。「近代文明 の法、制度、機構は日本の支配と共にこの地(韓国)に移植された」ので あり、国が滅びたのも国を建てたのも「自力」ではなかったと、韓国人が 一番聞きたくないことを、李氏は語っている。

精神文化の遅滞

それでも韓国がこの70年間大きな成果をおさめたのは、李承晩、朴正煕両 大統領をはじめとする「創造的少数」の功績だと李氏は続ける。その上で 韓国がいま、失敗の中にあるのは「種族主義」のためだと言う。種族主義 とは何かと、『統一日報』担当者に問い合わせると、民族主義以前の閉鎖 的で遅れた段階を指すとの説明だった。

李氏は、そのような精神文化の遅滞ゆえに、韓国は「国際感覚において不 均衡」、「日本に対しては無期に敵対的である反面、中国に対しては理解 できないほど寛大だ」と分析する。

もうひとつ『統一日報』には、前大統領、朴槿恵氏の弾劾及びその後の有 罪判決に関して、非常に重要な論文が掲載されている。

朴槿恵氏は過日、32年の懲役刑を下された。66歳の氏は、98歳まで獄に留 め置かれるということだ。このような結果になった朴氏弾劾事件を同紙 は、「韓国憲政史上、最も恥辱的な出来事」と痛烈に非難している。弾劾 の引き金となった唯一の物的証拠が「タブレットPC」だったが、これは 後に偽物だと証明された。このPCへの疑惑を提起したジャーナリストは 逮捕され、実刑を言い渡された。

どこを調べても朴氏は一ウォンのお金も不正に得ていなかったが、韓国司 法は朴氏に罰金200億ウォン(約20億円)を宣告した。収賄の証拠が皆無 だったために、裁判官の心証に基づいて「暗黙的請託」という新たな論理 をひねり出し、重罪に処するために韓国の刑法にない「国政壟断罪」も急 遽作り出した。

弾劾から裁判に至る過程を見れば背後に広範な工作があり、それは北朝鮮 との共謀関係の中でこそ可能だったと思わせられる。

論文には「韓国では嘘をつくことは、特に左翼勢力の嘘はほとんど処罰さ れない」と書かれている。

こんな国が文政権下の隣国だと肝に銘じつつ、常識と良識を備えた韓国人 の存在も忘れないようにしよう。
『週刊新潮』 2018年1月24日号日本ルネッサンス 第836回

            
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重 要 情 報
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 ◎面白いようで詰まらない発見:前田正晶

以前にも採り上げたのでご記憶の向きもあるかと思うが、ここ新宿区百人 町というか大久保通り沿いには何時の間にか「海外送金」(英語表記は “Send money”とあるのも笑えるが)の店舗(事務所?)が急増しつつあ る。最も歴史がある店舗は“Remit”という看板を出しているが屋号は “KYODAI”(=兄弟?)のようである。ここは既に番号こそつけていないが3 号店辺りまであるようで、他にも私が気付いただけでも3店は出てきた模 様だ。何れも「海外送金」を売り物にしているのが、如何にも面白いよう で気分は良くない。

即ち、これらの店舗(なのだろう)は何れも掲げた看板にもネオンサイン にも、海外からの送金を受けるとは表示していないのだ。私なりにその意 味を考えて見れば、「百人町/大久保界隈に巣食うアジア系やイスラム教 国系の者どもは故郷からの送金(仕送り?)など来る訳がなくて、何れも が我が国でなにがしかの銭を稼いで祖国の家族なり親族なりに送金してい る」というとんでもない輩で、明らかに我が国を食い物にしていると読め るのだ。

海外送金の店舗が増えたこと即ち、彼らの稼ぎが増えたということになら ないか。私はあの連中が我が国での就労ヴィザなど持っている訳がなく、 何れもが観光ヴィザ等で勝手に入国し、例えばハラルフード販売兼八百屋 等で働いてはその稼ぎをせっせと送金しているのだと解釈している。こう いう自国民だけで完結している店もあれば、色々な小売店で雑役婦のよう な雑務に従事している連中があれほど多いということは、この界隈は彼ら にとっては絶好の稼ぎ場所だということだろう。

私が詰まらない発見と称したのは、そういう海外送金の店舗の看板に表示 されている送金可能な国名のリストを見れば、United States ofAmerica はない点を言うのだ。面白い現象だが、良く考えれば当たり前だろうし、 ちっとも面白くはない。だが、政府や所管する官庁は「真剣に考慮し処理 すべき事態ではないのか」と私は考えている。その中の一軒は送れる国の 国旗を載せていたが、その中に「ユニオンジャック」があったのはビック リだった。何処か英領の地から潜り込んでいる奴がいるのかと驚かされた。

私は読者諸賢に伺いたいことがある。それは、かかる事態になっているこ とを面白くもおかしくもないと思うか、「いや、意外に大変で深刻な事態 が新宿には生じているようだ。何れは何処かの誰かが何とか処置すべき問 題と思う」の何れをお考えになるかということ。私は「少なくとも、我が 国を食い物にするとは不愉快な連中だ」と受け止めて怒っているのだが。



 ◎アメリカの大手製造業者に勤務した者の回顧談:前田正晶

私はアメリカの会社に転進する前から「アメリカの会社からの問い合わせ に対する返信は誠に遅いので困る」と何名かの貿易担当者から聞かされて いました。そして、その原因が我が国の大学等で教えていた「英語のコレ ポンの仕方」にあったと、W社に転じてから知る機会がありました。

それは我が国では文章の終わりに「We look forward to hearing from you soon. とか We will wait to hear good news from you. 等と要ら ざる文言で結ぶからだ」と、W社ジャパンの社長の秘書役にアルバイトで 短期間来ていた東京のある秘書学校の教師だったアメリカの女性に教わり ました。

その女性が言うには「アメリカのビジネス界にかかる文言で結ぶ習慣はな く、『何月何日の何時までに答えてきて欲しい』と要求するのが当たり前 である。日本人はそういう要求を突きつけるのは失礼ではないのかと遠慮 する場合が多すぎるのが間違いの元」と指摘していました。正直なとこ ろ、世に言う「目から鱗が落ちる」という感がありました。

その日諸学校の先生は「かかる指定をしなければアメリカの事務担当者に は、“we will wait〜.”と言うのならば何時まででも待っていろよ」と解 釈されて、後回しにされるだけだ」とも言っていました。それ即ち、我が 国独特のキチンとした礼儀正さが仇となっていると指摘だったのです。私 がやや不思議に思ったことは「何故、長い間我が国ではこのような行き違 いを呼ぶ表現を教えてきたのか」でした。

私は嘗て工場に新規(途中採用で、他の業種から転じてきた者という意 味)採用されたメキシコ人二世に悩まされた経験がありました。彼は国際 的な取引の経験など皆無で、「日本等の諸外国の顧客からの問い合わせや 引き合いに直ちに答えるべし」と言う基本を全く知らず、何時も悠々と彼 の都合だけで動いていました。

私は彼の個人的な経験など知る由もないので、最初は単純な問い合わせの 返信に何日も待たされることに非常に腹を立てて電話をして叱りつけたこ ともありましたし、工場に出張した時に直接に言わば説教もしたし、彼の 上司にまともに教育せよと抗議したりしました。

だが、時間の経過で彼が全くやるべき仕事の内容を認識していなかったと 知ってからは、それこそquick response等の基本中の基本から説き起こ し、国際市場ではQR態勢が取れていないと客先の信用を損なうし、商機を 逸することがある等々、言うなれば新入社員教育のようなことまでやって 何とかしようと努めました。

一人前になってくれたところで、皮肉にも彼はより有利な条件を提示した 他業種に転じていきました。アメリカの工場のような本社機構に採用され た出世コースに乗ることなどない現地採用の事務職は常にこういう形で人 が出入りするので、我が国のように滑らかに日常業務が進行する訳ではな いのです。

W社に転進した当初では本社の「受注・生産計画・発送」等の重要な業務 を担当する中年の女性の仕事が遅いので、何度も単純に注意しました。だ が、彼女には何故私が苛立つのか、客先が対応の遅さに苦情を言っている のかが全く理解できませんでした。そこで、私はこの本社機構にいる女性 にも、新入社員を諭すように「何故急がねばならないのか」を何度も何度 も説き聞かせたし、時には自宅まで追いかけて電話で説得しました。そし て、漸く「外国との取引では如何に対応すべきか」を解ってくれるように なりました。

申し上げたいことは「アメリカの組織では中途採用しては事前に十分な仕 事の手順等を言って聞かせることなく仕事をその者の独自のやり方に任せ てしまうので、結果的にはその個人の性格や仕事の理解度次第では 「Customerfirst」とはならずに「自分ファースト」ということになって しまう場合が多いのです。

私は転進した最初の頃にはそういう背景がある事が解らずに苛立っていま したが、「仕事はかくあるべしと顔をつきあわせて説明すれば解ってくれ て、処理能力も改善される」と認識できてからは、担当者が変わる度に基 礎かというか仕事が何処から始まるのかまでを、十分に説明するように努 めました。

それは、そうしないことには「日本の顧客に対する私の立場が維持できな いから」なのであるという重要な事情があるからでした。彼ら事務職の質 には確かにバラツキがありましたが、「何をどう処理すべきか。また何故 “quick response“が重要なのか」等はこちらから知らせて上げないこと には対応しないのです。

要するに「海外の顧客が何を求めているかを解らずに仕事をされては能率 も上がらず、顧客との信頼関係を確立できない」ということを理解させる のも私の仕事の一部だと認識して取りかかっていました。その重要な基本 の一つがquick responseなのです。後にある重要な客先から知らされま したが、「御社が他のどのアメリカのサプライヤーと比較して、最も連絡 と返信が早い」という点が評価されていたそうです。

要するに、気長に新任の事務職員と話し合って「如何にしてお客様との信 頼関係を確立するかは、君たちの双肩にかかっている。関係が確立できれ ば必ず#1対日サプライヤーの地位を確保できる。それが君たちの
job securityにも結びつくのだ」と激励したものです。

彼らの素質に問題がある場合もありますが、要するに「如何にして職務の 内容を知らしめるか」かは私の責任であるくらいに考えていました。日本 の会社とどう違うか、お時間が許す限りお考えになってみて下さい。


 ◎【花田紀凱 天下の暴論】稀勢の里の引退会見に感動 夕刊フジ2019 年(平成31年)1月24日(23日発行)

感動的な記者会見だった。

16日、横綱稀勢の里、引退会見のことだ。この会見を見て、改めて稀勢の 里という力士の人間としての素晴らしさを再認識した。

最初のひと言がまず意外だった。

「私の相撲人生に一片の悔いもございません」

入門時から期待され、貴乃花に次ぐ史上2位の年少記録で入幕までは早 かったが、その後、横綱になるまでに時間がかかった。綱取りには5度も 失敗。

それが、やっと横綱に昇進。2度目の優勝を決めた2017年春場所13日目の 日馬富士戦で左上腕部を負傷。

以後の稀勢の里の相撲はファンとして、正直、見るのが辛いことが多かった。

むろん、いちばん辛かったのは稀勢の里自身のはずだ。悔しくもあったろ う。にも拘わらず「一片の悔いもない」。

32歳の青年が(まだ32歳なのだ)、なかなか言えるセリフではあるまい。
 そして、モンゴル勢に対する思いを聞かれたときの返事がまた泣かせる。

「横綱朝青龍関をはじめ、モンゴルの横綱にかわいがってもらった。背中 を追っかけて少しでも強くなりたいという思いで稽古をしました。上に上 がれないときも、日馬富士関から非常にいいアドバイスをいただいたのを 覚えています。感謝の気持ちでいっぱいです」

稀勢の里が入幕した後はモンゴル勢の全盛時代、互助会と批判されたモン ゴル勢相手に悔しい思いをしたこともあったに違いない。

とくに日馬富士は引退の原因となったケガをしたときの相手。その相手に 対し、名前をあげて「感謝の気持ちでいっぱい」

これだけの配慮ができる32歳はそうはいない。

稀勢の里が横綱になったとき、ご両親の萩原貞彦さん、裕美子さんにイン タビューしたことがある。その時の父貞彦さんの言葉を今も鮮明に覚えて いる。入門したばかりの頃の話。

「息子はとにかく『稽古が楽しい』『相撲が楽しい』と毎日一生懸命やっ ていて、厳しいといわれる親方(元横綱隆の里)が、『もう稽古しなくてい いぞ』というほど稽古していた。

毎日5時から始めて12時まで稽古。ちゃんこを食べて昼寝して、普通その 後は休んでいいのに息子はまた稽古。1日100番以上、取ることもあった そうです」

それだけでも見上げたものだが、少年稀勢の里は、
「やみくもに稽古するのではなく、目標や課題を作り、年間、月間、週間 の計画をきちんと立てて取り組んでいました」

その話を聞いたときにはやや意外な気がしたのだが、その後の相撲ぶり、 そして今回の引退会見を見て、稀勢の里の相撲に対する真摯(しんし)な考 え方に改めて感心した。

親方になる覚悟を聞かれたとき稀勢の里はこう答えた。

「一生懸命相撲を取る力士、そしてケガに強い力士、そういう力士を育て たいです」

「ケガに強い力士を育てたい」のひと言にぼくは泣いた。
引退のヒキガネになった肩のケガ、それがどんなに悔しかったか。
 まだ32歳、稀勢の里、いや荒磯親方は、前途洋々だ。頑張れ稀勢の里、 いや荒磯親方!
(月刊『Hanada』編集長)

出典:夕刊フジ2019年(平成31年)1月24日(23日発行)コラム【花田紀凱  天下の暴論プラス)
松本市 久保田康文




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身 辺 雑 記
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土曜日の東京湾岸は曇天。


25日午後は都内の大学病院循環器内科で定期検診。問題ナシ。
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