政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針

2018/12/15

                        
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4894号
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       2018(平成30)年  12月15日(土)



          大学教授が突然、飛び降り自殺:宮崎正弘

     迫る御代替わり、国柄を知る機会とせよ:櫻井よしこ

              幽冥界で彷徨う台湾:Andy Chang
      

                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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大学教授が突然、飛び降り自殺
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)12月14日(金曜日)弐
          通巻第5916号  
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張首晟スタンフォード大学教授が突然、飛び降り自殺した
張主宰の「丹華資本」(デジタル・ホライゾン・キャピタル)を米が警戒 中だった
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12月1日、スタンフォード大学で開催されたパーティが撥ねて、サンフラ ンシスコに戻った張首晟教授がビルから飛び降りて「自殺」した。享年55 歳。一種「怪死」である。

張首晟教授は15歳で神童とされ、上海の名門「復丹大学」に入学し、その 後、ドイツ自由大学、ニューヨーク州立大学へ留学、30歳の若さでカリ フォルニアの名門校スタンフォード大学教授(物理学)となった。

同僚の多くが「ノーベル賞に一番近い天才肌の学者」と太鼓判を捺すほど の業績を挙げた。自殺という悲報を聞いてスタンフォード大学教授のス テーヴ・キベルソンは哀悼の書簡を公表した。

こういう人物を中国が放置するはずがあろうか。

突如、張首晟教授は「丹華資本」(デジタル・ホライゾン・キャピタル) という得体の知れない「ファンド」を立ち上げ、とりわけ「AI」(人工 知能)研究の学者や学究の卵をあつめ始める。資金は400億円あったそうな。

また2018年5月には上海科技大学の特任教授に推挽された。この大学の学 長は江沢民の息子・江綿恒である。

AI技術、量子物理学の先端エンジニアに投資する動きは、動いている資 金も膨大であり、なおかつバックが不透明なために、USTRが「スー パー301条」の対象としてリストに挙げていた。
謎は深まるばかりだった。

第一に「丹華資本」なる実態のないファンドが本当は何をしていたのか?

第二に奇しくも張教授が突然の自殺に走る直前、バンクーバーでファー ウェイ副社長の孟晩舟が逮捕拘束されている。

この2人の繋がりは如何に?

第三にスーパー301条の捜査対象にリストアップされていた事実は、米国 が同ファンドをスパイ基幹ではないかと疑っていたことを意味する。
 
       
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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例えば、江藤淳はロックフェラー財団のプログラムでアメリカに留学したのに
 後日、なぜ江藤はアメリカから「日本の右翼思想家」と酷評されたのだ ろう?

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齋藤禎『文士たちのアメリカ留学 1953−1963』(書籍工房早山)
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ロックフェラー財団が慎重に選んだ日本人作家がアメリカに一年留学する 制度があった。

占領が終わった翌年から、この不思議なプログラムが始まったのだが、選 定過程の舞台裏で、推進の中心人物だったチャールズ・B・ファーズに協 力し、選定に活躍した日本人女性がいた。

その名を坂西志保という。ファーズは日本研究の先駆け、ライシャワーと も親しく、選定にあたっては「坂西に最大限頼った」と書き残した。

となると、彼女はいったい何者? 

米国のスパイだったのか、それとも?

坂西志保は早くも戦前からアメリカに留学している。真珠湾開戦時、日本 海軍のスパイ容疑として拘束され、日米交換船で帰国した。ところが戦後 はGHQに勤務し、さらにはアメリカ通としてNHKなどで活躍、漫画 「ブロンディ」の翻訳もこなし、アメリカでも名を知られたから、ロック フェラー財団の選定に深く関与したことになる。

すると二重スパイ? 

陰謀好きな、勘ぐりの好きな向きには様々な想像が出来るが、彼女はベス トセラー作家として、後年は伊藤博文の大磯の別荘を買い取り、また巨額 を国際文化会館などに寄付している。

不思議な女傑というべきか、波瀾万丈の人生を送った。

さてロックフェラー財団が選んでアメリカに一年留学した日本人作家と は、福田恒存、小島信夫、阿川弘之、江藤淳、有吉佐和子、大岡昇平、安 岡章太郎、庄野潤三、石井桃子、中村光夫と合計10人であった。

齋藤禎氏は、これら10人の作家の留学先から、その経緯、帰国後のアメリ カ観などを仔細に追求し、1953−1963という不思議な戦後の時代に焦点を あてる。とくに1960年の安保騒動を基軸に、時代は急速に変貌し、日米安 保をめぐっても、留学体験組みは多彩な発言を繰り出した。

「アメリカ嫌い」として知られた阿川弘之とか、ノンポリの庄野潤三とか が、ロックフェラー財団の招きでアメリカへ行ったのも、おそらく坂西の 選球眼のしたたかさに求められるのではないだろうか。

先駆者には漂流した挙げ句に捕鯨船ビジネスで活躍し、英語使いとして帰 国したジョン万次郎のような奇跡体験もあれば、新島襄のように密航組も いた。

明治新政府の遣欧使節団が組織され、海外を見て、あらゆることを学ん で、帰国後「近代化」に邁進するのが、大久保利通だったとするなら、大 久保に負けずとも劣らず外国の知識を得て将来を嘱望されていたにもかか わらず、しかし留学後は国粋主義的となって大久保の元を離れたのが村田 新八だった。

村田が新政府の顕官を辞して薩摩へ帰郷し、西郷のもとで西南戦争に加わ るのだから、大久保が悲嘆にくれたことは言うまでもない。

江藤もまた、村田新八の軌道を辿ったのではないのか、と齋藤氏は行間で それとなく示唆する。

というのも、江藤淳は「西?は日本の思想だ」と書いた『南洲残影』のな かで村田新八の心境を、次のように表現しているのだ。

「明治維新は、失敗であった。弐年間の歳月をかけ、米欧を回覧してき て、自分にはそのことがよく分かった。西洋を知らない者が国粋主義者と なり、西洋を実地に知っている者が開明派にあるなどというのは俗見に過 ぎない。

自分は大久保と同じ汽車に乗り、同じ宿に泊まり、同じ諸国を見て廻っ た。その結果大久保とはまったく反対の結論に達したのであるから、これ は西洋を知る知らないの問題ではない。いや、むしろ西洋をよく知ってい るからこそ、自分は到底大久保に同じ得ないのだ」

著者の齋藤氏は元『諸君』編集長、前『歴史通』編集長。週刊誌時代のレ フチェンコ証言スクープでも知られる。
その氏が3年以上の歳月をかけて、この労作に挑んだ。
      

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1827回】           
――「支那の國ほど近付いてあらの見ゆる國は無し」――關(11)
關和知『西隣游記』(非売品 日清印刷 大正7
年)
 
                     ▽

關は「支那人教育の缺乏は、單に公共的事物に對して著しく感ぜらるゝの みならず、其私的生活に於ても亦然り」と指摘する。じつは「彼等は無學 を耻とせず」、「中流以下階級の子弟多くは皆無?育者なり、無知識、非 文明の國民を基礎として、共和民政の確立を望む亦難矣哉」。

また「有名無實の國家」とも見做す。日清戦争敗北によって「其の性體の 内外に曝露せらるゝや、眠れる獅子は却りて死せる豚として(世界から) 認めらるゝに至れり」。「堂々たる六千年の?史的大帝國も、今や一朝に して亂離骨灰、名許りの共和民主國、統一も無ければ秩序も無し」。

現地で接してみれば判ることだが、やはり「社會ありて國家なく、人民あ りて國民無し」。建築、美術、装飾などは「遠方より眺むれば實に結構、 輪奐、美を極むる」ようだが、「近く之を觀れば幼稚にして粗末、不器 用、不體裁なること甚し、以て國家國民性を表現するものに似たり」。つ まり、なにからなにまでがハリボテでダメ。体裁を取り繕っているだけ。 これが結論ということになろうか。

そんなハリボテ国家やらハリボテ国民を相手にしなければいいのだが、欧 米列強が手を突っ込んでくるものだから、日本としても対応しない限り、 国が立ち行かなくなる。そこで英国と同盟を結ぶことになるのだが、日本 の影響力が強くなってくると英国としても甚だ心愉しめない状況に至る。

「英國人の日本に對する惡感は漸く甚しきものあり、政治上の同盟國は、 寧ろ經濟上の敵手たるの觀あり、支那に於ける排日的議論運動の中心が 往々に是等材在留英國商人等によりて煽動せられ、英本國に於て時に非日 英同盟の言論を傳ふることある、多くは此の關係より生じ來れる現象」で ある。

だが英国商人が反日を煽動しようとも、「地理的、歴史的、及び習慣、風 俗、言語等、日本の利便は彼等諸外國民の如何ともする能はざる所」だか ら、「日本は實に無敵なり」。だが「唯恐るべきは拙劣、無能の本國政府 の外交によりて、支那の民心を驅りて日本に離叛せしめ、却りて我が不利 を招致するに至ること是なり」。

おそらく「地理的、?史的、及び習慣、風俗、言語等、日本の利便は彼等 諸外國民の如何ともする能はざる所」だから、「日本は實に無敵なり」と いう“確信”が生まれ、かくして「日本は既に不抜の地歩を占めたから」、 「支那に臨むには所謂王道を以てする必要がある」などといったアンチョ コな結論に立ち至るのだろう。

だが「幼稚にして粗末、不器用、不體裁なること甚し」い国民に、どう やって「所謂王道を以てす」べきなのか。これを実際の国策として遂行す る場合、広大な国土に生きる膨大な人口を相手にして、費用対効果を考え たうえで実行に移すに具体的方策はあるのか。単なる思い込みや軽口、あ るいは勢いに任せての発言は厳に慎むべきだ。

これまでもみてきたし、再三にわたって記してきたと思うが、「地理 的、?史的、及び習慣、風俗、言語等、日本の利便は彼等諸外國民の如何 ともする能はざる所」といった「根拠皆無」な自信(過信?あるいは過度 の思い込み)こそが、日本の大陸政策を大きくネジ曲げてしまったといえる。

これは確信をもって指摘できる。「地理的、?史的、及び習慣、風俗、言 語等」について「日本の利便」など、どだいありえない。

酷評が許されるなら、こう言いたい。

当時、大学同窓を訪ねての母校自慢の物見遊山程度で感じたような、まさ に一知半解の知識をひけらかし、それを基に国策を論ずるといった愚が横 行していたようならば、総合的でまともな大陸政策が策定できるわけがない。

いまこそ強く言いたい。「お前ら、ボ〜ッと生きてんじゃね〜よッ」。お 粗末に過ぎる。《QED》
     
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者
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(読者の声1)ファーウェイCFOの孟晩舟の逮捕に関して、米国のリベ ラル系マスコミがトランプ大統領が通商問題で中国から譲歩を引き出すた めに孟晩舟氏を中国に引き渡すかもしれないという観測を報じています。
そんなことは怪しからんという論調です。

私にはどうでもよいことと思います。むしろ注目すべきは習近平政権の動 きです。ファーウェイ幹部の多くは江沢民派が多くを占めています。江沢 民派を締め出すための奇貨として利用する可能性があります。ただし下手 をすると習近平が反撃される可能性があると思います。宮崎さんはどう思 われますか。(當田晋也)


(宮崎正弘のコメント)カナダ政府は、トランプに同調するように見せ て、しかしカナダの基本的外交は中国に弱腰です。12日にさっさと彼女を 保釈しました。

トルードーはトランプと肌合いがことなり、米国はカナダ政治に内側には 介入しにくいでしょう。それを見越して、ファーウェイはバンクーバーを クッションとして活用してきたのですから。

孟晩舟のケースは非常に複雑で、中国国家公安部が絡んでいます。本日の 小誌の冒頭記事にあるように、張首晟教授の「自殺」など、面妖で奇妙で 謎だらけの事件が随伴して起こっており、「真相はとても分からない」と いうのが現時点での結論です。



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迫る御代替わり、国柄を知る機会とせよ
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            櫻井よしこ

「迫る御代替わり、国柄を知る機会とせよ」

天皇皇后両陛下の各地へのおでましが続いている。今年、雨の園遊会では お二人で大きなビニール傘を一緒にさされていた。お二人は寄り添われる ように歩まれ、お言葉をかけられ、慈愛に満ちた視線を人々に注がれる。 そのご様子をメディアは「この行事への」或いは「この地への」、「最後 のご出席」「最後の行幸啓」と報じる。

あと数か月で今上陛下は本当に譲位なさり、新天皇が即位される。御代替 わりが近づいている。

日本にとって、東京五輪よりはるかに大事なのが御代替わりだ。日本の国 柄を体現する、重要な歴史の一局面である。世界の元首百数十人を迎え て、広く世界に日本国を印象づける好機である。だが、政治家もメディア も世論も、御代替わりについてあまり考えていないと懸念するのは、心配 しすぎだろうか。光格天皇以来200年振りのご譲位を機に、日本の国柄へ の理解を内外において深めようという熱気が感じられない。

そんなときに日本政策研究センターが『解説 即位の礼・大嘗祭』(以下 『解説』)という60頁余の小冊子を出版した。御代替わりのさまざまな儀 式を通して、皇室とはどんな存在か、皇室を戴く日本はどんな国か、ここ に至るまでにどんな歴史を辿ったのかを、非常に簡潔かつ適切にまとめて いる。来春に迫った御代替わりと、日本の深く長い歴史を認識するのに格 好の教科書である。以下『解説』の内容を紹介する。

来年2月24日、ご譲位に向けてまず、政府が「天皇陛下御在位三十年記念 式典」を主催し、この後、一連の行事が続く。4月30日に「退位礼正殿の 儀」が執り行われる。これによって陛下のご譲位(政府はこれをご退位と 言っている)が国民に宣言される。

ご譲位は江戸時代の光格天皇以来のことで、約200年間、事例がなかった ために、どのような関連儀式があるのかについて現行の皇室典範には規定 がない。そのために先例を基本にして、今回、新たに国の儀式として創設 したという。柱は二つ、内閣総理大臣から陛下への「奉謝」と天皇陛下の 「おことば」である。

皇室に批判的な勢力

首相が国民を代表して天皇陛下に感謝の気持ちを捧げ、天皇陛下がご譲位 に際してのお気持を表明される。天皇陛下の「おことば」は、本来、「譲 位宣命(せんみょう)」と呼ばれ、譲位に際しての大事な核を成していた。 しかし、平成のいま「譲位宣命」ではなく「おことば」と平易な表現にさ れたわけだ。

今上陛下のご譲位が宣言された翌5月1日には、皇太子さまが第126代天皇 に即位なさる即位の礼が国の儀式として行われる。即位の礼の行事は、ご 即位当日に行われるものと、それから約半年後の秋に行われるものに大別 される。

ご即位直後の行事が「剣璽(けんじ)等承継の儀」と「即位後朝見の儀」だ。

周知のことだが、三種の神器は簡単にいえば、鏡と剣(つるぎ)と勾玉(ま がたま)。正式に言えば草薙剣(くさな ぎのつるぎ)と八坂瓊勾玉(やさか にのまがたま)、それに八咫(やたの)鏡(かがみ)である。

また「剣璽」とは三種の神器のうちの二つ、剣と勾玉を意味する。従って 「剣璽等承継の儀」は新天皇がこの二つの神器を受け継がれる儀式という 意味だ。

残るひとつ、八咫鏡は最も神聖な神器として賢所に奉安されており、儀式 で動かされることはない。

さて、ここで『解説』は大事なことを指摘している。旧皇室典範では「天 皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」と書かれており、この 規定に基づいて「剣璽渡御(とぎょ)の儀」が行われる決まりになっていた。

ところが昭和天皇崩御による御代替わりが起きたとき、皇室に批判的な勢 力が現行憲法に定めている政教分離(憲法20条)を盾に、「渡御」はまか りならぬと主張し、政府は「渡御」という表現を「承継」に変えざるを得 なかったというのだ。また「剣璽渡御の儀」には「等」の一文字が加えら れ、前述のように「渡御」も否定され、「剣璽等承継の儀」となった。本 来、剣と勾玉の二つの神器を意味していた剣璽が「等」の一文字が入って 「御璽(ぎょじ)」(天皇の印、おおみしるし)、「国璽(こくじ)」も含ま れる意味に拡大された。つまり「皇位」とともに新天皇に伝わるべき由緒 ある物の継承という建前になった。

「剣璽渡御」は皇室の由来を、剣と勾玉に象徴される、深く豊かな日本の 神話につなげる意味合いが濃かったが、その色を薄める結果になった。

皇室に批判的な勢力は、剣璽は神話に基づく。従って政教分離の趣旨に反 する、国の儀式として不適切だとも主張する。

世界は感動している

だが、神話と宗教は異なる。どの民族にもどの国にも、国の誕生と民族生 成物語としての神話がある。神話の否定は、民族の精神性や文化の否定 だ。民族のルーツを断ち切るようなものだ。国家というものは伝統や宗教 的な価値観を一切合切排除してしまえば、もはや成り立つものではないだ ろう。

昭和天皇崩御の時の大喪の礼を振りかえると、政教分離という言葉が飛び 交っていた。憲法20条第3項は「国及びその機関は、宗教教育その他いか なる宗教的活動もしてはならない」と定めている。これを表面的、機械的 にとらえて宗教性が強いとして、大喪の礼への国の関わりを批判する声が あった。たとえば葬場殿の儀は宗教儀式だとして、国ではなく、皇室の公 的行事として行われた。続く大喪の礼では、宗教色をなくすため鳥居が除 かれた。日本の伝統に基づけば穏やかに行われるべき自然なことが批判さ れたが、政教分離については最高裁判例がある。『解説』から引用する。

まず、憲法が禁じる「宗教的活動」とは「国およびその機関の活動で宗教 とのかかわり合いをもつすべての行為をさすものではな」いと最高裁は判 断している。

憲法が禁じているのは、社会的、文化的諸条件に照らして、「かかわり合 いが相当とされる限度を超えるもの」であり、「行為の目的が宗教的意義 をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等にな るような行為」だと限定されている。

最高裁判例は、政府が特定の宗教を援助したり、反対に圧迫したりするこ とは許されないが、常識の枠内での政治と宗教の融合は禁じてはいないと いう意味だろう。むしろ日本人の自然観と宗教観の美しい融合に、世界は 感動している。それを象徴していたのが大喪の礼である。イスラエルのヘ ルツォグ大統領(当時)は次のように語っていた。

「昭和天皇の御喪儀を通じ、日本の偉大な伝統に接し、深い感銘を受け た。……皮相な現代の世にあって良い伝統を近代化の中に維持していること に敬意を表する」

御代替わりに関連して、日本の歴史や国柄を学びたいものだ。
『週刊新潮』 2018年11月29日号 日本ルネッサンス 第829回

         
    
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 幽冥界で彷徨う台湾
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    Andy Chang

台湾はいつまでも国籍未定で幽冥界に留まるのだろうか。現状維持と
は幽冥界に留まることである。中国に併呑されれば煉獄に陥る。独立
すれば中国と戦争になって負ける。結果は同じだ。

ハーバード大学の国際関係の学者、Graham Allison氏が最近「Destined
for War: Can America and China Escape Thucydides'sTrap」と言う本 を出版し、今月10日に台北で台湾の将来について講演し、アメリカと中
国は既にツキジデスの罠に嵌まっているのかもしれないと喝破した。
つまりアメリカと中国、2つの強国が争えば結果は全面戦争に発展す
るかもしれないと言うのだ。

戦争を避けるため中国を挑発するのは避けるべきとし、台湾における
民主主義の発展を称賛する傍ら、独立宣言などで中国を挑発してはな
らないと述べた。しかもアリソン氏は米中両国が戦争に発展する可能
性は台湾独立だけでなく、例えば北朝鮮と韓国の紛争や、南シナ海に
於ける衝突でも戦争になる可能性があるとした。

つまりアリソン氏の主張には台湾に建設的な助言はなく、台湾は挑発
を避けるべきと言うだけである。トランプは中国に強い態度を取って
いるが国会でも全面的に強いアメリカを支持している。彼はトランプ
の強勢態度に建言することもなく台湾は中国を刺激するなと言うだけ
である。

アリソン氏はアメリカは台湾関係法で台湾を守る義務がある、しかし
台湾が中国を刺激すればアメリカは空母を派遣しないかもしれないと
述べた。アメリカの保護がなければ台湾は中国に併呑される。アメリ
カは台湾独立を支持しない。独立しなければ現状を維持するしかない、
つまり台湾の国際的地位をいつまでも「幽冥界」に留めることになる。

●台湾人はどうすべきか

この状態がいつまで続くかは誰にも分らない。明らかなのは独立主張
は人民の支持を得られないことだ。台湾人は独立願望が強い、しかし
米国の支持がなければダメとわかっている。

台湾独立を主張しても人民の大半は支持しない。これは今回の選挙の
結果を見ればわかることだ。だが人民は民進黨の現状維持に強い反感
があるし、国民党政権にも反対、台湾と中国は一つの「92共識」も反
対である。台湾人民は独立主張ができないし、中華民国を台湾国に変
更することもできない。アメリカが支持しない。八方塞がりだ。

今の政治体制で新政党の成立は人民の支持がなくてはならない。今回
の選挙の結果を見ればわかるように台湾人民に賢明な政治意識が欠如
している。今の民進黨政治に反対だから国民党に投票する国民が多く
いた。人民は70年の恐怖政治、蒋介石時代の白色恐怖を忘れ、馬英九
時代のひどい汚職も忘れて国民党に投票したのである。

民進黨政権になってもアメリカに摘発された金融汚職を処罰できなか
ったし、掃雷艦建造について大がかりな汚職が発生しても懲りずに、
再び潜水艦自力建造と称して10億元の予算を組むと言う間違いを犯
している。民進黨政権は呆れるほどダメ、民進黨政治家もダメ、人民
も愛国意識がなく政治オンチばかりである。

●台湾は幽冥界から脱出できるか

アメリカには政治意識の希薄な台湾人を防衛するつもりはない。台湾
が国民党政権に戻って中国に併呑される危機を迎えたらアメリカは撤
退するかもしれない。韓国が北朝鮮と統一すればアメリカは韓国から
脱退する、台湾も同じである。その時になって韓国や台湾が独裁者の
煉獄に落ちても自業自得である。

台湾の将来はアメリカに頼るしかない。今のところトランプと習近平
の闘争はアメリカの方が優勢だが、時間がたてばアメリカの衰退もあ
るし、予想に反して中国が優勢に立つかもしれない。キッシンジャー
のようなパンダハガーは中国が民主化すれば戦争を避けて平和になる
とバカな間違いを犯したが、中国の覇権思想はアメリカを打倒するこ
とにあり、民主主義で平和を達成するなどあり得ない。

中国が覇権闘争に負けてチベットと東トルキスタン、香港が独立し、
中国が東西南北の小国に分裂してから初めて台湾が独立を達成できる
だろう。その時が来るかどうかはわからないが、その時が来るまで
台湾は幽冥界から脱出できないだろう。


            
              
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重 要 情 報
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 ◎だから言ったじゃないか:前田正晶

私は常々「我が国は海外向けの英語(乃至は外国語)で発信する情報量が 余りにも少ない」と批判し且つ嘆いてきた。また13日には「温和し(音 無)過ぎる我が国」と題して、韓国大法院の無法な“war time Korean workers”判決に対しての対抗措置が不十分だと論じたばかりだった。また 何年前のことだったか失念したが「アメリカの有力な新聞“USA Today”が 我が国の内閣総辞職をベタ記事で報じていたことを嘆いて見せたこと も あった。

換言すれば「我が国の政治家たちもマスコミも自分たちで勝手に、我が国 のことはアメリカでも何処でも世界中で遍く知られている」と錯覚を起こ しているだけなのだ。これも何度か指摘したことで、カナダの西海岸の ヴァンクーヴァーの裏道のレストランで日系人の会計係に先ず「中国人 か」と尋ねられ、否定すると「じゃー、韓国人」と訊かれ、これも否定す ると「日本人だったの」と驚かれた経験もした。言いたくもないが、北ア メリかでは日本人に対する認識というか認知度はその程度だということ。

何が言いたかったかといえば「あの不当極まりない韓国大法院の判決に対 して犬の遠吠え程度の反応しか示していなかった為に何が起きたか」なの である。13日夜のPrimeNewsで木村太郎も指摘していた通りで、New York Timesというアメリカの有力な地方紙が「徴用工は100万人もいたことだ し、日本は韓国に謝罪すべきだ」という記事を載せたのである。当に「だ から言ったじゃないか」なのである。

私は既に閣僚でも議員でも誰でも、直ぐそこの韓国ソウルの青瓦台に乗り 込んで1965年の協定から蒸し返し、我が国が何億ドル支払ったかの念を押 して、この度の判決が如何に不当かを文在寅大統領に告げるべきだ」と論 じた。

また、アメリカの単なる有力地方紙であるにも拘わらず我が国のマ スメ デイアが有り難がる上記のNYの新聞やWashington Post等に全面広告 でも 打って、韓国が如何に不当かをアメリカ東海岸の一部の地区にでも知 ら しめるべきだったのである。

そういう具体的で積極的なことを何らせずに、官房長官の談話や河野外相 の得手とされる英語での反論程度では韓国は屁とも思っていないだろう し、世界中には韓国の正当性?のみが知れ渡ることになってしまっている のだ。せめて、有楽町の外人記者クラブに然るべき閣僚が赴いて「韓国の 無法且つ不当性」を言葉を選んでぶち上げて、外国人の記者たちが本国に 本当のことを伝える記事を送らせるくらいは即刻やるべきだ。だが、NY  TIMESに先手を打たれた以上、手遅れかも知れないと危惧する。

私はトランプ大統領が“fake news”の筆頭の如くに批判される偏向したNY TIMESは怪しからんと思っている。何故なら、彼らは巧みな日本語を操る “correspondent”(日本語では「特派員」と大時代な言葉になっている) を置きながら、政府か外務省にまともな取材をしていなかった模様で、韓 国寄りの記事を掲載しているのだから。私は「我が国の広報下手もここに 極まれり」という気がして胸が悪くなる思いだ。私は故に安倍総理の不手 際であると断じたいほど残念だ。

一つだけ微かな救いがある。それは上記のニューヨークとワシントンDC
の新聞はアメリカ全土で読まれていないということだ。即ち、ネット版を 読んでいる人は別だが、読者は限定されているのだ。嘗てワシントンポス トが鳩山由紀夫総理(当時)を“loopy”と形容した時に、私が西海岸のオ レゴン州に住む知人に「この記事を読んだか」と迂闊にも問い合わせてし まったことがあった。彼は「何を言うのか!私はオレゴン州に住んでい る。ワシントンポストなど読んでいる訳がない」と答えてきたのだった。


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身 辺 雑 記
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土曜日の東京湾岸は快晴、爽快。隣の第三亀戸中学校、休みの所為か校庭に生徒の姿ナシ。

東京湾岸は14日も好天。夕方も晴れていたので隣の第三亀戸中学校の芝生 の校庭では放課後生徒たちがテニスを楽しんでいた。

私の中学時代は野球部。投手で4番でキャプテン。校舎に入れば生徒会長 だった。この話をすると家人は「厭らしいわね」という。そうか。
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創刊日:2004-01-18  
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