政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4884 号  2018・12・5(水)

2018/12/05

                      
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4884号
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       2018(平成30)年  12月5日(水)



            銀座の酒場の扉は真如の門:加瀬英明

               患者自己注射物語:渡部亮次郎

      中国と対話を続けるダライ・ラマ法王:櫻井よしこ                                                                 

                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4884号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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銀座の酒場の扉は真如の門
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       加瀬 英明

この夏は世界的な気象変動のせいだろうが、ことのほかに暑かった。

暑き日を海に入れたり最上川という、芭蕉の句がふと浮んだが、現代のよ うに冷房がどこへいっても普及していたら、蕉門でいう風雅な詩興が涌く はずがないと思って落肝した。

だが、空に神鳴(かみなり)が轟くと、時がまた秋を運んできてくれる。

秋が到来して、たおやめが新米を噛む醸成月(かみなしづき)が巡ってくる たびに、男たちを釣る漁火(ネオン)に誘(いざな)われて、彷徨(ほうこう) することになる。

今年は、秋が待たれた。「いとど心づくしの秋風」という一節が、『源氏 物語』(須磨)にあるが、身に沁みる。到来というと到来物のように、贈 られてきたいただきものを意味している。「いとど」は、いよいよだ。

私は20代から、同(おな)い年の文芸春秋社の堤堯氏、講談社の川鍋孝文氏 と3人で、銀座の『眉』『エスポァール』『ラモール』『姫』など一流の 酒場(クラブ)に、よく通ったものだった。

しばらく前に、ナベちゃんは私たちに断ることなく途中下車して、故人に なってしまった。

あのころは、雑誌社や物書きには“学割”があった。

私が月刊『文芸春秋』に、評論家の肩書をはじめて貰って書くようになっ たのは、26歳の時で、堤氏が担当してくれた。

堤氏とは2年前まで、DHCテレビで対談番組を持っていた。高嗤(たか わら)いするのがトレードマークだが、もし、悪事を働いて手配されたと したら、もっとも大きな特徴としてあげられることだろう。

月日がたつのは早く、堤氏も私もいつの間にか、八十路(やそじ)に迷い込 んでしまった。

12月に、82歳の誕生日がまわってくるが、万年少年なのか、成育不全なの か、実感がともなわない。

古人が、自分はまだ若いと思っていても、少年老い易くといって、すぐに 齢(よわい)を重ねてしまうから、一寸の光陰を軽んずことなく、寸刻を惜 しんで遊ばなければならないと戒めているのを、もっと心に刻んで生きる べきだったと悔いてみても、もう遅いのだろうか。

それでも酒量とともに、体力が落ちていることを、認めなければならない。

若い時には、若さを乗り越えようと努めたが、老いると老いに克とうとす るから、生きているかぎり、克己の戦いが続いてゆくのだろう。

もっとも、舌耕(ぜっこう)や筆耕(ひっこう)によって、乞食者(ほがいび と)のように生計を立てているから、猫がじゃらされているように、刻々 と目先が忙(せわ)しく変わってゆくために、俗世を離れて、年金生活を享 受しながら、欲するままに心静かに、悠悠自適の境涯を楽しむ暇(いとま) がない。

昨年、北海道のいまでは町になっている寒村にある、由緒ある神社の創建 120年の式典に招かれて、神道について短い講話を行った。周辺の都市 や、町村から、モーニングか、黒の上下の背広に、白、銀ネクタイ姿の地 元の名士たちが集っていた。

式典のあとの直会(なおらい)で、私から1人おいて座った80代なかばとい う来賓の1人が、「倅(せがれ)に会社を譲って、“飲む、打つ、買う”の 日々ですよ」と自慢するので、「へえ、お元気ですねえ」と驚いたら、 「3食ごとに薬を飲みます。病院へ行って注射を打ちます。テレビのCM でサプリの広告に釣られて、女房か、私が買います」と、答えた。

今年は、3冊の著書が上梓(じょうし)された。といっても、1冊は以前の 著書が文庫版に化けたのと、2冊は対談本だ。年末までに、もう1冊加わ ることになっている。もっとも、昨年は七冊続けてでたが、ほとんどが古 い本の復刻版だった。

銀座の酒肆(しゅし)に戻ろう。友人と何年か振りで、馴染みの店を覗いた。

こんな時には、仏教の唯識派(ゆいしきは)の用語で阿頼耶識(あらやしき) というが、忘れたはずの過去の行いが潜在意識として、体のなかにしっか りと刻まれていることを、あらためて覚らされる。

脂粉の香が漂ってくると小さな店が、雄花と雌花が咲き乱れる花園に変わる。

いや、雄蕊(おしべ)と雌蕊(めしべ)というべきだろう。植物学によると、 雌蕊のほうが受精器官だ。まさに、愛染曼荼羅(あいぜんまんだら)の立体 版だ。

愛染明王は愛欲煩悩がそのまま、悟りになるという、釈尊の有難い教えだ から、酒肆(クラブ)の扉は、これから伽藍に入る、真如(しんにょ)の門な のだろう。

唯識派によれば、あらゆる存在は識、すなわち心にすぎない。眼識、耳 識、鼻識、舌識、身識の五感は、心そのものだ。

真如も仏教語であって、真理をいうが、阿頼耶識も、愛染明王も、唯識 も、修業、伽藍も、もとはすべて、インドのヒンズー古語の梵語(サンス クリット)だ。

 もう一つ刹那(せつな)も、サンスクリットからきた言葉だが、人生は刹 那――指でひと弾(はじ)きする短い時間――刹那を大切にして、充実させなけ ればならない。

 店を久し振りに訪れたから、私にとって新顔だった20代だという、ホ ステスが隣に座った。もう銀座の濁流か、清水に馴染んでいようが、サ ン・ローランか、グッチの法衣(ドレス)に身を包んでいた。

 軽口をたたいていたら、「おいくつですか?」とたずねるので、私が一 瞬怯んだら、「男女は恋人になったら、同じ歳です」と、切り返された。 励ましてくれる、利発な娘(こ)もいるものだと、感心した。

 男女関係は、異文化交流だから難しい。山本有三先生が、「結婚は雪げ しきのようなもので、はじめはきれいだが、やがて雪解けして泥濘(ぬか るみ)になる」と、告白されている。

 そこへゆくと、中島兄貴(あにい)はいつだって姐さんと睦まじい。きっ と、姐さんを神々が降りてこられて宿られる依代(よりしろ)のように、大 切にされているにちがいない。
(中島繁治氏は日大OB誌『熟年ニュース』主宰者)



     
          
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患者自己注射物語
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  渡部 亮次郎

日本で糖尿病患者が治療薬「インスリン」を患者自身で注射して良いと決 断した厚生大臣は園田直(そのだ すなお)である。インスリンの発見か ら既に60年経っていた。逆に言えば患者たちの悲願を歴代厚生大臣が60年 も拒否するという残虐行為をしてきたのである。

園田自身も実は重篤な糖尿病患者であった。しかしインスリンの注射から 逃れていたために大臣在任中、合併症としての腎臓病に罹り、1週間ほど 緊急入院したくらい。大変な痛がり屋。引きかえに命を落とした。

政治家にとって入院は命取り。大臣秘書官として事実を伏せるために余計 な苦労をしたものである。にも拘らず園田はそれから僅か3年後、人工透 析を途中で拒否したため、腎不全により70歳で死亡した。昭和59(1984)年 4月2日のことだった。

その直後、私が糖尿病を発症した。全く予期せざる事態に仰天した。糖尿 病は現時点の医学では絶対治らない病気、いうなれば不治の病というから 業病(ごうびょう)ではないか。絶望的になった。

検査などの結果、私の母方の家系に糖尿病のDNA(かかりやすい遺伝子)が 有り、弟は発症しないできたが、上2人の男兄弟は暴飲暴食による肥満が 契機となって発症したものと分かった。

しかし、あれから40年近く、私は毎朝、ペン型をしたインスリン注射を繰 り返すことによって血糖値を維持し、今のところ合併症状も全く無い。普 通の生活をしていて主治医からも「文句の付けようがありません」と褒め られている。お陰で園田の年を超えた。

これの大きな理由は注射針が極細(0・18mm)になって殆ど痛みを感じなく なったからである。あの時、園田が自己注射を決断したお陰で医療器具 メーカーが、患者のためと自社の利益をもちろん考え、針を細くし、簡単 に注射できるよう研鑽を積んでくれたからである。

逆に言えば、厚生省が自己注射を許可しないものだから、医療器具メー カーは、それまで全く研鑽を積まないできてしまったのである。自己注射 で注射器や針がどんどん売れるとなって初めて研鑽を積む価値があるとい うものだ。

つまり役人や医者の頭が「安全」だけに固まっている限り医療器具は1歩 たりとも前進しないわけだ。患者たちを60年も苦しめてきた厚生省と日本 医師会の罪こそは万死に値するといっても過言ではない。

そこで常日頃、昭和56年までの糖尿病患者たちの苦しみを追ってきたが、 最近、やっとそれらしい記事をインターネット上で発見した。

「インスリン自己注射への長い道のり」(2001/05/28 月曜日)と題するも ので、とある。
http://www.geocities.jp/y_not_dm/insurin2.html

東京女子医科大学名誉教授 福岡白十字病院顧問 平田 行正氏へのイン タビュー記事「インスリン自己注射の保険適用から15周年を迎えて…」よ り抜粋と要約

<インスリンが発見されたのは、1921年(大正10年)です。欧米では供給 のメドがつくとすぐに患者の自己注射が認められました。しかし、日本で は60年もの間、自己注射が認められず、また、保険の適用もありませんで した。

当時の日本では、医療は医師の占有物だとする古い考え方が根強く、医師 会はもちろん、厚生省の役人の中にも、何もインスリン注射をしなくとも 飲み薬があるではないか、と平気で発言する人もありました。

インスリン注射が必要不可欠な糖尿病患者は、インスリンを自費で購入 し、自ら注射するという違法行為でもって、生命をつないでいました。

インスリン発見50周年にあたる昭和46年、糖尿病協会は全国的な署名運動 を行い、3ヶ月足らずで11万4,000名の署名を集めましたが、厚生省から は、「国としては、正面きってこれを取り上げるのは難しい」という回答 が繰り返されました。(佐藤内閣で厚生大臣は内田常雄に続いて齋藤昇)。

中央官庁の理解が得られず、困り果てた医療側や自治体はあの手この手で 知恵を絞り、自己注射公認まで持ちこたえました。

昭和56年(厚生大臣 園田)、各種の努力によりインスリンの自己注射が 公認され、その5年後には血糖値の自己測定が公認されました。保険適用。

医療は医師だけのものではなく、患者と共に手を携えて行うべきものだと いうことが公認された、医療史上最初の出来事です。

インスリン自己注射公認までの悪戦苦闘

長野県・浅間病院と県の衛生課や医師会などが協議して、生み出した苦肉 の策。患者の来院時にインスリンを1本処方し、その一部を注射して、残 りを渡して自己注射する。毎月1〜2回患者から直接電話で報告を受ける ことで、電話再診料として保険請求した。

新聞が長野方式として報じたため、厚生省から中止命令。

バイアル1本を処方して、注射後捨てたものを患者が拾って使用した、と いう言い逃れ。来院時に400単位を1度に注射したことにして、1〜2週 間は効いている形にした>。


1986年、研究のスタートから10年目、
血糖自己測定が健保適用に  (2003年9月)

血糖自己測定を導入した糖尿病の自己管理がスタートした頃(1976 年〜)、今では誰もがあたりまえと思っているインスリン自己注射は、医 師法に違反するという非合法のもとで行なわれていた。

日本医事新報 (1971年)の読者質問欄ではインスリン自己注射の正当性 について、当時 の厚生省担当官は「自己注射は全く不可であり、代わり に経口血糖降下剤 の使用があるではないか」と回答している。

これが1970年代の実態だった のである。このような状況に対して、当時 の「日本糖尿病協会」は、イン スリン発見50年を迎えて、なおインスリ ン自己注射が認められない現状を 打破すべく10万人の署名を集めた。そ して厚生大臣をはじめ関係各方面 に、インスリン自己注射の公認と健保 給付を陳情したが全く受け入れられ なかった。

正当化されたインスリンの自己注射(1981年)

このような状況だったため、インスリンの自己注射容認と、インスリン 自己注射に関わる諸費用の健保適用までには、なお多くの人の尽力と歳月 を要した。そして結果が出たのは1981年(昭和56年)。この年ようやくイ ンスリン自己注射の正当性の認知とこれの健保適用が得られた。その内容 は当時行なわれていた慢性疾患指導料200点に、もう200点加算するという ものであった。これはその後の医療のあり方に大きな影響をもたらし、血 糖自己測定も含め、患者を中心にした医療の実践の必要性と有用性の実証 へと繋げられていった。


<血糖自己測定の健保適用(1986年)(園田死して2年後)

C:\Documents and Settings\Owner\My Documents\血糖自己測定25年.htm

インスリン自己注射の健保適用から5年後、私たちが血糖自己測定研究を スタートさせてから10年目、大方の予想を上回る速さで血糖自己測定の健 保適用がなされた。これはインスリン自己注射指導料に加算する形で設定 された。

以後、何度かの改定を経て、保険点数には血糖自己測定に必要な簡易血糖 測定機器、試験紙(センサー)、穿刺用器具、穿刺針、消毒用アルコール 綿など必要な機器や備品の全ても含まれるようになっている>。

1人の政治家の柔軟な頭脳による1秒の決断が日本の歴史を変えたといって もいい決断だった。この事実を厚生省は大げさに発表しなかったが、元秘 書官として責任をもって報告する。(文中敬称略)再掲



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中国と対話を続けるダライ・ラマ法王
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           櫻井よしこ

「中国と対話を続けるダライ・ラマ法王 チベット仏教は人類の幸せに貢 献する」

ダライ・ラマ法王にお会いするのは2年振りだった。昨年秋、来日予定 だったが、医師の助言で急遽中止された。今年、法王のお顔は明るく、頬 は健康的なうすいピンク色だった。

今回、ネット配信の「言論テレビ」の番組で取材したのは激動する世界 で、大国中国に弾圧され続けるチベット民族の未来や混乱する価値観の方 向性について、83歳になられた法王に聞いてみたいと考えたからだ。三度 目の番組出演に、法王は快く応じ、中国との関係についての質問には意外 な答えが返ってきた。

ダライ・ラマ法王がインドに亡命して来年で60年になる。近年、中国との 関係は断絶されたと言われてきた。法王がいくら対話を求めても、中国政 府は応じることなく、一方的に「分裂主義者」「反逆者」「犯罪人」など の酷い非難を法王に浴びせてきた。ところが状況は改善に向かっている と、法王は次のように語ったのだ。

「この数年間、(私への)批判は大幅に減りました。私と中国との関係 は、まず、1979年、私が中国政府と直接接触し、その後数年間、こちらの 代表が先方を訪れて話し合う形で対話は続きました。それは中断されたの ですが、私と中国指導部の接触は非公式な形でいまも続いています」

対話は断絶しておらず、非公式だが現在も続いているというのだ。そこで 再度、その点を確認した。

「そうです。ビジネスマンや引退した当局者が、時々私に会いにきます。 私たちは関係を続けているのです」と、法王。

中国共産党一党支配を浸透させようと、あらゆる監視体制をとって国民の 動向を見張っている習近平政権の下では、ビジネスマンであろうが引退し た当局者であろうが、自由意思でダライ・ラマ法王に接触することなどで きない。彼らの訪問が習政権の意を受けているのは明らかだ。

如何なる形であっても対話の継続は重要だ。一方で、政権の意を受けた人 間が法王に面会するのは、法王の健康状態も含めて亡命チベット政府の状 況を監視する活動の一環ではないかと、つい、私は警戒してしまう。

後継者問題についても尋ねた。中国共産党政権が次のダライ・ラマは自分 たちが選ぶと宣言したことを尋ねると、法王は「ノープロブレムだ」と、 次のように語った。

「(ダライ・ラマに次ぐ高位の)パンチェン・ラマには後継者が二人いま す。一人は私が選び、一人は中国政府が選びました。多くの中国当局者 が、中国が選んだのは偽のパンチェン・ラマだと言っています」

法王の生まれ変わりが次のダライ・ラマになる「ダライ・ラマ制度」につ いても重要なことを語った。

「後継者について深刻な心配はしていません。1969年以降、私は後継者問 題はチベット人に任せると表明してきました。最終的にはダライ・ラマと 特別な関係にあるモンゴル人を含む人々を招集して決めればよい。私が90 歳になったらダライ・ラマ制度に関する会議を開けばよいでしょう」

法王はこうも語った。

「将来のことは人々の関心事ですが、私は関与できないことです。大事な のは私に残された日々を、学びと研鑽を積むことで意義深いものにするこ とです。亡命政府の下のチベットでは僧侶も尼僧も学び続けています。昔 の信仰は、率直に言えば訳も分からず信じ込むのに近かった。しかしそれ は時代遅れです。学ぶことで確信が得られます」

日本の仏教徒も般若心経を暗唱するだけでは不十分で、もっと真剣に学ぶ ことが必要だと指摘し、仏教哲学と科学を融合させて学び続けることが、 二一世紀の仏教の重要事で、チベット仏教はその先頭に立って人類の幸せ に貢献するとの決意を、法王は強調した。
『週刊ダイヤモンド』 2018年12月1日号
 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1258


            
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重 要 情 報
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 ◎【永田町・霞が関インサイド】国民の理解得られる対中防衛「2つの秘策」 トランプ氏の影響で防衛費GDP1%超 

安倍晋三政権は12月中旬、新しい「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を閣議決定する。日本を取り巻く東アジア情勢の激変に基づくもので、5年ぶりである。これに伴い、防衛装備品などの導入計画「中期防衛力整備計画」(中期防)も大きく見直される。

それだけではない。これまで日本政府が防衛費を国内総生産(GDP)比で1%以内に収めてきた「原則」も変更する。防衛費とは、防衛装備品の取得費や自衛隊の人件費など、防衛省が所管する予算のことである。

これにも、実はドナルド・トランプ米大統領の存在が影響している。トランプ氏はこの間、フランスや英国、ドイツなど、北大西洋条約機構(NATO)の主要加盟国に対し、繰り返し防衛費の増額を求めてきた。

ちなみに、2017 年度の米国の防衛費6100億ドル(約69兆1600億円)はGDP比3・1%に対し、フランスの578億ドル(約6兆5500億円)は同2・3%、英国の472億ドル(約5兆3500億円)は同1・8%、ドイツの443億ドル(約5兆200億円)は同1・2%。

日本は5兆1911億円の0・92%(18年度)であり、トランプ氏が求める「応分の負担」の対象国になっている。つまり、防衛省所管以外の旧軍人遺族らの恩給費や国連平和維持活動(PKO)分担金などを合算して、NATO基準にするということである。これでGDP比1%超となり、安倍首相はトランプ氏に顔が立つ。

これだけではない。防衛大綱の閣議決定を経て19〜23年度の中期防に超高額な防衛装備品の取得方針を盛り込む。

その目玉が、米ロッキード・マーチン社の最新鋭ステルス戦闘機「F35 」の購入だ。それも半端ない数である。これまでに導入が決まった42機に加えて、1機100億円超を100機追加購入するというのだ。総額1兆5000 
億円に達する。これもまた、トランプ政権が強く求める対日貿易赤字解消を念頭に置いたものだ。

新防衛大綱と次期中期防は、トランプ氏のために策定するのではと勘繰りたくなる。それはともかく、筆者が注目する防衛装備品が2つある。

1つは最新の早期警戒機「E2D」(ノースロップ・グラマン社)の9機導入。中国が配備した最新ステルス戦闘機「120」を意識したものだ。

2つ目は、産経新聞が報じた「中国空母2020年末にも進水−国産2隻目、電磁式射出機を導入」に関係する。海上自衛隊のヘリ搭載型護衛艦「いずも」の空母化を新防衛大綱に明記することである。この2つは国民の理解が得られるはずだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

【写真】  海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」 海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」
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【ZakZak】 2018.12.4 〔情報収録 − 坂元 誠〕

 

 ◎G20、米中首脳会談で貿易摩擦解消の期待感は薄い=専門家

アルゼンチンのブエノスアイレスで11月30日と12月1日に行われる世界政 経主要国会議G20で、米中両首脳は12月1日に夕食会を予定している。貿易 摩擦のほか、北朝鮮などいくつかの問題を議論する。専門家はこの会談 で、世界経済に影響を及ぼす貿易戦は期待されるほどの動きはないと見て いる。

ホワイトハウスは、中国の知的財産盗用や強制技術移転、国営企業の優遇 支援や労働権利の侵害など、不公平な貿易条件を指摘してきた。トランプ 大統領は、対中貿易には厳しい姿勢を貫く構えだ。

ブエノスアイレスに発つ前、大統領は記者団に対して「中国は取引したい と思っているだろう。私は取引にはオープンな姿勢だ。しかし正直、今の やり方が気に入っている」と述べた。大統領は、米国は対中関税という形 で数十億ドルを得ていると語った。

ホワイトハウスは、米中首脳会談で何も合意がなければ、中国に対して新 たな制裁関税を発動すると警告してきた。

米国は2018年、約2500億ドル(約27兆円)相当の中国製品に関税を課し た。関税は2019年1月、現在の10%から25%に引き上げられる。さらに、 問題解決に進展がなければ、さらに2670億ドル(約29兆円)の中国製品に 関税を課す可能性がある。

専門家は、米中首脳会談で市場は大きな進展を期待していない。太平洋人 生基金アドバイザーズ(Pacific Life Fund Advisers)の資産配分部門責 任者マックス・ゴクマン氏は、「米中首脳の貿易交渉に対する市場反応は (情報の)非対称性から、プラスの動きはマイナスの動きに勝るだろう」 「投資家はクリスマス前に貿易摩擦が終止符を打つとは考えていない」と 述べた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は29日、米国と中国が来 春まで追加関税の発動を停止した上で、「中国経済政策の大幅な変更を見 据えた」新たな協議を行う方向で合意を探っていると伝えた。しかし、同 紙が米中双方の関係筋の話として、G20首脳会議に合わせた米中会談で合 意が得られるかは不透明だという。

トランプ米大統領は同日、中国との通商交渉妥結に近づいているものの、 それを自分が望んでいるかは定かでないと述べた。

世界経済は暗雲の気配=IMF代表

国際通貨基金(IMF)のラガルド代表は、米国と中国の貿易摩擦や英国の 欧州連合離脱といった不確実な要因を受けて、世界経済の成長は減速して いるとG20前に見方を示した。首脳会議では議論される主要課題の一つと 考えられる。

成長の勢いは米国は依然として強い。米中貿易戦の影響から、サプライ チェーンは東南アジアに移行し地域経済は活況を迎えるとの予測もある。 しかし「重大なリスクにより暗い雲が現れる時期にある」と国際通貨基金 クリスティーナ・ラガルド代表は11月28日、自身のブログに書いた。ラガ ルド代表は、G20の首脳たち対して、経済危機を防ぐために迅速に行動す る必要があると呼び掛けた。

IMFは最新報告で、2018年と2019年の世界経済は3.7%成長すると見込んだ が、両年ともに0.2%ポイント下回ると予想を修正している。要因に、中 国経済の成長鈍化、米中貿易戦、アルゼンチンやトルコなどの新興市場に おける金融懸念を挙げた。

G20は世界の経済大国の指導者たちが対話を交わし意思を確かめる主要な 国際会議となっている。この20カ国で世界国内総生産(GDP)の85%、世 界人口の3分の2、国際貿易の75%を占める。

開催国であるアルゼンチンは近年、経済問題に悩まされており、この大型 国際会議開催のために約2年を費やして準備した。同国マウリシオ・マク リ大統領は、トランプ政権の米国と習近平政権の中国との間の貿易紛争を 終わらせるため、個人的な役割を果たしたいと語る。

戦略国際問題研究所(CSIS)米国プログラムの上級顧問ミシェル・マテラ 研究員は11月20日、CSISウェブサイトでG20の考察を示した。同氏は、マ クリ大統領が「仲介役を担えるかどうかはわからないが、彼自身はその役 割を果たしたいと望んでいる」と話した。

先進国の経済が上昇するなか米中の貿易摩擦が高まっていることから、ア ルゼンチンを含むいくつかの新興市場は外的圧力に揺さぶられ、不安定に なっている。

「ラテンアメリカの多くの国々は、米国と中国のどちらかを最大貿易相手 国にしている。このため、米中貿易戦争は、世界の成長にとって大きな脅 威と見なされている」とマテラ氏は述べた。

トランプ大統領はマクリ大統領と30日に朝食ミーティングを開催する予定 にしている。世界貿易と親中のマドゥロ政権ベネズエラが議題に上がる見 通しである。(翻訳編集・佐渡道世)

【写真】2017年7月、ドイツのハンブルグで行われた世界経済主要国サ ミットG20で集合写真の一幕(Stefan Rousseau/Getty Images)
https://img.epochtimes.jp/i/2018/11/30/t_uu9cexa7hxzwfjrcdeqs.jpg
【大紀元】2018年11月30日 17時43分  〔情報収録 − 坂元 誠〕



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身 辺 雑 記
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5日の東京湾岸は晴れ。
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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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