政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針4829 号)018.10.11(木)

2018/10/11

                       
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4829号
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       2018(平成30)年  10月11日(木)



       孟宏偉(インターポール総裁)の拘束:宮崎正弘

            パイナップルも無かった:渡部亮次郎

     中国が世界各地で仕掛ける「債務の罠」:櫻井よしこ 

        ピントが問題の小泉小じゅうと発言:杉浦正章
                                
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4829号
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孟宏偉(インターポール総裁)の拘束
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)10月9日(火曜日)弐
        通巻第5850号  
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孟宏偉(インターポール総裁)の拘束は「第2の王立軍」を想起
中国公安部の高層部、すべて入れ換えていた事態が意味するもの
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「孟宏偉の収賄嫌疑は疑わしく、本質は周永康派残党の一掃にある」と香 港筋が分析している。

「これは第二の王立軍ではないか」とする観測家によれば、すでに、かつ ての周永康時代の副部長だった李東生、楊換寧と政治部主任だった夏崇源 らが「周永康の余毒だ」として失職している。

とくに李東生の場合は早くも2013年に拘束されている。

汚職の罪状が理由だったが、江沢民派の大幹部だった事由によるとされ、 周永康失脚の序曲となった。楊換寧の拘束は2017年5月、また夏崇源は同 年10月に「重大な規律違反」として職を解かれた。つまり孟は周りを囲ま れていたのだ。

「王立軍事件」とは2012年2月、成都のアメリカ領事館に政治的保護を求 めて王立軍が重慶から車を飛ばして駆け込んだことにより露呈した薄煕来 夫人の英国人殺人事件の暴露だった。

これによって習近平最大のライバルだった薄護来の失脚に繋がった。王立 軍は薄の右腕として、重慶の公安局長に招かれ、マフィア退治で辣腕を振 るったが、薄の機密を握ったことで逆恨みされ、身の危険を察知、アメリ カへの亡命を希求した。

ところが、オバマ政権は決断が出来ず、中国の反発を怖れて王立軍の身柄 を中国当局に引き渡す。

孟宏偉(インターポール総裁)の事件はいくつかの重要な意味を持つ。イ ンターボールは世界的な捜査協力、とくにテロリスト、資金洗浄、國際犯 罪組織、麻薬武器密輸の取り締まりが目的であり、中国は海外へ逃亡した およそ百名の逮捕を目的としていた。

第一にかりにもインターポールは百年の歴史(1923年設立)を持ち、 190の国が参加する国際機構である。その長として、中国の名声を確保 した「国際的権威」というイメージが中国共産党自らが國際スキャンダル を引き起こし、損傷した。

だが中国側の反論たるや、詭弁に満ちている。

「西側メディアは行方不明とか、連絡が取れないとか、おかしな語彙で騒 いでいるが、中国は厳正に法律に基づいた措置をとっているのであって、 とやかく言われる筋合いはない。

嘗てIMFのストラス・カーン専務理事がホテルのメイドへの性的暴行で 逮捕されたとき、いかなる高位の人物であれ、法を犯したので逮捕したよ うに、孟宏偉も、法を犯したから拘束したまでのことだ」(環球時報、10 月8日)。

第二に国家の公安部副部長(日本で言えば副大臣。ただし中国の副部長格 は五、六人いる)という高位にある人間を拘束するからには、共産党最高 幹部の承認があったことを意味する。

つまり孟が周永康派の生き残りであり、周永康はかつて公安系を牛耳り、 薄煕来と組んで、クーデターを試みたと噂されたため習近平がもっとも怖 れてきた存在だった。

したがって、機密を持ち、党に爆弾となるような行動を取るか、或いはフ ランスへ亡命するなどとなれば、中国共産党にとって不名誉この上なく、 巧妙に北京におびき寄せて拘束師、口を封じたことになる。それが孟が夫 人宛の最後のメッセージで身の危険を十分に認識してナイフの写真を送信 していたことが歴然と証明している。

     
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稀有な環境の下、日中混血の著者に降りかかった悲運の連続
日本に帰国しても、楽な人生は何ひとつなかった

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小泉秋江『中国と日本 2つの祖国を生きて』(集広舎)
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著者は帰国子女の範疇にはいるが、「大躍進」という名の飢餓状況時代に まだ五歳だった。両親が不在という空間で奇跡的に生き抜いた。

父親は中国人軍医、母親が日本人教師で満州に赴任しており、著者が生ま れたのは共産党政権成立以後の1953年だった。

なぜ戦後に? 日本に絶望していた著者の母親が(女子師範卒だった)上 役の勧めで満州の奉天の教職を得たからだった。

 両親も著者も兄妹も、嵐の「文革」で凄まじいいじめを体験し、そして 下放され、あまりの惨めさ、過酷さに睡眠薬自殺を図ったが、生還した。
下放先では暴行、監禁、強制労働という「生き地獄」を歯を食いしばって 生き抜いてきた。

母親の里帰りの付き添いという名目で、兄と3人で帰国した。

日本に帰国後、夜間中学に通って日本語を覚え、貿易会社に勤める傍らで 添乗員としてもアルバイト。ようやく会社を立ち上げたところ病魔に襲わ れて失明寸前という地獄の連続だった。

帰国子女の苦労譚は数多く、本書もその一冊に加わるだろう。

ただし気になったのは歴史認識が間違っていることである。満州国がでっ ち上げとか、満州陣を追い出して農地を手にしたとか、廬講橋事件で日本 の侵略戦争が始まったとか、中国でうけた洗脳教育の残滓がところどころ 記述されている。それが間違いであり、満州国は国際的に承認されていた し、入植者の土地は「かれらが」売りに来たこと、廬講橋事件は共産党が しかけた謀略だった歴史の真実はスルーされている。しかし、その点は帰 国子女の受けた教育空間の過ちであって著者の過ちではない。

いまも、著者は悪夢に悩まされるというほうが深刻な問題である。

「大きな声にびっくりして目が覚めました。自分の声でした。全身汗をか き、のどがカラカラになっています。またあの悪夢を見たのです」

 それは「何者か、黒い敵に追いかけられ、けんめいに逃げるのですが、 逃げても、逃げても、追いかけてくる。隠れたり、高い崖から飛び降りた りしても、なお追いかけてくる悪魔! つかまったら殺される! ついに 袋小路に追い詰められ、もはやこれまで! というところで目が覚めます」

こういう人生を送らざるを得なかった著者の不幸を思う。
            
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1801回】            
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(26)
徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正7年)

■「(32)家族と世界」

「支那は一國と云はんよりも、寧ろ一世界也」。これに対し「日本は一國 と云はんよりも、寧ろ一家族也」。しかも皇室が「開國以來、否な寧ろ開 國以前よりの綱紀」であり続いている。だから武家政治が廃れようとも、 国の大本は一貫している。だが「試みに支那に向て之を見よ、中央集權の 基礎」はもちろん、「中央集權の訓練」すらない。

古来、「地方分權抔」を掲げているが、「其實は全然放任政治」というも の。「支那の政治の亂雜なるも、此が爲め」である。だが、その一方で 「其の亂雜ながらも、分裂なくして、兎も角も國土の統一を失はざりし も」、「放任政治」の故であった。つまり「四千年來、支那は國として も、中央集權」であったことはなく、「民としても、中央集權の政治に服 したることなし」。だから「直に日本的中央集權の政治を、支那に?行」 しようとしたところで、「其の不成功や、必然の數也、理也、勢也」。

■「(33)翻譯政治の失敗」

とどのつまり「支那の失敗は、翻譯政治の失敗」であり、自らが備えた諸 条件に対する深刻な考察を経ることなく他国の成功例を持ち込んだところ で成功する訳がない。「日本の先例は、日本にのみ用ふ可くして、支那に 用ふ」ることは不可能だ。

「要するに皇帝を稱するにせよ、大總統と稱するにせよ」、「支那に向 て、日本型の中央集權の政治を行はんと」するは、元より無理な相談だ。 なぜなら「中央集權の政治は、支那四千年の?史に背違し、支那の國民 性」とは相容れないからだ。

ともかくも「?龍江邊より、土耳其斯坦の沙漠迄、蒙古の曠原より海南嶋 迄、一律に律し盡さんとす」ることそれ自体、無理なのである。

■「(34)袁世凱の幽靈」

清末以降の政治を振り返るに、その大本の流れは袁世凱が導いたといって いい。袁世凱は死んだが、彼は「支那政治の中樞」に影響を与え続ける。 「概觀すれば、支那現在の政局は、死せる袁世凱、活ける支那を攪亂し つゝありと謂ふも、決して誣言」ではない。それというのも、「今日の支 那は何れも袁の兒分共が、互ひに鎬を削りつゝ」あるからだ。

子分共の振る舞いをみても、やはり袁世凱は「一身若しくは一家の事」に のみ強い関心を示したが、「一国の事」などに関心を示すことはなかっ た。その結果、現在では「幾多の小袁世凱」が蠢き合っているだけで、 「支那の前途も亦た悲觀」するしかない。

■「(35)3個の要件」

「日本さへも一氣呵成に、維新の大業を成就」できたのだから、我われに できないわけがないと考えているようだが、「凡そ中央集權を施すに は」、「國是の確立」でもある「國民の精神的統一」。中央政府の下で兵 力を統一的に管理する「兵權の統一」。「全國財賦の權」を中央政府が一 元的に管轄する「財權の統一」――以上の「3箇の要件」が絶対的に必要だ。

「顧みて之を支那の現状に徴」してみるなら、「3箇の要件」のうちのど の1つも見当たらない。辛亥革命は成功したが、そこに結集した勢力は清 朝=満州族王朝の破壊という一点で一致してはいたものの、それぞれの勢 力が「建設的國是」を持っていたわけではない。多大の犠牲を払いながら 幕末維新の混乱期を乗り越え得たわけは、幸いにも日本は「萬世一系の皇 統」を保持し、「皇室中心主義」で貫かれていたからだ。

翻って見ると、「支那には之に代はる可き何物」もないし、「不幸にして 支那には國論の統一なく、又た之を統一す可き精神的標的」すらない。だ から未来は暗澹・・。

    
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読
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(読者の声1)新刊の石平さんとの対談(『アジアの覇者は誰か 習近平 か、いやトランプと安倍だ! 』、ワック)を連休中に拝読しました。
日本のメディアが行なっている中国情報とはまるっきり異なる分析で、あ あやっぱりそうか、そうだよね、と一行一行を納得しながら考えたこと は、なぜ日本のメディアは中国に毅然として物をいわないのか、なにか、 中国に負い目でもあるのかという疑問でした。
 すくなくとも独立国家として国際的な情勢を判断するのなら、日本の基 点に立脚して、ものごとを考えなければいけないのに、なぜ中国の立場を さきに忖度してから報道をするのか、不思議でなりません。
  (TY生、練馬区)


(宮崎正弘のコメント)外務省にしてからが、いまだに位負け外交続けて います。北京特派員にしても、本当のことを書いたら本社で原稿を突き返 されるか、あるいは帰国後の出世に悪影響が出るという自己規制も働くの でしょうね。
 一番の解決法? 日本のメディアの新聞記事をよまないこと。テレビは 画面だけをみること。解説は聞かない。
そして小紙を愛読していただくことでしょうか(苦笑)。



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パイナップルも無かった
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       渡部 亮次郎

朝と昼の食事のあとは果物を必ず食べる。だから秋は楽しい。果物の種類 が豊富だからだ。冬が近付くとみかんに混じってときどき供されるのがパ イナップルだ。

南国の果物だから生まれ育った秋田では子ども時代はお目にかからなかっ た。敗戦後、缶詰を初めて食べて美味しかった。しかし生を食べたのは大 人になって上京後である。

アメリカから返還される前に特派員として渡った沖縄では畑に植わってい るのを沢山見たが、なぜか食べなかった。今、東京のデパートで売られて いるのは100%フィリピン産である。

「ウィキペディア」によれば、パイナップルの原産地はブラジル、パラナ 川とパラグアイ川の流域地方。この地でトゥピ語族のグアラニー語を用い る先住民により、果物として栽培化されたものである。

15世紀末、ヨーロッパ人が新大陸へ到達した時は、既に新世界の各地に伝 播、栽培されていた。 クリストファー・コロンブスの第2次探検隊が1493 年11月4日、西インド諸島のグアドループ島で発見してからは急速に他の 大陸に伝わった。

1513年には早くもスペインにもたらされ、次いで当時発見されたインド航 路に乗り、たちまちアフリカ、アジアの熱帯地方へ伝わった。

当時海外の布教に力を注いでいたイエズス会の修道士たちは、この新しい 果物を、時のインド皇帝アクバルへの貢物として贈ったと伝えられる。

次いでフィリピンへは1558年、ジャワでは1599年に伝わり広く普及して 行った。そして1605年にはマカオに伝わり、福建を経て、1650年ごろ台湾 に導入された。

日本には1830年東京の小笠原諸島・父島に初めて植えられたが、1845年に オランダ船が長崎へもたらした記録もある。

パイナップル(レユニオン)は植付け後15〜18か月で収穫が始まる。自然 下の主収穫期は、たとえば沖縄では7〜9月と11〜翌年2月である。

1年を通した生産面の労働力の分配や缶詰工場の平準化を図り、植物ホル モンであるエチレンやアセチレン(カーバイドに水を加えて発生させ る)、エスレル(2-クロロエチルホスホン酸)、を植物成長調整剤として 利用し、計画的に花芽形成を促して収穫調節を施している。

栽培適地は年平均気温摂氏20度以上で年降水量1300mm内外の熱帯の平地か ら海抜800mくらいまでの排水の良い肥沃な砂質土壌である。

世界生産量の約5割がアジア州で、残りの5割はアフリカ州、北アメリカ 州、南アメリカ州の間でほぼ均等に分かれている。

2002年時点のFAOの統計によると世界生産量は1485万トン。1985年時点に 比べて60%以上拡大している。主要生産国はタイ (13.3%)、フィリピン (11.0%)、ブラジル (9.9%)、中国 (8.6%)、インド (7.4%)、コスタリカ、 ナイジェリア、ケニア、メキシコ、インドネシアである。

1985年の世界総生産は923万トンで、主産地はタイ、フィリピン、ブラジ ル、インド、アメリカ、ベトナムなどである。日本では沖縄県が主産地で 2002年時点では1万トンである。

1985年から2002年までのシェアの推移をたどると、米国のシェアが6%から 2%までじりじり下がっていることが特徴である。既に米国は上位10カ国に 含まれていない。2012・11・06


  
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中国が世界各地で仕掛ける「債務の罠」
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            櫻井よしこ


 「中国が世界各地で仕掛ける「債務の罠」 「第二のスリランカ」阻止 への正念場だ」

広域経済圏構想「一帯一路」を推進して、世界に覇権を打ち立てるという 中国の思惑が、またひとつ崩れ去るのか。日本や米国、インドやオースト ラリアは中国の横暴な世界戦略に修正を加えることができるのか。

インド洋に浮かぶリゾートの島国、モルディブで9月23日、大統領選挙が 行われ、親中派のアブドラ・ヤミーン氏が敗北した。野党統一候補のイブ ラヒム・モハメド・ソリ氏が58%の得票で勝利したことで、これまでの親 中路線が修正される可能性が生まれた。それ自体、歓迎すべきことだが、 多くの困難が待ち受けているだろう。

前政権のヤミーン氏は2013年の大統領就任以降、いち早く一帯一路構想に 賛同し、積極的に中国マネーを導入した。無謀なインフラ工事を進め、ヤ ミーン氏自身も腐敗の極みにあり、現時点で中国に対するモルディブの債 務は20億ドルに上る。IMF(国際通貨基金)の統計では同国GDP(国 内総生産)は45億ドルで、対中債務はGDPの実に45%を占めている。

モルディブが、「債務の罠」にはまったのは明らかで、モルディブ国民が 今回の選挙で親中派を排除した最大の理由である。実は彼らの危機意識 は、モルディブ同様、一帯一路の要衝にあたり、債務の罠にはまってし まったスリランカの事例によって高まった。

スリランカでも、親中派政権が巨額の中国マネーを導入し、ハンバントタ 港の大規模整備を進めた。国民は膨れ上がる債務と6.8%の高金利のもた らす悲劇を直感し、親中派を退けた。

新政権は追加の開発を凍結したが、中国が損害賠償を要求すると窮地に 陥った。どうあがいてもスリランカには賠償金の支払いも債務の返済も無 理だ。足下を見た中国は、それまでの微笑みをかなぐり捨ててハンバント タ港の99年間のリース権を要求した。

こうしてスリランカ政府は、事実上、半永久的に港を中国に奪われてし まった。この間の経緯をじっと見ていたのがモルディブ国民だった。

港や戦略的に重要な拠点を奪われているのは、スリランカだけではない。 オーストラリアも同様である。

同国の北に位置するダーウィン港は米海軍が定期的に寄港する軍港であ る。そこに隣接する広大な土地の99年間のリース権を、オーストラリアは なんと中国に許してしまったのだ。15年、中国が支払ったのはわずか約 460億円である。オーストラリア政府はこの取引を阻止せず、アメリカの オバマ政権(当時)は事後になるまでこの件について知らされていなかった。

独占的権利を得た中国は、米海軍が拠点とするこの軍港の大規模拡張計画 を発表済みだ。今年5月、アメリカは太平洋軍を「インド・太平洋軍」と 改称したが、インド洋に睨みをきかせようとするアメリカに中国は堂々と 挑んでいるのである。

ダーウィンからインドネシアの南側を北西に進むとスリランカに行きつ く。インドの鼻先に位置する同国のハンバントタ港については前述したと おりだ。

ハンバントタから南西に下がった所に、今回、中国に反旗を翻したモル ディブがあり、さらに西に進めば紅海の入り口にジブチがある。ジブチに は、中国が初めて海外に築いた軍事基地がある。

ジブチに対しても中国はすでに債務の罠を仕込んでいる。同国のGDPは 20億ドルとされるが、そこに中国はアフリカ最大規模の自由貿易区を、35 億ドルかけて建設したのだ。

ジブチの辿るであろう運命はすでに明らかだ。世界各地で進行中のこの悪 魔のような債務の罠に絡めとられた国々をどのようにして助けていくのか が問われている。とりわけ日米豪印はモルディブを第2のスリランカにし ないために最大限の協力をしなければならない。まさに正念場である。
『週刊ダイヤモンド』 2018年10月6日号
 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1250



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ピントが問題の小泉小じゅうと発言
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           杉浦 正章

  「原発ゼロ」で立ちゆく国はない

元首相小泉純一郎の発言がピントを外れており、理解に苦しむ。76歳で小 生より一つ下だからまだぼける年でもあるまいにピントがぼけてもいる。

まず来年の参院選挙について小泉は「野党が統一候補を出して、原発ゼロ を掲げて選挙の争点にすれば、自民党は危うい」と警鐘を鳴らすが、すで に国政選挙のテーマになって自民党が圧勝している。

昨年の9月の総選挙は紛れもなく野党の掲げる「原発ゼロ」の是非が問わ れたのであり、自民党の圧勝は「原発ゼロ」の完全否定にほかならない。 火事でもないのに鐘を叩く者は、「ちょっと変わっている」どころではな い。政治家が重要ポイントを忘却の彼方では、どうしようもない。

 さらに小泉は「総理が『原発をゼロにしよう』と言えば、野党も協力で きる、国民も支持する。自然エネルギーを活用して日本を発展させる方針 を立てるべきなのに、なんで立てないのか。できることをやらない。」と 息巻くが、野党の協力の必要性はあるのか。

風力や太陽光など自然エネルギーを活用した発電などは、現実には大きな 力とはなり得ない。小泉は、エネルギー政策の基礎を知らない。世界の工 業国の原発使用状況を見ると、運転中の合計出力は3年連続で過去最高を 更新しているのだ。

2018年 1月1日現在、世界の営業運転中の原子力発電所は443基、4億937万 5,000kWで、これも3年連続で過去最高の合計出力の記録を更新している。 にもかかわらず、日本だけが原発を放棄すればエネルギーの高騰を招き競 争力が激減して、それこそ亡国へとつながりかねない状況なのだ。

「原発ゼロ」などと唱える政治家は日本くらいにしか存在しまい。それに 原子力エネルギーを放棄すれば地球温暖化との戦いに敗れたのも同然と言 うのが世界の常識なのだ。

政治家にとって欠かせない見通しもいささか危うげである。小泉は、4 月 に森友・加計学園問題を批判して「3選が危うくなってきた」と述べたが 3 選は実現、見通しを間違った。かと思うと8月には安倍とゴルフ。そして 今回の批判である。ブレが激しい。

天下のご意見番大久保忠教(通称彦左衛門)はユーモアがあって庶民に親 しまれたが、小泉の発言はとげとげしく、小じゅうとのように足を引っ張 る。人間の幅の問題かもしれない。

どうも小泉にとっては、安倍政権が長期化すること自体が面白くないよ うでもある。安倍政権は5月に小泉の1981日を抜き、9月の3選達成 で、来 年2月に吉田茂の2248日、20年8月に大叔父佐藤栄作の2798日を抜 く。第 1次内閣の366日を足した場合には来年11月には桂太郎を抜いて、 史上最 長の政権となる。

バブル崩壊後は短命政権が続いたが、安倍の場合政権を全否定するような 批判は生じていない。とりわけ外交において、長期政権がプラスの作用を もたらしていると思う。国民は安定を求めており、平地に波乱を小泉が求 めても無理だ。

           
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重 要 情 報
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 ◎輪島大士氏の訃報に思う:前田正晶

相撲嫌いと言うよりも相撲そのものに全く関心がなかった私は、この度輪 島大士氏が亡くなって初めて彼が現役の頃には金色の回しを締めていた だったと知った次第。だが、彼が日大出身の凄い相撲取りだったことや、 瞬く間に横綱に昇進したくらいは承知していた。

彼が相撲界を廃業した後にプロレス界に入っていったのは、日大フェニッ クスに出入りしていたので何となく承知していた。それよりも何よりも、 彼はフェニックスの故篠竹幹夫監督に私淑したのか、何度もフットボール 部のグラウンドを訪れてベンチに入っては、監督にフットボールの諸々の 指導を受けていたのは見ていた。そして、その後に学生援護会のフット ボールの監督に就任したのも知っていた。だが、上記のように大横綱とし ての活躍はほとんど知らなかった。

故輪島氏は篠竹監督氏よりも15年ほど下級生だったのかと今度の訃報で初 めて知ったような次第。今となっては、全盛時代の日本大学フェニックス と尊敬していた篠竹幹夫監督の思い出の一頁である。篠竹監督と輪島氏の ご冥福をあらためてお祈りする次第。


 ◎前沢友作氏の金遣い:前田正晶

9日の午後の「ゴゴスマ」で中部大学教授の武田邦彦教授が面白いことを 言っていたのが印象的だった。「やれ月旅行をするの、何億もする絵画を 買ったり、ストラディバリウスを何億円も出して買ったと言うが、あれは 彼の会社から服を買ってくれた人たちが出したお金ではないか。お客様に こういう使い方をして宜しいですかと了解を取るべきではないのか」と言 われたのだった。

興味深い発想であると同時に、私にとっては全く意表をつかれた発言なの で「良いことを仰る」と反応するべきか「おかしな発想だ」と瞬間的に否 定することは出来なかった。社名変更してZOZOとなった会社は前沢氏が 40%の株式を保有しているそうだから、少なくとも最大の株主の了解は取 れていることになる。だが、それ以外の一般的な上場会社が資産の使い方 を客先や株主に了解を取るかと言えば、そういう話は聞いたことがない。

だが、前沢氏の場合は金の使い方の規模が如何にも大き過ぎるだけではな く、如何にも好き勝手放題に見える気はする。ただそれだけの話だが、何 時もながらの武田邦彦教授の独特な発想が面白かったので、つい採り上げ る気になってしまった。

 ◎お客の代弁をする不都合な日本人社員:前田正晶

1990年に私が副社長兼事業本部長に願い出て “Japan Insight”と銘打った 「日本とアメリカのビジネス社会における文化の違い」の1時間半にも及 ぶプリゼンテーションを本部で行った時に、慎重を期して事前に原稿を本 社から派遣されて日本駐在の経験が3年を超えた木材部門のマネージャー に見て貰った。彼は「概ねこれで良いが、私ならどうしても追加したい項 目がある」と言って教えてくれたのが「お客の代弁をする怪しからん日本 人社員」だった。

私は一瞬何のことが解らなかったが、詳細な解説を聞いて納得し「プレゼ ンテーション中で強調すべき項目」として追加した。私にとっても言わば 盲点を突かれたような事柄だった。それは、本社から出張してくる多くの マネージャーたちが最も腹立たしいと怒りを露わにするのが「日本人の社 員は何かと言えば『得意先から我が社の申し出に対して此れ此れ然々の反 論があった。尤もだと思うので本部では再検討願いたい』というような意 見具申を当たり前のようにしてくること。彼らは何処から給与を得ている のかが解っていない」という点であるとの指摘から始まった。

こういう意見具申は我が国でごく当たり前のことだったので、「それで貴 方は何を言いたいのか」と問い質してみた。彼は「これはアメリカでは当 たり前のことで来日した連中が怒るのは当然である。アメリカでは会社が 決定した方針を如何にして得意先に納得させるかが営業担当者の務めであ り実力でもあり、お客様のご意見承って本部に伝えることなどは誰も期待 していないし、そうあるべきではないのである」と指摘した。

言葉を継いで「私が出張者たちに教えていることは『腹立たしいのは解 る。だが、何時までも一方的にお客の声を聞くことを拒んでいては、日本 市場の実態も特殊性即ち文化の違いが理解できないのだ。我慢して彼らの 言うことを聞ことして見ろ。その先には必ず日本市場の実態が見えてくる ようになるから』だった。連中は最初は抵抗したが徐々に聞くようになっ て態度が変わって日本市場でのシェアー拡大に役立つようになった」と教 えてくれた。

私はここまででも「我が国とアメリカの企業社会の文化の違い」が具体的 には見えてこないと思う。私も経験した最も大きな違いの一つが「担当者 は何としても如何なる話法を用いても本社乃至は本部が決定した値上げや クレーム等の補償等々の件を関連する得意先に納得させるのが会社から 貰っている給与に見合う仕事の最も大事な進方である。得意先がこのよう に反論したから再考するか再検討しましょう」などという報告はあっては ならないし、受け入れる訳がないのである。

私でさえ「それでは余りに高飛車で傲慢であると思う。ただ単に本部の意 向を伝えに来て承服せよと言うだけでは、担当者は単なるお使い奴に過ぎ ず当事者能力の欠片もないではないか」という非難の声はイヤと言うほど 聞かされた。だが、よく考えなくても解ることで「君は何処の誰から月給 を貰っているのか。それを支給してくれる先の為に身を粉にして働くのが 当然ではないのか」と上司から言われれば、反論の余地
がないのだ。

問題はそのお使い奴の地位から如何にして脱却して当事者能力を備えた担 当者になれるか、またはなり果せて得意先からの絶大な信用を勝ち得るか 否かが、ア メリカの会社で如何に働いて結果を残すかの分かれ道であ る。だが、正直にアメリカ 人の上司たちの心中を言えば「はい、解りま した。仰せの通りやって見せます」と言 う方が「可愛い奴」と高く評価 されるのであるし、得意先が何を言おうとシカトして いれば、内部での 評価が上がるのである。どの道を選ぶのかは当人が決めれば良いこと。

その時にこの木材の駐在のアメリカ人に教えられた英語での表現は「会社 の代弁をする」が “representation of the company to the customer” で、「お客様 の代弁をする」は “representation of the customer to the company”だった。

私 は後者が我が国の企業社会における文化であると思っている。更に、 やや後難を恐 れて言えば「アメリカの対日輸出が余り成功していない原 因の一つに前者の「会社の 代弁」のし過ぎがあるのではと考えている。 「上意下達」ではなく「上意客達」は我 が国では受けないと思っている。


   ◎スポーツ界の代表としてだと?!:前田正晶

当に「冗談でしょう」である。一部のマスコミは早とちりして元貴乃花が 議員会館だったかに馳浩元文科大臣を訪問したことで「すわ、来年の参議 院選挙に出馬か」と大騒ぎである。しかも中にはスポーツ庁のような性格 も権限もハッキリしない役所がある事を採り上げて「貴乃花がスポーツ界 を代表して出れば改革になる」とか「50万票は固い」とか言い出す始末で ある。「何とかにつける薬はない」とつくづく思わせられている。

これまでに私は何度も何度も「相撲はスポーツの範疇に入れて取り扱うべ き性質ではない。あれは江戸時代から連綿として続く歴史と伝統に輝く興 行であり、今や現在の次元までに近代化されたスポーツと絶対に同列に扱 うべきではない。私は50年以上もNHK等のテレビ局スポーツの枠で相撲関 連のニュースを扱うのを即刻辞めるべきだ」と指摘してきた。だが、遺憾 ながら彼らは目覚めることなく一向に変革は起きていない。

一度でも両国でも何処でも相撲を見に行って桟敷から観戦して見たまえ。 後から後からひっきりなしに配達されてくる料理を食べ、(私は嗜まな い)酒を飲んでいる合間に土俵に上がってくる相撲取りたちが相撲をする のをチラと見ているだけのこと。仕切りと言い何と言い折角観に来てくだ さったお客様を如何にしておもてなしするかの要素が極めて濃厚で、極端 な表現を用いれば「あれの何処がスポーツか。あれは歴史に則った形式を 重んじた興行ではないのか」と、私は言いたくなったのだった。

その歴史と伝統に輝く、一般人の社会とは全く異なった文化を持つ相撲界 で純粋培養されてきたような貴乃花のこれまでの相撲界での活躍と、今回 のように協会側が首尾良く追い出してしまったような経歴を持つ人物が 「どうやって議員になれた後でスポーツ界を代表出来る」と言うのか。

彼の何処に何の権限もないとしか見えない鈴木大地長官を凌ぐような数多 い競技を抱えているスポーツ界を代表する知識と経験と見識があると言う のか。ある訳がない。故に、私はスポーツ界の代表などと言うのは「戯れ 言」以下だと断じる。

ここで後難を恐れて言わせて貰えば「鈴木長官がオリンピックで優勝され たのは偉いし、記憶が正しければ、その後勉強されて確か医学博士号まで 取られたと聞いている。それと全スポーツ界を代表して長官になられるこ とは別問題ではないのか。しかも、鈴木氏は個人種目である水泳しか経験 されていない。団体競技であるサッカーや野球やラグビー等は水泳とは余 りに性質が違いすぎる。であれば、あの日大の悪質タックル問題発生時に は、何が言いたいのかサッパリ解らないことしか言えなかった。

「仮定の話でそこまで興奮することはないじゃないか」と指摘されそうだ が、相変わらずのマスコミの間抜けさに腹が立って言わせて貰っただけで ある。ここまででお解り願えれば幸いだが、私は「一般社会とは異種の文 化を持つ世界で育ち、個人種目しか経験してこなかった貴乃花ではスポー ツ界の代表としての出馬は願い下げにしたい」と言いたいだけなのであ る。勿論、出るか出ないかは貴乃花自身の問題であるから、何も言うこと はない。



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身 辺 雑 記
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11 日の東京湾岸は曇天。

9日夜、亀戸の韓国風居酒屋での会合は美人もいて楽しかった。

11日夜には久々、向島の洋食屋「あきら」で義姉夫婦と一献傾ける。

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創刊日:2004-01-18  
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